Coolier - 新生・東方創想話

幽冥傳奇

2004/09/11 04:31:16
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 雲を抱くその山は、幻想郷では現世(うつしよ)うつしよ(うつしよ)幽冥(かくりょ)かくりょ(かくりょ)とを分かつ分水嶺とされ、霊山として畏れられている。
 眼下に雲を見下ろすその山の頂きには、高地にも関わらず緑が生い茂っているのは不思議な事だ。
 八合目付近だろうか。そこには巨大な石造りの門柱がそびえ、見事に組まれた石垣を両翼に従えた、長い石造りの階段が頂に向かって伸びている。
 その頂は大きな火口があり、悠久の太古には火を吹き上げていたであろう姿を伺い知る事ができる。だが、今は静かに、深い闇だけが口を開けて広がっているばかり。
 その深淵に寄り添うように建つ古い城郭が、長い階段の終りである。
 満月が雲の海を照らし、山の頂を大海に浮かぶ孤島のように思わせる。
 荒涼とした風が山裾から吹き上げ、月明かりに照らされた幽邃(ゆうすい)ゆうすい(ゆうすい)な古城の木々を揺らす。
 この満月の夜に限っては、何時もは騒々しい下界も只ならぬ静けさだったのだが、その喧騒も届かぬ幽寂の地に建つ楼閣には、いつもと変わらない静寂が満ちていた。

  -1-

 少女は舌打ちした。
 何合打ち合ったか。
 少なくとも二十合は打ち込んだ筈だが、ことごとく流されている。
 少女──魂魄妖夢は、手にした剣の切っ先を下げ、呼吸を整える。妖夢の額には汗が浮かび、頬を一筋伝っていた。
 満開の桜並木の間を遥かに続く石段の中程で、馬手(めて)めて(めて)に長剣、弓手(ゆんで)ゆんで(ゆんで)に短剣を構えた妖夢は、そこよりやや下った所で銀色のナイフを構える銀髪の女性と対峙していた。
 緑のジャケットに緑のスカート、胸元には黒のリボンタイ。頭にはやはり黒のヘッドドレスをつけた妖夢の出で立ちは、動きやすそうと言えばそうなのかもしれないが、はっきり言うと手にした剣とはまったく不釣り合いだ。
 ところが、なぜだろうか。華美とは無縁のその落ち着いた姿は、端正ながらもまだ幼さが残る横顔に、凛然としたある種の風格すら匂わせている。冴え冴えとした眼差しは少女のそれではなく、そこに立っているのは間違いなく一人の剣士だった。
 白いブラウスの袖が切り裂かれて、二の腕からは血が(にじ)にじ(にじ)んでいたが、それほど深手ではない。剣を握るに支障はなかった。
 階段での闘いは、上に居る者が圧倒的に有利である。ましてや、妖夢の手に握られた『楼観剣』は、やや小振りとはいえど刃渡りは二尺。逆の手には一尺の『白楼剣』を構えている。
 女性のナイフはどう見ても六、七寸がいいところで、身長差を考慮に入れてもまだ妖夢の方が間合いが広い。だが、彼女が階段での戦闘に不慣れだった事が災いし、その地の利はほとんど役に立ちそうにない。
 眼前の女性は息は乱れておらず、汗もかいていないように見える。
 虚勢ではないだろう。事実、二十合も打ち込んでいるにも関わらず、まだ立っている相手は妖夢にとって初めてだった。
 ギリ…
 食いしばった奥歯が音を立てる。
 流石に、両手に剣を持っていては消耗の度合いが違いすぎる。妖夢の二刀は、持ち上げるのがやっとだった幼い日から慣れ親しんだ身体の一部のようなもので、飽くなき修練によって鍛えられた剣捌きは隙のないものだった。
 が、見た目よりずっと軽いとはいうものの、剣自体の重さというものは厳然と存在する。振り回せば、当然のことながら慣性で御するのに力が必要になる。
 それもあるが、それより眼前の女性の技量は想像以上の手練れだ。服の肩口と脇腹のあたりが破れ、特に肩の方は白いブラウスが血で染まっている。何度目かに打ち合った時に傷を負わせたが、致命傷には程遠い。
 幽体はもちろん、妖怪ですら十人を一刀で切り捨てる事もできる楼観剣は、その刀身全体から立ち上る妖気によって、普通の人間なら影に触れただけで怪我をするほどの殺傷力のある剣だ。明確に獲ったものと思える一撃だったのだが、紙一重で(かわ)かわ(かわ)されていた。
 間合いが違いすぎる事を考えると、その身体能力は驚愕に値する。一度だけとはいえ、妖夢の腕に傷を負わせるほどまで肉薄したことからもそれは容易に伺える。
 だが、妖夢も負けてはいない。体躯では及ばないものの、身軽さと得物とで十分に補ってなお余りある。だいいち、ここは文字通り自分の庭、白玉楼階段である。地の利が生かせぬ己の未熟さは省みなければならないが、よく見知った場所には変わりはない。
 何の前触れもなく、銀髪の女性が笑い出した。(いぶか)いぶか(いぶか)しげに妖夢は眉をひそめる。
「…良かったら、名前を教えてもらえないかしら。」
 おもむろに彼女が言った。
 妖夢はふん、と鼻を鳴らすと、
「…冥土の土産にするなら生憎ですね、すぐにこの先に進めることになりますから、どうせまた会います。それより、名前を聞くならまず名乗ったらどうです。」
と、いつもと変わらない慇懃(いんぎん)いんぎん(いんぎん)な口ぶりで答えた。棘のある言われようも気にせず、女性はにっこりと笑い返す。
「これは失礼。私、紅魔館の侍従長を務めております、十六夜咲夜と申します。」
 胸の辺りに手を当て、優雅に一礼する。その余裕は苦戦する妖夢を嘲笑(あざわら)あざわら(あざわら)っているのか、それとも自らの苦境を紛らすための韜晦(とうかい)とうかい(とうかい)なのか。可能性が強いのは、もちろん前者であることは言うまでもない。どちらにせよ、命を賭した決闘のさなかとは思えない、ひどく場違いな光景だ。
「…で、あなたは?」
「私は、この白玉楼の庭師を務めている魂魄妖夢です。西行寺家より、警護の任も仰せつかっています。」
 それでも律儀にきちんと答えるあたりが、妖夢らしいと言えばらしいのか。
 咲夜と名乗った女性は、その言葉に少しだけ憐れむような表情を浮かべたが、妖夢はそれに気が付かなかった。
「…そう、ではあなたも誰かに仕えているのね。」
 独白めいた口調で問う。それはまるで、自問しているような不思議な響きがあった。
 妖夢はそれには答えず、二刀を構え直す。同時に咲夜も、左手のナイフは順手、右手のナイフは今度は逆手に構える。
 一瞬、強い風が吹き、階段の両脇に植わった桜から、雪のように桃色の花びらが舞った。

 張り詰めた空気から感じ取れる殺気は、これまでと明らかに違う。咲夜の面持ちからも先程の笑みは完全に消え失せ、怜悧さの内に冷酷さを宿した仮面で顔を覆っているかのようだ。射るような視線で妖夢を見据える。
 咲夜が勝負に出る気だと直感する妖夢。
 直後、咲夜が先に動いた。足場の悪さをものともせず、無言の気合と共に段を蹴って一気に間合いを詰めにかかる。
 この距離で下から妖夢の間合いに踏み込むなど、自殺行為に程近い。少なくとも、同じ段まで上がらなければ勝負にならない。妖夢は重心を落とすと、低い構えから裂帛の気合いと共に突きを繰り出す。
 片手で操る妖夢の剣は、体重が乗らないため打ち下ろす事はあまりない。突き、薙ぎ、払い、斬る。ナイフで直接止めようとすれば、腕力がどうこうという問題ではなく、それはもう間違いなく自殺行為である。
 咲夜はナイフの刃を立てて滑らせ、紙一重のところを流しにかかる。交錯する白刃が火花を散らし、妖夢の剣が軌道を逸らしたところを、身体を捻るように右のナイフを下から振り上げる。段差の分、長剣の間合いに対して踏み込みが浅く、不利な体勢だ。それでは体重が乗らず致命傷にならない。
 予想通りだ。
 妖夢は左の短剣──白楼剣で払い、切り返す。
 その刹那。
 何が起こったのか。
 妖夢は体重を左へ一気に移動した。
 銀の刃が煌き、妖夢の右頬をかすめる。
 一際高い音を立てて楼観剣を引くと、バランスを崩し気味になりながらも今度は一気に後ろに跳んだ。
 投げたのだ。
 咲夜は、右に持っていたナイフを突いたのではなく、下から振り上げるように妖夢の首を狙って投げたのである。
 完全に不意を打たれたにも関わらず、妖夢の反射神経はそれを上回った。相手の体勢が、いかにも悪かった事にも助けられていたに違いないだろう。そうでなければ、いくらなんでもこの距離で躱せたのは奇跡に近い。
 しかし。
 しかしだ。
 後ろに跳んで間合いを外したのは、取り返しのつかない失敗だった。
 ここまで踏み込んでしかも得物を投げたのだ、咲夜にとってはまさしく背水で放った刃だったはず。その距離での一撃を躱したのなら、確実に仕留める絶好の好機だったはずなのに、経験不足が予想外の攻撃に対処し切れず、身体を無意識に敵から引き離したのである。
 次の瞬間、咲夜の腕が振り上げられ、その手から二本の白刃が煌き、人知を超えた速さで飛来すると、寸分違えずに妖夢の両足を石段に縫い付けた。
「ああああっっ!!!」
 間髪を入れず、さらに今度は振り下ろされた腕から放たれた二本の刃が、妖夢の両肩に深々と突き刺さった。
 鮮血が舞う。
 振り上げ、そして振り下ろす。たった二動作で、どうして四本のナイフが飛んできたのか。
 夥しい血が服を濡らしてゆく。
「そうね──すぐに先に進める事になったわね。」
 静かに、どこか寂しげに告げる咲夜の手には、またしてもナイフが握られているのが妖夢の目に映った。
 二本の剣は少女の手を離れ、甲高い金属音と共に石段の上に落ち、敷き詰めるように積もっていた薄桃色の花びらを舞い上げた。

  -2-

 空気を切る音。
 否、風を切り裂くかのような音だ。
 至るところに灯された灯籠の明かりに浮かぶ広大な庭園は、よく手入れが行き届いており、木々の間を延段と飛び石を使った小経がずっと続いている。枯山水のような造られた庭園ではなく、もともとは山林のようなものだったところに巧みに手を入れ、景観を生み出したという形だろう。
 石垣のような壁がずっと続き、それに沿うように大きな木が立ち並んでいる。
 そして驚いた事に、壁に沿っている木々は桜ばかりだ。膨大な量の桜が、庭園を取り巻くように植わっている。いや、むしろ無数の桜の間に道が造られたのではと錯覚してしまいそうなほどだ。春であれば、それは絶景と言う他に表現のしようがない美しいを姿を見せてくれる事だろう。
 実際、ここは桜の名所として名高く、幻想郷じゅうを探してもここほど見事な桜はあるまい。
 そんな桜も、残念ながら今の季節は緑の葉を茂らせ、静かに(たたず)たたず(たたず)んでいるばかり。
 その庭園の一角で、ひとり剣を振るう少女が居た。
 刃風が空気を震わせ、静かな庭園に響き渡る。
 それにしても静かずぎる。獣の声はもちろん、鳥の声も、虫の音すらも聞こえない。そのせいもあって、剣を振る音はより一層大きく響き渡る。
 灯籠の明かり以外に、時折何かの明かりが垣間見えるのは蛍か、それとも幻か。そのどちらでもなく、大方、幽魂か鬼火の類だろう。少女は特に気にかけた様子もなく、ただただ一心に、その体躯と比すればいささか不釣合いな剣を振り続けた。
 彼女には見えていないのだろうかと言えば、それも違う。別段、ここ──白玉楼では珍しいものではないからだ。もっとも、事実を述べれば彼女は実際には半分くらいしか見えていないはずなので、先程のものは本当に見えなかったのかもしれないが。
 この山に登る人間はいない。正確に言うと、生きている人間はこの山を登らない。もっと正確に言うと、実は山ですらない。山道を登る内に分かる事なのだが、峰にかかる雲の中を進むにつれ、山道は幻想郷の中にあって幻想郷ではない場所へと、登る者を導いているのである。
 そして視界が開け、ここ白玉楼へと続く石段を踏む頃には、その者はようやく気がつくのだ。
 もうここは俗世ではないことと、自分に死が訪れたという事実に。
 雲を抱くこの山は、幻想郷では現世と幽冥とを分かつ分水嶺とされている。
 比喩的表現ではない。

「ふう…」
 剣を下ろして息をつく。
 どれくらいの間、剣を振り続けていたのかは定かではないが、かなりの時間が経っているように思われる。
 妖夢は、ふと手に持っている剣を見つめた。その顔は曇っている。
 自分は、何を迷っているのか。
 春先の苦痛の記憶が甦る。
 妖夢は、幻想郷の春という春を一箇所に集めて回っていた。主命で、白玉楼にある妖怪桜『西行妖』を咲かせるために尽力していたのである。
 幻想郷の春を集める、と言うは容易いが、実際には並々ならぬ大変な作業だ。春を心待ちにしている筈の妖怪、既に訪れかけた春を守ろうとする妖怪を斬り伏せたのも、一度や二度ではない。
 西行妖は今まで一度も咲いたことはなく、そしてこれからも咲くことはないだろうと、妖夢は養父であり、剣の師でもある魂魄家の先代・魂魄妖忌から聞かされていた。それは封印がなされているからだと解釈していたのだが、それが間違った解釈だったと気付いたのは後になってからである。
 結果的には良かった。西行妖はついに咲く事はなかったのだが、むしろ咲かないほうが良かったのだ。
 だが、西行寺家に仕える従者としての自分にとっては(おおむ)おおむ(おおむ)ね良き結末という形であったとしても、剣士としての自分にとってはどうだったのか。
 神の摂理と、自然の理に逆らい、ただ主の為だけに。
 天に刃向ける反逆者、四季の移ろいを妨げる略奪者でありながら、自分がまるで神罰の代行者のように、僅かばかりの春のために多くの妖怪を斬り捨てた。
 そして白玉楼へと続く階段での一戦。
 咲かないほうが良かったとはいうものの、理不尽ながらも主命である。あとほんの僅かの春、そう、あのメイドが携えていた僅かばかりの春があれば、果たす事ができたのに。
 千載一遇の好機にも関わらず、身を退いて剣を振るう事ができなかった。剣士としての自分は、主の命を果たす事ができなかったのだ。
 あの妖怪桜についても、後で白玉楼を訪れた馴染みの妖怪が教えてくれた事実が、自分の行動が結果的に良かったことを証明したに過ぎない。
 結局は欺瞞(ぎまん)ぎまん(ぎまん)だ、敗北を正当化しようとしているだけだ。
「私は、何のために剣を握っているのだろう…。」

 再び剣を振るおうとした刹那、不意に風が起こり、頭上の木から小枝が落ちた。
 すかさず、振り向き様に楼観剣を一閃する。
 一瞬の間も許さず、今度は斬り上げ、そして薙ぎ払う。
 小枝は五つに分かれて芝生の上に落ちた。三撃で六つに分けるつもりだったが、ひとつ外れた。師であれば、確実に八つには切り分けていただろう。いや、妖夢ならその程度はもうできるはずだったのだが。
 己の迷いが剣に表れているのか。
 敗北は、技量の差以上に、精神面での差があまりに大きかった。咲夜は仕える主のために、妖夢を殺すことも(いと)いと(いと)わず、また自らの命をも(かえり)かえり(かえり)みていなかっただろう。一瞬だけ躊躇したが、そこで甘さを見せることなく、しかも最後の最後で命までは取らなかった。そのような精神的余裕があること自体、自分が勝てなかった理由のように思える。
 それとも、自分に甘さがあったせいなのか。
 妖夢は、脇に吊るしていた白楼剣を手に取った。
 この刀は、人の迷いを絶ち切る力があると言われている。
 それが何を意味しているものなのか、師は何も伝えてはくれず、妖夢自身もはっきりとは理解していない。
 妖夢は、ゆっくりと白楼剣を首筋に当てた。
 刀身が月の光を反射して妖しく輝く。
 迷いは、半幽であるこの身のせいなのか。
 冥府に眠る者には平等な安らぎを与えてくれる月の光も、妖夢には何も与えてはくれない。
 この白楼剣で首を落とせば、迷いも憂いも消えるのだろうか。
 半分は現世に、もう半分は幽冥に生きる少女は、首筋に剣を当てたその姿勢のまま、長い間ずっと立ち尽くしていたが、やがて剣を下ろすと、そのまま地に落とした。
 空いた手で、目頭を押さえる。
 静かすぎる庭園だったが、少女の嗚咽はあまりにも小さくて、広すぎる庭園のどこにも響かず、誰にも聞こえることはなかった。

  -3-

「妖夢!…妖夢ってば!!」
 我に返ると、少し怒り顔の少女。
 広い畳の部屋。部屋には二人しかいないので、さらに広く思える。
 きちんと正座している妖夢に対し、声の主はというと敷物にやや寝そべるような格好で、なんだか行儀が悪いように見える。彼女が大人の妖艶な色っぽさを持っていたら、まるで科を作り誘っているかのように見えたのだろうが、残念ながらそのような色気は欠片ほども見当たらない。
 むしろ、まだ全然子供である。
 和服のような作りに近い服だったが、レースをふんだんに使ったフリルで飾られているそれは、和の趣といったものとはおよそ対極に位置している。かと言って、豪奢なドレスと言うにはデザイン的に地味すぎる。あえて言うなら、和洋折衷といったところか。腰帯の代わりと言わんばかりの大きなリボンが可愛らしい。
 彼女──妖夢の仕えるこの白玉楼の姫、西行寺幽々子が怒っている顔を見せるのは珍しい。
 怒っているといっても、語気が少し強まっていた程度で、子供っぽい容姿も手伝ってか、怒っているというよりも拗ねているといったほうが妥当な表現だ。
 二人の間には、見事な蒔絵が施された桂の盤。その上には賽が二つと、碁石がいくつか並んでいる。
「あ…ああ、すみません。私の手番ですか。」
 妖無が寝起きのように慌てて言うと、怒り顔も束の間、幽々子はやや溜息混じりに呆れたように返す。
「…朱四(しゅし)しゅし(しゅし)よ、これで黒良し。あなたの負けね、妖夢。」
 幽々子の細い指が、盤の上を滑らせるように黒の石を動かした。(さい)さい(さい)の目は朱四、すなわち四のぞろ目。中盤あたりではかなり際どい勝負だったのだが、幽々子のほうがここ一番では運気が強いのか、妖夢の白石はあっさり綺麗に突破されてしまった。
 あっさり勝ってもつまらないので、幽々子が手加減した可能性もある。
「はあ、駄目ねぇ…妖夢って双六のような知性が必要な遊びは向いていないのかしら。」
 と、知性という言葉とは縁遠い予感がしないでもない冥界楼閣の亡霊姫は、溜息まじりにぼやくと、石を碁笥(ごけ)ごけ(ごけ)にじゃらじゃらと適当に戻していく。
 盤の端から端へ先に石を全部移動させたほうが勝ち、という単純な柳とは違い、本双六は戦略と駆け引きが重要だ。あらゆる意味で素直過ぎる妖夢が、この単純ながらも奥が深い遊びが苦手なのは無理もない。
 今度は妖夢が溜息をつく番だ。遊び相手にするためにいちいち呼び出されるのはいつもの事だからいいとして、知性などという言葉を幽々子に言われるとは甚だ心外である。
 普段なら、たとえ自分の主であってもそれくらいの憎まれ口は叩くのだが、今日は何故か言葉が出てこない。
「ううん…そうね、カルタは二人じゃできないしね…。ああ、花札にしましょうか?」
「…そんな俗っぽい遊びをどこから仕入れたんですか。」
「俗なんかじゃないわよ。それとも、やっぱり賭けないと燃えない?それなら負けたら一枚ずつ脱ぐっていうのはどう?」
 悪戯っぽく笑いながら名案とでも言わんばかりの幽々子に、妖夢は憮然とした沈黙でそれに答えた。
 実直で生真面目な側近がその手の冗談になびかない事は、長い付き合いなのでよく分かっている。幽々子は興醒めしたようにふう、と息をつくと、側に置かれていたお手玉をぽんぽんと放りながら、茶化すように問い掛けた。
「ずっと上の空だったけど、何か悩み事があるみたいね。」
 どきりとする妖夢。このお嬢様は、普段は何も考えていないような惚けた性格の癖に、時々何故か妙に鋭いので頂けない。が、内心は露ほども出さず、
「別に悩みなんてありませんよ、お嬢様と同じく。」
と、皮肉を交えて平然を装う。
「妖夢は嘘が下手ね、だからからかわれるのよ。」
 最も多くからかっているであろう人物は、屈託のない笑みと共に答えた。それ以上誤魔化しても無駄だという事は、さすがの妖夢も学習済みだ。
「…分かりますか。」
「分かるわよ、あなたの半身がずっと居心地悪そうにそわそわしているもの。」
 妖夢の(かたわ)かたわ(かたわ)らに寄り添うように浮かぶ、人の頭ほどの白っぽい物体。なかなか形容し難いのだが、雲のようにふわふわとして、半透明で丸くて尻尾がついているような感じ。
 ちらりと己の半身──半分は人の身でもう半分は幽霊という、半幽であることを示す自らの魂を見る。体裁を取り繕っても、自分の心まで騙すのは無理のようだ。
「…お嬢様に心配して頂くようなことではありません。これは私自身の問題ですので。」
「そう…。」
 どこか寂しげな幽々子。妖夢はそれ以上話すことはないと言わんばかりに、立ち上がると一礼し、踵を返した。
 障子戸に手をかけて、そこで立ち止まる。
 沈黙の中で背後の気配を感じ取ろうとするが、何もない。
 立ち止まったのは僅かの間の事で、静かに戸を開けると後ろ手に閉め、妖夢は幽々子の部屋を後にした。
 ひとり残された幽々子は、またぽんぽんとお手玉を放る。
 その表情にやや翳りが見え隠れしたが、心の内までは読み取る事ができなかった。
 一方、頭を振って、長い廊下を歩いていく妖夢の表情は曇ったまま。
(私は──何を言って欲しかったのだろうか。)
 その傍らを漂いながらついていく彼女の半身は、何処にも行けない哀れな魂のように、居場所を探して彷徨っているかのように見えた。

「浮かない顔してるわね。」
 不意に話し掛けられて、渡り廊下の外を見やると、木陰に黒いワンピースの少女が立っていた。
 金色の髪に、服と同じく黒のドレスハットを乗せ、小脇にはヴァイオリンを抱えている。すました顔でこちらを見ているが、その瞳には燐光のような不思議な輝きが宿っていた。
「…ルナサ。こんな所で何やってるの。」
「何やってるのとはご挨拶ね。お嬢様のご機嫌伺いに来たら、ちょうどあなたが通りかかったところだったから。」
 冥界きっての名ヴァイオリニストの意外すぎる返答に面食らった妖夢は、どう答えたらいいのか分からない。
 しばらく沈黙。
「…冗談よ。ちょうど満月だから、東の舞台で月見の宴をやるからって三人で呼ばれただけよ。」
 妖夢が真に受けた事に対して苦笑すると、騒霊三姉妹の長女であるルナサ・プリズムリバーはわざとらしくおどけた仕草をする。
「…なんだ。まあ、宴会でもなければあなたたちが呼ばれることはないわね。でも、月見なら南楼の観月台でやったほうがいいんじゃないの?」
「観月台にはさすがにピアノは持ち込めないもの。それに、幽々子様はみんなで騒ぐのが好きですからね。まあ、今日はせっかくの舞台に三人揃ってだから、夜想曲を中心に静かな音楽でやらせてもらうつもりだけど。」
 東楼にあるのは舞台ではなく能楽堂なのだが、あえてそれには突っ込まない。
 ついでに、プリズムリバー三姉妹に静かな曲なんてできるのかと突っ込むのは、もっとやめにしておく。夏に盆踊りやるからとか幽々子が言い出して夜通し騒いだ時は、ルナサの筝はなんとなく分かるとして、メルランは篠笛、リリカに至っては太鼓を叩いていたような気がする。たしか春の花見もそんな感じではなかったか。
 楽器なら何でもできるらしいので、レパートリーも分野を問わず意外に幅広いのかもしれないが。
「ま、時間があったら顔くらい出してね。妖夢もたまには気分転換が必要よ。」
 言うだけ言ってウインクすると、ルナサはかき消えるように姿を消した。
「気分転換…ね。」
 妖夢は独りごちると、頭を掻いた。ルナサにも見透かされていたようだ。
 確かに、少し考えすぎていたかもしれない。そう易々と割り切れるほど達観してはいないが、あまり思い詰めても良くないのかもしれないし。
 昨晩の鍛錬でも、冴えていないのは自分でも分かっていた。今日は今日で、遊びとはいえ幽々子にあっさりと負けている。精神的余裕がないせいなのかもしれない。
 妖夢は大きく伸びをすると、頬を叩いた。
「よーし、三人に花でも持っていってあげようかな。」
 秋といえば菊の花だがまだ早い。やはり彼岸花と、西庭では秋桜とむくげの花ももう咲いている。そこに秋らしくススキを添えるのはどうだろう。芙蓉(ふよう)ふよう(ふよう)水葵(みずあおい)みずあおい(みずあおい)桔梗(ききょう)ききょう(ききょう)を入れてもいいかもしれないけど、彼岸花の赤とは合わないか。
 そんなことを考えながら歩き出す。
 楼中と呼ばれている敷地はとにかく広く、階段を登り切った所にある鐘楼門から南庭を通ったところ、ほぼ中央にあるのが白玉楼で、その隣の北庭に面している奥院に幽々子の居室がある。四方にも楼閣が建っており、庭園はそれぞれ石垣の塀で細かく区分けされ、一部には迷路のように入り組んでいる場所もある。
 だが、さすがは庭師の妖夢。広大な白玉楼の庭園を預かっているだけあって、どこの花が咲いているのかちゃんと把握している。
 ふと、空を見ると、もう満月が木々の上に高く昇っていた。今日は月見の宴だそうだから、何か月を連想させるような花を加えるのも一興か。吾木香(われもこう)われもこう(われもこう)竜胆(りんどう)りんどう(りんどう)などはどうだろうか。
 と、急に妖夢の足が止まった。
 訝しげな目でもう一度満月を見る。
「何だ…?」
 月に影がある。
 月明かりが落とす影の事ではない。月に影がかかっているように見えるのだ。
 妖夢は無言で立ち尽くし、しばらく月を見続けていたが、やがて急に何か胸騒ぎを憶え、進路を変えて南庭へと向かう道を走り始めた。
 南側の山裾に広がる外庭と、南庭にそれぞれ面している南楼の観月台は、もともと白玉楼で最も月を美しく眺める事ができる場所として造られているから、ここよりもっとよく見えるはずだ。
「何だ、あれは…?」
 急速に不安が広がる。
 よく見る月の模様などではない。
 満月のはずの月には、まるで月蝕の始まりのように、僅かながらも不自然な影ができていた。

  -4-

 静かな庭園なだけに、駆ける足音がより一層大きく響く。
 南楼の側にある、一際大きく立派な桜の枝を支えるためにいくつか組まれている櫓を、器用に登ると枝伝いに観月台へと飛び移る。
 すると、暗がりに意外な先客がいた。
「幽々子様?」
「あら妖夢、奇遇ね。でも木登りして入ってくるなんて、ちょっと行儀が悪いわね。」
 妖夢は居心地悪そうに仕える主をまじまじと見る。
「東楼に行ったのでは?今日は月を見ながら宴なんて聞いていませんでしたよ。」
「そのつもりだったんだけどね。…ところで妖夢は気付いてるの?」
 何を、とは問わない。何故ここにいるのか、とも問う必要がない。茶席か宴席でもなければ使われる事のない、観月台でこうして邂逅したことが、双方の思惑を明確に物語っている。
 だが、いったい何から話していいのか分からない。そもそも、月がおかしいと知って、だからどうするかまでは考えていなかった。
 そん心中を察したのか、それとも最初からそれを告げるつもりだったのか、
「仕方ないわね、私も一緒について行ってあげる。」
 と、やれやれ、といった仕草でわざとらしく溜息混じりに言う幽々子。
「お嬢様は心当たりがあるのですか、あの異変の原因について。」
 相変わらず底の知れない幽々子に少し驚いて問い返した妖夢だったが、
「ないわよ、そんなもの。でも、その辺を飛んでいる奴等を適当に撃ち落とせば分かるわよきっと。」
 と、あっけらかんとした答えが返って来たので思わず脱力しそうになってしまった。何時もの事とはいえ、どうにもこの考え無しの無計画ぶりには、未来永劫慣れる事はないような気がする。
「それだからお嬢様はよくないのです。もっとこう…」
 言いかけた妖夢を幽々子の手が制止する。
「まあ待ちなさいな。妖夢は物事をもっと順序立てて整理し、論理的に考えるようにしないといけないわ。」
 自分におよそ似つかわしくない単語を並べてぼろくそに言う幽々子に、それだけはお嬢様には絶対言われたくないと半ば呆れ気味に思った妖夢だったが、今はそれを飲み込んで幽々子の言葉を待つことにした。
「あの月は自然現象ではないし、天変地異でもない。明らかに作為的な何かを感じるわ。」
「というと、魔法か何かで月が欠けているとお考えですか。」
 人為的に引き起こされた怪異である可能性は無いとは言い切れないが、発想が突飛過ぎるのではないか。それとも、白玉楼中にある書院の膨大な文献を漁るのが趣味の幽々子には、何かこの異変の原因について本当は何か知っているのだろうか。
「それを調べるのよ。大体、こんなおかしな夜に飛んでいる奴がいたら、それこそ怪しいわ。そいつらをとっ捕まえて聞き出せば、この夜の元凶に辿り着ける筈よ。」
 怪しいのは幽々子だ。どうしてまた今日に限ってこんなに理知的なのだろう。長年仕えていながら未だ捕らえどころの無い主に対し、妖夢は驚きを隠せない。
「でも、虱潰しにとなると時間がかかりすぎます。夜はそんなに長くはないのですよ。」
「夜を止めてしまえばいい。私はそれくらいできるのよ、知らなかったの?」
 何気ない一言だったが、そう口にした幽々子の表情はなんとも形容し難い、ある種の畏怖を呼び起こすかのような妖しく残酷な笑みが張り付いていた。
 妖夢は咄嗟に返答する事も、目を逸らす事もできなかった。
 違う。
 それは違う。
 幽々子の力は、時間を止めるという類のものではない。
 もちろん、この夜を止め、月が沈まない永遠の夜を作ることはできるだろう。だが、それは力の本質とは似て非なるものだ。
 幽々子の力は、時間を奪い取るのだ。絶え間なく、緩やかに流れる大河のように、流れ続けていく時間を奪い、生ある者に死を与える力だ。
 妖夢は何かを言おうと口を開きかけて、そこで思い止まった。
 人の死を操るという力。その力は消えたわけではなく、まだ幽々子の内に眠っている。幽々子はもうとっくに忘れているが、それは現世にあってはならない筈の力。
 幽々子はにこにことしている。先程の残酷な微笑みは消えていた。あるいは、幽々子の内に眠る力が見せた幻影だったのかもしれない。
 それとも、私が心の奥底で抱いている──いつもそれを否定し、忘れようと努めているのだが──主への恐怖が見せた錯覚だったのだろうか。
「どうしたの?」
 幽々子はいつもと変わらない笑顔で、妖夢を優しく見つめていた。
 ああ、そうか。
 幽々子はまだ生きていた頃、自らの命を絶つほどの深い絶望と哀しみを背負っていたのだ。
 だからだ。
 だから彼女は、いつもそうして笑顔を絶やさない。いつも悩まず、いつも朗らかで、いつも何も考えていないように思えるのは、まだ生ある身であった頃にあまりにも深く深く悩んでいた反動からなのだ。
 幽々子が二度とあの妖しの桜を見ないようにと願って、その桜の下に葬られたのは、人を死へと誘う桜と同じ力を持ってしまった幽々子の身の儚さを憐れんでのことなのだろう。
 ここ白玉楼の亡霊たちは、幽々子を始めとしてなぜみんなそんなに陽気なのか考えた事もなかった。
 もちろん、数多の桜の下にはたくさんの死者が眠りについている。それら静かに眠る者たちは、生前に未練はないのだろう。だが、深い悲しみの果てに非業の死を遂げた者たちは、その悲しみ故に、死した後は幽霊の身でここ白玉楼に留まり、生前に得る事ができなかった喜びや楽しみを謳歌しているのだ。
 それでもまだ生前に未練を残す者は、悪霊の類として、幻想郷に住む、たとえば神社の巫女とか人間の魔法使いとかに狩られているのかもしれない。
 人が死ぬということ。
 それは、既に亡霊となった幽々子にはもう知る術のない事。
 自分は、人を殺めることに躊躇していたのではなく、人を殺めるという事実の重さを自らの半身に縛り続けていたのだ。幽々子が二度とそれを思い出さぬよう、二度とその力を使う事のないように。
 迷っていたのではなかった。既に道は示され、往く先ははっきりと分かっていた筈なのに、それを知る事を拒んでいたのだ。いや、それが迷っていたという事なのかもしれないが。
 遠き日。幼い頃に、満開の桜の下で引き合わされた幽冥の姫。生と死の境界に生きる魂魄家の者は、その生と死の間で苦悩の末に世を去った、幽々子の支えとなるべくして半幽の一族なのかもしれない。
「もちろん、あなただけじゃ心許ないから、私も行くわよ。」
 不意に幽々子が何かを促すようにそう言うと、
「…ええ、すみません、お嬢様。調査に参りましょう。」
と、妖夢は長いような短いような逡巡を、無理に笑いを作って打ち切った。
「そうね、満月だけならいざ知らず、三日月まで無くなったりしら、ここの連中もおちおち眠っていられないわ。」
 惚けたように言う幽々子に、妖夢は目を細める。
 本当の幽々子は──。
 いや、そんなことはもう考えなくてもいい。私にとって、大切な主は、何処に行っても自分を見失わず、いつもどんな時でも自分を隠さず、真っ直ぐで裏表なく振る舞っている。
「…幽々子様、私が盾となって、必ずやお守り致します。」
 それを聞いて、幽々子は少しだけ振り向いて言った。
「それは違うわね、あなたは剣よ。それも、鋭さと脆さが兼ね備わった諸刃の剣。いっつも私が助けてあげないと駄目なんだから。」
 妖夢は苦笑した。
 そうかもしれない。いつもこの我儘なお嬢様に振り回されていると思っていたが、逆に自分が支えられている事にずっと気が付かなかった。
 幽々子の身体がふわりと浮かぶ。
「じゃあ行くわよ、妖夢。遅れないようにね。」
「はい!」 
 二刀の少女は、今まで見せた事がないような晴れ晴れとした表情で力強く返事をすると、振り返ってしばらくの間、鐘楼門のすぐ傍にある一際大きく見事な桜の大木を見つめた。
 が、やがて、決意の(みなぎ)みなぎ(みなぎ)ったひとりの剣士の表情へと戻ると、主の姿を追って二本の剣を手に夜の空へと飛び立って行った。

 (-了-)


※注釈

『馬手・弓手』…もともと騎馬武者に使う表現で、手綱を持つ右手が馬手、弓を持つ左手が弓手。
『刃渡り』…全長ではなく、刃の部分の長さです。妖夢の剣は少し短いですね。
『身長差』…咲夜、紫、美鈴の順で背が高いと思ってます。スタイルの良さもこの順番で。ワーストはもちろんフランドール、パチュリー、ミスティア(笑)。
『柳』…紙双六の発祥で、「つみかえ」とも言います。現代ではスゴロクといえばたいていここから。サイコロ次第のような気もしますが。
『本双六』…バックギャモンと思って下さい、ほぼ同じルールだし。古典に登場する双六とは全てこれです。
『朱四』…サイコロのゾロ目は一、二、五、六は「重一」「重二」「重五」「重六」と呼びますが、三と四のゾロ目だけは「朱三」「朱四」と呼びます。
『観月台』…楼閣建築におけるテラスのようなものです。文中の勝手な設定では西行妖のそばにあるので、お花見もできそうです。
『白玉楼の造り』…すみません、完全に私の妄想と拡大解釈と誇張とでっち上げで書いてます(笑)。


今回もまずは謝罪です、すみません。
えー、冥界組のSSなのですが、前のやつはプロローグの私的解釈と言っていましたが、今回は完全に別物に成り下がりました。ヴィジュアルノベルかなんかだと思って下さると助かります。紅魔組の折に、わざわざ白玉楼階段の回想を入れたのは実はこのためなのでした。しかも弾幕じゃなくなってるし…(笑)。
相変わらず色気のない文なのですが、今回はストーリープロットを脳内劇場でまとめた段階で、二人とも悲劇のヒロインよろしく暗い話になる事が確定してしまいました。戦闘シーンはもう少し緊張感が欲しかったのですが…非才の身ではそれも無理でした。
また、指摘されていることですが、私の文章は別な所で書いている某荒唐無稽ロボット活劇のSSとか某伝奇ヴィジュアルノベルのSSもそうですが、とにかく硬い文体ですので、漢字を減らすと締まりがなくなってしまいます。そんなわけで、今回はふりがなを少しつけましたのでご容赦下さい。
つーかタグ打てるの知りませんでしたが(笑)。

最後に、お読み下さってありがとうございました。深く感謝致します。
MUI
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コメント



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5.50shinsokku削除
なるほどぅ、白玉楼ってそうなってたんだー。
なんて思わず納得しきってしまうほどの重厚にして細緻な楼閣の描写。
冥界全体もそうですが、白玉楼は原作においてビジュアルに現れない。
そこをきっちり書き出すならぬ描き出してしまう。
当方、いたく感服いたしました。
8.70Barragejunky削除
すごいです。すばらしいです。わんだほーです。
Shinsokku氏と同様に、拙にも白玉楼が見えてきました。くっきりはっきりと。
この描写の緻密さは一体どこから来るのでしょう。
ひょっとして実際に白玉楼を見てきたのではとさえ思ってしまいます。
戦闘シーンはご自身で納得がいっていないとの事ですが……すみません、自分はこれでも十分にどきどきしてしまいました。
どうにも読者としてのレベル足りてないですね。的確な意見が出せない未熟が口惜しい。
緊迫感、自分も書けるようになりたいです。どうすれば書けるのかな?
さて、残りは結界組ですが作者様の描くゆかりんと霊夢は果たしてどんな素敵なかけあいを見せてくれるのか、楽しみでなりません(待て
まさか、ここまで来て書かないなんてことは……
いやいや妖夢、それを決めるのは作者様の胸三寸。
どんな作品だろうと面白くないはずがないのだから、ただ待てばいいのだ。
14.70とっきー削除
本編ではどこにも登場しないはずの情景を描く、そのディティールの凝りようにも驚きますが、妖夢と幽々子の心情描写にも驚かされます。本文とは別に、実はかなり細かく設定などをお考えだったのでは?
ゲームのほうでは割とのん気な2人ですが、そう見える理由付けが解釈として非常に面白いと感じました。ご自身がおっしゃっているように、本当に悲劇のヒロインみたいで。

一貫してシリアスな文章は私は非常に好きですが、前作のように面白く読ませてくれる箇所を盛り込んで欲しかった…というのは贅沢でしょうか。
他の読者の方はコメントしづらいかもしれませんね。
19.70RIM削除
妖々夢における影のエピソード。
本編で語られぬ妖夢の心境が赤裸々に綴られていてのめり込むように読めました。
妖夢と同じ従者である咲夜。彼女が見せた表情の意味は何を意味しているのか。彼女達にしか分からないであろう思いの交差。
主の期待に添える事、守る事、尽くす事…咲夜と違い幼い妖夢にとっては心が押し潰されるほどではないのでしょうか。

戦闘のシーンではその臨場感がありとてもハラハラしました。
細かな心境、情景の描写に参りました。
最後は結界組。彼女達の話はどうなるのか期待しています。
20.80ういうい削除
妖夢カッコ良すぎ~(笑)。そしてゆゆ様のなんと優雅なことか、マジでお嬢様って感じです。この2人の関係には憧れました、紅魔組とは違う絆の強さを思います。
冒頭の咲夜との対決シーンは凄く雰囲気が出ていると思うんですが、どうなんでしょう。作者様は不満なんでしょうか。
相変わらずの実に読ませる文章に驚くばかりです。
ああ、なんか言葉が出ない漏れの読解力と表現力のなさ…_| ̄|○