Coolier - 新生・東方創想話

的中率100%の謎

2008/10/02 01:38:20
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「それにしてもビビッたわ。まさか目覚まし時計が寝坊するとはね」
 さっき目覚まし時計を殴り壊した自宅住まいの人形遣いは魔理沙の家へ向かって全力疾走していた。そんなわけで魔理沙の家にやって来たのだが。

「あいや待たれいそこ行く御仁。おぬし死相が出ておるぜ」

 玄関先に占い師がいた。イスラム教徒みたいな服を着てマスクまでしていたのでその素顔は確認できかねた。

「それは物騒な話ね」
「物騒なのは話じゃねえ」
 少し強めに言われたからちょっと凹んだ。
「おぬしの運命に比べれば私の忠告なんてクソのついでに出る屁みたいなモンだ。それを今から証明してやろう」
 そう言うと占い師は、中身を抜いてあるらしいティッシュ箱を取り出した。
「この中には666枚のクジが入っている。3枚だけ引いて……」
「そのネタ知ってるわ。全部に大凶って書いてある……」
 占い師は圧倒的握力で箱を潰した。
「おぬし、取り返しのつかぬことをしたぜ」
 目に涙を浮かべながら占い師は言った。
「このままではおぬし、隕石に直撃して死ぬ」
「ふぁ~あ……」
 付き合うのにも疲れてきたし『中で魔理沙が待っているので』と説得を試みたが
「ここを通りたくば私の屍を越えて行け」
 と背水の陣を敷かれた。
 屍を越えると魔理沙に会えなくなるような気がしたので、仕方なく話に付き合うことにした。
「それで隕石が落ちるんだっけ? 落ちなかったらさっさと通してよね」
「そこまで言われて黙っていては占い師の名倒れ。見せてくれようぜ奇跡を起こす神の力を……!」
 占い師がダイソーに売ってそうなお祈り棒みたいなのを片手で、さもそちらに気を逸らせようとしているかのようにぶんぶん振り回していた。
「どうして右手がポケットの中に……」
「カァー!!! 少し黙っておれ、祈祷に集中できぬぜ!」
 強引に黙らされ、ポケットに突っ込んだ右手を気にしつつも祈祷が終わるのを待っていると……。
 突然辺りが暗くなった。
「な………な……!?」
「星符ドラゴンメテオ。今、我は奇跡の域に達した……」
 占い師は『私のすべきことはすべてやった』とでも言いたそうに達観した笑顔をこちらに向けた。その上空には巨大な隕石がたたずんでいる。いや、現在進行形で落下中だ。
「ど、どうするのよ!? このままじゃああの隕石に押しつぶされて死んじゃうじゃない!」
「あの子は既に私の手を離れました……手に負える相手ではないのですよ」
 達観すると同時に言語が丁寧になりはじめた占い師に『クソのついでに出る屁』とか言ってた頃の面影はない。
「お、お願い! なんとかしてよ! このままじゃあ魔理沙の家まで潰れちゃう!」
 アリスは目に涙を浮かべながら占い師の両手を掴み、その顔をじっとみつめる。その顔はさながら神に祈っているかのようで、厚い信仰心を持つ占い師は俯いた。
「……我、今神託を受けた。何でも魔理沙は、今日おぬしに手料理を振舞うとおぬしを呼んだそうであるな」
「そうよ! 魔理沙はきっと中で待ってるわ! 私が笑顔で『おいしい』って言ってくれるのを見たいから、きっと隕石が落ちてもずっと待ってる! だからあなたの奇跡で隕石を何とかしてよぉ!!」
「……魔理沙はずっと待っておったぞ。しかしおぬしは寝坊をしたな? 彼女は残念がっていた」
「…そのことも含めて全部……謝りたいの……お願い、助けて占い師さん……」
 叫ぶことにも疲れ果て、アリスの視線は地面以外のところには向いていなかった。占い師は空を仰ぎ、ダイソーの祈り棒を捨てた。そして右のスペルカードポケットから、その中の一枚を取り出す。
「魔砲ファイナルスパーク」 
 その御手より放たれし奇跡のエネルギーは、奇跡より呼び出されし隕石と衝突する。五符同士のエネルギーは同じ威力に思えたが、強い気持ちの篭った力と似非のそれは、比べて比になるものではなかった。
 空中で破裂し散乱した隕石の破片は、夏の太陽を反射し輝いた。
「空を見よ人形遣い。最近射出方向が斜め上になってしまったゆえ魔理沙の手料理は家ごと吹っ飛んでしまったが、この風景がおぬしへの償いだぜ」
 アリスは空を見上げ、その幻想的な風景に見惚れていた。
「綺麗……」
 やがてその破片は空中に留まることに疲れ、地面と空を仰ぐアリスの目に突き刺さって行く……。

「さて、奇跡を起こすと腹が減る。おぬしの家へお呼ばれするぞ人形遣い。冷蔵庫にありあわせ程度の材料はあろうな? 我はこう見えても料理が得意よ。オムライスをご馳走しよう」
「目が痛いわ」
「天晴れ天晴れ……それは嬉し涙というものよ」
「目が痛いわ」

隕石が落ちたからオチは弱めで。
それが言いたかっただけですありがとうございました。
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コメント



0.510簡易評価
6.40名前が無い程度の能力削除
なんかいろいろぶっ飛んでる気がしました。
でも目覚まし時計の寝坊には笑えた。
ネタとしては良かったかも。

……それにしても、まだこういう人いるんだね。(作者のことじゃないよ)
7.50名前が無い程度の能力削除
>「星符ドラゴンメテオ。今、我は奇跡の域に達した……」

話の内容が理解出来ませんでした。
え~と、星符「ドラゴンメテオ」を撃ったのは魔理沙ですよね?
なぜ星符「ドラゴンメテオ」では隕石を破壊出来ず、魔砲「ファイナルスパーク」で破壊が出来たんでしょうか?
ドラゴンメテオもマスタースパークですし、ましてやファイナルスパークよりも上位クラスだったと思いますが…

……そうですね……まだこういう人もいるんですね。(作者のことじゃないですよ)
「~差別化しているものではありません。」
8.50灰華削除
>死相が出ておるぜ
相変わらずなんか語尾が変なのだぜw

……まぁこういうのは無視するのがいいかな。(作者のことではありませんよ)
10.80名前が無い程度の能力削除
ドラゴンメテオが隕石、ということでは?
あれもレーザーなんでどうなんだろうとは思いましたが、それらしいと思ったんで。

物語のほうは、ちょうど良いシュールさ加減でした。
>カァー!!! 少し黙っておれ、祈祷に集中できぬぜ!
ここも変なのだぜw
13.50名前が無い程度の能力削除
あれ? もしかしてドラゴンメテオが隕石扱いなんですか?
一瞬、魔理沙が二人に分裂して武道伝ばりのせめぎあいをしてるとばかり……
15.無評価名前が無い程度の能力削除
評価をつける前に読解力をつけたほうがいいのでは?
16.10名前が無い程度の能力削除
えーっと何が書きたかったんでしょう?
隕石が落ちてくる意味がわからないですし
魔理沙が突然占い師をするという突飛な行動も理解できません
無意味に眼を傷つけるオチも不快でした
22.70名前が無い程度の能力削除
結構幻視できたので俺なりの解釈を。
魔理沙、手料理大失敗
なんとか誤魔化す手はないかと考える
その結果、占い師の格好をしてアリスの予定を次々と当てる事で占い師(魔理沙)を信じさせる
後はドラゴンメテオ(隕石)を落とし、それをファイナルスパークで壊す
その時についでに家もぶっ壊し料理の失敗は無かった事に。
アリスの目を潰したのは占い師から魔理沙に着替える時に姿を見られないように?

ここまで幻視したけど、ここまでする意味がないのよね…