平和な感じの物語です。激しいのがお好みの方は戻るをポチッと。
香霖堂には色々なものがやってくる。
鉱石、置物、機械、菓子、薬、果てはわけの分からない物。
様々な物が流れ着くこの建物には何か不思議な何かが蠢いている訳でもなく、平凡と建っているだけである。
香霖堂には色々なものがやってくる。
買い物客、冷やかし、遊びに来た者。
様々な者が来るこの建物には何か特別な力があるわけでもなく、ただ普通にそこに在るだけである。
香霖堂には色々なものがやってくる。
今日も何かが来たようだ。
「霖之助さん、いる?」
戸を開けるのは神社の巫女の博霊霊夢、対応するのは店主の森近霖之助。
「やぁ、霊夢か。いらっしゃい。」 店主は慣れた風に対応をする。
「まぁお茶でも飲んでのんびりしていってくれ。」
「いつもそうやって言うじゃない。」
彼はその いつも の言葉を聞き香霖堂に招き入れる。
「霖之助さん、最近どう?」
「特に変わったことは無いよ。」
彼がそう言うとさも残念そうな顔をする。
「そっちこそどうなんだい?」 彼が聞き返す。
「実を言うと私も特に変わったことは無いんだけども。」
「そうか。どうやら僕たちは似たもの同士かもしれない。」
「そうかもね。」
お互い笑い合う。そしてお茶を啜る。
そうしている内にそろそろお昼時のようだ。
「もうお昼時か。霊夢、どうする?」
「んー・・・ここで食べていくわ。もうちょっと話したいこともあるし。」
「じゃぁご飯の用意でも・・・」
「私が作るわ。」
「そうか。それじゃぁ頼んだ。」
そうしてお昼も過ぎ二人は再び談笑に入る。
「でね、その地底から来た奴らが持ってくる温泉卵が美味しいのよ。」
「ふむ。一度食べてみたいものだな。機会があれば持ってきてくれないか?」
「ええ。いいわよ。」
そんな話をしているうちに日も傾き始めてきた。
「む。もうこんな時間か。霊夢、そろそろ帰ったほうがいいんじゃないか?」
「そうね。今日もありがと。明日も来るかもね。」
「君といると退屈しない。いつでもおいで。」
「ありがと。それじゃ、またね。霖之助さん。」
「ああ、また会おう霊夢。」
そうして彼女は飛び去っていく。
彼は一人になると、結構寂しくなるものだな。と心のなかで思う。
彼女は飛びながら明日はどんな話をしようかな。と心のなかで思う。
そうして何事も無く一日が過ぎて行く。
そして翌日。神社の巫女は境内の掃除を終えた後、香霖堂に向かっていった。
彼女は今日はあの話をしよう。と考えていた。
店主は彼女は今日も来るのだろうかと考えていた。
やはり二人はどこか似通っているのかもしれない。
香霖堂には色々なものがやってくる。
人、人獣、半妖、妖怪、幽霊、他にもいるかも知れない。
しかし来る者は必ず持ってくるものがある。そして店主とのやり取りの中でそれを渡したり貰ったりする。
そしてその事を繰り返す。
ひょっとするとその「もの」は店主に売るものかもしれない。
ひょっとするとその「もの」は一番人気なものかもしれない。
「霖之助さん、いる?」
そして今日も香霖堂にものがやってくる。
それと、テーマを踏まえても、ゲストが霊夢だけなのは勿体ない気が。
せめてあと2~3キャラ分(せめて主人公勢)は有った方が、日常の移りを見れたかな、って気がしました。
霖之助ものだから期待してたのに・・・