*このお話は作品集55の「私のお仕事」の続編となりますので、わずかながら話がリンクしております、ご注意ください。
*咲夜さんについての解釈がオリジナル設定が多いですのでご注意ください(上下関係とか)
私が紅魔館の門に立ち始めて数年がたったある日。
「ちょっと、いいかしら?」
不意に後ろから声を掛けられた。
「はい?」
振り向くとそこには見知らぬ女性が立っていた。
キレイな銀髪をしている。
おとなしめのエプロンドレスとヘッドドレスからメイドであろうと推測できた。
「用があるの」
そんないきなり言われても…
「あの……どなたでしょうか…?……はっ!まさか侵入者!?」
知らない人が敷地の中にいれば疑って当然だ。
「侵入者?まぁあなたとは初対面だけどその呼び方は納得いかないわね」
「え、でも……」
意味が分からず、私は固まっていた。
「とにかくついてきて。お嬢様がお待ちよ」
「…あ、はい」
お嬢様ってのはおそらくレミリアお嬢様の事を指すのだろう。
当主の命令とあっては仕方ない。私はその人についていった。
「お嬢様、失礼します」
ガチャリ。
「ちゃんとつれてきた?」
「はい。こちらに」
私も部屋に入る。
「失礼します」
「あら美鈴、久しぶり」
ひどいな……住み込みで働いてるのに……
で、何故呼ばれたのだろう?
「ま、かけなさい」
そう促され、さっきの人の横に座る。
「でね、今日あなたを呼んだのはね…」
「はい」
「一応、咲夜のこと紹介しようと思って」
「?」
だれ?あ、もしかしてこの人?
すると隣にいる人は私のほうを向いた。
「私は十六夜咲夜。紅魔館のメイド長よ」
「あ、宜しくお願いします。いつごろからいらっしゃったんですか?」
私が来たときにはまだ紅茶を誰が入れるかでもめていたから、その後だろう。
「1年ほど前かしら。でもなんで?」
「なで私に知られずに中に入れたのかなと思いまして」
「ああ、そのことね」
そこが気になる。1年前などとっくに門に立っていたから。
紅魔館において門番という仕事は特殊だから、生活リズムがずれて敷地内で顔を合わせなかったのは納得できるが…いくらなんでも入ってくるときは私の前を通るはず…
「簡単よ」
どう簡単なのか?
「あなた、寝ているんですもの」
な………
昼寝が癖になっているから…
でも、起きれなかったのか……
ああ、私って………
一人で落ち込んでいると、
「ん?美鈴?大丈夫?」
「はい…何とか」
情けない…
「でね、美鈴。咲夜はあなたの上司ってことになるから宜しくね」
はい………え?
ちょ、ちょま!?
「何故ですかっ!?私のほうが先輩ですよ!?」
「咲夜は有能なのよ。人間なのに、妖怪のあなたより使えるんだからそれ相応の待遇をしないとね」
人間!?
なんてこった。人間には負けないと思っていたのに。
でもアレだ、戦ったら勝つよ。だって相手は人間だもん。
「咲夜の能力で紅魔館も広くなったし♪」
そうなんだ…なんだろう、この人。
「とまぁ、そういうわけで、お二方とも仲良くやってね」
「「はい」」
では、持ち場に戻りますか。
席を立ち、部屋を出ようとした瞬間。
「美鈴」
咲夜さんに呼び止められた。
「何ですか?」
「今日以降、寝たら殺すわよ」
ひぃぃ!
なんて怖いことを言う人だ。
しかも殺気が本物だった。
「は、はい!」
迫力に負けて門まで逃げるように戻ってきた。
「はぁ…はぁ…。怖いひとだなぁ…」
ちょっと寝ただけで殺すことはないだろう。
でも、あの殺気が…
しばらく恐怖に駆られていたが、やっぱり睡魔に襲われる。
「ふわぁ……」
ちょっとだけ……
そう思って壁に背をもたれ、目を閉じた。
5分後。
グサ…
鈍い音がした。
直後に頭に走る激痛。
「あうっ!」
何かが頭に刺さっている。
痛みを我慢し、それを手に取る。するとそれは……
銀色に輝くナイフであった。先端から私の血が滴っている。
「うわぁ……」
叫ぶことすら出来なかった。
誰がやったのかと、思考することも。
しばらく血を流しながら呆然としていると、
「寝たら殺すと言ったでしょう?まだ生きているみたいだけど」
「咲夜さん…」
本当に実行するんだ。
「ま、流石は妖怪と言ったとこかしらね。でも次やったら、またナイフが飛ぶから覚悟していなさい…」
「あぁ…はぃ……」
オッカナイ!なんて人だ!
確かに私はタフだし、妖怪だからこれくらいの傷は致命傷じゃない。
でも凄く痛い。
だから昼寝の癖は直そう……
非常に凶悪な上司と知り合ってしまった…
結局私の昼寝癖は直らずに、気がつけば頭にナイフが刺さっているのが日常化していた。
しかも咲夜さん、だんだん面白がって私をいじめるようになってきた…
それでもめげずに門番を続けていた。
ここにいれば咲夜さん以外に怖いものは無かったし、やっぱり仕事が気に入っていたから。
でも突然、そいつはやってきた。
「邪魔だ門番!そこをどけぇ!!」
「どきません!……はぐぅっ!!」
「あはは、じゃあな門番!!」
いつも通り…とはなんとも情けないが、門を正面から突破される。
「いたたぁ……」
黒っぽい服装をした魔法使い、霧雨魔理沙。
私の凶悪上司、咲夜さんが手を焼くほどに強い。
しかもこれまた人間だというから悔しい。
さて、怖いのはこれからだ。
仕事を果たせなかった以上、何らかの罰がある。
私の場合、あと1時間以内に咲夜さんが飛んできて私にナイフを刺す。
確かに私の過失は大きい。でも咲夜さんは私をいじめるのが趣味のようだ。
何も無いときでもたまにやってくる。
グサッ!
「あうっ!」
ほらね。
「美鈴!何故あなたはいつもそうなの!?」
「いやぁ…取っ組み合いになれば私が圧勝なんですがね…」
「いつもそれじゃない。ここは幻想郷よ?弾幕張って勝てなきゃダメなのよ」
グサッ!
「あうっ!すみませ…」
グサグサッ!
「ひいい!…お許しを…あうっ!……どうかご慈悲を……」
「はぁ…今日はこんなもんにしておくわ。せめて情けない負け方はよしなさい…」
「はい…」
今日の業務は終わり。門を閉めて自室に戻る。
人間に負けるなんて自分でも悔しいのは山々だ。
でもどうやっても勝てない。
少し鬱になったからベッドに潜り、明日からの方針でも考えることにしたが、うっかりそのまま眠りについた。
翌朝、ちょっと早起きをする。
門を開けに向かい、そこで昨日失敗した考え事の続きを始める。
とにかく、あの霧雨魔理沙に勝てるようにしなければならない。
弾幕でなんてとても無理な話だ。
以前、何回かいいところまで追い詰めたことがあった。でもその度に彼女のスペルに敗れる。
ほぼ逃げ場の無い極太レーザーに何度やられたことか。
黙々と考えを巡らせているうちに、咲夜さんがやってきた。
「美鈴、朝食の時間よ。ぼーっと突っ立ってないでさっさと来なさい」
「あ、ハイ」
軽く朝食を終わらせて、庭に出てちょっとだけ休憩することにした。
すると、
「どうしたのよ美鈴。さっきから変な顔して」
「いえ、少し考え事を…」
そんなに変な顔だっただろうか?咲夜さんが心配して声を掛けてくれた。
「なに?相談なら乗るわよ?」
「すみませ……え?今なんと?」
咲夜さんがそんな優しいことを言うなんて、不気味すぎる。
「何?不満でも?」
「え、だって咲夜さんはドSで、すぐにナイフ刺すし、それに……」
「まったく。私がドSだとしたら私を怒らせるあなたはドMね」
「あ…いえ別にそういう……」
「…ま、冗談はこれくらいにして。本当に大丈夫なの?」
「え、ええ。実は…」
「なるほどね。どうしても魔理沙に勝てないからそれを悩んでいたのね?」
「はい。このままでは皆さんに迷惑かけっぱなしで……」
「ふーん。まぁじっくり考えなさい。正解はあるはずよ」
「ありがとうございます。もっと頑張って倒せるようになります!」
「そう…」
そう言って咲夜さんが戻ってゆく。
私も門へ向かった。
しかし残念なことに門に到達した瞬間、嫌なものが見えた。
もの凄い勢いで迫る黒っぽい少女。
早速ですか!?
そうこういっているうちに目の前までやってきた。
気合を入れなおし迎撃に上がる。
「だから邪魔だって、門番!」
「邪魔するのが門番です!今日の私は本気ですよ!?」
「なに?じゃあちょっとは面白いのかな?」
「無駄話は後です!今はあなたを打ち落とすだけです!!行きますよっ!」
いつも以上に積極的に弾幕を展開し、弾を空に散りばめる。
「へぇ。やるじゃん…」
やはり弾幕戦は得意ではない。だが下手な鉄砲かず打つちゃ当たる…はず!
出来るだけ空間に隙間を作らぬように弾幕を張る。
いよいよ私の弾が相手の逃げ場を奪う。
「あー、ちくしょ、避けらんねぇ…恋符・マスタースパーク!!」
でた、極太レーザー…
「喰らうか!彩符・極彩颱風!!」
ぶつかり合うスペルとスペル。
私の方が宣言が遅かったから相殺、攻撃まで出来ればと思った。だが……
彼女の放つスペルの方が私のスペルよりも長時間発動した。
私のラストスペルが終了する。
「そんな……」
文字通り、目の前が真っ白になった。
「ああっ……」
ドカッ!
思いっきり壁に打ち付けられた。
「ぐ…」
「お前も結構戦えるんだな。楽しかったぜ、門番!」
そう言うと彼女…霧雨魔理沙は思いっきりまぶしい笑顔を見せ飛んでいってしまった。
また、負けちゃった。これが私の実力なんだと見せ付けられた。
私はもう完全に自信をなくしてしまった。
「残念ね美鈴。もう少しだったのに」
いつの間にか咲夜さんにも見られていた。
なぜか咲夜さんがいつものようにナイフを投げずに落ち着いているが、私にはそれどころではなかった。
全力を出して負けたのだ。
「…あ……咲夜さん…私もう門番辞めます。私なんかいても……戦力になりませんし…」
「はぁ?いきなり何を言い出すのよ?」
「だって……これが私の実力なんですよ……ぐすっ…私…うぐ…咲夜さんみたいに強くないですし……ぐす…私が負けちゃうから、お嬢様も…パチュリー様も……う、うう…」
「美鈴。元気を出しなさい」
ぎゅっ…
壁にもたれたまま泣いている私に咲夜さんが抱きついてきた。
そのまま頭を撫でられる。
「いい?あなたの代わりはいないの」
「いますよ……私より強い人なんて、五万といます…っ!」
「そうね。確かにあなたより強いのならいくらでもいるわね。でもあなたほどに紅魔館の門番向きな人がいるかしら?」
「……ふぇ?」
その言葉に、ゆっくりと顔を起こす。
目の前で、咲夜さんがじっと私を見つめている。
いつも通りのきりっとした顔。でもどこか優しい顔だった。
「仮にあなた以外の人が門番だったら今の紅魔館は存在しないわ。お屋敷の中の全員に認められてここに立っているんでしょう?」
「……ぐす………はい」
「あなたしか門番をする権利を持てないわ。自信を持ちなさい」
「でも……人間に負ける妖怪ですよ…?そんな私が……」
「強いか弱いかじゃない。紅魔館を守れるかどうかなのよ。後ろを見てみなさい」
「…?」
そう促され、咲夜さんの胸の中から、そっと後ろを見る。
いつも見慣れた大きなお屋敷、紅魔館。
「どう思う?」
「え?」
そう言われ、改めてお屋敷を見直す。
「どうって言われましても…紅魔館です」
「でしょ?紅魔館があるならそれでいいじゃないの。あなたは自分の仕事がどんなものか自覚しているのかしら?」
「どういう意味です?」
「門番の意味を履き違えていない?」
門番の……意味?
どうだろう。私はただ突撃してくる敵を倒すことしか頭に無かった。
「もしあなたが恐ろしく強くて魔理沙なんて一撃で追い返せる門番だったとしましょう」
咲夜さんが優しく語り始めた。
私は耳を傾ける。
「さて、魔理沙を追い返すと紅魔館ではどうなっているでしょうか?」
「…なにも起こらないじゃないんですか…?」
「そう。なにも起こらないわ。なにも起こらなければフランドール様だって閉じ込められたままだし、パチュリー様も図書館で本を読んでいるだけ」
「……」
「でも現状は?現状にはみんな満足しているようよ?」
「…?」
どういうことだ?
お屋敷で大暴れされて喜ぶの?
「どうして満足しているんですか?私には分かりません」
「そう、あなたはお屋敷の中をあまり知らないものね。少し覗きに行きましょうか?」
「はい……あ、待ってください。代わりの妖精かなんか配置しますので」
「いいかしら?」
「はい」
何故か咲夜さんに連れられて紅魔館の散策。
そういえば懐かしいな。昔もこうやってお嬢様に案内してもらったけ…
「まずは図書館かしら?」
「そうですね、近いですし」
図書館にはパチュリー様がいるが、よく本の盗難に遭うらしい。これも私の力不足で…。
「失礼します」
「失礼します…」
ガチャリ。
「あら、咲夜。それと…美鈴?珍しいわね。ちょうどいいわ、一緒にお茶でもどうかしら?」
「え?パチュリー様よろしいのですか?」
「お、さっきの門番じゃねーか!一緒にお茶しようぜ!!」
「げ、あなたは…」
何故ここでお茶なんか…
「いいじゃないの美鈴。お茶を入れてあげるからかけなさい」
「いいのよ咲夜、あなたも座って」
「いえ私はこれが仕事ですから」
「そう?じゃあお願いするわ」
そして結局何故か成り行きで図書館に全員集合した。
部外者1名も交えて。
そのお茶会に私にはとても意外な光景だった。
だって紅魔館で物を壊したり、盗んでいく張本人がまるで招かれてやってきた客のように扱われているのだ。
「……それでね、魔理沙……」
どうしてかと考えてみたが私の脳は結論を出せない。
「どうかしら?美鈴?」
「咲夜さん…。なんか不思議でしょうがありません。まるでお客様みたいに…」
「魔理沙はお客様よ。あなたが門を通してくれたじゃないの」
「いいえ!あれは通したのではなく突破されたのです」
「どっちにせよ、門から来たことにかわりは無いわよね?こそ泥なら壁を越えると思うけれど?」
「………ですが……」
「まだ自信が持てないと言うの?」
「はい。正直なところ」
この空間では非常に暖かい雰囲気が漂い、私の責任についても薄く感じられすらする。
「ならいいわ。少し散歩でもしましょ」
「え?ああ、咲夜さん!」
「時間を止めたから、ゆっくり話しましょう」
「はい」
咲夜さんに連れられて庭までやってきた。
「そもそもなんで自信をなくしてしまったのかしら?」
「それは……全力で戦って勝てなかったからです」
「原因は何だと思う?」
「私の技量です」
「言い切れるの?」
「はい」
自分でも滑稽に思えたが、胸を張って言えた。
「あなたねぇ……そこ自信満々でどうするの」
「え……あぁ」
「たしかにはっきり言ってあなたは弱いわ。でもあなたが『敵』とする相手はどれくらいいるかしら?」
「え?」
「その中であなたが勝てないのはどれくらいいるかしら?」
「…ええ?」
咲夜さんは何の事を言っているんだろう?
「魔理沙と…霊夢ぐらいじゃないかしら?」
「違います。幻想郷にはもっと沢山…」
「あなたの『敵』もそんなにいるの?もっと言うとあの二人ですら敵かどうかも…」
「……はい?」
いまいち話が見えない。
「あなたは人間だろうと妖怪だろうと仲良くできる相手とは仲良くするじゃない。知ってるのよ?」
「ああ、そうですね」
「魔理沙や霊夢なんて紅魔館ではお客様よ。紅魔館にとっての 『敵』なんて今まで一度も入って来たことが無いわ」
「そうなんですか…?」
「ええ。さっきも言ったけれど、門番の仕事は紅魔館を守ること。それは周囲からみた紅魔館を保ち、内側からも支えられるようにお客様をお通しする。そういうことよ」
そうなのかな?
でも確かに言われてみれば戦う相手なんか限られてるし、友好関係を結んだ人だって多い。
今は本当の意味での敵など、いないのかも知れない。
「咲夜さん、ありがとうございます。元気が出てきました」
「そう。なら良かったわ」
「でも……あ、これは本人に聞きます」
「ん?」
図書館に戻り、再び時間が流れ始める。
私はさっきから聞きたかった質問をしてみる。
「あ、あの~…魔理沙さん」
「あん?なんだ?」
「どうしていつも私を倒してから入っていくんですか?」
「ああ、私は正々堂々力ずくだからな!卑怯な真似はしないぜ。それに楽しいから」
「そうなんですか…」
「おうよ!」
楽しいから私を吹っ飛ばすんだ。
「でも今日はなかなか手強かったな、お前」
「本気でしたから」
「あとちょっとスペルが早かったら負けてたぜ。やっぱこのスリルが癖になるよな~」
確かに話してみると面白い人だな。
この人の破壊行為や窃盗行為は仕様だとみんな割り切ってるのかな?
そう考えればそばに居てくれて楽しい人だが…
そうして、ちょっとだけ違和感の残る楽しい時間が過ぎた。
「じゃあな。パチュリー、フラン。あとレミリアも」
「あとって何よ。本来は私が一番目じゃなくって?」
「いちいち細かいぜ。それじゃ!!」
そういうと箒に跨り飛んで帰っていった。
「相変わらずね、あの子も」
「面白いからって理由で私と戦っていたんですね…」
「まっすぐな理由じゃないの。さて美鈴。お仕置きよ」
「何でですか!?」
「あなたまた門を破られたじゃない」
「そんな……なんかさっきまでの話はなんだったんですか?」
「あなたは仕事の50パーセントしかこなしていないのよ。門番はお客様を門からお通しするのよ?門を飛び越えられちゃ駄目」
「そんなぁ…」
ああ、またナイフが刺さるのか……
ぽん。
「……っ……?ぽん?」
「今日はこれくらいにしてあげるわ。また辞めたいなんていわれたら困るしね」
「咲夜さん……なんか今日はどうもありがとうございました」
「部下の育成指導は上司のつとめよ」
「やっぱ部下なんだ…」
「不満なら私と肩を並べられるくらいになりなさい」
「ああ…はい……」
「ふふ、あなたなら大丈夫よ」
私はこんなに笑っている咲夜さんをはじめて見た。
きっと今日はよく眠れるだろう。
明日からはまた胸を張って門に立てるだろう。
いつかは霧雨魔理沙と渡り合えるだろう。
そして、咲夜さんと同僚になれるだろう。
今の私にはそんな自信が溢れている。
*咲夜さんについての解釈がオリジナル設定が多いですのでご注意ください(上下関係とか)
私が紅魔館の門に立ち始めて数年がたったある日。
「ちょっと、いいかしら?」
不意に後ろから声を掛けられた。
「はい?」
振り向くとそこには見知らぬ女性が立っていた。
キレイな銀髪をしている。
おとなしめのエプロンドレスとヘッドドレスからメイドであろうと推測できた。
「用があるの」
そんないきなり言われても…
「あの……どなたでしょうか…?……はっ!まさか侵入者!?」
知らない人が敷地の中にいれば疑って当然だ。
「侵入者?まぁあなたとは初対面だけどその呼び方は納得いかないわね」
「え、でも……」
意味が分からず、私は固まっていた。
「とにかくついてきて。お嬢様がお待ちよ」
「…あ、はい」
お嬢様ってのはおそらくレミリアお嬢様の事を指すのだろう。
当主の命令とあっては仕方ない。私はその人についていった。
「お嬢様、失礼します」
ガチャリ。
「ちゃんとつれてきた?」
「はい。こちらに」
私も部屋に入る。
「失礼します」
「あら美鈴、久しぶり」
ひどいな……住み込みで働いてるのに……
で、何故呼ばれたのだろう?
「ま、かけなさい」
そう促され、さっきの人の横に座る。
「でね、今日あなたを呼んだのはね…」
「はい」
「一応、咲夜のこと紹介しようと思って」
「?」
だれ?あ、もしかしてこの人?
すると隣にいる人は私のほうを向いた。
「私は十六夜咲夜。紅魔館のメイド長よ」
「あ、宜しくお願いします。いつごろからいらっしゃったんですか?」
私が来たときにはまだ紅茶を誰が入れるかでもめていたから、その後だろう。
「1年ほど前かしら。でもなんで?」
「なで私に知られずに中に入れたのかなと思いまして」
「ああ、そのことね」
そこが気になる。1年前などとっくに門に立っていたから。
紅魔館において門番という仕事は特殊だから、生活リズムがずれて敷地内で顔を合わせなかったのは納得できるが…いくらなんでも入ってくるときは私の前を通るはず…
「簡単よ」
どう簡単なのか?
「あなた、寝ているんですもの」
な………
昼寝が癖になっているから…
でも、起きれなかったのか……
ああ、私って………
一人で落ち込んでいると、
「ん?美鈴?大丈夫?」
「はい…何とか」
情けない…
「でね、美鈴。咲夜はあなたの上司ってことになるから宜しくね」
はい………え?
ちょ、ちょま!?
「何故ですかっ!?私のほうが先輩ですよ!?」
「咲夜は有能なのよ。人間なのに、妖怪のあなたより使えるんだからそれ相応の待遇をしないとね」
人間!?
なんてこった。人間には負けないと思っていたのに。
でもアレだ、戦ったら勝つよ。だって相手は人間だもん。
「咲夜の能力で紅魔館も広くなったし♪」
そうなんだ…なんだろう、この人。
「とまぁ、そういうわけで、お二方とも仲良くやってね」
「「はい」」
では、持ち場に戻りますか。
席を立ち、部屋を出ようとした瞬間。
「美鈴」
咲夜さんに呼び止められた。
「何ですか?」
「今日以降、寝たら殺すわよ」
ひぃぃ!
なんて怖いことを言う人だ。
しかも殺気が本物だった。
「は、はい!」
迫力に負けて門まで逃げるように戻ってきた。
「はぁ…はぁ…。怖いひとだなぁ…」
ちょっと寝ただけで殺すことはないだろう。
でも、あの殺気が…
しばらく恐怖に駆られていたが、やっぱり睡魔に襲われる。
「ふわぁ……」
ちょっとだけ……
そう思って壁に背をもたれ、目を閉じた。
5分後。
グサ…
鈍い音がした。
直後に頭に走る激痛。
「あうっ!」
何かが頭に刺さっている。
痛みを我慢し、それを手に取る。するとそれは……
銀色に輝くナイフであった。先端から私の血が滴っている。
「うわぁ……」
叫ぶことすら出来なかった。
誰がやったのかと、思考することも。
しばらく血を流しながら呆然としていると、
「寝たら殺すと言ったでしょう?まだ生きているみたいだけど」
「咲夜さん…」
本当に実行するんだ。
「ま、流石は妖怪と言ったとこかしらね。でも次やったら、またナイフが飛ぶから覚悟していなさい…」
「あぁ…はぃ……」
オッカナイ!なんて人だ!
確かに私はタフだし、妖怪だからこれくらいの傷は致命傷じゃない。
でも凄く痛い。
だから昼寝の癖は直そう……
非常に凶悪な上司と知り合ってしまった…
結局私の昼寝癖は直らずに、気がつけば頭にナイフが刺さっているのが日常化していた。
しかも咲夜さん、だんだん面白がって私をいじめるようになってきた…
それでもめげずに門番を続けていた。
ここにいれば咲夜さん以外に怖いものは無かったし、やっぱり仕事が気に入っていたから。
でも突然、そいつはやってきた。
「邪魔だ門番!そこをどけぇ!!」
「どきません!……はぐぅっ!!」
「あはは、じゃあな門番!!」
いつも通り…とはなんとも情けないが、門を正面から突破される。
「いたたぁ……」
黒っぽい服装をした魔法使い、霧雨魔理沙。
私の凶悪上司、咲夜さんが手を焼くほどに強い。
しかもこれまた人間だというから悔しい。
さて、怖いのはこれからだ。
仕事を果たせなかった以上、何らかの罰がある。
私の場合、あと1時間以内に咲夜さんが飛んできて私にナイフを刺す。
確かに私の過失は大きい。でも咲夜さんは私をいじめるのが趣味のようだ。
何も無いときでもたまにやってくる。
グサッ!
「あうっ!」
ほらね。
「美鈴!何故あなたはいつもそうなの!?」
「いやぁ…取っ組み合いになれば私が圧勝なんですがね…」
「いつもそれじゃない。ここは幻想郷よ?弾幕張って勝てなきゃダメなのよ」
グサッ!
「あうっ!すみませ…」
グサグサッ!
「ひいい!…お許しを…あうっ!……どうかご慈悲を……」
「はぁ…今日はこんなもんにしておくわ。せめて情けない負け方はよしなさい…」
「はい…」
今日の業務は終わり。門を閉めて自室に戻る。
人間に負けるなんて自分でも悔しいのは山々だ。
でもどうやっても勝てない。
少し鬱になったからベッドに潜り、明日からの方針でも考えることにしたが、うっかりそのまま眠りについた。
翌朝、ちょっと早起きをする。
門を開けに向かい、そこで昨日失敗した考え事の続きを始める。
とにかく、あの霧雨魔理沙に勝てるようにしなければならない。
弾幕でなんてとても無理な話だ。
以前、何回かいいところまで追い詰めたことがあった。でもその度に彼女のスペルに敗れる。
ほぼ逃げ場の無い極太レーザーに何度やられたことか。
黙々と考えを巡らせているうちに、咲夜さんがやってきた。
「美鈴、朝食の時間よ。ぼーっと突っ立ってないでさっさと来なさい」
「あ、ハイ」
軽く朝食を終わらせて、庭に出てちょっとだけ休憩することにした。
すると、
「どうしたのよ美鈴。さっきから変な顔して」
「いえ、少し考え事を…」
そんなに変な顔だっただろうか?咲夜さんが心配して声を掛けてくれた。
「なに?相談なら乗るわよ?」
「すみませ……え?今なんと?」
咲夜さんがそんな優しいことを言うなんて、不気味すぎる。
「何?不満でも?」
「え、だって咲夜さんはドSで、すぐにナイフ刺すし、それに……」
「まったく。私がドSだとしたら私を怒らせるあなたはドMね」
「あ…いえ別にそういう……」
「…ま、冗談はこれくらいにして。本当に大丈夫なの?」
「え、ええ。実は…」
「なるほどね。どうしても魔理沙に勝てないからそれを悩んでいたのね?」
「はい。このままでは皆さんに迷惑かけっぱなしで……」
「ふーん。まぁじっくり考えなさい。正解はあるはずよ」
「ありがとうございます。もっと頑張って倒せるようになります!」
「そう…」
そう言って咲夜さんが戻ってゆく。
私も門へ向かった。
しかし残念なことに門に到達した瞬間、嫌なものが見えた。
もの凄い勢いで迫る黒っぽい少女。
早速ですか!?
そうこういっているうちに目の前までやってきた。
気合を入れなおし迎撃に上がる。
「だから邪魔だって、門番!」
「邪魔するのが門番です!今日の私は本気ですよ!?」
「なに?じゃあちょっとは面白いのかな?」
「無駄話は後です!今はあなたを打ち落とすだけです!!行きますよっ!」
いつも以上に積極的に弾幕を展開し、弾を空に散りばめる。
「へぇ。やるじゃん…」
やはり弾幕戦は得意ではない。だが下手な鉄砲かず打つちゃ当たる…はず!
出来るだけ空間に隙間を作らぬように弾幕を張る。
いよいよ私の弾が相手の逃げ場を奪う。
「あー、ちくしょ、避けらんねぇ…恋符・マスタースパーク!!」
でた、極太レーザー…
「喰らうか!彩符・極彩颱風!!」
ぶつかり合うスペルとスペル。
私の方が宣言が遅かったから相殺、攻撃まで出来ればと思った。だが……
彼女の放つスペルの方が私のスペルよりも長時間発動した。
私のラストスペルが終了する。
「そんな……」
文字通り、目の前が真っ白になった。
「ああっ……」
ドカッ!
思いっきり壁に打ち付けられた。
「ぐ…」
「お前も結構戦えるんだな。楽しかったぜ、門番!」
そう言うと彼女…霧雨魔理沙は思いっきりまぶしい笑顔を見せ飛んでいってしまった。
また、負けちゃった。これが私の実力なんだと見せ付けられた。
私はもう完全に自信をなくしてしまった。
「残念ね美鈴。もう少しだったのに」
いつの間にか咲夜さんにも見られていた。
なぜか咲夜さんがいつものようにナイフを投げずに落ち着いているが、私にはそれどころではなかった。
全力を出して負けたのだ。
「…あ……咲夜さん…私もう門番辞めます。私なんかいても……戦力になりませんし…」
「はぁ?いきなり何を言い出すのよ?」
「だって……これが私の実力なんですよ……ぐすっ…私…うぐ…咲夜さんみたいに強くないですし……ぐす…私が負けちゃうから、お嬢様も…パチュリー様も……う、うう…」
「美鈴。元気を出しなさい」
ぎゅっ…
壁にもたれたまま泣いている私に咲夜さんが抱きついてきた。
そのまま頭を撫でられる。
「いい?あなたの代わりはいないの」
「いますよ……私より強い人なんて、五万といます…っ!」
「そうね。確かにあなたより強いのならいくらでもいるわね。でもあなたほどに紅魔館の門番向きな人がいるかしら?」
「……ふぇ?」
その言葉に、ゆっくりと顔を起こす。
目の前で、咲夜さんがじっと私を見つめている。
いつも通りのきりっとした顔。でもどこか優しい顔だった。
「仮にあなた以外の人が門番だったら今の紅魔館は存在しないわ。お屋敷の中の全員に認められてここに立っているんでしょう?」
「……ぐす………はい」
「あなたしか門番をする権利を持てないわ。自信を持ちなさい」
「でも……人間に負ける妖怪ですよ…?そんな私が……」
「強いか弱いかじゃない。紅魔館を守れるかどうかなのよ。後ろを見てみなさい」
「…?」
そう促され、咲夜さんの胸の中から、そっと後ろを見る。
いつも見慣れた大きなお屋敷、紅魔館。
「どう思う?」
「え?」
そう言われ、改めてお屋敷を見直す。
「どうって言われましても…紅魔館です」
「でしょ?紅魔館があるならそれでいいじゃないの。あなたは自分の仕事がどんなものか自覚しているのかしら?」
「どういう意味です?」
「門番の意味を履き違えていない?」
門番の……意味?
どうだろう。私はただ突撃してくる敵を倒すことしか頭に無かった。
「もしあなたが恐ろしく強くて魔理沙なんて一撃で追い返せる門番だったとしましょう」
咲夜さんが優しく語り始めた。
私は耳を傾ける。
「さて、魔理沙を追い返すと紅魔館ではどうなっているでしょうか?」
「…なにも起こらないじゃないんですか…?」
「そう。なにも起こらないわ。なにも起こらなければフランドール様だって閉じ込められたままだし、パチュリー様も図書館で本を読んでいるだけ」
「……」
「でも現状は?現状にはみんな満足しているようよ?」
「…?」
どういうことだ?
お屋敷で大暴れされて喜ぶの?
「どうして満足しているんですか?私には分かりません」
「そう、あなたはお屋敷の中をあまり知らないものね。少し覗きに行きましょうか?」
「はい……あ、待ってください。代わりの妖精かなんか配置しますので」
「いいかしら?」
「はい」
何故か咲夜さんに連れられて紅魔館の散策。
そういえば懐かしいな。昔もこうやってお嬢様に案内してもらったけ…
「まずは図書館かしら?」
「そうですね、近いですし」
図書館にはパチュリー様がいるが、よく本の盗難に遭うらしい。これも私の力不足で…。
「失礼します」
「失礼します…」
ガチャリ。
「あら、咲夜。それと…美鈴?珍しいわね。ちょうどいいわ、一緒にお茶でもどうかしら?」
「え?パチュリー様よろしいのですか?」
「お、さっきの門番じゃねーか!一緒にお茶しようぜ!!」
「げ、あなたは…」
何故ここでお茶なんか…
「いいじゃないの美鈴。お茶を入れてあげるからかけなさい」
「いいのよ咲夜、あなたも座って」
「いえ私はこれが仕事ですから」
「そう?じゃあお願いするわ」
そして結局何故か成り行きで図書館に全員集合した。
部外者1名も交えて。
そのお茶会に私にはとても意外な光景だった。
だって紅魔館で物を壊したり、盗んでいく張本人がまるで招かれてやってきた客のように扱われているのだ。
「……それでね、魔理沙……」
どうしてかと考えてみたが私の脳は結論を出せない。
「どうかしら?美鈴?」
「咲夜さん…。なんか不思議でしょうがありません。まるでお客様みたいに…」
「魔理沙はお客様よ。あなたが門を通してくれたじゃないの」
「いいえ!あれは通したのではなく突破されたのです」
「どっちにせよ、門から来たことにかわりは無いわよね?こそ泥なら壁を越えると思うけれど?」
「………ですが……」
「まだ自信が持てないと言うの?」
「はい。正直なところ」
この空間では非常に暖かい雰囲気が漂い、私の責任についても薄く感じられすらする。
「ならいいわ。少し散歩でもしましょ」
「え?ああ、咲夜さん!」
「時間を止めたから、ゆっくり話しましょう」
「はい」
咲夜さんに連れられて庭までやってきた。
「そもそもなんで自信をなくしてしまったのかしら?」
「それは……全力で戦って勝てなかったからです」
「原因は何だと思う?」
「私の技量です」
「言い切れるの?」
「はい」
自分でも滑稽に思えたが、胸を張って言えた。
「あなたねぇ……そこ自信満々でどうするの」
「え……あぁ」
「たしかにはっきり言ってあなたは弱いわ。でもあなたが『敵』とする相手はどれくらいいるかしら?」
「え?」
「その中であなたが勝てないのはどれくらいいるかしら?」
「…ええ?」
咲夜さんは何の事を言っているんだろう?
「魔理沙と…霊夢ぐらいじゃないかしら?」
「違います。幻想郷にはもっと沢山…」
「あなたの『敵』もそんなにいるの?もっと言うとあの二人ですら敵かどうかも…」
「……はい?」
いまいち話が見えない。
「あなたは人間だろうと妖怪だろうと仲良くできる相手とは仲良くするじゃない。知ってるのよ?」
「ああ、そうですね」
「魔理沙や霊夢なんて紅魔館ではお客様よ。紅魔館にとっての 『敵』なんて今まで一度も入って来たことが無いわ」
「そうなんですか…?」
「ええ。さっきも言ったけれど、門番の仕事は紅魔館を守ること。それは周囲からみた紅魔館を保ち、内側からも支えられるようにお客様をお通しする。そういうことよ」
そうなのかな?
でも確かに言われてみれば戦う相手なんか限られてるし、友好関係を結んだ人だって多い。
今は本当の意味での敵など、いないのかも知れない。
「咲夜さん、ありがとうございます。元気が出てきました」
「そう。なら良かったわ」
「でも……あ、これは本人に聞きます」
「ん?」
図書館に戻り、再び時間が流れ始める。
私はさっきから聞きたかった質問をしてみる。
「あ、あの~…魔理沙さん」
「あん?なんだ?」
「どうしていつも私を倒してから入っていくんですか?」
「ああ、私は正々堂々力ずくだからな!卑怯な真似はしないぜ。それに楽しいから」
「そうなんですか…」
「おうよ!」
楽しいから私を吹っ飛ばすんだ。
「でも今日はなかなか手強かったな、お前」
「本気でしたから」
「あとちょっとスペルが早かったら負けてたぜ。やっぱこのスリルが癖になるよな~」
確かに話してみると面白い人だな。
この人の破壊行為や窃盗行為は仕様だとみんな割り切ってるのかな?
そう考えればそばに居てくれて楽しい人だが…
そうして、ちょっとだけ違和感の残る楽しい時間が過ぎた。
「じゃあな。パチュリー、フラン。あとレミリアも」
「あとって何よ。本来は私が一番目じゃなくって?」
「いちいち細かいぜ。それじゃ!!」
そういうと箒に跨り飛んで帰っていった。
「相変わらずね、あの子も」
「面白いからって理由で私と戦っていたんですね…」
「まっすぐな理由じゃないの。さて美鈴。お仕置きよ」
「何でですか!?」
「あなたまた門を破られたじゃない」
「そんな……なんかさっきまでの話はなんだったんですか?」
「あなたは仕事の50パーセントしかこなしていないのよ。門番はお客様を門からお通しするのよ?門を飛び越えられちゃ駄目」
「そんなぁ…」
ああ、またナイフが刺さるのか……
ぽん。
「……っ……?ぽん?」
「今日はこれくらいにしてあげるわ。また辞めたいなんていわれたら困るしね」
「咲夜さん……なんか今日はどうもありがとうございました」
「部下の育成指導は上司のつとめよ」
「やっぱ部下なんだ…」
「不満なら私と肩を並べられるくらいになりなさい」
「ああ…はい……」
「ふふ、あなたなら大丈夫よ」
私はこんなに笑っている咲夜さんをはじめて見た。
きっと今日はよく眠れるだろう。
明日からはまた胸を張って門に立てるだろう。
いつかは霧雨魔理沙と渡り合えるだろう。
そして、咲夜さんと同僚になれるだろう。
今の私にはそんな自信が溢れている。
美鈴と咲夜のこんな関係も良いですね。
脱字などの報告
>紅魔館おいて門番とく仕事は特殊だから~
ここの文で「に」が抜けていますよね。正しくは紅魔館「に」おいて~。
>「たしかにはっきり言って確かにあなたは弱いわ。~」
同じ「たしかに(確かに)」という言葉が重複していますね。
氏の考えで修正をしてみてください。
以上、報告でした。(礼
全体的には好きな話なんですが、その部分でうまく感情移入できなかったのでこの点数で。
ミス報告ありがとうございます。
修正させていただきました。
>戦闘場面
SSを書く上で戦闘シーンって結構表現力や展開の作り方などが必要だとわかっているのですが…
今のところ僕の力不足ですので、精進したいと思います!
>美鈴が~理由
分かりにくくて申し訳ありませんでした。
推敲する時にもっと客観的に深く考えられるように気を配ります。