*マリアリな百合話ですので苦手な方はご注意ください。
もう息が出来ない。苦しくて、切なくて…。
世の中には厄介なものが沢山ある。
その中に心というジャンルがある。
さらにその中の恋ってやつ。
私はそれにとりつかれてしまったようだ。
その恋の向かう先はあろうことか、ただのご近所で、ただの腐れ縁かと思っていた七色の人形遣い。
アリス・マーガトロイドだった。
彼女の蒼く深い瞳。魅力的すぎて、直視すら出来ない。
さらさらとした黄金色のショートヘア。つい、手を伸ばしたくなる。
いつからか、自分でも分からない。
ただ私はアリスに狂っていた。
はじめは一人で想っているだけだった。
でもいつからか、この気持ちを打ち明けたくなってきた。
打ち明ければ、否定されてしまうのに。
でも、我慢が利く理性なんてのは、あと少ししかなかった。
森の中にあるちょっと小さな家。私の家だ。
ちょうどその軒先にアリスを連れてきた。
「何?あなたの家まで来ちゃったわ」
「ん…いやな、ちょっとお前に用があってさ…」
「用があるにしてもここまで来る必要があったの?」
「………うぅ………それはどうか分からない……」
「…?どうしたの?いつもの魔理沙らしくないわよ?」
「え?ああ、別にあの……」
「何なの?言いにくいこと?」
「えっと…」
もどかしいことこの上ない。
アリスの言うとおり、いつもの私ではない。
「ねぇったら」
「アリス……」
いつまでもこうしていたってらちが明かない。
勇気を振り絞る。
前のみを見て突撃するのがこの私、霧雨魔理沙だから。
「なに?」
「あのな、アリス。……私の……その」
ここに来て言葉が詰まるか。
行け、あと少し言葉を続けるだけだから。
「その…私の恋人になってくれないか?」
ああ、言っちまった。
もう恥ずかしくて顔が真っ赤だ。
「…え?」
ほら、アリスだって困っちまった。
迷惑だってことぐらい分かってたさ。
叶うわけ無い願いと理解していたさ。
でも、この想いがどんどん膨らんで、ついに決壊した。
気付くといつもそばに居て、いつもケンカしてて、いつも遊んでいた。
いつの間にか、もっと近寄りたい、触れてみたい。そんな気持ちが芽生えた。
だって相手は同性なのだ。常識はずれもいいところ。
いきなり告られたって困るに決まってる。
でも……伝えなきゃ、もうどうしようもなくて……。
で、こうなった。
「魔理沙…?あなた正気の沙汰じゃないわ」
うん。わかってるよ。
「だって、だって…私達、女同士よ?恋人になんてなれないわ」
「分かってる」
「何いきなり……。やだ、本当に狂ってしまったの?また変なキノコでも?」
「キノコなんかじゃないさ。恋だよ。今となってはお前が愛おしくてたまらない」
自分でも信じられないほどすらすらと言葉が出てくる。
「……魔理沙…。ごめんなさい、それでもあなたの気持ちには応えられないわ」
「なんでだ?」
「なんでって、さっきも言ったわ。私は女、あなたも女だからよ」
なんで?私がここまでアリスに惚れたのは、私が異常だからか?
男女がペアになるなんてのはただの先入観だろ?
そう信じたい…。
「あ、アリス!お茶でも飲んでかないか?」
「……いや、展開が急すぎるわ魔理沙…」
「うん、だからお茶でも飲んで落ち着いていけって」
「……じゃ、じゃあ貰おうかしら。……押し倒したりしないでよ?」
「約束する。絶対に変なことはしないから」
なんか、ほっといたらアリスが二度と帰ってこないような不安に襲われてから、
家に引き止めた。
引きとめたはよかったが、本当に、お茶を飲むだけ。
気まずくて会話など一切出来なかった。
「……魔理沙?私もう帰るわよ?」
「……ちょっと待ってくれ」
「?」
「頼む、深く考えないで切り捨てるのだけは止めてくれ。私を、霧雨魔理沙を…もう少し考えてから答えを出してくれ。その上でなら、納得するから」
「………本気ってことね。分かったわ、少し真剣に考えてあげるわよ」
「ホントか!?」
「結論は変らないと思うけれどね」
嬉しい。素直に嬉しい。
振られるのだってはじめから承知していた。
ただ、私を見てくれることが、考えてくれることが嬉しかった。
「うーん…言ってみるもんだな…」
風呂から上がり、水を飲む。
今、アリスは私の事を考えてくれているのだろうか?
そう考えると、たとえ実らぬ恋だとしても心が躍る。
私は結局、自分を意識してもらいたかったんだな。
恋ってのはそうだよな。
相手は自分だけのもので、自分は相手だけのもの。
そんな関係を作る為に目立とうとする。
相手の視界に自分しか入れない。他のものは映させない。
真剣に考えてもらうこともその一環だ。
「ま、どうせ駄目だろうけどよ」
しばらくして、私は眠りについた。
☆☆☆
「はぁ」
私はため息をついた。
まさかいきなり告白されるなんて思ってもみなかったから。
「魔理沙…か」
自分の友人であり、好敵手であり……天敵か。
いつも魔理沙には振り回される。
あっちへ行こう、これが面白そうだ。
だがそれを拒まないのも自分だ。
魔理沙と一緒にいると楽しい。だから拒まない。
だがそれは友人としての感情だ。恋愛には発展できない。
なら別のアプローチはないか?
永い夜、彼女が私についてきたのはすでに恋心に動かされていたからか、それ以外か?
それは今分かることではない。
なら私は?
なぜ彼女を選んだ?
彼女が強いからだ。本気を出すのが嫌だから、強い味方をつけて行きたかった。
だが強力な人材は魔理沙以外にもいる。
なぜ選ばなかった?
…近所なのもあるが、一番行動が理解できたし、魔理沙を気に入ってたから。
私も似たようなもんか?
だけどまだいまいち恋愛感情は芽生えない。
無理にその気を起こそうとしているわけではないが、
もしその気持ちがあるのに気づけなかったら魔理沙に申し訳ないから、自分を追求した。
「はぁ……なにがなんだか分かんなくなってきたわ」
友達……親友?
恋人にはなれない。
でも確かに一緒に居たいと思うことはある。
女同士だからって言うのはもう私の中で理由として成立する意味を失った。
ぼんやりだけど、何かが見えてきたから。
その何かが分からなくて……何とかなるのは分かるんだけど……その方法が分からなくて。
魔理沙の心が知りたい。
私に何を求めているのか。私には何をして欲しいのか。
「明日また会ってみるかな…」
本人に会えばまた何か思うこともあるかと考えて今日はこの辺で寝ることにした。
翌朝。私の目覚めは最悪だった。
寝相は悪い方ではないのに、ベッドから落下。
しかも寝巻きが汗でぐっしょりだ。
「うぅ……ったく何なのよ…」
魔理沙のことを考えながら寝たためか、よく眠れていない気がした。
なんで私がここまで…
確かに魔理沙について考えてみようと思って、考えた。
でも寝てるときぐらい他の夢を見たって罰は当たらないだろうが。
「はぁ、しょうがない。起きますか…」
二度寝は好きじゃない。
グダグダとしたリズムに入ると、その前も、その後も全てが無駄になったような虚しさに襲われるのだ。
「よし、お土産も持った。行くよ上海」
朝食を終えて、お菓子を持ち魔理沙の家に向かう。
昨日魔理沙はなにを考えたかお茶をくれたけど、気まずくて話なんか出来なかった。
結局私一人で帰ってきてから考えてた。でも一人じゃ到底結論に至れなかった。
だから少し話し合おうと思い、魔理沙の家を目指した。
☆☆☆
「魔理沙?いる?」
アリスだ!
声を聞き、一瞬でその主を判断し、テンションが上がる私はやはり異状だろう。
恋に落ちた…という状況だ。
「おう!いるぜ」
アリスが来てくれたのが嬉しくてたまらない。
だって普通同性の友達にいきなり愛の告白なんてされたらドン引きもいいところ、気持ち悪くて口も利いてもらえなくなるかも知れないのに。
でもアリスは来てくれた。
彼女自身、どんな考えに至ったかはまだ分からないが、とりあえず会ってはくれるようだ。
「入るわよ~?」
「あ、今行くぜ」
玄関まで出迎えに行く。
ああ、アリス。早く顔が見たい。
「よ!来てくれて嬉しいぜ」
なるべく平然を装う。
「おはよ。なに張り切ってんのよ?」
「え?べ、別に張り切ってなんかないぜ?ぜ?」
うわぁ、ばればれだ…
「言っとくけどまだ答えは出していないわ」
「え、どういうこと?」
「今日はあなたと話し合おうと思って。もちろん時間を無駄にするようなことはないから安心して」
「あ、ありがとう」
なんだ?話し合いって。私は気持ちを全部伝えた。
だからアリスに一任するつもりだった。
「あとこれ」
「ん?お、お菓子じゃねーか。待ってろ、いまお茶を入れるからな!」
「そうしてもらえるとありがたいわ」
紅茶をティーカップに注ぐ。
私は紅茶より緑茶が好きだが、アリスに合わせて紅茶も飲むようになった。
「お待たせ」
「ありがとう」
話し合いたいなんて。
そこまで真剣に考えてくれると、もっと惚れそうでちょっと怖い。
「でね魔理沙…」
「お、おう。なんだ?」
アリスが話を切り出す。
「魔理沙はどうして私の事を好きになったの?」
「え?」
どうしてって……分からない。
気付いたらもう…
「好きになるのに、理由なんてないと思うぜ。現に私ははっきりとした理由なんて持っていない」
「なるほどね、あなたらしい。じゃあ、あなたの目線から私を見ると、何?友達かしら?それとももう恋人?」
また難しい質問をしてきたな。
「なんていうか、好きな人だ」
それが一番近い言葉。
表現できないよ。この複雑な浮き上がった心は。
「ふーん。ありがと。大体あなたがどう思っているのか分かった気がするわ」
「本当?」
「ええ」
そうか。で、肝心のアリスはどうなんだ?
こちとらそれが聞きたくてソワソワしっぱなしなんだ。
「でさあアリス。お前は今どう思ってくれてんだ?」
「気になって仕方がないようね。じゃあ今思ったこと言うから、ちょっと聞いてくれるかしら?」
「おう」
よろこんで。
「私の中での魔理沙はね。とても大きな力で、元気の塊みたいで、ある意味魅力的ではあるわ。ただ恋人に?って考えたことなんてなかったの」
「いきなりだったもんな。ゴメン」
「それでね、私も友達としてあなたが好きだから、あなたの想いをかなえたいと思うの」
「え?ってことは!!?」
期待に胸が膨らむ。
「待って、気が早い」
え?なんだよ……私の早とちりとはいえすこし寂しい。
「ああ、もう!落ち込まないでよ!答えはまだ言ってないでしょうが」
「でも……やっぱ無理なんだろ?」
「恋人はね」
「……そうだよな」
はじめから覚悟していたこと。こうなるって分かっていたのに…
すこし、涙が滲みそうになった。
「でもね…。パートナーならいいわよ。親友以上、恋人未満」
「え?それって…」
なんていうか…
「私だってあなたといて楽しいし、得なことも多いの。だから、ね」
「ほ、本当か!?」
「ええ、あと……」
あと?
「チャンスあげるんだから、惚れさせてみたら?」
ふぇ?
チャンス?
てことは、まだ可能性があるって事か!よっしゃあ!!
「~~♪」
「……ご機嫌だけど、あんま羽目外すと怒るわよ」
「うん♪分かってる分かってる♪」
「……どうかしら……」
アリス……絶対にお前を惚れさせて見せるからな!覚悟してろよ!
そしたら、絶対に幸せにしてやるからな!
そんでもって、絶対に放さないからな!
ふふふ…あーりす…!
もう息が出来ない。苦しくて、切なくて…。
世の中には厄介なものが沢山ある。
その中に心というジャンルがある。
さらにその中の恋ってやつ。
私はそれにとりつかれてしまったようだ。
その恋の向かう先はあろうことか、ただのご近所で、ただの腐れ縁かと思っていた七色の人形遣い。
アリス・マーガトロイドだった。
彼女の蒼く深い瞳。魅力的すぎて、直視すら出来ない。
さらさらとした黄金色のショートヘア。つい、手を伸ばしたくなる。
いつからか、自分でも分からない。
ただ私はアリスに狂っていた。
はじめは一人で想っているだけだった。
でもいつからか、この気持ちを打ち明けたくなってきた。
打ち明ければ、否定されてしまうのに。
でも、我慢が利く理性なんてのは、あと少ししかなかった。
森の中にあるちょっと小さな家。私の家だ。
ちょうどその軒先にアリスを連れてきた。
「何?あなたの家まで来ちゃったわ」
「ん…いやな、ちょっとお前に用があってさ…」
「用があるにしてもここまで来る必要があったの?」
「………うぅ………それはどうか分からない……」
「…?どうしたの?いつもの魔理沙らしくないわよ?」
「え?ああ、別にあの……」
「何なの?言いにくいこと?」
「えっと…」
もどかしいことこの上ない。
アリスの言うとおり、いつもの私ではない。
「ねぇったら」
「アリス……」
いつまでもこうしていたってらちが明かない。
勇気を振り絞る。
前のみを見て突撃するのがこの私、霧雨魔理沙だから。
「なに?」
「あのな、アリス。……私の……その」
ここに来て言葉が詰まるか。
行け、あと少し言葉を続けるだけだから。
「その…私の恋人になってくれないか?」
ああ、言っちまった。
もう恥ずかしくて顔が真っ赤だ。
「…え?」
ほら、アリスだって困っちまった。
迷惑だってことぐらい分かってたさ。
叶うわけ無い願いと理解していたさ。
でも、この想いがどんどん膨らんで、ついに決壊した。
気付くといつもそばに居て、いつもケンカしてて、いつも遊んでいた。
いつの間にか、もっと近寄りたい、触れてみたい。そんな気持ちが芽生えた。
だって相手は同性なのだ。常識はずれもいいところ。
いきなり告られたって困るに決まってる。
でも……伝えなきゃ、もうどうしようもなくて……。
で、こうなった。
「魔理沙…?あなた正気の沙汰じゃないわ」
うん。わかってるよ。
「だって、だって…私達、女同士よ?恋人になんてなれないわ」
「分かってる」
「何いきなり……。やだ、本当に狂ってしまったの?また変なキノコでも?」
「キノコなんかじゃないさ。恋だよ。今となってはお前が愛おしくてたまらない」
自分でも信じられないほどすらすらと言葉が出てくる。
「……魔理沙…。ごめんなさい、それでもあなたの気持ちには応えられないわ」
「なんでだ?」
「なんでって、さっきも言ったわ。私は女、あなたも女だからよ」
なんで?私がここまでアリスに惚れたのは、私が異常だからか?
男女がペアになるなんてのはただの先入観だろ?
そう信じたい…。
「あ、アリス!お茶でも飲んでかないか?」
「……いや、展開が急すぎるわ魔理沙…」
「うん、だからお茶でも飲んで落ち着いていけって」
「……じゃ、じゃあ貰おうかしら。……押し倒したりしないでよ?」
「約束する。絶対に変なことはしないから」
なんか、ほっといたらアリスが二度と帰ってこないような不安に襲われてから、
家に引き止めた。
引きとめたはよかったが、本当に、お茶を飲むだけ。
気まずくて会話など一切出来なかった。
「……魔理沙?私もう帰るわよ?」
「……ちょっと待ってくれ」
「?」
「頼む、深く考えないで切り捨てるのだけは止めてくれ。私を、霧雨魔理沙を…もう少し考えてから答えを出してくれ。その上でなら、納得するから」
「………本気ってことね。分かったわ、少し真剣に考えてあげるわよ」
「ホントか!?」
「結論は変らないと思うけれどね」
嬉しい。素直に嬉しい。
振られるのだってはじめから承知していた。
ただ、私を見てくれることが、考えてくれることが嬉しかった。
「うーん…言ってみるもんだな…」
風呂から上がり、水を飲む。
今、アリスは私の事を考えてくれているのだろうか?
そう考えると、たとえ実らぬ恋だとしても心が躍る。
私は結局、自分を意識してもらいたかったんだな。
恋ってのはそうだよな。
相手は自分だけのもので、自分は相手だけのもの。
そんな関係を作る為に目立とうとする。
相手の視界に自分しか入れない。他のものは映させない。
真剣に考えてもらうこともその一環だ。
「ま、どうせ駄目だろうけどよ」
しばらくして、私は眠りについた。
☆☆☆
「はぁ」
私はため息をついた。
まさかいきなり告白されるなんて思ってもみなかったから。
「魔理沙…か」
自分の友人であり、好敵手であり……天敵か。
いつも魔理沙には振り回される。
あっちへ行こう、これが面白そうだ。
だがそれを拒まないのも自分だ。
魔理沙と一緒にいると楽しい。だから拒まない。
だがそれは友人としての感情だ。恋愛には発展できない。
なら別のアプローチはないか?
永い夜、彼女が私についてきたのはすでに恋心に動かされていたからか、それ以外か?
それは今分かることではない。
なら私は?
なぜ彼女を選んだ?
彼女が強いからだ。本気を出すのが嫌だから、強い味方をつけて行きたかった。
だが強力な人材は魔理沙以外にもいる。
なぜ選ばなかった?
…近所なのもあるが、一番行動が理解できたし、魔理沙を気に入ってたから。
私も似たようなもんか?
だけどまだいまいち恋愛感情は芽生えない。
無理にその気を起こそうとしているわけではないが、
もしその気持ちがあるのに気づけなかったら魔理沙に申し訳ないから、自分を追求した。
「はぁ……なにがなんだか分かんなくなってきたわ」
友達……親友?
恋人にはなれない。
でも確かに一緒に居たいと思うことはある。
女同士だからって言うのはもう私の中で理由として成立する意味を失った。
ぼんやりだけど、何かが見えてきたから。
その何かが分からなくて……何とかなるのは分かるんだけど……その方法が分からなくて。
魔理沙の心が知りたい。
私に何を求めているのか。私には何をして欲しいのか。
「明日また会ってみるかな…」
本人に会えばまた何か思うこともあるかと考えて今日はこの辺で寝ることにした。
翌朝。私の目覚めは最悪だった。
寝相は悪い方ではないのに、ベッドから落下。
しかも寝巻きが汗でぐっしょりだ。
「うぅ……ったく何なのよ…」
魔理沙のことを考えながら寝たためか、よく眠れていない気がした。
なんで私がここまで…
確かに魔理沙について考えてみようと思って、考えた。
でも寝てるときぐらい他の夢を見たって罰は当たらないだろうが。
「はぁ、しょうがない。起きますか…」
二度寝は好きじゃない。
グダグダとしたリズムに入ると、その前も、その後も全てが無駄になったような虚しさに襲われるのだ。
「よし、お土産も持った。行くよ上海」
朝食を終えて、お菓子を持ち魔理沙の家に向かう。
昨日魔理沙はなにを考えたかお茶をくれたけど、気まずくて話なんか出来なかった。
結局私一人で帰ってきてから考えてた。でも一人じゃ到底結論に至れなかった。
だから少し話し合おうと思い、魔理沙の家を目指した。
☆☆☆
「魔理沙?いる?」
アリスだ!
声を聞き、一瞬でその主を判断し、テンションが上がる私はやはり異状だろう。
恋に落ちた…という状況だ。
「おう!いるぜ」
アリスが来てくれたのが嬉しくてたまらない。
だって普通同性の友達にいきなり愛の告白なんてされたらドン引きもいいところ、気持ち悪くて口も利いてもらえなくなるかも知れないのに。
でもアリスは来てくれた。
彼女自身、どんな考えに至ったかはまだ分からないが、とりあえず会ってはくれるようだ。
「入るわよ~?」
「あ、今行くぜ」
玄関まで出迎えに行く。
ああ、アリス。早く顔が見たい。
「よ!来てくれて嬉しいぜ」
なるべく平然を装う。
「おはよ。なに張り切ってんのよ?」
「え?べ、別に張り切ってなんかないぜ?ぜ?」
うわぁ、ばればれだ…
「言っとくけどまだ答えは出していないわ」
「え、どういうこと?」
「今日はあなたと話し合おうと思って。もちろん時間を無駄にするようなことはないから安心して」
「あ、ありがとう」
なんだ?話し合いって。私は気持ちを全部伝えた。
だからアリスに一任するつもりだった。
「あとこれ」
「ん?お、お菓子じゃねーか。待ってろ、いまお茶を入れるからな!」
「そうしてもらえるとありがたいわ」
紅茶をティーカップに注ぐ。
私は紅茶より緑茶が好きだが、アリスに合わせて紅茶も飲むようになった。
「お待たせ」
「ありがとう」
話し合いたいなんて。
そこまで真剣に考えてくれると、もっと惚れそうでちょっと怖い。
「でね魔理沙…」
「お、おう。なんだ?」
アリスが話を切り出す。
「魔理沙はどうして私の事を好きになったの?」
「え?」
どうしてって……分からない。
気付いたらもう…
「好きになるのに、理由なんてないと思うぜ。現に私ははっきりとした理由なんて持っていない」
「なるほどね、あなたらしい。じゃあ、あなたの目線から私を見ると、何?友達かしら?それとももう恋人?」
また難しい質問をしてきたな。
「なんていうか、好きな人だ」
それが一番近い言葉。
表現できないよ。この複雑な浮き上がった心は。
「ふーん。ありがと。大体あなたがどう思っているのか分かった気がするわ」
「本当?」
「ええ」
そうか。で、肝心のアリスはどうなんだ?
こちとらそれが聞きたくてソワソワしっぱなしなんだ。
「でさあアリス。お前は今どう思ってくれてんだ?」
「気になって仕方がないようね。じゃあ今思ったこと言うから、ちょっと聞いてくれるかしら?」
「おう」
よろこんで。
「私の中での魔理沙はね。とても大きな力で、元気の塊みたいで、ある意味魅力的ではあるわ。ただ恋人に?って考えたことなんてなかったの」
「いきなりだったもんな。ゴメン」
「それでね、私も友達としてあなたが好きだから、あなたの想いをかなえたいと思うの」
「え?ってことは!!?」
期待に胸が膨らむ。
「待って、気が早い」
え?なんだよ……私の早とちりとはいえすこし寂しい。
「ああ、もう!落ち込まないでよ!答えはまだ言ってないでしょうが」
「でも……やっぱ無理なんだろ?」
「恋人はね」
「……そうだよな」
はじめから覚悟していたこと。こうなるって分かっていたのに…
すこし、涙が滲みそうになった。
「でもね…。パートナーならいいわよ。親友以上、恋人未満」
「え?それって…」
なんていうか…
「私だってあなたといて楽しいし、得なことも多いの。だから、ね」
「ほ、本当か!?」
「ええ、あと……」
あと?
「チャンスあげるんだから、惚れさせてみたら?」
ふぇ?
チャンス?
てことは、まだ可能性があるって事か!よっしゃあ!!
「~~♪」
「……ご機嫌だけど、あんま羽目外すと怒るわよ」
「うん♪分かってる分かってる♪」
「……どうかしら……」
アリス……絶対にお前を惚れさせて見せるからな!覚悟してろよ!
そしたら、絶対に幸せにしてやるからな!
そんでもって、絶対に放さないからな!
ふふふ…あーりす…!
最初の「魔理沙の心情」から、次の「アリスへの告白」までの流れが
急すぎるかと感じました。(私の主観ですが)
つまり、「ちょっと短いかなぁ」と思いました
悪くはないんですが、なんか展開が早いかなという印象は否めない気がします。
まあ、ダラダラ長くなるよりはいいのかな。
というよりも、それぞれの個性を際立たせるようなエピソードを含ませていないので
そう感じてしまうのでしょう。
「魔理沙告白」→「アリス思考」→「アリス伝達」→「魔理沙受諾」
山も谷も無い上に、流れがシンプルすぎます(複雑ならば良いという訳ではありま
せんが)。
また、誰かを好きになるのに理由が明示されないのでは、物語として説得力に
欠けてしまいます。ただ、
> 彼女の蒼く深い瞳。魅力的すぎて、直視すら出来ない。
> さらさらとした黄金色のショートヘア。つい、手を伸ばしたくなる。
この二文を読むと、魔理沙はアリスの容姿に惹かれているだけかな? と取れ
ますけど。
がんばってください。
>からなくらな様
自分でも短いかな?と思っていたのですが、やはりワンクッション置くべきでした。
>須達龍也様
性格上魔理沙のほうが悩み事少なそうなイメージがありますしね。
でもあえて乙女な魔理沙が好きなのです。
>8番様
確かに仰るとおりでした。
もう一度読み返して、作りの甘さを痛感いたしました。
指摘していただいたところを、今後の作品に生かせるよう、努力します。
皆様ありがとうございます。
後心理的描写をもっとほしかった。
え、なんでこうなるの?なんてとこが少し・・・。
だがマリアリということで+10点を
心情描写でもっと説得力を持たせると尚良いかも。
個人的に、好きな雰囲気の作品です。