※初投稿です
魔法の森入り口にある奇妙な建物、香霖堂。
そこは、外の世界の道具を幻想郷で唯一扱っている店だ。
そして店主の森近霖之助は「道具の名前と用途をが判る程度の能力」という、実に道具屋向きの能力を持っている。
もっとも、「使用法」は判らないので幻想郷の住人にとって難解な使用法が多い外の道具にはあまり役立つ事は無い。
そんな香霖堂での一つの出来事。
霖之助の目の前、カウンターに置かれた、昨日いつも通り散策で拾ってきたもの。
プラスチックケース入り54枚のカード。霖之助の能力では、トランプ・用途は人を騙す、と見えている。
トランプ自体は16世紀ごろ日本に伝来している為、そう珍しいものではない。
問題は……
「これはいったい何で出来ているんだ……?少なくとも紙じゃないことは確かだ」
そう、これはプラスチック製だ。言うまでも無いが霖之助の能力で材質は判らない。
「紙に比べるとあまり手触りは良くないな。でも、とても丈夫みたいだ。ケースの表と裏にあるN、i、n、t……にんて○どー?
このトランプを作った職人の名前なのかな?」
材質不明のトランプを調べる事を今日の暇潰しにしたようだ。だが、それはすぐ中断されてしまう。
「おーい香霖!居るかー?」
「もっと静かに入れないのかい?」
いつもの黒白、普通の魔法使い霧雨魔理沙がドタドタと入ってくる。
よく香霖堂の商品を持っていく上、特に意味も無く遊びに来る困ったやつだ。
早速、カウンターに散らばっているトランプに目を付けた。
「お、トランプか。珍しく普通の物があるじゃないか」
「そうかな?見た目は普通だけど、何かよく判らないものでできているみたいだ」
「ふ~ん。使えればそれで充分だと思うぜ」
適当に一枚取って弄び始める魔理沙。
「何だかよく飛びそうだな……よっ、と」
おもむろに投げられたトランプ。それは霖之助の頬薄皮一枚を切り、木の壁に突き刺さった。紙トランプではこうはなるまい。
お判りだろうが、トランプ手裏剣と呼ばれるものだ。キュウリや大根すら切り裂く威力を持つ。誰もが一度は挑戦した事があるのでは無いだろうか。
勿論そんな事は知らない2人は唖然としている。まさか、こんな薄っぺらいカードにこんな力があるなんて……。
しかしすぐに霖之助は立ち直り、笑みがこぼれている。
「今回はお手柄だぞ魔理沙」
「は?」
「今、君はこのトランプの正しい使い方をしたんだよ」
「なんだよそれは。ああやって投げるのがか?」
「そうさ。ボクの力で用途は人を騙す、と見えた。最初はトランプは手品やイカサマによく使われるから、だと思ったんだけど……
実は魔理沙がやって見せたように、トランプに見せかけた投擲武器だったんだよ」
そこまで聞くと魔理沙の顔にも笑みが戻る。少々邪悪に見えるのは気のせいだろうか。
「よし香霖、それ気に入ったぜ!買った!」
これを使って人に悪戯や、純粋に驚かせようと思ったのか、なんと魔理沙が「買う」と言っている。
霖之助は感動しつつそれを売った……
「いや、これは今から非売品だ」
とはならなかった。霖之助も気に入ってしまったらしい。
「非売品宣言より先に買うと言ったぜ?」
「でもボクの物だ。今までのツケを払うなら考えないでも無いよ?」
「ぐぐ、香霖はケチだぜ。帰る」
そそくさと玄関へ出て行く魔理沙。未練たらたらなのか、少々足取りが重い。箒に乗って飛び立つ寸前、
「大体、香霖は引きこもりだし、荒事向きじゃないだろう。使わないんじゃないのか?」
「使う、使わないじゃない。君と同じだよ」
「?」
「蒐集さ。気に入った物を手元に置いておく事に意味があるんだ。」
「なるほど。私もコレクションを捨てられないし、誰かにやりたくないからな」
趣味人のやることを深く考えてはいけない。
大抵は他人には理解しがたく、自分が満足できればそれで良いからだ。
魔法の森入り口にある奇妙な建物、香霖堂。
そこは、外の世界の道具を幻想郷で唯一扱っている店だ。
そして店主の森近霖之助は「道具の名前と用途をが判る程度の能力」という、実に道具屋向きの能力を持っている。
もっとも、「使用法」は判らないので幻想郷の住人にとって難解な使用法が多い外の道具にはあまり役立つ事は無い。
そんな香霖堂での一つの出来事。
霖之助の目の前、カウンターに置かれた、昨日いつも通り散策で拾ってきたもの。
プラスチックケース入り54枚のカード。霖之助の能力では、トランプ・用途は人を騙す、と見えている。
トランプ自体は16世紀ごろ日本に伝来している為、そう珍しいものではない。
問題は……
「これはいったい何で出来ているんだ……?少なくとも紙じゃないことは確かだ」
そう、これはプラスチック製だ。言うまでも無いが霖之助の能力で材質は判らない。
「紙に比べるとあまり手触りは良くないな。でも、とても丈夫みたいだ。ケースの表と裏にあるN、i、n、t……にんて○どー?
このトランプを作った職人の名前なのかな?」
材質不明のトランプを調べる事を今日の暇潰しにしたようだ。だが、それはすぐ中断されてしまう。
「おーい香霖!居るかー?」
「もっと静かに入れないのかい?」
いつもの黒白、普通の魔法使い霧雨魔理沙がドタドタと入ってくる。
よく香霖堂の商品を持っていく上、特に意味も無く遊びに来る困ったやつだ。
早速、カウンターに散らばっているトランプに目を付けた。
「お、トランプか。珍しく普通の物があるじゃないか」
「そうかな?見た目は普通だけど、何かよく判らないものでできているみたいだ」
「ふ~ん。使えればそれで充分だと思うぜ」
適当に一枚取って弄び始める魔理沙。
「何だかよく飛びそうだな……よっ、と」
おもむろに投げられたトランプ。それは霖之助の頬薄皮一枚を切り、木の壁に突き刺さった。紙トランプではこうはなるまい。
お判りだろうが、トランプ手裏剣と呼ばれるものだ。キュウリや大根すら切り裂く威力を持つ。誰もが一度は挑戦した事があるのでは無いだろうか。
勿論そんな事は知らない2人は唖然としている。まさか、こんな薄っぺらいカードにこんな力があるなんて……。
しかしすぐに霖之助は立ち直り、笑みがこぼれている。
「今回はお手柄だぞ魔理沙」
「は?」
「今、君はこのトランプの正しい使い方をしたんだよ」
「なんだよそれは。ああやって投げるのがか?」
「そうさ。ボクの力で用途は人を騙す、と見えた。最初はトランプは手品やイカサマによく使われるから、だと思ったんだけど……
実は魔理沙がやって見せたように、トランプに見せかけた投擲武器だったんだよ」
そこまで聞くと魔理沙の顔にも笑みが戻る。少々邪悪に見えるのは気のせいだろうか。
「よし香霖、それ気に入ったぜ!買った!」
これを使って人に悪戯や、純粋に驚かせようと思ったのか、なんと魔理沙が「買う」と言っている。
霖之助は感動しつつそれを売った……
「いや、これは今から非売品だ」
とはならなかった。霖之助も気に入ってしまったらしい。
「非売品宣言より先に買うと言ったぜ?」
「でもボクの物だ。今までのツケを払うなら考えないでも無いよ?」
「ぐぐ、香霖はケチだぜ。帰る」
そそくさと玄関へ出て行く魔理沙。未練たらたらなのか、少々足取りが重い。箒に乗って飛び立つ寸前、
「大体、香霖は引きこもりだし、荒事向きじゃないだろう。使わないんじゃないのか?」
「使う、使わないじゃない。君と同じだよ」
「?」
「蒐集さ。気に入った物を手元に置いておく事に意味があるんだ。」
「なるほど。私もコレクションを捨てられないし、誰かにやりたくないからな」
趣味人のやることを深く考えてはいけない。
大抵は他人には理解しがたく、自分が満足できればそれで良いからだ。
なかなか、興味深い話でした、こういうのって、実際に書いてみないと判りませんよねぇ・・・・・・。
さて・・・俺も負けてられないぞ、と。
ところでまだこういう人っているんだね……
(作品のことじゃないよ!)
トランプ手裏剣…よくやったなぁ
>8さん
創想話の注意書きを読んだ方がいいと思います
…利益的な意味ですよ?
話は面白いので発展させた話を見てみたいと思います。