Coolier - 新生・東方創想話

或る森にて

2004/09/18 22:29:48
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(注:中盤付近から永夜抄4面以降のキャラクターが登場します。)

 今日も幻想郷は快晴、外出日和である。晴れの日は外出しなきゃね、とは誰の弁だった
か忘れたが、ともあれ私……霧雨魔理沙は気の赴くままに空を飛んでいる。いつも通りな
らば暇があれば神社に霊夢を、もしくは香霖堂に香霖を冷やかしに行くのだが、今日はそ
のような気にはなれずこうしてただ飛んでいるだけと言う、文字通り宙ぶらりんの状態と
なっていた。
 少し休もうと思った矢先、視界に川が入った。その川辺に下り、少し休憩することにす
る。私は靴と靴下を脱ぐと脛の深さまで川に入り顔を洗った。川の水は適度に冷たく、と
ても気持ちよいものであった。

 私は、この川の自分の足下がはっきり見えるほど澄んだ水が流れている様子を見てある
閃きを覚えた。きれいな流水は当然、山から流れ出しているはずである。その山は当然、
雨水を浄化する作用を持っていなければならない。浄化作用は質のよい森によって行われ
る。つまり、この川に沿って上流に飛んでいけば、良さそうな森があるかもしれない。思
い立ったが機、私は川辺に置いておいたホウキを再び手にすると、上流へ向かって川沿い
に飛ぶことにした。
 先ほど休息した地点からしばらく飛んでいると、川の近くに人里があるのが見えた。幻
想郷の人里の数はタカが知れている、そしてこの人里も当然自分の知っている場所であっ
た。よく考えてみれば、人が生活するために確実に必要なもののひとつは水である。里の
近くに水場があるのは当然である。生活用水であるのは当然、この水の上流が持つ浄化作
用の裏付けであり、私は自分の考えが間違っていないことを確信した。
 そして程なくその里からそう遠くないの上流に緑生い茂る森を見つけて、私は再び空か
ら降りた。


「ずいぶんとよく手入れされた森だな」
 思わず口に出た。薬草は所々に生えているものの、森でよく見かける毒とも薬ともなら
ない草は引き抜かれているのか見当たらない。木も無秩序ではなくある程度間引きされて
いるようだ。所々に切り株やら、下のほうの枝が切り落とされた木やらがある事実がそれ
を裏付ける。薬草・薬茸には私の住む森で見かけることができないものも割と多い。
 私の森との大きな違いは湿度であろうか、あっちのほうがこちらよりジメジメしている。
やはり手入れされた森と自然の森では違いがあると言うことなのだろう。
「まぁ、人の手の入っているこの森じゃ、あまり採っていくわけには行かないな」
 と思い、私は基本的には森林浴を楽しむ事にする。もちろん薬草のチェックも怠らない。

 半刻ほど過ぎたであろうか。心地よい空気を吸いながら、結局たいした当てもなくふら
ふら歩いていた。たまにはこういうのも悪くない。一方では文献で見たことがある程度の
薬草が多く生えており、それを見つけるのもまた一つの楽しみであった。ここに生えてい
る草やキノコ類のほとんどは、栄養価が高いか病気に効くものである。そういえば、この
あたりに若干違和感を感じるが……
「あら、そこの泥棒さん、ここで何をしているのかしら」
 突然後ろから声をかけられた。この声は確か、
「ん、森林浴だぜ」
 やはりそうだ。振り返るとそこには永遠亭の住人、そして調薬の達人である八意永琳が。
「あら、てっきり薬草を採りに来たと思ったんだけど」
「いや、この森の主に許可を貰ってないんでね。取り急ぎ欲しい薬草があるわけでもない
から、今日は空気だけ貰って帰るぜ」
「盗人にも三分の理、かしら」
「一応言っておくが、私はそんな物騒なことしないぜ。それじゃあこの森は、お前のもの
なのか?」
「いいえ、私のでもないわ」
「んじゃ、お前は泥棒に来てるわけだな。」
「てゐがお腹を壊したから、体にいい薬草を取りに来たの」
「ふむ。しかしここは本当に、いい薬の宝庫だな」
「いいえ、私に言わせると、この森は50点よ」
「へぇ、足りない50点は何だ?」
「こんな言葉を知っているかしら……『下医は薬を毒となし、中医は毒を毒に使い、上医
は毒を薬に使う』、ってね」

 そうだ、私がさっきまで感じていた違和感はこれだ。即ち、『毒草・毒茸がない』とい
う事実。特にキノコは毒があるものが多く、私のような魔女が魔法用の秘薬の調合時に使
うキノコの大半は、口に含めば簡単に毒に負けるであろう。しかし今日の森で見たキノコ
はすべて口に含んでも問題のない……いやむしろ、栄養に富むとされるものばかりである。
さすがに腐ってたりしたら話は別であろうが。
「でもね、この森に毒を含むものがないのには、ちゃんとした理由があるの」
 どうやら、永琳はその事情を知っているらしい。
「へぇ、じゃあ聞かせてもらおうか」
「と言っても簡単な理由よ。間違って里の人間が毒を食べないようにって事」
「つまり、この森の主は里の人間って事か」
「いいえ、里の人間じゃないわ」
「……じゃあ、森の人間?」
「んー、人間なのかしら。ちょいと言い方に困るわね」

 少し考える。アリスみたいに一見すると人間に見える妖怪なのか、まぁ少なくともアレ
が主だと言うことはあり得ないし、永琳でもそれぐらいは分かるだろう。またこの口ぶり
からして月人である可能性も消去される。となると残る選択肢は……知っている範囲では
人であって人でない、不死身のアイツぐらいしか浮かばない。それとも人なのかどうか怪
しいどこぞの店の主人……はさすがに自分の店で手一杯だろう。
 そういえば一部の木の枝の切り口はどこかで見たことがある。あれはあの世の庭の桜の
剪定だったか、そういえば庭師は半分人間だけど半分幽霊。と言っても、ここは間違いな
くあの世じゃないしな。……お手上げ、思考中断。

「まぁ、いい仕事をしている奴が居る、ってことだな」
「そういうことね。だから私も、ここにしか群生を確認できていない草が必要なときだけ
ここに来るの。採取もぎりぎりまで抑えてるわ」
「律儀なこって」
「いや、誰が来て何をどれぐらい取っていったか、それもすべて分かるみたい」
「マジかよ……」
「本当よ。どこで見ているのかは知らないけど……」

「それじゃここで会ったのも何かの縁だし、ウサギのお見舞いにでも行きますか」
 ……と言うのは口実で、永琳に『普段行っている薬草の生える場所』を聞き出したいと
言うのが本音である。さっきの口ぶりから、別の薬草群生地を知っているであろう事は明
白であろう。
「ずいぶん暇なのね。まぁ、私は構わないけど」
「さすがに森林浴は飽きたぜ。必要な薬草はもう集めたのか?」
「ええ、これだけあれば十分。あとは干すだけ」
「っていうか、あいつは何の病気にかかったんだ」
「ケーキ食べてお腹壊したみたい。甘いもの食べるとお腹を壊すのに、ウサギが甘いもの
好きなのはなんでなのかしらね」
「猫好きなのに猫アレルギー、みたいだな」

 今日は収穫だらけだ、やはり魔法使いは外交的でアウトドア派であるべきである。
 私はこの森の恵みを生み出す主に敬意を表しつつ、永琳を追って永遠亭へ向かった。
 分かる人には分かるかもしれないですが、本当は永琳ではなく別のあの人が出てくるは
ずでした。書いてaいる途中で急遽方向転換、これが割とぴたりと決まった……気がする。

 毎週金曜日のバイト前に書きたくなるのはもはや習慣なんでしょうか。今回も時間がな
くてヒーヒー言う始末。帰ってから書けよと言われても、書きたいときに書きたいんだか
らしょうがない。まぁ、前回みたいに見直し不足で一部粗末になってしまうという失態は
割と意識して避けているつもりなのですが。見落としてたらごめんなさい。
 というか、一応冷却期間をはさんだけど、バイト明けだから別の意味でハイテンション
だからなわはー。

 しかし、今回も短いなぁ……まぁ、書いてて楽しかったからいいや(不謹慎?

弾幕好きなのにSTG苦手な馬鹿:ほなみん
Honami.Y
[email protected]
http://www8.plala.or.jp/ganesh/
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コメント



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12.20裏鍵削除
う~ん…ちょっと、全体的に意味不明と感じますが…短いし、何もかも謎のままですし、読み終わって「?」としか浮かびませんでした。
あと地の文と会話のバランスが悪い気もします。どっちも出ればさーーと大量に出るし、加えて地の文の方は少し読みにくいです。テンポが悪い、とでも言いましょうか。
厳しいレスになりましたが、そこはどうかご容赦に。
13.40四十茶っぽい人削除
やっぱり永琳は物静かなお姉さんって感じがありますね。
ケーキを作った(なんとなく買うより作りそう)のも永琳のような気がしますし…。
そして本来は輝夜用に作ったそのケーキをてゐが盗み食いしてお腹を壊した…とか勝手に予想。
個人的には猫好きなのに猫アレルギーっていうのが結構ツボでした。
16.30峰下翔吾(仮)削除
兎って甘いもの好きですよね。チョコを食べてると、よこせ、と寄ってきます。
お腹壊すのか……(^^; 落ち無しながらも雰囲気良。
20.60名前が無い程度の能力削除
・・・この森の主はやはり『彼女』ですよね? 明言はしてないけど、行動原理から一発でピンと来ました(^^) 魔理沙が候補に挙げなかったのも狙ってますね?

のんびりした雰囲気が幻想郷的でいい感じですね。永琳はやっぱりお姉さんな役が似合います。