ご注意
※この物語に柱はいません。
※神様はそれとなく信仰してあげてください。
※お賽銭は永遠亭の兎まで。
「いやーっ、初めてだ」
マグカップ片手に、上機嫌な神奈子。
「そうね。お酒を飲もうと思っていたのに紅茶が出てきたのは、初めてだわ」
にたにた笑いながら、紅茶に大量の牛乳と少しのブランデーを投下していく諏訪子。
「……申し開きもございません」
申し訳なさそうに顔を伏せる早苗。
この神様二人が早苗に日本酒を注文したところ、珍しいことに買い置きが切れていて、早苗は代用品に数々の洋酒と紅茶を出したのである。
ちなみに買い置きが切れた原因は、つい先日にここでやった宴会である。早苗も半酔っ払い状態で酒を振る舞い続けた為に当日の消費量を把握できておらず、今日初めて空だということに気づいたという有様だったのだ。
「まさか空になっていることに今日まで気づかないとは……す、すぐにでも買ってきましょうか!」
財布を握り締めてクラウチングスタート体勢の娘を、思わず神奈子は大きめの声で呼び止める。
「え、あ、違うわよ早苗! そういう意味じゃなくてね! こら、諏訪っ子!」
「変な呼び方するな!」
「早苗を困らせること言うからよ!」
困らせること言うと変な呼び方されるらしい。
そんな二人のやりとりを見て、早苗は両頬に手を添える。なんとない動作なので、意味はない。
「そこまで手間でもないですから、遠慮されなくても」
「いいっていいって。私はこれで満足してるから」
「私は不満だ」
「だまらっしゃい子諏訪」
「親諏訪がいるみたいに言うな!」
そんなやりとりを、苦笑いの色が強い顔で見守る早苗。大人二人が愉快で姦しいので、少女の早苗が一番大人らしく映っていた。
「早苗。私は紅茶と、あとこの海の向こうのお酒で満足してるよ。紅茶なんて外でも滅多に飲まなかったし、ここに来てからは今日までとんと飲まなかった。だから私感動しちゃってさ。それにしても、まさか酒を入れて飲むものだなんて思わなかった」
カップにどばどば注がれるラム酒。多すぎて、あれだと飲んだらラムっぽさしかしないかもしれない。少なくとも香りはラム酒の香りだ。
「私はこの薄いお茶そんなに好きじゃないけど……でも、この牛乳とお酒入りは好きかな」
この二人、既に結構ほろ酔いである。それもそのはず、辺りに転がる数本じゃ利かないワインやラムの瓶などから判るように、なんだかんだで既に随分と飲んでいるのだ。紅茶にしても、既に早苗はティーサーバーで十回以上も淹れていた。よう飲む神だ。
なお、何故こんなにも洋酒が余っているのかと言えば、天狗や里の人から奉納されたりしていたものを、日本酒好きの二人の神様がほとんど飲まなかったので、探していたらごろごろと発掘されたからである。
「あー。でも、今日のお料理にも使わないといけないので、やっぱり買ってきますよ、お酒」
唇に人差し指を添え、早苗がおずおずと言う。
「別に無理しないでも、後で私が買ってきても良いし」
「いやいやいやいやいや! それはさすがに問題が! 畏怖とか! 尊厳とか! あと畏れ多いとか! 主に私が!」
両手をぶんぶんと振り回して神奈子を制止する早苗。混乱ぷりは幼かった。
そんな早苗の様子を見て、一つからかってやろうと、諏訪子がにやりと笑う。
「じゃあ、神奈子の代わりに私が買い物に行ってきてあげようか」
「あ、お願いできますか?」
けろっとした顔で返される。
「うぉい! ちょっと待て!」
「あ、少し待っていてください、メモ用意しますから」
「すとーっぷ、すとーっぷ! 待って、お願い、少し待ってください!」
全力で声を張り上げ、手を前方に最大限伸ばし、必死にペンと紙を取りに行こうとする早苗を止める。早苗はきょとんとした顔で立ち止まり、不思議そうに諏訪子を見た。
「おかしいでしょ! 神奈子と私の扱いが全然違うよ!」
「あっ……申し訳ありません」
恭しくお辞儀をする。
判れば良いのよまったく、という風に、諏訪子は腕を組んで胸を張る。けれど、早苗の態度に大きな不満が残っているらしく、まだ頬は僅かに膨れている。
そこで諏訪子は、自分への接し方について少しばかり説教をしようと思い口を開こうとした。だが諏訪子が口を開きかけた瞬間、一足早く早苗が言葉を紡いだ。
「洩矢様だと、威厳諸々とかはちょっと……」
「ちょっと待ってーーー!」
説教のために開いた口から悲鳴に近いものが漏れ出した。
きょとんした顔で早苗が顔を上げる。対して、諏訪子は半泣きになっている。そして、短く唸ると、キッとした目で早苗を睨み付ける。
「泣くよ、本格的に! 駄々こねる子供より本気で泣くよ! 周りの人が目を背けて距離を置くくらい大声で喚きちらすよ!」
堂々と豪語する言葉ではない。
一方、そんなことを言われた早苗は、にこっと微笑みを返す。
「冗談ですよ、洩矢様」
むしろ素でなかったことの方が諏訪子にはショッキングだった。
「神奈子ぉぉ! 早苗がぐれた! 神仏を敬わない現代っ娘に成り下がったよぉ!」
「あぁはいはい、良し良し。あんたも大概打たれ弱いわよね」
神奈子の母性溢れる胸に頭部を埋めて泣き喚く諏訪子。結構マジ泣きであった。
そんな諏訪子と神奈子を見ながら、少し考える顔を作って、早苗は言葉を掛けた。
「それでは、私はお酒買いに行ってきますね。八坂様、他にも何かありますか?」
「逞しくなったわね……ん、私は特にはないかな」
「……早苗の敬う心と尊ぶ心と慈しむ心が欲しい」
「在庫切れです」
「うわーん!」
早苗がしたたかになった。そういう感想しか抱けない神奈子であった。
それからばたばたと駆けて、買い物籠と財布を持ち、早苗は準備を整えた。そして靴を履くと、玄関まで見送りに来ている神奈子と諏訪子にビシッと敬礼の真似事をする。
諏訪子は神奈子の後ろから恨めしそうにジッと見つめていたが、早苗はそれをほとんど気にしていなかった。
「では行ってきます」
「あぁ。別に急がないでいいからね」
「あ、はい。判りました。では、ゆっくりと散歩でもしながら行ってきます」
どこかはしゃぎながら、早苗は軽い足取りで山を下りていった。弾むように神社を後にする後ろ姿に、まだまだ子供なのだと思わされる。
「……なんでこっちに来た方が早苗がああなるのか。逆のはず。もっと私を敬っていいはず。ねぇ、どう思う神奈子」
自らの子孫の神をも畏れぬ言動に、これは由々しき事態だと戦慄している諏訪子。というか、からかうはずの対象にからかわれたことがかなり精神に応えたらしく、今後の自分と早苗との関係がどうなるのかと怯えている諏訪子である。
「まぁ、ここは他にも神様いるし、それらにやたらめったら触れ合えるからねぇ。それが嬉しくてはしゃいでるんだと思うわよ」
確かに、ここには雛や秋姉妹と、人里の普通の人間にも馴染みの神様がいる。ここ幻想郷の神は、外の世界のように、自分にしか見えず、けれども触ることは叶わないような存在ではない。そのことが嬉しくて、人と神という敷居さえ、早苗は忘れかけているのかも知れない。
「うぅ、子供心は残酷だ」
「一昨日早苗と私のデザートを一人で全部食った奴の、どの口がそんなこというか」
両手で頬を掴み、びろーん。
「いらいいらいいらい!」
「うわ、やわらかっ」
「いっはるらー!」
低レベルなじゃれ合いがしばらくの間続いた。このような神をして、人と神と差などを語って欲しくないものだと、しみじみと霊夢なんぞは思ったりしていた。
そんないちゃいちゃとしたじゃれ合いを終えると、二人は改めて紅茶を飲む。飲むほどに自然と酒量が多くなり、カップの底に敷く程度入れられた酒のお陰で、実に酒臭い紅茶が完成していた。これでは朝の優雅なティータイムではなく、朝っぱらからの酒宴と言った方が似合う。
話題が途切れ、二人は静かに紅茶という名のアルコール飲料を煽る。
朝の風は肌寒く、アルコールの温もりは心地良い。それに、気の置けない友がすぐ近くにいる。言葉はなくても、二人の心が寒さを感じることはなかった。
やがてぽつりと、諏訪子が口を開く。
「信仰、か」
牛乳で濁った紅茶を眺めながら、ぽつり。そして、それに神奈子が言葉を続けていく。
「豊穣を司る姉妹は良いわよね。里の者たちから愛されて」
二人の脳裏に、胸を張って不敵に微笑む秋姉妹の顔が浮かぶ。
「秋限定だけどね」
脳裏の秋姉妹が金ダライを受けて沈んだ。
そんなイメージに、諏訪子はくすくすと笑い、神奈子は少し悪い気がしながらも小さく頬を綻ばせた。
「でも、彼女たちが元気なのが秋ってだけで、豊穣の恵みは四季を通してのものでしょう」
「そう。だから彼女たちへの感謝を、人は忘れない。自分の生活に関わってるからね」
楽しげに笑う。あれほど人に近い場所にいて、そして人々から愛されている神はいないと、諏訪子は思っていた。あくまで、形を持つ神で、ということになるが。
人と近いという点が大きく異なるが、神奈子の頭の中にもう一人、好かれて感謝されている神が浮かんだ。
「そういう意味では、雛もそうよねぇ」
「そうね。迂闊には近寄れないけれど、その近づけないという罪悪感もまた信仰に代わって、彼女はああも生き生きと生きていられる。いいなぁ、ほんと」
そう言ったと思うと、諏訪子は床に寝そべり、だるそうに大の字を描く。
「厄を払ってくれる神なんて、生き物からすれば有り難い限りだものね」
なにせ、無料である。
「人間は現金だから。どうせならさ、神奈子ももっと豊穣に貢献してることアピールしたら? 雨や風に名前でも書いてさ」
イメージすると、神奈子の頬は自然と引き攣った。そんな雨や風、風情も何もあったものじゃない。それに異変扱いされて、説教されるのがオチだろう。
だが、そんなことを差し引いたとしても、神奈子にそんな気はなかった。
「パス。助けるのは好きだけど、頼られ続けるのは苦手」
「感謝に始まるも、人は慣れ、畏れを失い付け上がる。そんな感じ?」
「まぁ、そうなっちゃうのよね。どうしたって、大勢だとさ」
昔なら、そうは思わなかっただろう。だが、長い歳を渡り、そしてここに流れ着き、神奈子はそう思うようになっていった。神としての信仰心よりも、八坂様として崇められるよりも、自分のままでいてたまに感謝される方が良いのではないかと。
そんな神奈子に、諏訪子は言う。
「忘れられたら、私たちはここにいられない」
「それでも、私たちはここにいる」
沈黙。
お互いに何が言いたいのか、何を聞きたいのか判らない。ただ、思うままに口を開き、相手の言葉を耳にして、安心をする。これは、そんな音の触れ合い。
だから、思わず二人は笑ってしまった。
「だからさ。馴れ馴れしいくらいで、良いと思わない?」
「ごめん。それでもやっぱり、早苗にそれはまだ嫌」
くすくす、くすくす。
二人は楽しげに笑い合っていた。
と、不意に二人は空間の歪みを感じた。思わず二人は笑みを消して、その方角へと目を向ける。すると、突如として空間に穴が開き、中から女性が飛び出してきた。
「こんばんはー……って、あら?」
神奈子と諏訪子、同時に硬直。見知らぬ、それもかなり脳天気っぽい女性が、ほとんど気配も悟らせずに現れたのだ。
諏訪子はゆっくりと起き上がりながら、飛び出してきた女性を眺める。
「しばらく来ない間に随分と変わったわね。というか……ここは別の場所っぽい。もしかして間違えちゃったのかしら」
きょろきょろと周囲を見渡し、ぶつぶつと呟いている。眼前の諏訪子と神奈子はほぼ眼中に入っていないものらしい。
「……あ、あの。あんた誰?」
眼前で首を傾げている羽の生えた女性に、恐る恐る神奈子は訊ねた。触れて良いものなのかどうか、この女性の抜けた雰囲気から察せなかったのである。
すると、ハッとしたその女性は、二人に向き直り、ぺこりと頭を下げた。
「あ、初めまして。私は魔界の神、神綺です」
胸を張って、ほころびながら、その女性、神綺は名乗りを上げた。
「「……か、神ぃ?」」
訝しげな声が重なる。
「そう、神です」
どうだ、えへん。そんな声が聞こえてきた気がした。
それを見た二人の感想は、揃って『神様らしくない』だった。だが、それは霊夢や魔理沙に言わせれば二人も一緒なので、こういうのが神らしいといえばそうなのかもしれない。
「それで、お二方は?」
自分の自己紹介は終わったとばかりに、二人についてを訊ねる。
二人はお互いに顔を見合わせてから、順に自分が神であることを告げて名乗った。
「おー。知らない神様ですね」
「それはお互い様。私ら、最近幻想郷に越してきててね。新しいんだ」
簡単に、自分らが幻想郷に来たことなどを説明する。すると神綺は、ほうほううんうんと相槌を打ち、真摯な目で話を聞いていた。威厳はあまりなかった。
その説明が終わると、今度は諏訪子が訊ねる。
「で、その魔界の……」
神様が何の用?と訊ねようとしたが、言葉は途中で途切れる。
「「……魔界って?」」
揃って疑問に思ったので、そこから訊ねることにした。すると、神綺は嬉しそうに魔界についてを語り出す。
少女(?)説明中。
「へぇ、そんな場所があるのね」
「知らなかった」
あんぐりと口を開け、自らの知らない世界に驚きを隠せない二人であった。魔界という世界にも驚いたが、どちらかと言えばそんな世界を知らなかったということの方に驚いたようである。
「で、その魔界の神様が、いったい幻想郷にどんなご用向きで?」
説明を受け、諏訪子は改めて質問を投げる。やたらフレンドリーな魔界の神に毒気を抜かれながら、溶けきっていない警戒心で神綺を睨みながら。
「そんな殺気立たないで。私は久し振りに昔馴染みに会いに来ただけ」
その変わらず軽い一言に、二人は目をぱちぱちとさせる。
「「昔馴染み?」」
神か、あるいは妖怪か。魔界の神との知り合いというような存在というと、神でなければ紫や萃香、もしかすれば永遠亭の住人や吸血鬼か。二人はそんな推測を立てた。
が、それは脆くも打ち砕かれる。
「えっと、霊夢ちゃんと、魔理沙ちゃん。あと、全然連絡くれないアリスちゃん」
目を見開く二人。どれも知っている名前の上に、それは人間(一名は元だが)だった。
神綺の言葉を理解すると同時に、あの三人が魔界とも面識があるというのが驚きの様な、なんとなく納得できる様な、そんななんとも言えない気持ちに襲われてしまった。
苦い顔を二人が浮かべていると、またしても空間が歪む。完全に毒気を抜かれていた二人が、また開いた空間をぼうっと眺めていると、中からまた新たな女性が飛び出してきた。
「ねぇ、神綺。本当にこの道で……お、神社」
新しく飛び出してきた女性は、神綺と同じように神社の天井や襖を見回す。
「でも感じが違うわね。ここ本当に博麗神社なの?」
「で、あんたも魔界の人なのかい?」
「お? おや知らない顔ね」
疲れた顔の諏訪子の言葉に、その女性もまた二人に気づく。
改めて諏訪子と神奈子が自己紹介をしようとしていた所に、さっと神綺が説明を始めた。
「魅魔ちゃん。ここ博麗神社とは別の神社なんだって。最近新しくできたみたい」
「へぇ」
名を呼ばれた魔女ルックスの女性、魅魔は、やっぱり別なのかとうなずき納得していた。
「それで、この二人がこの神社に奉られてる神様の神奈子ちゃんと諏訪子ちゃん」
いきなりちゃん付けで呼ばれ、思わず神奈子と諏訪子が目を丸くする。
「ふぅん。神社とセットで神様も増えたの」
まだ納得を続ける魅魔。
「それで、こっちは悪霊の魅魔ちゃん」
「……神綺。私は博麗神社の祟り神だと言ったはずでしょう」
「自称じゃない」
「いいのよ、別に」
ちゃん付けをされた途端に、げんなりした顔を見せた魅魔。けれど、どれだけやめろと言ってもやめない神綺に改めてやめろと言い続ける気力はないらしく、大きめの溜め息を吐くだけで、それ以上のリアクションは返さなかった。
そんな二人を見つめながら、諏訪子が頭を軽く押さえながら訊ねる。
「……それで、魔界からの神様はあと何人増えるの?」
「残念ながら打ち止めなんです」
「あ、良かった」
心底ホッとした顔を浮かべる。神奈子もそれに続け、安堵のため息を漏らした。次々湧かれたら、頭が追いつかない気がしたようである。
神奈子と諏訪子をじっと見ながら、魅魔は神奈子に手を差し出した。
「よろしく、新しい神社と、新しい神様」
「よろしく、えっと、魔界の神様」
どう挨拶すべきか頭を捻った神奈子に対し、魅魔は左手の人差し指を振ってみせる。
「残念、私はこっちの存在だ。魔界に遊びに行ってただけで」
「あ、そうなの」
意外そうな顔の神奈子。そこから質問を重ねようとしたところ、ドンと瓶を地面に強く置いた音が響く。
「そんなことどうでも良いよ。あんたたちも神様なら、お酒、好きでしょ」
諏訪子はそう言うと、ワイン瓶を握り締めて立ち上がった。
これを始まりに、四人は昼の酒を口にした。そしてそのままで、だらだらと昔の幻想郷のこと、最近の幻想郷のことを話し始めた。あっという間に馴染んでしまっていた。
涼しい風さえ熱いほど、四人は賑やかであった。
話題は尽きないまま一時間が過ぎた頃、グラスのワインを飲みきると、ゆっくりと神綺が立ち上がる。
「魅魔ちゃん。そろそろ博麗神社に行きましょう。私、早くあの子たちをビックリさせたいわ」
「あぁ、そうか。そうね。私も困り顔が見たくなってきたわ」
二人がのそりと腰を上げる。
「おや、もう行くのかい?」
少し寂しそうに神奈子が言う。と、諏訪子がぽんと手を叩いた。
「名残惜しいね。どうせなら、博麗神社まで案内してあげようか」
「お、それもいいね」
「あら、それじゃあ四人で向かいましょうか」
「ちょっと待ってて、早苗に書き置きしていくから」
こうして四人の神は、博麗神社に向けて飛んでいったのであった。
その後ろ姿はどうもにも、無邪気な子供にしか見えないのであった。
オマケ・博麗神社にて
「こんにちは」
「お邪魔しまーす」
軽い挨拶をしながら、神奈子と諏訪子は縁側から侵入した。
博麗神社では、ちょうど三人の少女が昼食を取っているところであった。
それは霊夢と、魔理沙と……
「あぁ、なんで早苗がいるの!」
「え、あ! 八坂様に、洩矢様!」
早苗がいたりする。
「なんだ、神奈子に諏訪子じゃねぇ……い、魅魔様!?」
「元気そうじゃない。久しぶり、魔理沙。と、久しぶり、霊夢」
「久しぶり」
来訪した魅魔に対して、魔理沙はビクリと全身を震わせて驚いたが、霊夢は軽く手を挙げて挨拶をしただけであった。
「ちぇ、淡泊な反応ね。もっと驚いたり歓迎したりしなさい」
「馬鹿、驚きすぎて顔が動かないのよ」
「お久しぶり、霊夢ちゃん、魔理沙ちゃん」
「神綺まで……懐かしい顔が並ぶわね」
実は本当に驚いている霊夢だったりする。
「あら、アリスちゃんはいないの?」
「アリス? あぁ、アリスは今日は来てないわ」
「あ、そうなの。少しがっかり」
人差し指を軽く咥え、残念そうな表情を作る。
「後でアリスの家まで案内してあげるわ。サンドイッチを持って行く約束もしていたし」
「あら、ほんと? 助かるわ。ありがとうね、霊夢ちゃん」
昔なじみの四人は、それなりに賑やかに、温かい雰囲気を醸し出して話し込んでいた。
一方、まさかの遭遇を話した守矢一家は少々緊張した雰囲気を放っている。
「ははぁん。何が何でもお酒を買いに行こうとしたのは、こういうことだったのね」
珍しく、にやりと笑う神奈子。やや怯える早苗。
「あ、いえ、違いますよ? 私はただ、里で霊夢さんと偶然会いまして」
「早苗。だから保護者にはちゃんと断ってから来なさいって言ってるでしょう」
「わーん、霊夢さんの意地悪ぅ!」
悪気なく割り込んだ霊夢の言葉に、全てを明かされてしまった。
「さぁなぁえぇ……!」
「やれやれ……そうだね。私もお仕置きしちゃおうかなぁ」
「わー、ごめんなさぁい!」
二人の神に挟まれ、腋と腰と足を一気にくすぐられるという極刑が下された。
この騒がしいのを横目に見て、魅魔と神綺は楽しげに笑った。
幻想郷は相も変わらずなのだな、と。
この暢気な空気こそ幻想郷ですねぇ。
一番の信仰を捧げるべき風祝にぞんざいに扱われたら実に悲しいだろうなって思います。
諏訪子さまをからかう、お使いの途中で遊びに行っちゃう早苗さんですかー。
まあ、キャラのとらえ方は人それぞれですよね。
それ以外の部分の雰囲気は好きでした。
何時のまにやら、「有難い存在」、から「有って当たり前な存在」へと変化してゆく・・・それは、とても傲慢な考えなんでしょうねぇ。
ただちょっと終わりが中途半端だったのが残念でした
ところで魅魔様と神綺様が登場したのは良いのですが
なんとなく中途半端で終わってる感じがしたのですが……。
私の気のせいかな?(汗
ではないかと。
神奈霊はじゃすてぃす。
少なくとも己にとっては。
早苗さんが中々見掛けないプチ悪い子で、諏訪子様は弄られケロちゃんで、神奈子様は相も変わらず可愛くて可愛くてしょうがない。
あと神綺ママは魅魔様の嫁。
せめて寝食を分ければ敬ってもらえると思いますよ。
貴族も軍隊も、上と下っ端は酒飲むところも分かれていますから。
それを二柱が喜ぶかはさておき。
二人脳裏に、胸を張って不敵に微笑む秋姉妹の顔が浮かぶ。
↓
二人の脳裏に、胸を張って不敵に微笑む秋姉妹の顔が浮かぶ。
この部分をもっと詳細に記述すれば信仰心が鰻登りです
ぜひ実行を!
早苗ドンマイ。