紅魔館の朝は早い。
五時前には、メイド長も、門番も、既に起きて仕事を始めている。
それから約一時間後に、他のメイド達も仕事を始めている。
当の主は、殆ど昼過ぎてからしか活動しない。
だが、吸血鬼の習性としては、まだまだ早いほうなので、誰も文句は言わない。
さて、今日もいつも通りの朝だった。
いつも瀟洒なメイド長が、地以上のものまで出して叫ぶまでは。
「な・・・なんじゃこりゃああああぁぁぁぁぁぁ!?」
「どうしました、咲夜さん!?」
その言葉に一番早く反応したのは、整体がてら、庭で太極拳をやっていた門番だった。
「はっ、な、何でもない!、何でもないわよ!?」
いそいでソレを後ろに隠し、美鈴に向き直る。
「・・・本当に大丈夫ですか?」
「え、ええ、大声出して悪かったわね、本当、何でもないのよ?」
「はあ・・・まあ、咲夜さんがそう言うなら、解りました」
そう言って、門の方へ消えてゆく。
それを見届け、安堵のため息。
「はあ・・・とにかく、お嬢様が起きる前に始末しに行かないと」
と、その場から一瞬で消える。
彼女が持っていたのは、文々。新聞。
そして、その見出しには。
『紅魔館のメイド長、パッド疑惑再び!?』
と、これでもか、と言うぐらいにでかでかと書かれていた。
そして、その下には。
「いつかやると思ってました」 『求聞史記をよろしく!! さん』
「う・・・ノーコメントだ」 『竹林の放火犯 さん』
「はあ、大変なんですね」 『山の上の緑巫女 さん』
「へえ、そうまでして大きく見せたいかねぇ」 『オンバシラ さん』
「?ぱっどって何?」 『⑨ さん』
「あらあら、もたざる者のあがき・・・滑稽ねぇ・・・クスクスクス」 『スキマの中からインしたお! さん』
「はあ、この人、空気読んでませんね」 『タツノオトシゴ さん』
「ぷぷぷ、バッカみたい、あっははははは!!」 『全人類の緋想天 さん』
等々、ありがたいコメントが書いてあった。
取りあえず、アホなコメントをした奴もろともに、筆者を始末しよう。
そう決意し、出発する咲夜であった。
・・・・・・
永遠亭の朝は早い。
五時前には、妖怪ウサギ達が、そこらを忙しく歩いている。
それから約一時間後に、永琳が起床する。
当の主は、殆ど昼過ぎてからしか活動しない。
人間の習性として、ちょっとおかしい気もするが、皆、気にしないふりをしていた。
そろそろ皆、我慢の限界かもしれない。
さて、今日もいつも通りの朝だった。
いつも狂気な月の兎が、地以上のものまで出して叫ぶまでは。
「な・・・なんじゃこりゃああああぁぁぁぁぁぁ!?」
「・・・朝からどうしたの、ウドンゲ」
その言葉に一番早く反応したのは、眠たげな顔で洗面所から出てきた、永琳だった。
「はっ、い、いえ!、何でもありませんよ!?」
いそいでソレを後ろに隠し、永琳に向き直る。
「・・・本当に、何もないの?」
「え、ええ、大声出してすみません、本当、何でもありませんから」
「そう・・・まあ、程々にね?」
そう言って、居間の方へ消えてゆく。
それを見届け、安堵のため息。
「はあ・・・とにかく、噂が広まる前に始末しに行かないと」
と、準備をしに、自室へ向かう。
彼女が持っていたのは、文々。新聞。
そして、その見出しには。
『月の兎、付け耳疑惑!?』
と、これでもか、と言うぐらいにでかでかと書かれていた。
そして、その下には。
「やっぱりそうでしたか」 『求聞史記をよろしく!! さん』
「・・・ノーコメントだ」 『竹林の放火犯 さん』
「え!?、そうだったんですか!?・・・てっきり本物だと・・・」 『山の上の緑巫女 さん』
「コスプレかい?、まあ、人それぞれじゃあないか?」 『オンバシラ さん』
「?、つけみみって何?」 『⑨ さん』
「本物と偽物の境界を弄ってみました(笑)」 『スキマの中からインしたお! さん』
「GJ! 空気読んでますね、貴女は」 『電気鰻 さん』
「今度は付け耳ぃ? ニセチチにニセミミ、どいつもこいつもアホばっかりじゃん!あっははははは!!」 『全人類の緋想天 さん』
等々、ありがたいコメントが書いてあった。
取りあえず、アホなコメントをした奴もろともに、筆者を始末しよう。
特にこの、スキマの中からインしたお! と 全人類の緋想天 は念入りに。
そう決意し、出発するウドンゲであった。
・・・・・・
「阿求様、聞きました?」
その言葉に対し、稗田 阿求は、本を読みながら答える。
「何を?」
「紅魔館のメイド長、アレを付けてるって噂ですよ」
「ああ、そういえば、今朝新聞で読んだっけ」
「今更って話ですよねぇ」
「本当に・・・ところで、どうせ暇ならお茶でも持ってきてくれない?」
と、後ろにいるはずのお手伝いに話しかけるが、返事が来ない。
「?・・・どうしたの?・・・」
と、後ろに振り返る。
そこには・・・
「ご機嫌よう・・・お邪魔しておりますわ」
先ほどまで、話題に上っていた紅魔館のメイド長、十六夜 咲夜その人が立っていた。
そして、その足下には、簀巻きにされたお手伝いの姿。
それを見て、阿求は思った。
今日で稗田は潰えるかも知れない、と。
「さあ・・・存在感ばかりで、かけらも役に立たない神様へのお祈りは済ませたかしら?・・・それじゃあ、さ・よ・う・な・ら♪」
「アッーーーーーーーーーーーーーーーー」
・・・・・・
昼過ぎ。
人間にとっては遅いが、吸血鬼にとっては早すぎる時間帯。
まあ、このスキマ妖怪には関係のない事柄ではあるが。
そんな時間帯に、遅寝遅起きをモットーとするマヨイガの主人の目が覚めた。
「・・・ふああぁ・・・・・・・・・お腹空いたわ・・・」
起きて早々の言葉が、カリスマの一欠片もないこの一言である。
最近、この妖怪のカリスマが大幅に下落しているのも頷ける。
・・・元からないK(スキマ行き)
さて、空腹で起床したと言っても過言ではないスキマ妖怪は、ここで違和感を覚えた。
普段なら、大体この辺りのタイミングで自分の式がやってくるはずなのだが・・・
「藍ー?・・・らーんー?」
呼びかけても、返事がない。
仕方がないので、自分で着替え、居間に向かう。
だが、居間にも自分の式の気配はない。
「・・・買い物にでも出かけたのかしら?」
そう呟いたところで、ちゃぶ台に置き手紙が置いてあることに気付く。
「んー?」
その手紙には、やむを得ない事情につき、少々出かけてくるという事と、昼食の用意もしてあるという事が書いてあった。
さすが、自分の式、関心関心と、ある意味自画自賛しながら昼食が置いてあるという台所に向かうために。
そして、戸を開けた瞬間。
ボゴーン!
「ゴフゥ!?」
上から金ダライが落ちてきた。
いくら妖怪とはいえ、この一撃は効いた。
脳天に直接来る衝撃。
さすがの大妖怪も、頭を押さえて蹲る。
「う・・・ぐぐぐぐぐぐ・・・」
頭を押さえながら、スキマ妖怪は考える。
お腹空いた、でも頭痛い、と。
・・・失礼、欠片も考えて等いなかった。
さて、⑨的な思考は頭の隅に追いやり、どうしてこんな状況になったのか、真剣に考える。
別段、誰からの恨みも買った覚えはない。
となると、外部からの犯行ではなく、内部からの反抗なのかも知れない。
考えつくのは、藍と橙の二匹。
だが、橙にこんな凶悪な罠を使うことが出来るだろうか?、否。
とすれば、下手人は藍。
では、なぜこのような行動に至ったのだろう。
特に、何もしていないはずだ。
九本ある尻尾の内の一本を橙の尻尾と入れ替えるなんて、スキンシップの内だ。
朝起きたらマヨイガごと異世界に転移していました、なんてよくあること。
目覚めてみたら、子供化していた(させた)藍を観察する、といった事もあったが、それもちょっとしたお茶目。
朝起こしに来たときに、寝惚けてスキマに放り込んだのも、割とよくあることではないか。
etc、etc・・・
考えたが、何処にも恨みを買うような要素は見つからない。
「・・・とにかく、藍が帰ってきたら問いたださないと・・・」
ぐう。
「・・・その前に、腹ごしらえかしらねぇ・・・」
と、一歩踏みだした瞬間。
壁や天井、至る所に巧妙に仕掛けられた機銃が火を噴いた。
だが、あわや蜂の巣というところで、紫はスキマを全方向に展開。
弾丸は全てスキマに飲み込まれる。
「攻撃の無力化ー・・・ってね」
先の金ダライよりも、遙かに凶悪な罠を切り抜けた紫は、余裕の表情で先に進もうとする。
だが、はた、と、その歩みを止め、考える。
恐らくこの先にも、数々の罠が待ち受けていることだろう。
だが、いちいちそれに引っかかるのも面白くない。
何より、お腹が減っている今の状況で、力を使うのも面相だ。
「・・・さっさと台所に行きましょうか・・・」
スキマを開き、その中に入る。
行き先は勿論台所だ。
~スキマ移動中~
全ての罠を潜り抜け(スキマを使って完全スルー)、ようやく台所にたどり着いた。
スキマから出る前に、左右の確認を行い、罠の有無を確かめる。
「・・・罠の気配は無いわね・・・ふふふ、まだまだ甘いわよ、藍・・・」
藍、破れたり、と、心の中で笑うスキマ妖怪。
右よーし、左よーし、前方よーし、上よーし。
そして、スキマから降り立った瞬間、最後の罠が発動した。
トラップ発動! 万能地雷 グレイ○ヤ!!
・・・本当に、最後の最後で詰めの甘いゆかりんだった。
本日の記録
ステージ:マヨイガ
難易度:ハード
ゲーム進行率:90%
タイム:3分12秒47
GAME OVER
リプレイを保存しますか?
Yes/No
・・・・・・
そして。
最後の罠が発動したのを確認し、その場から離れる影が一つ。
「・・・ミッション、コンプリート」
その影には、ウサ耳が生えていたとか。
最後のお仕置きを見ますか?
・せっかくだから俺はこの赤い扉を選ぶぜ!! と言う方は、このままお進みください。
・ふざけるな!! 俺は一人で寝る!! と言う方は、戻るをクリックしてください
「ふ、ふふふふふふ・・・・・・」
笑い声が聞こえる。
自分の行ったことが、本当に愉快でたまらない。
そんな笑い声だ。
だが、忘れてはいけない。
自分の行いは、いつか自分に返ってくると言うことを。
「文様・・・今回の文々。新聞は、大反響の様ですね・・・」
ねぎらいの言葉をかけるのは、妖怪の山の哨戒天狗である、椛だ。
その表情は、心ここにあらず、といった風である。
「ええ、そうですね・・・手伝ってくれた貴女にも、ちゃんとご褒美をあげませんと、ね・・・」
「あ・・・」
つかの間の勝利者は、思い思いの時間を謳歌し、その勝利に酔いしれる。
だが、忘れてはいけない。
断罪は、常に誰かの手で行われるということを・・・
「ふふふ・・・さて、次の新聞は、誰をネタにしましょうか・・・」
「あら、随分と楽しそうねぇ・・・」
「だ、誰ですか!?」
扉の前に立つ、二つの気配。
突然入ってくる西日によって逆光になり、シルエットしか見えない。
「一つ、人の秘密を暴き」
一人は、エプロンドレスらしき物に身を包んだ女性。
「二つ、不埒な盗撮三昧」
もう一人は、服装こそ普通だが、頭から二つ、長い耳らしき物が生えている女性。
「「三つ、醜い盗撮犯を・・・退治てくれよう従者連盟!!」」
そして、更に二つ、シルエットが現れる。
それらは、文と椛の前に放り投げられた。
放り投げられた物を確認し、二人は驚愕する。
「「むー、むー!!」」
それは、何重にも簀巻きで拘束され、ご丁寧に猿轡までされた山の上の神様と、天人だった。
それを確認した瞬間、本能がヤバイ、と告げた。
椛を連れて、急いで非常口から脱出する。
だが。
「お帰りなさい・・・ご主人様」
次の瞬間、目の前に映ったのは、満面の笑顔のメイド。
普通なら、夢のようなシチュエーションなのだろうが、状況が状況だ。
出るのは、乾いた笑いと冷や汗のみだった。
「残念でしたね」
後ろから、声が掛かる。
「貴女は真っ直ぐ飛んだつもりでしょうが、貴女は自分からここに戻ってきたんですよ?」
そう言ったのは、赤い目を更に紅くした月の兎。
その目に、ただならぬ恐怖を覚え、椛を抱きしめる。
が、その手は空を掴んだだけだ。
「貴女の連れには、先に帰っていただきましたわ」
「今頃は、自分の住処に帰っている頃でしょう」
交互に発せられる言葉も、今の文には、どちらが発したのか判らない。
足から力が抜け、その場に崩れ落ちる。
赤い目が、前後から迫ってくる。
もうダメだ。
その時点で、文の意識は暗転した。
・・・・・・
「ただいま、美鈴」
咲夜がメイド長に就任して以来、本当に久しぶりにメイド服に袖を通した美鈴が館内の掃除をしていると、後ろから声が掛かった。
その声を聞き、笑みを浮かべて振り返る美鈴。
「お帰りなさい、咲夜さん」
「悪かったわね・・・急に仕事を任せてしまって」
申し訳なさそうに言う咲夜に、美鈴は笑って返す。
「いえいえ・・・お嬢様も妹様も、『久しぶりに美鈴のメイド服姿を見たわ』と仰ってましたし・・・パチュリー様なんて、『ビックリし
た』なんて、本当に驚いた顔をなさってたんですよ?」
「・・・それは、見たかったかも知れないわね」
顔を見合わせ、笑い会う。
「あーあ・・・咲夜さんが帰ってきたなら、私の仕事もこれで終了かぁ・・・」
「お疲れさまでした・・・一日メイド長」
「ええ、それじゃあ、後は任せます・・・瀟洒なメイド長」
そう言って、自室に戻ろうとする美鈴。
それを呼び止める咲夜。
「美鈴・・・・・・一つ、頼みがあるんだけど・・・良いかしら?」
「はい?、何ですか?」
振り返らずに、咲夜の言葉を待つ。
「・・・良い鳥肉を仕入れてきたから、久しぶりに貴女の腕を振るって欲しいのよ・・・どうかしら?」
五時前には、メイド長も、門番も、既に起きて仕事を始めている。
それから約一時間後に、他のメイド達も仕事を始めている。
当の主は、殆ど昼過ぎてからしか活動しない。
だが、吸血鬼の習性としては、まだまだ早いほうなので、誰も文句は言わない。
さて、今日もいつも通りの朝だった。
いつも瀟洒なメイド長が、地以上のものまで出して叫ぶまでは。
「な・・・なんじゃこりゃああああぁぁぁぁぁぁ!?」
「どうしました、咲夜さん!?」
その言葉に一番早く反応したのは、整体がてら、庭で太極拳をやっていた門番だった。
「はっ、な、何でもない!、何でもないわよ!?」
いそいでソレを後ろに隠し、美鈴に向き直る。
「・・・本当に大丈夫ですか?」
「え、ええ、大声出して悪かったわね、本当、何でもないのよ?」
「はあ・・・まあ、咲夜さんがそう言うなら、解りました」
そう言って、門の方へ消えてゆく。
それを見届け、安堵のため息。
「はあ・・・とにかく、お嬢様が起きる前に始末しに行かないと」
と、その場から一瞬で消える。
彼女が持っていたのは、文々。新聞。
そして、その見出しには。
『紅魔館のメイド長、パッド疑惑再び!?』
と、これでもか、と言うぐらいにでかでかと書かれていた。
そして、その下には。
「いつかやると思ってました」 『求聞史記をよろしく!! さん』
「う・・・ノーコメントだ」 『竹林の放火犯 さん』
「はあ、大変なんですね」 『山の上の緑巫女 さん』
「へえ、そうまでして大きく見せたいかねぇ」 『オンバシラ さん』
「?ぱっどって何?」 『⑨ さん』
「あらあら、もたざる者のあがき・・・滑稽ねぇ・・・クスクスクス」 『スキマの中からインしたお! さん』
「はあ、この人、空気読んでませんね」 『タツノオトシゴ さん』
「ぷぷぷ、バッカみたい、あっははははは!!」 『全人類の緋想天 さん』
等々、ありがたいコメントが書いてあった。
取りあえず、アホなコメントをした奴もろともに、筆者を始末しよう。
そう決意し、出発する咲夜であった。
・・・・・・
永遠亭の朝は早い。
五時前には、妖怪ウサギ達が、そこらを忙しく歩いている。
それから約一時間後に、永琳が起床する。
当の主は、殆ど昼過ぎてからしか活動しない。
人間の習性として、ちょっとおかしい気もするが、皆、気にしないふりをしていた。
そろそろ皆、我慢の限界かもしれない。
さて、今日もいつも通りの朝だった。
いつも狂気な月の兎が、地以上のものまで出して叫ぶまでは。
「な・・・なんじゃこりゃああああぁぁぁぁぁぁ!?」
「・・・朝からどうしたの、ウドンゲ」
その言葉に一番早く反応したのは、眠たげな顔で洗面所から出てきた、永琳だった。
「はっ、い、いえ!、何でもありませんよ!?」
いそいでソレを後ろに隠し、永琳に向き直る。
「・・・本当に、何もないの?」
「え、ええ、大声出してすみません、本当、何でもありませんから」
「そう・・・まあ、程々にね?」
そう言って、居間の方へ消えてゆく。
それを見届け、安堵のため息。
「はあ・・・とにかく、噂が広まる前に始末しに行かないと」
と、準備をしに、自室へ向かう。
彼女が持っていたのは、文々。新聞。
そして、その見出しには。
『月の兎、付け耳疑惑!?』
と、これでもか、と言うぐらいにでかでかと書かれていた。
そして、その下には。
「やっぱりそうでしたか」 『求聞史記をよろしく!! さん』
「・・・ノーコメントだ」 『竹林の放火犯 さん』
「え!?、そうだったんですか!?・・・てっきり本物だと・・・」 『山の上の緑巫女 さん』
「コスプレかい?、まあ、人それぞれじゃあないか?」 『オンバシラ さん』
「?、つけみみって何?」 『⑨ さん』
「本物と偽物の境界を弄ってみました(笑)」 『スキマの中からインしたお! さん』
「GJ! 空気読んでますね、貴女は」 『電気鰻 さん』
「今度は付け耳ぃ? ニセチチにニセミミ、どいつもこいつもアホばっかりじゃん!あっははははは!!」 『全人類の緋想天 さん』
等々、ありがたいコメントが書いてあった。
取りあえず、アホなコメントをした奴もろともに、筆者を始末しよう。
特にこの、スキマの中からインしたお! と 全人類の緋想天 は念入りに。
そう決意し、出発するウドンゲであった。
・・・・・・
「阿求様、聞きました?」
その言葉に対し、稗田 阿求は、本を読みながら答える。
「何を?」
「紅魔館のメイド長、アレを付けてるって噂ですよ」
「ああ、そういえば、今朝新聞で読んだっけ」
「今更って話ですよねぇ」
「本当に・・・ところで、どうせ暇ならお茶でも持ってきてくれない?」
と、後ろにいるはずのお手伝いに話しかけるが、返事が来ない。
「?・・・どうしたの?・・・」
と、後ろに振り返る。
そこには・・・
「ご機嫌よう・・・お邪魔しておりますわ」
先ほどまで、話題に上っていた紅魔館のメイド長、十六夜 咲夜その人が立っていた。
そして、その足下には、簀巻きにされたお手伝いの姿。
それを見て、阿求は思った。
今日で稗田は潰えるかも知れない、と。
「さあ・・・存在感ばかりで、かけらも役に立たない神様へのお祈りは済ませたかしら?・・・それじゃあ、さ・よ・う・な・ら♪」
「アッーーーーーーーーーーーーーーーー」
・・・・・・
昼過ぎ。
人間にとっては遅いが、吸血鬼にとっては早すぎる時間帯。
まあ、このスキマ妖怪には関係のない事柄ではあるが。
そんな時間帯に、遅寝遅起きをモットーとするマヨイガの主人の目が覚めた。
「・・・ふああぁ・・・・・・・・・お腹空いたわ・・・」
起きて早々の言葉が、カリスマの一欠片もないこの一言である。
最近、この妖怪のカリスマが大幅に下落しているのも頷ける。
・・・元からないK(スキマ行き)
さて、空腹で起床したと言っても過言ではないスキマ妖怪は、ここで違和感を覚えた。
普段なら、大体この辺りのタイミングで自分の式がやってくるはずなのだが・・・
「藍ー?・・・らーんー?」
呼びかけても、返事がない。
仕方がないので、自分で着替え、居間に向かう。
だが、居間にも自分の式の気配はない。
「・・・買い物にでも出かけたのかしら?」
そう呟いたところで、ちゃぶ台に置き手紙が置いてあることに気付く。
「んー?」
その手紙には、やむを得ない事情につき、少々出かけてくるという事と、昼食の用意もしてあるという事が書いてあった。
さすが、自分の式、関心関心と、ある意味自画自賛しながら昼食が置いてあるという台所に向かうために。
そして、戸を開けた瞬間。
ボゴーン!
「ゴフゥ!?」
上から金ダライが落ちてきた。
いくら妖怪とはいえ、この一撃は効いた。
脳天に直接来る衝撃。
さすがの大妖怪も、頭を押さえて蹲る。
「う・・・ぐぐぐぐぐぐ・・・」
頭を押さえながら、スキマ妖怪は考える。
お腹空いた、でも頭痛い、と。
・・・失礼、欠片も考えて等いなかった。
さて、⑨的な思考は頭の隅に追いやり、どうしてこんな状況になったのか、真剣に考える。
別段、誰からの恨みも買った覚えはない。
となると、外部からの犯行ではなく、内部からの反抗なのかも知れない。
考えつくのは、藍と橙の二匹。
だが、橙にこんな凶悪な罠を使うことが出来るだろうか?、否。
とすれば、下手人は藍。
では、なぜこのような行動に至ったのだろう。
特に、何もしていないはずだ。
九本ある尻尾の内の一本を橙の尻尾と入れ替えるなんて、スキンシップの内だ。
朝起きたらマヨイガごと異世界に転移していました、なんてよくあること。
目覚めてみたら、子供化していた(させた)藍を観察する、といった事もあったが、それもちょっとしたお茶目。
朝起こしに来たときに、寝惚けてスキマに放り込んだのも、割とよくあることではないか。
etc、etc・・・
考えたが、何処にも恨みを買うような要素は見つからない。
「・・・とにかく、藍が帰ってきたら問いたださないと・・・」
ぐう。
「・・・その前に、腹ごしらえかしらねぇ・・・」
と、一歩踏みだした瞬間。
壁や天井、至る所に巧妙に仕掛けられた機銃が火を噴いた。
だが、あわや蜂の巣というところで、紫はスキマを全方向に展開。
弾丸は全てスキマに飲み込まれる。
「攻撃の無力化ー・・・ってね」
先の金ダライよりも、遙かに凶悪な罠を切り抜けた紫は、余裕の表情で先に進もうとする。
だが、はた、と、その歩みを止め、考える。
恐らくこの先にも、数々の罠が待ち受けていることだろう。
だが、いちいちそれに引っかかるのも面白くない。
何より、お腹が減っている今の状況で、力を使うのも面相だ。
「・・・さっさと台所に行きましょうか・・・」
スキマを開き、その中に入る。
行き先は勿論台所だ。
~スキマ移動中~
全ての罠を潜り抜け(スキマを使って完全スルー)、ようやく台所にたどり着いた。
スキマから出る前に、左右の確認を行い、罠の有無を確かめる。
「・・・罠の気配は無いわね・・・ふふふ、まだまだ甘いわよ、藍・・・」
藍、破れたり、と、心の中で笑うスキマ妖怪。
右よーし、左よーし、前方よーし、上よーし。
そして、スキマから降り立った瞬間、最後の罠が発動した。
トラップ発動! 万能地雷 グレイ○ヤ!!
・・・本当に、最後の最後で詰めの甘いゆかりんだった。
本日の記録
ステージ:マヨイガ
難易度:ハード
ゲーム進行率:90%
タイム:3分12秒47
GAME OVER
リプレイを保存しますか?
Yes/No
・・・・・・
そして。
最後の罠が発動したのを確認し、その場から離れる影が一つ。
「・・・ミッション、コンプリート」
その影には、ウサ耳が生えていたとか。
最後のお仕置きを見ますか?
・せっかくだから俺はこの赤い扉を選ぶぜ!! と言う方は、このままお進みください。
・ふざけるな!! 俺は一人で寝る!! と言う方は、戻るをクリックしてください
「ふ、ふふふふふふ・・・・・・」
笑い声が聞こえる。
自分の行ったことが、本当に愉快でたまらない。
そんな笑い声だ。
だが、忘れてはいけない。
自分の行いは、いつか自分に返ってくると言うことを。
「文様・・・今回の文々。新聞は、大反響の様ですね・・・」
ねぎらいの言葉をかけるのは、妖怪の山の哨戒天狗である、椛だ。
その表情は、心ここにあらず、といった風である。
「ええ、そうですね・・・手伝ってくれた貴女にも、ちゃんとご褒美をあげませんと、ね・・・」
「あ・・・」
つかの間の勝利者は、思い思いの時間を謳歌し、その勝利に酔いしれる。
だが、忘れてはいけない。
断罪は、常に誰かの手で行われるということを・・・
「ふふふ・・・さて、次の新聞は、誰をネタにしましょうか・・・」
「あら、随分と楽しそうねぇ・・・」
「だ、誰ですか!?」
扉の前に立つ、二つの気配。
突然入ってくる西日によって逆光になり、シルエットしか見えない。
「一つ、人の秘密を暴き」
一人は、エプロンドレスらしき物に身を包んだ女性。
「二つ、不埒な盗撮三昧」
もう一人は、服装こそ普通だが、頭から二つ、長い耳らしき物が生えている女性。
「「三つ、醜い盗撮犯を・・・退治てくれよう従者連盟!!」」
そして、更に二つ、シルエットが現れる。
それらは、文と椛の前に放り投げられた。
放り投げられた物を確認し、二人は驚愕する。
「「むー、むー!!」」
それは、何重にも簀巻きで拘束され、ご丁寧に猿轡までされた山の上の神様と、天人だった。
それを確認した瞬間、本能がヤバイ、と告げた。
椛を連れて、急いで非常口から脱出する。
だが。
「お帰りなさい・・・ご主人様」
次の瞬間、目の前に映ったのは、満面の笑顔のメイド。
普通なら、夢のようなシチュエーションなのだろうが、状況が状況だ。
出るのは、乾いた笑いと冷や汗のみだった。
「残念でしたね」
後ろから、声が掛かる。
「貴女は真っ直ぐ飛んだつもりでしょうが、貴女は自分からここに戻ってきたんですよ?」
そう言ったのは、赤い目を更に紅くした月の兎。
その目に、ただならぬ恐怖を覚え、椛を抱きしめる。
が、その手は空を掴んだだけだ。
「貴女の連れには、先に帰っていただきましたわ」
「今頃は、自分の住処に帰っている頃でしょう」
交互に発せられる言葉も、今の文には、どちらが発したのか判らない。
足から力が抜け、その場に崩れ落ちる。
赤い目が、前後から迫ってくる。
もうダメだ。
その時点で、文の意識は暗転した。
・・・・・・
「ただいま、美鈴」
咲夜がメイド長に就任して以来、本当に久しぶりにメイド服に袖を通した美鈴が館内の掃除をしていると、後ろから声が掛かった。
その声を聞き、笑みを浮かべて振り返る美鈴。
「お帰りなさい、咲夜さん」
「悪かったわね・・・急に仕事を任せてしまって」
申し訳なさそうに言う咲夜に、美鈴は笑って返す。
「いえいえ・・・お嬢様も妹様も、『久しぶりに美鈴のメイド服姿を見たわ』と仰ってましたし・・・パチュリー様なんて、『ビックリし
た』なんて、本当に驚いた顔をなさってたんですよ?」
「・・・それは、見たかったかも知れないわね」
顔を見合わせ、笑い会う。
「あーあ・・・咲夜さんが帰ってきたなら、私の仕事もこれで終了かぁ・・・」
「お疲れさまでした・・・一日メイド長」
「ええ、それじゃあ、後は任せます・・・瀟洒なメイド長」
そう言って、自室に戻ろうとする美鈴。
それを呼び止める咲夜。
「美鈴・・・・・・一つ、頼みがあるんだけど・・・良いかしら?」
「はい?、何ですか?」
振り返らずに、咲夜の言葉を待つ。
「・・・良い鳥肉を仕入れてきたから、久しぶりに貴女の腕を振るって欲しいのよ・・・どうかしら?」
ちょwwwクソゲーwww
むしろ一部にこの手のネタを非常に嫌う人がいるので、注意書きをつけてもいいかもしれませんね
個人的には、うどんげは付け耳よりノーパ…ゲフンゲフン