※ タイトル通り、レミ霊です。
途中で霊夢が暴走します。ご注意くださいませ。
チュン チュン
…外から小鳥のさえずりが聞こえる。
暖かな日差しが部屋に差し込んでいる。
新しい朝がやって来た。
どうやら今日もいい天気のようだ。そろそろ起きるとしよう。
しかし、体が動かない。
これはどういうことだろう。こんな時間にまさか金縛り?
博麗の巫女であるこの私を金縛るなんて、とんだ不届き者もいたものだ。
どうにか首だけは自由に動かせる。まずは状況の確認をしよう。
寝ぼけ眼で自分の体を見やると、何かピンクの物体が私の体に被さっている。
どうやらこれが不届き者の正体のようだ。
なんだこれは?
よく見ると、規則正しくその全身を上下させている。
こいつ、動くぞ…!?
…という冗談はここまでにしときましょう。
「…これはどう見てもレミリアね」
「くー………」
「しかも寝てるわね」
相変わらず私に被さるそれは、私が起きたことにも気付かずに惰眠を貪っている。
しかもただ眠っているのではない。私の体をがっちりホールドしているようだ。
成程、これでは体の自由が利かない訳だ。幼い容姿で半端じゃない力の持ち主だし。
「状況は確認できたわ。それに目も覚めた」
「あら、ようやくお目覚め?」
「…誰? 見えないわよ」
「ここよ」
そこにいたのは不届き者の従者、というか保護者のメイド長だった。
わざわざ見やすいように私の視線の先に移動してくれた。地味にありがたい。
「咲夜か。いたのね」
「それはもう。ずっといたわよ」
「ちょうど良かった。これ、持って帰ってくれる?」
「無理ね」
「なんでよ?」
「お嬢様は今お休みになられたの。
それをわざわざ起こすなんて、私にはできませんわ」
「わざとらしい言い方は止めなさい。
そもそも、どうしてこんなことになったのよ?」
「聞きたい?」
「…一応はね」
「仕方ないわねぇ。
あれは、昨夜の出来事だったわ…」
~ ~ ~
「霊夢ーーー!
あなたのレミリアが遠路はるばるこのオンボロ神社までやってきたわよー!」
「お嬢様。それでは相手の気分を害してしまいますよ?」
「そう? でも他にうまい表現ある?」
「例えば、古風で趣のある… 等はいかがでしょう?」
「古風で趣のある神社? 長ったらしいわね」
「お嬢様。オンボロを抜かしておりますよ?」
「…それって結局一緒じゃない?」
「程度の問題ですよ」
「そんなものかしら?」
「そんなものです」
「ふ~ん… まぁいいわ。
そんなことより霊夢ー。どこにいるのー?」
「こちらですわ、お嬢様」
「こちらって… ここは寝室?」
「ここにいるはずです」
「なんでわかるの?」
「よい子は寝ている時間ですから。
それに、明かりも消えてますしね」
「どれどれ… あー、ホントに寝てるー」
「お声が大きいですよ、お嬢様。
いくらお気楽巫女とはいえ、それでは起きてしまいます」
「だってー。せっかく私が来たのに寝てるんだもん…
これじゃ一緒に遊べないじゃないの」
「先程も申しましたが、よい子は寝ている時間ですから」
「私は起きてるよ?
私はよい子じゃないの?」
「お嬢様はよい子ではなく、よゐこですから問題ないのです」
「獲ったどー。
…何させるのよ」
「まさかやっていただけるとは思わなかったもので…
それより、これからどうなさいますか?」
「どうするも何も、霊夢に会いに来たのだから、起こすに決まってるわ」
「お嬢様、それはいけません」
「なんでよ?」
「大抵の人は寝ているところを起こされると機嫌が悪くなります。つまり…」
「好感度に関わる… という訳ね。
なるほど、危ないところだったわ…」
「その通りでございます」
「それなら、どうしたらいいの?」
「好感度を下げない行為ならば、何でもよろしいかと思われます」
「ということは、起こさなければいいのね?」
「概ねその通りかと」
「じゃあ… 寝顔ウォッチングする!」
「いい感じかと思われます」
「…何がいい感じなの?」
「変た…ゲフンゲフン!!
純粋具合がいい感じですよ?」
「そう? じゃあ早速!
ふふ… 霊夢の寝顔は可愛いね~…」
「………」
「うふふ~」
「………」
「うふふのふ~」
「…お嬢様」
「ふふふ~ん」
「お嬢様」
「ははは~ん…って何よ、咲夜。
さっきから五月蝿いわよ?」
「それは申し訳ございませんでした…
ただ、一つだけよろしいでしょうか」
「だからなんなのよ?」
「いつまでやるおつもりですか?」
「え? え~っと… 霊夢が起きるまで?」
「左様でございますか。
では頑張ってください」
「あれ、どこ行くの?」
「帰ります。お嬢様はごゆるりとお楽しみください」
「えっ? ちょっと、主を置いて帰るなんて従者失格じゃない?」
「お嬢様、それは違いますわ」
「何が違うのよ?」
「お二人だけのこの空間に、私のような邪魔者は居てはいけないということです。
私はお嬢様の為を思って、泣く泣く帰らざるを得ないのです。
決してお嬢様を軽んじているわけではございません」
「咲夜… そこまで考えていてくれたなんて…
どうやら気を遣わせてしまったようね。あなたの帰還を認めるわ」
「ご理解いただき、誠に有り難く思います。
それでは、夜明け前には迎えに参りますので、それまでごゆっくりと…」
「うん。じゃーね~。
うふふ~♪ 霊夢の寝顔~♪」
-----------------------数時間後、紅魔館
「さて、そろそろお嬢様を迎えに行かないと。
もうとっくに寝てしまってるでしょうけどね…」
-----------------------数分後、博麗神社
「いい加減霊夢だって起きる時間でしょうし、その前には引き上げたいわね………ん?」
「…ふ、ふ… …い夢…の、寝が…お…」
「………まさかね?」
「…かわ…いい、な~………」
「お嬢様… まだやってたんですか…
しかも、そんなにフラフラになってまで…」
「…霊、夢~………」
「もうお止めください! それ以上はお体に障ります!!
何が… 一体何がお嬢様をそこまで突き動かすというのですか!?」
「……霊夢と、あそぶんだ~………
…まだ…おきないのかな……?」
「まさか…
それほどまでに霊夢と遊びたかったのですか…」
「少し……ねむい………」
「お嬢様! 後生ですから、もうお休みください!
また今度遊びに来ればいいじゃありませんか!?」
「う~…いまあそぶの……」
「…わかりました。ではこうしましょう」
「………?」
「霊夢と一緒に寝てみてはいかがでしょう。
そして、体を決して離さないようにすればよいのです」
「……どうして…?」
「そうすれば、お嬢様が目を覚ました時に霊夢は必ず傍にいます。
遊ぶのはその時でもいいはずです」
「…でも、いいの…? 好感度…」
「こんなに一生懸命な れみりゃを嫌うなんて有り得ません!!」
「………ほんと?」
「本当ですとも!
ですので、心おきなくお休みください」
「…わかった……
おやすみ……霊夢…」
「……私には言ってくださらないんですね」
~ ~ ~
「…という、聞くも涙、語るも涙な物語があったのよ」
「…なるほど。この状況はあんたのせいか」
というかそれだけの事があってなぜ起きない、私?
「別にいいじゃない。
お嬢様の寝顔なんてなかなか見れないわよ?」
「すー………」
「寝顔ねぇ…」
確かにそう見れるものじゃないとは思うけどね…
特に見たいと思うものでもないのよ。
「ん……れいむ…」
「レミリア?」
「…あったかい………すー…」
「…寝言か。
ちょっとかわい…!」
まてまて! 私は今何を言おうとした!?
私は何をときめいているんだ!?
よく考えなさい、相手はあの我が侭お嬢様よ!?
それをこの私がかわいいだなんて思うものか!!
「…れいむ……」
「ん?」
「だいすき………」
くっはぁーーーー!!
なんという破壊力なの!? 私にこれほどまでの精神ダメージを与えるなんて!!
一体いつの間にこんな必殺技を身につけたというのか…!
れみりゃ、恐るべし!!
「ふふふ… お気に召したようね」
「はっ!?」
「私の采配が功を奏したようね。
お嬢様はあなたに預けるとするわ」
「どういうこと?」
「また夜になったら迎えに来るから、それまでよろしくね?
タップリと れみりゃを堪能するといいわ」
「えっ、ちょっと!?」
「用法・用量をちゃんと守って悶え死なないようにしてね?
じゃあ、また来るわ」
「咲夜!? 咲夜さーーーん!!
………行ってしまった」
参った… これからどうしたらいいのだろう?
それに、悶え死なないようにしろですって? 新難題もいいとこだわ。
これほどの強敵を相手にして、果たして私の精神は夜までもつのだろうか?
「とりあえず、これ以上の接近を許すとさすがに危険だわ。
なんとかしてこの状況を抜け出さないといけないわね…」
「くー………」
人の気も知らないで気持ち良さそうに寝てくれちゃって…
可愛いじゃないのよ、全く…… ではなくて。
「危なかった、いきなり懐柔されるところだったわ…
本気で気を引き締める必要があるみたいね」
とにかく、まずはこいつを引き剥がさないとどうにもならないわね。
「よっと…! くっ! はぁっ!!
………凄い力ね。私では太刀打ちできそうにないわ…」
さすがに妖怪ね。生半可な力では到底引き剥がすなんて不可能だわ。
本当にどうしようかしら………
「………ん?」
「うーん………」
さすがに抱きついたままというのは寝苦しかったのだろう。レミリアの力が弱まった。
チャンスは今しかない!!
「とりゃあ!!
…ふ、所詮はれみりゃね。私を縛ろうなんて10年早いわ」
この子はとりあえずここに置いとけばいいでしょう。
さて、今のうちに朝食の支度でもしようかしらね。
「……うー…うー…」
「…なにかしら?」
変な声がするので振り返って見てみると、レミリアが宙に手を伸ばしていた。
心なしか寝顔が少し泣きそうなものに変わっていて、何かを探るようにその手を動かしている。
「あー……うー………」
「まさか、私を探しているの?」
試しに手を繋いであげると…
「うー………すー……」
「よしわかった。今日は一日抱いて過ごす」
そんな安心した顔を見せられて放っておけるはずがないわ。
多少動き難いが、なに、大した問題ではない。れみりゃが気持ち良く眠れるのが一番だ。
朝食ですって? 世の中には一回の食事よりも優先すべき事があるのよ。
「よっと… 見た目通り軽いわね。
しかし、これを一日となるとさすがに…」
「くー………」
「余裕ね」
抱き上げてみると、レミリアもしっかり私の首に手を回してきた。
さらに、もう離す気はない、と言わんばかりに体を密着させるのだから堪ったものではない。
至近距離から途轍もないエネルギーが送られてくる。
今の私はかつてないほど力が満ち溢れていて、幻想郷全て(レミリア除く)を敵に回しても負ける気がしないわ。
「それにしても、まさかこんなに簡単に懐柔されるとは思わなかったわ…」
いや、逆に考えればいいのだ。
抵抗するからダメージを負うのであって、受け入れればそれは癒しへと転じるはず。
そう、私は懐柔されたのではない。自ら進んでこの道を選ぶのだ。
「よし、理論武装完了!
私は間違ってなんかいないわ」
「……ん…れいむ………くー……」
「間違っている道理が無い」
ここでこの子を放って置くことの方が間違ってるわ。
私は自分が正しいと思える行動を選ぶ。後悔したくないからだ。
「少し動き難いけど、お茶くらいは淹れられそうね。
とりあえず落ち着きましょう」
少し飛ばし気味だったかもしれない。
いくら力を貰えるとはいえ、これではさすがに夜までもちそうにないわ。
いや、もちろん後悔はしてないわよ?
「この子がしっかり抱きついてくれるおかげで片腕が動かせるし、なんとかなりそうね」
「……すー…」
「さて、とりあえずお湯を沸かさないと…
…むぅ、やっぱり難しいわね」
そうしてヤカンに水を入れようとしたのだが、やはりうまいこといかない。
そうして悪戦苦闘しているうちに…
「あっ」
「んぅ………」
レミリアの口元に水滴が飛んでしまった。
しかし、少し顔をしかめる程度で、どうやら起きた様子はない。
「ふぅ… この至福を終わらせてしまうところだったわ。
危なかったわね………ん?」
「んー………」
レミリアの様子が変だ。なんか口をむにゅむにゅ動かしている。
どうやら水滴を口に入れようとしているようだ。
その様子がとても一生懸命に見えて、なんというか…応援したくなった。
「頑張って、れみりゃ。もう少しよ」
「……むー………」
「ほら、お水はすぐそこよ」
「…んー………」
「きゃー、良くできたわねー。
れみりゃはいい子だわ」
「…くー………」
やばいなぁ。今のも非常に可愛かった。
一生懸命口を動かす様が何とも言えないのだ。
だって、むにゅむにゅ動かすのよ? 赤ちゃんみたいで可愛かったわぁ…
レミリアは再び寝入ってしまったようだが、もう一度見たい…
「…ちょっとくらいなら、いいわよね?」
「…すー……」
よし、今の寝息を肯定の意と解釈しましょう。
したらば、早速…
ポトッ
むにゅむにゅ
ポトッ
むにゅむにゅ
ポトッ
むにゅむにゅ
ポトッ
むにゅむにゅ……………
これはかわいい!
私の視線はれみりゃの小さなお口にロックオンされっ放しだ。
あぁ…あのレミリアがなんでこんなに可愛らしくなるのかしら…
世の中はまだまだ神秘に満ち溢れているわね…
そんな感じで未だにレミリアの口に目を奪われていると、ある思いが私の中に芽生えてきた。
「ゆ…指でも同じことやってくれるかしら…?」
やってくれるに違いない!
考えるより先に行動すべしね。
でも、噛まれるのは怖いから指先だけをちょん、と…
「…ん……ちゅ………」
「!!!」
言葉に出来ない!!
やったよ! やってくれたよ!!
小さな唇で私の指を可愛く挟み、チューチュー吸ってくれちゃうなんて!
さらに舌先で私の指先をチロチロ舐めてくれるなんていうサービス付き!
こいつぁ堪らんぜよ!!
「……ちゅ……あむ…」
「!!!!!!!!!!!!」
どうしたというの!? 口寂しかったとでも言うのー!?
…失礼、取り乱したわ。
状況を詳しく説明すると、レミリアが私の指を第二関節辺りまで咥えこんだの。
きっと物足りなかったんでしょうね…
でもね、それだけじゃないのよ。
今度は舌先じゃなくて、舌全体を使って指を舐っていてね… それはもう、ペロペロと。
そんなわけでさっきから背筋に電流のような快感が流れっ放しでしてこんな状況で落ち着いていられるかーーー!!!!
「あぁ… なんて幸せなのかしら…
できるなら、永遠にこのままでいたい………あら?」
「ちゅ……れろ………」
「ちょ…! なんなの!?
んぅッ! なんか…変な気分に…!」
「…れろ……はむ…」
「やだ…この子テクニシャンだわ!」
「ちゅ…んむ……れろ………」
「あん…! ちょ…レミリア…!
ん…! そ、それ以上はらめえーーーーー!!!」
さすがにこの行動は迂闊だった…!
まさかこれほどの事態を引き起こすなんて思ってもみなかったわ。
「ふ…ふふ… それでも、後悔などあるものか」
「ん…ちゅ……」
「あ… も、もう止めて!
…あぁ、でももっとやって欲しい…」
この幸福をずっと感じていたい。しかし、これ以上は後戻りができなくなりそうだ。
なんという二律背反なのだろう!
「…んぅ……もっと………」
「…そうね、そうだったわ。
私はもとより退路など用意していない。
いえ、今の私に退路など必要ないわ」
ただ心のままに行動する。それでいいじゃない。
というわけで…
「二本目とか入れたら、私どうなっちゃうの?」
「……あむ…んちゅ………」
「きたわぁ…これ…」
ブラボー! おお… ブラボー!!
私の考えは完璧に甘かった。二倍じゃなくて二乗だったわ…
あぁ… 幸せすぎて時間を忘れてしまいそう…
でも、もう少しだけこのままでいさせて…?
◆ ◆ ◆
「おーっす!
霊夢ー! 魔理沙さんが来てやったぞー」
「ふふ… うふふ…」
「…ちゅ……んむ……」
「あぁ…可愛い…」
「…何やってるんだ?」
「…はっ!? 魔理沙!
ななな何の用かしら!?」
一体いつの間に来たの、魔理沙!?
この私に一切気配を感じさせないなんて、腕を上げたわね…!
「いや、来たのは今だし、それに挨拶だってしたぞ?」
「…私、喋ってた?」
「そんな『何で?』って顔するからわかりやすかったぜ」
「そ…そう?
それで、何の用なの?」
「いや… 昼飯でも一緒に食べようと思って来たんだけど」
「お昼ご飯?
何言ってるのよ、まだ朝じゃない」
「お前こそ何言ってるんだ?
お天道様はとっくに天辺に登ってるぜ」
「ゑ? それ本当?」
「そんなこと嘘ついてどうするんだよ」
それが本当だとすると、結構な時間を指チュパで過ごしていたみたいね。それも、数時間程…
改めて、れみりゃ恐るべしね…!
「そ…そうなの。もうお昼時なのね」
「あぁ…
それで、何してるんだ?」
「…? 何のことかしら?」
「いやだから… 指」
「あぁこれ?
気にしないでちょうだい」
「そんなこと言われても…」
「気にしないでもらえる?」
「でもなぁ…」
「気にするな」
「…はい」
全くしつこいんだから。
これぐらいの事の何が気になるというのかしら?
「…じゃあこれだけは聞かせてくれ。
なんでお前はレミリアを抱いてるんだ?」
「朝起きたらこの子が隣で寝てたのよ」
「…それで?」
「それだけよ」
「…質問が悪かったのかなぁ?
どういった理由でレミリアを抱っこするに至ったんだ?」
「この子が求めて、私が応じた。
それ以上の理由などないわ」
「そうですか…」
「そうよ」
「…じゃあとりあえず昼飯でも食べようぜ」
「そうね…
それでなんだけど、魔理沙?」
「なんだ?」
「お昼ご飯、作って」
「…なんで?」
「もう、察しが悪いわねぇ。
私は今手が離せない状況なのよ?」
「離せばいいじゃないか」
「私に死ねと言うつもり?」
「…一体どうしちまったんだ、霊夢?」
「どうもしてないわ。いつもの私よ。
そんなことより、お握りでもいいから作ってくれない?
今度ちゃんとお礼するから」
「何か釈然としないけど…わかったぜ」
「ありがとう。
食材は自由に使ってくれて構わないわ。あぁ…それと、魔理沙」
「なんだよ?」
「この子が求めなくても、私はきっと同じことをしていたわ」
「…お握り作ってくる」
「よろしくね。
さて、続き続き…」
「…あむ……ちゅ……」
あぁ…やっぱりいい…
これほどのモノに気付けなかった今までの自分が愚かしくさえ思えてきたわ。
「お~い、出来たぞー…ってまだやってたのかよ」
「あら、早かったわね」
「何言ってるんだよ。
米を炊くところから始めたんだから、結構時間かかってるぞ」
「…そう、またなのね」
「なにがだ?」
「いえ、気にしないで」
「まぁいいけど…
それと霊夢。飯食う前に、おしぼり持ってきたからこれで手を拭け」
「…拭かなきゃダメなの?」
「その手で食べるつもりならな」
「…食べさせてくれない?」
「断る」
「うぅ…ケチ…」
「これはケチとは言わない」
「…わかったわよ。拭けばいいんでしょ」
さすがに二食抜くわけにはいかない。
行為を続行できないのは非常に残念だが、仕方ない。
本当に仕方が無いので、泣く泣く指を抜くことにした。
「あぁ… れみりゃ…
あいるびーばっく…」
「またやるつもりかよ。
とりあえず食べようぜ」
「…そうね。早く食べて早く再開しましょう」
「動機には突っ込まないぜ。
こっち半分が塩で、もう半分が梅干しだ」
「お腹が空いてるからどんなものでも美味しそうに見えるわね」
「それはちょっと酷いんじゃないか?」
「冗談よ。
いただきます」
「むぅ… いただきます」
さて、まずは塩からいただきましょうか…
うん、お腹が満たされるのがわかるわ。
魔理沙が来なかったらお昼も抜きになるところだったから、正直助かったわね。
「魔理沙が来てくれて本当に助かったわ。
今回ばかりは感謝するわね」
「今回はって…
それより、やっぱりレミリアは離さないんだな」
「当り前じゃない」
「当り前かどうかはいいとして、そうしてるとなんだか母親みたいだな」
「私が、レミリアの?」
「ああ」
「…悪くないわね」
「…なぁ、本当にどうしたんだ?
いつもの霊夢だったら『何バカなこと言ってんのよ』とか返してくるだろ」
「私は愛を知り、それを心に刻みつけただけよ」
「はぁ?」
「寂しいわね、魔理沙…
でも恥じ入ることはないわ。あなたは知らないだけなのだから。
真の愛と優しさを…」
「いや、さっきから何言ってるんだ?」
「要するに、レミリアは可愛いってことよ」
「…そんな話だったのか?」
「あなたもこの子の可愛さに気付けば、きっとこうなるわ」
「…そんなにいいものなのか?
なぁ… 試しにちょっと私にも…」
「ダメよ」
「なんだよ、別にいいじゃないか」
「れみりゃは私の子よ。
あなたは…そうね、フランドールで試してみたらいいんじゃない?
今だったらあの子も寝てる時間でしょうし」
「フランか… それもそうだな。
よし! 早速行って試すとするぜ!」
「えぇ、頑張りなさい」
「おう! じゃあ、また来るぜ!」
そう言って魔理沙はすごい勢いで飛び出して、もう見えなくなってしまった。
あの子ほど直情的な性格も珍しいわよねぇ…
魔理沙らしいと言えばらしいのだけれどもね。
「それにしてもフランか…
火傷しないようにね、魔理沙」
「…すー……」
「…この子の妹なら、きっと同じかそれ以上の破壊力を有することでしょうね。
実に恐ろしい姉妹だわ」
「……んぅ…」
「あら?」
「ふぁー……
あー…れいむだぁ……えへへ…」
なんとレミリアがとうとう起きてしまった。
いや、今語らねばならないのはそこではない。
な ん と い う い い 笑 顔!!
耐性は既に身に付いたと思っていたのだけれど、正直甘かった。不覚にも胸がキュンとしました。
私を確認して、さらに体を密着させて擦り寄ってくるこの子の可愛さは異常の一言に尽きるというもの。
加えて、寝惚けて舌足らずなのも非常にポイントが高いと思う訳ですよ。
あぁ… このままだと心臓が破裂してしまうわ…
「れいむー……」
「な…なにかしら、レミんむ!?」
「んー………」
言葉を遮られたと思った瞬間、レミリアの顔が眼前に迫っていた。
それと同時に唇を柔らかい感触が襲い、鼻腔をくすぐる甘い匂いが広がる。
この状況から導き出される答えは…ちう?
ま…まさか私はこの子からチッスをされているというのーーーーー!?
「んー……………………
……………ぷはぁ…」
「ぷはっ!
はぁ…はぁ… れ…れみりあ?」
「えへへ…れいむにおはようのキスしちゃった」
いいぞもっとしてちょうだい!!
いやいや、これ以上は私の生死に関わる…
「れいむ……んー………」
「…? どうしたの?」
「こんどはれいむの番だよ…?
んー…………」
私のキスを求めているというの!?
目を軽く閉じ、小鳥のように唇を突き出して待つのは私の熱いベーゼだと言うのね…
ここまでお膳立てされて引き下がるわけにはいかないわ。
霊夢、行かせていただきます!!
「い…いくわよ?」
「はやくー………」
「それじゃあ……ん………」
「ん……」
あぁ… 毎日これで目覚めるならどれだけいいことでしょう…
レミリア、わかるかしら? あなたのおかげで、私死ぬかもしれないのよ?
いやもうむしろこのまま止めを刺して欲しい。
なんて事を考えていると…
「ん…はぁ……れろ……」
「ん、んんーーー!!?」
私の唇を開いて口内に侵入してくる者アリ!!
これはまさかディープ!? ディープなインパクトなの!?
ここまで露骨に止めを刺しに来るなんて… やられたわ…
私の心臓はもはや破裂寸前。
いいわ…この命、あなたにあげる。もう好きにして…
『用法・用量をちゃんと守って悶え死なないようにしてね?』
こんな時に咲夜の忠告が甦る。
きっとあれは、これを見越しての台詞だったのね…
ごめんなさい… 私、守れなかった…
もう何も考えられない……
この子ったら、やっぱりテクニシャンだわ………
~ ~ ~
『…あれ?
ここはどこ…?』
「おや? 誰か来たと思ったら、いつぞやの巫女じゃないか」
『そういうあなたはいつぞやの死神じゃない。
どうして私はこんな所に居るの?』
「どうしてって、ここにいるんだから死んだんだろ?」
『…死んだ? この私が?』
「何があったか知らないけど、ここはそういう場所じゃないか」
『そうか… 私はあのまま…』
「そんなことより、乗ってくかい?
あんたからは面白い話が聞けそうだ」
『そうね… とりあえず、帰るわ』
「帰るって… そんな無茶な」
『ええい五月蝿い!
私はまだやり残したことがあるの! それに、私の最期があんな…』
「おっ? その話は興味深いね。
一体全体どうして死んじまったってんだい?」
『そ…それは…』
「それは?」
『言えるかーーー!!』
「うわぁ!」
『とりあえず、私は帰るからね! あんたの上司にはうまいこと言っといて!』
「あ、ちょっと!」
『それじゃ、またね!』
「…行っちゃったよ。
まぁいっか。あんな元気なのに、死んだも何もないだろうし… 臨死か何かかね」
「…小町」
「ひぃっ!? その声は…」
「見てましたよ…」
「えええ映姫様!
いやだって仕方無いじゃないですか! あんな元気なの手に負えませんって!!」
「…そうですね。
確かにあの巫女はまだ生きていますので、それは特に咎めません」
「ほっ… 良かった」
「何も良くありません!
いつまで休憩しているつもりなのですか!?
さっさと仕事に戻りなさい!!」
「きゃん!! も…申し訳ございませんでした~!!」
~ ~ ~
「………ん…ここは?」
「あ、起きた。
咲夜ー。霊夢起きたよー」
「はいはい、今行きますお嬢様」
「…レミリア?」
「もう、霊夢ったら私が起きてもまだ眠ってたのよ。
それであんまり起きないから、不安になって咲夜を呼んだの」
「そうなの…」
ここは私の寝室か…
外はもう暗い。どうやら随分長いこと気を失っていたようだ。
しかし、レミリアは一つだけ気になることを言った。
「ねぇ… あなたが起きても、私は眠ってたの?」
「そうよ?」
「もしかして…覚えてないの?」
「何を?」
全て無意識に行っていたというのか…
「あら霊夢、目が覚めた?
気分はどうかしら?」
「えぇ…悪くないわ」
「そう… お嬢様、申し訳ありませんが水を換えて来ていただけませんか?」
「えー? なんで私がそんなことしないといけないのよ?」
「甲斐甲斐しく看病する姿に好感度は急上昇…」
「水を換えてくればいいのね? 任せなさい!」
「…行ったわね。
さて、霊夢。用法・用量をちゃんと守れと言ったでしょう?」
「うぅ… ごめんなさい…」
「まぁ気持ちはわかるわ。
でも、あと一歩間違えば死に至っていたのよ?」
「それは身を以て体験したわ」
「…なら私がこれ以上言うことはないわね。今後は気をつけなさいよ?
ところで、霊夢?」
「なに?」
「どんな気分だった?」
「それはもう…
天にも昇る思いとはまさにあのことね」
「そう。それは良かったわ…
やっぱりあなたも同じだったわね」
「…ということは、咲夜も?」
「昔の話よ…」
「そうなの…
ところで、レミリアって寝起き悪いの?」
「起きてから覚醒するまでは無意識で動いてるわよ」
「やっぱりか…
それと、毎日あんなことやってるの?」
「あんなことって?」
「その…おはようのキス…」
「…そんなことされたの?」
「…え?」
なんでそんな『やべぇ、それは予想外』な顔をするの?
日常茶飯事じゃないの?
「迂闊だった…
確かにそれなら用法・用量もへったくれも無いわ。
私がもっと注意を払ってあげるべきだったか…」
「…ねぇ、どうしたの?」
「いえ… まさか、そこまでやるとは思ってなかったの。
それでよく生きながらえることができたわね… 尊敬するわ」
あと一歩で本当に死ぬところだったけどね。
「お嬢様がそんなことしたなんて話は初めて聞いたわ。
多分、あなただったからでしょうね…」
「そ…そうなの?」
「本当に好かれてるのね。驚いたわ」
うーん… なんというか、むず痒いわ。
こんなストレートに言われると、もちろん嬉しくは思うのだけどさすがにね…
「ともあれ、あなたも疲れたでしょう。
今日はもうお休みなさいな」
「ええ… そうさせてもらうわ」
「咲夜ー。水汲んできたよー」
「ありがとうございます、お嬢様。
私たちはそろそろお暇するといたしましょう」
「えー、どうしてよー?」
「霊夢は疲れてしまって、もう休みたいそうです。
これ以上長居すると彼女に迷惑がかかりますわ」
「うーん… 仕方ないけど、わかった…」
ありがたい。今日は本当に消耗してしまった…
一刻も早く眠りたいわ…
「それじゃあ霊夢。ゆっくり休みなさい」
「また今度ね、霊夢。
…あ、その前に」
レミリアが私の傍に駆け寄ってくる。
なんだろう?
「ふふ、霊夢~」
「なぁに?」
チュッ
「「!!!」」
「えへへ…」
「お…お嬢様、一体何をしておいでですか…?」
「お休みのキスよ。他に何があると言うの?
じゃあ霊夢、また来るわね~。
ほら咲夜、帰るわよ」
「はい、お嬢様。
……ご愁傷様」
~ ~ ~
『………おいっす…』
「うわっ! また来た!!」
レミ霊は最高だぜ
これはかわいい・・・
この姉妹はそのうち世界征服するぞ
脳がやばくなっていくよ!
普通だったら御臨終だぞ
何はともかく、いいぞもっとやれ
なんだったらフラマリの方でもいいぞ!
と呼んだ瞬間粉になりましたとさw
…分かる人だけ分かれ
だがまだ死に足りないので、続きかフラマリの方でフォローよろしく!
(原点分はフラマリ省略分なので、フラマリの方だと私が喜びます)
書くんじゃないぞ!絶対だぞ!絶対だぞ!絶対だぞ!(大事なんてもんじゃないので二回以上言いました)
うはっwwwwwwwwおぜうさま萌えすwwwwwwwwww
とか言ってる場合じゃなくて ニヤニヤが止まりませんでした ふらまりの方も頼みます的な意味で90点
おぜうさまかわいすぎるwww
日本は未来に生きているとはよくいったものです
糖尿病になったんだが、治療費支払ってもらえますか?
本当に悶死するかと思いました
俺なら残機0余裕だけどな\(^o^)/
残り10点は僕がレミ咲狂いだからです。でもかなり悶えました。
兵士(読者)B:駄目だ!衛生兵まで悶死している・・・
兵士(読者)A:そんな馬鹿な・・・
兵士(読者)C:もう駄目だ・・・れみりゃに挑もうとしたのが間違いだったんだ・・・
兵士(読者)A:馬鹿言うなよ!生きて帰ってフラマリ楽しむっていってたじゃねぇか!
兵士(読者)C:どうやらその願いははたせねぇみたいだ・・・後頼んだぜ・・・
兵士(読者)B:おい!しっかりしろ!死ぬんじゃない!
以上、俺脳内劇場でした。 結果:俺軍壊滅
あ、でも、悶死の危機……
続きをっ!マリフラをっ!!!