この作品は
作品集45「幻想郷のとある一日・霊夢編」、「幻想郷のとある一日・慧音編」、「幻想郷のとある一日・咲夜編」、
作品集46「幻想郷のとある一日・鈴仙編」、作品集50「幻想郷のとある一日・妖夢編」、作品集53「幻想郷のとある一日・藍編」
の視点が変わった話になります。
宜しければそちらもご覧ください。
午前6時
「ん………ん~…………!!」
窓から差す光で目を覚まし、私は大きく伸びをする。
「っっはぁぁ……………!!」
ん~……今日も良い天気になりそうだわ。
私は部屋を出てリビングに向かう。
リビングと言うのは外の世界の居間を指す言葉らしいわ。
居間よりもこっちの方が響き的に良いから私たちはこっちで呼んでるのよね。
「あら、おはようルナ」
「おはよう、スター」
ドアを開けると同じタイミングでスターも部屋から出てきた。
「で、一番早く起きても可笑しくないサニーはまだ寝てるのかしら?」
「じゃないの?」
「やれやれねぇ…………」
「取り敢えず、コーヒー淹れるわね。ブラックでいいわよね?」
「勿論」
私はブラック派だ。
スターは微糖派。
そしてサニーはカフェオレ派だわ。
スターが淹れてくれたコーヒーを飲みながら天狗の新聞に目を通す。
普段は文々。新聞だけど、今日は違う天狗の新聞。
他のと見比べるとやっぱり文々。新聞は面白みに欠けてるわね。
その分、内容の真実味は高いけど。
どっちが良いかと言うのは甲乙付け難いわねぇ。
午前9時
「ん~…………おはよ~」
漸くサニーが目を擦りながら起きてきた。
「あら、陽の光の妖精なのに遅いお目覚めね」
スターが開口一番、皮肉を放つ。
「じっくりと陽の光を身に当ててたのよ」
「そういう事にして置いてあげるわ」
スターはサニーの言い訳をサラリと流すと、そのまま台所へ向かった。
サニーの分のコーヒーも淹れにいったんでしょう。
「ふあぁぁぁ…………」
「朝起きれないなら早く寝なさいよ」
「ちゃんと寝てるよ~」
「単に低血圧なんじゃないの?」
スターがコーヒーを持ってきながらそう言った。
「う~………」
サニーは机に顎を置いたまま唸る。
「はいはい。唸ってないで、朝ごはん済ませたら出かけるわよ」
今日は良い天気だし、絶好のお散歩日和だわ。
「ん~………今日は何の日だっけ?」
サニーがパンを食べながら聞いてくる。
「今日は決めて無かったわね~」
「そうね」
そういう時は行き当たりばったりで決める事にしてるわ。
「それじゃ、まずはお出かけしましょうか」
「その前に貴女は朝食を済ませなさい」
「は~い」
ご飯を食べかけで出掛けかねないサニーに釘を刺して、私は再びコーヒーを啜った。
午前9時30分・街道
「さ~て、何しようかしら?」
道を歩きながらサニーが呟く。
私とスターもその事に思案をめぐらせる。
「ん?前から何か来るわ」
スターが能力で何かを感知してそう告げた。
「隠れましょう」
大した事の無い相手ならいたずらして、ヤバイのだったらやり過ごす。
それが私達のやり方。
私達は近くの茂みに身を隠した。
スターと私の能力で何処でも隠れは出来るけど、念の為ね。
「あ、来た来た」
スターが呟く。
確かに誰か来たわ。
ちょっとまだ遠くで見えないわね…………
「人間っぽいわね………」
確かにサニーの言うとおり、人間の女性っぽい外見だわ。
ん~………でも、あの人間、どこかで見たことある気が……………
スターに尋ねようとしたら、スターも同じように考え込んでいた。
あの赤いチェックの服、同じ柄の傘、緑の髪……………
何かしら?私の中で何かが猛烈に警鐘を鳴らしてるわ。
思い出せ。
思い出せ、私。
このままだと何かまずい事が起きるわ。
そう、私の勘が告げている…………
「よ~し、それじゃま、ちょっと悪戯しちゃいましょ♪」
私達の事は尻目にサニーはその人間へと接近する。
…………人間?
そうだ。
まず、それがおかしいんだわ。
こんな場所を人間があんな無防備に出歩けるわけが無い。
博麗の巫女やあの白黒の魔法使い、それに紅魔館のメイド長ならいざ知らず。
ここは普通に妖怪とかが出る場所。
なのに、普通の人間があんな風に散歩気分で歩けるわけが無い。
じゃあ、何?
あの女は人間じゃない?
だとすると何?
決まってる。
人の形をして人間で無いなら後は一つ。
妖怪だわ。
妖怪…………妖怪…………………妖怪!?!?!?
「サニーストップ!!!!」
私は物凄い勢いでサニーを止めた。
勿論、私の声は私の能力で消してあるからあの妖怪には聞こえない。
「ちょっ!?なにすんのよ!!」
突然私に止められてサニーが騒ぐ。
「良いから戻りなさい!!早く!!」
私はサニーを引っ張って元の茂みに戻る。
「な、なんなのよ一体」
「あれが誰だか解ったの?ルナ」
スターが尋ねてきた。
「ええ、思い出したわ………あと少しで最悪死ぬ所だったわよ」
「え?何、あいつかなり危険な奴なの?」
サニーは驚いて聞いてくる。
「危険も危険。超危険妖怪よ」
「妖怪?人間じゃなく……………ああっ!?」
スターも気付いたようね。
「ど、どうしたの?」
サニーは依然気付いていない様子。
「ま、まさかあいつ…………」
「そうよ、「あの」風見幽香よ」
「げえっ!?風見幽香!?」
サニーも流石に名前は知っていたようね。
そう、前に稗田家とか言う家に上がりこんだ時に本で見たんだわ。
確か、人間友好度最悪・危険度極高だったはず。
「あ………危ないわ………あと少しで死ぬ所だったわ」
サニーも漸く事態を飲み込めたようね。
危ないったらありゃしない。
あんな超危険妖怪にちょっかい出そうものなら何されるかわかったもんじゃない。
同じ危険妖怪の八雲紫とは度が違う。
八雲紫はそもそも私達に気付けるから悪戯が成功しない。
仮に成功したとしても、恐らくはそこまで悪質な仕返しはしないでしょう。
が、風見幽香は違う。
あれは弱い者イジメが大好きなのよ。
いや、弱い者も強い者も無い。
ともかく苛めるのが大好きなのだ。
そんな相手にちょっかい出そうものなら、何倍返しされるか解ったもんじゃないわ。
触らぬ神に祟り無し。
触らぬ妖怪に被害無し。
放って置くのが一番だわ。
何もこちらから虎の尾を踏む必要は無いし。
「じゃあ、取り敢えずこのままスルーで」
「異議なし」
「同じく」
サニーの提案通り、私達は茂みに隠れたまま風見幽香をやり過ごした。
「ん…………?」
ちょうど私達の前方を通り過ぎようとした所で風見幽香は足を止めた。
そして、あろうことか、こちらを見た。
「バレた!?」
「いえ、視点が定まってないわ。多分、気付いてない筈…………」
そう、あの感じは私達が見えてない。
けど、こっちを見てるってのが何かイヤね………
ん?何か手をこちらにかざしてるわ。
その手に力が集まって……………!?
「やばっ!!」
サニーが叫ぶまでも無い。
何をしようとしてるかくらい解るわ!
私達はそろって同じ方向へ跳んだ。
ボヒュゥッ!!
さっきまで私達がいた場所を弾が通り抜ける。
「………手応えも姿も無し……か。勘が鈍ったかしら?」
風見幽香はそう言うと、再びてくてくと歩き出した。
「あ、あっぶなぁ…………」
スターは大きく息を吐く。
私達も同じだ。
「直撃したらヤバかったわね」
ええ、私達なら間違いなく即死クラスの威力だったわ。
「っにしても、何で力のある奴ってああも勘が良い訳?」
本当よねぇ………サニーの言うとおりだわ。
「それにしても、あの妖怪が出歩くなんて珍しいわね」
言われてみればそうね。
あの人間の本にも、もう大分動いてないって書いてあった筈だし。
「折角だし、追ってみる?」
サニーがそう提案した。
確かに、滅多に動かない妖怪が動くのは興味深いわ。
けどね。
「冗談。あんなの尾行したら殺されるわよ」
「ルナのいう通りね。自殺行為だわ」
あの妖怪の「勘」は全然鈍ってないわよ。
なんせ、的確に私達の場所を突き当ててたし。
その勘で気付かれたら、次は無事で済む保証は無いわ。
「あの妖怪の向かってる先って人の里?」
スターが風見幽香の後姿を眺めながら呟く。
「………かもしれないわね」
参ったわね。
これじゃ人の里には近づけないわ。
「人の里以外でどこか場所考えましょうか」
「そうね」
私の提案に二人も乗り、取り敢えず、人の里には近づかない方向になった。
午前10時45分
「意外に見つからない物ね~」
私達は結局なにもせずにブラブラと辺りを回遊していた。
いたずらをするといえば基本的には人間と相場が決まっている。
理由は単純。
妖怪には鼻の効く奴や、音、視覚以外で存在に気付ける動物的な者が多いからだ。
まぁ、元が動物から妖怪になってる奴も多いし。
つまり、私達が音や姿を消しても気付かれる事がある。
その相手が知性の低い獰猛な奴だと本気で危ない。
故に、私達は基本、人間にしか悪戯を行わない。
まぁ、サニーが光の屈折を変えて道に迷わせるとかは色んな相手に出来るけどね。
「あら?何か話し声が聞こえるわ」
スターが目をつぶり、耳に手を当てて意識を集中させて言った。
「………本当だわ。誰かしら?」
私達は興味を惹かれてそちらに向かった。
「げ、風見幽香」
そこにいたのは風見幽香だった。
ブラブラしてる内にいつの間にやら人間の里の方に来ていたようね。
そして、もう一人いるわね。
まぁ、話し声聞こえてたくらいなんだから相手もいるでしょうけど。
あれは…………
「誰だっけ?」
「確か、紅魔館の図書館の司書だった筈よ」
サニーの呟きにスターが答える。
「あ~、そうだそうだ」
そうそう、確か小悪魔だったっけ?
そいつが風見幽香と話…………っていうか、どう見ても絡まれてる感じだわ。
「もう少し近くによって見ましょう」
「良いけど、警戒しておきなさいよ」
「解ってるわよ」
本当にわかってるのかしら?
サニーは夢中になるとかなり周りが見えなくなるのよねぇ…………
さてさて、近づいて来た事で会話が聞こえるようになったわ。
「ですから、これはパチュリー様の為の買い物でして…………」
「そうなの。それにしても良い葉っぱね」
「ええ。パチュリー様のお気に入りですから。ですから、お持ち帰りしないと私が怒られてしまうんですよ」
「へぇ、そう。でも、私には関係ないわ」
「あうぅぅぅ…………」
うわぁ…………いわゆるカツアゲよね、あれ。
確か、あの小悪魔はマシンガントークだった筈だけど、流石にこの状況じゃ発揮できなさそうね。
「あの、そろそろ帰らないといけないのですが…………」
「あら?いいわよ別に。その葉っぱを私に提供してくれれば」
「で、ですからこれは…………」
「ん~…………じゃあ、こう言うのどう?」
「はい?」
あら?妥協案かしら?
「寄 越 せ ♪」
全っ然妥協案じゃないわ。
しかも、すんごい笑顔で言うし。
「ふええぇぇぇぇぇ…………」
まぁ、泣きたくなるわよね。
同情するわ。
それ以上は何も出来ないけど。
午前11時30分・森の中
私達は可哀想な小悪魔を見送った後、再び探索を開始した。
しかし、特に面白い物を見つける事も出来ず、気が付いたらお昼になっていた。
「ちょっと疲れたわね」
「そうね」
「ご飯にしましょうか」
「「さんせ~い」」
スターの提案に私もサニーも賛成し、昼食になった。
因みに、私達は出掛ける時は軽めの携帯食を持っている。
もともと私達妖精は食べ物食べる必要ないから持って無くても問題ないんだけど。
まぁ、気持ちの問題よね。
それに、食べ物って美味しいし。
「それにしても良い天気ね~」
私は木々の間から覗ける空を見上げていった。
「本当、こんな日は見晴らしの良い丘とかでご飯食べると美味しそうね~」
スターも賛同するように言う。
「良いわね、それ。今度お弁当持って行きましょうよ」
サニーも乗り気でそういう。
「じゃあ、お弁当は私が作るわね」
料理には自信あるのよ。
「じゃあ、私はコーヒー持って行くから、それにあったお弁当お願いね」
スターがそう言った。
「コーヒーって………冷めちゃわない?」
サニーの言うとおり、コーヒーなんて持って行っても冷めるわよ?
「大丈夫よ。前に面白い物拾ったから」
「え?なになに!?知らないわよそんなの!」
サニーが凄い勢いで食いつく。
が、私も興味津々だ。
「前に変な銀の筒拾ったの覚えてる?」
あ~………そう言えば結構前にそんなの拾った気がするわ。
けど、確か水筒にしては重いし、用途も不明だしで放って置いた気がするわ。
「あれがどうかしたの?」
「あれをね、あの森の道具屋に持っていってみたのよ」
ああ、あの骨董屋ね。
「ほら、あそこの店主って見たものの名前と用途が解るじゃない」
そうそう、そんな能力だったわね。
「で、見てもらったら、あれは外の世界で魔法ビンと呼ばれていて、入れた物の温度が変化しにくくなる物だったのよ」
「へ~」
あの骨董屋の能力の問題点は一つ。
名前と用途が解っても使い方が解らない、と言うことだ。
例えば、最近私達もやってる麻雀だけど、例えばあれをあの店主が見たとしても、麻雀と言う名前の役を作って得点を競うゲームだと言うのは解る。
が、その役がどんなのがあり、どうやって作るのか?
や、点数はどうやって決めるのか?と言うのが解らない。
どういう物であるかは解っても、遊び方が解らないと言う事。
まぁ、その点はあの紅魔館の図書館に遊び方の本があったので問題なかったみたいだけど。
けど、スターの言っている魔法ビンに至ってはそれは杞憂と言う物ね。
だって、入れた物の温度が変化しにくいなんて、飲み物入れる以外に考えられないもの。
「で、使ってみたの?」
サニーが肝心な事をたずねる。
それもそうだわ。
実際どうだったのかを知らないとね。
「勿論よ。半日程度なら少し温度が下がるくらいで保たれてたわ」
それは凄いわね。
外の世界の技術、恐るべし、ね。
便利だから使わせてもらっちゃうけど。
「じゃあ、今度それ持って行きましょうよ」
「ええ、そうしましょう」
私の提案にスターも賛成し、どうやら今度の晴れた日はピクニックになりそうだわ。
そんな話をしながら私達はお昼を過ごした。
午後12時30分
「さて、何しましょうか?」
お昼も終えて一休みもして、私はそう呟く。
「そうね~………あら?」
ふと、再びスターが何かに気付く。
「今度は何?」
「向こうの方に誰か居るわ………一人、いえ、二人ね」
スターはサニーの問いにそう答えた。
「行ってみましょうか」
「ええ」
特にする事も無かったので、私達はスターが感じた気配の方へ向かった。
たどり着くと、そこには
「うげぇ…………なんであいつがここに居るの?」
「しぃ!静かにしなさいサニー!あいつには私達の能力効かないんだから!!」
私はサニーを小声で怒鳴った。
「どうする?逃げる?」
スターが尋ねる。
「でも、下手に動くとまずい気がしない?」
「それはまぁ、確かに………・・・」
それに、会話内容も気になるし…………
そう、私達がたどり着いた場所には二人の妖怪が居た。
片方は何の因果か、またまた風見幽香。
そしてもう片方が
あの、幻想郷最強とも言われている、能力自体が反則な八雲紫。
八雲紫は風見幽香以上に厄介な存在だわ。
なんせ、私達の能力が一切通じないんだから。
前にあった時なんて私の能力無視して話しかけてきたし。
心に。
洒落にならないわ、本気で。
その超危険妖怪の二人がこんな所で何話してるのかしら?
聞きたいけど、近づいたら絶対感づかれるわ。
幸い、風に乗ってボソボソと会話は聞こえる。
「…………あの子………怪談……」
「……初耳……………なんで?……………」
う~ん……殆ど聞こえない。
「……………可愛い……………思わない?」
「………歪んで……………否定はしない……………良いの?」
「聞こえないわねぇ…………」
業を煮やしたかのようにサニーが言う。
「でも、これ以上は危険すぎるわよ?」
今でさえ気付かれて無い保証はないわ。
八雲紫の方には。
「でも、こっちには気付いてないみたいだから、今の内に逃げない?」
「そうね………」
スターの提案に私とサニーは賛同し、この場を後にした。
下手に首を突っ込んだら命がいくつあっても足りないものね。
午後1時
取り敢えず、危険妖怪から離れた私達は、またもやブラブラとし始めた。
「というか、本気で何にも見つからないわね…………」
「まぁ、そんな日もあるわよ」
サニーの呟きにスターが悟ったように言う。
「でも、退屈じゃない?」
「それは否定しないわ」
「そうよね~」
退屈なのには変わりは無いものね。
「う~ん………折角だから紅魔館に行ってみない?」
「なんでまた?」
スターの思いつきに私は聞き返した。
「特に行く所無いから♪」
適当ねぇ………まぁ、確かに行く所無いんだけど。
「まぁ、行って見ましょうか」
「そうね~」
私の返事にサニーも賛同し、私達は一路紅魔館を目指した。
午後1時30分・紅魔館
「さて、侵入成功ね」
「ま、私達に掛かればちょろいもんよ」
私達の能力を使えば侵入なんてお茶の子さいさい。
ただ、あの門番が居る時は要注意なんだけどね…………
前に一回気付かれたし。
確か、体の周りに気を張り巡らせて、その範囲内に入った者を感知するんだったかしら?
姿が見えてなかろうがお構い無しに感知できるみたいね。
範囲は狭いけど、スターと似たような事が出来るらしいわ。
まったく、何処がザルの門番なのよ。
騙されたわ。
さて、今回はあの門番が居なかったから侵入は容易だったし、後は
「着替える場所を探しましょうか」
「そうね」
この館は妖精メイドがとても多い。
だから、私達もメイドの格好をしてしまえば、あっという間に紛れられるわ。
午後2時
ちょっと着替える場所探すのに手間取ったけど、着替えてしまえば後は簡単。
思ったとおり、紛れ込めたわ。
誰も私達に気づかないし♪
「でも、侵入したは良いけど、どうするの?」
「ここって大きな図書館あるのよね?」
私の質問にスターが更に聞き返す。
「そう聞いてるわね」
「じゃあ、そこで本借りてきちゃいましょうよ♪」
読書か………偶にはそれも良いかもね。
「そうしましょうか」
「そうね」
私とサニーも賛同し、私達は図書館へと向かった。
しっかし、歩いてて思ったんだけど。
「この館って外から見たらこんなに広くなくなかった?」
サニーが私の代わりに私の思ってた事を言った。
「あら?知らないの?」
「何が?」
私はスターに聞き返した。
「ここって、ここに住んでる魔女が空間を操って見た目よりも広くしてるそうよ」
してるそうよって………空間を操るってどんだけ凄い魔力なのよ。
まっずいわね……なんか、図書館に行くのが危険な気がしてきたわ。
「ねぇ……その図書館、大丈夫なの?なんか危険な感じがするんだけど…………」
私は二人にそう言った。
「大丈夫よ、姿が見えてないんだもの。どうもされる筈が無いわ」
サニーはそう言う。
けど、そもそもその慢心が危険なのよねぇ………
絶大な魔力を持つ魔女。
不可視の存在に対する対応も持ってるんじゃないかしら?
まぁ、一応行って見て、危険だったら引き返しましょうかねぇ。
そんなことを考えながら歩いていると。
「あ」
またまたスターが何かを感知した。
「やばっ、前からメイド長が来るわ」
げ、あいつは勘が鋭いのよねぇ………
「引き返さない?なんか、図書館も危険そうだし、あのメイド長は半端無く勘が良いのよ?」
頭も良いし、下手すれば私達が部外者だと気付くかもしれないわ。
「大丈夫よ大丈夫。堂々としてれば良いのよ」
が、サニーは意に介さない。
そうこうしている間にメイド長との間合いが狭まってきた。
これはもう、逃げたりしたら逆に不振がられるわ。
ここまで来たら堂々とするしかないわね。
そして私達は不自然な空気を出さないように気をつけながらメイド長の横を通り抜けようとした。
「ちょっと、そこの妖精」
が、メイド長は私達に声をかけてきた。
「は、はい!?」
バ、バレた!?
まずいわ、思わず軽く声が裏返っちゃったわ。
「そっちは大図書館よ。今、パチュリー様は虫の居所が最悪だから、迂闊に行くと死ぬわよ?」
げ……何それ。
「あ、そ、そうでした!」
「し、失礼しました~!!」
スターとサニーも流石に状況を察知してそう答え、そして私達は走って逃げた。
「だから止めようといったじゃないのよ!サニー!!」
「あと少しで危なかったわね~」
死ぬ所だったわよ。
「何暢気にいってるのよ!そう言うのの察知はスターの役目でしょ!?」
まったくだわ。
あ、でも流石に殺意までは感知できないわよね。
まぁ、どっちにしろ、逃げた方が良いわ。
午後3時・紅魔館付近
「あ~…………疲れた」
サニーがぼやく様に言う。
それも無理の無い話。
私達はあのメイド長から逃げた後、長居するのは危険と踏んで館を出ようとした。
けど、当然メイド服のまま出て行こうものなら逆に止められてしまう。
まぁ、姿を消せば問題ないけど。
それより何より、私達の服を置いて行く気は無かった。
で、着替えに戻ろうとしたんだけど…………
迷った。
図書館の方ばかり目指して進んでたものだから、思いっきり迷子になった。
で、妖精メイド達に聞きながらなんとかたどり着き、着替えて館を脱出。
そして今に至る。
「もうこうなったら人間に悪戯でもしないと気がすまないわ!!」
サニーがウガー!とでも言いそうな雰囲気でそう叫ぶ。
「ウガー!!」
いや、言ったわ。
「そうね~。今ならもう風見幽香も居ないでしょうし、そうする?」
スターが私に尋ねる様に言う。
「そうね。なんか、少しくらいしてやらないと気がすまないわ」
まぁ、私も内心はサニーと同じ心境って事。
「ようし!それじゃあ行くわよ!!」
「「おー!!」」
サニーに続いて私達は人の里へと向かった。
午後3時40分・人の里
「さ~て、何してやりましょうか?」
到着するなりサニーが目を輝かせながら言う。
とは言うけど、私達の力じゃそこまで大袈裟な事は出来ない。
因みに、既に私達の姿はサニーの姿で消し、音は私の力で消してある。
「あら?あれは何かしら?」
と、スターが何かを見つけたようね。
私とサニーはスターが指差す方を見る。
「小屋?」
「みたいね」
「気配が一杯居るわ」
スターがそう言った。
「行ってみましょうか」
「そうね」
私の言葉にサニーが頷き、私達は小屋へと向かった。
「シャー!!!」
「な、何!?」
が、向かう途中で何かが私達に向かって叫んだ。
「蛇………ね」
スターがそれを見つけてそう言った。
「蛇?こいつこっち見てない?」
「見てるわね」
サニーの言うとおり、この蛇はこっちを確実に凝視している。
「見えてるのかしら?」
スターが呟く。
「半分正解半分ハズレね」
「どういう事よ、ルナ」
サニーが私に尋ねた。
「取り敢えず、少し上に浮きましょう。噛まれるわ。この高さは」
「了解」
私の指示に従って二人とも少し浮き上がった。
うん、この位置なら蛇も届かない。
「で、どういう事?」
今度はスターが尋ねてきた。
「確か、蛇にはピット器官という物が存在するって何かで読んだわ」
「ピット器官?」
「何それ?」
「何でも、温度を感知する器官だそうよ。だから、あの蛇には私達の姿は見えなくても体温で感知する事が出来たのよ」
「な~る。だから私の能力使ってても気付かれたのね」
「あの声は威嚇だったのかしらね?姿は見えないのに温度は感じる相手への」
「かもしれないわね」
まぁ、そんなのは蛇に聞かなければ解らないけど。
「さて、それじゃ気を取り直してあの小屋に向かいましょう」
「そうね」
「うわ、くっさ~」
サニーが鼻をつまみながら言う。
確かに、臭い。
獣臭だわ。
「なるほど、家畜の小屋だったのね」
スターが納得したように言う。
「牛が一杯ねぇ………あら、奥にも何か居るわね」
「あら、本当」
私達は牛の奥に居る物を見るために進んでいった。
「馬かぁ」
「馬ね」
居たのは馬だった。
恐らく、ここに居るのは荷車を引いたりするのに使われる馬でしょう。
荷物が多くなると人じゃ運ぶの大変だものね。
「折角だから名前でも付けてあげましょうよ」
スターが突然そんな事を言った。
「もうここの家の主がつけてるんじゃないの?」
「そうね…………ディープでインパクトのある名前が良いわね」
聞いてないし。
「それじゃあ、そのまま………」
サニーがそう言い掛けた時。
「うん!決めたわ、お前の名は………」
スターはビシッ!と馬を指差して。
「ションボリルドルフよ!!」
限りなくローセンスだわ。
うっわ、馬まですんごいイヤそうな顔してるわ。
「お前も気に入ったようね」
「絶対気に入ってないと思う」
サニーが的確に突っ込む。
「大体、ディープでインパクトのある名前って言うならそのままで良いじゃない」
私も流石にその名前は無いと思ってスターに言う。
「そんなの私のセンスが許さないわ」
「私はあんたのセンスが許せないわ」
と、あーだこーだ言っていると。
「ブモオオォォォォォォ!!!!!」
「な、何!?」
突然、入り口付近の牛が暴れだした。
「え!?え!?なになに!?何がおきたの!?」
なんで行き成り暴れだす訳!?
「あ!あれ!!」
サニーが何かを見つけて叫ぶ。
それは………
「さっきの蛇!!」
私達を追いかけて来てたの!?
「って、もしかしてあの蛇………毒蛇!?」
スターが叫ぶ。
なるほど、それなら暴れだすのも無理は無いわ。
如何に強靭な体力を持つ牛や馬でも毒蛇の毒は場合によっては死に至るもの。
バギャッ!!
「げ!?」
牛が暴れた勢いで、その牛が入れられていた場所の柵が壊れた。
バギャッ!!
「げげ!?」
更に、対面の牛も同じように暴れて柵を壊してしまった。
そして、そのまま小屋から出て行った。
「や、やばくない?」
やばいわよねぇ………暴れ牛ってとんでもなく危険なのよねぇ…………
「って言うか、私達関係ないし」
「そ、そうよね。蛇が勝手に来て牛を脅かしたんだものね!」
その蛇を連れ込んだのは私達っぽいけどね。
「取り敢えず…………撤退!!」
「「はいなー!!」」
私達は急いでその場を後にした。
因みに件の蛇はちゃっかりどこかへ消えていた。
午後4時・人の里はずれ
「あ~………びっくりした」
「突然暴れるんだものね~」
私達は里のはずれの方へ行き、一息つく。
「今頃凄い騒ぎになってるんじゃない?」
私は里の方を眺めながら言う。
「でしょうね~」
「ま、悪戯は成功と言うことで」
「そうね」
そういう事にしちゃいましょう。
まぁ、あの里にもやたらと強い奴が居るし、いざとなればそいつが何とかするでしょ。
ワーハクタクだったかしら?
まぁ、ともかく、牛くらいならどうにでも出来るでしょう。
「あ~……今日はもう疲れたわ」
サニーが地面に座り込んで言う。
「まぁ、今日は動き回りっぱなしだったものね~」
まったくね。
「今日はもう帰りましょうか」
「そうね。そうしましょう」
サニーの提案にスターも乗り、私達は隠れ家に帰る事にした。
「さて、それじゃ………ん?」
立ち上がって、お知りに付いた土をポンポンと払いながら、サニーは何かを見つけた。
「どうしたの?………荷台?」
サニーの視線を追うと、そこには荷台が置いてあった。
「ねぇねぇ、折角だから、あれに乗って帰らない?」
サニーはそう言った。
「乗ってって………どうやって動かす気よ」
スターの言うとおり。
あの荷台に馬が繋がれてるわけじゃなし。
というより、あれは人が引くタイプの奴よ?
「もちろん、ジャンケンで負けた者が引くのよ」
つまり、私達が引くって訳ね。
「一人じゃ無理よ?」
スターの言うとおり、いくら荷が入ってなく、妖精一人しか乗っていなくても、私達の力じゃ一人じゃ荷台は動かせない。
「だから、一人が乗って、負けた二人が動かすのよ」
「なるほどね。負けても文句言わないでしょうね?」
予(あらかじ)め釘を刺しておかないと何言うか解ったもんじゃないし。
「当然よ」
「それじゃ、勝負しましょうか」
スターの言葉と共に私達は勝負の姿勢に入る。
「いや~、楽チン楽チン♪」
結果、私が勝利した。
今はサニーとスターに荷台を引かせて、私は荷台の上でのんびりとくつろいでいる。
「く~………!私が乗るつもりだったのに!!」
でしょうね。
だからこそあんな提案したんでしょうけど。
「だったら、自分が勝てる勝負にすれば良いじゃないの」
スターが呆れたように言う。
「貴女達がそれで受けてくれるの?」
「冗談」
よね。
「ほらほら、無駄口叩いてないで進みなさい。遅いわよ~」
私は荷台の上から二人に命令する。
「スター」
「ええ、サニー」
ん?どうしたのかしら?
何やら二人が前で頷きあってるわわわわわわわわわ!?!?!?
ゴトゴトゴトゴトゴトゴトゴトゴトッ!!!
「ちょちょちょちょちょ!!なんで行き成りスピード出すわけ!?」
二人は突然スピードを思いっきり上げた。
「遅いんでしょう!?だったら思いっきりスピード出してあげるわよ!!」
「光栄に思いなさい!!!」
出し過ぎ出し過ぎ!!
景色が流れて行くわよ!!!
「ちょっ!!早い!早いって!!」
「あはははははは!!風よ!!私は風になるのよ!!!」
「峠の伝説を作り上げてやるわ!!!」
サニーもスターも何かトリップしてるわ!!
「って、前!前!!」
カーブじゃないの!!
このスピードじゃ曲がれないわよ!!
「行くわよスター!!」
「任せなさいサニー!!」
何する気なの!?
って…………何あれ!?
緩やかな右かと思ったら、その先にきつい左!?
しかも、この荷台、右に曲がる為に車体曲げてるし!!
曲がれない!曲がれない!!
しかも、道の端には木が乱立してるし!!
このままだと思いっきり突っ込むわよ!!
「きゃあああぁぁぁぁぁぁ!!!」
死んだ…………
私はそう思った。
が
ギャギャギャギャギャギャギャギャッ!!!
「ふみゃああぁぁぁぁぁ!!!」
何!?何!?何!?
思いっきり揺らされたわ!
ついでに荷台の壁に頭打ったわよ。
って…………曲がってるぅ!?
「ははははは!!これぞ慣性ドリフト!!」
「この程度朝飯前よ!!もう夕方だけどね!!」
サニーとスターが楽しそうに叫ぶ。
思わず後ろを振り返ると、どこかで見たような妖怪兎がポカーンとこちらを見ていた。
あ、確か波長を操るとか言う兎だわ。
それは兎も角。
「サニー!私達の事見られてたわよ!?能力使ってないの!?」
「あ、ごっめ~ん。走るのに夢中で私達の姿しか消してなかったわ」
あのね…………
「でもメンドイからこのまま走るわよ!!」
「いけいけー!!」
「いくなー!!」
「今日の私はいけいけモードなのよ!!!」
「それあんたの台詞じゃないでしょ!!」
突っ込みは入れるものの、まるで止まる様子が無い。
って、またオーバースピードでカーブに突っ込んでるし!!!
「ちょっと!今度はどうするつもりよ!!」
「任せなさい!!行くわよ!スター!!」
「お任せよ!サニー!!」
今度は何する気よ…………
って、ちょっとちょっとちょっと!!
いくらなんでももう減速しないと確実にまずいでしょうが!!
「きゃあああぁぁぁぁぁぁ!!!」
今度こそ死んだーーー!!!
クゥン………
「ふみゃ!?へぶっ!?」
ま、また頭打ったわ………
って、どうやって曲がったの!?
明らかにオーバースピードなのに、インベタでスコーンって抜けて行ったわ!!
「必殺!溝落とし!!」
「端にあった窪みに車輪を落としたのよ!!」
サニーとスターが説明してくれた。
ってか、あんた達、いつの間にそんな技術見につけてたのよ。
「あ~面白かった♪」
「そうね~」
「って、なんであんた達まで乗ってるのよ!!」
荷台は!?
「下り坂に入ったから大丈夫よ~」
「後、ほらこれ」
サニーが紐のような物を私に見せる。
「これを取っ手につなげてあるから、ちょいっと引っ張れば取っ手が地面に付くことは無いわ」
いつの間にそんな物を………
「ところで二人とも」
「何かしら?」
「二人ともここに居るけど、その紐でこの荷台、曲がれるのよね?」
下りの後にカーブ見えるわよ。
「……………」
「……………」
「その沈黙は何よ!!!」
何!?曲がれないって言うの!?
この速度で突っ込んだら死ぬわよ!?
もうこの荷台の速度、私達を超えてるから取っ手に飛んで行って掴む事なんて出来ないわよ!?
「まぁ、落ち着きなさいルナ」
スターが言う。
「そうは言うけどね!!」
「見せてあげるわ……………スターサファイア!ザ・ワールド!!!」
え?何?スター。
貴女、メイド長みたいに時間を…………!?
ゴトゴトゴトゴトッ!!!
と、止まってないわよ?スター!?
「何も止まらない」
「あんたの息の根が止まれぇぇぇぇぇぇ!!!!」
今度こそ本気で死んだぁぁぁぁぁ!!!
荷台は当然曲がる筈もなく、正面の草むらへと突っ込んで行った。
「きゃああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
視界が草に塞がれて前が見えない!
ついでに速度も出てるからもう、何が何だか!!
木にさえぶつからなければ何とかなりそうだけど…………
もう、祈るしかないわね。
ガゴンッ!!
けど、祈り虚しく、荷台は何かにぶつかった。
「「「っきゃああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」
流石にサニーとスターも悲鳴を上げたわ。
なんせ、荷台から吹っ飛ばされて宙を舞ってるし。
って、周りから草木が消えてる?
抜けたのね…………なら、後は空中で姿勢制御して一緒に飛んだであろう荷台に気をつけるだけ。
流石に飛んで来た荷台にぶつかったら洒落にならないわ。
さて、荷台は…………と。
………………げ。
何あれ?
「ふぅ………面白かった」
全っ然面白くなかったわよスター!!
それよりも…………
「荷台、凄い事になってるわよ」
「え?…………うわ」
それを見たサニーも驚く。
何せ、半分は粉々に吹っ飛び、もう半分は真っ二つに切り裂かれていた。
鉄製の取っ手ごとね。
「あれって確か紅魔館の門番と冥界の庭師よね?」
スターの言うとおり、確かにその二人だ。
「そうね。何してたのかしら?」
「さぁ?仲悪くないみたいだし、談話でもしてたんじゃないの?」
「かしらね~」
まぁ、どうだっていいわ。
「そんな事よりもう帰りましょう。流石に疲れたわ」
本気で。
「そうね~。私達も思いっきり動いたから疲れたわ」
「確かにね」
「それじゃあ、帰りましょう」
そして寝ましょう。
明日に備えて。
「今日はなにも出来なかったわね~」
「じゃあ、明日は何する?」
「今度こそ人の里で色々やってやるわ!!」
「ピクニックは?」
「あ、それもあったわね…………」
「お天気が良かったらピクニックで、悪かったら里に行きましょうよ」
「そうね。そうしましょう」
そんな会話をしながら私達は岐路に付いた。
おまけ
午後9時・博麗神社
神社の巫女の霊夢は来ている物を脱ぎ、風呂に入る所だった。
そして、自分の胸を見て少し考え込んでいた。
そこへ
「貧乳はステータスだ!希少価値だ!!」
突然、何処からともなく声が聞こえてきた。
霊夢は何事かと辺りを見回す。
が、誰も居ない。
気配もない。
不審に思いつつも霊夢は風呂に入った。
そして風呂につかりつつ、再び自分の胸を見て
「本当、何で成長しないのかしら?」
と呟いた。
「病まない病まない。需要はあるさ」
再び聞こえてきた声に霊夢はあたりを見回す。
が、やはり気配も姿もない。
「な~にしてんのさ、紫」
博麗神社の外で姿もないのに声だけが響く。
「あら、萃香。居たの?」
突如として空間が裂け、そこから境界の妖怪、八雲紫が姿を現した。
「気づいてる癖に良く言うよ。で、何してんのさ」
こちらもまた、何もなかった場所に突如として姿を現す。
密と疎を操る鬼の伊吹萃香だ。
「ちょっと悩める乙女にアドバイスをしてたのよ」
紫はそんな事を言う。
「そっちじゃないよ」
が、萃香はそう返した。
「あら?じゃあどっちかしら?」
「なんで霊夢に妖怪共をけしかけたのさ」
「失礼ね。私はそんな事してないわよ」
「直接は、でしょ?私に能力を使わせて風見幽香を人の里に向かわせたのも、結局全てはそれでしょ?」
そう、滅多に花畑から動かない風見幽香が事もあろうに人の里へと向かった理由はそれだった。
紫の頼みにより萃香が人の里へと萃めた為だ。
いつぞやの異変の時の宴会の様に。
それ故、他にも様々な妖怪や妖精が人の里へとついでに萃まった。
「風見幽香に妖夢が怪談苦手な事教えたのも幽々子動かす為でしょ?」
「まぁ、あそこまで怒るとは思ってなかったんだけどね~」
「嘘ばっかり。紫がそんな事も見抜けない訳無いじゃないか」
「あらあら?私って評価高い?」
「はいはい、他人の評価なんて気にしてない癖に下らない事言わないの」
「もう、つれないわね~」
「で、何で霊夢にけしかけたのさ。計算済みなんでしょう?あれだけの手勢なら風見幽香がああする事も」
「まぁ、嘘吐いても仕方ないわね。ちょっと私事で霊夢の力を試す必要があったのよ」
「ふ~ん…………」
「まぁ、粗すぎとは言え、四重結界使われるとは思わなかったけど」
「ああ、あれは驚いたね。歴代で居たの?使えたの」
「居ないわよ。だから驚いたわ。嬉しい誤算だったけど」
「ふ~ん………つまりは、霊夢は紫の試験に合格した訳だ」
「半分、ね」
「半分ねぇ………」
「そう、半分。もう半分はこれから稽古を付けてあげないと及第点に達しないわ」
「ふ~ん………」
「せめて神様を召喚出来るくらいになって貰わないとね~」
「やれやれ、何企んでるんだか」
「勿論、面白い事よ♪」
「紫にとっては、でしょ?」
「勿論♪」
「やれやれ………面倒事になるなら私は巻き込まないでよね」
「さて、どうかしら?」
「やれやれ…………それじゃ私は行くよ」
「はいはい~。今日の報酬は後日渡すわ」
「期待してるよ」
そう言って萃香は存在を散らして消えた。
「さて、後は寝静まってから子守唄でも歌ってあげましょうかね~♪」
博麗神社の上空から見下ろしながら、紫は楽しげにそんな事を言った。
そして、幻想郷の何気ない一日が終わりを告げた。
しかし・・・つるべた幼女に言われたくないよね~・・・胸をwwwww
忘れてましたよ。読み直してきます。
それにしても暴れ牛まで三月精が原因だったとは…ゆうかりんが原因だと思ってました(笑)
実は前霊夢編を読んだ時も、最後の声も三月精だと思ってましたが、まさか紫だったとは・・・・
それと結構読みやすかったと感じました。
しかし! 最後のコメはあれじゃないですか!?
ペルソナ4の「時価ネットたなか」ですよね?
いや、たしかにアレはインパクトあるけど。 ジャパネットたかただし。(苦笑)
「あなたの ちかくに 時価ネットたなか~♪」
さてと、もう一度読み直してきますね。
総じて高めの評価を有難うございます^^
>おっ、読んでていろいろな問題が解けた!!
それは何よりで^^
ちゃんと話し同士が繋がっている様に理解してもらえるかが心配でしたので^^;
>それにしても暴れ牛まで~
これは最初から三月精の仕業と設定しました^^
>ペルソナ4の「時価ネットたなか」~
正確には3が本家(?)です。
自分も最近4やって、4でも出てることを知りましたw
>全体を通して面白かったです。
そう言って頂ければ幸いです^^
儚月抄とつながってるとは意外でした。
霊夢編から全部読んできましたが、漫画・アニメ・ゲームネタが散りばめられていて面白かったです。
誤字を見つけたので報告を
突然私に止められてサニーを騒ぐ。 サニー”が” でしょうか?
サニーも漸く自体を飲み込めたようね。 自体→事態
事件の陰にはスキマ有り、です^^
一応、なんとなく儚月抄と関連付けては見ましたが、続くわけではないです(´・ω・`)
>突然私に止められてサニーを騒ぐ。 サニー”が” でしょうか?
>サニーも漸く自体を飲み込めたようね。 自体→事態
誤字訂正いたしました。
ご指摘有難うございます。
荷台で溝落としは笑ったw
あ、最後にこの愛くるしいルナはもらっていきますね。