Coolier - 新生・東方創想話

月下の戦乙女達

2008/09/18 20:03:34
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 作品集52「フランドール羽ばたく」の続編です。
 設定を引き継いでいますので、そちらから読みませんとさっぱり分からないと思われます。
 できればそちらを読んでからお進みください。 
 あとのっけから残虐シーンです。
















 冬至のこの日、湖畔の森は地獄と化した。
 地獄は言葉としては良く使うものですが、では地獄とは何か。私が思うに地獄とは灼熱の炎でも千本の針の山でも無いのだと。
 人の世界から慈悲やいたわりとか優しい心を抜くと人が修羅へ、理性が抜け生き物の地が出ると修羅が畜生へ、生き物の本能が満たされなくなると畜生から餓鬼へと六道の階層が下ってゆくのだと思う。
 しかし地獄と称される世界は上級の生き物から下層の生き物へ落ちてゆく話では無い。
 私が地獄と呼ぶ世界は、過剰な感情が渦巻く世界。単なる飢えや痛みへの苦しみや、転がる死体だけでは地獄にならない。

 大事なものがあって、それが失われる世界。

 理性があって真っ当な感情がある高度な知性的存在、それが世界に裏切られる。うまく言えなくてもどかしいのですが、それこそが地獄なのでしょう。

 人としての尊厳は踏みにじられ、慈愛の聖母は邪神に陵辱され、救いの主は十字架に掛けられる、地獄と呼ぶのはそんな希望の箱が打ち砕かれた世界。




 紅魔館の対岸、湖畔の森を阿鼻叫喚の地獄に変えたのは私達二人。
 それは私こと紅美鈴と、妹様ことフランドール・スカーレット様の二人。





 うめき声、すすり泣く声、叫び声、命乞いする母と無慈悲に殺される子供。悲嘆にくれる母の頭は蹴飛ばされ、頭蓋骨が弾け飛び脳漿が雪に撒かれる。
 雪化粧にて純白だった森は血糊と脳漿、臓物がはじけ飛び凄惨な有様になってきた。

 しかも死体は原型を留めていないゆえにそうと知らねば分からないが、ここらのシミはかつて子供や女性だったものであり、上にあるような【戦場ではよくある悲劇】が何度も繰り返された。今回の始末の半分は私ではあるけれども。
 母の亡骸にすがりつく子供の頭を、母の死骸諸共私の脚が踏みつぶすというパターンもあったけれど、結果としてたいした違いは無い。
 抵抗するもしないも関係なく、ここに住まう妖怪全てを皆殺しにしない限り、私達は殺戮を止める気は無い。

 抵抗するような相手は、私が湖を渡って上陸するという話ででおびき出した。
 遮蔽物が多い森と、遮るものが無い湖ではもちろん森が有利に見えただろう。
 しかし昨日から無人の博麗神社に潜んでいた妹様が後ろから急襲し、その気があった妖怪どもを掃討してのけた。
 話としてはたあいもないが、知性の無い奴ら相手にはこれで充分過ぎた。

 今私は丹念に気配を読み、怯えてふるえる者を見つけ、暴き出し引きずり出し、哀願や嘆願を聞き流しつつ嬉々として殺す。
 さもないとまた増えるのだ、妖怪は。

『斧ヲ執ルニ伐タズンバ、賊人将ニ来タラントス』と六韜三略にも書いてある。
 いや、この場合は『両葉ニシテ去ラズンバ、将ニ斧柯ヲ用イントス』のほうが近いだろう。
 双葉のうちに抜いておかねば、斧を使わないと木は取り除けなくなる。

 それだけ分かっていて、ぼつねんと門から相手を眺めていたのだ。
 本当にどれだけ悔しかったか。

 ああ、幾千夜この日この時を夢見ていたか。
 門から離れ、ここの妖怪を皆殺しにする事を!

 千里風腥し(なまぐさし)と形容されたのはこんなありさまだったのだろう。この雪に広がる原型を留めぬ紅いシミは、私が手を下すついさきほどまで、笑って泣いて日々の生活をおくっていた。
 平和とは本当に脆い。


 その平和のもろさを知っていたのは、紅魔館の中でたぶん私だけだろう。

 紅魔館には多くの妖怪が襲いかかってくる。
 その多くは紅魔館が臨めるここ湖畔の森からやってきていた。
 普段みているところに豊かな屋敷があるから、欲に駆られた自制心がたりない妖怪が危険を無視して紅魔館に攻めてくる。
 門番は基本的にそんな妖怪を食い止めるのが任務だ。

 ではその門が破られたらいったいどうなるのか。
 下手人が妖怪となれば、阿鼻叫喚という言葉がのどかに思える事態になる。

 屋敷を整えるのは日々苦労が絶えない、だが本当の意味で弱肉強食のこの幻想郷、死臭に咽せ屍肉に群がった虫がワサワサと這いずる不快な廃墟となるのは数刻で充分だ。
 
 その廃墟が造られる課程は耐え難いものがある。

 女性とみたら小さな妖精に到るまで暴行を受け、抵抗するものは切られ潰される。

 メイド達は生きたまま口に放り込まれ、アゴでぐちゃぐちゃと身体を砕かれ悲鳴を上げることになるのだろう。

 壁は落書きで満たされ、貴重な蔵書で満たされた図書室には火が掛けられ、あらゆる調度は略奪され、吸血鬼の高貴さを忍ぶようなものは破壊を免れない。

 もちろんその高雅さをうたわれた主君方は、森を彷徨う暮らしを送る土着の妖怪どもに、なるべく惨めに、むごたらしくなるよう土と汚辱にまみれ殺されることになる。

 
 そういった惨事は門扉一枚という頼りない存在を門番隊が護ることで、かろうじて防がれている。
 かりそめの平和といっていいくらい頼りない。

 攻められるから防ぐ、これはコインの裏表に過ぎない。泥棒が来てから縄をなうようなものだ。
 これは対応であり、対処にはほど遠い。

 対応と対処はどう違うか、それは頭を使うか使ってないかの違いだと思う。
 たとえば薬の売れ行きが悪いとする。
 そこで販売実績が悪いから販売力を強化しようとする考え方がコインの裏表でしか無い。
 宣伝をして販売員を増やすとする。
 しかしこれは宣伝と販売員が増えた分費用がかさむが、そのかさんだ分だけ売り上げが上がるとは限らない。
 逆に費用がかさみ組織が伸びて結束や連携が弱まる分、機能が劣化してしまう事にも成りかねない。

 貧弱な管理、行動の低い精度、人間関係の調整のまずさ、作業の重複や無駄や連絡の悪さ。こういったものはむやみやたらの頑張りで良くなる訳では無い。
 努力とか意識とかだけで問題が解決するなら、咲夜さんはもっと妖精メイドを統率できているはずだ。

 重要な事は一貫性のある方針を周知徹底させること。そしてその方針を適合させることです。
 最終的には一つ一つの作業の意義を、一人一人が説明できるほどになれば実践面でも改善が進んでゆくでしょう。

 
 だから場当たり的対応をまず脱し、抜本的に戦略を設計し改変を行う必要があるのです。必要なのは体系的対処であり、それは重点を定めなにかを後回しにする選択と判断が必要になる。

 ちなみにその視点にて勢力を点検すると、最高峰は永遠亭、次点で妖怪山。最悪なのは白玉楼、ブービーが人里となっている。

 人生を狂わす魔性の女輝夜を筆頭に、仲間だった月の使者を皆殺しにして逐電した永琳、逃亡兵にして狂気の支配者鈴仙、生き甲斐は人を騙すことと公言してはばからない美貌の女詐欺師てゐ。こ奴ら自分は殺るが殺されたくは無いと考える、ヤクザにそっくりなメンタリティーが売り物の悪女どもだ。でも悪女っていいなぁ。

 さらに魔性の女に騙されたスケベヤロウの縁者が、文字通り火の玉になって千年越えても不定期に襲撃してくるため、ここの危機管理態勢は上層部から末端までに貫徹されている。その防衛意識たるや神の子の生まれたたもうた地シオンに匹敵する。

 そんな訳でまぁ永遠亭は別格。
 幹部全員が百万回殺されるだけの理由がある場所なんてそうは無い。

 だが体系が古く陳腐化しているうえに、官僚的で士気も低く哨戒が投げ遣りな作業と化している妖怪山なんぞに劣る、我等が紅魔館の防衛能力は恥じねばならない。
 少なくとも哨戒要因が滝の裏で妖しい将棋で遊んでいる処より、湖という見晴らしが良く障害物も無い絶好の位置を占める私達が索敵能力に劣るというのはもう恥じてしかるべきである。

 諜報能力はもう段違いだ、高いところが妖怪にしては異様に高いのか、それともウチが呆れるほどヒドいのかはさておく。だが薬などの行商人や新聞記者をスパイに仕立て上げている勢力に、情報戦で敵わないというのは言い訳でしか無い。
 多量に居る妖精を活躍させるだけの体系を創造できなかった、私を含む管理者の能力が不足していただけだ。
 
 そして近年やっと自覚ができたところだ、紅魔館に住まう私を含む幹部連中は長き不明を恥じなくてはならない。

 反省だけならサルでもできる、意識を持て、死ぬほど考えよ、対処せよ、今直ぐ立ち上がり、そしてこの空を翔けよ!



 あえかな月光に金の髪をなびかせ、宝石の翼をはためかせてフランドール様が騎行する。
 
「ねえねえ美鈴、あとどれぐらい?」
 
「もうそんなに居ませんよ、帰り道に気配がいくつかあるくらいです」

 紅魔館周りの掃討は時期を選んで行われた。
 フランドールが出撃し、美鈴が気を探って気配を探知すれば、一年三百六十五日いつでも掃討はできる。

 なぜ冬か、まず冬は妖怪も冬ごもりにかかって閉じこもっている。
 つまり逃がすことなく殲滅、皆殺しにできる可能性が高くなる。
 寒い中出歩く妖怪も減る、すなわち発見される可能性が低くなる。
 迎撃態勢が整う前につぶせるだけ潰しておくのが今回の強引な作戦である。
 組織だった連携が無いなら個人能力に秀でたこちらが圧倒できる。

 それに加えフランドール様の行動限界が挙げられる。
 吸血鬼は強力であるが弱点も多い。
 あまり言われることは無いが、一番の弱点は食物が人間の血であること。
 天敵が食料なのだ、吸血鬼なんて種族はこの理由だけでいつ滅亡してもおかしくは無い。

 ほかに聖別された武器、流水、ニンニクなどが弱点と言われるが、なによりやっかいなのが日光である。
 話は変わるがニンニクにはアリシンという殺菌・防腐作用のある物質が入っているらしい。銀も銀イオンがどうのという事をパチュリー様が言っていたし、これに日光や流水などが苦手とは、吸血鬼とは血液による感染症なのかも知れない。

 今度パチュリー様に話してみよう。
 んな実験を思い立たれると吸血鬼vs魔女になりそうで怖いけど。

 ともあれ日光が致命的であるため、今回の作戦は年間のうち一番夜が長い冬至のあとの満月の夜を選んで行った。


 準備は十全とは言い難かった、が、それでも期限を先延ばしにするより今行動を起こすよう提案した。
 実際は紅魔館にヘッドハンティングした方は、このような虐殺を良しとしないことが想定されたからでもある。
 要は反対派が来る前にやりたいことをしておこうと。
 …しかし彼女は本当に祟り神なのだろうか。

 さらに人の条件は重なる。ここまで主要人物が動けない時はちと考え難い。

 八雲紫が冬眠し、山の神社のヘビとカエルの神も冬眠し、そしてレミリア・スカーレットによるふんだんな餅と暖房用燃料で懐柔が行われた博麗霊夢は、安楽に淫するあまり妖怪こたつむりになったあげく、現在コタツの豆炭で中毒になっている。

 豪運を誇る赤巫女はこのくらいでは死なないだろう、主役(ヒロイン)だし。
 近年は人間?の良い医者も神秘のヴェールを抜いて診療を開始した。彼女にまかせておけば問題ない。
 そういえばその女医と咲夜さんとの戦闘は一見の価値があったとお嬢様が言っておられた。

 その女医だが、なんとお嬢様&咲夜さんのコンビで掛かってもまだ本気を出さなかったそうである。この幻想郷はまだまだ奥が深い。

 伊吹萃香は霊夢の看病のため、その永遠亭につきあっている。鬼だ悪魔だと言われるが、彼女は意外に義理堅い。あと妖怪こたつむりを酔って放置していた負い目もあるのだろうか。

 魔理沙とアリスの魔法使いは研究と称してパチュリーが引き込んだ、冬の間は外の事など分からないだろう。

 現に霊夢が一酸化炭素中毒で頭の春に拍車が掛かって脳が無重力になっていることも、怠惰と餅が原因で腹回りが軽くヤバいことになっているのも二人は知らない。情報遮断はうまくいっているようだ。

 介入される可能性は少ないことながら、冬ならばあの風見幽香も出てくる可能性は低い。彼女は夢幻館からピンクのおネグリで夢の世界に旅立っている時期だろう。
 …ああもう想像するだにいやらしい、もちろん性的な意味で。

 閻魔もでて来れない、ただでさえハードワークな彼女は殺戮が行われると殺人的な仕事量になる。一番必要な時に役に立たない、それが四季映姫・ヤマザナドゥの星の巡りでもある。

 それにいくら閻魔でもフランドール様を相手するのは厳しいだろう。
 相手にできるのは死して霊魂になった後だろうが、すでに中世の昔から生きてなお幼女なフランドール様が閻魔の世話になるのは、たぶん人類全てが滅亡し食物が無くなった時になると思われる。

 その時は結局閻魔庁最後のオーバーワークでロクに相手できないことになる。

 まぁそんな少し先の事はいい、ようするに私とフランドール様をじゃまするような存在は、現時点で予定に入って無い。そのはずだった。

 だが森を抜け、湖のへりに彼女らは立っていた。
 少し考えれば意外でもなんでも無い、それでいて不思議と彼女らと相まみえることは考えに入れていなかった。








 一人はチルノ、顔なじみの氷の妖精。言動も行動も幼いが、妖精という種族の限界を遙かに超えた天賦の力を持っている。
 条件がそろってなおかつ好調ならば、あの幽香や閻魔とすら対等に戦えるという。
 今は冬至で深夜で満月、絶好調とみていいだろう。



 もう一人は大妖精と呼ばれる存在。今はチルノに合わせてか幼い姿を取っているが、妖精としては全世界有数の実力者と推測される。大妖精の二つ名は伊達では無い。
 泉の精霊と言われている、本当に元が泉の妖精程度だとしたらチルノのような天賦の才能は無い。
 それでこれだけの力があるのだから、お嬢様方はもとより千年ほど生きている藤原妹紅を遙かに超え、有史以前より生きている守矢の二柱や因幡てゐすら超えて長命なのだろう。もしかすると私より生きているかもしれない…

 妖精のたぐいは生きているだけで価値が増す。
 長く生きれば生きるほど妖気は積み重なる、なにより知恵が付き煮ても焼いても食えなくなる。
 とくに妖精なんかは浮き世に関わらないからなのか、成長が遅いかわりに年月を積み重ねても柔軟性を失わない。
 頭の硬い閻魔やスキマなどはチルノの翼でも煎じて飲むべきだろう。

 大妖精は姿形からしてみると西洋妖精、ならば彼女は神々の黄昏(ラグナロク)すら見てきたかも知れない。

 月明かりに映える冴々とした美貌は、精一杯若作りしている可憐な姿を裏切り、落ち着きと気品と高い知性を感じさせる。
 つくづく妖精らしい処はなにも無い存在だ。
 藤原妹紅が人間とは言い難いのと同じくらいには、もう大妖精も妖精とは言い難い。



 そしてレティ・ホワイトロック。雪女といわれる妖怪。
 雪女とは死が見せる幻想の具現化、「死を操る程度の能力」の西行寺と違ってこちらは死そのもの。その能力はなんでも破壊できる程度の能力の妹様とタメが張れる。

 陰陽でいえば雪は陰であり、女も陰である。陰が二重に積み重なっているため、その特質も相乗され強化されている。そして二つの陰が発展したもの、すなわち寒気と子供によって雪女は人を死にいざなうと言う。
 冬至で満月、しかも子供で冷気を操るチルノを連れている。彼女も理想的な状態にある。

 雪女。雪の持つ白銀の美しさ、人を寄せ付けない気高さ、それは人を死にいざなう危険な芸術品。
 人が理想とした冬の優しさ、その優しさに包まれたならば眠りが永久に続くのだろう。
 芸術品に出会えたら息を呑むだろう、動くなら目で追うだろう、心に甘ければその甘さに存分に酔いしれ、その甘さが毒であっても、人は甘露の芳醇さを拒むことなどできない。
 私ですら願う、死ぬのなら彼女のその白い腕(かいな)の内で、と。

 しかし彼女は存在が著しく陰陽のバランスを欠いている、陰陽の調整に長けた巫女や導師なら退治はたやすいだろう。
 だが私ではどうだろうか?
 それに大幅にバランスを欠いている性質のため、妹様と同じように存在のあり方が妥協を知らない。




 一番衝撃的だったのは大妖精が戦闘態勢に入っていることだ。
 幻想郷の実力者の中では際だった平和主義者で、なにより慎重である。
 石橋を叩くどころか非破壊検査に廻し、大丈夫と判明しても決して橋に脚を付けず飛んで渡るような妖精だ。
 不慮の自体に備えて川は橋がなければ渡らない、橋があっても脚を付けない。
 てゐが「健康のためなら死んでもいい」なら大妖精は「安全のためなら死んでもいい」と考えているフシがある。
 ここまで生きているのは慎重を越え、かつ臆病というにはあまりに理性的な、徹底した危機管理能力のなせる技に支えられているのからに他ならない。

 長命な存在はそれなりの理由がある。逆に風見幽香や八雲紫などは凄まじく能力は高いが、大妖精やてゐほど生きられはしないだろう…
 目立たず、敵を作らず、驕らず、争わず、表立たずな彼女。その彼女が勝てない戦いに加わるなどとはとても思えない。なにがある。









 そうこう考えているうち、合図も無しにもう戦いは始まっていた。

 戦闘の開始は一言の言葉も無く、弾幕も展開されなかった。ただ気温だけが下がってゆく。

 冬のカラカラに乾いた大気からさらに水分が絞り出され、ダイヤモンドダストが生まれだした。
 冴えた月明かりに結晶化された氷粒が燦めき凄まじく美しいが、息をするたびに肺から凍り付き、そのたびに死に一歩近づく。
 乾燥した空気は呼吸器の粘膜から水分を奪い、凍り付くのとあいまってみるみる「呼吸をする」という機能を削って息が苦しくなる。

 さらには寒さで血管が収縮し血行不全になった処から凍り付くのが凍傷であるが、フランドール様は吸血鬼すなわちアンデッドであり、暖かい血が流れて無いため妖怪はおろか人間よりも寒気に弱い。
 身体に氷の結晶ができると、ただでさえ損傷している肉を動かすたび内部から氷粒のヤスリに掛けることとなり、激烈な痛みとその痛みに見合った分だけ身体組織が死んでゆく。

 すなわち時間が経てば経つほど私達は不利になり、しかもその不利な状況は悪化はあれど取り返しは付かない。




 ついには強烈に冷やされた空間が軋み、温度差から猛烈な突風が巻き起こりだした。
 突風に煽られつもった雪は舞い上がり地吹雪となって視界を塞ぐ。
 風は冷たいほうから暖かいほうに流れる。暖かいほうが空気密度が低い、すなわち気圧が低いからだ。ゆえに吹雪は彼女らを中心に私達に向けて吹き付ける。

 まばたきのたびに氷粒が目から落ちる、眼球の表面が凍るからだ。
 咽がぜいぜいと荒い息をし始めた。
 地吹雪のうえに咽が鳴るため気配の感知はもう出来ない。




 彼女らの一連の行動で、あっという間に視界と気配の両方が遮断された。
 一気に勝負を決めようにも、これでは標的が定かにならない。
 すでにここは極北よりも危険な死の空間と化している。

 
 
 「キュってして」

 妹様が動き出した、どうやら力業を使い強引に局面を動かすのだろう。
 判断としては的確。
 「目」を集め握りつぶす、これなら視界もなにも関係無い。
 なにより早く勝負を決めなくては。

 「どかーん」

 しかし手応えは無く、ズッパァンという音とともに視界が濁る。
 それとともに身体中に何かが刺さってゆく。
 上げそうになった悲鳴を押し殺したが、それでもうめき声が漏れてしまった。
 今受けた攻撃で、確実に身体のかなりが行動不能となった。
 頑丈なのが取り柄の私が、だ。

 なんの予想もできなかったし、回避もできなかった。
 まだ目は見えないし、いまだ攻撃はやまない。抵抗はおろか防御も出来ない。
 マズい、極めてマズい。

 とにかく全てを諦めて態勢の立て直しにかかる。
 攻撃も何もなく、フランドール様を護らねばという体面も無く、もう臆面も無くしゃがみ込む。
 本当は腹這いに伏せたかったが、身体になにか刺さっているようなので腹這いにはなれない。




 地面が間近になって安心した。
 眸が傷ついたのかと焦ったが、どうやら違う。
 光景自体が濁っていたのだ。
 驚いたことに眼前まで氷の固まりが迫っていて、しかも妹様の攻撃によってかひび割れ視界を白濁させていた。
 それまでまったく透明な氷を楯に造って対峙していたのだ、あの三人は。
 ここまで分厚い氷を、私達に有ることを気づかせずに。

 どうやらフランドール様が「目」による破壊をしようとして眼前の氷に阻まれ、その氷は破壊能力により破裂し、ついでフランドール様と私に殺到した、あらましはこんな処だろう。
 フランドール様はさらに反撃としてにスターボウブレイクを放ったようだが、新たな氷の楯が出現し食い止められてしまったようだ。
 あの状況で反撃ができるとは、さすが妹様である。

 であるならば、私の身体に食い込んでいるのも氷なのだろう。大気が冷えすぎているのか溶けもしないが。
 それだけ強力に私から体力を奪い、体組織は凍傷にかかり徐々に機能不全となって行く。
 私がこれなら凍気に弱い妹様はもっと危険だ!

 
 「龍!」「該!」「撃!!」
 大妖精、レティ、チルノの順に印を切った。
 それだけで私の眼前にあったヒビ割れた氷が一気に砕け、礫となって襲いかかって来た。
 さきほどの攻撃はこれか。
 かわしきれないと判断、腕を楯にしなおかつ身体全体を硬気功でブロックする。

 大抵の使い手なら今のでもう終わっている。強い。
 冷気を操る妖精と寒気を操る妖怪、それに泉の精霊の三人で掛かると、自在に氷が操れるのだろうか。
 意志のあるが如き氷の動きは、ヒトガタを取っていなくてもアリスが操る人形を思わせた。

 気功を解除し、悲鳴を上げる身体を黙らせ強引に距離を縮めようとしたが。

 ガンっ

 …またしても氷の楯に阻まれた。突っ込んだ頭の位置からまた白いヒビが入る。
 完全に油断していた、脚がふらつく。知らず口からうめき声が漏れる。

 「龍!」「該!」「撃!!」

 目の前の氷がまた礫になって私達に横殴りに襲いかかる。ああ、今のままでは勝てない!
 自分の持ち駒を探るが手だては無い。
 それだけでは無い、冷気によりただ対峙しているだけで生命が削られてゆく。
 攻勢に掛かっていても時間との戦いなのに、反撃の糸口すら無い現状に焦る。

 ドンっ
 
 そうこうしているうちに長大な炎の剣を片手にフランドール様が吹っ飛んでしまった。
 たぶん寒さからつい炎の剣を抜き放ち、そのまま氷の楯を攻撃したのだ。
 氷の楯は一撃で消滅したが、そのとき急激に氷が気化膨張し、水蒸気爆発となってしまったのだろう。
 氷の楯が相手だと、レーヴィティンは使用できない。

 だが消滅では無く破壊とすると、礫となって襲いかかってくる。
 これはもう、いったいどうするべきか。

 とりあえずフランドール様の楯に回る。
 わずかでも時間を稼ぐ、必要なのはどちらか一方が立て直す時間だ。
 私の攻撃は役に立たないなら防御に回るしか無い。
 今度は気を手に集め、礫をはたき落としながらさらに気を練ってゆく。
 そして集まってきた気を突き出すように眼前に展開、気合い一閃華光玉を放つ!
 
 ビシっと音がして突き出した手のあったところに氷の楯が展開された。
 音は…順突きに繰り出した私の左手が凍り付き砕けた音だった。
 失われた腕より先を見て呆然とする。

 時間が経てば経つほど不利になる。だが早めの決着は望むべくも無い。
 まさか、この三人がこんなに強いとは…






 ゾんっ

 

 
 
 唐突に鈍い音がして、腰からレティとチルノの身体が両断された。
 凍り付いた表情のまま血を吹き出すことも無く、ゆっくりと両断された身体が落ちて転がる。

 仰ぎみれば巨大な十字の光がいくつか旋回している。
 禁弾「過去を刻む時計」、フランドール様のスペルカードだ。
 なるほどこれなら眼前の楯も関係なしに背後から敵を両断できる。
 フランドール様が安堵のため息とともに口から血を吐き出す。
 寒気で傷ついた肺がもう限界に近いのだろう。

 だがまだ警戒は解けない。
 大妖精が見たところ無傷で湖のうえに浮いているからだ。
 しかし時計の他に相当数の弾幕が放たれ、当たってもおかしくなかったのに、ロクに回避もしないまま悠然とその場に居る。


 いや、それはいくらなんでもおかしい。






 …ならばあの大妖精は偽造だ、幻影か何かだ。
 では本体は一体どこだ、慎重にかつ素早く背後の森を探ってみる。気配は掴みづらい状況にあるが、森は無人とみた。
 

 ああ、失念していた、つまりここしか無い。
 氷を作るのは寒気や冷気だけではダメなのだ。
 あの楯になっていた氷をどうやってつくっていたか。
 不純物の無い純水を高速で冷却し、濁りも歪みも無く霜が付くことも無く、視界が悪い現状ではあるが有ることが分からない程度の透明な楯を造るには、水分子を完全な六角結晶になるよう制御しつつ純水のみを精緻に供給できる存在が居なくてはおかしい。

 私は湖畔に駆け寄り、迷わず水面に破山砲をぶち込んだ。
 
 

 水面から大妖精がぷっかり浮いてくるのを期待したが、浮いてきたものの中に大妖精はないようだ。
 とりあえず大妖精のイリュージョンは消滅した。だが彼女は泉そのものだから溺れて死ぬことは無いだろう。
 それでもいい、これで本当に勝負がついた。
 そもそもこの猛烈な冷気のなか、水面が凍ってない時点で疑っておくべきだった…




 冷気といえばおかしい、氷精と雪女は倒したのにまだ寒気の放出が終わって無い。




 あ、しまった。
 この腰から肩から両断され転がっているチルノとレティの死体もたぶん偽造だ!
 妖精のいたずらの応用だ、まったくタチが悪い。
 おそらく氷で人形を作り、能力で操っていたのだ。
 妹様の「目」による能力での攻撃、入れ替わったのはあの視界が無くなった時だろう。
 どこまで展開を読んでいたのか、恐ろしい話だ。

 あの大妖精は安全至上主義者だが、それでもなお自分だけ安全地帯にいることを良しとはしない。
 少し考えたら分かっただろうに、うかつに過ぎた。

 「美鈴!上っ」
 フランドール様の枯れた声に釣られてみれば、私達の頭のうえに氷山が浮いていた。
 こちらは別に透明化してないので形から大きさまで良く分かる。
 紅魔館ほどは大きくない、でも博麗神社の本殿より遙かに大きい。
 ああもう、大妖精の幻影が残っていた理由は陽動か。
 ギリギリまで上に水をテレポートさせるため湖に潜りつつ幻影に注意を引きつける。
 氷の楯の時点で押されていたというのに、策略にまで綺麗にかかってしまっていた。

 「弾!剛士!!」
 散々今まで手こずらされたあの声が上からした、ああ、推測通り二人の死体は偽装だったか。
 気が付くのが遅かった。

 「妹様捕まって!」
 声を掛けるしかできなかった。
 普段なら左手でフランドール様を拾い上げるのだけど、私の左手はさきほど失われている。

 フランドール様が私の傍に転がるのと、氷山が落ちたのがほぼ同時だった。
 








 どうにか命拾いした。
 三華「崩山彩極砲」、これにより地面に穴を空け退避に成功。
 穴をふさがれたので窒息するかと思ったが、フランドール様が「恋の迷路」を上空に放ち、氷塊がフタになっていた危機的状況からも脱することが出来た。
 普通に氷を壊しても崩れて埋まるだけだし、溶かすと今度は避難壕が水で満たされ溺れて死ぬ。もたもたしていると窒息する。本当、徹底的にタチが悪い。

 ああ、助かったなぁ。

 そしてはい上がってみたら、もうチルノもレティも居なかった。
 これだけ分厚い氷の下敷きにしたら、たしかに春まで戦果の確ができないと思うだろう。
 寒気が渦巻いて通常よりも冷えていたし。
 ああ、今度こそ終わったハズ。

 とりあえず氷塊から降りましょう。寒い。
 …いや本当に大きいな、これ。









 
 目を戻してフランドール様を見れば、くしゃくしゃになって泣いていました。

 「美鈴、負けちゃったよ。悔しいよ、凄いくやしいよ」

 ああ、わかります。フランドール様にとってはこれが初陣でしたね。
 私達の最初の活動でもありました。気負っていた分、面目も無いでしょう。

 今まででしたらお慰めするところですが、それだけでは済まないのが仁義なき仕事の世界。
 この世は辛いかしょっぱいかですが、それでも感情ではなく「意味のある言葉」を吐かねばなりません。

 「ええ、本当に想像以上の完敗でしたね。
 力も技も能力の生かし方も、戦闘判断から戦術レベルに到るまで、もう完全といっていいほどの敗北です。」

 本当に強かった、次は無いが時間が巻き戻っても勝てる可能性があったとは思えない。
 いや、今回は凍死もせず、氷塊にも潰されず、最後に脱出も出来ただけ上出来で、ここまでうまく立ち回れたのは実に運が良かったほうです。
 つくづく考えればここで私達が始末した妖怪どもに混じって屍を晒していた事にならなかったのが僥倖だったほどなのだ。
 だが・・・

 「ですが負けという以外、私達は何一つ失っていません。
 私の腕も治るでしょうし、妖怪である私達は怪我はどうにでもなります。」

 とりあえずダメージが大きい私そのものを切り捨てることから話に入りました。
 

 「それに対してこちらは湖畔の森の妖怪はほぼ殺し尽くすことに成功しました。
 ですから私達の戦争目的は達成したといっていいでしょう」

 フランドール様にはこれから戦略的見地に立って頂く必要がございます。
 まぁぼちぼちと。

 「私達は何故戦うのか、戦いのたびごとに目的を心に掲げるのです。
 戦いはいつも何かが壊れ、殺し殺され、喪う事になるのですから」

 フランドール様はキョトンとしております。
 うーん、抽象的過ぎましたか。
 ですが私も説明が上手いほうでは無いのですが。

「戦うというのはトータルで損となります。
 大抵の戦闘には破壊が伴うものです。
 破壊されたものはどう繕っても永劫取り返しが付きません。
 再建とか復旧などは、資材や資金や労力や時間が必要となります。
 そうしたものを投入しても決して同じには戻らない、これが損という事です。

 それに損害無しでの勝利など、基本無いと考えたほうが良いでしょう。
 たとえそんな勝利があったとしても、恨みをかうなど処理し難い部分でなにか禍根が残っていることもあります。
 
 ゆえに大局的視野に立って、戦争を企画設計する必要があるのです」

 むぅ~~とフランドール様が難しい顔をなされました。
 
 「美鈴、それ私にもできるのかなぁ
 言っていることは分かるけど、実際やるとなると
 どうしたらいいかなんて考えつかないよ」

 「大丈夫です。私が居ます。
 それにパチュリー様とか、それぞれが得意な分野で意見を出します。
 私達もフランドール様も長生きする予定ですから、気長にやってゆきましょう」

 ここは功を焦らないほうが吉でしょう。この幻想郷という処は意外なほどバランスを取ることで成り立っているようです。
 だが小悪魔がいうには、それだけで済まない部分があるとか。
 

 「とりあえず今回の戦後処理は調略に持ちこむことにしましょう。
 さほど方針を変えずに済むと思いますよ」
 

 長い目でみれば、ここで負けたのはかえって幸いだったのかもしれません。
 お嬢様も妹様も『自分が出ればどうにかなる』と思っているフシがかなりあります。
 …幻想郷ではそんな力業は通用しません。

 たとえば今回お嬢様&咲夜さんコンビで闘ったとしたら、流水に対処できないお嬢様とナイフしか手段が無い咲夜さんでは、湖に潜った大妖精に手こずった事でしょう。
 全てに有効な万能なカードは無いのです。

 それにチームを組んで長い存在は、今回に限らず強力なコンビネーションを持っている可能性があります。

 ですが私達こそが最強のコンビとなってみせましょう。
 まだまだ先は長そうですけれどもね。




 夜を徹しての戦闘で疲れているうえに、助かった安心感と、そのうえ戦略講義で疲労困憊となったフランドール様はかなりつらそうに見えます。

 フランドール様を抱き上げて帰ろうとしたら、金の髪がある首を蹴飛ばしてしまった。
 たしか・・・ルーミアとかいったか。
 この鮮やかな切り口はフランドール様の爪によるものだろう。
 際だった技と、今腕の中で泣いているフランドール様の対比に、知らず笑いが漏れる。

 ・・・死なない限りはチャンスがある。
 そう、死なない限りは。
 私達は何度も地獄を見るでしょう。地獄を造るでしょう。
 何度も世界に挑み、そして何度も世界に裏切られるでしょう。
 世界が私達を許す事など無い、この世は私達を決して許すことなど無い。

 だから私達こそ世界を許さない。

 傷つき、殺し合い、恨みを抱き血にまみれ汚辱を受ける。血塗られた存在、それが私達妖怪。
 そんな生き方をさせて、そして何故私達にここまで心痛ませるというのか!

 長かった夜は終わった。もう月は見えない。
 運命を示す星は輝きを失い、朝焼けがゆっくりと大空を染めてゆく。
 私達二人はたった今、この素晴らしい朝に生まれた。
 そしてこの醜くも美しい世界で、何時の日か死んでゆくのでしょう。


 片手を失ったので、肘に座っていただくように抱きかかえ、日光に焼かれないように、フランドール様をぼろぼろのうえに血にまみれてドロドロの私の上衣でくるむ。
 

 ではしばしお眠りください。たよりにしているのですよ。フランドール様。
                    ___
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        「:::::::::::`ヽ、  __/::::____:::::::::::`7
        >,.'-‐'''"" ̄   ̄`"''‐、:::::::/
       く/             ヽく、
        /    /  i  ハ 、  ヽ,  ', \
       /   / ハ ハ/ イ ヽ、  ',.  i/
       i  ハ/ー レ'   --‐'´ ヽ  ハ ', あたいったら
       ノ|   ハ -'´      "" /レ'ノ ハ 最強ね!
 , '⌒ヽ   レ' 7,,,,       ,   i  | / ヽ,
 l   ー--─ 人    ー'´ ̄   ハ  / i  i  |
 ヽ、_ ノ   ノ|  /ヽ、._     ,.イ バ  ハ,へノヘ
        レヘ./^レヘ"'T'v--/レ^カィ‐'ヽ!/   /i
            , 'r'"ヽr,/ ̄ヽ;::i  ヽ、 / /
           /  〉 -L〉-  く:/   ハ-<
            i   >-イ-`r---〈::ト、r'"´`\___\
           /'ヽi:::::::: ̄::::::::::::::::7'ヽ_   〉、-┘
           〈  、i:::::::::i::::::::::::::::く /  ∠二>
           .\/:::::::;::::::::;:::::::::::/  r'、___
            (/::::::/:::::i::::::::::::::::ゝ、____ノ、/

 次回は調略外交編、小悪魔大活躍、ずっとこあのターン!の予定です。
 
 
 なお作中で三人娘が使っている技は、魔夜峰央氏の「アスタロト」に出てくるものを使わせて頂きました。
 
 あ、戦闘の最初の風の向きですが、空気が冷やされ収縮されますから本来はレティ側に風が吹くはずです、まぁ話の都合上深く考えないことでヨロシク。
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コメント



0.740簡易評価
2.50名前が無い程度の能力削除
血なまぐさい。こういった話を見たことが無い。
5.80名前が無い程度の能力削除
こりゃ好みの分かれそうな話だな、俺は好きだぜ

>「安全の為なら死んでもいい」
新しい発想だw
6.100名前が無い程度の能力削除
中々珍しい作風で。
楽しませて頂きました。
7.70名前が無い程度の能力削除
これは続きに期待せざるを得ない
残念なのはルーミアがもう戦線離脱してるであろう事か……でもルーミアだしなぁ……生きててもおかしくなさそう
9.100名前が無い程度の能力削除
私の好きな作風でした。
23.90名前が無い程度の能力削除
今更ながらだが面白いな