今回は文霖を書いてみました。
※物凄く短いです、5分持てば良い感じです。そして急展開です。ちょっとした暇つぶし程度に見てもらえばと。
風が雪を運び、その色白い顔を更に白くする。
酒で酔っているはずなのに、その顔は全く赤くならず、直も白さを保ち続ける。
きっと外の世界の女性が見たら、その肌の美しさに嫉妬を抱くのではないだろうか。
霖之助は、肌寒くなる雪が積もる中、黙々と酒を飲んでいた。
冬とは、良い物だ。霖之助はそう思っていた。
春は、ほんのり暖かいそよ風が気持ち良いが、妖怪が活発になる時期でもある。新参の妖怪にも挨拶をしておかないと襲われてしまう。
夏は、ただただ暑い空間を凌ぎきる為に、頭の悪い氷精を説得しなければならない。
冬とは逆に、上半身裸になる訳にもいかないし、それでも充分熱い猛暑日もある。
秋は、枯葉を運ぶ風が、目に痛い。寒いと断言できるほど寒く無いのに、今まで通り薄着をしていると寒い。曖昧だ。
冬は、余計な妖怪は冬眠中だし、寒さも厚着をすればなんとかなる、それに店の中にはストーブもある。
そして霖之助は、ただただ津々と降り注ぐ雪に、妙な親近感を覚えていた。
紅白や黒白にも影響されず、毎年変わらぬ色で降り注ぎ、何の色にも染まらない。
地の雪に色が染まっても、また空から白い色で積もってくる。
自身にしか分からない強く、変わらぬ意思。
霖之助は基本的に恰好としてしか酒を飲まないのは誰もが知る話、勿論二日酔いする程も飲まない。
しかし、彼の頭に来る嫌らしい痛み、経験者なら先ず2日酔いと判断出来るだろう。
普段の霖之助なら、急いで布団を敷き、寝るだろう。
半妖の彼なら昔から寝れば何でも直るからだ。
この痛みを何時までも味わって居たくない。それは本人が一番思っている事だ。
しかし霖之助は何にも動じないかのように、その杯と頭痛を味わっている。
酒を飲んでいるのは今日だけでは無い。 霖之助は昨日も、一昨日もずっと雪を浴びて酒を飲んでいた。
じきに霖之助は、まるで雪が溶けるかの様に、その場に倒れこんだ。
長い雪溶けの、始まりだった。
ふと気が付くと、自室の敷き布団の中だった。額には濡れた布が敷いてあり、頭痛を必死に抑えてくれているのが分かった。
上半身を上げる。額の布が落ちるが、タイミング良く霖之助はそれをキャッチする。
少し水がついた額と手のひらを拭いて、辺りを見渡す。
丁度視線が合った時に、その少女は口を開いた。
『あやややや。』
『文…なんで僕を助けた?』
『いきなり雪の中で倒れこんでいる少ないお得意様を、放っておく訳にはいかないですよ。』
『それもそうだな…すまない。』
『見たところ2日酔いですけど…そんなの早く休めば良かったのに、珍しくやけ酒ですか?』
『まぁ、そうかもしれないね…。』
『まだ、顔が青冷めていますよ。もう少し安静にしておいてください。』
『看病してくれるのはありがたいのだが、僕はまだやる事がある。』
『お酒なら、没収しておきましたよ。看病代として受け取ってあげます。』
そう言いながら、文は笑顔を見せる。
『…なんでだい。』
『こちらが聞きたいです、その言い方だとまだお酒を飲むつもりだったんでしょう。』
『一体なんでそんなにお酒を飲み続けているんですか?』
『いや、ただ気が向いただけで…。』
『嘘を付かないでください。』
射命丸は真顔で喋る。そのまま表情がだんだんと暗くなっていくことには、霖之助は気づかなかった
『嘘などついていないさ…。』
『心配させてすまない、頭はもう大丈夫だ、こんな所に居ても面白く無いだろう。お帰り。』
文の手がプルプルと震える。
『嘘つき!』
文は瞳から大粒の涙を零しながら大きく叫んだ。
まるで店中に一瞬だけ台風が来たように風が勢い良く飛んだ。
『私、知っているんですよ、ここ数日中お酒を飲み続けている事。私はすぐ気が付きました、霖之助が悩みを抱えていること。』
『私じゃ、私じゃ駄目なんですか?私…霖之助の力になりたいのに・・・ぐすっ。』
早口で語る美しい声が裏返る。相当必死に喋ろうとしているのだろう。
腕を弱々しく霖之助の胸に当てる、その姿に、何時もの強気な彼女は無かった。
鼻水をずずっと吸い込んで、荒い息を立てる。
『嫌な事があったら、何時でも言って下さい…ね?』
まだまだ荒い息と声を落ち着かせて、文は必死に笑顔を見せ付ける。
霖之助も一瞬驚いた表情をしたが、何処か呆れたような笑顔になり、強く文を抱きしめた。
実はこの雪を見たまま、死にたかったなんて弁解は、自分に必死に接してくれる彼女を見たら、馬鹿馬鹿しく感じた。
文は霖之助の胸の中で、もう1回大きく泣いた。相談を聞くと言う本来の目的を捨てて、ただ、店主の近くに居たいと言うだけの理由で。
十数分後、流石に痺れを切らした霖之助が声を出す。
『文?あーや?』
しばらくして、霖之助の胸の中で文はすやすやと寝息をたてていた。
『…仕方が無い』
霖之助はそっとベットに文を寝かせた。
『ご迷惑をおかけしました。』
そう言いながら、店の出口まで見送られた文はまた、雪の中飛ぶのかと言う憂鬱感を抱いたが、答えはノーだった。
雪は溶けて、真っ白に染まっていた地にはまだ弱々しいものの、緑色の草が生えていた。
日は燦々と降り注ぎ、雪を溶かす。
正直、タイミングが良すぎる春の訪れに、文だけでは無く霖之助も唖然としていた。
春とは良い物だ、霖之助はそう思った。
散々冬の間強がっていても、いずれ雪は溶けてしまう。
それを知らせに来る春を、毛嫌いするのはいけないと。
強固な意志なんて、結局妖怪と言う名の春の日に溶けてしまうのだと。
だから、自然と春に接していこう。季節に良いも悪いも無い、お互いが良さを出しているのだと。
文と霖之助は無言で、唇を重ねた。文の口はとても暖かく、甘い匂いがした。
その暖かさに、冷たい霖之助の口は、溶けていく様に暖かくなっていった。
長い、口付けを終えた文の頬は真っ赤に染まっていた。
酒で酔っていても赤くならない白い店主の頬も、また赤く火照っていた。
春が来た幻想郷の暖かい空を一番に。そんな気分で天狗は上機嫌に飛んでいった。
※物凄く短いです、5分持てば良い感じです。そして急展開です。ちょっとした暇つぶし程度に見てもらえばと。
風が雪を運び、その色白い顔を更に白くする。
酒で酔っているはずなのに、その顔は全く赤くならず、直も白さを保ち続ける。
きっと外の世界の女性が見たら、その肌の美しさに嫉妬を抱くのではないだろうか。
霖之助は、肌寒くなる雪が積もる中、黙々と酒を飲んでいた。
冬とは、良い物だ。霖之助はそう思っていた。
春は、ほんのり暖かいそよ風が気持ち良いが、妖怪が活発になる時期でもある。新参の妖怪にも挨拶をしておかないと襲われてしまう。
夏は、ただただ暑い空間を凌ぎきる為に、頭の悪い氷精を説得しなければならない。
冬とは逆に、上半身裸になる訳にもいかないし、それでも充分熱い猛暑日もある。
秋は、枯葉を運ぶ風が、目に痛い。寒いと断言できるほど寒く無いのに、今まで通り薄着をしていると寒い。曖昧だ。
冬は、余計な妖怪は冬眠中だし、寒さも厚着をすればなんとかなる、それに店の中にはストーブもある。
そして霖之助は、ただただ津々と降り注ぐ雪に、妙な親近感を覚えていた。
紅白や黒白にも影響されず、毎年変わらぬ色で降り注ぎ、何の色にも染まらない。
地の雪に色が染まっても、また空から白い色で積もってくる。
自身にしか分からない強く、変わらぬ意思。
霖之助は基本的に恰好としてしか酒を飲まないのは誰もが知る話、勿論二日酔いする程も飲まない。
しかし、彼の頭に来る嫌らしい痛み、経験者なら先ず2日酔いと判断出来るだろう。
普段の霖之助なら、急いで布団を敷き、寝るだろう。
半妖の彼なら昔から寝れば何でも直るからだ。
この痛みを何時までも味わって居たくない。それは本人が一番思っている事だ。
しかし霖之助は何にも動じないかのように、その杯と頭痛を味わっている。
酒を飲んでいるのは今日だけでは無い。 霖之助は昨日も、一昨日もずっと雪を浴びて酒を飲んでいた。
じきに霖之助は、まるで雪が溶けるかの様に、その場に倒れこんだ。
長い雪溶けの、始まりだった。
ふと気が付くと、自室の敷き布団の中だった。額には濡れた布が敷いてあり、頭痛を必死に抑えてくれているのが分かった。
上半身を上げる。額の布が落ちるが、タイミング良く霖之助はそれをキャッチする。
少し水がついた額と手のひらを拭いて、辺りを見渡す。
丁度視線が合った時に、その少女は口を開いた。
『あやややや。』
『文…なんで僕を助けた?』
『いきなり雪の中で倒れこんでいる少ないお得意様を、放っておく訳にはいかないですよ。』
『それもそうだな…すまない。』
『見たところ2日酔いですけど…そんなの早く休めば良かったのに、珍しくやけ酒ですか?』
『まぁ、そうかもしれないね…。』
『まだ、顔が青冷めていますよ。もう少し安静にしておいてください。』
『看病してくれるのはありがたいのだが、僕はまだやる事がある。』
『お酒なら、没収しておきましたよ。看病代として受け取ってあげます。』
そう言いながら、文は笑顔を見せる。
『…なんでだい。』
『こちらが聞きたいです、その言い方だとまだお酒を飲むつもりだったんでしょう。』
『一体なんでそんなにお酒を飲み続けているんですか?』
『いや、ただ気が向いただけで…。』
『嘘を付かないでください。』
射命丸は真顔で喋る。そのまま表情がだんだんと暗くなっていくことには、霖之助は気づかなかった
『嘘などついていないさ…。』
『心配させてすまない、頭はもう大丈夫だ、こんな所に居ても面白く無いだろう。お帰り。』
文の手がプルプルと震える。
『嘘つき!』
文は瞳から大粒の涙を零しながら大きく叫んだ。
まるで店中に一瞬だけ台風が来たように風が勢い良く飛んだ。
『私、知っているんですよ、ここ数日中お酒を飲み続けている事。私はすぐ気が付きました、霖之助が悩みを抱えていること。』
『私じゃ、私じゃ駄目なんですか?私…霖之助の力になりたいのに・・・ぐすっ。』
早口で語る美しい声が裏返る。相当必死に喋ろうとしているのだろう。
腕を弱々しく霖之助の胸に当てる、その姿に、何時もの強気な彼女は無かった。
鼻水をずずっと吸い込んで、荒い息を立てる。
『嫌な事があったら、何時でも言って下さい…ね?』
まだまだ荒い息と声を落ち着かせて、文は必死に笑顔を見せ付ける。
霖之助も一瞬驚いた表情をしたが、何処か呆れたような笑顔になり、強く文を抱きしめた。
実はこの雪を見たまま、死にたかったなんて弁解は、自分に必死に接してくれる彼女を見たら、馬鹿馬鹿しく感じた。
文は霖之助の胸の中で、もう1回大きく泣いた。相談を聞くと言う本来の目的を捨てて、ただ、店主の近くに居たいと言うだけの理由で。
十数分後、流石に痺れを切らした霖之助が声を出す。
『文?あーや?』
しばらくして、霖之助の胸の中で文はすやすやと寝息をたてていた。
『…仕方が無い』
霖之助はそっとベットに文を寝かせた。
『ご迷惑をおかけしました。』
そう言いながら、店の出口まで見送られた文はまた、雪の中飛ぶのかと言う憂鬱感を抱いたが、答えはノーだった。
雪は溶けて、真っ白に染まっていた地にはまだ弱々しいものの、緑色の草が生えていた。
日は燦々と降り注ぎ、雪を溶かす。
正直、タイミングが良すぎる春の訪れに、文だけでは無く霖之助も唖然としていた。
春とは良い物だ、霖之助はそう思った。
散々冬の間強がっていても、いずれ雪は溶けてしまう。
それを知らせに来る春を、毛嫌いするのはいけないと。
強固な意志なんて、結局妖怪と言う名の春の日に溶けてしまうのだと。
だから、自然と春に接していこう。季節に良いも悪いも無い、お互いが良さを出しているのだと。
文と霖之助は無言で、唇を重ねた。文の口はとても暖かく、甘い匂いがした。
その暖かさに、冷たい霖之助の口は、溶けていく様に暖かくなっていった。
長い、口付けを終えた文の頬は真っ赤に染まっていた。
酒で酔っていても赤くならない白い店主の頬も、また赤く火照っていた。
春が来た幻想郷の暖かい空を一番に。そんな気分で天狗は上機嫌に飛んでいった。
確か短くて急展開ですが、もう少し頑張って推敲して長く書けばいい作品になりそうな感じが……
期待も込めてこの点で
どうしても点が辛くならざるを得ない、ごめん。
文霖に限らず、カップリング小説の妙って、らぶらぶまでに至るまでの、
過程にこそあると思うのですよ。
今作は、その過程が弱いというか、その、
正直、萌えん(マテ
文霖は大好物なので、さらなる努力を期待します。
3分ももたねぇぞこのやろう!
このままじゃすませねぇ、逃げるな畜生!
スイマセン、マジでもうちょっと読ませてください。このままじゃ収まりがつかねーんですよ。