Coolier - 新生・東方創想話

毛玉増殖異変・終

2008/11/15 22:20:59
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※この作品は「毛玉増殖異変・序」の続編です。
  まずはそちらを見て頂けるとありがたいです。










魔理沙は永遠亭を目指し現在迷いの竹林の道中を歩いている。
箒で空を飛びながら行ってもいいのだが、
少し気を抜くと方向を見失い、夜になってしまう事も何度かあったので、
万が一取り返しがつかないことになったら良くないと思い歩いていく事にしたのであった。

「急がば回れ、か・・・・私には似合わないぜ」

いくら霊夢の結界といっても、
『あの毛玉の繁殖率の前にはいつ結界が割れてもおかしくない、』
という焦る気持ちもあるが、
『焦ってしまいミスすれば元も子もない、』という慎重な考えもある。
その矛盾した気持ちから生まれる怒りは当然自分を悩ませているものへと向けられる。

「くそ~毛玉の癖n (ドーーン!!)」

そんな魔理沙の怒りの言葉も爆発音でかき消され、
ついでに魔理沙も爆発に巻き込まれる。


「いててて・・・くそ、この野郎!何処のどいつだ、こんなか弱い女の子を狙うのは!?」

今の魔理沙は恐ろしい形相で、
今にもマスタースパークを撃ちだしそうな雰囲気だ。
『か弱い女の子』には到底見えない・・・

「家は悲惨な目にあう、爆発には巻き込まれる、私が何したんだって言うんだよ!!」

悲しく一人で叫ぶ涙目魔理沙の声が昼の空に響く・・・
魔理沙は恐ろしい顔をしながら、

「爆発があったのはあの辺か・・・時間はないけど、文句言ってやる!」

爆発があった方向へと恐ろしい形相で歩く、そこには
蓬莱人同士の殺し合いがあった。

「殺せない殺し合いを殺し合いというのか?」

そんなどうでもいい疑問が魔理沙の頭に一つ増える・・・
まあそんな事はどうでもいいと魔理沙は少しばかり見物する事にした。

「死ね妹紅! 新難題『金閣寺の一枚天井』!!」
「甘いわ輝夜!こんな弾幕余裕d(バキッ)」

金閣寺で動きを制限しその後一瞬で近づき、
普通に殴る輝夜・・・
もう既にこれは、弾幕ごっこという遊びの名を借りた殴り合いである。

「この!卑怯者!スペル発動した後動くとかどんなだよ!?」
「うるさい!!このスペルが余裕だと言うのなら、
拳の一つや二つ避けてみなさいよ!?」
「このっ!不死『火の鳥 -鳳翼天翔-』!!!」


・・・この二人が仲が良い様に見えるのはどうしてだろう?
しばらくして、魔理沙は自分の本来の目的を思い出す・・・

「アッーーーー!!早く永遠亭行かねえと!」

魔理沙は全速力で永遠亭へと向かって走り出す・・・





数十分後・・・・


「はあ・・はあ・・。やっと・・着いた・・・(バタッ)」

走るのは慣れていないのでツライ。
息切れを起こし永遠亭の前で倒れる魔理沙
すると、永遠亭の玄関が開く

「ん?魔理沙じゃない、わざわざ永遠亭前でお昼寝?」
「バ・・バカヤロ・・ウ、そんな風に・・見えるか・・?」

玄関から出てきたのは、永琳の一番弟子の優曇華だ。
息を切らせ言葉が途切れ途切れの魔理沙に返答する。

「見えるわけないでしょう、それで永遠亭に何のよう?」

この野郎と魔理沙は思う。しかしここで邪険に振舞えばアレなのでその気持ちは、
自分の胸にしまう。

「(くそ・・・!)ああ、永琳に会わしてくれないか?」
「師匠に?また盗人とかするんじゃないでしょうね?」
「ん?私の様な善良な魔法使いがそんな事するわけないだろ。」

自覚がないのか、ふざけているのかよく分からないと、優曇華が思う

「何時の自分を見てそんなこと言えるのよ?全く・・・まあいいわついて来なさい。」
「ああ、邪魔するぜ!」

なんだかんだで、永琳に会わしてくれるようで安心した。


そして、永遠亭の中に入り、今は長い長い廊下の途中を歩いている。
沈黙に慣れない魔理沙は優曇華に向かって話しかける。

「なあ、おまえの師匠てさ、姫の事どんな扱いなのか?」
「何故そんな事を聞くの?」
「いや、さっき竹林でさ、輝夜と妹紅が殺し合いしているの見たんだけどな、こんな、昼間から自分の姫様を外に出して殺し合いするのを許すのは、どうかと思うのだが。」

「・・・まあ、日常茶飯事だからね。流石の師匠も最初は妹紅が来るたびに、部下のウサギたちを 連れ出して全力で撃退してたんだけどね、何度も来るたびに度々ウサギたちに怪我を負わすのは、面倒だと思ったのよ、きっと、挙句の果てには、妹紅が来たら、
『姫を外に出しなさい。』って言う始末だからね。」

「・・・それはまた、酷いなあ。」
「でも、姫様もニコニコしながら喧嘩しているからね。悪いとは思って無いじゃないの?」
「通りで、仲良く見えるもんだな。」

「はい、着いたわよ。あんまり騒がないようにね。」
「ああ着いたのか、サンキューうどん。」
「うどん言うな。」

そんな、会話が終わった後、いよいよ本来の目的である、永琳の部屋へ着く。
ドアを開けると永琳の部屋は、いかにも実験室みたいな部屋である。

「あら、いらっしゃい霧雨 魔理沙。」
「ああ、邪魔してるぜ。」
「で、何しに来たの?泥棒?」
「なんで、どいつもこいつも私が訪問したら一言目には、『泥棒?』類の事を言うんだよ」
「普段の行いを見なさい。で、本当の用件は?」

見事に的を射ているために魔理沙は舌打ちするしかない。

「チッ、ああ、本当の用件は、永琳おまえに手伝ってもらいたい事がある。」
「それは何かしら?」
「ああ、実はな・・・・」



少女説明中・・・・・・



「なるほど毛玉がねぇ、それはなかなか興味があるわ。」
「そうだろ、そうだろ、だから手伝ってくれないか?」
「ええ、それは構わないわよ、」
「本当か!?」

「・・・でも、分裂を止めるのならまず分裂の原因を知らないといけないわ。
でも、いくら私でも、サンプルがないとどうしようもないわよ?」

魔理沙は少しばかり思考する

「・・・じゃあ、ここに毛玉を持ってくればいいんだな?」
「ええ、でも力任せにやっても増えるだけだから、この麻酔を使いなさい。」

そう言って手渡されたのが注射器であった。
しかし魔理沙は不安だった。

「こんなので、あの不思議毛玉に効果あるのか?」

「失礼ね、そこらへんの妖怪から蓬莱人、天人にも効く代物よ。タダであげるだけでもありがたいと思いなさい」

さすが、天才・・・
魔理沙は関心させられるばかりである。
しかし、コレをタダとは・・・永琳も懐が深いと思う

「サンキュー永琳、ありがたく頂戴するぜ!」

魔理沙は礼を言い、永琳の部屋を後にしようとする、 
が、しかし
目の前に、常識を無視したスキマが開く。

そこから紫、ではなく霊夢が出てくる。

「ふー結構キツイわね・・・あら魔理沙じゃない、永琳は説得できた?」
「案外簡単に引き受けてくれたぜ。後コレもくれたぞ。」
「何コレ・・・注射器?何に使うのよ?」
「この異変の脅威を眠らせるためだぜ。」
「ナルホド・・・」

霊夢も納得したところで、魔理沙も霊夢に質問する。

「霊夢、そのスキマの保有者は何処へいるんだ?」
「ああ、確かこの辺に・・・」

霊夢は物を探るような手つきでスキマの中を探す。
そして、次に霊夢が手を抜くと・・・


そのスキマの保有者、紫が出てきた。そして一言

「霊夢~寝ているときにいきなり何よ?夢想封印をぶつけてきた上でいきなり縛るなんて。」
「うるせい黙れ!幻想郷の管理者がこの一大事異変の時になに寝てんのよ!!」

霊夢の怒声が紫の声をさえぎる。

「なによ霊夢、いつもの様にスペルカードを使って解決しなさいよ。」
「そんなルールが通じる相手じゃないってば。」
「ふーん、この幻想郷のルールを破る輩が居るとは・・・スキマに封印しましょうか?」
「そうして貰えれば大いに助かるけどね。今の状態でスキマに落としきれるかどうかすら怪しいわ」
「今の状態?まあそれはともかく霊夢にそう言わせるような相手なら油断ができないわね。」

紫はそう言いつつも、まだ楽観視しているような顔だった。
ならば、直接見せたほうが早いか・・・

「紫、魔法の森の近くにスキマをだして。直接見せたほうが早いから・・・」
「魔法の森の近くね、はいはい分かりましたよ霊夢」

心底めんどくさそうな顔をしながら言う紫に魔理沙と霊夢は
(その余裕が何時まで続くのか)と思う二人であった。

そして魔法の森へと続くスキマが、二人の目の前に開く。
紫の能力を利用すれば、移動にそんなに時間がかからないだろう。
一刻を争う事態なのでこの能力は貴重だ。

魔法の森上空に禍々しいスキマが開き、そこから霊夢が顔をだす。

「相変わらずキツイわ・・・・ね・・・・・・・・・・」

あまりの状況に霊夢の思考は10秒ほど止まる。
遅れて魔理沙も顔をだす。反応は当然、

「おい、霊夢どうしたん・・・・・・・・・・・」

思考が止まる。そして遅れて縄が解かれた紫も身を乗りだす。

「どうしたのよ二人とも、心配しなくてもスキマ・・・・に・・・・・・・・」

当然言葉を失う。そして紫はすぐに霊夢に質問する。

「霊・・夢?ここって確か魔法の森よね?」
「・・・ええ、信じたくないけどここは魔法の森・・・のはず・・・」

三人の目の前には、森林が広がっている予定だったが、
自分たちの目には、森林のかけらも見えない、白しか見えない。
当然その白の正体は超大量の巨大毛玉である。
何とか魔法の森の面影があるのは、一面白の中から、ひょっこりと顔をだす魔理沙の家である。
その周りでは、毛玉の軍団がウジャウジャと動いている。
ずっと見ていると気持ち悪くなりそうだ。

「霊夢~本当に私の家は大丈夫なのか?」

不安な声で魔理沙は霊夢に問う。

「これから紫と結界を強化するけど、この増え方じゃあ、今日一日持てばいいほうね。」
「そんな~この異変を今日中に解決しないといけないのか・・・」
「そういうことよ、じゃあ魔理沙毛玉サンプル回収頼むわよ。」
「・・・えっ!?」

突然の霊夢の言葉に魔理沙は驚きの声を上げる。

「ちょ、ちょっと待て!なんで私に確定みたいな言い方してるんだよ!?」

魔理沙の抗議に紫がスラスラと残酷に答える。

「何でって、当然でしょう。私と霊夢は結界の強化をしないといけないからね。」

うぐぐ・・・と唸る魔理沙、そして最後の抵抗を見せる。

「で、でもあんな中に入ったら私はどうなっちまうんだよ!?」
「あきらめなさい、幻想郷のためよ。あなたは幻想郷を見捨てるの?」

紫のとどめの言葉が入る。そして魔理沙は、泣く泣く決意する。

「ああ、分かったよ!幻想郷と私の家のために行ってきてやるよ!」
「頼むわよ魔理沙、結界を外すわけにはいかないから紫のスキマから魔法の森内部へ入っていってね。」

紫がスキマをゆっくりと開く。
そしてスキマを通る瞬間、魔理沙は思った。
(ああ、今日は厄日だ・・・)
しかしここまで来るともう引き返せない、走馬灯も見えてきた。

「毛玉を一匹だけ、一匹だけ麻酔を打って持ってくればいいんだろ。大丈夫だすぐに終わる落ち着け霧雨魔理沙・・・」

ついに、魔法の森内部へと着く。魔理沙の手には注射器そして今は箒で浮いている。
魔法使いに注射器を持たせると結構シュールな格好である。

「・・・どこに足を入れればいいんだよ・・・・・・」

結界内の魔法の森には、毛玉で埋め尽くされ地面など一ミリも見えない。
魔理沙はどうすれば良いかしばらく思考する。


「・・・・・・しゃあない、最終手段だがやるしかないか・・・」

そういう魔理沙の手には、左手に注射器、そして右手に八卦炉を持っている。
そして、スペルを読む。

「魔力全開ーー!!恋符『マスタースパーク』!!!!」
(ドーーーーーーーーーーン!!!!!!!!)

言葉の通り全力でマスタースパークを放つ。結界内で、大爆発がおこり毛玉が四散する。
そしてすぐに地上に降り、適当ななるべく小さい毛玉を探す。

「さてどの毛玉にするかな。・・・あの毛玉がちょうど良いな。」

そして針を刺す。
ここまでは魔理沙の計画通り、しかし魔理沙は大事な事を忘れていた・・・
そう、毛玉は復活する時に、えぐい色の泡を出す。

「しまったーー忘れてた!!!!!」

きずいたときにはもう遅い。しかしここで長く立ち止まっていると他の毛玉も復活してしまう。
もう選択肢は無い・・・泡を我慢しながら戻るしかないのである。

「くそっ!やっぱり今日は厄日だ!・・・ってしかもなんかこの毛玉の泡気持ち悪!!」

その泡の感触というと、ドロドロしてそれでいてしつこい粘り気を持っている。
それにエグイ色であるのだから、誰であろうと身を引きたくなる。

「うわーーん!!早くここから出してくれーーーー!!」

泣きながら、自分が出てきたスキマへと急ぐ・・・



そしてこちらは結界の外にいる霊夢と紫・・・

二人は今、楽しく談笑している。中で起こっている魔理沙の苦労は知るはずも無い・・・
霊夢が言う。

「しかし、あんたも酷いわよね。私たち二人なら、30秒もあれば、この広さの結界も張り終わるのにね。」
「別にいいじゃないメンドクサイし。」

酷い話である。霊夢もよく見ると満更でもない顔をしている。

そして、その談笑している二人の後ろには、巨大毛玉地獄から帰還した魔理沙が立っている。
魔理沙の目は涙が浮かんでいる。

「グスッ・・・今帰ったぜ・・・・」
「あらお帰りなさい・・・って気持ち悪!」

霊夢のとどめの一言が入る。魔理沙の今の服は、毛玉のエグイ、それでいてドロドロしている泡が、
自分の服に染み付いたようで、今の魔理沙の服は、はっきり言ってエグイとしか言えない。
魔理沙は相当ショックを受けているようで・・・

「うわーーーーん!!霊夢までそんなこと言うなよ!!」

涙目通り越して、大泣きである。しかし仕事はキッチリしてきたようで、手には結構小さくなった毛玉を抱いている。霊夢もこれには安心した。

「しょうがないじゃないエグイ物はエグイわよ。でもしっかり仕事はしてきたようで安心したわ。」
「グスッ・・・当然だぜ・・・」
「じゃあ早く永琳の所へ持って行きましょう。」

そういうと紫は永琳の部屋へつながるスキマを開く。
今思うと本当にありがたい能力だと今は思う。




永琳の部屋にスキマが開く・・・

そのスキマから霊夢を出し一声

「永琳ーー!!毛玉を持ってきたわよ~~!」
「うわっ!ビックリするわね・・・いきなり大声出さないでよ・・・」

ほう天才もビックリするのか、
まあそんな事はどうでもいい、まずは毛玉だ・・・

「じゃあ永琳さっそくだけど毛玉をみてよ。」
「ええ、分かってるわ・・・でも、その後ろにいるエグイ色の服着てるいるのはだれ?」

エグイ服とは、毛玉の泡がかかって変色した魔理沙の服である。
魔理沙はその言葉にまたもや涙する・・・

「くそ・・・グスッ・・・・どいつもこいつも私の苦労を知らないで・・・グスッ」
「まあでも、あなたの功績は十分認めるに値するものよ?」
「当然だぜ・・・・」

慰め方にデジャヴを覚える魔理沙・・・

そして毛玉を永琳に渡す。
今、永琳は持ってきた毛玉を使いいろいろな実験をしている。
時刻は酉の刻、日はもう沈んでいる。
3人は部屋を出て廊下にたたずんでいる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


しばらくすると永琳が出てきた。待つ事1時間時刻は戌の刻を回っている。
永琳が言葉を発する。

「出来たわよ、死滅させる薬はできなかったけど、分裂を止める薬は出来たわ・・・」

永琳が持っているのは、500mlほどの缶であった。

「ほ、本当か!それにしても薬まで作るとはな・・・よく1時間くらいで完成できたな・・・」
「まあ、分裂の理由は驚くほど単純だったからね・・・」

しかしそうだとしても、1時間ほどで完成させるとは・・・さすが天才か・・・
さらに永琳が付け加える。

「そうそう、その薬は空からばら撒けば、空気に四散するようにして広範囲にも効く様にしてるからね。」

永琳が神に見えた瞬間であった。
霊夢が永琳に礼を言う。

「ありがとう永琳。分裂の理由は、後で教えてね。」
「じゃあ行くわよ二人とも。」

紫が魔法の森に続くスキマを開いて待っている。
それにしても最後まで紫の能力には世話になった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そして魔法の森の結界の外へ出る。
また一段と毛玉が増えていたが、今はあせりを感じない。

「ついにこの、最悪な異変が終わるのか・・・1日だけだったが長かったぜ・・・」

それもそうであろう、この異変で一番大変だったのは他ならぬ魔理沙なのだから。
自分の服はエグイ色に染まる。涙を見せてしまうなど、散々だった。

「さあ、早く終わらせましょう・・・紫頼むわよ。」
「分かっているわよ、霊夢。」

紫がそう言うとゆっくりと魔法の森内部へと続くスキマが開く。

「よし、思いっきり暴れてやるぜ!」
「私の睡眠を妨害した罪は思いわよ。」
「はあ・・・はやく帰って眠りたいわ・・・」

3人は各々が思っている言葉を発した後、
スキマへと突っ込む。

そして顔を出すと、目の前には結界の外から見るよりも、一段と多い毛玉がいた。
今見ても魔法の森の面影など全く無い、白い毛の海である。
しかし動揺はしない、あとはこの薬をばら撒けば脅威など無いのだから。

「よし、とりあえず私は薬を撒いてくるぜ!」
「ええ、頼むわ・・・」

魔理沙はそう言うと、箒と薬を持ち、上空へと上昇する。

「よっしゃ!行くぜ!!」

声を張り上げ魔理沙は箒で飛びながら、薬を上空へとばら撒く。
ばら撒かれた薬は空気に四散し、空気を伝い魔法の森全体へと伝わる。

「よし!コレで良いだろう。霊夢のところへ戻るか!」

通ってきた道を魔理沙は戻っていく。

「霊夢ー!薬、撒いてきたぜ!」
「あらそう、ご苦労様。それにしても目の前がもう暗くてほとんど何も見えないわ。」

もうとっくの昔に太陽は沈んでいるのであるからそれも当然。

「光なんか無くても、分裂が無い毛玉なら苦労なんてしないぜ!」
「・・・まあ、それもそうね。」
「二人ともそろそろ薬が毛玉に効いてきた頃じゃないかしら?」

魔理沙が薬を撒いてから5分は経過しようとしている時である。

「よし薬が効いてきたならコッチの物だぜ!」
「行くわよ二人とも・・・」

霊夢の言葉を合図に3人はスペルカードを構える。
3人が自分のスペルの中で得意なものを詠唱する。

「魔砲『ファイナルマスタースパーク』!!!!コレで本当に最後だ!毛玉!!」
「神霊『夢想封印 瞬』!!!!これで、この異変は終わりよ!!」
「紫奥義『弾幕結界』!!!!私の眠りを脅かした罪を受けるのよ!!」

夜、暗闇の魔法の森に美しい弾幕が放たれる。
幻想郷の実力者でもある3人の放つ弾幕は美しくもあるが、
その弾幕に、隙間なんてものは1ドットも存在しない。
スペルが詠唱されてからしばらくの間は、魔法の森は明るさに包まれた。
(ドッゴッッーーーーーーーン!!!!!!!!!!)

そして、その弾幕が毛玉に到達した瞬間、明るさはフッと消え大爆発が起こる。
煙で魔法の森が包まれる。そして煙が晴れたとき毛玉は一匹も存在していない。

「・・・や、やったのか・・・?」
「ええ、コレでこの異変は終わりよ。」

霊夢がそういうと、魔理沙に安堵感が訪れる。

「はは・・・ついに終わったのか・・・ほんとに長かったぜ・・・」
「ええ、本当に長かったわ・・・」

この疲労感がなんともいえない。

「そうそう魔理沙、私と紫は永琳に毛玉が分裂した理由聞きに行くけどあんたも来る?」
「いや・・・私はこの服を洗濯したいからパスだ。」

こんな服を何時間も着ていたなんて・・・今思えば嫌過ぎる過去だ。
くそ・・・ネトネトする・・・

「まあ、明日にでも、教えてくれればいいから、行ってこいよ。」
「あらそう、それじゃあ、じゃあね魔理沙。」
「いや、ちょっと待て霊夢!」

突然大声を出し霊夢を引き止める魔理沙、
霊夢は驚いた表情で、

「な、何よビックリするじゃない・・・」
「ああすまん、でも一応結界は外してくれないか?」

それもそうだった、これでは家に入れない。

「あ~ごめん今すぐ外すから・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「はい外したわよ。」
「サンキュー霊夢、さて洗濯、洗濯~♪」

今の魔理沙は心底幸せそうだ・・・

「じゃあ紫行きましょう・・・」
「はいはい、スキマよ~永遠亭まで導いて~」

訳の分からない呪文紛いのものを唱えた後、スキマが開く。

「じゃあ行きましょう霊夢。」

まあ私も眠いし、早いとこ聞いてとっとと終わらせよう・・・
そう霊夢は思いスキマを通る。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

スキマから顔を出すと、目の前に永琳の部屋が広がっていた

「来たわね、待っていたわ・・・私の薬は役に立ったかしら?」
「おかげさまで、貴方の薬があったからこんなに早く異変を解決できたのだから。」

永琳は「それは良かった」と安堵の表情を浮かべている。

「それは、そうと魔理沙は?」
「魔理沙なら自分の家にいるけど・・・それがどうかした?」
「・・・・・・・・・・」

珍しく永琳が長く考え込んでいる。

「まあ他人事だしいいか・・・」
「ん?なによ永琳なにをそんなに考えているのよ?」
「毛玉が分裂した理由の事よ・・・」

何故それが考え込む理由になるのだろう?
まあいい、理由さえ聞けば分かるのだから・・・

「永琳とりあえずその理由を話してよ。」
「ええ実はね、毛玉が分裂した理由は・・・・・・・・」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

魔理沙は今、洗濯し終えた服を見てとても満足そうな顔をしている。

「やっぱ服は綺麗なのが一番だぜ。」

そしてその服を着ていつもの癖で机に座る。
ふと机を見るとビンが転がっていた。

「なんだこのビンは・・・・?」

魔理沙はなんとなくそのビンについて思い出してみる。

「たしか・・・」

このビンは、たしか『魔力を増強する薬』を作ろうとしていたら、何を誤ったか、
『魔力で体を増強する薬』にしてしまったものだ。
確か一昨日にその薬を毛玉に使って実験していたら、毛玉の成長を促進する物質を使っていたのだろうか、急に大きくなり始めたので、怖くなり毛玉を分解して外に放り出したっけ・・・

「ん?その時分解した毛玉ってどうなったんだろ?あれは魔力さえあればいくらでも復活するからな。」

仮定だが、魔法の森には、森自体にも魔力が漂っている、その中に毛玉を放り出したのだから、
周りの魔力を吸収して復活したのだはないだろうか?
今まで実験をしていった結果から言えば、過剰な魔力を与えれば、体の増強に自分がついていけなくなり、毛玉は数が増えていった。つまりその毛玉は、
『魔法の森の魔力を吸収して体が異常に大きくなった上で、数が増えていった』と考えるべきだろう。

「・・・体が大きい分裂する毛玉?まるであの異変の毛玉のような・・・」

まさか・・・いやまさかでは無い、それで十中八九間違いないだろう。

「という事は、今回の異変の原因は私・・・」

たしか霊夢は、永琳に毛玉分裂の原因を聞いてくるといった。
・・・・・まずい!あの天才永琳の事だ毛玉分裂の原因が、
『魔力のせいで分裂した』という事実さえ分かれば、犯人を特定してしまうだろう・・・

「これは、今すぐ此処から逃げるべきだな・・・」

しかしその判断を下すのは遅すぎた。
魔理沙の部屋に見慣れたスキマが開く。
そこから霊夢が顔をだす。

「こんにちわ~魔理沙~そうそう、この異変の原因聞いてきたのだけど知りたい?」

霊夢の顔は、言葉の軽さとは違って笑っていない。そして、その後ろでは、
家の玄関の鍵を閉めてる紫の姿がある。
・・・間違いなくここで制裁を下すらしい。

「わ、私は何にもやっていないぞ!!」
「あら~魔理沙私はまだ何も言ってないわよ?ねえ魔・理・沙ァァ!!」

急に声色が変わる。ふと手元をみると箒が落ちていた・・・
この状況、もう選択肢は無い、当然

「くそ!逃げるぜ!!(パリーーン)」

箒にまたがり家の窓を割り、外へと逃げる・・・

「うふふ、逃がさないわよ魔理沙!!」

霊夢、紫も外へ出て魔理沙を追いかける。
さしもの魔理沙も幻想郷の大結界管理者でもある実力者二人からは逃げ切れない。

「さあ、魔理沙制裁の時間よ?」

恐ろしい、今の魔理沙はその思いしかない。

「くらえっ!そして反省しなさい魔理沙、『夢想転生』!!」
「罪を受けよ、『深弾幕結界 -夢幻泡影-』!!」

1ドットもスキマも無い弾幕が魔理沙を襲う、
弾幕が魔理沙を包み込む。

「うわーーーーーーーーーー!!たすけt(どかーーーン!!!)」

魔理沙は抵抗むなしく墜落した。
落ちる姿はとても悲しい。

「制・裁・完・了!!」
「南無~~」

これで完全にこの異変は解決された・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


幻想郷に何時もの平和がやってきた。

しかし普通の魔法使いだけは、何時もの平和ではない。

様々なショックなどによる副作用で、

しばらく毛玉恐怖症に陥る事になった魔理沙であった・・・
初投稿をしてまず思ったのが、文章を書いて物語を作るのはなかなか難しいと感じました。

その分、文章を書く楽しさというものも分かってきました。

まだまだ未熟者ですがこんな作品にも、

アドバイス+感想をもらえれば幸いです。
not瀟洒
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コメント



0.280簡易評価
1.40名前が無い程度の能力削除
ちょっと安易なネタが多すぎるかと。
5.60煉獄削除
まずはお疲れ様。
文章の構成はそう悪いものではなかったように思えます。
ただ、物事を運ぶのが早すぎたような感じがしました。
話は悪くなかったと思いますけども……。
次回の作品で更に成長することを楽しみにしています。
6.50もみじ饅頭削除
誤字の報告をば。

>魔法の森の魔力を吸収して体が以上に大きくなった上で
以上→異常、ではないでしょうか。

シーンごとの繋ぎがあっさりし過ぎていて展開が早く感じられました。
文章自体はさほど悪くはないので、あとは演出等工夫すると栄えると思います。
今後に期待。
7.無評価雑賀衆削除
もう少し内容を深くして欲しかったです。次回作に期待!
8.60雑賀衆削除
↑点数付け忘れました、すみません。
15.無評価not瀟洒削除
>>1レス目の方
アドバイスどうもありがとうございます!
今回の作品で1番反省するべきところはそこですね・・・
やはり思いついた言葉を並べて物語にしようとしたのがいけませんでした・・・

>>煉獄様
最初の作品に引き続き感想を書いてくださりありがとうございます!
「物事を運ぶのが早すぎた」確かに見直すと会話と会話の間の文が短すぎますね・・・
もう少し深みのある作品にできるよう、練習していきたいと思います。
17.無評価not瀟洒削除
>>もみじ饅頭様
誤字報告並びに感想ありがとうございます!
煉獄様にも言われたように、展開の早さ、会話と会話の間の文など短すぎますね、、、
精進します・・・・

>>雑賀衆様
アドバイスどうもありがとうございます!
「もう少し内容を深くしてほしかった」これまでに感想を頂いた方ののアドバイスのように、
文章が浅はかでした・・・つぎはもっと努力していきます・・・