ヴワル魔法図書の管理人であるパチュリー
彼女はいつも本を読んでいる。
今読んでいるのは、以前ルーミアが持ってきて写本させてもらった夜の書と黒の書である。
最初に読んでいるのは夜の書である。
夜は、忘却を回想し、昏睡を覚醒させ、死を産んだ。
この一文に目が止まる。
「解釈としては
忘れた事を忘れてしまったと気がつくようにしてしまい、
生き物に眠りを強制させ、、
死という終わりを定めた。
と言う事かしら?」
そこでふと思い出す。
「ふむ、これは、どこかの神話と似てるわね・・・」
もし、夜がいたとしたら、西行寺の死も夜の支配下になるということである。
まぁ、そんな妖怪聞いた事無いが。
途中だけど、黒の書でも読んでみようか。
分厚い本を開ける。
「あら?」
紫の色は、過程、境目の色。
生が死へ移る時、朝が夜に、夜が朝に変わる時
青と赤の中間の色
なるほど、たしかに、彼女の名前には相応しい。
何故か表紙の裏に書かれていた。
「ムラサキ・・・ユカリ?
もし、これが本当ならこの本の著者をあの隙間妖怪が知っているって事かしら・・・?」
それにしても、その式の名前が藍と橙とは
相当自分の名前が気に入っているからなのか、
言葉遊びのように適当に付けたのか・・・・
そんな事を考えていると
ガチャリ、キィィ・・・
ノックも無しにドアを開けられる。
今までの経験上、そんな行動を取るのは彼女しかいない。
「またきたの?」
そう言いながら、視線を本からドアの方に移す。
「!!?」
「・・・よぉ」
そこには、予想通り魔理沙が立っていた。
が、表情は暗く、ボロボロの姿で。
「一体どうした訳?」
「弾幕ごっこでな、つい・・・」
元気の無い、落ち込んだ様子で向いの席に座る。
「紅白でも怒らせたの?」
と視線を本に戻す。
「・・・・いや、チルノと相打ちだった。」
「え?」
読書どころではない。
あの魔理沙が、子供の氷精と相打ちだなんて
驚愕する私の手を握って、泣きそうな表情で彼女はこう言った。
「なぁ、パチュリー、私はどうすればいいんだ?
スペルカードが・・・スペルカードが使えなくなったんだ」
心底驚いた彼女は
「今日の出来事、どうしてそうなったかを聞かせてくれない?」
手を握ったままでそう聞いてきた。
「あぁ、わかった」
結界内を轟音と閃光が支配する。
「・・・・・・・よぉぉぉおおおおおっし!」
完全にモノにした。
何かって?
新しいスペルの事だ。
ここは森の奥深く。
そこに大規模な結界が展開していた。
結界に詳しくなければ、誰も気がつかないような高度な結界である。
家を出る時に拝借してきた結界符を利用して、極秘裏に毎日魔法の特訓を行っていた。
そして、遂に新魔法が完成したのだ。
「ふふふッ明日は実践で・・・・」
自然とニヤケてしまう。
そんなまれに見る至福の中で眠りについた。
翌日、少し寝坊してしまった。
予定より2時間も多く寝てしまったのだ。
しかも、なぜか胃が荒れているようで朝食もおかわり無しだった。
まぁ、気にしない。
それより実践テストである。
「ん~、やっぱりアイツだな」
そう一人呟くと、湖へ急いだ。
「お~い、寒い奴~」
そう言いながら湖上を飛んでいると
「寒い奴って言うな!」
早速現れた。
「あら、チルノさんごきげんよう」
「いきなり改まるな!」
「さっそくだが、弾幕ごっこしないか?」
「・・・・・むちゃくちゃな奴ね」
「でも、寒くは無いぜ」
この一言で弾幕ごっこが始まった。
「今日こそは~~~~!!」
チルノの奴も少しは腕を上げたみたいだ。
なぜか端のほうで大妖精(たしか、ラミュスとか名前があったな)が見学していた。
ダイヤモンドブリザードを切り抜けると
「頃合か、いくぜ!」
両手を前方に突き出す!
「くッ!」
ビクつくチルノ。
新しく作った符に魔力を流し、術式を起動させる。
・・・・・ん?
いつものスペルカードとはケタ違いの力が必要な為なのか?
両手のひらにカード状に魔力が形成されない。
何故だ!?昨日は上手くいったのに!
この状況にさすがのチルノも気がつく。
「・・・・・」
「・・・・・」
ニヤリ
「なんだかわかんないけど、もらったー!」
「くッそぉォォォーーーー(なんでだーーーー!?)」
「・・・・・・」
「なぁ、私は魔力が無くなってしまったのか?」
「はぁ・・・・」
私はため息をつく。
「魔理沙、魔力が無くなるなんて事は既に死体になってるって事と同じよ?
前にも話したけど、魔力は力の源とか力の大元とか言われる
方向性のあるモノの総体の内の一つ。
その魔力だけど、さらに2種類に分けれるわ。
自らの魂から生み出される魔力
もう一つは、その、総体から流れ出る魔力元素
これは知ってるわよね?」
「あ、あぁ」
多少怒気が含まれているせいか、すこし、引いているようだ。
そんなことは気にしない。
なにより彼女が悪いのだ。
「それで、前者は純粋に自分自身の魔力
使いすぎで少なくなるかもしれないけど、魂が無事なら無限に供給できるわ。
後者はその魂の世界版と思えば・・・逆ね、前者が縮小版ね・・・って話がずれたわ。
前者は直接自分に供給されるけど、後者は自身に取り入れなきゃ駄目
ただし、個人個人に魔力を蓄えておける限界ってのがあるわ。
それと同じで、一度に取り込める量、排出する量にも限界があるのは、解る?」
「あぁ、たとえば、1秒に魔力10を取り込めるのが限界な奴と、魔力5しか取り込めない奴とかいるって事だろ?」
「そう。
私は、その取り込む入り口を窓
蓄えるのを部屋
と呼んでいるわ
窓が大きい者、小さい者、いろいろいるわ。
で、普通の魔法使いならこの限界を超える事はしないわ」
「って事は・・・・」
「そう、いくら取り込む窓、排出する窓、蓄える部屋が大きいからって
無茶をすれば壊れるわ。
そして、そんな基本的な事を守れない貴女にため息をついたのよ。」
あはははと乾いた笑いをする魔理沙。
「でも、なんでスペルカードが使えないんだ?
他の魔法は大丈夫なのに・・・・」
「それは、貴女自身の魔力で十分足りてるからね
窓が傷つくと、修復されるまでは魔力元素はごく少量しか取り込めないから
マスタースパークとか大出力な魔法は無理ね。
ちょっとその新しい符を見せてもらえる?」
「いいぜ、んっと・・・これだ。」
スカートの中から取り出した符を受け取る。
「ん・・・・」
魔力を微量流して、術式を読み取る。
「ちょっと、魔理沙!」
「ん?おどろいたか?」
「貴女、これは、無茶を通り越して無謀よ
マスタースパークと似た感じだけど、
こっちは違う。
恋符の場合増幅、制御、照射に使う魔力を最大魔力容量限界まで蓄えれば、供給無しでも十分扱えるけど、
新しい方は、増幅、制御に最大魔力容量全て使用して、
自分自身を魔力元素供給装置兼照射装置として魔法、いや、術式の一部として使用
魔理沙、いくら自分が供給量、排出量がケタ違いだからって危険すぎるわ・・・」
「解ってくれとは言わないが、私にはこれしか無いんだよ。
アリスの用に器用でもない、お前のように才能、素質があるわけでもない。
そういう事なんだ・・・」
「・・・・・」
場が一気に静まる。
そんな状況を知ってか知らずか
小悪魔のリトルが紅茶を持ってきた。
うん、今日はアールグレイみたいね。
「しかし、貴女が秘密特訓してるなんてね・・・・」
「う、うるさい、いいじゃないか別に・・・」
ふぅ・・・
紅茶を飲み終えて一息つく。
「なぁ、パチュリー」
「なに?」
「すぐにでも治らないか?」
・・・・そんなにも努力がしたいのだろうか。
自分自身を削ってまで。
そして、目標は私や人形遣い?いや、身近にいるか。
溢れる才能を持ち、天才肌であるあの巫女、か・・・・
「すぐに治す事はできないわ」
「そうか・・・」
がっくりと肩を落す。
「でも、早める事はできるわ」
「ほ、本当か?」
「えぇ、でも応急処置程度よ?」
「かまわん!やってくれ!」
「やっぱり、恥ずかしい・・・・」
「何言ってるの、普通なら全裸よ?」
と魔理沙程ではないが顔を赤らめるパチュリー。
「やってくれ!」と言ったら「なら、脱いで」と言われ現在ドロワースのみである。
「まずは、触診から・・・」
と手先に魔力が集まり、喉に触れる。
「脱ぐ必要あったのか?」
「うるさい、それに全身するのよ」
「くすぐったいぜ」
そして、左右胸部、中央、腹部、と上から順に触られる。
「下腹部の方も調べたいけど・・・・睨まないでよ。わかったわ、下腹部はいいわ」
「ふぅ・・・でも、なんで全身なんだ?」
「窓破損の影響は、内臓にまず出るのよ。
それに、肉体が正常になれば、自然と治るのよ。
今日の朝、食欲無かったでしょ?」
とさらに強い魔力を手先に集め、腹部、胃の辺りを押さえる。
「あ、あぁ」
「すこし、痺れるかも・・・フッ」
魔力を胃の辺りに流し込む。
「ぐぁ・・・」
「思ったより、軽症ね」
そして、へそに手が伸びる。
へその部分は内臓に近い。
あのショックがへそから来ると思うと拒絶したくなる。
「お、おい!」
おもわず手を掴んでしまう。
「なによ、排泄器官からの方が効率いいんだけど、そっちがいいの?」
「・・・・・へそでお願いします」
「あ、リトル、タオル用意してね」
「はい、大丈夫です。」
いつの間にかタオルを片手に持ったリトルがそこにいた。
微妙に顔が赤いのは気のせいだろうか
「いくわよ」
魔力がへそに流れる。
「!!?・・・・・グゥッ」
ビクッとしたあと、突然口を押さえる魔理沙。
そこにリトルがタオルを持ってくる。
ベッ
黒い血の塊のような物が口から吐き出される。
窓の破損の影響だろうか?
しかし、気分はスッキリし、調子が戻ったような気がした。
「とりあえず、応急処置したけれど、はい。」
と2種類の液体の入った小ビンを取り出す。
「こっちの赤い液体は、毎朝服用しなさい。
1週間位でかなり回復するわ。
それに、肉体と共に窓も多少強化されるわ。
あと、完治しても、その新しいスペルカードは一日一回にしておきなさい。
他のスペルカードを使用しなければニ回までならいいわ。
こっちの緑の液体は三回目を撃ちたい場合に飲んでおきなさい。
帰ってくる反動を大分軽減できるわ。」
「ありがとうな、パチュリー」
ゴソゴソと服を着て帰り支度をする。
「じゃあな」
「無理するんじゃないわよ」
後ろを向きながらそう言う。
キィィ、バタン
「凡人が天才に迫ろうだなんて・・・人の身で魔女や魔族を超えるのと同意義よ?
でも、その為の、努力、か・・・」
聞こえなくなってから、そう呟く。
まるで愚痴るように。
そして、足元に雫が落ちる。
「パチュリー様・・・」
「何?」
「その、セリフは格好良いんですが・・・・あの、出てますよ?
鼻血。」
後日
「しかし、さっきの霊夢、すごかったわね・・・・」
そう呟くアリス。
昔から、怒ったあいつは怖かった。
でも、
遂に、
超えた!
私は平常を装いながらも、心の中で叫んでいた。
「それよりも、さっき最後に使った魔砲だっけ?
体大丈夫なの?
見た感じやばそうだったけど」
「あぁ、大丈夫だぜ、こいつもあるしな」
そういってスカートから緑の液体の入った小ビンを取り出し
飲み干す。
「うへぇ、苦い」
「ほら、屋敷が見えてきたわ」
「さて、もう少しだ、行こうぜアリス」
「えぇ。」
彼女たちは先に進む。
満月を取り戻すために。
彼女はいつも本を読んでいる。
今読んでいるのは、以前ルーミアが持ってきて写本させてもらった夜の書と黒の書である。
最初に読んでいるのは夜の書である。
夜は、忘却を回想し、昏睡を覚醒させ、死を産んだ。
この一文に目が止まる。
「解釈としては
忘れた事を忘れてしまったと気がつくようにしてしまい、
生き物に眠りを強制させ、、
死という終わりを定めた。
と言う事かしら?」
そこでふと思い出す。
「ふむ、これは、どこかの神話と似てるわね・・・」
もし、夜がいたとしたら、西行寺の死も夜の支配下になるということである。
まぁ、そんな妖怪聞いた事無いが。
途中だけど、黒の書でも読んでみようか。
分厚い本を開ける。
「あら?」
紫の色は、過程、境目の色。
生が死へ移る時、朝が夜に、夜が朝に変わる時
青と赤の中間の色
なるほど、たしかに、彼女の名前には相応しい。
何故か表紙の裏に書かれていた。
「ムラサキ・・・ユカリ?
もし、これが本当ならこの本の著者をあの隙間妖怪が知っているって事かしら・・・?」
それにしても、その式の名前が藍と橙とは
相当自分の名前が気に入っているからなのか、
言葉遊びのように適当に付けたのか・・・・
そんな事を考えていると
ガチャリ、キィィ・・・
ノックも無しにドアを開けられる。
今までの経験上、そんな行動を取るのは彼女しかいない。
「またきたの?」
そう言いながら、視線を本からドアの方に移す。
「!!?」
「・・・よぉ」
そこには、予想通り魔理沙が立っていた。
が、表情は暗く、ボロボロの姿で。
「一体どうした訳?」
「弾幕ごっこでな、つい・・・」
元気の無い、落ち込んだ様子で向いの席に座る。
「紅白でも怒らせたの?」
と視線を本に戻す。
「・・・・いや、チルノと相打ちだった。」
「え?」
読書どころではない。
あの魔理沙が、子供の氷精と相打ちだなんて
驚愕する私の手を握って、泣きそうな表情で彼女はこう言った。
「なぁ、パチュリー、私はどうすればいいんだ?
スペルカードが・・・スペルカードが使えなくなったんだ」
心底驚いた彼女は
「今日の出来事、どうしてそうなったかを聞かせてくれない?」
手を握ったままでそう聞いてきた。
「あぁ、わかった」
結界内を轟音と閃光が支配する。
「・・・・・・・よぉぉぉおおおおおっし!」
完全にモノにした。
何かって?
新しいスペルの事だ。
ここは森の奥深く。
そこに大規模な結界が展開していた。
結界に詳しくなければ、誰も気がつかないような高度な結界である。
家を出る時に拝借してきた結界符を利用して、極秘裏に毎日魔法の特訓を行っていた。
そして、遂に新魔法が完成したのだ。
「ふふふッ明日は実践で・・・・」
自然とニヤケてしまう。
そんなまれに見る至福の中で眠りについた。
翌日、少し寝坊してしまった。
予定より2時間も多く寝てしまったのだ。
しかも、なぜか胃が荒れているようで朝食もおかわり無しだった。
まぁ、気にしない。
それより実践テストである。
「ん~、やっぱりアイツだな」
そう一人呟くと、湖へ急いだ。
「お~い、寒い奴~」
そう言いながら湖上を飛んでいると
「寒い奴って言うな!」
早速現れた。
「あら、チルノさんごきげんよう」
「いきなり改まるな!」
「さっそくだが、弾幕ごっこしないか?」
「・・・・・むちゃくちゃな奴ね」
「でも、寒くは無いぜ」
この一言で弾幕ごっこが始まった。
「今日こそは~~~~!!」
チルノの奴も少しは腕を上げたみたいだ。
なぜか端のほうで大妖精(たしか、ラミュスとか名前があったな)が見学していた。
ダイヤモンドブリザードを切り抜けると
「頃合か、いくぜ!」
両手を前方に突き出す!
「くッ!」
ビクつくチルノ。
新しく作った符に魔力を流し、術式を起動させる。
・・・・・ん?
いつものスペルカードとはケタ違いの力が必要な為なのか?
両手のひらにカード状に魔力が形成されない。
何故だ!?昨日は上手くいったのに!
この状況にさすがのチルノも気がつく。
「・・・・・」
「・・・・・」
ニヤリ
「なんだかわかんないけど、もらったー!」
「くッそぉォォォーーーー(なんでだーーーー!?)」
「・・・・・・」
「なぁ、私は魔力が無くなってしまったのか?」
「はぁ・・・・」
私はため息をつく。
「魔理沙、魔力が無くなるなんて事は既に死体になってるって事と同じよ?
前にも話したけど、魔力は力の源とか力の大元とか言われる
方向性のあるモノの総体の内の一つ。
その魔力だけど、さらに2種類に分けれるわ。
自らの魂から生み出される魔力
もう一つは、その、総体から流れ出る魔力元素
これは知ってるわよね?」
「あ、あぁ」
多少怒気が含まれているせいか、すこし、引いているようだ。
そんなことは気にしない。
なにより彼女が悪いのだ。
「それで、前者は純粋に自分自身の魔力
使いすぎで少なくなるかもしれないけど、魂が無事なら無限に供給できるわ。
後者はその魂の世界版と思えば・・・逆ね、前者が縮小版ね・・・って話がずれたわ。
前者は直接自分に供給されるけど、後者は自身に取り入れなきゃ駄目
ただし、個人個人に魔力を蓄えておける限界ってのがあるわ。
それと同じで、一度に取り込める量、排出する量にも限界があるのは、解る?」
「あぁ、たとえば、1秒に魔力10を取り込めるのが限界な奴と、魔力5しか取り込めない奴とかいるって事だろ?」
「そう。
私は、その取り込む入り口を窓
蓄えるのを部屋
と呼んでいるわ
窓が大きい者、小さい者、いろいろいるわ。
で、普通の魔法使いならこの限界を超える事はしないわ」
「って事は・・・・」
「そう、いくら取り込む窓、排出する窓、蓄える部屋が大きいからって
無茶をすれば壊れるわ。
そして、そんな基本的な事を守れない貴女にため息をついたのよ。」
あはははと乾いた笑いをする魔理沙。
「でも、なんでスペルカードが使えないんだ?
他の魔法は大丈夫なのに・・・・」
「それは、貴女自身の魔力で十分足りてるからね
窓が傷つくと、修復されるまでは魔力元素はごく少量しか取り込めないから
マスタースパークとか大出力な魔法は無理ね。
ちょっとその新しい符を見せてもらえる?」
「いいぜ、んっと・・・これだ。」
スカートの中から取り出した符を受け取る。
「ん・・・・」
魔力を微量流して、術式を読み取る。
「ちょっと、魔理沙!」
「ん?おどろいたか?」
「貴女、これは、無茶を通り越して無謀よ
マスタースパークと似た感じだけど、
こっちは違う。
恋符の場合増幅、制御、照射に使う魔力を最大魔力容量限界まで蓄えれば、供給無しでも十分扱えるけど、
新しい方は、増幅、制御に最大魔力容量全て使用して、
自分自身を魔力元素供給装置兼照射装置として魔法、いや、術式の一部として使用
魔理沙、いくら自分が供給量、排出量がケタ違いだからって危険すぎるわ・・・」
「解ってくれとは言わないが、私にはこれしか無いんだよ。
アリスの用に器用でもない、お前のように才能、素質があるわけでもない。
そういう事なんだ・・・」
「・・・・・」
場が一気に静まる。
そんな状況を知ってか知らずか
小悪魔のリトルが紅茶を持ってきた。
うん、今日はアールグレイみたいね。
「しかし、貴女が秘密特訓してるなんてね・・・・」
「う、うるさい、いいじゃないか別に・・・」
ふぅ・・・
紅茶を飲み終えて一息つく。
「なぁ、パチュリー」
「なに?」
「すぐにでも治らないか?」
・・・・そんなにも努力がしたいのだろうか。
自分自身を削ってまで。
そして、目標は私や人形遣い?いや、身近にいるか。
溢れる才能を持ち、天才肌であるあの巫女、か・・・・
「すぐに治す事はできないわ」
「そうか・・・」
がっくりと肩を落す。
「でも、早める事はできるわ」
「ほ、本当か?」
「えぇ、でも応急処置程度よ?」
「かまわん!やってくれ!」
「やっぱり、恥ずかしい・・・・」
「何言ってるの、普通なら全裸よ?」
と魔理沙程ではないが顔を赤らめるパチュリー。
「やってくれ!」と言ったら「なら、脱いで」と言われ現在ドロワースのみである。
「まずは、触診から・・・」
と手先に魔力が集まり、喉に触れる。
「脱ぐ必要あったのか?」
「うるさい、それに全身するのよ」
「くすぐったいぜ」
そして、左右胸部、中央、腹部、と上から順に触られる。
「下腹部の方も調べたいけど・・・・睨まないでよ。わかったわ、下腹部はいいわ」
「ふぅ・・・でも、なんで全身なんだ?」
「窓破損の影響は、内臓にまず出るのよ。
それに、肉体が正常になれば、自然と治るのよ。
今日の朝、食欲無かったでしょ?」
とさらに強い魔力を手先に集め、腹部、胃の辺りを押さえる。
「あ、あぁ」
「すこし、痺れるかも・・・フッ」
魔力を胃の辺りに流し込む。
「ぐぁ・・・」
「思ったより、軽症ね」
そして、へそに手が伸びる。
へその部分は内臓に近い。
あのショックがへそから来ると思うと拒絶したくなる。
「お、おい!」
おもわず手を掴んでしまう。
「なによ、排泄器官からの方が効率いいんだけど、そっちがいいの?」
「・・・・・へそでお願いします」
「あ、リトル、タオル用意してね」
「はい、大丈夫です。」
いつの間にかタオルを片手に持ったリトルがそこにいた。
微妙に顔が赤いのは気のせいだろうか
「いくわよ」
魔力がへそに流れる。
「!!?・・・・・グゥッ」
ビクッとしたあと、突然口を押さえる魔理沙。
そこにリトルがタオルを持ってくる。
ベッ
黒い血の塊のような物が口から吐き出される。
窓の破損の影響だろうか?
しかし、気分はスッキリし、調子が戻ったような気がした。
「とりあえず、応急処置したけれど、はい。」
と2種類の液体の入った小ビンを取り出す。
「こっちの赤い液体は、毎朝服用しなさい。
1週間位でかなり回復するわ。
それに、肉体と共に窓も多少強化されるわ。
あと、完治しても、その新しいスペルカードは一日一回にしておきなさい。
他のスペルカードを使用しなければニ回までならいいわ。
こっちの緑の液体は三回目を撃ちたい場合に飲んでおきなさい。
帰ってくる反動を大分軽減できるわ。」
「ありがとうな、パチュリー」
ゴソゴソと服を着て帰り支度をする。
「じゃあな」
「無理するんじゃないわよ」
後ろを向きながらそう言う。
キィィ、バタン
「凡人が天才に迫ろうだなんて・・・人の身で魔女や魔族を超えるのと同意義よ?
でも、その為の、努力、か・・・」
聞こえなくなってから、そう呟く。
まるで愚痴るように。
そして、足元に雫が落ちる。
「パチュリー様・・・」
「何?」
「その、セリフは格好良いんですが・・・・あの、出てますよ?
鼻血。」
後日
「しかし、さっきの霊夢、すごかったわね・・・・」
そう呟くアリス。
昔から、怒ったあいつは怖かった。
でも、
遂に、
超えた!
私は平常を装いながらも、心の中で叫んでいた。
「それよりも、さっき最後に使った魔砲だっけ?
体大丈夫なの?
見た感じやばそうだったけど」
「あぁ、大丈夫だぜ、こいつもあるしな」
そういってスカートから緑の液体の入った小ビンを取り出し
飲み干す。
「うへぇ、苦い」
「ほら、屋敷が見えてきたわ」
「さて、もう少しだ、行こうぜアリス」
「えぇ。」
彼女たちは先に進む。
満月を取り戻すために。
タイトルの方に注意書きを追加しました。
EXAMさんの描写はわかりやすいほうかと思います。
なんだかんだと魔理沙に世話を焼いてるパチェが
とてもお姉さんっぽくて微笑ましくっていいですね。
>EXAMさんの描写はわかりやすいほうかと思います。
解りやすいですか、
一応、独自の考えからの設定なので、上手く伝わってるか心配でした。
うれしいです。
あぁ、本文をBarragejunkyさんや、shinsokkuさんみたいに格好良く書ければなぁ(´・ω・`)
ネチョロダにネタバレのお詫びの品を置いてきました。
・・・・これもネタバレになっててお詫びになってないですが_| ̄| (((○
ウサ∩(・ω・)∩ウサ
天才を超えるには、凡人は体を壊すほどの努力をしないといけないんでしょうかねぇ……。まあ魔理沙の場合は、たとえ霊夢を超えられなくとも、パチュリーが優しく受け止めてくれそうですが。「私がいるじゃない」とか言われて、それに甘える魔理沙。――ハッ、いかんいかん妄想が(手遅れ)。
感想書いたので小躍りして下さい(ぉ
鼻血、紫の名前については後で追加したものなので、最初は違ったんですよ?
魔理沙は凡人でも十二分な素質があるけど、霊夢は天才でも桁外れな天才。しかもかなりの幸運の持ち主。
そんなの超えるには並大抵な努力じゃ無理だろうなって事で。
>小躍り
ダレモイナイ、コオドリスルナライマノウチ(略
ボム消費の設定ネタ貰っていいデスカ(ぉ