※暑いからって冷房かけっぱなしで寝ると風邪ひくぜ? 気をつけろよ By 霧雨 魔理沙
まあなんていうか。とりあえずチルノの奴を後ろに乗せて神社から逃亡したまでは良かったんだが。
「こら! 待ちなさい魔理沙、何があったのかちゃんと教えてから帰りなさいよ!」
絶対にあいつなら追って来るだろうとは思ってたが、霊夢がしっかり後をついてくる。まあ、もし私が霊夢だったらこんな面白いネタほっぽっとく訳ない。
当然って言えば当然なんだが。しかし遊ばれるのが自分の場合に限り、話は別だぜ。
「だから、待てと言われて待つバカはいないって言ってるだろ。まあ何も霊夢は聞かなかった事にしておけって」
「いきなりあんなの中途半端に聞かされて、忘れられるかー!」
平和的に解決しようとしてみたが、霊夢の返事はつれない。
仕方が無い、とりあえず帰ったら何日分か記憶を吹っ飛ばす魔法でも探すとして……この場はどうするかだ。とりあえず選択肢を探してみる。
1 霊夢を話し合いで説得 →何があったか聞くまで説得なんかには応じんだろう、無駄だな
2 霊夢を弾幕で撃墜 →墜とした所で忘れてくれるとも思えないんで却下
3 素直に全部を話して帰る →論外だぜ
……やっぱり、どう考えたって逃げるのが一番手っ取り早いぜ。どうせ明日には家まで来そうだが、それまでに霊夢の記憶を吹っ飛ばす準備を終わらせておけば問題なしだ。
チルノだったら軽いから後ろに乗せててもほとんど速度も落ちない事だし。
「はっはっは。音速の遅い霊夢が私に追いつこうなんてのは、それこそ495年くらい早いぜ!」
それだけ言って、箒に魔力を込めるだけこめて全速力で霊夢から遠ざかる私。
495年経っても何も変わらない奴もいるでしょーに、と霊夢からいらん突込みが帰って来るがその声も段々と遠くなっていく。
おし、この調子なら撒けるな。
そう思った時だった。後ろに強引に乗せたチルノの奴が騒ぎ出した。
「ちょっと魔理沙ー! はやい、はやすぎ!」
「もう少しで良いから支えてろチルノ、あと少しで霊夢の奴を撒ける」
「無理! 限界!! うわおちる――!!」
チルノの悲鳴に振り向くと、バランスを崩してチルノが箒からずり落ちるまさにその瞬間が目に飛び込んで来た。
やばい! もしチルノがここで落ちたら、霊夢に捕まって一から十まで何があったか全部はかされるのは間違いない。
そう思ったら、反射的に箒をチルノの落ちて行く先へと急降下させていた。一歩間違ったらこっちも地面に激突しかねない曲芸飛行だ。
「チルノ、掴まれ――!」
右手は箒を掴んだまま、左手を伸ばして今にも落ちそうになってたチルノの手を空中で掴む。流石は私だぜ。まあ……もう1回同じ事やれって言われても、全然自信ないけどな。
「きゃっ! あ……まりさ……」
よっぽど驚いたのか、顔を真っ赤にさせてこっちを見上げるチルノ。はー、やれやれ。どうにか間に合ったぜ。
『待てー……!』
そうこうしている内に、霊夢の声がどんどん近くなってくる。
やれやれ、まだ追って来るなんて霊夢も相当に暇な奴だな相変わらず。チルノを箒まで引っ張り上げると、私はチルノに一言だけ伝える。
「チルノ、これから全力で飛ばすから、箒から落ちないように私の背中にしっかり掴まってろよ!」
「あ……うんっ!」
後ろの同乗者……じゃないな、同乗妖精にそれだけ伝えて、念のために森の中に突っ込んでジグザグに飛び回り霊夢を攪乱する。自慢だが、容赦なく全力だぜ。
にしても、しっかり掴まってろよとチルノに言った事は言ったが。チルノはしっかり両手をこっちの腰に回して体をぴったりくっつけて来た。
どうにも端から見ると相当に凄い構図っぽいけど、気にしないことにするか。
それからしばらくして、どうにか霊夢を撒いた私はようやく速度を落とす。
その時、不意にある事に気が付いた。
「待てよ? 考えてみたらチルノ。お前さん箒から落ちても自分で浮かべたんじゃないか。その羽は飾りじゃないんだろ?」
「…………あ。うん飛べるわよ、もちろん。ただちょっと。いきなりだったから忘れてた。ごめん、魔理沙に危険な事させちゃって」
責められたとでも思ったのか、チルノは俯いて小さくなった。
「ああ、まあ気にするな。お互いに無事で済んだことだし、それにスリル満点で楽しかったしな」
そういって、ポンポンとチルノの肩を軽く叩く。
ほっとしたのか、チルノの奴が笑顔になった。
「いやー、それにしても霊夢の奴はしつこかったな……。帰ったら、とっとと対策を練るか」
湖の上を飛びながら、記憶に関する本の場所を思い浮かべる私。忘却の魔法でもいいし、忘れ薬でもいいな、どっちが作り易かったっけか。
そんな事を考えてると、背中から声がかかった。
「あ、あのさ、魔理沙」
「ん。なんだ? ……げ」
振り返ると、そこには白玉楼の桜よろしく顔をほんのり赤く染めたチルノの顔。
「さっきは助けてくれてその……ありがと。凄く嬉しかったよ、うん。ドキドキしちゃった」
はにかんだようにこっちを見て笑うチルノ。そっち方面がそんなに詳しくない私でもわかる。
チルノの表情から伝わる感情、それは丸々120%『恋』そのものだった。
「い、いや。待てチルノ。別に私は大した事をしたわけじゃないぞ……」
チルノのトリップがかなり入ってる台詞に、今さらながらに自分の行動を思い返してみる。
落ちるチルノを追って急降下。
『チルノ、掴まれー!』
そう叫びながらチルノを空中でキャッチ。
それから、チルノにしっかり掴まってるように言って追っ手(霊夢)から逃げる。
…………ちょっと待て。いや、色々待ってくれ。
ただでさえヤバめな状態のチルノの誤解に、油を注ぐだけ注いだんじゃないのか、私は!? い、いやきっと気のせいだ。ただの誤解だ、決まってる。むしろそうであってくれ頼むから。
しかし天への私の願いは完っ璧に無視された。
「こういうのって、確か愛の逃避行って言うんだよね? 魔理沙、かっこよかったよ~♪」
くわ――ん!
まるで金槌で頭を殴られたような、そんな感覚を覚えたのが良く記憶に残っている。
ただの誤解のつもりが、あっという間に六階になって七階になって、今や私の前にまるで塔のようにそびえ立っているイメージが浮かんで消えた。
「ちょ、ちょっと待て! いいかチルノ、これは」
言い訳をしようとした、まさにその時。
「ん……」
チルノから予想もしなかった不意打ちの攻撃が来た。
開始早々の弾幕なんかより、遥かに予想外の攻撃。
「えへへ」
チルノは照れ隠しなのか、頬を赤らめたまま舌を小さく出して笑ってる。
一瞬、どこぞのメイド長がいる訳でもないのに、時間やら脳の神経やら、その他色々が止まった。
なんだ? 何が起こった今!? ……落ち着け。落ち着くんだ霧雨魔理沙。
何が起こったか理解出来ないなんてのは、音速の遅い霊夢あたりがやることだぜ。冷静にチルノが私に何やったのか思い返してみろ。
…………。大体たっぷり10秒は考える。
なんだ、簡単な事じゃないか。つまりだ。ただ単にチルノの奴が、私の頬にキスしただけだ。ただそれだけの事だろ、私。
…………なんだってー!!
「な、なな、なにをやってんだ、チルノっ!?」
「え? 何って。もちろんキス。私が魔理沙に♪」
質問にチルノから回答が帰って来る。すっごく簡潔に、だが剛速球が。チルノよ、直球すぎだぜ。しかも速すぎる。弾……じゃなくて球受けるこっちの事を少しは考えてくれ、頼むから。
「あ、そっか。ごめんいきなりで。じゃあ改めまて……ん」
「……!?」
避ける暇もタイミングも無かった。
やり直しとばかりに、反対の頬にチルノがまたもキス。初撃で吹っ飛びかけていた私の意識は、追撃であっさりと綺麗に持っていかれた。
『あれ? ちょっと魔理沙ー? わ。おちてる、おちてるー!』
チルノの声が、やけに遠くから聞こえる。
さて、ここで問題だ。飛行には当たり前の事だが集中が必要な訳なんだが、意識が吹っ飛ぶとどうなるか。答えは簡単。墜落するに決まってる。
ぼんやりと「チルノの言うおちる」ってのは「落ちる」のと「墜ちる」のと、どっちの意味だか……などとアホな事を考えてる内に、水面まで一直線。
ズバシャーン!!
夏場とは言え、派手な音を立てて私は服着たまま海水浴する羽目になった。
それからしばらくして。ここは我が家。私はというとベットで寝ている。
まあ、夜だったら当たり前の行動だな。
「もう、なんだって魔理沙ったら湖でいきなり落ちるかな~?」
と言っても、今はまだ昼間なんだけどな。ついでに私一人じゃなくてチルノも側にいるあたり、もうなんなんだか。湖に落ちた後、どうにかチルノに引っ張り上げられた私は、全身びしょぬれのまま箒で飛んでようやく今、家にたどり着いて着替えた所だった。
「ほっとけよ。……はっくしょ――い!!」
でかいくしゃみが派手に出る。あー、これは本気で風邪ひいたな。
しかし、こっちとしてはあまりゆっくり寝てる場合じゃない。霊夢の奴が来る前にやる事はやっておかないと枕高くして眠れん。
重い頭と体を無理矢理に起こす。
「あー、ダメだってば魔理沙! 風邪ひいたみたいなんだし寝てなさいよー!」
「あいにく私の辞書には、そういうお子様な思考はないもんでな」
すっかり私への呼称が「そこの黒いの」から「魔理沙」へと定着したチルノにかなりの不安を抱えつつも、それだけ言って、部屋の一角に出来ている本と本の谷間をスイスイと抜けていき、普段は使わない魔道書の置き場所へと向かう。
相当に微妙なバランスで本を積んでる為、できるだけ衝撃を与えないようにそーっと中に入った。
「あの魔道書の場所は検討がついてるからな。場所は確か、この辺りの棚にあった気が……お。あれだあれだ……くしょーい!」
そのとき、さっきのに近いくらい大きなくしゃみがでた。
まあ……アレだ。雪山で大声を出すと雪崩が起こる。それと同じ原理だな。絶妙なバランスの本の山に向けて、でかいくしゃみをしたらどうなるか。
グラ。グラグラ。グラグラグラ。
おー、派手に揺れてるぜ。
一瞬そんなのん気な事を思い浮かべる。慣れてるとも言うけどな、部屋の雪崩なんて。
しかしだ。その時、はたと気が付いた。つまりだ、雪崩が起きた後に必要な本をこの部屋からすぐに見つけられるかどうか……絶対に無理だぜ。とするとだ。
「それならやる事は一つ。崩れる前に本だけ回収して、すぐに動く!」
まあ、ようは撃ったら動くの弾幕ごっこの応用だ。
速やかに目標回収、後は全力でこの場を撤退するぜ!
そうして、ダッシュで本棚の三段目にある1冊の魔道書『忘却術の魔道理論(上)』を引っこ抜く。下巻はすぐ側には見当たらないが探してる暇は無いな。まあ上巻だけでもあれば十分だ。
さて、そして大急ぎで出口へ……と思ったんだが。後ろに倒れる軌道を描いていた山の一部が、別の本とぶつかって方向を変えてこっちめがけて向かって来ていた。
ちょっと待て、ランダム弾幕だなんて話は聞いてないぜ! 最初から軌道を予想して最短ルートを突っ切るつもりだった以上、今さら変更はきかない。
まあそれでも、もしこれが弾幕なら迷わずボムを使ってふっ飛ばしていただろうさ。しかし自分の魔道書(これでも貴重な物がたくさんあるつもりだぜ)を吹っ飛ばすのには流石に戸惑った。
それが命取りだったんだろうな。
1秒後、まともに本の雪崩に飲み込まれて山の中に埋まる。
「くそ、私としたことが……げ!」
山の中から這い出そうとした時、分厚い装丁の本が1冊こっちの頭上めがけて落ちてきていた。
一瞬だけ、世界がスローになる。……ダメだ。あれは時間でも止めない限り避けられないぜ。そうしてわずかに遅れて、ガンッと音を立てて命中。
チルノの時は精神的にだったが、今回は肉体的に綺麗に意識を持っていかれた。意識の消える直前に見えたのは頭にぶつかった本のタイトル。
皮肉なのか、それは探してた『忘却術の魔道理論』の下巻だった。
なるほど、これが一番手っ取り早い本当の忘却の魔法、なんてな……。
頭がいい感じにひんやりと冷たくて気持ちがいい。いつまでもこうしていられたら、さぞかし贅沢な事だろうな。
白い朝靄の中にいるような感覚で、私はそんな気持ちの良さを味わっていた。しかし何だったか。ずっとこうやってばかりいる訳にもいかなかった気がする。
何か大事な事を忘れている気がする……ん!? 忘れる?
そこに思考が繋がった瞬間、一気に目が覚めた。
「あ。起きた? もう、書庫で倒れてるんだもん。びっくりしたわよ」
目を開けると、ベッドの横で椅子に腰掛けて私の額に手を乗せているチルノがいた。外は夜をいつの間にすっ飛ばしたのか、もう朝になっていた。
「……いつからそうしてたんだ?」
「え、何が?」
こっちの問いに首を傾げるチルノ。
「いや。だからそれだ、それ」
分かってないようだから、チルノの手を指さす。氷枕の代わりなんだろうが、相当長いことやっててくれたのは何となく分かった。
「あー。ちょっとだけだよ、ちょっとだけ」
パタパタと手を振って笑うチルノ。しかし、あまり寝てないのかいつよもよりボーっとした感じなのは否めない。うむ、嘘が下手だぜチルノ。
そんなチルノになんだかなぁ……と思いつつ。
冷たいチルノの手が、私の心には結構、あったかかった。
まあ、このまま行けば、ちょっとだけいい話で終わるかと思ったんだが。そうは問屋が卸さないらしく問答無用とばかりに、バタンとドアが開いた。
「魔理沙、おじゃまするわよー。うわ、相変わらず凄いへ……や……ね」
入ってきたのは霊夢のバカ。その視線の先にはベッドで寝てる私と、額に手をのせているチルノ。
相当にやばいアングルだ。主に誤解とかをガンガン助長させそうな状況っていうか。
「……はぁ。説明されなくても分かったから、帰るわ私」
「ちょっと待てー! ……つ」
勘違いするだけしておもむろに帰ろうとした霊夢を呼び止めようとしたんだが起き上がろうとして、酷い頭痛にダウン。そのまま後ろにバタン。
……風邪なのか魔道書が頭に激突したせいか両方なのかは知らんが、頭がガンガンする。
「おい、霊夢。勝手に納得して帰るな」
仕方が無いから、横になったままで霊夢を呼び止める。
「何よ? 変な趣味持ってる霧雨魔理沙さん。風邪ひいてるみたいだし、ゆっくり寝てなさいよ」
「だから! 勝手に納得するなと言ってるだろ!」
つい大声だして、その声が自分の頭に響く。ダメだって、とチルノが困ったようにこっちを見た時、また玄関のドアが開いた。
「紅白、あんた速過ぎよ。じゃあ、ちょっと失礼するわね……。……!!」
現れたのは紅魔館の喘息魔女だった。が、入口でこっちを見てあっさり固まる。
は!? 霊夢はさておき、なんでパチュリーまで来るんだ!?
「あー……まあ、あんたには悪いんだけどさ」
動揺丸出しの私の反応に、霊夢が思いっきり目を逸らした。その霊夢の反応に、妖気も無いのに色々と悪寒が走る。
「なあ霊夢よ。私とお前さんは何だかんだいっても友人だよな」
さっきの悪寒は風邪のせいという事に無理矢理して、霊夢に問い掛ける私。
「えっと。腐れ縁が88%くらいだと思うけど一応ね」
「まさかなー。勝手な憶測とか邪推とか、面白いから、とかの理由でないことないこと、来た人間に話しなんかしてないよな」
「…………あ、ま、まあ人間には話してないわよ。ちょおっと人間じゃない奴には『魔理沙とチルノがやたらと仲良さそうだった』って話したけど。口が軽いかもしれない紅魔館の日傘吸血鬼に」
にこやかな会話は、霊夢のその台詞であっさり終わった。
待て。霊夢、お前さんよりにもよってあいつに言ったのか? アリス以上に言ったらやばい場所だろうが、そこはっ!
「レミィから変な話を聞いて、まあ暇だったし来たんだけど……。べ、別に私はそれが事実だろうがなんだろうがどうでもいいのよ。ただ、その……やっぱりね」
そう言って、手持ち無沙汰なのか指で髪の毛をくるくるといじっているパチュリー。
まあ、心配してきたんなら喜んで良いのか一応。
そう思った所に、霊夢からいらん一撃が飛ぶ。
「こーんな事いってるけど、実際は紅魔館から凄い速さで神社の方までかっ飛んで来たのよ。『紅白、つまらない嘘で私を惑わすとはどういう了見よ!』なんて言って」
「あ、あー! そ、それは魔理沙には内緒だって言ったじゃない……!」
パチュリーが霊夢の口をふさごうとバタバタ暴れてるが……こっちは頭痛が酷くなるばかりだぜ。
パチェよ、お前もそうなのか? 嘘だよな、嘘と信じさせてくれ、いやマジで。というかチルノ、必要以上にこっちにくっつくのやめろ。
「魔理沙、あんたったらもてもてじゃないの。同性に」
そんな時だった。パチェの横にいる万年天然お気楽巫女が人の地雷に火をつけた。
「な……!」
「そういえばフランもあんたの事が、なんて噂まであるし。で、魔理沙。一体誰にするの?」
さらに地雷の側に爆弾を平気でばらまく霊夢のバカ。
……ふ。ふふ。ふふふふふ。
そうか、上等だぜ。これだけ喧嘩を高く売りつけて来たんなら、買ってやろうじゃないか。
「表に出るぞ、霊夢。ついでに今の内にお祈りでも済ませておいた方がいいぜ、思い残す事の無いように」
風邪でふらつく頭を無視して、強引に立ち上がる私。
「ちょ、ちょっとダメだってば魔理沙! 熱あるんだし寝てないと!!」
「そ、そうよ。魔理沙ったらふらふらじゃない。今じゃ絶対に勝てないからやめなさいって」
ええい止めるなチルノにパチェ。そこのバカに私に喧嘩を売ったらどうなるか教えてやる。人をからかうのは大好きだが、からかわれるのは嫌いだぜ。
「私は別に良いけどね。でもいいの? あんたが目も当てられない状態になったら悲しむのがいるんじゃない?」
……ほぅ。この後に及んで火にダイナマイト放り込む度胸があるとは恐れ入ったぜ霊夢。流石は長年私の友人やってるだけあるな、根性がいい感じに捻じ曲がってるぞ。
「言ってくれるぜ霊夢。今日の私は本気だぜ!」
【つづくっ】
まあなんていうか。とりあえずチルノの奴を後ろに乗せて神社から逃亡したまでは良かったんだが。
「こら! 待ちなさい魔理沙、何があったのかちゃんと教えてから帰りなさいよ!」
絶対にあいつなら追って来るだろうとは思ってたが、霊夢がしっかり後をついてくる。まあ、もし私が霊夢だったらこんな面白いネタほっぽっとく訳ない。
当然って言えば当然なんだが。しかし遊ばれるのが自分の場合に限り、話は別だぜ。
「だから、待てと言われて待つバカはいないって言ってるだろ。まあ何も霊夢は聞かなかった事にしておけって」
「いきなりあんなの中途半端に聞かされて、忘れられるかー!」
平和的に解決しようとしてみたが、霊夢の返事はつれない。
仕方が無い、とりあえず帰ったら何日分か記憶を吹っ飛ばす魔法でも探すとして……この場はどうするかだ。とりあえず選択肢を探してみる。
1 霊夢を話し合いで説得 →何があったか聞くまで説得なんかには応じんだろう、無駄だな
2 霊夢を弾幕で撃墜 →墜とした所で忘れてくれるとも思えないんで却下
3 素直に全部を話して帰る →論外だぜ
……やっぱり、どう考えたって逃げるのが一番手っ取り早いぜ。どうせ明日には家まで来そうだが、それまでに霊夢の記憶を吹っ飛ばす準備を終わらせておけば問題なしだ。
チルノだったら軽いから後ろに乗せててもほとんど速度も落ちない事だし。
「はっはっは。音速の遅い霊夢が私に追いつこうなんてのは、それこそ495年くらい早いぜ!」
それだけ言って、箒に魔力を込めるだけこめて全速力で霊夢から遠ざかる私。
495年経っても何も変わらない奴もいるでしょーに、と霊夢からいらん突込みが帰って来るがその声も段々と遠くなっていく。
おし、この調子なら撒けるな。
そう思った時だった。後ろに強引に乗せたチルノの奴が騒ぎ出した。
「ちょっと魔理沙ー! はやい、はやすぎ!」
「もう少しで良いから支えてろチルノ、あと少しで霊夢の奴を撒ける」
「無理! 限界!! うわおちる――!!」
チルノの悲鳴に振り向くと、バランスを崩してチルノが箒からずり落ちるまさにその瞬間が目に飛び込んで来た。
やばい! もしチルノがここで落ちたら、霊夢に捕まって一から十まで何があったか全部はかされるのは間違いない。
そう思ったら、反射的に箒をチルノの落ちて行く先へと急降下させていた。一歩間違ったらこっちも地面に激突しかねない曲芸飛行だ。
「チルノ、掴まれ――!」
右手は箒を掴んだまま、左手を伸ばして今にも落ちそうになってたチルノの手を空中で掴む。流石は私だぜ。まあ……もう1回同じ事やれって言われても、全然自信ないけどな。
「きゃっ! あ……まりさ……」
よっぽど驚いたのか、顔を真っ赤にさせてこっちを見上げるチルノ。はー、やれやれ。どうにか間に合ったぜ。
『待てー……!』
そうこうしている内に、霊夢の声がどんどん近くなってくる。
やれやれ、まだ追って来るなんて霊夢も相当に暇な奴だな相変わらず。チルノを箒まで引っ張り上げると、私はチルノに一言だけ伝える。
「チルノ、これから全力で飛ばすから、箒から落ちないように私の背中にしっかり掴まってろよ!」
「あ……うんっ!」
後ろの同乗者……じゃないな、同乗妖精にそれだけ伝えて、念のために森の中に突っ込んでジグザグに飛び回り霊夢を攪乱する。自慢だが、容赦なく全力だぜ。
にしても、しっかり掴まってろよとチルノに言った事は言ったが。チルノはしっかり両手をこっちの腰に回して体をぴったりくっつけて来た。
どうにも端から見ると相当に凄い構図っぽいけど、気にしないことにするか。
それからしばらくして、どうにか霊夢を撒いた私はようやく速度を落とす。
その時、不意にある事に気が付いた。
「待てよ? 考えてみたらチルノ。お前さん箒から落ちても自分で浮かべたんじゃないか。その羽は飾りじゃないんだろ?」
「…………あ。うん飛べるわよ、もちろん。ただちょっと。いきなりだったから忘れてた。ごめん、魔理沙に危険な事させちゃって」
責められたとでも思ったのか、チルノは俯いて小さくなった。
「ああ、まあ気にするな。お互いに無事で済んだことだし、それにスリル満点で楽しかったしな」
そういって、ポンポンとチルノの肩を軽く叩く。
ほっとしたのか、チルノの奴が笑顔になった。
「いやー、それにしても霊夢の奴はしつこかったな……。帰ったら、とっとと対策を練るか」
湖の上を飛びながら、記憶に関する本の場所を思い浮かべる私。忘却の魔法でもいいし、忘れ薬でもいいな、どっちが作り易かったっけか。
そんな事を考えてると、背中から声がかかった。
「あ、あのさ、魔理沙」
「ん。なんだ? ……げ」
振り返ると、そこには白玉楼の桜よろしく顔をほんのり赤く染めたチルノの顔。
「さっきは助けてくれてその……ありがと。凄く嬉しかったよ、うん。ドキドキしちゃった」
はにかんだようにこっちを見て笑うチルノ。そっち方面がそんなに詳しくない私でもわかる。
チルノの表情から伝わる感情、それは丸々120%『恋』そのものだった。
「い、いや。待てチルノ。別に私は大した事をしたわけじゃないぞ……」
チルノのトリップがかなり入ってる台詞に、今さらながらに自分の行動を思い返してみる。
落ちるチルノを追って急降下。
『チルノ、掴まれー!』
そう叫びながらチルノを空中でキャッチ。
それから、チルノにしっかり掴まってるように言って追っ手(霊夢)から逃げる。
…………ちょっと待て。いや、色々待ってくれ。
ただでさえヤバめな状態のチルノの誤解に、油を注ぐだけ注いだんじゃないのか、私は!? い、いやきっと気のせいだ。ただの誤解だ、決まってる。むしろそうであってくれ頼むから。
しかし天への私の願いは完っ璧に無視された。
「こういうのって、確か愛の逃避行って言うんだよね? 魔理沙、かっこよかったよ~♪」
くわ――ん!
まるで金槌で頭を殴られたような、そんな感覚を覚えたのが良く記憶に残っている。
ただの誤解のつもりが、あっという間に六階になって七階になって、今や私の前にまるで塔のようにそびえ立っているイメージが浮かんで消えた。
「ちょ、ちょっと待て! いいかチルノ、これは」
言い訳をしようとした、まさにその時。
「ん……」
チルノから予想もしなかった不意打ちの攻撃が来た。
開始早々の弾幕なんかより、遥かに予想外の攻撃。
「えへへ」
チルノは照れ隠しなのか、頬を赤らめたまま舌を小さく出して笑ってる。
一瞬、どこぞのメイド長がいる訳でもないのに、時間やら脳の神経やら、その他色々が止まった。
なんだ? 何が起こった今!? ……落ち着け。落ち着くんだ霧雨魔理沙。
何が起こったか理解出来ないなんてのは、音速の遅い霊夢あたりがやることだぜ。冷静にチルノが私に何やったのか思い返してみろ。
…………。大体たっぷり10秒は考える。
なんだ、簡単な事じゃないか。つまりだ。ただ単にチルノの奴が、私の頬にキスしただけだ。ただそれだけの事だろ、私。
…………なんだってー!!
「な、なな、なにをやってんだ、チルノっ!?」
「え? 何って。もちろんキス。私が魔理沙に♪」
質問にチルノから回答が帰って来る。すっごく簡潔に、だが剛速球が。チルノよ、直球すぎだぜ。しかも速すぎる。弾……じゃなくて球受けるこっちの事を少しは考えてくれ、頼むから。
「あ、そっか。ごめんいきなりで。じゃあ改めまて……ん」
「……!?」
避ける暇もタイミングも無かった。
やり直しとばかりに、反対の頬にチルノがまたもキス。初撃で吹っ飛びかけていた私の意識は、追撃であっさりと綺麗に持っていかれた。
『あれ? ちょっと魔理沙ー? わ。おちてる、おちてるー!』
チルノの声が、やけに遠くから聞こえる。
さて、ここで問題だ。飛行には当たり前の事だが集中が必要な訳なんだが、意識が吹っ飛ぶとどうなるか。答えは簡単。墜落するに決まってる。
ぼんやりと「チルノの言うおちる」ってのは「落ちる」のと「墜ちる」のと、どっちの意味だか……などとアホな事を考えてる内に、水面まで一直線。
ズバシャーン!!
夏場とは言え、派手な音を立てて私は服着たまま海水浴する羽目になった。
それからしばらくして。ここは我が家。私はというとベットで寝ている。
まあ、夜だったら当たり前の行動だな。
「もう、なんだって魔理沙ったら湖でいきなり落ちるかな~?」
と言っても、今はまだ昼間なんだけどな。ついでに私一人じゃなくてチルノも側にいるあたり、もうなんなんだか。湖に落ちた後、どうにかチルノに引っ張り上げられた私は、全身びしょぬれのまま箒で飛んでようやく今、家にたどり着いて着替えた所だった。
「ほっとけよ。……はっくしょ――い!!」
でかいくしゃみが派手に出る。あー、これは本気で風邪ひいたな。
しかし、こっちとしてはあまりゆっくり寝てる場合じゃない。霊夢の奴が来る前にやる事はやっておかないと枕高くして眠れん。
重い頭と体を無理矢理に起こす。
「あー、ダメだってば魔理沙! 風邪ひいたみたいなんだし寝てなさいよー!」
「あいにく私の辞書には、そういうお子様な思考はないもんでな」
すっかり私への呼称が「そこの黒いの」から「魔理沙」へと定着したチルノにかなりの不安を抱えつつも、それだけ言って、部屋の一角に出来ている本と本の谷間をスイスイと抜けていき、普段は使わない魔道書の置き場所へと向かう。
相当に微妙なバランスで本を積んでる為、できるだけ衝撃を与えないようにそーっと中に入った。
「あの魔道書の場所は検討がついてるからな。場所は確か、この辺りの棚にあった気が……お。あれだあれだ……くしょーい!」
そのとき、さっきのに近いくらい大きなくしゃみがでた。
まあ……アレだ。雪山で大声を出すと雪崩が起こる。それと同じ原理だな。絶妙なバランスの本の山に向けて、でかいくしゃみをしたらどうなるか。
グラ。グラグラ。グラグラグラ。
おー、派手に揺れてるぜ。
一瞬そんなのん気な事を思い浮かべる。慣れてるとも言うけどな、部屋の雪崩なんて。
しかしだ。その時、はたと気が付いた。つまりだ、雪崩が起きた後に必要な本をこの部屋からすぐに見つけられるかどうか……絶対に無理だぜ。とするとだ。
「それならやる事は一つ。崩れる前に本だけ回収して、すぐに動く!」
まあ、ようは撃ったら動くの弾幕ごっこの応用だ。
速やかに目標回収、後は全力でこの場を撤退するぜ!
そうして、ダッシュで本棚の三段目にある1冊の魔道書『忘却術の魔道理論(上)』を引っこ抜く。下巻はすぐ側には見当たらないが探してる暇は無いな。まあ上巻だけでもあれば十分だ。
さて、そして大急ぎで出口へ……と思ったんだが。後ろに倒れる軌道を描いていた山の一部が、別の本とぶつかって方向を変えてこっちめがけて向かって来ていた。
ちょっと待て、ランダム弾幕だなんて話は聞いてないぜ! 最初から軌道を予想して最短ルートを突っ切るつもりだった以上、今さら変更はきかない。
まあそれでも、もしこれが弾幕なら迷わずボムを使ってふっ飛ばしていただろうさ。しかし自分の魔道書(これでも貴重な物がたくさんあるつもりだぜ)を吹っ飛ばすのには流石に戸惑った。
それが命取りだったんだろうな。
1秒後、まともに本の雪崩に飲み込まれて山の中に埋まる。
「くそ、私としたことが……げ!」
山の中から這い出そうとした時、分厚い装丁の本が1冊こっちの頭上めがけて落ちてきていた。
一瞬だけ、世界がスローになる。……ダメだ。あれは時間でも止めない限り避けられないぜ。そうしてわずかに遅れて、ガンッと音を立てて命中。
チルノの時は精神的にだったが、今回は肉体的に綺麗に意識を持っていかれた。意識の消える直前に見えたのは頭にぶつかった本のタイトル。
皮肉なのか、それは探してた『忘却術の魔道理論』の下巻だった。
なるほど、これが一番手っ取り早い本当の忘却の魔法、なんてな……。
頭がいい感じにひんやりと冷たくて気持ちがいい。いつまでもこうしていられたら、さぞかし贅沢な事だろうな。
白い朝靄の中にいるような感覚で、私はそんな気持ちの良さを味わっていた。しかし何だったか。ずっとこうやってばかりいる訳にもいかなかった気がする。
何か大事な事を忘れている気がする……ん!? 忘れる?
そこに思考が繋がった瞬間、一気に目が覚めた。
「あ。起きた? もう、書庫で倒れてるんだもん。びっくりしたわよ」
目を開けると、ベッドの横で椅子に腰掛けて私の額に手を乗せているチルノがいた。外は夜をいつの間にすっ飛ばしたのか、もう朝になっていた。
「……いつからそうしてたんだ?」
「え、何が?」
こっちの問いに首を傾げるチルノ。
「いや。だからそれだ、それ」
分かってないようだから、チルノの手を指さす。氷枕の代わりなんだろうが、相当長いことやっててくれたのは何となく分かった。
「あー。ちょっとだけだよ、ちょっとだけ」
パタパタと手を振って笑うチルノ。しかし、あまり寝てないのかいつよもよりボーっとした感じなのは否めない。うむ、嘘が下手だぜチルノ。
そんなチルノになんだかなぁ……と思いつつ。
冷たいチルノの手が、私の心には結構、あったかかった。
まあ、このまま行けば、ちょっとだけいい話で終わるかと思ったんだが。そうは問屋が卸さないらしく問答無用とばかりに、バタンとドアが開いた。
「魔理沙、おじゃまするわよー。うわ、相変わらず凄いへ……や……ね」
入ってきたのは霊夢のバカ。その視線の先にはベッドで寝てる私と、額に手をのせているチルノ。
相当にやばいアングルだ。主に誤解とかをガンガン助長させそうな状況っていうか。
「……はぁ。説明されなくても分かったから、帰るわ私」
「ちょっと待てー! ……つ」
勘違いするだけしておもむろに帰ろうとした霊夢を呼び止めようとしたんだが起き上がろうとして、酷い頭痛にダウン。そのまま後ろにバタン。
……風邪なのか魔道書が頭に激突したせいか両方なのかは知らんが、頭がガンガンする。
「おい、霊夢。勝手に納得して帰るな」
仕方が無いから、横になったままで霊夢を呼び止める。
「何よ? 変な趣味持ってる霧雨魔理沙さん。風邪ひいてるみたいだし、ゆっくり寝てなさいよ」
「だから! 勝手に納得するなと言ってるだろ!」
つい大声だして、その声が自分の頭に響く。ダメだって、とチルノが困ったようにこっちを見た時、また玄関のドアが開いた。
「紅白、あんた速過ぎよ。じゃあ、ちょっと失礼するわね……。……!!」
現れたのは紅魔館の喘息魔女だった。が、入口でこっちを見てあっさり固まる。
は!? 霊夢はさておき、なんでパチュリーまで来るんだ!?
「あー……まあ、あんたには悪いんだけどさ」
動揺丸出しの私の反応に、霊夢が思いっきり目を逸らした。その霊夢の反応に、妖気も無いのに色々と悪寒が走る。
「なあ霊夢よ。私とお前さんは何だかんだいっても友人だよな」
さっきの悪寒は風邪のせいという事に無理矢理して、霊夢に問い掛ける私。
「えっと。腐れ縁が88%くらいだと思うけど一応ね」
「まさかなー。勝手な憶測とか邪推とか、面白いから、とかの理由でないことないこと、来た人間に話しなんかしてないよな」
「…………あ、ま、まあ人間には話してないわよ。ちょおっと人間じゃない奴には『魔理沙とチルノがやたらと仲良さそうだった』って話したけど。口が軽いかもしれない紅魔館の日傘吸血鬼に」
にこやかな会話は、霊夢のその台詞であっさり終わった。
待て。霊夢、お前さんよりにもよってあいつに言ったのか? アリス以上に言ったらやばい場所だろうが、そこはっ!
「レミィから変な話を聞いて、まあ暇だったし来たんだけど……。べ、別に私はそれが事実だろうがなんだろうがどうでもいいのよ。ただ、その……やっぱりね」
そう言って、手持ち無沙汰なのか指で髪の毛をくるくるといじっているパチュリー。
まあ、心配してきたんなら喜んで良いのか一応。
そう思った所に、霊夢からいらん一撃が飛ぶ。
「こーんな事いってるけど、実際は紅魔館から凄い速さで神社の方までかっ飛んで来たのよ。『紅白、つまらない嘘で私を惑わすとはどういう了見よ!』なんて言って」
「あ、あー! そ、それは魔理沙には内緒だって言ったじゃない……!」
パチュリーが霊夢の口をふさごうとバタバタ暴れてるが……こっちは頭痛が酷くなるばかりだぜ。
パチェよ、お前もそうなのか? 嘘だよな、嘘と信じさせてくれ、いやマジで。というかチルノ、必要以上にこっちにくっつくのやめろ。
「魔理沙、あんたったらもてもてじゃないの。同性に」
そんな時だった。パチェの横にいる万年天然お気楽巫女が人の地雷に火をつけた。
「な……!」
「そういえばフランもあんたの事が、なんて噂まであるし。で、魔理沙。一体誰にするの?」
さらに地雷の側に爆弾を平気でばらまく霊夢のバカ。
……ふ。ふふ。ふふふふふ。
そうか、上等だぜ。これだけ喧嘩を高く売りつけて来たんなら、買ってやろうじゃないか。
「表に出るぞ、霊夢。ついでに今の内にお祈りでも済ませておいた方がいいぜ、思い残す事の無いように」
風邪でふらつく頭を無視して、強引に立ち上がる私。
「ちょ、ちょっとダメだってば魔理沙! 熱あるんだし寝てないと!!」
「そ、そうよ。魔理沙ったらふらふらじゃない。今じゃ絶対に勝てないからやめなさいって」
ええい止めるなチルノにパチェ。そこのバカに私に喧嘩を売ったらどうなるか教えてやる。人をからかうのは大好きだが、からかわれるのは嫌いだぜ。
「私は別に良いけどね。でもいいの? あんたが目も当てられない状態になったら悲しむのがいるんじゃない?」
……ほぅ。この後に及んで火にダイナマイト放り込む度胸があるとは恐れ入ったぜ霊夢。流石は長年私の友人やってるだけあるな、根性がいい感じに捻じ曲がってるぞ。
「言ってくれるぜ霊夢。今日の私は本気だぜ!」
【つづくっ】
次が楽しみです。
魔理沙はいったい何人の女に手を出せばきがすむのでしょうかw
パチュ、フラン、チルノ、もはやハーレム状態だな。しかし、絶対に体が持たないだろうなw
うわぁ、予想を確実に裏切るこの展開。俺は好きですねw
はてさて、魔理沙はこのツケをどうするのやらw
あと、次回で終わらないとこっちが死に掛けます(書いている時点ではまだ瀕死一歩前w
とにかくGJ!!
頬Kissと書いて「パーフェクトフリーズ」と読ませる方程式とは。
恋に恋する恋娘は恋色魔女の恋の魔法に恋した、と恋々尽くし。
一つや二つ、変が混じっていても気付かないくらいに。
ともあれ、この頭抜けたテンションの高さのまま、
是非とも突っ走ってしまっていただきたい所存なのでした。
続きを楽しみにします!
もう新鮮で萌えで何と言っていいか! 続きがすごく楽しみです!!
個人的にはチルノにこの先まだまだ突っ走って貰って
魔理沙をもっと動揺させちゃって欲しい所ですw
危ない、これはデッドボールもアリの危険球ですよ!?
しかしバッターボックスに立たずにはいられない、この不思議な中毒性。
さて、恋娘殺しな魔理沙さんはどうやってこの騒動に決着をつけるのか。
続きを楽しみにしていますよ~。
そんな魔理沙の恋色魔法、我らが恋娘チルノにビシバシ直撃。
彼女の恋が今後どのような色彩を帯びていくのか、続きを期待。
魔理沙の額に手を乗せる姿は想像するだけで悶絶です。
その一方で平行線からなかなか進展しない霊夢との会話にはいささか
気の毒さを感じます。・・・頑張れ、魔理沙。
続編も楽しみにしています。
つづきも期待してます!!
おおお、前回に引き続きまして多数のご感想、ありがとうございますー。へっぽこストーリーを気にいって頂けたようで、嬉しく思いますです。はい。第3話も頑張って書きたいと思いますので、その時はまた読んでやってくださいです。
(かのんこんぺの原稿はどうすんだ、私!?)
・紗枝さん
あはは、1話目を書いた時は続き書くつもりはそんなに無かったのですよ実は(汗)強引な見切り発車をやった気もしますが、最後までお付きあい頂けましたら幸いですー。
・名前が無い程度の能力さん
とりあえず第3話も80%ほど完成しましたー。ただ、かのんSSこんぺの追い込みが入るので、4話目は結構後になるかも……(汗)頑張りますです。
・RIMさん
今回でチルノは、おてんば娘から完全におてんば恋娘へバージョンUPしました(笑)ブレーキの利かないチルノに対して、魔理沙がどう捌くのか。
多くの女性(笑)に愛される魔理沙ですが、まあとりあえずハーレムにはしません。そんな事したら私が魔理沙に撃ち落とされそうなんでー。
・電脳の狭間に生きる者さん
あ、あはは~。
えーっと、第1話が1速、第2話が3速とするならば第3話は多分5速です(ぉ)恐らく作中通して最も激しいかと。
もっと言うと、2話目を書く際にプロットを作って全5話での終了が既に決定しております(苦笑)
頑張って生きてくださいねー(笑)
・shinsokkuさん
頬kissと書いて「パーフェクトフリーズ」
実はチルノの往復キスは……何の意識もせずに書いてました。もの凄い偶然です、これ。でも、読み返してみると本当にそうなっていてなんだか無性に嬉しかったり(笑)
恋に恋する恋娘は恋色魔法の恋の魔法に恋した
いやはや、もう作者以上にこの話を分かって頂けているようで、どうもありがとうございます。ちなみに頭に「変な作者の描く」という一文を入れればもう完璧(笑)
次の話も頑張ってテンション高く、ブレーキ無しで突っ走りたいと思います、感想ありがとうございました~。
・芹さん
どうもありがとうございますー。ええ、にやにやするのは仕様です(笑)
もっとにやにやして頂けるように頑張ります。
・通りすがる程度の能力さん
わ、わわわわ……。どうもありがとうございますです。
知り合いは「相変わらずの文章だなー」と言って笑っておりますが、そう言って頂けて嬉しいです。チルノはまだまだ走ります。ええ、ノンブレーキで踏み込んでいきますよ~。
次回も頑張りますので宜しくお願い致します。
・Barragejunkyさん
またまたー。Barragejunkyさんって私よりもずーっと剛速球投手じゃないですかー、ちぇー(拗ね気味)
おほんっ。いや、今回は私もちょっとだけ。ちょっとだけですが、内角を攻めすぎたかなーと。なお次はもうちょっとだけ球が『さらに内側』へ向きます(爆笑)
野球場では『ファールボールにご注意ください』が観客へ向けられる言葉ですが、私の場合は『デットボールにご注意ください』に変換されるあたりがなんともはや。
尊敬するBarragejunkyさんにも読んで頂けている事をしっかり自覚すると共に、頑張って次も書きます。感想ありがとうございました~!
※プロットの書き方について以前言及されておりましたら、よろしかったら私の書くプロットをお見せ致しましょうか? もしご興味がおありなら、メールしてみてくださいですー。
・いち読者さん
まさにこの話を簡潔にして最大限に評されているお言葉、どうもありがとうございます。
まだ色彩で言うならば、紅と白程度です。最後に描かれる恋がどんな色になるのか、最後までお付きあい頂けましたら幸いです。
恋色マジックは、恋色マスタースパークへ……ですよ(意味深)
・nagiさん
感想、ありがとうございます~。そうです。今回の第2話でもっとも私が書きたかったシーンはそれですとも! 良いですよね! 最高にくらくら来ますよねチルノのあのシーン!
はぅ~お持ち帰り~!!(ひぐらしその2)
おほんっ!(汗)霊夢との会話の平行線ですが、その理由は第3話冒頭で出ますのでご安心を。私としてもここはちょっとしつこく書きすぎたなぁ……と思っている所でした。
なお、まだ魔理沙の受難は野球で言うと3回の裏が終わった程度です。9回の表裏あたりはどうなる事やら……ふふふふふふふ(ぉ)
ブレーキの利かないチルノの恋を、どうぞ最後までお付きあいくださいー。
・774さん
うわっとっ! 前回今回通じて、初の100点ありがとうございます、ちょっと恐縮したり(汗)
明日明後日にでも第3話が出せればいいなぁ……と考えておりますので、その際は宜しかったらどうぞご覧下さいませ。ありがとうございました~!
私もそう思うよ。