博麗霊夢は悩んでいた。
いつもは何でも適当に片付けていく彼女だが、このときばかりは真剣に悩んだ。
目の前には団子。
皿に盛られていて、少し埃をかぶっているがまだまだ食べられそうだ。
当の霊夢は二日間お茶だけで過ごしていたため、空腹に空腹を重ねた空腹。
そして食生活ならぬ、飲生活を支えてきたお茶もそこを尽きた。
お金など無論無い。
あればこんなにも悩む必要は無いのだから。
そんな状況でも、彼女は悩んだ。
これを食べるか否かを。
今すぐにでも食べたい、しかしこれを食べてしまうと人間として終わってしまう気がする。
団子を一つ、手にとって見る。
嗚呼、何故この団子はこんなにもおいしそうに作られているのだろう。
団子が「食べて、食べて」と言っているようにも聞こえる。
そうだ、食欲は人間の三大欲求。
私はそれを満たすというごく当たり前のことをしようとしているのではないか。
悩むことは無い、食べてしまえばいい。
だが、団子を口元まで運んだところで一旦手が止まる。
これを食べてしまうと『貧乏巫女』の仇名にさらに拍車がかかってしまうのではないか。
そんな考えが彼女の頭をよぎった。
冷静に考えてみると、いくらお腹が空いたからといってこれを食べるのは餓鬼か狂人の域だろう。
私は人間であることに誇りを思っている。
口元まで持ってきていた団子をさらに戻す。
無いのなら探せばいい。
いや、探さなくとも請えばいい。
頭を下げれば食料の一つや二つ、分けてくれるに違いない。
『貧乏巫女』に拍車はかかりそうだが、餓鬼や狂人になってしまうくらいならまだましだ。
そうさ、土下座だって土下寝だって何だってしてやる。
紅魔館辺りでいいだろうか。
あそこなら食料が無いということはありえないだろう。
レミリアから陰湿なセクハラを受けそうだが、いつも通り適当にスルーしてやればいい。
これもすべて飯にありつくため。
さぁ、こんなものはさっさと定位置に置いて出かけるとしよう。
紅魔館が、飯が、私を待っている!
霊夢が皿を持ち上げた瞬間だった。
ぐぎゅるるるるる~~
霊夢の腹が盛大に鳴った。
腹の中に楽器でも仕込まれてるんじゃないかというくらい、盛大に。
霊夢は皿を持ったまま立ち止まっている。
目はもうすでに人のそれではなくなっていた。
手に持っている皿を一瞥する。
中には丸い団子が盛られている。
数秒、団子とにらみ合い、そして――
「いただきます」
団子を口に運び今度はためらい無く齧る。
二・三回口の中で咀嚼し、――飲み込んだ。
以下、文々。新聞一面より抜粋
博麗の巫女、自殺か?
昨夜未明、博麗神社の一室にて、博麗霊夢(人間)が倒れているのを、たまたま遊びに来た伊吹萃香(鬼)によって発見された。倒れていた被害者の近くに齧りかけのホウ酸団子が発見されたため、自殺であるという線が濃厚であるが、無理やり食べさせられたという可能性もあるため、本人の容態が回復し次第事情を聞くつもりだ。
この事件について、第一発見者である伊吹萃香氏はこう語る。
「いやぁ~、いつかはやるかなとは思ってたけど、まさか本当にやっちゃったとはねぇ。こんなことなら少しくらい野菜を分けてあげればよかったかねぇ」
つまり、以前から自殺未遂を謀っていたものと思われる。
また、霧雨魔理沙(人間)は「あいつならやりかねん」と、感慨深くうなずいていた。
博麗霊夢氏を診察した八意永琳(人間[自称])は次のように語っている。
「普段はストレスを溜め込むような性格には見えなかったんだけど、やっぱり心の中ではかなりのストレスが溜まってたのかしら。あのときに無理にでも飲ませてあげるべきだったわ、胡蝶夢丸」
と、残念そうにため息をついていた。
なお、現在博麗霊夢氏は一命を取りとめ、容態も良好だそうだ。
ここでちょと自分の身の回りを思い出してもらいたい。いつも明るく、ストレスとは無縁そうな人(または妖怪)はいないだろうか。実はそういった人たちほどストレスを溜め込んでしまいがちなのだ。この人は大丈夫だろう、と思わずに相談に乗ってみてはどうだろう。案外相手もそれを待ち望んでいるかもしれない。
いつもは何でも適当に片付けていく彼女だが、このときばかりは真剣に悩んだ。
目の前には団子。
皿に盛られていて、少し埃をかぶっているがまだまだ食べられそうだ。
当の霊夢は二日間お茶だけで過ごしていたため、空腹に空腹を重ねた空腹。
そして食生活ならぬ、飲生活を支えてきたお茶もそこを尽きた。
お金など無論無い。
あればこんなにも悩む必要は無いのだから。
そんな状況でも、彼女は悩んだ。
これを食べるか否かを。
今すぐにでも食べたい、しかしこれを食べてしまうと人間として終わってしまう気がする。
団子を一つ、手にとって見る。
嗚呼、何故この団子はこんなにもおいしそうに作られているのだろう。
団子が「食べて、食べて」と言っているようにも聞こえる。
そうだ、食欲は人間の三大欲求。
私はそれを満たすというごく当たり前のことをしようとしているのではないか。
悩むことは無い、食べてしまえばいい。
だが、団子を口元まで運んだところで一旦手が止まる。
これを食べてしまうと『貧乏巫女』の仇名にさらに拍車がかかってしまうのではないか。
そんな考えが彼女の頭をよぎった。
冷静に考えてみると、いくらお腹が空いたからといってこれを食べるのは餓鬼か狂人の域だろう。
私は人間であることに誇りを思っている。
口元まで持ってきていた団子をさらに戻す。
無いのなら探せばいい。
いや、探さなくとも請えばいい。
頭を下げれば食料の一つや二つ、分けてくれるに違いない。
『貧乏巫女』に拍車はかかりそうだが、餓鬼や狂人になってしまうくらいならまだましだ。
そうさ、土下座だって土下寝だって何だってしてやる。
紅魔館辺りでいいだろうか。
あそこなら食料が無いということはありえないだろう。
レミリアから陰湿なセクハラを受けそうだが、いつも通り適当にスルーしてやればいい。
これもすべて飯にありつくため。
さぁ、こんなものはさっさと定位置に置いて出かけるとしよう。
紅魔館が、飯が、私を待っている!
霊夢が皿を持ち上げた瞬間だった。
ぐぎゅるるるるる~~
霊夢の腹が盛大に鳴った。
腹の中に楽器でも仕込まれてるんじゃないかというくらい、盛大に。
霊夢は皿を持ったまま立ち止まっている。
目はもうすでに人のそれではなくなっていた。
手に持っている皿を一瞥する。
中には丸い団子が盛られている。
数秒、団子とにらみ合い、そして――
「いただきます」
団子を口に運び今度はためらい無く齧る。
二・三回口の中で咀嚼し、――飲み込んだ。
以下、文々。新聞一面より抜粋
博麗の巫女、自殺か?
昨夜未明、博麗神社の一室にて、博麗霊夢(人間)が倒れているのを、たまたま遊びに来た伊吹萃香(鬼)によって発見された。倒れていた被害者の近くに齧りかけのホウ酸団子が発見されたため、自殺であるという線が濃厚であるが、無理やり食べさせられたという可能性もあるため、本人の容態が回復し次第事情を聞くつもりだ。
この事件について、第一発見者である伊吹萃香氏はこう語る。
「いやぁ~、いつかはやるかなとは思ってたけど、まさか本当にやっちゃったとはねぇ。こんなことなら少しくらい野菜を分けてあげればよかったかねぇ」
つまり、以前から自殺未遂を謀っていたものと思われる。
また、霧雨魔理沙(人間)は「あいつならやりかねん」と、感慨深くうなずいていた。
博麗霊夢氏を診察した八意永琳(人間[自称])は次のように語っている。
「普段はストレスを溜め込むような性格には見えなかったんだけど、やっぱり心の中ではかなりのストレスが溜まってたのかしら。あのときに無理にでも飲ませてあげるべきだったわ、胡蝶夢丸」
と、残念そうにため息をついていた。
なお、現在博麗霊夢氏は一命を取りとめ、容態も良好だそうだ。
ここでちょと自分の身の回りを思い出してもらいたい。いつも明るく、ストレスとは無縁そうな人(または妖怪)はいないだろうか。実はそういった人たちほどストレスを溜め込んでしまいがちなのだ。この人は大丈夫だろう、と思わずに相談に乗ってみてはどうだろう。案外相手もそれを待ち望んでいるかもしれない。
それに、最近同じようなネタの作品が投稿されていたので、インパクトに欠けてしまったような。
投稿する前に、最近の作品くらいはチェックしておいたほうがよいのでは、と思ったり。
霊夢の設定ってこういうのが凄く多いですよね。貧乏とか。
最近はちょっとこういうのが多い気がしますね。
でも貴重なオリ主作家、応援してるよー。
キャラ・・・・アンチ・・・・?
テーマが同じであっても、それをどう料理したかというのが面白いとこだと思います。
というか、まわりの作品によって評価を変えるのはちょっと・・・
ホウ酸団子(毒物)は流石にというのは、何言ってんのと言う感じですね
もっと凄い毒物や食えない(食わない)ものをたべる話はいくらでもあります
あと、アンチ云々に関しては、最近中国やニートや貧乏などのネタを使うと問答無用で不快になったりアンチ認定してくる人が増えたんで気にしない方がいいです
オチに関しては、ただカビてるのかと思ってましたw(ホウ酸団子の存在忘れてた・・・。家に設置してあるのにorz)
テーマが同じでも「面白い作品」なら評価は変わらないと思います。
確かにちょっと前に似たタイプの作品があったのは痛いけど、
ちゃんとSSとしての体裁を保っているし、このくらいの点数かなと
噛み付かれるので止めておきます。
コメントへのコメントは止めようね~
ところで、食べかけで倒れたみたいだけど、ホウ酸団子ってそんなにそっこうせいかつ強力なの?
>>29
ホウ酸団子は1個食ったらだいたい大人の致死量に届くよ。
症状の発症は数時間後。だいたい3~7日くらいであの世行き。
そのインタビュー以降の部分が著しく読後感を損なってるよ。ホウ酸団子のインパクトがあるうちに切り上げとくべきでしょう。