少女は悩んでいた。
※※※
生活に必要な物はすべて此処でまかなえる、人間の里。
買出しをすませ、大きなリボンと、紅白の巫女服を揺らし歩いていた少女の目に留まったのは、カフェーだった。
紅茶や珈琲が特別好きな訳ではない。 ただ、何度か話には聞いたことがあり、前々から興味がある場所ではあった。
普段なら、金銭的な理由で通り過ぎているカフェー。
しかし、今なら、金は、ある。
先日、珍しく大きな収入があり、買出しの終わった今も、多少ながら余った。
余ったのなら、今後のために大事に貯金しておくべきだ。
少女の理性は言う。
こんなチャンスはめったにない、行くなら今だ。
と、少女の煩悩はささやく。
理性と煩悩の戦いに、普段ならビシッと断を下してくれるはずの、少女の直感は黙ってしまっている。
少女は悩んでいた。
※※※
悩み始めてからどれ程経っただろうか。 まだ結論はでていない。
そんな折、少女の頭に、ある言葉が横切る。
貧乏巫女。
その不名誉なあだ名は今や、幻想郷で伝説にもなりつつある。
カフェーで優雅な午後を過ごし、それを周りに見せ付ければ、その不名誉なイメージを払拭できるかもしれない。
いや、そんな事は言いたいヤツに言わせておけばいい。 忘れたか自分よ。 かつて数日とはいえ、水だけで生活した忌々しい過去を。
煩悩と理性の葛藤、今では理性に分があるか。
しかし、葛藤の中で、少女の心に新たな気持ちが芽生える。
貧乏巫女なんて、あだ名はイヤだ。 だって私は―――、
女の子なんだから―――。
少女は一歩、足を踏み出した。 その向かう方向にはカフェー。
めんどくさがりだとか、ものぐさだとか、腋だとか、胸が大きいとか小さいとか、白黒より目立たないとか、そんなことは言われ慣れた。
しかし、自分でもなぜかはわからないが、この名だけは許すわけにはいかない。
女の子として、少女として。
二歩目を踏み出す。 もはや少女の顔に迷いはない。
そう、たとえ、近い未来に、また水だけの生活がくるかもしれなくとも。
三歩目、カフェーまであと少し。 見据える視線は迷わずカフェーを捕らえる。
そう、たとえ、近い未来に、また水だけの生活がくるかもしれなくとも。
……うん、迷いはない。
さらに歩みを進め、カフェーの前に立つ。 少女の瞳に闘志が宿る。
貧乏巫女伝説。 今日、この場で、その伝説に終止符を打とう。
カフェーでの優雅な午後を演じれば、その姿を周りに見せ付ければ。
伝説は、払拭される。
カフェーの扉を開ける。 少女は伝説に幕を引くための勝負にでる。
「いらっしゃいませー。 ご注文は何にいたしましょうー。」
「水。」
貧乏巫女伝説に、新たな1頁が加わった―――。
※※※
生活に必要な物はすべて此処でまかなえる、人間の里。
買出しをすませ、大きなリボンと、紅白の巫女服を揺らし歩いていた少女の目に留まったのは、カフェーだった。
紅茶や珈琲が特別好きな訳ではない。 ただ、何度か話には聞いたことがあり、前々から興味がある場所ではあった。
普段なら、金銭的な理由で通り過ぎているカフェー。
しかし、今なら、金は、ある。
先日、珍しく大きな収入があり、買出しの終わった今も、多少ながら余った。
余ったのなら、今後のために大事に貯金しておくべきだ。
少女の理性は言う。
こんなチャンスはめったにない、行くなら今だ。
と、少女の煩悩はささやく。
理性と煩悩の戦いに、普段ならビシッと断を下してくれるはずの、少女の直感は黙ってしまっている。
少女は悩んでいた。
※※※
悩み始めてからどれ程経っただろうか。 まだ結論はでていない。
そんな折、少女の頭に、ある言葉が横切る。
貧乏巫女。
その不名誉なあだ名は今や、幻想郷で伝説にもなりつつある。
カフェーで優雅な午後を過ごし、それを周りに見せ付ければ、その不名誉なイメージを払拭できるかもしれない。
いや、そんな事は言いたいヤツに言わせておけばいい。 忘れたか自分よ。 かつて数日とはいえ、水だけで生活した忌々しい過去を。
煩悩と理性の葛藤、今では理性に分があるか。
しかし、葛藤の中で、少女の心に新たな気持ちが芽生える。
貧乏巫女なんて、あだ名はイヤだ。 だって私は―――、
女の子なんだから―――。
少女は一歩、足を踏み出した。 その向かう方向にはカフェー。
めんどくさがりだとか、ものぐさだとか、腋だとか、胸が大きいとか小さいとか、白黒より目立たないとか、そんなことは言われ慣れた。
しかし、自分でもなぜかはわからないが、この名だけは許すわけにはいかない。
女の子として、少女として。
二歩目を踏み出す。 もはや少女の顔に迷いはない。
そう、たとえ、近い未来に、また水だけの生活がくるかもしれなくとも。
三歩目、カフェーまであと少し。 見据える視線は迷わずカフェーを捕らえる。
そう、たとえ、近い未来に、また水だけの生活がくるかもしれなくとも。
……うん、迷いはない。
さらに歩みを進め、カフェーの前に立つ。 少女の瞳に闘志が宿る。
貧乏巫女伝説。 今日、この場で、その伝説に終止符を打とう。
カフェーでの優雅な午後を演じれば、その姿を周りに見せ付ければ。
伝説は、払拭される。
カフェーの扉を開ける。 少女は伝説に幕を引くための勝負にでる。
「いらっしゃいませー。 ご注文は何にいたしましょうー。」
「水。」
貧乏巫女伝説に、新たな1頁が加わった―――。
そう思ってしまった。
そして噴いたw
短いながらも、潔い落とし方に拍手を送りたい。
>>「いらっしゃいませー。 ご注文は何にいたしましょうー。」
会話文の末尾(」の前)に句点をつけているのは仕様でしょうか。
余り見られないつけ方なので、ちょいと疑問に思いました。
こんぺ基準の採点ならば7点献上していたでしょう。
ところでカフェを「カフェー」と伸ばして言うと
いかがわしいお店に見えてしまう俺はもうだめだ
公式ではある程度は裕福な生活を送っている設定だから!!
鮮やかな落とし方に思わず吹いてしまいました。
GJです。
貧乏が体に染み付いちゃってるよwwwwwwwww
くやしいから水(H2O)にちなんで評価20点にしてやる!
・・・と思ったが、水5杯分入れてやるw
読んでくださった方、評価をしてくれた方、コメントをしてくれた方、等々にお礼を申し上げます。
コメントに対するお返事
>15様
普段は外食となどの言葉すら頭にないのではないかもしれません。
>19様
可哀想も一周して可愛いになるかもしれません。 あ、一周しなくても可愛いですね。
>名前を表示しない程度の能力様
予想にたやすくも、あえて直球勝負! などと言い訳させてもらいます。
>22様
あまりにも短くなってしまったので素直に自分のhpに持って帰るべきかと思ったのですが、こんぺを意識している以上是非皆さんに評価をもらいたいと思いまして。
>24様
きっと、緊張してたのかもしれません。
>26様
こーりんに対しては「死ぬまで借りるだけよ」と、この巫女さんは言ってました。
>28様
句点に関しては完全にクセで付けてしまっています。 今回、かぎかっこが2ヶ所しかなかったので見逃していました。
>39様
他の方の作品や公式では幸せであってほしいものです。
>つくし様
いかがわしいお店は私も大好きです。
>43様
昨今のミネラルウォーターやエアコンの普及で「水と空気はタダだ」という言葉は幻想入りしました。 なんて言い訳を今考えたのですがどうでしょう。
>48様
テンポよく読めるような文章は難しいですね。
>49様
思いつきが9割です。
>52様
公式では寝食に困らない生活を送れてること祈ります。 悲想天の神社は見なかったことに。
>時空や空間を翔る程度の能力様
伝説になるほどの貧乏ですので。
>灰華様
この5杯の水でお腹を満たす巫女さんを幻視しました。
最後に
一発ネタな内容なので一笑でもしてもらえれば幸いです。
本当にありがとうございました。
霊夢、強く生きるのよ…。
スッキリ纏まってると思います
とりあえず水をくれ
いい豆を使ってやってくれ。
全ての葛藤や体に染み付いたものがたった一文字に集約されているのはお見事です
>86様
強く……そう、逆境に負けない強さをもって生きてほしいものです。
>90様
どうぞ 旦~
>109様
ありがたい心遣い。 これで水だけの生活に戻っても水には困りません。
>111様
マスター、今度は私の勘定であのコーヒーに合うお茶請けを見繕ってあげてください。
>114様
「水」 素敵な文字だと思います。
なんというキレのよいw