―――突如、大地が、大きく、揺れた。
「なっ、な! また……地震!?」
神社の母屋の居間で、まったりとお茶をすすっていた博麗霊夢が、突然の事態に素っ頓狂な声をあげた。
もしかして、不良天人の退屈しのぎ。……いや、いたずらが再発したのだろうか。
冗談じゃない。そう何度も神社を壊されてたまるか、と霊夢は手元にあった幣を引っ掴み、慌忙状態で外に飛び出した。
揺れはすでにおさまっている。だが、余震もあるかもしれないから、決して油断は出来ない。
霊夢は縁側の下へと潜り、間違いなく地震の原因であるだろう要石を探し始める。
とはいえ、要石は比那名居天子以外に取り扱う事は出来ないが、確認だけでもしておかなければとても安心出来なかった。
「あった。……でもこれは―――」
問題のブツを一目見て、霊夢は訝しげに眉を吊り上げた。
本来感じられるハズの要石の霊力が弱まっている。それこそロクに修行していない霊夢でもわかるほどに、だ。
「……これは、あのバカ天人を訪ねる必要があるようね」
面倒くさそうに舌打ちを一つした後、霊夢はその足で天界に向かうため、勢いよく大地を蹴った。
「―――電池切れでもおこしたんじゃない? それ」
「あの石って電池で動いてるの!?」
「……いや、物の例えだけどさ。結局、動力源。つまり霊力が足りてないってことでしょ」
「ああいうのって、地脈から霊力吸い上げて、半永久的に作動するもんじゃないの?」
「う、うるさいなあ。私だってわからないわよそんなこと。じゃあその機能が壊れてたんじゃない?」
「……あんたの持ちものなんだから、最低限のことくらい把握しておきなさいよ」
焦った素振りで適当なことを抜かす天子に、霊夢は呆れた口調で返した。
だが、地震を鎮める為に博麗神社に埋まっている要石が正しく機能していない。それは霊夢にとって見過ごせない大事である。
それが例え、そこにいる天子に勝手に埋められたものだとしても。
場所は天界のどこぞにある桃園の一角。そこで霊夢と天子はお互い不機嫌そうな顔で睨み合っている。
胡坐をかきながら、桃を頬張っている天子の腕を掴んだかと思うと、霊夢は強い調子で神社まで一緒にこい、と催促した。
「ええ~、やだよ七面倒くさい。そもそも貴方に手助けする義理なんてこれっぽっちもないんだけど」
「あんたしかあの石は何とか出来ないのよ! これでまた大地震が起こって神社が壊れてみなさい。
……どういう目にあうか、想像はつくわよね?」
「……はぁ。ま、いいわ。一応私の責任みたいだしね。ちょっとくらいなら付き合ってあげる」
仕方なさそうに嘆息吐いた天子は、ちょっと待ってなさい、と一言断った後、どこかへ飛び去っていった。
じょじょに小さくなっていく天子の後ろ姿を眺めながら、霊夢は誰に向けるでもなく、ぽつり、と呟いた。
「そろそろ出てきなさい。覗き見なんて趣味が悪いわよ」
「……お二人の会話を邪魔したくなかっただけです。これでも空気を読んだつもりなのですけど?」
霊夢の掛け声と同時に、背後の茂みからガサリ、と音を立てて、竜宮の使いである永江衣玖が姿を現した。
大方、喧嘩になったら仲裁に入るつもりで控えていたのだろう。天子は気が付いていなかったようだが。
「それにしても、思ったよりもあっさりと聞き入れてくれたわねアイツ。
あの性格だから、駄々をこねられると思って、スペルカードも用意してたんだけど」
「……総領娘様が変わられたのは、あなた方と相見えてからなのですよ。
これでも、皆さんには感謝しているんです。……私もあの子も」
「ふーん。別にどうでもいいけど。それよりも天子はどこに行ったの?」
「恐らくは要石に霊力を供給するための、霊具を取りに行かれたんじゃないですか」
つまり、しなびた自転車タイヤに対する、空気入れのようなものだろうか。
二人がぼんやりと待っていると、およそ十分ほどで天子が戻ってきた。
衣玖を見て不思議そうな顔をする天子の手には、細長いコードの先にメガホンがくっ付いている、糸電話のような物体があった。
「……何コレ? こんなので霊力を供給するわけ?」
露骨に胡散臭そうな眼差しを向ける霊夢を衣玖が制し、三人は一路神社に向かうのであった。
博霊神社に辿り着いた天子は、そのまま要石の埋まってある床下に潜ったかと思うと、ケホケホ、と床下にこもった埃にむせ返りながら二人の前に顔を出した。
天子の手には例のメガホンが握られていて、その尻についたコードは床下の方に伸びている。
はい、とメガホンを手渡された霊夢は、半ば困惑気味に二人に尋ねた。
「……説明なさいよ。いきなりこんなの渡されたって、どうしていいのかわかんないわ」
「叫ぶのよ。その穴に向かって思い切り。声が霊力に変換されて、石に届く仕組みだから」
「はぁ? まさか自給しなくちゃいけないの?」
「世の中そうそう都合のいいものなんか存在しないわよ。ギブアンドテイクってやつ?
……石の霊基構造に解れがあった。これは霊力がある程度満たってないと、治し様がないのよ。
このメガホンは叫ぶ人の力が強ければ強いほど、その声に魂がこもってればこもっているほど。
強い霊力となって、要石のタンクを満たしてくれるわ。……ホラ、そこに指針がついているでしょ?」
そう言って天子は、ひょい、とメガホンの外側を指差す。
そこには確かに、車のガソリンメーターのようなものがついていた。針は勿論E側を指している。
この針は叫べば叫ぶほど上に昇るので、終いにはFの位置まで上げればいい、と天子は説明した。
「……なんだかよくわかんないけど、とにかく思い切り叫べばいいのね?」
乗り気ではなかったが、要石の加護が完全に消え失せれば神社に明日はない。背に腹は代えられなかった。
霊夢は思い切り深呼吸をする。そして、腹にたまった空気を投げつけるかのように思い切り叫んだ。
「―――ぅ、わーーーーーーーーーーーっ!」
ビリビリ、と空気が震え、そばで聞いている天子と衣玖が耳を押さえた。霊夢は一目散にメーターを確認する。
……針は叫ぶ前の位置から、一ミリたりとも動いていなかった。
「……ちょ、全然動いてないじゃない!? あんた、わたしを騙したの!?」
「騙してなんかないわよ。ただ大声出せばいいってもんじゃなくて、魂を震わせる叫びでなくちゃ」
「力の根源は心です。その心の力を声に乗せて伝えるのですから、ただ叫ぶだけでは……」
「じゃあ、あんたたちがやりなさいよ。わたしはもう喉が痛くて大声なんか出したくないし」
「ふん、出し惜しみってこと? 貧民生活がもたらす貧乏性もここまで来ると哀れね。あーあ可哀想」
「……何。喧嘩売ってんの?」
「買う金もないクセによく言うわ。やーいやーい、びんぼうみこー。わきみこー」
「こ、殺す……っ」
「さあ! 今です霊夢さん! その怒りをメガホンに乗せてどうぞ思いのたけを!」
完全に目が据わった霊夢が一歩足を踏み出した瞬間、衣玖がメガホンを彼女の口元にあてた。
怒れる霊夢は普段溜まっている鬱積を、思わず吐き出してしまう。
「賽銭よこしやがれえええええええええええええぇぇぇぇっっっ!!!」
霊夢の魂の叫びに、メガホンに備え付けてある針がするすると上に昇っていった。
ぜーぜー、と息を荒げる霊夢は、そのままバタンキュー、と大の字になって倒れる。
持ち得る霊力を全て吐き出して疲労困憊のようだった。しかし、針はまだ全体の三分の一にも上がっていない。
博霊の巫女の潜在霊力は、恐らく幻想郷随一であるにも関わらず、これである。
要石の容量は、三人が思っていた以上に膨大だったようだ。
「……はぁはぁ、わ、たしは、今度こそ、もう限界よ。み、水、……水もってきて~」
へとへとの霊夢が地面に伏せながら、そんな弱々しい懇願の声をあげる。
慌てて神社の方へと駆ける衣玖。この後、天子も一応叫んではみたが、やはり針はそこまで伸びなかった。
どうしたものか、と首を捻る三人。とはいっても、やれることなどたった一つしかなかった。
「……こうなったら妖怪を集めましょう。スキマ妖怪のような力の強い者を」
「それしか、ないか。あいつにはあまり借りを作りたくなかったんだけど」
衣玖の提案に、何とか持ち直した霊夢は嫌そうに溜め息を吐く。
その後、天子は「済んだらちゃんと返してね」と釘を刺した後、衣玖と一緒に天界へと帰っていった。
要石の霊力を、僅かながらも持ち直したから、数日間なら何事も起こらないだろう、と二人は言った。
その間に宴会でも開くとするか、と霊夢は疲れ切った身体を押して、母屋へと戻るのであった。
―――そして、数日後の夜。
博麗神社の本殿前では、数人の人間と妖怪が楽しそうに酒を酌み交わしていた。
霊夢の友人である霧雨魔理沙は勿論のこと、紅魔館と白玉楼の主従。そして、お目当てでもある八雲一家。
一同が介した頃合を見計らって、霊夢は要石の説明と、霊力供給の協力を申し出た。
要石が制御している大地震は、即ち幻想郷の危機に直結していると言っても過言ではない。
みんな二つ返事で快諾してくれ、霊夢は感謝の気持ちを込めて頭を下げた。
「……じゃあ、トップバッターは私と咲夜にしましょうか。
霊夢の力でも針は半分も届かなかったのでしょう?……ふふ、胸が躍るシチュエーションね」
自分たちの力を誇示出来る絶好の機会と思ったのか、レミリア・スカーレットは楽しそうに口元を吊り上げた。
せっかくだけどお前たちの出番はない、とその顔は絶対の自信を満ちている。
「言っとくけど、ただの大声じゃダメよ。魂からの叫びじゃないと針は動かないらしいわ」
霊夢の助言に、背中を向けたレミリアはひらひら、と手の平を振って答える。
そして、自分のすぐ傍に咲夜が立っていることを確認すると、おもむろにメガホンを手にとった。
「―――すぅ」
レミリアの静かな呼気に、一同はゴクリ、と喉を鳴らす。そして。
「れみ! りあ! う~~~~~~~~~~~~~~~っ!!!」
「おっ、おぜうさま!?」
「ほ、ほらっ! 何やってんの咲夜! 早くこれに今の私に対する熱い思いをぶつけなさい!」
「……一生お嬢様についていきますわあああああああああああああああぁぁぁっ!!!」
紅と白銀の主従による見事な波状攻撃! これは決まり手となったか?
恐る恐る二人がメガホンについている指針を覗くと、それは半分……をちょっと下回ったくらいだろうか。
要石の全容量を100とするのなら、霊夢で20、レミリアと咲夜で35といったところである。
だが、霊力の残量は、数日の時を経て、またふりだし近くに戻っていたので、まだまだ先は長い。
レミリアはつまらなそうに舌打ちすると、鼻血を噴いて倒れた咲夜をずるずると引きずりながら、霊夢たちの元へと戻った。
「―――弾幕はパワーだぜええええええええぇぇっ!!!」
魔理沙、15ポイント。
「―――幽々子様もうちょっと食べる量控えてくださいいいいいいいぃぃっ!!!」
妖夢も15ポイント。―――単純計算するなら満タンまであと30%ちょっと。
何故か傷ついた顔で立ち尽くしている幽々子は、この戯れには参加しないという。
曰く。
「もうここまで来たら、私や紫が出る幕もないでしょう。紫の式たちだけで十分事足りるわ」
……とのこと。それに紫は笑顔で頷いて、クィッと艶かしい動作で杯を傾けた。
「……藍、橙。わかっているわね? 私たちに大声を上げさせるなんてはしたない真似、……させないで頂戴」
「……御意に」
とはいうものの、残りのノルマは、レミリアと咲夜が二人がかりで放った霊力量とほぼ同程度。
自分が二人いるのならともかく、まだ未熟な橙との組み合わせではとてもじゃないが届かない。
藍は、冷静に冷徹に計算し、そう判断した。
だが、主はやれと命じたのだ。失敗は許されない。紫の面目を潰すわけにはいかないのだ。
ここは一計を練る必要があるようだ。
メガホンを手にした藍は、苦渋の決断に顔を歪め、そして隣に立つ自身の式に震える声で話しかけた。
「……橙」
「なんでしょうか、藍さま」
「私たちの力では、吸血鬼たちに届かない。……その意味はわかるな?」
「……はい。わたしが、藍さまの足を引っ張っているからですね」
「……その、通りだ。だが、力では及ばずとも、私たちには彼女らに負けていないものもある」
「え?」
「これは魂の力に呼応する、と巫女は言っていた。足りない分は心で、絆で補正出来るんだ。
そして、私たちの絆は、それだけは決して誰にも負けない。……そうだな? 橙」
「ら、藍さまぁ……」
藍の言葉に、橙はうるうると目に涙をため、そっ、と彼女の温かい胸に寄りかかる。
そんな橙の柔らかい栗毛の髪を一撫でした藍は、頬を引き締めると、意を決して続きを紡いだ。
「だからこそた、頼みがある。私に…力を与えてくれ。誰にも負けない力を。お前は叫ばなくてもいい。ただ、ただ私に…」
「……はい。何でも言ってください。それが藍さまを強くしてくれるのならわたしは……」
「くっ!」
橙のいじましい決意に、藍は慌てて真っ赤な顔を、明後日の方向へと向けた。
……まずい。自制がきかない。今すぐにでもこの理性という名の衣を脱ぎ捨てて、叫びたい! 声高らかに!
この愛しい式に対する想いのたけを狂ったように奏でたい。
今でさえこんななのに、実際に「その頼み」をされたら、と思うと……。
自分で自分が怖くなってしまう。間違いなく、正真正銘、掛け値なし、フルパワーの魂の咆哮をあげるであろう。
大地震の前に幻想郷が崩壊してしまうのではないか。そんな不安さえ抱かせる特大のヤツを、だ。
だがしかし、もう後には引けない。これ以外に紅魔館の主従を凌駕出来る手段はないのだから。
「ちぇ、橙。わ、私の……私のほっぺたに」
「?」
「……ちゅー、をしてくれっ!」
「―――!」
耳と尻尾を立てて驚く橙の反応を見て、不安に怯えた藍はギュッ、と固く目を瞑る。
ばっ、馬鹿な! 私は何を考えている! この機に乗じてとばかりに、橙にそんなふしだらな真似を強要するとはっ。
私は主失格だ! こんな……こんな恥ずかしい主をもって、橙もさぞかし呆れ―――
「……藍さま」
失意と後悔の渦に捉われた藍の耳に、橙の穏やかな声色が聞こえた。
藍が恐る恐る目を開けると、そこにはほんのりと頬を染め、背伸びをして目を瞑る橙の姿があった。
「……もっと、かがんでください。そうじゃないとしたくても…届きません」
「―――ピチェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエェェェェン!!!」
藍はトんだ。
果てしなく高く、どこまでも遠くへ。
Pアイテムを撒き散らし、摩擦力で服を焼き焦がしながら、月まで届けと言わんばかりに空をトぶ。
キラリ、と星になった主人を、呆然と青白い顔で見つめ続ける橙。
紫は、ちょっとだけ頭を抱えたくなった。幽々子はそんな彼女の頭を優しく撫でた。
藍の叫びは、今までで一番強く、そして猛々しいものであったことは疑いようもない。
ただ一つ残念だったのは、それがメガホンに向けて放たれなかったことだけ。
先走ってしまった。橙のあまりのぷりちーな仕草に、思わず暴発してしまったのだ。
霊夢と魔理沙は何も言わず、星空に向かって静かに敬礼した。
二人には満天の星空が、何故か藍の眩い笑顔のように見えた気がした。
「―――結局、私たちも参加する羽目になった、か。藍は帰ってきたらおしおきね」
「まあまあそう言わず。橙の涙に免じて、ここは許してあげましょう?」
溜め息交じりにこぼす、紫の物騒な台詞を、幽々子は今もぐずぐず、と泣いている橙の頭を撫でながら優しく宥める。
要石フルチャージまでのノルマは、先ほどと変わらず残り30%のままである。
だが、この二人にかかればそれは造作もないことは、もはや言うまでもなかろう。
霊夢はほっとしたように肩の力を抜いて、小さな猪口をぐい、と傾けた。
満タンまで溜めたら、あとは天子に霊力が失われた問題点を直してもらい、それでこの話は終いである。
「私が一人でやるわ。幽々子はそこで橙を慰めてあげ」
自信たっぷり、足元に落ちていたメガホンを拾い上げた紫が、どうしてか突然その動きを止めた。
そして、きょろきょろと辺りを見回したかと思うと、納得したようにニヤリ、と笑い、メガホンの口を自身ではなく天に向けた。
突然の紫の奇行に、幽々子以外の面子が揃ってハテナマークを浮かべていると―――
―――何と、メガホンの指針がぐんぐんと昇って、ついにはFの位置まで達したではないか。
紫は何もしていない。ただメガホンの口を上に向けただけだ。
一体どんなマジックを使ったのか。声を出さずとも霊力を供給する術でも持っていたのだろうか。
霊夢たちの疑問がますます色濃くなっているにも関わらず、紫は嬉しそうにメガホンの口をじっと見つめていた。
「……反応するのは声じゃなくて魂の絶叫。……ふふ、天人たちにしては面白い玩具を作ったものね」
紫はそれだけ言った後、そのメガホンをポイ、と投げ捨てた。もう用はない。
「紫、あんた今何したの?」
「何もしてないわ。……自身の存在をアピールできて、彼女も本望でしょう」
「……?」
スキマ妖怪の胡散臭さはいつものことか、と霊夢は納得しきれないながらも、そう思い込むことにした。
―――兎にも角にも、これにて一件落着。
あとは協力してくれた皆に、いつもより少しだけ豪勢な料理を振舞ってやろう、と霊夢は母屋へと歩き出した。
その後を魔理沙がついて歩く。手伝ってくれるのか、と思いきや何だか魔理沙の様子が少しおかしかった。
「……なあ霊夢。何だかちょっと変な感じがしないか?」
「変って何が?」
「上手く言えないんだけど、何かこう、誰かに呼び止められてるっていうか、空気に縛られてるような」
「……どこのホラーよそれ。馬鹿なこと言ってないであんたも手伝いなさい」
「いっ、いてて! 耳を引っ張るなって! さては霊夢怖いんだな? こわいんだろー」
「うっさい! 馬鹿!」
そんな仲睦まじい二人の背後に、本当に追い縋る影があった。
その影は目に涙をためて、先ほどと同じ言葉をもう一度叫んだ。
『―――あたしゃここにいるよおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉっ!!!』
「なっ、な! また……地震!?」
神社の母屋の居間で、まったりとお茶をすすっていた博麗霊夢が、突然の事態に素っ頓狂な声をあげた。
もしかして、不良天人の退屈しのぎ。……いや、いたずらが再発したのだろうか。
冗談じゃない。そう何度も神社を壊されてたまるか、と霊夢は手元にあった幣を引っ掴み、慌忙状態で外に飛び出した。
揺れはすでにおさまっている。だが、余震もあるかもしれないから、決して油断は出来ない。
霊夢は縁側の下へと潜り、間違いなく地震の原因であるだろう要石を探し始める。
とはいえ、要石は比那名居天子以外に取り扱う事は出来ないが、確認だけでもしておかなければとても安心出来なかった。
「あった。……でもこれは―――」
問題のブツを一目見て、霊夢は訝しげに眉を吊り上げた。
本来感じられるハズの要石の霊力が弱まっている。それこそロクに修行していない霊夢でもわかるほどに、だ。
「……これは、あのバカ天人を訪ねる必要があるようね」
面倒くさそうに舌打ちを一つした後、霊夢はその足で天界に向かうため、勢いよく大地を蹴った。
「―――電池切れでもおこしたんじゃない? それ」
「あの石って電池で動いてるの!?」
「……いや、物の例えだけどさ。結局、動力源。つまり霊力が足りてないってことでしょ」
「ああいうのって、地脈から霊力吸い上げて、半永久的に作動するもんじゃないの?」
「う、うるさいなあ。私だってわからないわよそんなこと。じゃあその機能が壊れてたんじゃない?」
「……あんたの持ちものなんだから、最低限のことくらい把握しておきなさいよ」
焦った素振りで適当なことを抜かす天子に、霊夢は呆れた口調で返した。
だが、地震を鎮める為に博麗神社に埋まっている要石が正しく機能していない。それは霊夢にとって見過ごせない大事である。
それが例え、そこにいる天子に勝手に埋められたものだとしても。
場所は天界のどこぞにある桃園の一角。そこで霊夢と天子はお互い不機嫌そうな顔で睨み合っている。
胡坐をかきながら、桃を頬張っている天子の腕を掴んだかと思うと、霊夢は強い調子で神社まで一緒にこい、と催促した。
「ええ~、やだよ七面倒くさい。そもそも貴方に手助けする義理なんてこれっぽっちもないんだけど」
「あんたしかあの石は何とか出来ないのよ! これでまた大地震が起こって神社が壊れてみなさい。
……どういう目にあうか、想像はつくわよね?」
「……はぁ。ま、いいわ。一応私の責任みたいだしね。ちょっとくらいなら付き合ってあげる」
仕方なさそうに嘆息吐いた天子は、ちょっと待ってなさい、と一言断った後、どこかへ飛び去っていった。
じょじょに小さくなっていく天子の後ろ姿を眺めながら、霊夢は誰に向けるでもなく、ぽつり、と呟いた。
「そろそろ出てきなさい。覗き見なんて趣味が悪いわよ」
「……お二人の会話を邪魔したくなかっただけです。これでも空気を読んだつもりなのですけど?」
霊夢の掛け声と同時に、背後の茂みからガサリ、と音を立てて、竜宮の使いである永江衣玖が姿を現した。
大方、喧嘩になったら仲裁に入るつもりで控えていたのだろう。天子は気が付いていなかったようだが。
「それにしても、思ったよりもあっさりと聞き入れてくれたわねアイツ。
あの性格だから、駄々をこねられると思って、スペルカードも用意してたんだけど」
「……総領娘様が変わられたのは、あなた方と相見えてからなのですよ。
これでも、皆さんには感謝しているんです。……私もあの子も」
「ふーん。別にどうでもいいけど。それよりも天子はどこに行ったの?」
「恐らくは要石に霊力を供給するための、霊具を取りに行かれたんじゃないですか」
つまり、しなびた自転車タイヤに対する、空気入れのようなものだろうか。
二人がぼんやりと待っていると、およそ十分ほどで天子が戻ってきた。
衣玖を見て不思議そうな顔をする天子の手には、細長いコードの先にメガホンがくっ付いている、糸電話のような物体があった。
「……何コレ? こんなので霊力を供給するわけ?」
露骨に胡散臭そうな眼差しを向ける霊夢を衣玖が制し、三人は一路神社に向かうのであった。
博霊神社に辿り着いた天子は、そのまま要石の埋まってある床下に潜ったかと思うと、ケホケホ、と床下にこもった埃にむせ返りながら二人の前に顔を出した。
天子の手には例のメガホンが握られていて、その尻についたコードは床下の方に伸びている。
はい、とメガホンを手渡された霊夢は、半ば困惑気味に二人に尋ねた。
「……説明なさいよ。いきなりこんなの渡されたって、どうしていいのかわかんないわ」
「叫ぶのよ。その穴に向かって思い切り。声が霊力に変換されて、石に届く仕組みだから」
「はぁ? まさか自給しなくちゃいけないの?」
「世の中そうそう都合のいいものなんか存在しないわよ。ギブアンドテイクってやつ?
……石の霊基構造に解れがあった。これは霊力がある程度満たってないと、治し様がないのよ。
このメガホンは叫ぶ人の力が強ければ強いほど、その声に魂がこもってればこもっているほど。
強い霊力となって、要石のタンクを満たしてくれるわ。……ホラ、そこに指針がついているでしょ?」
そう言って天子は、ひょい、とメガホンの外側を指差す。
そこには確かに、車のガソリンメーターのようなものがついていた。針は勿論E側を指している。
この針は叫べば叫ぶほど上に昇るので、終いにはFの位置まで上げればいい、と天子は説明した。
「……なんだかよくわかんないけど、とにかく思い切り叫べばいいのね?」
乗り気ではなかったが、要石の加護が完全に消え失せれば神社に明日はない。背に腹は代えられなかった。
霊夢は思い切り深呼吸をする。そして、腹にたまった空気を投げつけるかのように思い切り叫んだ。
「―――ぅ、わーーーーーーーーーーーっ!」
ビリビリ、と空気が震え、そばで聞いている天子と衣玖が耳を押さえた。霊夢は一目散にメーターを確認する。
……針は叫ぶ前の位置から、一ミリたりとも動いていなかった。
「……ちょ、全然動いてないじゃない!? あんた、わたしを騙したの!?」
「騙してなんかないわよ。ただ大声出せばいいってもんじゃなくて、魂を震わせる叫びでなくちゃ」
「力の根源は心です。その心の力を声に乗せて伝えるのですから、ただ叫ぶだけでは……」
「じゃあ、あんたたちがやりなさいよ。わたしはもう喉が痛くて大声なんか出したくないし」
「ふん、出し惜しみってこと? 貧民生活がもたらす貧乏性もここまで来ると哀れね。あーあ可哀想」
「……何。喧嘩売ってんの?」
「買う金もないクセによく言うわ。やーいやーい、びんぼうみこー。わきみこー」
「こ、殺す……っ」
「さあ! 今です霊夢さん! その怒りをメガホンに乗せてどうぞ思いのたけを!」
完全に目が据わった霊夢が一歩足を踏み出した瞬間、衣玖がメガホンを彼女の口元にあてた。
怒れる霊夢は普段溜まっている鬱積を、思わず吐き出してしまう。
「賽銭よこしやがれえええええええええええええぇぇぇぇっっっ!!!」
霊夢の魂の叫びに、メガホンに備え付けてある針がするすると上に昇っていった。
ぜーぜー、と息を荒げる霊夢は、そのままバタンキュー、と大の字になって倒れる。
持ち得る霊力を全て吐き出して疲労困憊のようだった。しかし、針はまだ全体の三分の一にも上がっていない。
博霊の巫女の潜在霊力は、恐らく幻想郷随一であるにも関わらず、これである。
要石の容量は、三人が思っていた以上に膨大だったようだ。
「……はぁはぁ、わ、たしは、今度こそ、もう限界よ。み、水、……水もってきて~」
へとへとの霊夢が地面に伏せながら、そんな弱々しい懇願の声をあげる。
慌てて神社の方へと駆ける衣玖。この後、天子も一応叫んではみたが、やはり針はそこまで伸びなかった。
どうしたものか、と首を捻る三人。とはいっても、やれることなどたった一つしかなかった。
「……こうなったら妖怪を集めましょう。スキマ妖怪のような力の強い者を」
「それしか、ないか。あいつにはあまり借りを作りたくなかったんだけど」
衣玖の提案に、何とか持ち直した霊夢は嫌そうに溜め息を吐く。
その後、天子は「済んだらちゃんと返してね」と釘を刺した後、衣玖と一緒に天界へと帰っていった。
要石の霊力を、僅かながらも持ち直したから、数日間なら何事も起こらないだろう、と二人は言った。
その間に宴会でも開くとするか、と霊夢は疲れ切った身体を押して、母屋へと戻るのであった。
―――そして、数日後の夜。
博麗神社の本殿前では、数人の人間と妖怪が楽しそうに酒を酌み交わしていた。
霊夢の友人である霧雨魔理沙は勿論のこと、紅魔館と白玉楼の主従。そして、お目当てでもある八雲一家。
一同が介した頃合を見計らって、霊夢は要石の説明と、霊力供給の協力を申し出た。
要石が制御している大地震は、即ち幻想郷の危機に直結していると言っても過言ではない。
みんな二つ返事で快諾してくれ、霊夢は感謝の気持ちを込めて頭を下げた。
「……じゃあ、トップバッターは私と咲夜にしましょうか。
霊夢の力でも針は半分も届かなかったのでしょう?……ふふ、胸が躍るシチュエーションね」
自分たちの力を誇示出来る絶好の機会と思ったのか、レミリア・スカーレットは楽しそうに口元を吊り上げた。
せっかくだけどお前たちの出番はない、とその顔は絶対の自信を満ちている。
「言っとくけど、ただの大声じゃダメよ。魂からの叫びじゃないと針は動かないらしいわ」
霊夢の助言に、背中を向けたレミリアはひらひら、と手の平を振って答える。
そして、自分のすぐ傍に咲夜が立っていることを確認すると、おもむろにメガホンを手にとった。
「―――すぅ」
レミリアの静かな呼気に、一同はゴクリ、と喉を鳴らす。そして。
「れみ! りあ! う~~~~~~~~~~~~~~~っ!!!」
「おっ、おぜうさま!?」
「ほ、ほらっ! 何やってんの咲夜! 早くこれに今の私に対する熱い思いをぶつけなさい!」
「……一生お嬢様についていきますわあああああああああああああああぁぁぁっ!!!」
紅と白銀の主従による見事な波状攻撃! これは決まり手となったか?
恐る恐る二人がメガホンについている指針を覗くと、それは半分……をちょっと下回ったくらいだろうか。
要石の全容量を100とするのなら、霊夢で20、レミリアと咲夜で35といったところである。
だが、霊力の残量は、数日の時を経て、またふりだし近くに戻っていたので、まだまだ先は長い。
レミリアはつまらなそうに舌打ちすると、鼻血を噴いて倒れた咲夜をずるずると引きずりながら、霊夢たちの元へと戻った。
「―――弾幕はパワーだぜええええええええぇぇっ!!!」
魔理沙、15ポイント。
「―――幽々子様もうちょっと食べる量控えてくださいいいいいいいぃぃっ!!!」
妖夢も15ポイント。―――単純計算するなら満タンまであと30%ちょっと。
何故か傷ついた顔で立ち尽くしている幽々子は、この戯れには参加しないという。
曰く。
「もうここまで来たら、私や紫が出る幕もないでしょう。紫の式たちだけで十分事足りるわ」
……とのこと。それに紫は笑顔で頷いて、クィッと艶かしい動作で杯を傾けた。
「……藍、橙。わかっているわね? 私たちに大声を上げさせるなんてはしたない真似、……させないで頂戴」
「……御意に」
とはいうものの、残りのノルマは、レミリアと咲夜が二人がかりで放った霊力量とほぼ同程度。
自分が二人いるのならともかく、まだ未熟な橙との組み合わせではとてもじゃないが届かない。
藍は、冷静に冷徹に計算し、そう判断した。
だが、主はやれと命じたのだ。失敗は許されない。紫の面目を潰すわけにはいかないのだ。
ここは一計を練る必要があるようだ。
メガホンを手にした藍は、苦渋の決断に顔を歪め、そして隣に立つ自身の式に震える声で話しかけた。
「……橙」
「なんでしょうか、藍さま」
「私たちの力では、吸血鬼たちに届かない。……その意味はわかるな?」
「……はい。わたしが、藍さまの足を引っ張っているからですね」
「……その、通りだ。だが、力では及ばずとも、私たちには彼女らに負けていないものもある」
「え?」
「これは魂の力に呼応する、と巫女は言っていた。足りない分は心で、絆で補正出来るんだ。
そして、私たちの絆は、それだけは決して誰にも負けない。……そうだな? 橙」
「ら、藍さまぁ……」
藍の言葉に、橙はうるうると目に涙をため、そっ、と彼女の温かい胸に寄りかかる。
そんな橙の柔らかい栗毛の髪を一撫でした藍は、頬を引き締めると、意を決して続きを紡いだ。
「だからこそた、頼みがある。私に…力を与えてくれ。誰にも負けない力を。お前は叫ばなくてもいい。ただ、ただ私に…」
「……はい。何でも言ってください。それが藍さまを強くしてくれるのならわたしは……」
「くっ!」
橙のいじましい決意に、藍は慌てて真っ赤な顔を、明後日の方向へと向けた。
……まずい。自制がきかない。今すぐにでもこの理性という名の衣を脱ぎ捨てて、叫びたい! 声高らかに!
この愛しい式に対する想いのたけを狂ったように奏でたい。
今でさえこんななのに、実際に「その頼み」をされたら、と思うと……。
自分で自分が怖くなってしまう。間違いなく、正真正銘、掛け値なし、フルパワーの魂の咆哮をあげるであろう。
大地震の前に幻想郷が崩壊してしまうのではないか。そんな不安さえ抱かせる特大のヤツを、だ。
だがしかし、もう後には引けない。これ以外に紅魔館の主従を凌駕出来る手段はないのだから。
「ちぇ、橙。わ、私の……私のほっぺたに」
「?」
「……ちゅー、をしてくれっ!」
「―――!」
耳と尻尾を立てて驚く橙の反応を見て、不安に怯えた藍はギュッ、と固く目を瞑る。
ばっ、馬鹿な! 私は何を考えている! この機に乗じてとばかりに、橙にそんなふしだらな真似を強要するとはっ。
私は主失格だ! こんな……こんな恥ずかしい主をもって、橙もさぞかし呆れ―――
「……藍さま」
失意と後悔の渦に捉われた藍の耳に、橙の穏やかな声色が聞こえた。
藍が恐る恐る目を開けると、そこにはほんのりと頬を染め、背伸びをして目を瞑る橙の姿があった。
「……もっと、かがんでください。そうじゃないとしたくても…届きません」
「―――ピチェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエェェェェン!!!」
藍はトんだ。
果てしなく高く、どこまでも遠くへ。
Pアイテムを撒き散らし、摩擦力で服を焼き焦がしながら、月まで届けと言わんばかりに空をトぶ。
キラリ、と星になった主人を、呆然と青白い顔で見つめ続ける橙。
紫は、ちょっとだけ頭を抱えたくなった。幽々子はそんな彼女の頭を優しく撫でた。
藍の叫びは、今までで一番強く、そして猛々しいものであったことは疑いようもない。
ただ一つ残念だったのは、それがメガホンに向けて放たれなかったことだけ。
先走ってしまった。橙のあまりのぷりちーな仕草に、思わず暴発してしまったのだ。
霊夢と魔理沙は何も言わず、星空に向かって静かに敬礼した。
二人には満天の星空が、何故か藍の眩い笑顔のように見えた気がした。
「―――結局、私たちも参加する羽目になった、か。藍は帰ってきたらおしおきね」
「まあまあそう言わず。橙の涙に免じて、ここは許してあげましょう?」
溜め息交じりにこぼす、紫の物騒な台詞を、幽々子は今もぐずぐず、と泣いている橙の頭を撫でながら優しく宥める。
要石フルチャージまでのノルマは、先ほどと変わらず残り30%のままである。
だが、この二人にかかればそれは造作もないことは、もはや言うまでもなかろう。
霊夢はほっとしたように肩の力を抜いて、小さな猪口をぐい、と傾けた。
満タンまで溜めたら、あとは天子に霊力が失われた問題点を直してもらい、それでこの話は終いである。
「私が一人でやるわ。幽々子はそこで橙を慰めてあげ」
自信たっぷり、足元に落ちていたメガホンを拾い上げた紫が、どうしてか突然その動きを止めた。
そして、きょろきょろと辺りを見回したかと思うと、納得したようにニヤリ、と笑い、メガホンの口を自身ではなく天に向けた。
突然の紫の奇行に、幽々子以外の面子が揃ってハテナマークを浮かべていると―――
―――何と、メガホンの指針がぐんぐんと昇って、ついにはFの位置まで達したではないか。
紫は何もしていない。ただメガホンの口を上に向けただけだ。
一体どんなマジックを使ったのか。声を出さずとも霊力を供給する術でも持っていたのだろうか。
霊夢たちの疑問がますます色濃くなっているにも関わらず、紫は嬉しそうにメガホンの口をじっと見つめていた。
「……反応するのは声じゃなくて魂の絶叫。……ふふ、天人たちにしては面白い玩具を作ったものね」
紫はそれだけ言った後、そのメガホンをポイ、と投げ捨てた。もう用はない。
「紫、あんた今何したの?」
「何もしてないわ。……自身の存在をアピールできて、彼女も本望でしょう」
「……?」
スキマ妖怪の胡散臭さはいつものことか、と霊夢は納得しきれないながらも、そう思い込むことにした。
―――兎にも角にも、これにて一件落着。
あとは協力してくれた皆に、いつもより少しだけ豪勢な料理を振舞ってやろう、と霊夢は母屋へと歩き出した。
その後を魔理沙がついて歩く。手伝ってくれるのか、と思いきや何だか魔理沙の様子が少しおかしかった。
「……なあ霊夢。何だかちょっと変な感じがしないか?」
「変って何が?」
「上手く言えないんだけど、何かこう、誰かに呼び止められてるっていうか、空気に縛られてるような」
「……どこのホラーよそれ。馬鹿なこと言ってないであんたも手伝いなさい」
「いっ、いてて! 耳を引っ張るなって! さては霊夢怖いんだな? こわいんだろー」
「うっさい! 馬鹿!」
そんな仲睦まじい二人の背後に、本当に追い縋る影があった。
その影は目に涙をためて、先ほどと同じ言葉をもう一度叫んだ。
『―――あたしゃここにいるよおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉっ!!!』
大丈夫、覚えてる人ならここにいっぱいいるから!!
きっとみんな覚えてるって!
……………………………多分ww
小説は、パワーだと思う今日この頃。
もっと勢いを!、もっとパワーを!。
注意書きはいらないと思いますよ?あくまで、二次創作なのですから。グロとかそういう系統には必要と思いますけど。ファイトですよ!!
なんという魂の叫びなのか………。
最初は普通に読んでいたのに最後でニヤっとしてしまいましたよ。
落ちも良かった。てっきり紫の心の叫び落ちかと思ったらそうきたかって感じでした。
正直スマンカッタ
何といいますか、一週間かけて丁寧に書き下ろした一作よりも、
熱い思いを胸に勢いで書いた一夜漬け作品の方が、読者方の胸を打つケースもあるのですね。
GUNモドキ様の言うとおり、小説はパワーなのだ!、と改めて勉強致しました。
本当に嬉しいです。至らない自分ですが、どうかこれからもよろしくお願いしますm(_ _)m