注意 この作品は作者オリジナルの設定があります
「お嬢様、お休みなさいませ」
「えぇ、お休み、咲夜」
咲夜と呼ばれたメイドが出て行き部屋には紅魔館の主「レミリア・スカーレット」が就寝をする所だ。
本来ならば吸血鬼は夜に活動を活発化する者であるが生憎外は雪である。
「全く、この雪さえなければ」
頭の中では雪さえなければ霊夢の所に行って一緒に寝られるのになどと考えていたが考えると馬鹿らしい妄想なのでさっさとベッドに入ることにした。
「あったかいわぁ」
咲夜が何故かベッドを暖めておいててくれたお陰で今夜はぐっすり眠れそうだ。眼を閉じ考えることを止める。
何時間、何分、何秒経っただろう、まだ眠れずに居たのだ
「予想に反して眠れないわ…」
こんなに早く寝るのは珍しいことであり、なかなか寝付けないものだ
運命をいじってみるかとも考えたがこんな事で能力を使うのは何か勿体無い
「まぁいいわ、直に眠れるはず」
もう一度眼を閉じてみたがやはり眠れない
(咲夜は…起こすのは可哀想ね)
(パチェは…解らないけど最近妙に独り言が多いから止めよう)
よし、とベッドから起き上がり
「本でも読もう」
暖炉とランプに火をつける
「何を読もうかしら?」
レミリアの部屋にも本は極少数だが置いてある、殆どが童話などの子供向けだ
「懐かしいわ、昔、フランにも読んであげたわねぇ」
しかし500歳にもなって童話は少しどうかと思われる
「せめて読む相手が居ればいいのだけれど」
窓の外を見てみるとそこには闇の中でも一等目立つ闇の塊が浮かんでいた
「丁度いいわ」
窓を開け呼んでみることにした
「ルーミアだっけ?少し良いかしら?」
「なんだろー」
あの闇は「闇を操る程度の能力」であるルーミアの闇だ
「今晩は、ルーミア」
「今晩は、吸血鬼さん」
闇を払うと雪が降っているにも関わらずいつもの服だった
「貴女、寒くないの?ソレ?」
「寒くないと言えば嘘になるけど、もう慣れたよ」
「私の部屋で温まらない?」
「いいよ~」
ルーミアを部屋の中に入れる
「うわぁ~大きいベッド」
おそらく外で暮らしているルーミアには珍しい物ばかりだろう
「ルーミア、私は今とても暇だから貴女に本を読んであげるわ」
「さぁこちらに来なさい」
自分のひざの上に座らせる
「(丁度いい大きさね)」
昔を思い出す。フランがまだまだ幼い時私達は親と言うものがいたしそんなに悪い環境ではなかった。
その頃はフランの能力も目覚めていなかったし、ごく普通の吸血鬼だった。
よく本を読んであげたものだが、今は危険なため外にもいけない、だから姉として少し寂しいのだろう
「どの本が良いかしら?」
本は三冊「よくわからない緑の本」「よくわからない赤の本」「よくわからない青の本」だ
「全部古くて解らないわ」
「ん~、とじゃあ『緑』」
「じゃあ読むわ」
呼んでいくとどうやらこの本は『シンデレラ』のようだ
しかし呼んでいくと何か少し違う、血生臭い内容である
「ガラスの靴を履くために足の一部を鋏でき―――」
そこでレミリアは本を読むのを止めた
「グリム童話の真実って書いてあったわ」
「ガクガクブルブル」
ルーミアはかなり怖かったのか震えている
次は『青」の本
「なになに―――」
どうやら新約聖書だ
面白くない表情をするレミリア
「何が神の子か十字架で貼り付けられて死んだ、ただの人間じゃない」
「聖者なのか?」
「まぁそうね」
次は『赤』最後の本
どうやら日記型式のようだ
●月×日
わたしは十才のお誕生日を迎えました。
わたしには妹が居ます。わたしより五つ年下です。
そしてもうすぐに妹の誕生日を迎えます。
●月●日
わたしは妹の誕生日に外の世界に連れて行こうと思います
きっとあの子も喜んでくれるはずだから
●月△日
今日は妹の誕生日、内緒で近くの村に行くことにしました。
貯めていたお小遣いで何か買ってやろうと思います。
■月●日
久しく書くことの無かった日記
わたしにはもう親は居ませんそして妹は壊れてしまいました。
いまのわたしにはどうする事もできません
だから『未来のわたし』に託す事にしました。
わたしの妹を救えるのはきっと強くなった未来のわたしだから
「…」
「…」
一時の沈黙
「ねぇルーミア」
「何?」
「この本のわたしは、妹を救えたと思う?」
「私は救えたと思うけど」
「じゃあ、もし490年たった今でも救えずに居たら?」
「そんなに時間がかかるものなの?」
「いいえ、何もこの誓い何てすっかり忘れて、今やっと思い出したとしたら?」
「じゃあ、思い出したときに私はすぐに助けるよ」
「そうね、ありがとう」
空が明るくなって来ている
「もうこんな時間なのね」
「私、帰るね」
「えぇ、お休み」
「じゃあね、誓いを果せるといいね、レミリア」
「見透かされていたみたいね、またね、ルーミア」
「また来て良いの?」
「また、私が眠れない夜に」
「うん、またね」
日記の彼女の妹がなぜ壊れてしまったかの説明がないのが少し気になりましたが、あえてそこを語らないというのもありだと思います。
全体的に冬の室内の静かさがきちんと表現されており、聞き手としてのルーミアの存在もとても素敵でした。
あなたの作品は初投稿のときより拝見しておりますが、今回ひどくレベルが上がっているので驚きました。
まだ若干文章に引っかかるところもありますが、全体的なクオリティがとても上がっています。次回作も期待してお待ちしております。
最後に、誤字らしきものの報告
>ベッドを暖めて措いて
「措いて」は除くという意味なので、「おいて」が正しいかと。
>本は微量だが置いてある
「微量」は主に数えられないが少ない物のことを指すので、「僅か」や「極少数」とするべきかと。
「数冊程度」という表現でもいいと思いますが。
>責めて読む相手が居れば
ここの少なくともという意味での「責めて」という言葉。辞書で調べてみたんですが完全に間違った漢字の用法でもないみたいですが、一般的には「せめて」か「切て」を使うようです。
>旧訳聖書
これは旧約聖書が正しい漢字です。「旧(ふる)い契約」の意味なので。
あと、神の子が十字架に磔になるのは新約聖書の方だったような……。
彼女とルーミアの話が個人的には好きかなぁ。
源本の話とか。
それと日記に関してのこととか。
いつか妹を救うという誓いを果たすことが出来るでしょうか?
>ストーブ付けずに書く
うん、勝手な事を言いますけど風邪には気をつけてね?
仕事をするときは頭寒足熱がいいといいますからがんばってください