※注意書き
これはホラーSSです。
また、残酷な表現が含まれます。
・ホラーものが本当に駄目
・東方キャラが散々な目に遭うのが耐えられない
・オリキャラがほんのちょっとでも出てくるのが嫌
上記三点のいずれか一つにでも該当する方は読まずにお戻りください。
また、東方創想話ではグロテスクな表現が禁止であるため、一部のシーンではぼかして表現してあります。
グロ表現あっても大丈夫、という方は、ぼかし解禁の下記のリンク先の方をお読みください。
<ブラッドカバー版>
ホラー大丈夫だけどグロ表現駄目、という方はこのまま下へお進みください。
長くなりましたが、注意書きは以上になります。
注意書きを了承した上で、自己責任でお読みください。
それでは、貴方に素敵な悪夢が訪れますように。
Have a nice nightmare...
―しきっ...
冷たい鉄と鉄が、擦りあわされる音。
誰もが聞きなれたはずの音。
それは、鋏の音でした。
鋏の刃が開く、なんの変哲もない効果音。
しかし、それが私に与える印象は、もはや恐怖そのものでしかありません。
流し台の蛇口から、生白い人間の腕が伸び、
持った鋏を私に見せ付けるかのように押し開いたのです。
私は金縛りにあったように動けませんでした。
蛇口から人間の腕が生えていたんですよ?
いえ、あれは人間の腕なんかじゃありません。
蛇口の狭さに合わせたかのような異常な細さ。
骨も関節もない、ビニール手袋に水を詰めただけみたいな、無機質な粘土細工。
それが、流し台の中に突っ込まれた泡だらけの私の手に、
音もなくするすると伸びてくる、非現実的な光景。
鋏の刃を開いたまま。
私の、泡だらけの人差し指を捕らえて、
「痛ッ。」
食い込んだ鉄の刃に、わずかに赤い血が垂れました。
直後、傷口に石鹸水の染みこむ、焼け付くような激痛。
私はようやく我に返りました。
しかし手を引こうにも、鋏の刃は指の肉をがっちりと咥え込んで離しません。
生白い歪な腕はなおも力を加え続けて、ただ淡々と作業をこなすように私の指を締め上げます。
もはや痛みは感じませんでした。
恐怖だけです。
恐怖だけが全ての塗り潰して、私を支配していました。
あまりの過度な力の入り方に、白い腕がぶるぶると震えだして、
それでもまだ足りないと、ぎりぎりと力をこめて。
ぎりぎりと。
ぎりぎり・・・
ぎりぎり・・・
ぎりぎり・・・
―ばちんっ
* * *
「橙~? 早くお風呂入って寝なさ~い。」
絶叫しなかったのが不思議だった。
まるで図ったようなタイミングで、後ろから声を掛けてきた藍さま。
わたしは『てれびじょん』から目を離すと、どっと噴き出した冷や汗を拭った。
「またテレビばっかり見て~。夜更かしは駄目よ。」
しょうがないわねぇ、と藍さまは苦笑して、
「藍~? 私の部屋、雨漏りしてるんだけどぉ?」
「はいはい、今行きます!」
紫さまに呼ばれて、藍さまは視界の端から消えた。
遠くで、「とりあえずバケツでも置いておきましょう。」なんていう、
日常そのものの、気の抜けた会話が転がる。
ふぅ~、と深いため息をついて、わたしはテレビの式を切った。
なんでも、この『てれびじょん』という式は、紫さまが外界から拾ってきたものらしい。
板みたいな硬い体から尻尾が何本か伸びていて、紫さまのスキマに繋がっている。
そこから尻尾を通して、どこからか式を受けて映像を映しているらしい。
難しくてよくわからない。
こんなに小さいのにすごいですね、ってわたしが言ったら、
紫さまは『ちじょうはでじたるほうそう』がなんとか、って言ってた。
中に入っている式の名前かもしれない。
最初のうちは、紫さまが外界からこの式の命令表を持ってきてくれてたけど、
今は面倒くさいと言ってやってくれないので、何時どんな映像が映るかはわからない。
先ほどたまたま式を入れたら、怖い話をやっていたのでついつい見てしまった。
怖い話って、怖いけど聞きたくなっちゃうから不思議だね。
「橙~?」
「は、は~い!」
急かすような藍さまの声に、わたしは我に返って返事をした。
お風呂は嫌いだけど、夏場は流石に入らないと辛い。
お風呂入らなきゃ。
* * *
脱衣所で服を脱いで、お風呂場に出る。
入るではなく出ると表現したのは、お風呂場が外だからである。
紫さまは、「外界の露天風呂を真似した。」って言ってたから、
多分広さもそれくらい。
雨避け程度の屋根もついているので、雨の日でも大丈夫。
でも、一人で入るにはちょっと広いかな。
少しくらいなら泳げそうな円形の湯船を見て、わたしはわずかに躊躇う。
水は苦手だ。
水はわたしに憑いた式を剥がしてしまう。
といっても、わたしくらいの妖力のある妖獣なら、
しっかり注意して気を張り詰めさせておけば、式が剥がれることはない。
それでも不意を突かれれば対応できないし、
そうでなくとも集中しているのは疲れるのだ。
だから、わたしは水は苦手である。
脅威とか、トラウマとか、そういった感覚に近い。
あまり関わり合いになりたくないもの。
わたしは渋面を浮かべて、湯船の横を通りすぎた。
今日は湯船はパス。
体を洗って、サクっと出よう。
洗い場に座り込んで、蛇口を捻る。
緩やかな雨のようなお湯が降り注いで、
もくもくと白い湯気が視界を埋め尽くしていく。
と、濁った視界の中、明かりを反射した鋭い光が映えた。
なんだろう、と思って手を伸ばすと、
ひやりと冷たい鉄の感触。
ぞくりとした。
鋏だった。
蛇口。そして鋏。
先ほどの映像が一瞬脳裏をよぎって、それを振り払う。
これはただの鋏だ。
藍さまが尻尾の毛を切り揃えるのに良く使っている。
ここにあっても全然不思議じゃない。
それを手に持ち、開いてみる。
―しきっ...
想像と寸分違わぬ音がした。
そして、先ほど聞いたばかりのあの音とも。
馬鹿馬鹿しい。
わたしはその鋏を置いて、
・・・・・・なるべく遠くに置いて、
その日は目を開けたまま髪を洗った。
* * *
結局なにもなかった。
それはそうだ。
あるわけないのだ。何事も。
タオルで髪を拭いながら、わたしは廊下を歩く。
厨に寄って水を飲んでから、藍さまの部屋へと向かう。
おやすみの挨拶をするのは日課だ。
紫さまはこの時間にはいつも寝てるので、あんまり挨拶はしないけど。
夜の闇が降りた庭をぼんやりと眺めながら歩く。
外は緩やかな小雨が降り、遠くのほうで空がちかちかと閃いていた。
遅れて、ゴロゴロと空が鳴る。
雷だ。多分数時間後くらいにこちらに来るだろう。
今夜は蒸し暑くなりそうだな。
そんなことを考えているうちに、わたしは藍さまの部屋の前までたどり着いた。
襖ごしに声を掛けようとして、
―しきっ...
思わず息を飲み込んだ。
襖越しに、あの音が聞こえる。
―しきっ...
鋏を押し開く、あの音。
襖の向こうに立つわたしに気付く様子もなく、
ただ断続的に、機械的に、無機質に続く。
「・・・あ・・・う。」
うめき声のような声が、わたしの口から漏れた。
なにを緊張しているのか。
たまたま藍さまが鋏を使ってなにかしているだけじゃないのか。
―こんな時間に?
急いでいるのかも。
―なぜ?
わからないけれど。
―よりにもよって今日? 出来すぎている気がしない?
・・・しない!
ただの偶然だ。
たまたまわたしがテレビで怖い話を見て、
たまたまお風呂場で藍さまの鋏を見つけて、
たまたまこんな時間に、藍さまが自室で鋏を使っているだけ。
きっと、ただの偶然。
そうに決まっている。
―...
ふと気が付くと、襖の向こうから断続的に聞こえていた鋏の音が止まっていた。
―気付かれた。
中にいるのは藍さまでしょ?
―気付かれた。
藍さまがわたしに気付いただけじゃない。
―こちらに向かってる。
藍さまよ。
―襖に手を掛けた。
藍さまよ。
―開くよ?
藍さまよ!
―見つかっちゃうよ?
藍さまだって言ってるでしょ!!
襖が開いた。
「どうした、橙? そんなところにずっと立ってて?」
腰が砕けそうになった。
藍さまは不思議なものを見る顔で、わたしを見下ろしている。
その手には、裁断用の裁ち鋏が握られていた。
「な、なんでもないです。藍さまこそ、こんな時間になにしてるんですか?」
「ん? ああ、これか。」
藍さまは手に持っていた鋏をようやく思い出して苦笑した。
そして、部屋の中を見せるように体を横にずらし、
「橙に新しい帽子を作ろうかと思っててね。夏仕様に。
こっそり作って驚かせてやろうと思っていたんだが、橙は鋭いな。」
理由を聞けば、なんのことはなかった。
藍さまはわたし用の帽子を作ってくれていて、生地を裁断していた。
こんな時間に作業をしていたのは、日中ではわたしに見つかってしまうから。
突然プレゼントして驚かせてやろう、という目論見のためだったのだ。
本当に、なんのことはなかった。
今更になって考えると、先ほどまで無駄に緊張していたことが、
顔から火が出るほど恥ずかしかった。
「それで、橙はなにか用があったんじゃないのか?」
「あう!? え、えっと、おやすみなさいです!」
軽くパニック状態で、明らかに挙動不審な返事を返してしまった。
くすりと藍さまは口元をほころばせる。
「ああ、おやすみ。
そうそう、雨脚が強まりそうな天気だから、寝る前に戸締りしておいてくれないか。」
「はい、わかりました!」
これ以上藍さまの前に立っているのが恥ずかしくて、
わたしはその場から脱兎のごとく逃げ出した。
* * *
屋敷は広い。
流石に永遠亭や紅魔館ほどの広さはないが、
それでも三人で済むには十分すぎるほどの広さだ。
当然、戸締りしなければならない戸の数も多い。
わたしは広い屋敷を一周するようにして、戸をしっかりと閉めて行く。
そして最後、自分の部屋の前の戸に差し掛かった。
この戸は嫌いだ。
立て付けが悪いのか、物凄く固いのである。
夏場は開けておいても問題ないが、
冬場はどうしても閉めなければならない。
いつもこの戸に苦戦させられるのだ。
ちなみに毎朝この戸を開けているはずの藍さまは、まったく意に介した様子がない。
コツがあるらしいのだが、まだよくわからない。
かといって、ここだけ藍さまにお願いするのも情けない話だ。
わたしはしばらく悩んだ後、結論を出した。
「一箇所くらい、開いててもいいよね。」
ほら、夏場は蒸すし。
風通しよくしないと眠れないし。
うん。ここは開いたままでいいや。
そこの戸だけは戸締りをせず、わたしは自室に入ると、明かりを消した。
* * *
後悔先に立たず、という言葉がある。
わたしは今日ほど、その言葉を痛感したことはない。
* * *
蒸し暑くて目を覚ました。
今何時頃だろう。
外に目を向けると、文字通りの土砂降りだった。
大粒の雨が世界を塗り潰すような密度で降り注ぎ、
時折閃く雷光が部屋の中をモノクロに照らす。
遠くにあった雷雲が丁度ここまで来ているなら、
きっと今の時間は真夜中くらいだろう。
寝汗が酷い。
湿度が高く、気温も高い。
最悪だ。
着替えてから、水を飲みに行こう。
ねっとりと絡みつくような、酷く不快な空気。
まるでとりもちのようになった粘着質の空気の中を、わたしは歩く。
厨に到着し、流し台へ。
蛇口を捻って水を出そうとして、
―ぞくり
背筋を、なにか冷たいものが走った。
氷で作られた極細の針が、脊髄の中を滑り落ちていくような。
言い知れない悪寒。
デジャブ、というやつか。
似たような光景を前にも一度、見たような気がする。
いや、見た。
確かに見た。
あの、テレビの中で。
わたしの手が泡にまみれていないことを除けば、
構図はほぼそのままに、あのテレビの映像をトレースしている。
蛇口を捻るその寸前で、わたしの手は硬直した。
蛇口を捻れば手が出てくる。
紙粘土で作ったかのような、歪で無機質な手が出てくる。
鋏を持った手が出てくる。
ありえないはずの光景が、鮮明な映像で脳裏を占拠する。
馬鹿馬鹿しい。
そんなことがあるはずがない。
所詮、ただの作り話だろう。
そんなこと、あるはずが―――
―じゃあ捻れば?
くすくす、という笑い声に混じって、そんな声が聞こえた気がした。
いや、これは気のせいだ。
自分の中の恐怖心が生み出した幻聴。
蛇口を掴んだ手は石のように硬直し、
しかし大げさなほどにがくがくと痙攣している。
捻ればいい。
捻ってしまえ。
そうすれば、それが余計な心配だったということがわかる。
さあ、捻ってしまえ。
わたしは口を真一文字に引き結ぶと、
ぐっと蛇口を掴んだ手に力を込めて、
蛇口を捻ることを放棄した。
認める。
怖い。
わたしはまだまだ子供だ。
半人前の妖獣だ。
ありもしない恐怖に怯えて、こんな簡単なことすらできない。
「はぁ。」
情けないため息をついて、わたしは厨を後にした。
今日は紫さまの部屋で一緒に寝させてもらおう。
藍さまはわたしが怖い話を見ていたのを知っているし。
怖い話に怯えて夜も眠れなくなったなんて、自業自得だし。
そういうところは藍さまよりも紫さまのほうが甘えさせてくれるので、
今日のところは遠慮なく紫さまにお世話になることにする。
人には厳しく躾けろって言うくせに、と小さく不平を漏らす藍さまが脳裏に浮かんだ。
急かすような土砂降りの雨の音。
わたしは小走りに紫さまの部屋へと向かう。
喉は渇いているけど、我慢しよう。
藍さまの部屋の前をこっそりと通り過ぎて、
紫さまの部屋に到着した。
紫さまの部屋の襖の前。
ふぅ、と呼吸を落ち着ける。
―ぴちゃん...
水滴が垂れる音が部屋の中から聞こえた。
そういえば、雨漏りしてるって紫さまが言ってたな。
きっと、雨漏りした水滴がバケツの中に落ちる音だろう。
紫さまの部屋に水の溜まったバケツが置いてある光景を想像して、
なんとなく可笑しい気分になる。
さて、紫さまはきっと寝ているだろうし、
あまり音を立てないように、そっと襖を開けよう。
わたしは襖に手を伸ばし、ほんの少しだけ開いた。
―すぅ...
驚いて、思わず足元を見た。
冷やりとした冷気が、襖のわずかな隙間から漏れ出し、
わたしの足元をどっぷりと満たしている。
氷室を開けたような、おおよそ夏場ではありえない異常な冷気。
まるで、雪の中から掘り出した死体の手がわたしの足首を掴んでいるかのような。
そんな、怖気の走る冷気。
「ゆ、紫さま・・・?」
本当にわずかしか開けていないので、部屋の中は見えない。
開けないまま、中にいるはずの紫さまに声をかける。
・・・返事はない。
きっと寝ているのだ。
起きていないだけ。
―こんなに寒い部屋の中?
うるさい!
きっと紫さまは寝ているから気付いていないだけなんだ。
中に入って、直接肩を揺さぶれば気付いてもらえる。
わたしは物凄く長い間躊躇して、
ようやく、紫さまの部屋の中に踏み込んだ。
紫さまの布団まで、あと数歩。
部屋の中ほどまでわたしは歩を進め、
「・・・・・・えっ?」
酷く間抜けな声が漏れた。
状況が理解できなかった。
落ち着こうとして大きく息を吸い込んで、
室内を満たす臭気が胃の腑を突き上げる。
鉄臭い。
・・・・・・血の臭い?
まさか。
なんだって、紫さまの部屋にそんな臭いが充満している。
第一、紫さまはそこの布団で確かに寝ているのだ。
なら、この臭いに気付かないはずがない。
いくら寝ているからって・・・。
わたしは部屋の中ほどから足を動かさずに、
背伸びをして覗き込むように、布団にくるまれたそれを確認した。
紫さまは目を開けていた。
濁ったガラス玉のような瞳を、何もない空虚に向けて。
状況が理解できない。
布団の下の方から紫さまの片腕がはみ出している。
状況が理解できない。
紫さまの顔のすぐ横から、紫さまの片足が覗いている。
状況が理解できない。
明らかに紫さまの視界に入っているはずなのに、紫さまは反応しない。
状況が理解できない。
なんだ、この、
バラバラに解体された死体に、布団を上から被せただけのようなこの光景。
そんなはずはない。
紫さまは強いのだ。
誰よりも強いのだ。
なのに、こんな、無造作に打ち捨てられた死体のような格好になっているはずがない。
たとえ、人体の構造上、絶対にありえない位置に手足が見えても、
先ほどからまったく瞬きしない紫さまの顔が見えていても、
紫さまが、死んでいるなんてことが・・・。
―少し落ち着けば?
そうだ、落ち着こう。
深呼吸をしようとして、自分の呼吸が全力疾走したように不規則だったことに気付いた。
大きく息を吸い込んで、濃密な血臭に胃が縮み上がる。
ガチガチと奥歯が鳴る。
寒い。
酷く寒い。
真夏の蒸し暑さが嘘のよう。
―ぴちゃん...
という、バケツに水滴が垂れる音だけが、唯一現実と繋がっているような気がした。
紫さまは、きっと死んでいる。
それよりももっと重要な、
もっと直接的な問題があるんじゃないのか?
ひょっとしたら、
紫さまを惨殺したなにかが、まだこの近くに潜んでいるんじゃないか?
―しきっ...
聞こえるはずのない音が聞こえた。
鋏の開く音。
聞こえた。自分の、すぐ耳元で。
すぐ、近く。
手を伸ばせば届きそうなほど、近く。
振り向け。
振り向け!
振り向かなければ殺される!!
わたしは振り向いた。
勇気が勝った結果ではなく、恐怖心が勝った結果として。
そして見た。
すぐ近くに置かれたバケツから、生白い腕がずるりと伸びているのを。
骨格も関節もない、拙い子供が作った粘土細工みたいな無機質な人間の腕が、
開いた鋏を掲げながらずるずると伸び上がる。
その鋏は、血と脂でべっとりと濡れていた。
「ひっ!!」
腕がゆらりと揺れて、わたしは反射的に飛びのいた。
―ドッ!!
緩慢な揺らめきから、信じられない速さで腕が伸びた。
鋏の先端が畳にざっくりと突き立つ。
しりもちをついたわたしの体が、部屋の冷気で凍りついたように固まった。
ぐっ、ぐっ、と白い腕に力が篭って、畳に突き刺さった鋏を抜こうとしている。
逃げなくちゃ。
今のうちに逃げなくちゃ。
わたしは四つんばいになりながら、滑稽なほど緩慢に部屋を這い出た。
鋏はまだ刺さったままだ。
今のうちに可能な限り離れなくては。
抜けてしまった腰を叱咤しながら、わたしは這う。
這いながら、考える。
あれは、あの腕は、
蛇口から出るものではないのか?
水の溜まったバケツからも伸びるなんて。
藍さまだ。
藍さまの部屋に向かおう。
藍さまならきっと―――
―しきっ...
「ひっ!」
わたしは後ろを振り返った。
何メートルも後ろ。
紫さまの開いた襖の間から、生白く、異様に長い腕がずるりと伸びている。
腕はまるでわたしを探しているかのようにゆらゆらと揺らめき、
ぴたりと、止まった。
見つけたのだ。
わたしを。
蛇が鎌首をもたげるように、鋏の先端をわたしに向けて、
腕は、一瞬でわたしの眼前まで伸びてきた。
「ッッッ!!」
悲鳴が声にならない。
視界いっぱいに広がった鋏の先端がぼやけた像を結ぶ。
鋏は目の前でぴたりと止まった。
いや、目の前ではない。
眼球に、触れている。
ちくりと目に小さな痛みが走り、それ以上の恐怖が全身を細切れにした。
もう1センチでも深く刺さっていれば、わたしの目は串刺しだろう。
目に物が触れれば反射で起こるはずの瞬きでさえ起こらない。
今この瞬間でさえ、後わずかにでも腕が伸びれば突き刺さる。
腕は時間が止まったかのように、ぴくりとも動かない。
だが、次の瞬間に動き出してもなんら不思議ではない。
わたしの体は仰向けの四つんばいのまま、無意識のうちに後ずさりしていた。
触れていた鋏が目から離れる。
腕は動かない。
ようやく、自分が呼吸を忘れていたことに気付いて、
大きく肩で息をした。
微動だにしない腕は、その作り物臭さもあいまって、
最初からそこに存在した彫像のようだった。
先端にべっとりとこびりついた血と脂がなければ、本当にそう勘違いしたかもしれない。
しかしそれは、紛れもなく紫さまを惨殺した腕。
そして、今もわたしを殺そうとしているはずだ。
やっとショックから立ち直ったわたしは、四つんばいの状態から体を起こした。
走れない体勢のままでは、いつ殺されたっておかしくない。
いや、あの腕の伸びる速度じゃあ、走れたって逃げ切れはしないだろうけど。
わたしはもっと腕から距離を開けて、観察した。
どうしてこの腕は止まったのだろう。
なにか、これ以上伸ばせないという制限があるのだろうか。
―ぴちゃん...
紫さまの部屋のバケツに水滴が垂れる音。
グンッ、と腕が伸びた。
「ひゃあぁ!?」
腕はわずかに進んだところで、再び止まった。
バクバクと心臓が跳ねる。
わかった。
水だ。
この腕はきっと、根元の水の分だけ伸びる。
水を使い切ったから腕が止まった。
そして、水が供給されたから、また伸びた。
きっとそういうことだと思う。
なら、水源から距離をとればきっと大丈夫だ。
藍さまのもとへ行こう。
このことを藍さまに伝えないと。
わたしは前につんのめりながら廊下を駆け出した。
藍さまの部屋までは遠い。
この時ばかりは、屋敷の広さを心底恨んだ。
風呂場の前を通り過ぎ、わたしはぞっとした。
風呂場の曇りガラスの向こう。
蛇の頭に人間の手が生えたような、歪なシルエットが透けていた。
水の総量が腕の長さになるのなら、湯船の水量はバケツの比ではない。
幸い、こちらには気付いていないようだ。
遊泳魚のようにランダムに空中に揺らめいているのが余計に不気味だった。
「橙!! どこだ、橙!!」
藍さまの声だ!
続いて、廊下の角から藍さまが駆け込んできた。
「藍さま!?」
体が弾けるように動いた。
藍さまはわたしの体をしっかりと抱きとめてくれた。
けれど、その顔は強張ったまま。
「藍さま、紫さまが・・・。」
「わかってる。供給が途切れた。」
ぎりっ、と奥歯が鳴るほどにきつくかみ締めて、藍さまは頷いた。
式の妖力は、その主から常に供給されている。
だから、供給が途切れればすぐにわかる。
供給が途切れたということはすなわち・・・、
「橙、とにかくここを移動しよう。」
藍さまに手を引かれて、わたしは屋敷の廊下を再び走り出した。
移動。
どこに移動すれば安全なのだろう。
そもそも危険なのはどこ?
あの腕に関しては何一つわかっていない。
唯一つわかっているのは、水源から離れれば安全だということ。
ならば水源から極力離れるべきなはず。
空だ。
外に出て、空を飛んだらどうだろう。
空には水源なんてないはず。
だからまずは外に出て―――
「うっ、なんだこれはッ!?」
藍さまが足を止めた。
わたしは目の前に広がる光景を見て、愕然とする。
縁側。
立ち並ぶ窓の外。
土砂降りの雨の中、
庭一面に鋏を持った腕が乱立していた。
なんで、そんなことくらい予測できなかったのだろうか。
紫さまの部屋のバケツの水だって、もともとは雨水なのに。
ゆらゆらと、指向性のないバラバラな動きで揺らめく白。
広い庭、何十何百という本数の腕、腕、腕、腕腕腕腕腕腕腕。
「どうなっているんだ、くそっ!」
「藍さま。あの腕、水が媒体になってるみたいです。
きっと紫さまもあれに・・・。」
「水のないところ・・・。広さも必要だな。」
考えこむ藍さまの肩越し。
ぴたりと一本、揺らめく腕が止まった。
周囲の腕が蠢く中、一本だけ。
それが、
―ばんっ
窓に張り付いた。
こちらに気付いたのだ。
「ひっ!」
腕は窓に遮られて、こちらまでは伸びてこない。
しかし、
二本三本と、続けて腕が止まる。
―ばんっ
―ばんっ
そして窓に張り付く。
透明な窓ガラスが理解できないのか、指を立ててガラスの向こうを這い回る。
がさがさと、蜘蛛のような動きで。
―がさがさっ
―がさがさがさっ
生理的な嫌悪感を煽る動き。
こちらに気付き、動きを止めた腕は鼠算式に数を増やしていく。
―ばんばんばんっ
そして窓ガラスを這い回る。
―がさがさがさっ
―ばんばんばんっ
―がさがさがさっ
―ばんばんばんっ
―がさがさがさっ
―ばんばんばんばんばんばんばんばんばんばんばんばんばんばんばんばんばんばんばんばんばんばんっ
―がさがさがさがさがさがさがさがさがさがさがさがさがさがさがさがさがさがさがさがさがさがさがさがさがさっ
瞬く間に窓が真っ白な肉の塊に埋め尽くされた。
それらすべてが、蜘蛛や百足のように醜悪に蠢き這い回る。
握った鋏が時折別の腕に突き刺さって、肉を食い破り、
どろりとした、静脈血よりどす黒い粘性の液体が糸を引いて垂れ落ちた。
「くっ! 橙、居間だ! 居間に逃げ込むぞ!!」
居間はわたしの部屋すぐ手前だ。
ここからならそう遠くはない。
おぞましい絵画のようになった窓を通り過ぎ、
わたし達は居間に向かって走った。
いくつもの角を曲がって、迷路のような屋敷を走った。
やがて、見飽きるほどに見た廊下にたどり着く。
わたしの部屋の前の廊下だ。
その中ほどを曲がれば居間にたどり着く。
そこで、わたしは自分を呪った。
わたしなんか消えてしまえと心底呪った。
わたしの部屋の前の戸が開いていた。
ほんの少しだけ、開いていた。
あの立て付けの悪い戸が開いていた。
そして、その隙間から芋虫のような白い指が這い出している。
がたがたと蠢き、戸をこじ開けようと暴れている。
―ずっ
戸がわずかに動いた。
駄目だ、開く。
「橙、早く!」
ぐんっ、と腕を引っ張られて、わたしは居間の中に放り込まれた。
そのまま、居間の襖が閉じられる。
「藍さま!? 藍さま!?」
「隠れてなさい!!」
襖越しに、藍さまの怒声が轟いた。
あんなに怖い藍さまは見たことがなかった。
ガタガタと、襖越しに聞こえ続ける音。
あの腕が、まだ戸を開けようとしている音。
それが、ぴたりと止まった。
しん、と息の詰まるような沈黙。
そして、
「橙、なにがあってもそこから出るな。」
苦渋のにじんだ藍さまの声。
藍さま・・・?
今からでも、藍さまも一緒に隠れ―――
―びしゃっ
バケツの水を思いっきり引っ掛けたような、水っぽい音。
なんの、音・・・?
襖の向こう側からぶちまけられたその液体は、じわりとこちら側までにじんできた。
赤。
襖の色が、じわじわと染み出す赤に染められていく。
―がたんっ
なにかが倒れる音。
―しきっ...
鋏が開く音。
―みちっ
なんの音?
―みちみちっ
なんの音・・・?
―・・・・・・ばちんっ
なんの音!?
今のはなんの音!?
まるで枝切り鋏で太い枝を無理矢理切り落としたような音。
続いて、なにか丸い、ボーリングの玉のようなものがごろりと床を転がる音。
そして、藍さまとの繋がりが完全に切れたのを感じた。
紫さまの部屋の惨状を思い出す。
今まさに、それがこの襖の向こう側で行われているのだ。
―みちみちっ
―・・・・・・ばちんっ
「・・・・・・。」
―みちみちっ
―・・・・・・ばちんっ
「・・・やめて。」
―みちみちっ
―・・・・・・ばちんっ
「・・・もう、やめてよぉ。」
小さな、震える声しかでない。
がくがくと体が震えるだけで、動かない。
涙だけがぼろぼろと溢れ出した。
襖を開けて飛び出せば、藍さまの身代わりくらいにはなれるかもしれないのに。
わたしの足はどうしても動かなくて。
ただ、断続的に聞こえる作業の音を聞きながら涙を拭うことしか出来なかった。
もう、嫌だ・・・。
―死にたい?
もう、嫌だ・・・。
―死にたい?
もう、嫌だ・・・。
―死にたいんだ?
もう、わたしなんて死んじゃえばいいのに。
―じゃあ死んじゃえ。
―しきっ...
「・・・・・・えっ?」
すぐ耳元で、鋏の音。
どうして・・・?
部屋は締め切っているはず。
水源なんて近くにない。
ここにあの腕が出てくるはずないのに。
音の元は、すぐにわかった。
すぐに視界に映った。
手の甲についた、『拭った涙の雫』からあの腕が生えていた。
「ひぃ!?」
慌てて振り払おうとするが、取れない。
手で払おうとしても、ぐにぐにとした気持ち悪い感触が伝わるだけ。
その細い腕に握られた小さな鋏は、わたしの人差し指を捉えた。
―ぎりっ...
痛みはなかった。
ただ恐怖心だけが全てを塗り潰して。
―ぎりっ...
力が込められる。
容赦なんてものはなく、ただ機械的に。
―ぎりっ...
皮が破れて血が垂れて、関節に鉄の刃が食い込む。
「た、助けて・・・。助けて!!」
―バアンッ
突然、反対側の襖が蹴破られた。
モノクロな世界の中、奇妙なほどその赤の装束が映えた。
突然の乱入者に、わたしは唖然とした。
突入してきたのは、あの博麗 霊夢だった。
「見つけた。」
霊夢が不機嫌の絶頂みたいなしかめっ面でそうつぶやくと、
天井に向かって声を張り上げた。
「紫! 見つけたわ、引き揚げて!」
引き揚げる・・・?
紫さま!?
紫さまは、だって、さっき・・・!!
唐突に、目の前の空間がばっくりと裂けた。
そして中から、酷く眠そうな顔がのそりと出てきた。
紫さまだった。
「はぁい、橙。いい子にしてた?」
紫さまだった。
紫さまだった!!
本当に、いつもの紫さまで、
「怖かったでしょう? よく頑張ったわね。おやすみなさい。」
紫さまが、わたしの目をそっと覆うように手を伸ばして、
そして、わたしの意識はぷっつりと途絶えた。
* * *
わたしは跳ね起きた。
ここは、自分の部屋・・・?
全身が嫌な汗でぐっしょりと濡れていて、気分は最悪だった。
外は土砂降りの雨で、時折雷鳴が轟く。
時間が戻されたかのような、気持ち悪い既視感。
「大丈夫か、橙? ひどくうなされていたぞ?」
心配そうな藍さまの声。
布団のすぐ脇で、藍さまがタオルを片手にわたしの顔を覗き込んでいた。
涙が出そうになった。
「怖い夢を見たんだな。まったく、テレビで怖い話なんかみるからだぞ。」
「ゆ・・・め・・・?」
「そう、夢だよ。夢だったんだ。だから安心しなさい。」
わたしは自分の手を掲げた。
傷一つ付いていなかった。
あのリアルな感触が、夢?
でも、藍さまはこうして、何事もなかったかのように傍にいてくれる。
「紫さまは?」
「紫様は用事があって起きているよ。すぐにまた寝てしまわれるだろうけどね。」
藍さまと繋がっているのを感じる。
それを通して、紫さまと繋がっているのも。
夢だったのだ。
全部、たちの悪い夢。
「藍さま・・・。」
「怖くて眠れない?」
頷いた。
「しょうがないな。今日は特別だぞ。」
そう言って、藍さまは一緒に寝ることを了承してくれる。
怖くて眠れないのは本当。
だけど、藍さまと一緒にいたいというのが一番の理由だった。
藍さまに抱えられるようにして、わたしは再び夢の中に落ちていった。
今度の夢は、よく覚えてはいないけど、とても幸せな夢だった。
* * *
「さて、と。」
グルグル巻きにされた少女が紫の部屋に転がっている。
それを睥睨する二人。
霊夢と紫だ。
少女は二人には敵わないと理解しているのか、観念したように頭を垂れている。
「まず名前。」
「は、はい! 針山 柘榴です。」
少女はすっかり萎縮した様子で名乗った。
針山 柘榴。
今回、橙を襲った一件の犯人である。
こいつは獏(バク)という種族の少女だった。
夢を喰らう妖怪。
トラウマや心の傷、後ろめたい出来事などのもとに人に悪夢を見せ、
その恐怖を喰う。
橙の悪夢が水をベースにしたものだったのも、おそらくはそういうことだろう。
橙がこの少女の襲われていたことを察知し、
紫が『夢と現の境界』を操作して、橙の夢のなかに霊夢を送り込んだのである。
そして、見事にその元凶をサルベージしてきたというわけだ。
「どうするの、紫? 処分はあんたに任せるけど。」
処分、と聞いて少女の体が縮み上がる。
紫はにこりと、人の良さそうな笑みで応対した。
「別に、どうもしないわ。私は寛容なのよ。」
ほっ、と明らかに安心した様子の少女。
その少女の顔を覗き込むようにして、
「でも二度目はないわよ。
今度うちの子に手を出したら、次に鋏でバラされるのは貴方の方。
生きたまま、意識を保ったまま、関節単位で細切れにしてあげる。
次からは相手を選びなさい。理解した?」
がくがくがくと何度も頷く少女。
よろしい、と紫は出来のいい教え子を持った教師のような微笑みを浮かべる。
悪魔め、と隣で霊夢が毒づいた。
結局、獏の少女はそれ以上のお咎めはなしで無事に解放された。
「甘いと思う?」
「いいえ。」
自重めいた表情で問う紫に、霊夢は首を振って答えた。
仕方がないことなのだ。
獏にとって、悪夢を見せて夢を喰らうのは食事である。
それを断たれれば生きてはいけない。
獏が悪夢を見せて夢を喰らうのが罪だというのなら、
人を捕らえ、喰らう妖怪も、
家畜を捌き、喰らう人間も、
存在していくこと自体が罪だということ。
人も妖怪も、生きているもの全てを根絶しなければならないということ。
結局のところ、突き詰めれば同類なのだ。
人も、妖怪も、獏も。
だからこそ、容認せざるを得ない。
獏の過食を抑えるのは必要なことだが、
獏の食事そのものをやめさせることはできない。
人と妖怪のバランスを保ち、幻想郷を維持することに必要なことだから。
「ともあれ、お疲れさま、霊夢。」
「っていうか、私が巻き込まれる必要性があったのかしらね?」
「妖怪の管理は貴方の仕事でしょう?」
「・・・まいっか。」
* * *
「・・・・・・っく。」
しゃっくり交じりの泣き声。
雨の上がった道に小さく響く。
「・・・・・ひっく。」
柘榴は一人、街道を歩いている。
周囲には誰もいない。
「・・・っく、・・・っく。」
誰もいない。
誰も柘榴がここに居ることに気付いていない。
「く、くくくっ。」
柘榴は泣き止んでいた。
いや、最初から泣いてなどいなかった。
「くくくくくっ、あっはははははははは!!」
柘榴は大声を上げて笑った。
腹を抱えて笑い転げた。
「くくくっ、これだから夢喰いはやめられないわ!
最高! あっはははははははは!!」
しばらくの間、柘榴は一人で笑って、
すっくと立ち上がった。
まだ顔には笑みが張り付いている。
「ふぅ。食事が中断されちゃったから、まだ食べたりないわね。
丁度いい獲物はいないかしら。」
柘榴はぐるりと周囲を見回して、
さっそく次の獲物を見つけた。
いや、周囲には誰もいないはずだった。
獲物はまだ気付いていない。
「うふふっ。見ーつけた。」
獲物はまだ気付いていない。
いや、もしかして、とは思っている。
ひょっとして、自分のことを言っているのでは、と思っている。
でもまさか自分のことではないだろう、そう思っている。
手遅れだ。
そこで確信にいたれなかったのが、手遅れ。
もう遅い。
柘榴はくるりと『こちら』に目を向けた。
「次は貴方のところへお邪魔するわ。貴方に素敵な悪夢が訪れますように。うふふっ。」
オリジナルキャラクターは、本当にいそうな妖怪ですよね
トラウマ?
もうペットボトルしか飲めない
読む前にトイレ行ってた俺は勝ち組
>わたしはまだまた子供だ
まだまだかな?
とりあえず部屋を明るくするさ
これがナイフや包丁だったらどんなに救いがあったものか……。
夜に見るんじゃなかった
確かに怖い話は興味本意で聞きたくなってつい……
途中まで「ちぇぇぇん!井戸を使うんだ!井戸を!」とか叫んでいた自分は何かが間違っている
ノーマル版しか読んでいませんが、もう十分鳥肌が。ブラッドカバー版をこれから読む勇気などありませぬ。
腕ががさがさ蠢いている所をバッチリ想像してしまった…
今夜はよく眠れそうにありませんな…
なんというか、今作はビジュアルとインパクトで攻める西洋パニックホラー系の怖さな感じ。映像化したらごっつい怖そうですが。
私が一番怖いのは、ホラーというより所謂怪談。
ビクッとして悲鳴が出る、というよりも、ぞくっとして何度も後ろを確認したくなるような類の、薄気味悪さと後味の悪さの漂うヤツです。
そのうち、またそういうのも書いてみてほしいですなぁ。
なんというか擬音の効果がなんかゆっくりに感じます
―・・・・・・ばちんっとかみちみちっ!とかなーんか擬音のエフェクトというか
似たような演出が多くてなんか違和感感じました
私もヒトカタの方が怖かったです。
それこそ隙間を除くのが躊躇われるくらいに
オリキャラの設定が非常に「らしい」ので半分にその分を+10点で
ブラッドカバー読んだけど怖くて酷いことになったぞ
そう言えば、鋏とこの緊張感からクロックタワーのシザーマンを思い出した
自分は日本のホラー映画の様なモノに怖さを感じる方なので、こういう確固とした姿を持っている敵より、得体の知れない、暗がりに潜みはっきりと姿を現さない様なものの方が怖いと思いました。
表現方法とか甲田学人氏に似てる気がしましたけど、参考にしたのかな?
あのなんとも言えない作風が好きな自分としては非常に楽しめました。
んー、面白いんだけど、なんというか。
既に感想で出てますが、日本的な怪談とは別な怖さですね。まあ獏のルーツは中国ですし、そこを考えればグロいのも納得できるかなw
文字の色を変える演出はWebならではですね。けど、そこは頑張って恐怖感やら嫌悪感を描写して欲しかったなあとも思いました。
つか、ここに投稿する時も文字の色変えるとか出来るんですね。今知りました。
あとオチは要らないかなあと思いました。
私も怪談のほうが好きですが、洋物なパニックホラーも大好物ですから一時のスリルを堪能させていただきました。
針山 柘榴は非常に「アリ」なオリキャラですね。
前作などとはまた違った怖さだからなのかもしれませんけど。
面白かったですよ。
夢の中に鋏の音が続いていました^^;
このお話のお礼に
( ・ー・)つ麦茶
と
( ・ー・)つ100点
……とりあえず戸締りと水道の元栓は閉めようっと
あくまで夢オチなので前作の無限ループの方が恐怖を感じました。
挿絵でもあればいいかもれしませんねぇ。
私的にも前回、前々回の方が怖かったと思います。
ブラッドカバー版しか読んでませんが十分楽しめました
ただでさえ背景が暗いのに、赤とか。
怖いでっていう
霊夢も紫も漠の性格の悪さをわかってるんだろうけど放置な感じ。ゆうかりんあたりに手を出して処分されればいいのに。
もうすでにヒトカタを読んでいましたが・・・
あっちのほうが個人的にすきでしたね~。
ちなみに私は全然平気なんで両方見比べてました。
でも、どっちにしろ怖かったですね~。
・・・・あれ?俺、今風呂あがりなんだよなぁ・・・・・・・
>>23さん
もしかしたら同じラノベを思い浮かべてるかもですね。
甲の字から始まるあの人では?
ヒトカタが和製ホラーで、こちらは洋製ホラーという感じでしょうか?
個人的には「ヒトカタ」や「鈴仙~」のほうが怖かったと思います。グロシーンが際立ちすぎてホラー感がかなり薄れてたと思います。そのため、どちらかというとノーマル版のほうが怖かったと思います。作品的に仕方ないとは思いますが、紫様が解体されたというところが東方的に違和感がありすぎて、言い方がおかしいとは思いますが、非現実的になったような気がします。
どちらかというと、八雲家よりも、プリズムリバー姉妹のほうが作品的に合っているような気がしました。…その場合最後の救済が難しいかもしれませんが。あとオリキャラの使い方はかなりうまいと思いました。
少々きつめにつけましたが、点数以上に楽しめました。
だけどしっかり殺意が芽生えるキャラだったのでGJ、っつーわけで80点ぽいっちょ。
ブラッドカバーとノーマルの両方を読みました。鋏の音と無数の手の恐怖演出がよかったと思います。
個人的には大満足です!
耐性ある奴の意見だからあんまりあてになりませんが
ノーマル・ブラッドカバーを両方読みましたがこれはストレートに怖い。
が、ゾクリとする怖さというよりは即効性のある怖さかと思われます。
とりあえず柘榴は一度絞るべき、物理的に。
(アクアネックレス)
この作品のところどころが、甲田学人先生のライトノベル『断章のグリム』に非常にソックリです。
全巻揃えて調査致しました。
具体的には、1巻、6巻、7巻の一部シーンがパクリと言っていいレベルで酷似しています。
興味がある人は読んでみてください。似すぎてて笑えます。
さらに言えば、『断章のグリム』は僕の愛読書です。ホラーの観点を参考にさせていただいています。
読んでいなかったわけではありません。まったくの偶然で似ていたわけではありません。
読んでいただいた方々には非常に不快な思いをさせてしまいましたことを、深くお詫び申し上げます。
消したい気持ちでいっぱいですが、恥をさらすという意味であえて残しておきます。
謝り足りないのでもう一度深くお詫び申し上げます。
どうしてくれようか・・・
橙を主役に据えているのが秀逸だなあと思いました。
こういう怖い話は、家人を巻き込むことで恐怖が増大すると思うので。
守矢一家でも出来そうだな…
いやはや、まず怖い。
だがその怖いと感じる中で面白いと思ってしまう。
読み手をそんな風に感じさせるとは…流石です。
さて、今日はどんな夢を見れるかな?