オリキャラっぽいのが含まれています。そういうのは苦手ではない方のみそのままお読みください。
「おはようございます。」
私は私を起こす声で起きた。
いつもの朝、いつもの挨拶、いつもの藍の声。いつもの幻想郷。
「ええ。おはよう、藍。」
私も返事をする。やはり、挨拶って大切よね。人間関係を保つためにも必要だわ。私たちは人間じゃないけど。
「おはようございます。紫様。」
静々と再度挨拶をしてしまう藍。それを見てくすっと笑ってしまう。
「何度もやらなくてもいいのよ。藍。それとお風呂に入ってから、ご飯にするわ。」
「かしこまりました。すでに準備は出来ております。」
やはり、私の式神ね。一を聞いて十を知るってこういうことかしら。この諺を考えた人間も馬鹿にはできないわね。
そして、私はゆっくりと湯船につかり、これから拠るところを考える。
博麗神社と魔法の森と香霖堂ね。少し話がしたいわ。『話』と書いて『からかう』とも呼ぶのだけども。
湯船から出て、藍が用意した洋服に着替える。今日はワンピースか。私の名前と色が合っていいわね。
風呂場から食卓がある畳間まで一本道だ。なので、早く着いてしまう。でも、お腹が減っているからいいか。
襖をすっと開けると、そこにはいつもと比べて少し豪華だった。
ご飯に味噌汁に漬物。ここまでは当たり前だが、おかずが違う。
猪の刺身に、その肉入りの茶碗蒸しもある。
「どうしたのこれ?美味しそうだわね。」
「今日は里の人間共が、新鮮な猪を手に入れたと聞きましたので少し奮発しました。」
「その言い方は駄目よ。彼らは私たちの隣人なのだから。」
「申し訳ありませんでした。紫様。」
こういうところがまだまだなのよね。霊夢たちに会ったときにもこういうことをしていなかったらいいけど。
「では、説教はここまでにして、頂きましょうか。」
「はっ。」
その掛け声とともに食卓の上のものに箸をのばす。
ふむ。料理の腕も上がっているようね。でもこれは、猪が新鮮だから美味しいんだけど。
それにしてもこの猪臭みがないわね。新鮮でかつ上質なものでもないとこうはいかないわ。
「良い物を選んだわね。目利きも上がっている証拠だわ。」
「ありがたき幸せ。」
四十分程経ったころだろうか。見事に食べ終えた。本当に美味しかったわ。
私が席を立つと、藍がすぐさま片づけを始める。一息ついてからやればいいのに。
苦笑してしまう私に、きょとんと目を向ける藍。
「どうしたのですか?」
「いえ、可愛らしいなと思って。」
「照れますが、私にはもう似合いませんよ。遊びに来た橙にでも言ってください。」
少しはにかみながらも、笑う藍がいた。本当に可愛らしいわ。この子を式神にして正解だった。
「あぁ、私出かけてくるわね。お昼はいらないわ。それと、あなたは少しゆっくりしなさい。鬼の居ぬ間に洗濯するのよ。」
「紫様が言うセリフではないですが、ご命令どおりにしておきます。」
気の利いたことを言えないのかしらね、この子は。でもまぁ、この子らしいと言えばこの子らしいけど。
私が玄関に行くときにも、藍は後ろから着いてくる。主を見送るためだ。
亭主関白の人にはぐっと来るかもしれないわね。どうでもいいけど。
「じゃあ、行ってくるわね。」
「行ってらっしゃいませ。紫様。」
歩いて博麗神社まで着いた。ここって、景色が綺麗なのよね。
そして、私は玄関で一生懸命掃除している巫女に挨拶をした。そういえば、最近ゴミが増えて大変だって言っていたわね。
「ミコミコさん、おはよう。」
「おはようございます。紫さん。だけど、いい加減名前で呼んでもらえないですか。」
ぷーとアヒル口で拗ねる巫女。これも、なかなかいいわね。藍もやってくれないかしら。
「駄目よ。あなたがもっと力をつけたら、呼んであげてもいいけど。」
「そう言われると弱いじゃないですか。それで、何の御用ですか?あぁ、素敵な賽銭箱ならあちらですよ。」
ころころ顔が変わるわね、この子。ほんと、万華鏡みたいだわ。
信仰心に憂いているのだけは、霊夢みたいだけどね。
「あぁ、あなたこの前、私に弾幕ごっこで負けたでしょ。それで、お神酒を貰いに着たんだけど。」
「えぇー!?あの条件って本気だったんですか!?……うぅっ、仕方ないですぅ。」
とぼとぼと、酒が置いてある場所にいく巫女。なんか、背中が哀愁漂っているわね。
ぶつぶつと言いながら、酒を持ってきた。それに、私は目を輝かせる。
「紫さんに弾幕ごっこに勝てる人居ませんよ。存在しませんよ。絶対に居るわけないですよ。」
睨み付けてくるのだが、どこか愛らしく感じてしまう。まだまだ、若いわね。
「居たわよ。あなたのご先祖様。……強かったわ。本当に人間なのかと思うぐらい。」
「……あぁ。霊夢さんですね。確かにあの方は博麗の巫女の中でも最強と言われていましたから。それにですね…」
お神酒を飲みながら談笑してしまう。いつかはこの空間が失われるというのは、寂しいものね。
私はあの子に勝てなかった。敗北という名の苦い酒。その味を忘れることは出来ない。
でも、あの子はその後『とっておきの酒よ』と言って、このお神酒を飲ましてくれた。その味も忘れることは出来ない。
いつか、この子があの子のような強さを持つと思うと嬉しく感じる。母親のような気分になる。
この子の話しの区切りがいい所で、私は酒皿を置く。
「ご馳走様。やっぱりまずかったわ。」
「不味いのに何で飲むんですか、もうっ!」
言葉と裏腹に顔は太陽のように笑っている。
あの子とこの子が違うところはここもあるわね。あの子は見守るような、月のような笑顔だったし。
「じゃあ、もう行くわね。」
「気をつけてくださいね。紫さんなら大丈夫だと思いますけど。」
人間に対してするような心配をしてくる。それに対して私は苦笑を返すしかなかった。
「ふふっ。さようなら。」
「ええ。さようなら、紫さん。」
日も真上に上ったころ、私は魔法の森についた。ここ、キノコ生えすぎよね。
そして、古いけど頑丈そうな家のドアを叩く。ドアが開いた。
「はぁ~い、どなたです……紫おばさんだぁ~!」
「誰がおばさんですってぇ?」
私はこの可愛らしい魔女の頬を抓る。ええ根性してるわね。さすが、魔理沙の弟子ってところかしら。
「いひゃいでしゅ!ごめんなひゃい!紫姐さんっ!」
「よろしい。では、改めてこんにちわ。」
手をすっと放す。彼女の頬には抓られた跡が残る。女性に対しておばさんは失礼よ、まったく。
「……こんにちわ。紫姐さん。でも、痛すぎですよぉ~。」
「罰よ。」
頬を擦りながらぼやく。こういうの見ると、昔の藍を思い出すから困るわ。苛めたくなるし。
「で、どうしたんですか?また、稽古をつけてくれるのですか?」
「いいえ、あなたの顔を見たくてね。それにしても、熱心ね。師匠に似たのかしら。」
私の言葉に不思議そうな顔を浮かべる。でも、すぐににへっと笑ってくれる。魔理沙の場合は『にかっ』だったかしら。
「じゃあ、アリス師匠も呼んできますよ。師匠~……」
ばたばたと玄関から研究所に行く。私が欠伸をしている最中にすぐに戻ってきた。
「連れてきましたよ~。」
「ギャーギャーうるさいかと思ったら、あなただったのね、紫。」
「うるさかったのはこの子よ。」
ジト目で私のことを睨んでくるアリス。綺麗な顔が台無しよ。女の子はスマイル♪スマイル♪
その様子を心配そうに見ている彼女。あぁ、もう、お持ち帰りしたくなるわ。
「で、なんのよう?遊びに来たんならお茶ぐらい出せるけど。」
「そうね、喉も渇いたからお願いね、オチビちゃん。」
「私が入れるんですか!?それにそれはやめてくださいよ。もうっ!」
そう言いながらもすぐにお茶の準備を始める。
彼女は人間の里出身の子。だけど、魔理沙が誘拐同然に自分の家に置いたのよね。
その後はもう、大変。天狗の仕業とか神隠しとか言われていた。私は何もしていなかったけど。
でも、三日ぐらいでこの子は魔理沙と一緒に戻ってきた。
勿論、村長やこの子の家族などがすぐに説明を求めたわ。なぜ娘を連れていった、てね。
そしたら、魔理沙は村の人たちが吃驚して、黙ってしまうようなことを言ったのよ。
『この子は生まれつき魔力が高い。防御手段がないとこの子は、妖怪どもの力の糧となってしまうんだ。だから時期が来るまで私が力を付けてあげるぜ。勿論定期的に村には顔を見せに行かすが。』 だって。
その時から、彼女は魔理沙のところに弟子入りしたわ。半ば強制的だったけど、彼女も楽しんでるみたい。
そういえば、魔理沙は外で元気にやっているかしら。いくら丹を飲んだとはいえ、危険なんだけどね。
「お茶入れましたよ。飲まないんですか?」
「……いえ、頂くわ。」
アリスに教えてもらったのかしら。とても、ほっとするわ。
紅茶の中にジャムも入っている。美味しいけど、甘党じゃないのよね、私。
「で、アリス。彼女は筋がいいの?」
「とてもいいわね、素直だし。魔理沙が必要最低限のことしか教えていないから、かえって教えやすいわ。」
「えへへ…」
とても嬉しそうに笑うわね。魔理沙はこういうの隠したがるんだけど。努力の跡とかね。
「じゃあ、私からご褒美をやらないとね。」
私は持ってきた手提げ袋から、あるものを取り出す。
「これ何ですか?」
「ってこれは、ミニ八卦炉じゃないの!?」
アリスが驚いた表情をこっちに見せる。いいわね、その顔。準備した甲斐があるってものね。
魔理沙が置いてった物なのよね。私にはもう必要ないからってね。
「そうよ。魔理沙がね、『私の弟子がアリスに認められたら上げてくれ』って。いやぁ、愛されてるわね。」
「わ、私はそんなんじゃないわ!」
顔を赤くしながら、否定するアリス。
思わず、口角が釣り上がり、目尻が下がる。
「あれぇ~?誰もあなたって言ってないわよ?私が言ったのはチビ魔女のつもりだったのになぁ~。」
「なっ!?」
照れるな。照れるな。顔が真っ赤で可愛らしいわよ。
真っ赤にしている師匠をよそに、私のところに近づいてくるチビ魔女。
「私が本当に貰ってもいいんですか?……私は魔理沙師匠のように、強くないし。」
少し自信が足りないみたいね。あの子とこの子は別なものなのに。
私は目線を彼女に合わせるためにしゃがんだ。
「あなたはあなた、魔理沙は魔理沙よ。実際あの子が未熟だったときには、もうすでにこれを持っていたのよ。それに比べたら、アリスのお墨付きのあなたが持っていけない道理はないわ。」
私は頭を撫でた。こうすると、私の式は顔が赤くなるのよね。
どうやら、彼女も例外ではなかったようね。
「あっ、あのっ、ありがとうございますっ!」
その言葉を聞いて、私はにこやかに笑って立つ。ほっっっっんっとにかわいいわ。鼻血出なかったかしら。
「じゃあ、わたしはもう出るわね。楽しかったわよ。さようなら、おチビちゃん。」
「さようなら!本当にありがとうございました!」
「またね、アリス。」
「ふんっ………………ええ、またね。」
西に太陽が落ちる前に、私は香霖堂に着いた。相変わらず、汚いわね。
何も変わらない部屋の空気。何も変わらない店主。何も変わらない店主の態度。
「いらっしゃい。……珍しいね。君が素直にここに来るなんて。」
「奇をてらうよりも、たまには正攻法ってね。」
本当に変わらないように見えるわね、この店主。
魔理沙が外の世界に行ったときには、寂しそうにしていたのにね。
「…………そうかい。で、何のようだい?」
霖之助さんは、少し哀しそうな表情をした。彼はすべてを知っているかもしれない。
「顔を見せに来ただけよ。本に埋まって死んでいないかどうかね。」
「僕の死に方としては本望だな。」
お互いの掛け合いで思わず笑ってしまう私たち。彼も笑うようになったわね。
霊夢たちが入り浸っていたころは、私は彼の笑顔を一度も見たことがなかった。
そして、かなりの朴念仁。いろいろなアプローチを受けているのに、彼は誰とも付き合わなかった。
でも、今は彼は人並みぐらいには感じるようになった。あの子が外に出て行ったときに気付いたのかしらね。
「では、生きているお礼にお茶を入れよう。少し待ってくれ。」
「ありがとう。歩いてきて疲れたのよね。」
本当に疲れたわ。久しぶりに歩いたから、眠くなってきたわね。
売り物の椅子と食卓に座る。
数分ほどしてから、彼はお茶とお茶請けを持ってきた。羊羹だわ。
「渋茶だからね。苦いと思って、甘いものも持ってきたよ。」
本当に彼は気が利く。疲れた体にもちょうどいいのよ。
苦いお茶で体を奮い立たせ、甘い羊羹で疲れをほぐせるからね。
「ゆっくりしておくといい。なんかあったら気軽に声を掛けてくれ。」
「…………ねぇ、霖之助さん。話があるんだけど。」
本を読もうとして伸ばした腕が止まる。そして、すぐに私の方へ向いてくれた。
「…君の体のことかい?」
やっぱり知っていた。……昔の霖之助さんも良かったんだけどな。
「いつから気付いていたの?」
「半年ほど前かな。無縁塚に運ばれてくる僕の宝物が、尋常じゃないほどに増えていた。
確信したのは二ヶ月前。殆どの場合、無縁塚には忘れられたものが入ってくるはずなのに、どうみても新しいものが何割か含まれていたんだ。」
「そう。私の力が崩れてきているのよ。『幻と実体の境界』がね。」
それは私の能力が弱まっているという証拠。まもなく幻想郷が終わってしまうという証拠。
ここに来るのに歩いてきた訳は、必要以上に能力を使いたくないから。
そして、必要なときというのは。
「それ以外の体の機能をカットし、境界の修繕に全力を注ぐこと、かな。」
「……正解。他にも策は用意してあるけど、それが主になるのかしらね。」
カット。それはつまり眠りに落ちるということ。そしてたぶん、数百年は目覚めない。
だから私は、今日といういつもの時間をゆっくりと楽しむことにしたのだ。
…………思考も正解に近づいたわね。昔は超理論を繰り出していたのが懐かしいわ。
「私の大切な幻想郷は終わらせないわ。たとえ、どんなに時間がかかろうともね。」
「念のために聞くが、君は死なない?」
心配そうに見つめている霖之助さん。
「死なないわ。ただ、もうあなたには会えないかもね。」
「………………」
淡々と話す私に、黙ってしまう。
彼の性格は人間側。
妖怪の場合、誰かに滅せられない限り会おうと思えば会える、その考えがあるので別れを気にしない。
だが、人間はその考えがない。生涯が短いから。
私たちから見たら、人間はまるで蜻蛉のよう。だから人間は別れいうのを大切にするのよね。
彼は半妖だから大丈夫だと思ったのだけれども、人間の血の方が濃いのでしょう。
私は椅子から立ち上がって、帰る支度をし、玄関の方に向いた。
「ご馳走様。お茶と羊羹、美味しかったわ。」
「…………………………」
彼はまだ黙ったままだ。この場からピクリともしない。
「……じゃあ、霖之助さん。さよう…」
「待ってくれ。」
彼は私を止めた。
何故私は振り向いたのだろうか。何故かはわからない。
だけど、彼の顔は笑みに満ちている。別れだというのに、笑うとは。
私の見当違いだったかしら。妖怪の血の方が多かったのかしらね。
「君に見せたいものがあるんだ。少し待ってくれ。」
私は欠伸をかみ締めながら待った。すぐに彼が奥の方から現れる。
「これを見てくれ。」
「?」
私は目を細めて、彼が持ってきたあるものを見た。
それは。
「私の名前の入った…………お酒?」
その疑問のような答えに、彼は頷く。
「そうだ。無縁塚から拾ってきたのだけど、状態がかなり良くてね。いつか君と一緒に飲もうと思ったんだ。」
彼は私と一緒に一献しようと言っているのだ。
だけど、私という存在が保たれるのは今日限り。次はいつになるのかわからないのに。
「今飲むなら別にいいわよ。」
「違う。今は飲まない。」
「?」
彼は意地悪をしているのかしら。あなたの生きている時間にはもう会えないというのに。
だけど、違った。
「還って来るんだ。さっさと、境界を修復して幻想郷に還って来てくれ。大妖怪の君なら朝飯前だろ?」
無理なことを言う。輝夜のような無理難題を出すもんじゃないわ。
でも、彼は私にとって魅力的な餌を寄こした。
ここに早く帰ってくるという、理由を作った。
私はそれに挑戦してみようと思う。否定する事柄はまったくない。
「期限は?」
「僕が生きている間。」
「つまみも出るのでしょうね?」
「もちろん。」
「そのときは二人っきりで?」
「君の式も呼んでも構わない。」
「負けた場合には?」
「君はずっとこれを飲むことが出来ない。」
「私が今奪うとは考えないの?」
「しないよ。」
「え?」
「君はそんなことは絶対にしない。」
思わず答えに窮する。彼は私に絶対的な信頼を寄こしているのだろうか。
でも、その信頼は嬉しい。笑みを浮かべてしまう。
彼はやはり人間の血が濃い。
照れ隠しに、彼の顔から背ける。
自然と体は玄関の方に向いた。
「霖之助さん。」
「なんだい?」
「……またね。」
「……あぁ、また。」
月が見え始めたころ、私は家に着いた。
頭もふらふらで、体もなんか鈍い。いつお風呂に入ったかわからないぐらい眠い。
そして、私は自分の部屋に入り、いつの間にか敷いてある布団の中で横になった。
「藍…準備は出来てる…?」
力が入らず、途切れ途切れに話してしまう。もっとちゃんと話したいんだけどね。
「すでに準備は整っています。」
いつの間にやら、横に正座をして待機をしている。まるで、犬みたいね。
「…藍、あなた…私の式神…辞めるつもりある?」
「ご冗談を。そのつもりはまったくありはしませんよ。百年だろうが、千年だろうが私はちゃんと待ってあげます。」
彼女は、微笑みながら私の提案を断った。
だけど、彼女の言葉は少し間違ってる。
「…違うわ、藍…」
「紫様?」
「…十年よ。……十年で片をつけてくるわ。」
その決意に、藍は驚きを隠せない。
当然よね。我ながら無茶なことを言ったと思う。
だけど。
「…未練が残っちゃったの。約束をしてしまったの……」
「紫様……」
「だから、さっさと片付けてくるわ。」
藍は目を瞑った。
なにか、言葉を捜しているようだ。言いたいことはすぐに言えばいいのに。
だが、その顔は笑みが浮かべてある。
そして、目を開けた。
「そうですね。さっさと還って来て下さい。ご飯作って待っておきますから。…紫様なら出来ますよ。」
「……ありがとう。藍。」
眠い。
まるで何かに引きずり込まれるよう。
大往生しそうな人間って、こんな気持ちを味わっているのかしら。
「…………………藍………………」
「何ですか?」
「…………………おやすみなさい。」
「……おやすみなさいませ。紫様。」
>では、説教はここまでにして頂きましょうか
この部分は、
>では、説教はここまでにして、頂きましょうか
あるいは
>では、説教はここまでにして、食べましょうか
としたほうが良いかと。
「、」がないと、藍が「説教はここまでにして下さい」と言っている意味にも捉えられますので。
皆がそれぞれの道を行っている日常……だけど紫様事態の結界に綻びが始まってきている現在。
りんのすけ(りんが漢字で出ないので失礼)との会話もまた特殊な雰囲気があって良かったです。
紅魔館とかどうなったんだろう?とは思いましたけど。(苦笑)
とても面白い作品でした。
まだ生き続けている紫達の会話もなんだか哀愁が漂ってきます。
しかし、文章全体から流れてくる暖かな雰囲気がとても心地良かったです。
最後の霖之助と紫との会話は、二人の間の確かな絆が、感じ取れ、
紫を応援したくなる気持ちで一杯になります。
ファイトだ!
紅魔館とか永遠亭も気になりますね…。
最後のこーりん・藍との会話が良い感じでした。
ただ、鬼が出てきてないのと天狗との友好はあったはずだから書いたほうがよかったかも
いや、面白かったです
紫様ファイト!
ありがとうございます。これは誤字でした。「、」の指摘ありがとうございます。
紫のお酒の名前はどうしようか迷いましたが、外の世界では1万円ほどするお酒『紫極』です。リキュールのほうがよかったかな。
これは自分のミスですが、紫が一番気にしている場所が神社と森と古道具屋だったので、天狗と鬼の所は行かなかったと脳内変換でお願いします。
こういうミス等を連発すると、自分はまだまだだということがわかりますね。拙い文章にコメントありがとうございます。
ギャグ、シリアス?、ときたら次はホラーでしょうか?
なんてこった・・・俺は亭主関白なタイプだったのか・・・