ある朝のこと、朝露に濡れた軒先にそれは小さく蹲っていた。
白と茶色が斑になった毛並みに、やや長めの胴と短めの足、耳はややへたり気味。
まだ眠気が残りぼんやりとしている私を、つぶらな瞳が見上げていた。
「ふむ…?」
ほんの気まぐれに、私はそれを拾い上げてみた。
思ったよりも軽く、また小さく、腕の中にすっぽりと納まってしまう。
その間、それは抵抗らしい抵抗をすることもなく、嫌がる素振りすら見せずにいた。
よくよく観察すると、ここにたどり着く前に獣にでも襲われたのか、ところどころ毛並みは血に滲んでいたので、ただ単に痛みで動けないでいるだけなのかもしれないが。
血で少し服が汚れてしまったが構うことはない、血で汚れるのはいつものことなのだから。
「あら、あなた雌なのね」
別にどうでもよいことではあったが、我が永遠亭は女所帯なのでなんとなく確認してみただけのことである。
さて―――この犬っころ、どうしてくれましょうか。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「で、永琳、どうなの?」
拾い上げたのが気まぐれなら、傷の手当をしてやろうと思ったのもやはり気まぐれだ。
あんまりにも長く生きていると、時々意味もなく普段とは違ったことをしたくなる時がある。
おそらく、あの犬を見つけたのが昨日、或いは明日であったなら、私は見向きもしなかっただろう。
だから私の気まぐれに感謝すべきなのだ、あの犬っころは。
畜生にそんなことを言っても無駄だろうけど。
とにもかくにも『困った時の永琳頼み』は永遠亭の基本。
彼女は獣医ではないが、たまにイナバたちの診療をしたり、妖怪ども相手に薬を処方していたりするくらいだ。
犬の手当てくらいは出来るだろうと踏んで、部屋に押しかけてやった。
流石に付き合いの長い彼女は、私が抱えている犬を見るや、こちらの意図を概ね察して治療を始めてくれた。
途中僅かに手が止まることはあったが、それに気づいたのは私と彼女の弟子のイナバ(ウドンゲ)くらいのものだろう。
何時の間にか興味津々の顔で人垣ならぬ兎垣を形成していたイナバたちには、まったく気づいた様子はない。
「怪我の方は大したことはありません。傷が少々化膿していますが、まず問題はないと思います」
私の問いかけに答えながら、永琳は仕上げとばかりにテキパキと犬に包帯を巻いていく。
幾度か垣間見えた逡巡めいたものはなんだったのか、その動きにはもう一切の澱みは見られない。
まぁ専門外のことだ、いくら永琳でも少しくらい迷うのも無理からぬことかもしれないが。
「姫様、この犬をどうされるつもりですか?」
「んー?別にどうもしないわよ。少しは暇潰しになるかなーって」
「…そうですか。―――はい、これで取り敢えずの処置は終わりです。三日もすれば包帯は外せるでしょう」
「さっすが永琳ね。犬の癖に永琳の手当てを受けられるなんて、あなた運が良いわよ」
診療台代わりの机の上で伏せている犬をひょいと抱き上げてやると、私の言葉を理解したのか、尻尾を振りながら「ワン」と吠えた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
手当てをしたは良いが、それからが大変だった。
犬は私の行くところ何処へでもついてまわり、立ち止まれば足元にじゃれついてきて、とにかく鬱陶しいったらなかった。
しかし、永琳に傷の手当を頼んだ手前、その傷が癒えぬうちに私が傷を増やしたりすれば、何を言われるかわかったものではない。
永琳は過去の負い目から、一千年以上の長きにわたって従者として私を立ててくれているが、実力的には彼女の方が数段上だ。
怒らせると怖いなんてものではなく、場合によっては一度や二度は容赦なく殺されることだろう。
たかが犬一匹、無碍に扱ったところでそこまではしないだろうが、小一時間耳が痛くなるようなお説教は覚悟せねばなるまい。
問題は犬の世話とどちらが楽かだが―――
「って、ぎゃあ―――!?玉の枝かじるなぁ!!」
「それは火鼠の皮衣!!あなたの寝床はこっちのボロ布よ!!」
「ちょっ…!!何プルプル震えて……ま、まさか!それは仏の御石の鉢………あ゛ぁ―――――!!!!!」
…以上ダイジェストでお送りしました。
なんていうか、詳細は描写したくありません。
ええ、もう勘弁して。
ひとまず戦いを終えた私は、ぐったりと布団の上に伏せている。
あの犬っころ、躾がまったくなっていなかった。
当初から怯えをみせることなく、人懐っこく振舞っていたことを思えば、飼い犬だったとは思うのだが………まったく飼い主の顔を見てやりたいところである。
その他色々と頭の中で渦を巻いていた恨み節は、頬に撫ぜたザラリとした感触に停止した。
「…誰のせいでこうなっていると思っているのかしらね、この畜生は」
睨みつけてやると、器用にも小首をかしげるような仕草をして見せる犬。
無性に腹立たしい気持ちになるが、本気で腹を立てたら負けのような気がして堪える。
何度も弾幕に曝したお陰で(当ててないよ?当てたら永琳が怒るだろうし…)、最低限やって良いことと悪いことは覚えてくれた………と思う。
犬の躾なんて初めてのことであるから、私のやり方が正しいかどうかなんてまったく自信がない。
そもそも永琳曰く、この犬は既に成犬で、これ以上大きくはならない種類だそうだ。
三つ子の魂百まで。
つまりとっくに躾をすべき時期は過ぎてしまっているので、多少なりとも改善しただけマシではなかろうか。
「あなたの幸せは安そうでいいわねぇ…」
頭に手を乗せてやると、犬は気持ちよさそうに目を細める。
頭を撫でられるのが好きなようで、座ったり寝たりしていると私の手のひらの下に頭をねじ込もうとしてくるくらいだ。
ただどういうわけか、そうやって潜り込んで来るのは私のところだけで、永琳やイナバたち相手にはしないらしい。
永琳の場合は、彼女の身に染み付いた薬の臭いを嫌っているのかもしれない。
イナバの場合はどうだろう、やはり妖怪でも兎は兎だから、だろうか―――どうでもいいけど。
ぶんぶんと音がしそうなくらい尻尾を振り回してる姿は、なんとも気楽そうで少し羨ましい気持ちになる。
「あぁ…そういえば、いつまでも『あなた』とかじゃ呼び辛いわね。名前なんて、本当はどうでもいいのだけど…」
頭を撫でてやりながら思案。
ぽんと脳裏に浮かんだのは、紅を背負ったアイツだった。
我ながら良い思い付きに思わず顔がにやける。
「うん、犬っころにはちょうどいいかも。いいこと、今からあなたの名は『もこー』よ。わかったわね、もこー」
ワンと吠えて返事をするもこー。
非常に愉快な気分になり、私は何度もその名を呼んでいた。
その度にもこーはきちんと吠えて返事をする。
…あいつもこれくらい素直ならいいのに。
小さなもこーを腕に抱き寄せ、そのふかふかとした暖かい感触を楽しみながら、そんな益体もないことを思った。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「姫様、今日もお散歩ですか?もうすぐ朝餉の時間ですから、あまり遠くに行かないでくださいよ」
「わかってるわ、その辺を一回りしたら戻るから」
朝はまず竹林を散歩することから始まる。
もこーは最初からそうだったように、私のすぐ後ろをとことことついてくる。
決して私の前には出ようとはせずに付き従う姿は、まるでよく出来た従者のようだ。
散歩のコースは特に決めてはおらず、その日その日の気分によって変わる。
どうせ竹林の中は歩けど歩けど大して風景が変わるわけでもないから、コースを決めたところであまり意味はないし―――
ただふらふらと彷徨って、気が済んだら永遠亭に戻るのである。
帰って朝餉を食べた後は、書を読んだり、詩を詠んだり、たまにイナバをからかったりして過ごす。
その間、もこーは大抵私の傍らにいて、出歩く時以外は大人しく丸くなっていることが多かった。
「あら…」
「む…輝夜か」
永遠亭が存在する広大な竹林には、何箇所か竹が根こそぎに一掃された広場が存在している。
変わり映えのない風景が続くのでとても迷いやすい竹林だが、私はこれらの広場を基準にして竹林のどの辺りにいるのか把握することが出来る。
適当に歩いていても迷わずにいられるのは、この目印があるお陰だ。
そのうちの一つに足を踏み入れたところで、そこに佇む人影に気づいた。
同時に相手も私に気づき、そして不機嫌そうに顔をしかめた。
永琳たちを除けば、最も古い私を知る者―――藤原妹紅。
実はこの場を含めた竹林に点在する広場は、全て私と妹紅の殺し合いの残した爪痕だったりする。
主に妹紅の発する炎のせいだが。
「しばらくぶりね、元気にしていたかしら」
「おかげさまで安穏と過ごさせてもらっていたよ」
「それじゃあ、ただでさえおめでたい頭の中が呆けてしまって大変でしょう?」
「ご心配なく。お前さんほど螺子は揺るんじゃいないよ」
肌がピリピリとする様な心地よい緊張感が漂う。
永遠を約束され、たゆたうような時間の中で、数少ない生を実感する瞬間。
あぁ、今度はどうやって弄ってやろう。
体の自由を奪って一枚一枚爪を剥がす?指を折る?目を抉る?腸を引きずり出して鳥の餌にしてやってもいい。
全身の細胞という細胞が目覚めるような感覚に、強烈な陶酔感が交じり合い、意識が組み替えられていく。
殺しあうための意識を、言うなれば狂気を前面に引きずり出す。
ここ数百年、彼女との殺し合いは半ば日常と化してはいるが、素面のままで殺し合いを肯定するほど、私は戦闘狂でもなければ殺人狂でもない。
むしろ逆ではないかと最近思いつつある。
妹紅の方はどうだか知らないけれど、私の正気はこのやり取りでガス抜きすることで保たれているのではないか、ということだ。
「悪いが、今日はすこぶる調子がいいんだ。………骨の一片も残さず焼き尽くしてやるぞ、輝夜」
「はっ、御託はいいからさっさときなさい、妹紅」
紅を背負った妹紅が手をかざすと、まるで生き物のように炎がうねる。
予備動作も大きい、回避を前提とした開幕の合図としての一撃。
瞬時に回避後の行動を何パターンか脳裏に思い浮かべたところで、背後でもこーが吠えた。
自分の名を呼ばれたと思ったのかもしれない。
私は妹紅の顔を見た直後から殺し合いに臨むべく意識を組み替えていたため、この瞬間までもこーの存在をすっかり失念していた。
おそらく妹紅の側からは私の背に隠れてしまい、その小さな体は見えていなかったのだろう。
鳳凰の羽ばたきとともに放たれた炎はまっすぐ私に向かってくる。
やはり避けるのは容易い一撃であったが、避ければ間違いなくもこーを直撃することになるだろう。
あいつの放つ炎は、ただただ私を殺すためだけに磨かれた力だけあって、術としてはかなり強力な部類に入る。
そもそも私たちのしていることは殺し合いであり、今幻想郷で主流となりつつあるスペルカードルールに則った安全な決闘などというものとはかけ離れている。
牽制と言えど、その技全てが大なり小なりの殺意が込められた殺し技だ。
不死の身であるならばともかく、何の備えもしていない生身の生物が耐えられるものではない。
あぁ―――でも私は何を躊躇しているのだろう?
かわしてしまえばいい。
そうしてもこーが焼かれることになれば、必ず妹紅は動揺するだろう。
その隙を突けば、後は私の思うがままできると、そう………わかっていたはずなのに。
「輝夜!?」
頭で考えていたこととは裏腹に、私は自分でも信じられない行動をとっていた。
懐に忍ばせてあった火鼠の皮衣をもこーに被せ、あろうことか炎の前に立ちはだかったのだ。
いくら不死だと言っても、痛覚はそのままだし、肉体そのものの強度も薬を飲む前と変わらない。
全身を炎で嘗め尽くされる激痛は筆舌に尽くしがたいものがあった。
これまでにも幾度か経験したことはあるが、好き好んで体験したいと思うようなものではない。
ましていつもの殺し合いであれば、痛みを和らげてくれていたはずの高揚感は、今はすっかり失せてしまっている。
ありとあらゆる方向から襲い掛かる痛みに、気が触れそうだった。
「ッ!!!!!」
私は喉をついて出そうになる絶叫を噛み殺し、地面に蹲りながらひたすら耐えた。
当然ながら、妹紅の炎は転げまわって消せるほど生易しいものではない。
一度燃焼の連鎖が始まれば、爆風で吹き飛ばすか、燃えている部位を削ぎ落とすかしない限り燃え続けるくらい執拗で強力だ。
けれど泣き叫ぶような醜態をさらす真似は、私の自尊心が許さない。
咄嗟とはいえ、自分が選んだ行動の結果であるならなおさらに。
意識までも焼き尽くされ白くなりかけたとき、不意に全身を包んでいた灼熱が遠のいた。
「輝夜…お前、なんで………」
どうやら妹紅が炎を消したらしい。
だが生憎と炎が消えても全身を焼かれた私は立ち上がることも、顔を上げることすらも適わず、蹲ったままだ。
薬の作用で、常人とは比較にならない速さで治癒が始まっていたが、当分動けそうもない。
妹紅の声音は呆然とした様子から、止めを刺そうという気配は感じられなかったものの、私にその表情を窺うことは出来なかった。
「痛っ…!」
私の傍らに膝をつく気配がしたかと思うと、短い悲鳴とともに何かが倒れるような音が続いた。
そして低いうなり声。
ようやく光を取り戻した目で私が見たのは、小さな体を精一杯強張らせて威嚇するもこーの背中だった。
その向こうには尻餅をつき、血の流れる手を押さえて茫然自失となっている妹紅がいた。
もしかして、あの子が噛み付いたりでもしたのだろうか?
「…やめなさい、もこー……あなたがどうこう出来る相手じゃないのよ…」
「え…もこー……?」
目を瞬かせる妹紅に、私は何故か少し気恥ずかしさを覚えたが、今はそれどころではない。
未だ自由にならない腕を無理やりに動かして、もこーを抱き寄せる。
火鼠の皮衣を被せたおかげか、毛並みにも異常はなく、私はそっと安堵する。
「…その犬を庇ったのか」
信じられないという顔で見下ろしてくる妹紅に、私は答えずに立ち上がる。
焼け爛れた肌は僅かな動作でも、泣きたくなるような痛みをもたらしたが、歯を食いしばってあふれそうになる声を飲み込んだ。
ずるずると足を引きずりながら少し離れた場所まで行くと、もこーを下ろし、その周囲に結界を張って閉じ込めた。
あまり結界術は得意ではないが、しばらくは大丈夫だろう。
我ながら何をしているのやらと呆れてしまうが、不思議と後悔はなかった。
むしろ清々しい気分で再び妹紅と相対する。
「…手間を取らせたわ。さぁ続きをしましょうか」
歯を食いしばっていたおかげだろう。
体の損傷具合のわりに、喉は比較的まともに声を発してくれている。
「つ、続きってお前……出来るか、そんなこと」
「どうして?今なら私をあなたの好きなように出来るのよ?こんな機会は二度とないかもしれない。その好機を、あなたはみすみす逃すというの?」
「…馬鹿にするな」
妹紅は怒ったように言って、そのまま踵を返して竹林の向こうに消えていった。
その背が完全に見えなくなるのを見届けてから、私はその場にどうと倒れ込んだ。
手を着く余裕すらなく、顔面を強かに打ち付けることになってしまったが、全身火傷の方が痛みは酷い。
妹紅の手前では強がって見せたが、もう指一本動かすこともできそうもなかった。
私は心身ともに、きっぱり限界だった。
「あー………こりゃ完治に三日くらいかかるかな…まったく、どんどん炎の扱いが上手くなってるわね、あいつ」
ここまでの重傷となると、いっそのこと一度死んでしまってリザレクションした方が早いのだが、自殺というのは何度やっても気分のいいものではない。
当然かもしれないが、極力避けて通りたい道だ。
これからまだまだ続く、果てのない生に自殺癖などついてしまったら目も当てられない。
あぁ………もう考えることも億劫だ。
そのうち永琳かイナバが黒焦げの私を見つけてくれることを祈りつつ、目を閉じる。
そうして意識の手綱を手放し、闇に落ちる直前のこと、頬にザラリとした感触を覚えたような気がした。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
退屈だ。
外つ国でみられるというミイラの如き包帯まみれの姿で、私は嘆息した。
妹紅の炎で全身を焼かれ、瀕死の状態となった私は無事永遠亭に戻っていた。
永琳によると、もこーが永遠亭に駆け戻り、助けを呼んでくれたらしい。
私があの子を閉じ込めるために施した結界は、意識を手放すと同時に消失してしまったのだろう。
目を覚ました時、もこーは私の寝る布団の傍で丸くなっていた。
ずっと傍についていたんですよ―――と、微笑を浮かべながら語るイナバ(ウドンゲ)に、私は気のない返事を返したが、内心ではこそばゆいものを感じていた。
体の方は永琳の手当てのおかげもあって順調に回復している。
予想よりも一日長い四日の安静を言い渡されたが、二日目にして私は暇を持て余すようになった。
普段から時間をもてあましているのと、この場合の暇はちょっと感覚が違う。
敢えて何もしないでいるのと、何もしないことを強要されるのとでは、後者の方がストレスが溜まるというものだ。
けれどこの禁を破ろうものなら、暇を持て余すよりも苦痛な永琳のお小言が待っていることを思うと、おいそれと動くことも出来ない。
もこーはと言えば、私が動けないということを理解しているのか、枕元で丸くなって眠りこけている。
すぅすぅと穏やかな寝息を立てている様は、とても幸せそうだ。
やむなくぼへーっと天井を眺めて染みの数を数えていると、急にもこーが跳ね起き、庭の方に向かってうなり声を上げ始めた。
何事かと視線を向ければ、庭先に妹紅が所在無さげに立っているのを認め、納得。
先日の一件でもこーの中では、藤原妹紅は敵という認識が確立されたのだろう。
妹紅はあれでいて繊細なところがある。
小動物にこういう態度を取られると傷つくかも―――などと思っていると、案の定少し悲しげに目を伏せた。
その仕草がおかしくて、私はもこーを撫でながらつい吹き出してしまう。
「そんなに笑うことないだろう」
「だってあなた、鏡で今の自分の顔見た方がいいわよ。きっと笑えるから」
「…ちぇっ、来るんじゃなかったか」
「ふふっ、まぁそんなところに突っ立ってないでお上がりなさいな。お茶ぐらいは出すわよ」
「お茶、ね…また毒じゃないだろうな」
「別に飲んでも平気でしょう?」
「そういう問題じゃないだろう。何時からお茶は血反吐を吐いて苦しみながら飲むものになったんだよ…」
「冗談よ。ほら、さっさと座りなさい」
妹紅はしばし逡巡したものの、私が布団から這い出て縁側に座り直すと諦めたようにその隣に腰を下ろした。
それを確かめた後、イナバにお茶を用意するよう命ずると、すぐにお茶請けの草団子とともに用意された。
「もこー、あなたももういいのよ。こいつとの殺し合いはしばらくなしだから」
未だ警戒しているもこーを正座した膝の上に抱き上げ、噛んで含めるように言い聞かせる。
割と賢い子だから、これで理解してくれるとは思うが。
「…その犬、もこーっていうのか?」
「ええ、そうよ。犬にぴったりの名前でしょう?ああ、あなたもそういえば藤原妹紅だったわね」
この際、隠しても仕方がない。
と言うか、そもそも何故隠すなんて考えが浮かばねばならぬのか。
笑いものにするためにつけたのだから、これでいいはずだろうに。
けれど妹紅は「白々しい」と短く嘆息するだけで、それ以上は何も言わなかった。
むぅ…なんだかつまらない。
「…私は藤原妹紅という。先日はすまなかった」
もちろんこの言葉は私に向けたものではなくて、私が抱いているもこーに向けたものだとはわかっている。
それでも私に正対しているも同じだから、まるで妹紅が私に頭を下げているようで、妙な気分だった。
私が軽く戸惑っていると、妹紅は腰にくくっていた袋から、竹で編んだ毬を取り出してもこーの鼻先へ差し出した。
その内側には紐で鈴が吊られているのが見える。
もこーが毬と私の顔を交互に見るので頷いてあげると、緊張を解いてパタパタと尻尾を振り始めた。
「遊んでいらっしゃい。私が動けないから、散歩もしていないでしょう?」
毬を手に取って庭へと放ると、もこーはそれを追って駆けて行く。
ちりん、ちりん―――と、転がるたびに、跳ねるたびに、涼しげな音が庭に響いた。
「あれはあなたが?」
「うん、まぁね。それなりに頑丈に作ったつもりだから、そうそう壊れることはないと思うけど…」
「知らなかったわ、あなたにそんな趣味があるなんて」
「そりゃ言わなかったし。それに興味もなかっただろう?」
「…かもね」
二人でお茶をすすりながら、もこーが駆け回る庭を眺める。
こんな状況を、果たして数年前の私が予想することが出来ただろうか。
聞いただけで卒倒しそうな気もする。
「それにしてもどういう気まぐれだ?犬を飼うなんてさ」
「飼ってる…飼ってるのかしらね。あんまりそのつもりはなかったんだけど、いつの間にか、ね…」
「じゃあなんで、よりにもよって私の名前を?」
「それこそ気まぐれよ。何か意味があると思って?」
「いや…何も期待なんかしてないよ」
「期待?」
「ん…言葉の綾だ。気にするな」
お茶が尽きる頃、足元にもこーが戻っていた。
鈴の音色が気に入ったのか、前足で転がしては音を出して遊んでいる。
「さて…そろそろ帰るよ」
「あら、もうすぐ夕餉の時間よ。どうせなら食べていけば?」
「お誘いは嬉しいけどね、私はそこまで面の皮は厚くないよ」
立ち上がった妹紅は軽い足取りで庭へと降りてゆく。
途中、もこーの頭を恐る恐る撫でていったが、もこーが抗わないと知ると僅かに顔をほころばせていた。
「なあ輝夜―――……いや、いいや、なんでもない」
立ち去り際に、妹紅が何かを言いかけて言葉を濁した。
けれど私はすぐに察した。
その目がもこーを撫でた手の平に落ちていれば、わからないはずがない。
「好きな時にいらっしゃい。朝、あの時間帯に散歩をする以外は大体ここにいるわ」
「………ん、じゃあ、またな」
背を向けて小さく頷くと、妹紅は去っていった。
らしくないかな、とは思ったが、構うまい。
これも長き時を生きるが故の気まぐれに過ぎないのだから。
たまにはこういう時期もあってもいいだろう。
しかし、あの妹紅と殺し合い以外で「また」なんて言葉を交わすことになるとは、思いもよらぬことが起こるものだ。
胸を占めているのはとてもとても愉快で、爽快な気分。
私はもう退屈などという言葉はすっかり忘れてしまっていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
あれ以来、妹紅がちょくちょく永遠亭に顔を出すようになった。
けれど殺し合いは一度もしていない。
もこーの散歩をしたり、庭で遊んだり、縁側でゆっくりとお茶を飲んだり―――平和という表現が何よりも似つかわしいだろう。
お互い、確執を忘れたわけではないが、割と冷静に過去を振り返って、互いの立場を確認することが出来たのは、収穫だったように思う。
数百年にわたって殺しあってきたというのに、驚くほど私たちはお互いを知らなかった。
むしろ知ろうとしなかったのかもしれない。
互いの憎悪や殺意が薄まることを恐れて、遠ざけていたのだ。
ただ、だからと言って急には変われないだろうし、きっと変わらない。
いずれまた私たちは殺し合う。
骨肉相食むような凄惨な争いを、飽くことなく繰り広げるに違いない。
これはただの小休止―――そんな思いが私たちの根底には確かにあった。
その他、ちょっとした変化ということで、時折妹紅だけでなくハクタクも永遠亭を訪れ、永琳と談笑するようになった。
あの二人は私と妹紅の殺し合いの後始末担当なので、以前から面識があるのは知っていたが、永琳が対等の相手として扱っているのは少し意外だった。
だが良いことではあるのだろう。
私は彼女の主、イナバたちは弟子やらペットであって、それぞれ上か下かの違いはあるが、どちらにしても対等とは言い難い。
永遠亭で永琳が愚痴をこぼせる相手はほとんどいないと言っていいのだ。
その点、あのハクタクは同じ労苦を共にしているうえ、人間の守護者をやるほど人が良い。
永琳の愚痴にもきちんと付き合ってくれることだろう。
だから二人の会話に頻繁に姫がどうの、妹紅がどうのと、私たちの名前ばかりが出てくるのは気にしないことにしておく。
―――このときもっと注意深くしていれば、気付いたかもしれない。
もこーと戯れている私たち二人を見つめる、躊躇いと後悔、そして不安の入り混じった眼差しに。
気付いたからといって何が出来たわけでもないだろうが…
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
もこーと過ごすようになってから、二月ほどたったある朝のことだ。
いつもはもこーは私の頬を舐めて起こしていたのだが、その日は私の方が早く目覚めた。
時間帯は普段と変わらない。
すっかり習慣がついていたので、もこーに起こされなくても同じような時間に目が覚めるようになっていたのだ。
それでも僅かな物足りなさを感じて身を起こした私は、枕元で丸まっていたもこーに手を伸ばしかけ、そこで違和感を覚えた。
「も、もこー……?」
呼びかけるも反応がない。
口の中が乾く。
私はからくり人形のようなぎこちない動きで布団から這い出ると、丸まったままのもこーに手を伸ばした。
触れた指先から伝わってきたのは、酷く嫌な感触。
弾力と温もりを失った肉の感触だった。
「もこー……、もこー…っ!」
名を呼びながら体を揺するも、もこーは一向に目覚める気配はなく、四肢は力なく投げ出されるばかり。
いつも忙しなく動いていた尾はピクリとも動かず、閉じられた瞳は二度と私を映すことはなかった。
わかってはいた。
何が起きたのか、何が起こったのか、私は嫌というほど理解していた。
それでも私は認められず、諦められず、みっともなく足掻いてしまった。
「永琳ッ!!」
「…来ましたか」
もこーを抱えて部屋に飛び込んできた私を、永琳は一切の動揺もなく、ただ沈痛な面持ちで迎えた。
その表情は事態の全てを察していると、そう語っているようだった。
「逝ってしまったのですね…」
「永琳…もこーは……」
「…残念ながら、姫様。これはもうどうにもなりません。天命というものです」
「なんで…昨日まではあんなに元気だったのに……」
「…そのことについて、私は姫様に謝らなければなりません」
「どういう、こと…?」
永琳はしばらく目を伏せていたが、やがて意を決したように顔を上げると静かに告げた。
「私はこの子が余命幾許もないことを知っていました。姫様がこの子を連れてきた時、気付いていたんです」
「え…?」
思わぬ告白に、私は驚きで二の句を継げなかった。
永琳はこうなることがわかっていた?
しかもわかった上で、放置していたというの?
なぜ?何故?ナゼ?
申し訳なさそうに再び顔伏せてしまう永琳を、私は困惑したままただ呆然と見返すことしか出来なかった。
「おそらく、この子は外の世界から来たのでしょう。己の死期を悟り、人知れぬ死に場所を求めた結果、幻想となったのです。私が傷を診た時点で、病は全身を蝕み既に手遅れの状態でした」
死をも克服した天才薬師である永琳が手遅れというからには、事実だったのだろう。
しかし、私はそうやって理性で理解できても、どうしても感情の収まりがつかなかった。
本当に手遅れだったのか?何か術はなかったのか?無駄と決め付ける前に出来ることはあったのではないか?
そのような内容のことを、私は思いつく限りの罵倒の言葉とともに、永琳にぶつけていた。
支離滅裂で、ほとんど言いがかりに等しかったが、坂道を転げ落ちるように一度勢いがつくと止まれそうもなかった。
けれど、永琳の言葉で再び凍りつくことになる。
「…仰りたいことはわかります。しかし、敢えて問わせていただきます。姫様、あの時もし私がその事実を告げていたならば、どうなされましたか?」
それは静かな問いかけであったが、私にとって断罪の言葉に等しかった。
もしあの時点で余命幾許もないことを知ったとしたら?
きっと―――いや、間違いなく、私は興味を失って竹林にでも捨てて来いと命じただろう。
仮に永琳が治療の可能性があるといったとしても同じことだ。
そのとき私にとってそれはただの犬っころであって、もこーと名付けた存在ではなかったのだから。
わざわざ永琳に手間をかけさせる必要性など、感じなかったに違いない。
まっすぐとこちらを見据えている永琳の眼差しは、そんな私の胸中を全て見透かしたようだった。
本当に、言葉もないとはこのことだ。
「正直なところを申し上げれば、姫様はすぐに飽きてしまわれるだろうと思っていました。だから問題はない―――そう判断したのですが…誤算でした」
申し訳ありません、と頭を垂れる永琳。
その姿に私は何も言えず、何も言い返せず、吐き出すことの出来ない思いの塊に胸を焼かれるばかりだった。
居た堪れなくなって部屋を飛び出したのは、その後すぐのことだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
何処をどう歩いたものか、気がつくと私は竹林の中の広場にいた。
焼け焦げた地面が、先日妹紅と殺し合いをしそうになった現場だと教えてくれた。
「これからどうしよう…」
取り敢えず地面に腰を下ろした私だったが、行き場のなさに途方に暮れてしまっていた。
こういう事態になると、自分の世界の狭さを強く感じる。
以前にも永琳とケンカをして永遠亭を飛び出したことは何度かあったが、いつもこの竹林を出るには至らなかった。
出たところで外の世界をまるで知らない私は、結局永遠亭に戻る以外の選択肢を持たなかったのである。
かと言って、まだ帰るには気持ちの整理がついていない。
今、腕に抱いている亡骸をどうすべきかもまた、決めなくては帰れない―――そんな気がしていた。
そんな私の目の前にふわりと降り立つものがあった。
私は顔を上げなかったが、誰が現れたのかはすぐにわかった。
「…永琳から聞いたよ。死んじまったんだってな」
そう切り出した妹紅の声音は、落ち込んではいるようだったが比較的冷静なものだった。
あまりにあっさりと受け入れて納得しているようで、私は妹紅のことが無性に腹立たしくなった。
いつもの殺意とは全く違う、怒りや苛立ち。
永琳に対して吐き出したように、処理し切れない膨大な感情が再び私の中で渦を巻く。
「ああ、そうか…あなたも知ってたわけね?そうなんでしょう?もこーがすぐに死んでしまうこと、知ってたんでしょう?」
「いや…私は………」
「それで私一人を道化に仕立て上げて、影でほくそ笑んでたってわけだ!ははっ、はははははははっ!」
「待ってくれ、輝夜!違う、私は…違うんだ!」
「いいのよ、もう我慢なしなくても。滑稽でしょう?この蓬莱山輝夜ともあろう者が犬っころ一匹に振り回されて………笑いなさいよ…笑えっ、藤原妹紅!!」
私は勢いよく立ち上がると、詰め寄って片手で妹紅の胸倉を掴み上げた。
いっそこのまま殺し合いになれば良いと思っていた。
そうすれば余計なことに頭を悩ませることもなくなるだろう。
殺し、殺されて、それでいつもどおり。
けれど妹紅の真っ直ぐな眼差しは、そんな私の安易な逃避を許してはくれなかった。
「笑うもんか…人の悲しみを笑うなんて出来るもんか!私はそこまで落ちちゃいない…!!」
妹紅が怒気を滲ませながら搾り出した声はまるで慟哭のようで、私は雷に打たれたように体から力が抜けて行くのを感じた。
立っていることすらも出来ず、膝から崩れ落ちそうになる。
それを妹紅は躊躇うことなく抱きとめてくれた。
ちょうど妹紅の胸に顔をうずめる形となる。
普段ならすぐに振り払うであろうはずの腕を、私は甘んじて受け入れた。
「大切なものを失うのは辛いよな、悲しいよな。でも…これが普通なんだ。遅かれ早かれ、この世のありとあらゆるものは壊れ、死に、滅ぶ。―――私たちを置き去りにして」
「………」
そんなことはわかっている、と答えようとしたが、こみ上げてくる嗚咽を堪えるので精一杯で言葉にならなかった。
ぽたり、ぽたりと次から次と溢れ出る涙が頬を伝う。
ようやく私は自分が悲しんでいるのだということを自覚した。
ほんのちっぽけな命が終わりを迎えただけ、それだけのことだというのに、私は悲しかったのだ。
そして自覚と同時に、さらに多くの涙がぼろぼろと零れ落ち始めたが、妹紅はそのまま私を抱き締めてくれていた。
「この子はきっと幸せだったよ。お前に拾われて」
「ふんっ…当然じゃない……私を、誰だ…と………っ」
「ははっ、そうだな。輝夜姫」
何度も何度も私を殺した腕。
だというのに、その腕に抱かれて安堵している自分を感じていた。
押し付けた額に伝わる彼女の鼓動を、心地よいとさえ思っていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
朝が来る。
まだ空も白み始めたばかりの早い刻限ではあったが、自然と目が覚めてしまった。
習慣というものは必要なくなっても、すぐには抜けてはくれないものだ。
枕元に転がっている竹製の毬を見やり、思わず苦笑してしまう。
しばらくは早起きをする日々が続きそうである。
軽く憂鬱になりながらも、ごろごろしていても仕方ないので布団を抜け出ると部屋を出た。
足元にまとわりついてくるものがなくて少し寂しい気はするが、これもそのうち慣れるのだろう。
考えても見れば、これまで長い時間を生きてきたけれど、私の身近で誰かが死ぬということはなかった。
永琳は私と同じ不死の身であるし、イナバたち妖怪兎の死はまだまだ先のことになるはずだ。
地上での養父母たちは既にこの世を去っているが、彼らの死に目に会ったわけではないので、いまいち実感に乏しいというのが正直なところ。
だから私にとっての死とは、勝敗の形に過ぎなかったように思う。
少なくとも妹紅との殺し合いが常態化した、ここ数百年はそうだった。
「本当、確かに軽いわねぇ…」
廊下を歩きながら一人苦笑しながら呟く。
あの後、広場でもこーの亡骸を荼毘に付した時、天へと昇っていく煙を目で追っていた妹紅が漏らした言葉が今も耳に残っている。
死を忘れた私たちの命は軽いと、妹紅は言った。
あぁ、まったくその通り。
その通りだと思う。
「さて―――今日は何をしようかしら?」
私たちの命は軽い。
だが、だからこそもっと日々を懸命に生きてみようと思うのだ。
幸いにして、この幻想郷は相手には事欠かないわけであるし。
その時どこかで、ちりんと鈴の音が聞こえた気がした。
【蛇足】
「ねぇ妹紅」
「なんだ輝夜」
「もしかしてだけど、あなたも以前何か飼ってたんじゃない?」
「ん、なんでそう思うんだ」
「あの子が死んだときとか、なんだか慣れてる感じがしたから。で、どうなの?」
「まぁ…正解だよ、猫を飼ってたことがある。なかなか懐いてくれなくて苦労したっけ」
「ふぅん…名前は?」
「聞きたいか?」
「うん、あ―――…いや、やっぱりいいわ」
「何だよ、遠慮するなよ。その子の名前はだな」
「かぐや、でしょう」
「ははっ、わかるか、やっぱり」
「一応聞いておくけど、何でそんな名前をつけたのよ?」
「猫にぴったりだろう?気まぐれだし、性悪だしさ」
「…言ってなさい」
「でも可愛い子だったよ、かぐやは」
「………………ふん」
荒んだ二人の心を癒せるのは、案外犬猫ぐらいしかいないのかも?
輝夜も妹紅も、いい対価を貰いましたね。
ああ、良いなぁ・・・この二人と犬のもこーを取り巻く雰囲気が。
妹紅と輝夜の関係にもまた変化が訪れたようで…。
戦いをしても、二人は何かを共有できる仲になれるのでしょうか。
とても面白い作品でした。
重複してる文があったので報告を。
>「じゃあなんで、よりにもよって何で私の名前を?」
という部分ですが「何で」という部分が重複してますので
どちらかにしたほうが宜しいかと思います。
以上で、報告終わります。(礼)
もこぐや最高!
誤字報告
>別に胴でもよいことではあったが、
胴?
評価忘れてた(^_^;)
文も読みやすかったですよ
ただもこーの亡くなり方がちょっと唐突かなぁと思ってみたり。
犬飼ったことないから詳しくはわかんないけど、
「病は全身を蝕み」と書いてあるから(老衰ではなさそうだから)弱っていく課程がないのは変かなぁと。
野暮なコメでごめんね・゚・(ノД`)・゚・
ちっぽけな命の方がより重く感じる・・・
二人にとってはそうなのかもしれないですね
蛇足いいぞもっとやれ
この作品を読んであらためて命の大事さを思いました。
<点へと昇っていく煙を目で追っていた妹紅が・・・
天・・・ですよね?(^^;
拾われた犬も2人に出会えて幸せだった事でしょう。
蛇足もむしろ面白かったw 100点!
もこかぐ最高だな