この話はキャラが崩れている可能性が大です。それでもいいと言うなら、お読みください。
ここは幻想郷のどこか。人里と妖怪の境目。それは香霖堂。
腹黒な紅白に、盗み癖のある白黒。色々なことにかこつける紫色。
ある意味最強と呼ばれてもおかしくない三人が、ここ香霖堂によく集まる。
巫女はお茶をせびるし、魔法使いはよく店のものを取っていくし、隙間妖怪はぎょっとする登場をしてきたり。香霖堂の店主、森近霖之助にとってありがたくない客人である。
そんなよくあることが何十回も繰り返された日の朝、霖之助と普通の魔法使い、霧雨魔理沙がゆっくりと朝のお茶を楽しんでいた。
「あいかわらず、香霖が入れる茶は美味いな。」
「それはどうも。今回のは霊夢に教えてもらったんだけどね。」
本を見ながら魔理沙に答えた。
しかし相変わらず人の顔を見ない奴である。そう思いながら魔理沙が霖之助の方を見て、あることに気づいた。
「香霖、なんか顔色が悪いぞ。風邪でもひいたか?」
霖之助がゆっくりと本から目を上げ、魔理沙を見る。
「いや、この三日ほど体がだるくてね。どうやら夏バテみたいだ。」
魔理沙が呆れたように見る。
「おいおい。もう、秋に入ったばっかりだぜ。しっかりしろよ。半妖だから病気にはなりにくいはずだろ?」
「そのとおりだ。だけど夏にはいつもこんな感じだよ。秋だけど。今回は妙にきついが、別に心配しなくてもいい。」
その言葉に、ぷくっと顔が膨らませる。
「あ~あ。せっかく霧雨店の魔法薬を飲ませてやろうとしたのに。」
「丁重にお断りするよ。どうせ新薬の実験だろ。僕はどこぞの兎みたいにはなりたくないからね。」
その言い方に魔理沙は苦笑した。
「たしかにアレはイヤだな。あの兎には同情するよ。」
ふと霖之助が思い出したように言った。
「そういえば、今日新鮮な兎を手に入れたんだよ。昼餉に食べるかい?」
魔理沙は目を輝かして
「食べてもいいのか!?それなら家からキノコを持ってくるぜ!」
すぐに出かけようとする魔理沙を見て、霖之助は苦笑する。
「おいおい。まだ三時間もあるぞ。もう少し落ち着いてから行きなさい。」
魔理沙はにかっと笑った。
「善は急げってな。じゃ行ってく…」
不意に香霖堂のドアが開いた。
「あぁ。霖之助さんいる?お茶もらうわよ。」
楽園の巫女、博麗霊夢が入ってきた。
勝手知ったる他人の家。まるでその言葉を体現するかのように、霊夢は棚から自分専用の湯飲
みを取り、勝手にお茶を入れた。
「うん。ちゃんと私が言ったとおり淹れたようね。」
「せめて僕の許可を取ってから入れてくれないか。」
霊夢は涼しい顔で
「授業代としたら安いものよ。」
と、遠慮など微塵もしていなかった。
ここまではいつもの一日。
だがしかし、魔理沙はなぜか違和感を感じた。
話す内容、行動などがいつもと変わらないはずなのだが目だけがなぜかギラついていた。
まるで獲物を見つけた猛禽類みたいに。
そのため、魔理沙は出かけるのをやめ売り物の壺の上に座った。
「香霖。私にもお茶入れろよ。」
「自分で入れなさい。」
「あら。魔理沙には甘いのね。」
霊夢はジト目で霖之助を見た。
「一応聞いたからね。」
ため息をつきながら本に視線を戻した。
「まぁいいわ。そんなことより聞いてよ。霖之助さん。」
霖之助はあきらめた表情を浮かべ、本をしおりに挟んで棚に戻した。
「で、なんだい?」
魔理沙は霖之助の机から急須を取り、自分で入れ始めた。
「私ね。仕事で人間の里に行ったんだけどね。あぁ、地鎮祭よ。博麗の巫女がやった方が霊験あらたかって言ってくれてね。」
霖之助の憂鬱など関係なしに話しかけてくる。
魔理沙はまだ入れたてのお茶が熱いのか、湯飲みにふ~ふ~息をかけている。
「とりあえずちゃっちゃと仕事を済ましたんだけど、一息入れた後そこの呉服屋の息子が話しかけてきたわけ。」
霊夢はのどが渇いたのか、魔理沙から急須を取り、冷まさずにずずーと飲んだ。
「うぇー。よく熱いのに飲めるな。」
「お茶は八十度がちょうどいいのよ。」
「それは抹茶って君が言った筈だぞ?」
「似たようなものよ。」
その発言に霖之助はため息をつく。
「えぇ~と、どこまで話したっけ。そうそう、息子のところからね。」
そのまま話を続ける。
「何のようだと聞いたら、その息子何って言ったと思う?」
霊夢が目を細めて笑う。
その行動にまた魔理沙が違和感を感じた。
どこをどう説明すればわからないのだが、乙女の勘って奴だろうか。
まったくこの巫女じゃあるまいし。魔理沙はそのことを考えるのをやめた。
「結婚を前提に付き合ってくださいだって。私びっくりしちゃった。」
霖之助は表情を変えずに
「ふむ。霊夢もその年頃か。で、相手の年は?」
霊夢は眉をひそめ
「確か十六~十八歳だったかしら。もしかしてそれより上かもね。」
と、少し語気を強めた。
「で、どう返答したのか?霊夢は。」
魔理沙も興味がわいたらしく話しかける。
「『貴方には悪いけどお断りします』ってそう答えたわ。」
「ちぇっ。つまらないな。」
興味を失ったらしく、魔理沙はあまり熱くないお茶を飲んだ。
「冷めてるお茶もいけるぞ。」
「それは麦茶だけね。」
霊夢は呆れながら答えた。
霖之助はふと疑問に思ったことを言った。
「彼のどこがいけなかったのかい?確か里のものでも一、二を争う富豪の息子じゃなかったのかい?」
霊夢は表情を変えずに茶をすする。
「確かにね。身長も高かったし、顔も良かったわ。性格も誠実そうだったし。大多数の女性なら喜んで受けると思うわ。」
霖之助は首をかしげた。
「なら、なぜ?」
霊夢はきっぱりと言った。
「彼は私よりも弱いからよ。」
その発言に霖之助は顔をしかめた。
「君に勝てる男性なんているはずないよ。」
「そうね。人間の男性にはいないわ。」
なぜか含みのある笑みを浮かべる霊夢。
魔理沙はまた違和感を感じたが、もうどうでもいいと思ったので、我関せずとお茶を飲んでいた。
「でもね、私も女なわけ。そろそろ身を固めて強い博麗の跡継ぎも産まないといけないな、とは思う
わ。」
霖之助を見て霊夢は話す。
魔理沙はお茶を飲んでいる。
「で、考えたの。妖怪ならどう?って。」
霖之助を見て霊夢はゆっくりと話す。
魔理沙はゆっくりとお茶を飲んでいる。
「染色体の問題もあるけど、さらに考えたの。人間との半妖なら?って。」
霖之助を獲物を見つけたような目で見て霊夢はゆっくりと話す。
汗を腕で拭きながら魔理沙はゆっくりとお茶を飲んでいる。
「で、ね。霖之助さん。」
霖之助を最上級な獲物を見つけたような目で見て霊夢はゆっくりと話す。
日が出て暑くなってきたので汗を腕で拭きながら魔理沙はゆっくりとお茶を飲んでいる。
「霖之助さんの子種ちょうだい。」
魔理沙の口がマスタースパークをした。
「ちょっちょっちょっと待てえええええぇえええっぇぇぇぇ!!」
「あら、魔理沙。口元をちゃんと拭かないと。はしたないわねぇ。」
「おおお前のほほうが、はしたないわ!!」
お茶をふきだしたせいで、魔理沙の襟元もお茶で汚れている。
だが、しかし。それをすぐ拭えるような余裕が魔理沙にはなかった。
当の霖之助はまったく表情を変えてはいなかった。
「霊夢。それは無理だよ。」
「あら、どうして?」
「そ、そそうだぜ!霊夢!駄目に決まってる!!」
口元を急いで腕で拭きながら魔理沙も同意した。
だが、
「僕はもう枯れているからね。」
「ってそういう問題じゃないだろ!?香霖!!」
魔理沙は自分の頭が混乱の中、ついツッコミを入れた。
なるほど、私が感じた違和感はこれだったんだ、って違う!え、どゆこと?霊夢が求婚?いやいや、キュウコンならマヨヒガの狐で足りてるし、そうじゃなくて、香霖が枯れてる?なら私と結婚したときに子供が産めないジャン、って何言ってるんだ私!か、仮にそうだったとしても私には媚薬入りのキノコがあるじゃないか、ならモウマンタイってそれでもなくて!どうせ食べるなら私は香霖のキノコを!うふっうふふふふふふふふふっふフフフ…
魔理沙が全力で現実逃避してるとき、不意にどこからか声がした。
「あらあら、駄目よ霊夢。」
そのとたん、空間がスキマを開け、そこから妖艶な女性が上半身のみ出てきた。
神隠しの主犯、八雲紫である。
相変わらず何を企んでいるかわからない瞳で霊夢を見つめた。
霊夢は、はんっと鼻で笑い
「どうせ、あんたが『香霖堂さんは私の物よ』ってでも言うんでしょう?」
「あら。よくわかったわね。」
「っておまえもかい!?」
現実逃避から復活した魔理沙は再びツッコミを入れた。
あまりにもいろいろなことが起きて、マイナス×マイナス=プラスになるように魔理沙の意識は戻ったのだ。そのままウフフ笑いしていれば良かったのかもしれないが。
霖之助はどうでもいいと思わんばかりに、また小説を読み始めようとした。
「香霖!お前が当事者なんだから、本を読んでる場合じゃないだろ!」
魔理沙が絶叫した。
霖之助は椅子にもう一度深く座りなおし、ため息をつく。
ため息ばかりついてると幸せが逃げるって、誰かが言っていたなぁ。
霖之助はそう感じながらも、またため息をつく。
紫は完全にスキマから出た後、霖之助の首にしだれかかった。
「重いのだが。」
「あら。女性に対して重いは無いでしょう。」
「霖之助さんから離れなさい。」
霊夢はすでに妖怪退治用のお札を手に持っている。
魔理沙は霊夢から発せられる殺気を感じていた。
あまりにも強すぎるオーラが魔理沙を震え上がらせた。
その様子は、まるで夫の浮気現場を見てしまった妻のようである。
しかしその目線は霖之助ではなく、紫を見ていた。
紫はその視線をそらさずに不敵に笑った。
「イヤよ。私は香霖堂さんの物なんだから。」
「どういうことだい。紫さん?言い方が逆じゃないのか?」
紫の胸が頭に当たりながらも霖之助は聞いた。
霖之助が紫のものではなく、紫が霖之助のものである、と彼女は言っているのだ。
その発言は意味不明である。
「あらあら。香霖堂さん、私のことは呼び捨てで構わないのよ。でも、そうねー。ちゃんと説明すると…」
霖之助から名残惜しそうに離れると、紫は慈愛に満ちた表情でおなかをさすった。
「だって、わたしのココにはね。愛の結晶があるの。」
「「「な、なんだってー!!!」」」
さすがの霖之助もこの発言には顔を青ざめた。
霊夢は臨戦態勢のまま固まってる。
魔理沙は現実逃避してる。
「ちょっとまってくれ、紫さん。それはあり得ないよ。」
「あなたは大妖怪じゃないわ!大変態よ!」
「……うふ、ふふふふ、うふふフフフ…」
「名前は何にしようかしら。霖?…いえいえ銀もいいわね。」
紫はそんな様子を楽しみながら見ている。
「まぁ、別にあり得ないことではないわ。証拠ならここにあるもの。」
紫がスキマから取り出したのは、シロップなどを入れる小瓶。
その小瓶の中には、なにやら白い液体が入っていた。
いきなり出た瓶に霊夢たちは首をかしげる。
「ねぇ、香霖堂さん。見たところあなたは夏バテみたいね。」
「あ、あぁ。それがどうかしたかい?」
霖之助はまだ冷静を取り戻していなかったが、返事はできた。
「……うふふっふうふふ…」
「あんた、そろそろ帰ってきなさい。」
霊夢が魔理沙に延髄チョップをした。
「ひでぶっ!?何しやがる霊夢っ!?」
「あんたも紫の様子を見なさい。何か仕掛けてくるはずよ。」
「それはないと思うのだが…」
そう言いながらも魔理沙は紫と霖之助を見る。
「もしかして、いつものよりきついとか?」
「良くわかったね。そのとおりだよ。顔に出てたかい?」
「その原因は、もしかしたら私かもしれないわ。」
霖之助は眉をひそめる。
「まさか、健康と病気の境界をいじったんじゃないだろうね?」
いくら紫でもこれはやりすぎである。
下手したら霖之助に嫌われかねない。
しかし、その発言は予想していたのか紫は余裕をもって笑ってる。
「あらあら、違うわよ。さすがの私でもそんなことはしないわ。」
「じゃあ、一体…」
口角がつり上がり、目尻が下がる。
「この瓶の中身が、霖之助さんの二つの勾玉と草薙の剣から搾りとったもの、と言えばどうする?」
「「ちょっと待てや、ゴルァ!!」」
あまりにも危険でギリギリな発言に、霊夢と魔理沙は突っ込んだ。
「なんてうらやましいことを!」
「って違うだろ!霊夢!」
魔理沙がさらに突っ込んだ。
駄目だこいつら…早く何とかしないと…
香霖…すまないな…家は新しく建てるからよ…
魔理沙はミニ八卦炉を掴んだ。
「で、霊夢。これ欲しい?」
「もちろんですとも。紫様。」
「てめぇら、地獄に落ちやがれええぇえ!!」
魔理沙はマスタースパークを放った。
しかし、紫がスキマを開けその威力をスキマの向こう側に送った。
そのおかげで、店は壊れていない。
紫は何事もなかったのように霊夢に話す。
「でも、条件があるわ。あぁ、弾幕ごっこで負けなさいとか、賽銭よこしなさいとかじゃないわよ。」
「じゃ、何をすればいいの?」
霊夢もノリノリである。
まるで、犬が喜びを表すかのようにしっぽをパタパタと振る姿が幻視させる。
某メイド長も、主の世話をするときはこんな風になるのだろうか。
「簡単なことよ。私と実力で勝負しなさい。」
「そんなの無理よ。」
さっきのテンションとはうって変わって、顔をしかめる。
その理由は単純。力があるとはいえ、スペルカードルールなしではただの人間と大妖怪では話にならないからである。
紫が本気になったら誇張なしに幻想郷が破壊されるかもしれない。
だが紫はその返答に驚いた様子だ。
「あら。何か勘違いしてるようだけど。勝負の内容は香霖堂さんを使うのよ。」
「霖之助さんを?」
霊夢は首をかしげる。
ルールが霖之助を使う勝負が想像がつかないからだ。
「そう、それは…女の魅力よ。」
「魅力ですって?」
「そうよ。今回は私が卑怯だった。この瓶の中身もあなたたちに無断で手に入れてしまったしね。だけどもし私が香霖堂さんの心を射止めたら?この瓶は私のものになるわねぇ。」
なるほど。道理にかなってる。
確かに今回のは卑怯ではある。だから紫は正々堂々と女という武器を使って戦いましょうと言っているのだ。この勝負を受けなければ、必然的に紫の勝ちである。
受けないということは、つまり、霖之助には興味がないとみなされるわけだ。
「上等じゃない。やってやろうじゃないの。それで、いつ、どこでやるの?」
「その話、聞かせてもらった!!」
途端に香霖堂のドアが開く。
小さな烏帽子に、片手にはポラロイドカメラ。黒いミニスカートを着けている少女の名は射命丸文。伝統の幻想ブン屋である。その少女に全員が目を向けた。
「って、どこから聞いてやがった!?この鴉!」
「いやぁ、魔理沙さんのウフフ笑いからですよ。もちろん。」
「な!?…もち!…おま!」
鴉天狗からの思わぬ返答に魔理沙は顔を真っ赤にした。
またもや混乱してしまい、言葉が続かない。
「あらあら、いじめるのはこのくらいにしなさい。それで?用は何なのかしら?」
「えぇ。新聞を霖之助さんに渡そうと…あぁ、それもありますが紫さん、ここで提案があります。」
「ふぅーん…」
紫がすっと目を細める。
ただそれだけのことのはずなのに、一気にこの空間が冷えたような気がした。
さすがは大妖怪。ただの妖怪なら逃げてもおかしくない。いやそれどころか死んでもおかしくはないだろう。
文は唾を飲み込み、声が裏返らないように話した。
「大会を開くんですよ。」
「大会?」
「そうですよ、魔理沙さん。どこか広い所を借りて行うんです。で、参加者も集めましょう。それと…」
文がごそごそとポケットの中から何かを出す。
それは、河童のマークが付いていて、外の世界の万歩計みたいである。
しかし、万歩計にしてはやや大きい。
「これは心臓の鼓動を計る道具です。外の世界では医療などに使われています。にとりからもらったものですが、外の世界より性能はいいみたいです。で、これを相手に付けたら心拍数、つまりドキドキしてるのが分かるみたいです。」
「もうちょっとゆっくり話してちょうだい。」
「あやや。すみません、霊夢さん。では実際付けてみましょうか。」
言い終わると文は万歩計モドキを胸に付けた。
すると、何か表示された。
「えぇ~と…二十?」
「そのようですね、魔理沙さん。で、付属の説明書を見てみると…うん。平常ですね。」
文はパラパラと本をめくり、流し読みしてる。
この本によると、
零が死亡。
一から十までが危篤。
十一から三十が平常。
三十一から七十までが緊張、もしくは感情の揺らぎ。
七十一から九十までが興奮、もしくは異常あり、と書いてある。
「つまりですね。これを使えば相手の心理状況がわかっちゃうって代物ですよ。で、どうですか。紫さん。これなら公平に行われると思いますが…」
紫がじっと見つめている。
先ほどから変わらない空気が流れた。
文は心の中で遺書を書いていた。
あぁ…椛。秘蔵のフィルムは封印か燃やしといてくださいね…
紫がゆっくりと近づく。
文は目をつぶって覚悟を決めた。
紫が手を掴んだ。
「へっ…?」
「悪くない考えだわ。文。お礼に文々。新聞を半年間購入しましょう。」
手を掴まれたのではなく、握手されたと気づいたときには腰が抜けていた。
まさか弾幕をもらうのではなく、褒章がもらえるとは…
あの空気は、ただの紫のいたずらだったのだ。
まったくひどいことをしてくれる。
そのことを文は心の中で思うと、霊夢がイライラしながら話しかけてきた。
「何故腰が抜けているかわからないけど、いつ、どこでやるのかしら?さっさと決めてくれない?」
「はっ!?そうでした。博麗神社で三日後のこの時間でどうでしょうか?私が宣伝いたしますので、大体そのくらいの期間ですむかと。」
すぐに立ち上がり、なんともなかったかのように振舞う。
空気が読めなかった魔理沙は置いてけぼりだ。
気づかないのも無理はない。あの空気は文のみに向けられたものだったから。
霊夢が気づいたのはそのことを異変と感じ取ったためであるが、紫がそんなことをするはずがないとわかっているので黙って見ていたのだ。
それなのに気づいていなかったようにしたのは、単に話が進まずイライラしていて、それどころではないからである。
この巫女。なかなかにひどい。
「ますますいいわね。準備期間があるのは。」
「ふんっ。いい気にならないでよね。紫。霖之助さんは私が貰うんだから!」
霊夢はそう言い放つと神社に戻った。
「あらあら、若いっていいわね。じゃあ私も戻ろうとしますか。」
紫はスキマを開けるとその中に消えた。
「さて私も急いで戻らないと。宣伝用の広告を作らないといけませんからね。」
ヒュンと音が鳴ったと思ったら文はもう居なかった。
「はぁぁぁぁ…何か異様に疲れたぜ…」
魔理沙は面倒くさがるように箒に乗り、のろのろと香霖堂から出て行った。
「…僕には拒否権がないのか?」
苦渋に満ちた表情で呟くが、誰も聞くものは居なかった。
ただ、隙間風だけが哀しげに流れる。
おまけ1
「とうっ!ほりゃ!そぉい!」
紅魔館。そこは悪魔がすむと言われる場所。
人はおろか、妖怪でさえも踏み入ってはこない。
そこに門番は要らないはずなのだが、その門番は太極拳をしている。
華人小娘、紅美鈴である。
ここに門番が立っているのは、今は、ただ紅魔館としての格好がつかない理由である。
大昔はここに退治しようとした人間やら、己に酔った妖怪などがひっきりなしに来たのだが。
こんな場所を守るより、他に労力は使う場所があるだろうに。
そんなことも考えずに美鈴はここに居る。
「ふぅ~。いい汗かきました…うん?」
三メートルほど離れたところに、何か線が見える。
美鈴が不審に思ってじ~と見てみると、その線がくぱぁと開いた。
その線の正体は紫のスキマである。
「何故、紫さんのスキマが?…ってこれは!?ちょっ!?ま!?」
そこから魔理沙が先ほどはなったマスタースパークが出てきた。
突然のことで驚いた美鈴はすぐさま防ごうとするが、何故かいつもの出力ではなく、ファイナルスパーク並の威力を持っていた。
「なじぇにこんな目にぃ~!!!…」
美鈴は光になった。
おまけ2
妖怪の山の滝の裏。そこには下っ端哨戒天狗、犬走椛が居た。
椛が凝視しているのは、紫のいたずらで冷や汗を掻いている文である。
「ハァハァ…文様かぁいいよ文様。」
鼻血を出しながら悶えていた。
「ぐへへ…あの写真はあたしのところで大切に保管しておきますよ。」
なんという読唇術と読心術。さすがは妖怪、時間だけはたっぷりあるため、人間技は難なく手に入れることができた。それでも驚異的な視力と労力は必要だが。
「これだけで…あぁ…ご飯三倍はイケちゃう…」
なかなか変態チックな天狗である。
「うっ!!……ふぅ……自重しろ。げへへ、あたし自重しろ。」
自重しろ。そして、仕事をしろ。
たしかにそうなんだけどさぁww
中々に面白いw
ただ、カップリングが嫌いな人は云々は書いておいたほうがいいかもしれませんね
椛自重wwww
そして美鈴ドンマイ
それでもニヤツキながら全部読んでしまう自分も相当下品なのか・・・
>>18
誰もお前なんぞに読んでもらわなくても困る人はいないのでは?
いちいち宣言すんな。