チルノ「画面の前の皆!いよいよあたいの出番がやってきたわ!この幻想郷文明向上大作戦の#7から#⑨まで
このあたいで埋め尽くして―――ちょっと誰あんたたちどこから入ってきてやめていやー!!」
・・・・・・・・
レティ「何て事。チルノが何者かに攫われてしまったわ。今回が最終回なのに、どうしましょう。
・・・あ、後小鳩って言うオリキャラが出てくるけど、知らない人は#6を確認した方がいいわ」
#7「最:最終回だから、今回タイトルを、凝らせてみたけれど、
終:5秒で挫折した。
回:でもそんなの関係ねぇ!そんなの関係ねぇ!そんなのかん慧音ぇ!はい、オッパッピー!」
博麗神社。今日から火を入れた堀炬燵の中で、霊夢、魔理沙、萃香の3人によるまったりとした時間が過ぎていく。
炬燵の上には山積みの蜜柑と温泉饅頭。霊夢が入れた温かいほうじ茶も人数分用意されている。
「こんな寒い日には、温かい炬燵に入って、温かいお茶を飲むに限るぜ」
「極楽極楽~」
「貴女達も呑気ね・・・ま、私も同じなんだけど」
比較的早いペースで積まれた蜜柑が消えていく。温泉饅頭には誰も手をつけない。
●<はいはい。どうせ俺なんて蜜柑のバーター役ですよーだ。
そんな温泉饅頭の愚痴はさておき。
コトンッ
「おっ。こんな寒い日にお賽銭を入れる奴がいるぜ。明日は大雪だな」
「そんな失礼な事を言わないの。わざわざお賽銭を入れに来たのだから、ちょっと挨拶にでも行ってくるわ」
魔理沙の冗談をスルーしながら、賽銭を入れてくれた者への挨拶へと向かう霊夢。
こんな寒い日にわざわざ賽銭を入れてくれたのだ。茶の一杯でも振舞ってあげてもいいだろう。
何せ神社に来る人妖の殆どが、賽銭箱をスルーしているのだから。
・・・そんな霊夢の視界に入ったのは、大粒の涙を流し、必死に祈り続ける大妖精の姿だった。
* * * * *
寒さに震える大妖精を家に上がらせ、ほうじ茶を差し出す霊夢。
普段とは明らかに違う様子に、お気楽モードだった萃香も真剣になる。
「で、一体どうしたの?」
「・・・チルノちゃんが攫われたんです。私の目の前で、一瞬で・・・」
「攫われた?」
それは何とも衝撃的な内容だった。あのチルノが、何者かの手によって攫われる。
大妖精は、さらに詳しい状況を霊夢達に話してくれた。
「・・・あれは今日の朝でした。私はチルノちゃんと一緒に魔法の森に向かっていた途中、突然周りが眩しくなって・・・」
「チルノがいなくなっていた訳ね。でも、それだとまだ攫われたと断定出来ないわ。
何か決定的な証拠はないの?」
「・・・」
証拠がないのか、黙り込んでしまう大妖精。と、今度は魔理沙が話し始めた。
「霊夢。『妖精狩り』って知ってるか?」
「妖精狩り?聞いた事がないわね」
「この前香霖から聞かされたんだ。そこいらの妖精を捕まえて売りさばき、
荒稼ぎをしてるならず者がいるらしいってな。恥知らずな奴もいたもんだ。
・・・奴らの手口の中に、周囲を急激に光らせる道具を使う奴らがいると香霖は言ってた。
もしかすると、チルノもその方法で捕まったかもしれないな」
魔理沙の話で明らかになった『妖精狩り』。そこらじゅうで飛び回る捕まえては、
何処かに高額で売り払い、荒稼ぎを繰り返している集団。
何故魔理沙がその手の情報に詳しいのかは置いといて、チルノもその集団に捕まった可能性が高い。
「それで、霊夢はどうするんだ?」
「決まってるじゃない。その集団を懲らしめて、チルノや他の妖精達を解放させる。
野放しにしてやる理由もないし、何よりお賽銭をいれてくれたお礼よ」
「ありがとうございます!」
霊夢の言葉に、深く感謝する大妖精。紫が企画した活動写真以来の大仕事だ。
今回は魔理沙も連れて行く。萃香はお留守番兼、大妖精の護衛を担当する。
外は寒いが、今はそんな事を言っている場合ではない。
「霊夢さーん!!」
外に出た瞬間、上空から声が聞こえた。鴉天狗の鞍馬小鳩だ。
華麗に着陸体勢に入り、派手に墜落する。相変わらず学習しない小鳩である。
「・・・着地時にそんなスピードを出して、自殺願望でもあるの?」
「そんな訳ありませんよ!これでも小鳩なりに頑張った結果です!」
腹打ちしたというのに、平気で立ち上がって反論する小鳩。
相変わらず丈夫な身体をしているのね。そう思いながら、霊夢は小鳩に話しかける。
「で、今日は何の用かしら?またツアーの案内?」
「違います!今日は幻想郷を揺るがす大事件の調査です!」
「ほう。天狗の間でも妖精狩りが話題になっていたのか」
「はい!幻想郷の妖精達が安心して暮らせるように、私達も事件解決へ乗り出したのですよ!」
元気な声で答える小鳩。私達という事は、他の鴉天狗達も動き始めているのか。
しかし情報が明るみになればなるほど、犯人は姿をくらます危険性だってある。
「私達も今行動しようとしてた所だ。小鳩、一緒に付いて来てくれるか?」
「はい!私の力が役立つならば、たとえ火の中水の中、どこまでもお供致します!」
小鳩が仲間に加わった!(♪:ファンファーレ)
・・・というわけで、霊夢達は改めて出発する。空はどんよりと雲に覆われ、もうすぐ雪が降り始めようとしていた。
* * * * *
博麗神社を離れ、まず訪れたのは人里の酒場。ここは信憑性は不明だが情報量が多く、
鴉天狗や諜報員がよく訪れる。ここで情報を得る手段は複数あるが、
小鳩はよく壁に掛けられたメモ帳を見たり、馴染みの人間や妖怪から情報を得るという。
「こんな場所で有力な情報なんてあるのかしら」
「こういうアングラな場所だからこそ、世に出回らない貴重な情報があるのですよ!
それにここの情報は結構当たってるんです!ねぇマスター!」
小鳩は店のマスターに声をかける。いかつい顔に不精髭、スキンヘッド、黒いサングラスが似合う人間の男性。
が、何故かその姿を見て、笑いを堪えるかのように悶える魔理沙。原因はマスターのエプロンにあった。
(こ、小鳩!あのおっさん、何でウサギの絵が描いてあるピンクのエプロン着てるんだよ!?)
(マスターの趣味ですよ!笑っては失礼です!)
(これを笑わない奴がいたら見てみたいぜ!)
そんな二人のやり取りはさておき。霊夢はマスターに妖精狩りについての情報を求める。
「マスター。私達は妖精狩りについての情報を求めているの」
「・・・5人目だな」
「え?」
「今日でその質問を投げかけたのは、お前さんを含めて5人目だ。
だが、その情報は俺達も躍起になって探している。今手元に有力な情報はない」
どうやら、このマスターも妖精狩りについての情報を探していたらしい。
それで有力な情報がないと分かった以上、ここにいても仕方がないだろう。
マスターに別れを告げ、酒場を出ようとする霊夢。
ドンッ!
霊夢は突然酒場に入ってきた獣人とぶつかり、その場で尻餅をついてしまった。
「あ、ごめん!ちょっと噂話を聞いてさ、マスターに伝えにきたんだ!」
「噂か・・・。しかし急だな。まるで何者かに追われているようだが」
「目の前で妖精狩りの現場を見たんだよ!それで追われてるんだ!」
霊夢への謝罪を軽く済ませ、カウンター席に座る若い獣人。
彼が口にしたのは、まさに霊夢達が求めていた妖精狩りの噂話だった。
息を切らしながら、獣人は妖精狩りの一部始終を話し始める。
「あれは霧の湖での事だ。俺が釣りをしようと準備をしていたら、4人組の人間と妖怪が現れた。
挙動不審だからおかしいなと思ってたら、手に持っていた丸い物体を妖精達に向けて投げたんだ。
そしたら辺りは一面眩しくなって、気がついたら妖精はいなくなっていた!一瞬でだぞ!
俺は怖くなって逃げたんだが、後ろから『逃がすな!』って声が聞こえたんだ。
きっと妖精狩りの現場を見たから、あいつらは俺を始末するつもりだったんだよ!」
長い台詞を、機関銃のようにしゃべくり倒す獣人。
マスターはその話を聞き、その獣人にこう言った。
「・・・奇遇だな。丁度その噂を求めていた人間がいる。その人間に頼めば、お前さんは助かる」
「本当か!?教えてくれ!その人物を!」
「教えなくとも、もう出会っているぞ。・・・覚えてないのか?」
獣人が何かを思い出したかのように、急いで後ろを振り向く。そこには、不機嫌な表情の霊夢がいた。
「お願いだ!こんな事で人生を終わらせたくない!」
「私達の目的は妖精の救出と妖精狩りの主犯を捕らえる事。貴方を護衛する必要はないわ」
「霊夢さん!折角手がかりを持っている人がいるんですから、助けてあげましょうよ!」
さっきの出来事がよほど頭に来ていたのか、冷たい言葉で突き放す霊夢。
が、獣人の懇願と小鳩の説得が止まらないので、数分後に霊夢の心は折れた。
「・・・分かったわよ!とりあえず貴方の身の安全は保証してあげる」
「本当か!?貴女様は命の恩人だ!」
「よかったです!流石は霊夢さんですね!」
獣人が仲間に加わった!(♪:ファンファーレ)
重要な証言を持つ獣人を引き連れ、霊夢達は酒場を後にした。
・・・外に出た直後、魔理沙が笑い袋を連打したかのように大爆笑していたが、霊夢にはその理由が分からなかった。
* * * * *
次に向かったのは、獣人が妖精狩りの一部始終を目撃した霧の湖。
事件現場にこそ重要な証拠がある、という小鳩の言葉を信じてやって来たのだ。
いつもなら飛び回っているはずの妖精がいないという事は、妖精達も警戒しているのだろう。
「静かね。いつもなら妖精が飛び出して弾幕をぶつけてくるのに」
「散歩にはちょうどいいのにな」
湖の畔を歩く4人。霧は普段よりも一段と濃く、いつもならはっきりと見える紅魔館も、今日はぼんやりとしか見えない。
こんなに霧が濃いと、妖精狩りが行われる可能性は高い。もしもその現場に遭遇できれば、一気に事件解決へと繋がる。
その為、4人は視界の悪い中を慎重に歩く。時折動く影があれば歩みを止め、その影を凝視する。根気のいる作業だった。
・・・霧の中を歩き続けて1時間半。霊夢の視界に、モゾモゾと動く袋を背負う2人組の人間が見えた。
一人は背の高く年齢も若い男。もう一人は背の低い中年の女性。二人とも、腰に小太刀を装備している。
明らかにおかしい姿と袋に、霊夢はあの2人組が妖精狩りの犯人と確信。取り押さえる為の行動に移る。
「あの二人は妖怪の山に向かうようね。小鳩、貴女は何か理由をつけてあの二人を足止めして。
その間に私と魔理沙、獣人さんの3人で取り押さえるわ。いいわね?」
「お任せ下さい!」
返事も早々に、山の入口に向かう2人組を止める役割に移る小鳩。
その間に霊夢達は茂みに隠れ、今か今かと息を殺して待ち構える。
「待って下さい!妖怪の山は人間は立ち入り禁止です!」
「ん?誰だお前は?」
「この妖怪の山の鴉天狗です!妖怪の山は普通の人間は立ち入り禁止!お引き取り下さい!」
相手が2人組であっても、全く怯まない小鳩。むしろいつもより強気で立ち向かう。
2人組も、小鳩に敵対的な視線で睨みつける。若い男が、腰に装備した小太刀に手を掛け―――
「てやぁーっ!!」
霊夢の奇襲。勢いをつけた蹴りが振り返った中年の女性に直撃し、一撃で気絶した。
もう一人の若い男は小太刀で応戦しようとしたが、男の顔面に突きつけられる魔理沙の八卦炉。
どう抗っても勝ち目はない。そう悟った男は小太刀を捨て、霊夢達に抗う意思がない事を示した。
取り押さえた事を確認し、獣人がモゾモゾと動く袋の紐を解く。その中には・・・
「ようやく出られた―!」
「屋敷に戻らないと、咲夜さんに怒られるー」
「助けてくれてありがとう!」
袋の中には妖精が3匹。それも全員紅魔館の妖精メイドだった。
3匹の妖精メイドは霊夢達に助けてくれたお礼を告げると、そそくさと紅魔館へと戻っていく。
「・・・さて」
霊夢は妖精メイドがいなくなった事を確認し、妖精狩りの犯人を問い詰める。
聞くべき事は3つ。犯人はまだいるのか、アジトはどこか、チルノを含めた残りの妖精はどこにいるのか。
「これら全て、聞かせて貰おうかしら?」
「・・・俺達は下っ端だ。リーダーから指示を聞いて、妖精を狩るのが俺達の仕事。
アジトは妖怪の山の中腹にある。2階建ての小屋で、残りの妖精はそこにいる」
「正直ね。じゃあ、私達をそのアジトに連れて行きなさい」
「アジトまでは道案内してやる。だが、リーダーは相当な実力者だ。
いくら博麗の巫女だからと言って、楽に勝てる相手と思うなよ・・・」
不敵な笑みを見せる男。しかし、リーダーと言ってもちょっと強い程度の人間か妖怪だろう。
今まで様々な異変を解決してきた霊夢にとって、今回の事件などウォーミングアップにもならない。
2人組を縄で縛り、小鳩を先頭に妖怪の山を登り始める。事件解決まであと一息といった所だろう。
* * * * *
妖怪の山を登り始めて約40分。高い木や茂みに覆われた場所に、若い男の供述通りの小屋が見えた。
2階建てでやや広く、入口は表の玄関と裏側の勝手口の2か所。窓からは、時折猟銃を持った人影が見える。
警備は厳重で、1階にも人間や妖怪が見回りを続けている。強行突破は難しそうだ。
「警備が多くて迂闊に近寄れないぜ。どうするんだ?」
「まずは2人組を小屋に帰らせて、注意を玄関に集めさせる。その隙にこの閃光弾を投げ込んで、
室内にいる敵をかく乱させる。後は一網打尽。事件解決よ」
小屋の内部構造を見ていないのに、自分達の細かな行動を設定する霊夢。
霊夢の手には、2人組から拝借した強化閃光弾。妖精狩りはこれを使って行われていたようだ。
だが、そんな悪事も今日で終わりだ。悪い事をすれば、その報いは必ず帰ってくる事を教えてやるのだ。
「さぁ、行きなさい」
縄を解かれ、小屋へと向かう2人組。既に魔理沙、小鳩、獣人の3人は勝手口の傍で待機している。
霊夢は小屋の側面へ回り、強化閃光弾を投げ込む準備に入る。そして・・・
「開けて頂戴!不味い事になったわ!」
「どうした?誰かに感付かれたか?」
「博麗の巫女に感づかれたんだよ!」
その瞬間、居間の窓ガラスが割れ、強烈な閃光と鼓膜に響く嫌な音が1階を覆った。
突然の出来事に1階にいた人間や妖怪は、皆目を押えてその場にのた打ち回る。
同時に魔理沙達が勝手口から飛び込み、ロクな迎撃も出来ずに次々と制圧されていく。
「もう一つオマケよ!受け取りなさい!」
霊夢は魔理沙達が突入した事を確認し、2階の窓にも強化閃光弾を投げ込む。
2階からの援軍を断ち、1階の占領をスムーズに行う為だ。
着弾を確認し、霊夢も勝手口から小屋内部に突入した。
* * * * *
1階では、弾幕ではなく、己の肉体とそこら辺にある物で戦うカオスフィールドが繰り広げられていた。
小鳩が食器棚のお皿を手裏剣のように投げ、魔理沙はフライパンで敵をなぎ倒す。
獣人は柔道技を駆使して敵を圧倒し、霊夢は奪った猟銃で敵を次々と降伏させていく。
1階には合計9人の見張り役がいたが、5分も持たずに全員簀巻きにされたのだった。
「1階はこれで全員ね。2階には捕らわれた妖精と、妖精狩りの主犯がいるはずよ。
・・・だけどおかしいわ。1階で私達が乱戦状態だったのに、2階から1人も援軍が来なかったのは何故?」
確かに霊夢は突入前に2階にも強化閃光弾を投げていた。そのお陰か、2階からの援軍はなかった。
だが、3分を過ぎれば目も慣れる者だっていただろう。様子を確認しに、1階に降りてくる事だって出来た筈。
・・・まさか、全員降伏したのか?いや、そんな事はあり得ない。
「とりあえず2階に行きましょう!妖精達を早く解放してあげないと!」
「そうだな。霊夢、猟銃を貸してくれ。私が先陣を切る!」
魔理沙を先頭に、各員猟銃を持って階段を昇る。2階は1階よりもより多くの部屋に分かれていた。
階段を昇った先のドアを、何の躊躇いもなく蹴り飛ばして開ける魔理沙。
「手を挙げろ!もう抗っても無駄だ!・・・なーんてな」
どこかの本で見た台詞を叫びながら、部屋の中を見回す魔理沙。しかし、部屋の中には誰もいない。
窓は開けられ、そこから風が吹き抜けている。まさか、1階での乱戦の間に逃げられてしまったか。
「・・・誰!?」
「う、撃たないで!」
廊下から霊夢の声が聞こえ、魔理沙は廊下に向けてヒョイと顔を出す。
廊下の奥の突き当りにある部屋から出てきたのは、緑の服を着た妖精だった。
どうやら、妖精狩りで捕らえられた妖精の一人らしい。
「貴女は無事だったのね。他の妖精は?」
「他の皆もあの部屋の中にいます!でも・・・部屋にいた人達は皆窓から・・・」
「・・・逃げられたか!」
獣人の言葉が全てを語っていた。強化閃光弾で敵を怯ませたまではよかったが、
霊夢達が1階を制圧している間に、不利と分かって窓から逃げ出したのだろう。
せめて2階にも人員を回せばよかった。後の祭りと知りながらも、霊夢は後悔していた。
「でも、妖精が全員無事で良かったじゃないですか!それに犯人はいずれ捕まりますよ!」
「そうだぜ。物事はそう簡単に終わらない。悲しいけど、これが現実だな。
とにかく今は妖精を解放して、それから残った奴らを捕まえればいいだけだ!」
落ち込む霊夢を励ます魔理沙と小鳩。とりあえず今は、部屋に残った妖精達を解放しなければ。
どうにか立ち直った霊夢を先頭に、先ほど妖精が出てきた突き当りの部屋に入る。
部屋の中には、様々な形の袋が散乱していた。どれも動き、中に複数の妖精達が入っている。
霊夢達は片っぱしから袋を開け、妖精達を次々と解放していく。
そして、他の袋よりもひんやりした袋を開けると、中から見覚えのある妖精が飛び出した。
「ようやく出られた!全く、散々な目に遭ったわ!」
「これで大妖精も安心するわ。チルノ、大妖精が神社にいるから、顔を見せてやりなさい」
「大ちゃんにも心配かけたし、早くあたいの元気な顔を見せてあげなきゃ!それじゃーねー!」
そう言うと、凄い勢いで窓から飛び出すチルノ。道に迷わなければ、すぐにでも博麗神社に到着するだろう。
チルノと別れ、他に妖精がいない事を確認していると、小屋の前に白狼、鴉天狗の小隊が到着していた。
どうやら、妖精狩りについて調べていた天狗達が、この小屋が怪しいと思って調査に向かったのだろう。
「後始末は天狗に任せましょう。それから、貴方も十分頑張ってくれたわ。ありがとう」
「こっちこそ。これでもう、命の危険を感じずに生きられるよ!それじゃあ!」
そう言って、小屋を出ていく獣人。小鳩は現場検証の為に、小屋に残るという。
霊夢と魔理沙は、雪が降り始めた空を飛びながら、博麗神社へと戻って行った。
・・・リーダーは捕まえられなかった。きっとまた、妖精狩りが行われるのだろう。
そう思われていたが、事件は意外な形で完結する。
* * * * *
・・・霊夢達の活躍から2日後。逃走していた妖精狩りのリーダーが捕まったと、文々。新聞に記載されていた。
題名は『妖精狩りの哀れな末路!』と書かれ、咲夜とレミリアによってボコボコにされた男の姿が映っている。
記事によると、小屋から逃げ出したリーダーは妖怪の山に潜伏し、仲間を集めて再び犯行を計画していたのだ。
そして妖精メイドを捕まえようと紅魔館に忍び込んだ所を咲夜に発見され、叩きのめされたのだという。
「随分と呆気ない幕切れね。ま、私の苦労がようやく実を結んだから、良しとしましょう」
「そうだね~。霊夢も魔理沙も私もよく頑張った!」
「萃香は何もしてないけどな」
事件が解決しても、相変わらず3人は堀炬燵でぬくぬくしている。
炬燵の上には随分と数が減った蜜柑と山積みの温泉饅頭。3日前から誰も手をつけていない。
●<俺もう白玉楼行って来てもいいすか?
温泉饅頭の願いはスルー。
「霊夢ー!」
元気なチルノの声が聞こえる。傍らには大妖精の姿もあった。
チルノの手には、両手いっぱいの凍らせたカエル。
・・・チルノなりのお礼のつもりだろうが、冷凍カエルは嫌がらせにしか見えない。
とりあえず丁重にお断りすると、霊夢はチルノと大妖精に蜜柑をふるまった。
「貴女達に朗報よ。チルノを売りさばこうとしてた犯人が、ついに御用となったの。
これで安心して暮らせるわね」
「そうね!これも最強のあたいのお陰ね!」
「・・・ただ捕まってただけのくせに、態度だけはでかいな」
「とにかく、また捕まったら私が助けてあげるわ。助けが必要なら、神社にいらっしゃい」
それを聞いて満足したのか、チルノは神社を後にする。
大妖精は霊夢に一礼すると、その後を追っていった。神社にまた、静寂な時間が戻る。
「あー!蜜柑がなくなってる!」
「そういえば、さっき渡した蜜柑で最後だったわ」
「蜜柑食べたいー!買ってきてー!」
「駄々を捏ねるな。温泉饅頭でも食えって」
●<ついに俺の時代キター!
「えー。だってこの饅頭、美味しくないんだもん」
●<・・・樹海にでも行くか。
さらば温泉饅頭。君の有志は忘れない。
「・・・仕方ないわね。じゃあ蜜柑買ってくるから、お留守番してなさい」
「霊夢。ついでにはちみつレモンも頼むぜ」
「自分で買いなさいよ・・・」
文句を言いながらも、霊夢は神社を後にする。しかし外は寒い。もうじき冬が来るのだろう。
・・・レティの季節が来るのね。霊夢は少し顔をしかめながら、人里へと飛んで行った。
なんで単発作品として書かなかったの?
「モンスターボール」が幻想入りしたのかと思ってたのは秘密だ。
作品をかいてください
それはともかく、閃光手榴弾か・・・こんなものまで幻想入りしてたのか。
でも既に売られた妖精たちはいったいどうなったのだろうか。
ていうか終わりあっけねぇ。こりゃ拍子抜けだ。
だが貴方のギャグセンスはいいと思ふ。