※注意※
・キャラ崩壊
・作者の偏見
ある山に一匹の妖怪がいた。
妖怪は魑魅魍魎からなる存在で、永い年月を経ているためか数多の妖怪の中でもかなりの有力者であった。
だが、真に殊勝なところは、その物の怪が日々想う事にあった。
妖怪には、ひとつの夢があった。
物の怪や妖魔が“夢”を持つなど甚だ可笑しくはあるが、その事を他の妖怪が嘲笑すれば有無を言わさず一蹴していた。
妖怪は強かった。
それ故に、妖怪はまるでその強さの果てを欲しているかのように、あいつが強いこいつが強いと噂が立つ地があれば、そこへ赴いては勝負を挑み自らを鍛え上げていた。
ある夜、妖怪は今の力をさらに磨きあげるため山を降りて、人間が住む大きな都を目指していた。
都には、物の怪やその類を奇妙な術で退治する人間がいるという噂を、その人間にやられて逃げ帰ってきた妖怪から聞いたのだ。
それまで人間とは、脆弱で腹の足しにもならない生き物としてしか捉えていなかったが、その弱いはずの人間が妖魔を打ち負かすとは寝耳に水である。
噂というものの信憑性が当てにならないこともさることながら、いったいどんな人間なのか、自分よりも強いのかと、妖怪は逸る気持ちを飄々とした顔の下に隠しながら都に向かった。
1.
草木も眠る丑三つ時、人間の都に初めて来た妖怪は入口の門外に到着して驚いていた。
目に入ったのは、暗闇の中で静かに横たわる多くの人間の死体だった。
辺りからは腐臭が漂い、神聖なはずの都の門下であるにも関わらず、衣服を纏わない黒ずんだ死体が累々と転がり蝿がたかっている。
妖怪は目を丸くしてその光景を見ていた。
都に出没したことのある他の妖怪から聞いた話で、人間が造る都というものは栄華に富み、誰一人として不自由なく、不平不満を持たず機能する場所であると思っていた妖怪は、廃頽した門の下で我が目を疑っていた。
「何者だ!!」
突然、門の向こうの暗がりから男の声がした。
妖怪はゆっくりと門の下をくぐり声のした方へ近づくと、そこには警邏の格好をした男が二人、幽かな月明かりに立っていた。
「何者だ?この様な夜遅い時分、女一人が出歩いてはいかん。」
「みすぼらしい格好をしよって、鴨川の川べりから来たのか? 」
妖怪はあらかじめ、自分がかつて見たことがある都とは程遠い村の娘の格好を真似してきたつもりであったが、みすぼらしいと言われ少し腹を立てた。
殺意の手を伸ばしかけたところでふと思索にふけった。
目の前の人間を殺したところで、噂の強い人間は現れるだろうか?
都の門下がこのような状況では、あながちそれは期待できない気がする。
妖怪はいままでの修行というべき強者との対峙の中で、手下がやられると一目散に強者と噂されていたはずの者が逃げ出すということが多々あった。
その経験があってか、雑魚を蹴散らしたとこで楽しみがしっぽを巻いて逃げては興ざめも甚だしいと考えていた。
この人間達が目的の“強い人間”にも到底見えないため、できるだけ人間の娘のフリをして質問をした。
「……ここは、都の入口でしょうか?」
「そうだ。 後ろに羅城門が見えるであろう。 」
同じ人間に化けているはずなのに、なぜこれほど邪心に扱われるのだろうかと、妖怪は下等な人間の気に障る答えに舌打ちを押さえながら質問を続けた。
「……都には、人を襲う妖怪を退治する力を持つお強い方がいると聞いて参ったのですが。 」
「妖怪を退治? 加茂氏のことか?」
「その加茂……、なにがしはどこに?」
「陰陽師は陰陽寮で就寝しているに決まってるだろう。それに、都の治安は我々警邏隊が任されている。女、お前の案ずるところではない。」
「貴方達にも妖怪を退治する力があると?」
「ひぃっ! 」
いままで黙っていたもう一人の男が何かに気づいたのか、目を見開き腰を抜かしたかと思うと、脱兎の如く逃げ出した。
「おい?! 」
「試させてもらうわ。」
残った男がこちらを振り返る前に、妖怪は男の首筋目掛けて手を伸ばす。
次の瞬間には男は妖怪の前に倒れ、それから血がゆっくりと足元に広がっていった。
妖怪は血のついた手を舐め、反対の手には逃げたはずのもう一人の男の生首をぶら下げ、倒れた男の背中に放り投げた。
「やりがいがないわねぇ。」
****
都の陰陽寮のある一室ではろうそくの火に照らされながら、一人の若い陰陽師が山積みにされた書物の中、記述に没頭していた。
彼は眠いのか、時々目を擦りながら筆を書物の上を走らせていた。
ふと背後に気配を感じたのか、虚ろだった目を見開き顔を向けた。
そこには一人のみすぼらしい格好をした女がろうそくの火と夜の闇の隙間でほくそ笑みながら両腕を組んでこちらを窺っていた。
「……何者だ。」
「何者でもないわ。」
陰陽師は女の姿を振り向きながらも上から下へと眺め終えると、まるで何事もなかったかの様に再び机と向き合った。
「こんな時分に……物の怪か? 」
「だったらどうするのかしら? 」
陰陽師は書き進めていた筆を止め、余裕を持って硯に置くと溜息を洩らしながらゆっくりと腰を上げた。
「退治しなければならないな。」
そう言って陰陽師は面倒臭そうに妖怪の顔を見ると、怪訝そうな表情を浮かべた。
「その眼は妖怪だな。」
妖怪は自分の変化が彼のほんの数瞬の洞察で見破られたことに驚いた。
「眼?眼が、なんだって言うの?」
「はぁ……、何人殺めたのだ?」
こちらの質問には答えようとせずに、陰陽師は垂れ下がる懐に手を入れボリボリと二の腕をかいている。
「ん……今日はまだ二人だけよ。」
まるでこれから殺される気など毛頭にない余裕の態度に、調子が狂う。
「そうか……で、何故ここに? 」
「都には妖怪を退治するとってもお強いお方がいると聞いて参上したわ。」
「ふむ、多分それは私ではないな。」
間向けした態度に業を煮やした妖怪は、声を張り上げた。
「誰だっていいのよ、強ければ! 」
そう言い放つと妖怪は物凄い速度で陰陽師に襲いかかろうと腕を伸ばす。
すると陰陽師は懐に入れていた手を素早く抜き出し、掴んでいた白い紙を前へ突き出した。
「唵!!」
陰陽師が発声したその言葉を聞いた瞬間、妖怪は背中にとてつもない衝撃を受け、見えない力で思いきり床に叩きつけられた。
床にへばりつきながら何が起こったのかわからず、絶えずわけのわからない呪文が頭上から聞こえてくる。
妖怪は透明な怪力に体を押さえつけられ、さらに力は増すのか床板がミシミシと音を立てている。
「ぐ、ぐ、ぅぐっ!」
最早顔を上げることもままならず、踏まれた蛙の様な姿勢で喘ぐことしかできない。
陰陽師はそれを確認したのか、ぴたりと唱えるのを止めると手に持っていた白い紙を手放した。
紙はひらひらと床にへばりつく妖怪に落下し、背中に触れた瞬間妖怪は呻き声をあげた。
「うぅ!……なにをした!? 」
「お前の知るところではないよ。」
見下す陰陽師の足元で妖怪は力を振り絞りもがくいてみるものの、まるで体全体に枷を付けられたように手足はおろか指一本自由に動かすことができなかった。
怒りと屈辱に完全に取り乱した妖怪は、鼻を床に擦りつけ額に皺を寄せ渾身の力を込めると、手は床を引っ搔きながらずるずると動いた。
「ほぉ……動けるのか?」
陰陽師は妖怪を見下ろしながら関心すると、踵を返して机に向かった。
「用が済んだら消えてくれまいか?」
机の前に座り、背中であしらう陰陽師を余所に、妖怪はわずかに浮かせた手で空をなぞる。
床からちょっと浮いた空間に切れ目が入ると、中心からゆっくりと開いていく。
その空間に手を入れると今度は妖怪の背中のすぐ真上の空間に同じような切れ目が入った。
「私ももうそろそろ床に就くとこなのだ、無駄な殺生はやめて闇に散ってくれまいか?」
陰陽師はようやく一通り仕事を終え、筆を下ろした。
振り向くと、さっきまで這いつくばっていたはずの妖怪が不思議なことに仰向けになり息を上げて倒れていた。
手には破けた札を持っている。
「なんと……術を破ったか。」
「貴方が、加茂氏?」
妖怪が荒い呼吸で胸を大きく上下させ天井を見つめながら尋ねると、陰陽師は目を丸くし、笑い零した。
「加茂氏ほどの人物がこんな時分まで残業をしているわけがなかろう。」
陰陽師は立ち上がり、未だ天井を見つめる妖怪の隣に移動して胡坐をかくと、妖怪は逃げるように体を回転させながら起き上がり、壁の隅に後ずさりして彼を睨みつけた。
「なら、貴方は誰? 」
陰陽師は少し険しい顔になった。
「妖怪に名乗る名など無い。」
「えぇ、名前なんてどうでもいいわ、貴方が、都で一番強い人間? 」
妖怪の短絡的な質問に、陰陽師の顔は再び緩んだ。
「違うなぁ。陰陽師は官職だからな。強い弱いではなく、どちらが偉いかどうかだ。」
「じゃあさっきのはなに?」
壁の隅で妖怪は肩を抱きながら怯えるように質問を続けた。
「あれは、陰陽寮の官人はみな一人一枚持ち歩いている護符だ。最近は人を食う妖怪が都に跋扈していてな、お前も人を食うのであろう?」
語尾をわざとらしく強調した質問に、妖怪はたじろぎながら正直に答えた。
「私は……少ししか食べないわ。」
「ふむ、まぁよい、で、さっきの術をどうやって破った?」
「それは…………こうやったのよ!」
すると妖怪は肩を掴んでいた手をずらし、勢いよく裾をまくると、腕は空間で途絶え、陰陽師の目の前の空間から現れた。
妖怪の手首は見事に陰陽師の首を捉え、指は首に食い込んでいく。
「なるほど、魍魎であったか、だが……、 」
陰陽師は懐に手を入れたと思うと、再び新しい護符を取り出し、腕を振り上げ首を絞める手首を護符で叩いた。
「あぁ!」
空間から伸びた手首は妖怪の元の位置に戻り、激痛なのか反対の手で堪えるように握った。
「さっき一枚だけって……!」
「兵は詭道なり、私は用心深いからな。」
陰陽師は護符をつかみながらジリジリと近寄り、壁際に追いやられた妖怪の目の前で再度胡坐をかいた。
「人語を操る妖怪は珍しい、妖怪よ、なぜ都に来た?」
妖怪は彼の卑怯な手口に、壁に頭を当てながらふてくされて黙っていると、陰陽師は護符を持った手を素早く動かして威嚇した。
威嚇だとわかっていてもビクリと恐怖で反応する自分に愛想を尽かしたように妖怪は話しだした。
「強い奴がいるって聞いたから、見にきたのよ。」
「……単なる力比べか、もしや何か企てていると思ってな。」
「なにを? 」
「なぁに、このご時世、帝を狙う輩も多くてな、妖怪には関係ないことだったな。」
妖怪は自分の目的とは全く違う方向で疑われ、しかも負けるはずがないと思っていた人間に敗北してしまったことに呆れて溜息をついた。
そしてこれからどうやって逃げるかを模索し始めていた。
「姿形は下町の娘となんら変わりないが、人語を操り、しかも人間に化けることができるということは貴様、そこいらの妖怪とはわけが違うとみた。」
妖怪が顔に垂れてきた前髪を手で払うと、みすぼらしいと言われた服の裾が少しはだけた。
陰陽師は胸元を真剣な眼差しで見ていると妖怪は裾をつかみ胸元を絞めた。
「……なに、みてるのよ……。」
すると陰陽師は真剣だった顔を歪めて笑い出した。
「はっはは! お前は人間に化けるのが得意だな。」
「別に、どうだっていいじゃない。」
「おもしろい奴だな、お前、名はなんという?」
「名前なんてないわ。」
「そうか、名が無いのか。」
すると陰陽師は立ち上がり、手を顎にあて天井を見つめて何か考えている。
「魍魎とは山川や木石の精霊、自然の瘴気が生む妖怪、罔兩から生まれる。ふむ、自然とは離れた都の中にいる一匹の女妖怪。」
妖怪は首を傾げてただ同じように天井をみてみた。
「~むらさきの ひともとゆえに 武蔵野の 草は皆から あはれとぞ見る~」
「なにそれ。」
「古今和歌集だが。」
「知らないわよ。」
「~武蔵野は 袖ひつ許 わけしかど わか紫は たづねわびにき~ 」
「はぁ?」
「後撰和歌集だ、長寿のくせに学がないのう。うむ、これも何かの縁であろう。」
陰陽師は妖怪の顔を指差し、言い放った。
「妖怪、お前の名前は『ゆかり』だ。」
妖怪は驚き、冗談じゃないと立ち上がり陰陽師を睨みつめた。
「なんで勝手に決めるのよ!」
「お前が私に負けたからだ。文句はあるまい。」
「貴方、妖怪に名を与えることがどういうことかわかってるの?」
「勿論、百も承知だが。」
「信じられない。都の人間はこんなにも非常識なの?」
「心配するな、私だけだ。」
妖怪は頭を抱え、再び壁によりかかった。
陰陽師は自ら授けた妖怪の名前を何度も小さく復唱しては、いい名だと一人で相槌をうっていた。
妖怪は混乱する頭を押さえながら、部屋の真ん中へフラフラと歩いた。
「おぉゆかり、どこへゆく?」
「帰る。」
「そのように急がなくともよいではないか。あぁ妖怪は朝が苦手なのか。」
「私をそこら辺の雑魚と一緒にしないで!」
おもいっきり大声をあげ啖呵を切ったつもりだったが、陰陽師には通用せず。ただ浮かれて書物を広げてはどんな字をあてるかを選んでいた。
妖怪は陰陽師を部屋に残し、闇に消えていった。
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◇(上)終わり 続いて(中)◇
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数日後
雲が一つもない月がきれいな空の下、妖怪は都の入口にいた。
依然として変わらず、死体が並び廃頽した羅城門の下に、彼女は立っていた。
ふと、羅城門の上の方からなにやら物音がする。見上げてみると梯子から下人の格好をした男がせわしない表情で降りてきた。
手にはボロボロの布きれを持ち、梯子を降りると男は都とは反対の方角へと走り去っていった。
これが人間が作った都。実際栄えているのは天皇がいる大内裏や貴族の住む左京ばかりだ。貧しい民はみな端へと追い詰められては強盗、殺人、ただ黒く染まっていく。
妖怪は陰陽寮を訪ねてみたが、灯りは一つもなく、ものいわぬ書物たちが静かにならんでいるだけだった。妖怪は先日の陰陽師の部屋に入り、
机の上にある書物を手に取り開いてはパラパラとめくる。内容は今年度の祭祀や占筮にかかる予算や人数の計算、今後予測される問題などのまとめなどであった。
陰陽寮を出て、妖怪はある屋敷に向かった。
屋敷の縁側では陰陽師が一人で晩酌を楽しんでいた。庭の蔭からゆっくりと影からはみ出すように現れると、陰陽師はそれに気づきこちらに手招きをした。
「よくぞ参ったな。」
「呼ばれた気がしたのよ・・・。」
「うむ、確かにお前のことを考えておった。」
陰陽師は以前会った時とは違い薄着をしていた。自分は相変わらず“みすぼらしい”と言われた格好だ。
彼は座っている場所を少し空けて縁側を手で軽く叩いた。
妖怪は戸惑ったが、少し彼とは間を置いて腰をかけた。
「実はな、お前に謝らなければならないと思っていたのだ。」
「なにをいまさら。」
「あの時は眠気と滅多に見れぬ珍しい妖怪に心が昂ってな。」
陰陽師は盃を唇に乗せ、一気に飲み干し、酒器から酒を注いでいた。
「名を呼ぶ。これは呪術の基本だ。そのモノを名で縛ることができる。誰でもできる基本中の呪術。」
「別に害は無いわよ、誰にも広まらずにあなたが死んだら呪いは解けるわ。」
「申し訳ない。・・・これは屋敷の女中に無理を言って手に入れた酒でな、官人たるものこのように一人で酌など無様なことはしてはいかんのだが。」
そういうと彼は立ち上がり、家の中の奥で何やらごそごそしている。戻ってくると、新しい盃を持っていた。
「妖怪は酒が飲めるのか?」
「飲めないことはないけど、飲んだことなんてないわよ。」
「ならば飲むしかないな、人間と化け物がともに酒を飲むとは日出処の歴史でもスサノオとヤマタノオロチぐらいであろう。」
「そんな昔話じゃなくても、お酒だけ飲んでる化け物はいっぱいいるわ。」
「おぉ、ならば飲め、さぁさぁぐいぐいと。」
妖怪は急かされて猜疑心を持ったが、人間の毒は効かないこともあり、結局飲んだことが無い好奇心が優り、盃を慎重に口へ傾けた。
盃が空になってもしばらく喉が熱くて気付かず、しばらくそのまま上を向いていた。
「おお、さすが妖怪。いい飲みっぷりだ。」
「・・・ありがとう。」
「酒は体も心も清めるというが、お前は大丈夫なのか?」
「妖怪にもいろいろあるのよ。」
「お前のように自然から生まれた妖怪なら清めても仕方がないか。」
「貴方は・・・。」
「ん?」
「貴方は何故、妖怪を恐れないの?」
彼女は何故こんな質問をしたのかわからなかった。ただこの人間はいままで見てきた人間とは何かが違う。
「うむ、そうだな。」
「人間というのはもっと妖怪や物の怪に怯えるべきじゃないかしら?」
「人間にもいろいろある。そんなことより、お前は何故そんなに人間に化けるのがうまいのだ?姿形はともかく、妖怪とはもっと獰猛であったり狡猾であるべきではないのか?」
どうやら彼にとって彼女の質問はどうでもよくつまらなかったのだろう。ただ単に“怖くはない”と言われれば、それまでの話である。
「私は・・・。」
ここで口をつぐみ、言い直した。
「妖怪は、人間が羨ましいのよ。妬ましくていつも羨望してる。妖怪がどうやって生まれるかはわかるかしら?」
「うむ、是非聞きたいな。」
「妖怪はたいてい土から生まれるのよ。生命とはだいたい肉体・精神・魂から作られているの。命が終わり土へ還り、その魂が残留思念を持ったまま土の中に入ると、たとえ肉体が腐っていっても心はまだ生き延びようとするの。その精神や魂はなにかを依り代にしようとするわ。そして依り代を得た時、肉体を持っていたころの記憶はその依り代にもよるけど消えてしまうの。でも一つだけ残る感覚があるわ。」
「それは?」
「生きている者が、肉体を持つ者がうらやましい。何故自分はアレと同じではないのか、何故自分はアレとは違う姿なのか。食べる喜びも、寝る喜びも、無い。うらやましい・・・。」
陰陽師は酒の入った盃を持っていたことを思い出し、口に運ぶ。
「なるほど。それが妖怪の正体か。お前もなかなか学があるな。」
「妖怪ですもの。」
「うむ、興味深い。では、やはり元は人間であったものが妖怪になると、それは恐ろしい物になるのか。」
「そうよ。基本的に食べれば同じになれるとか、憑いてゆけば同じになれるとか、そのうち人間の味をしめて最初の目的を忘れてしまう可哀想な奴らもいるわ。」
「お前は食べないのか?人間を。」
「たまに食べたりするわ、妖怪はおなかなんてあまり空かないのよ。その依り代にもよるけど怪我も病気も無い。妖怪は路傍の石と同じ、ただ風化していくだけ。」
妖怪は盃に酒を注ぎ、そのまま口に乗せる。
「なるほど、ではお前みたいな妖怪はもっといるのか?」
「私は修行を積んだのよ。」
「なんと、妖怪は修行をするのか?」
「修行といっても、自分ができることを数えきれないぐらい繰り返すのよ。そうすればあんなことやこんなこともできるってことに気づくだけなの。人間みたいに成長はしないわ。貴方みたいに年を取りながらいろいろな技術を身につけるわけじゃないわ。人間の子供がひとつの玩具で何回も遊んで、その玩具ひとつでいろんなことができていくのと同じよ。」
「だが、お前は意図的に何回も繰り返したのだろう。何故そんなに自分を鍛えたのだ?」
「私は・・・。」
妖怪は再び盃に酒を注ぎ、一気に飲む。
「強くなりたいの。」
「何故?誰と戦うのだ?」
「戦う強さはもちろんだけど・・・。」
質問が何だったのかすらあやふやになりながら、喉まで出かかっている自分の夢が愚弄や嘲弄されるのが怖かった。夢を見るなどまるで人間みたいだ。未だかつて誰も口にしない夢。
陰陽師は盃に酒を注ぐのを省き、酒器ごと口にあて飲み干した。うつむき黙ってしまった彼女の頭に手を乗せ、軽く撫でる。
「夢でもあるのか?」
その言葉を聞いた瞬間、彼女は何故か体が軽くなり、目頭が熱くなった。
顔を上げ、陰陽師の顔を見る。
「聞いてくれるかしら?」
「もうすでに質問しているのだが。」
「誰に言わないで。」
「言うといっても妖怪に知り合いなどいない。夢なんて叶わないうちは全て戯言だ。酔っぱらった妖怪の戯言だ。言ってしまえ。」
戯言。
確かに力の足りない今の自分の見る夢は、叶わないうちはただの絵空事。ただ誰かに聞いてもらうことでそのもし夢が叶ったら。一緒に喜ぶこともできるし。たとえ馬鹿にされても叶った夢を見せつけて見返してやる。
「戯言ね・・・。」
「おっと、その前に私は酒を取りに行ってくる。」
彼はフラフラと立ち上がり、おぼつかない足取りで家の中へ入っていく。もうすでに頭は水平を保ってはいないことは確かだった。
妖怪は彼の後ろ姿を見つめ、ぽろりとこばすように言った。
「私は・・・妖怪の都をつくりたいの。」
改めて自分で口にしてみると、なんと壮大で無謀な夢だろうか。今の自分の力がとても小さすぎて心細くなった。
妖怪は彼が家の中からノタノタと現れると残念そうな顔をしていることに気がつき、まさか自分の夢を聞いた反応なのかと怖ろしくなったが、彼はなだれ込むように妖怪の隣に跪くと、ぽつりと一言もらした。
「酒が・・・もうない・・・。」
妖怪は啞然とした。
「申し訳ない。折角参ったというのに、もうこの家には酒がないのだ。」
「別にいいわよ。気にしないで。」
「申し訳ない、このような甲斐性無しで、この年にもなって妻もとらずに、子もつくらず。面目無い。」
「そういえば、貴方の年を聞いていなかったわ。」
すると彼は裏声を出して『人間に年齢なんてないわ』と呟いた。
「噓。」
「官人に年など関係ない。要は仕事ができるかどうかだ。この前、陰陽生から昇進したばかりだ。」
「貴方は偉いの?」
「うむ、真ん中の下ぐらぃ。」
そういうと彼はその態勢のまま、いびきをかき始めた。
妖怪は立ち上がり、彼の足元の空間に切れ目を入れて、そのまま落とした。
彼の寝室の空間に切れ目が入り、そこから彼は跪いたまま布団の上に落ちた。
「ごちそうさま、おやすみなさい。」
妖怪は返事ではなく、いびきが聞こえる寝室にむかって軽く会釈をして、闇の中へ溶けていった。
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◇(中)終わり 続いて(下)◇
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いつのまにか都へ来るための目印にしていたあの赤い古びた門は、暗闇の中さらに無残な姿で目の前に現れた。
かつてはこの都の入口を守る象徴であったはずが、今や廃材と瓦礫と化している。いくら化けるのがうまいと言われても、こんな風にはなれない。
いつものように屋敷に向かうと、彼は月の光が当たる縁側で両膝に手をつけてじっと黙っていた。
いつもであれば隣には晩酌の盃が座っているというのに、彼は思いつめた表情でまっすぐと庭先を見ていた。
妖怪はいつものように暗闇から現れるのではなく、たまには驚かしてやろうと家の中に現れ、陰陽師の背後に迫った。
ゆっくりと忍び寄り、肩に手を乗せようとすると、陰陽師はその手を振りむきもせずにいきなり掴み、立ち上げると同時に腕をひねり背後に立ち、妖怪の首に小刀を向けた。妖怪は一瞬何が起こったのかわからず、驚かせるつもりが逆に口を開けたまま、声を出せずにいた。
はっと我に帰った陰陽師は小刀を下げ腕を放した。
「ゆかりだったか、申し訳ないことをした。」
陰陽師はゆっくり縁側の元の場所に戻り腰をかけた
「なによ・・・。どうしたの?」
「いや、ゆかりを驚かそうとしてな。」
「・・・?」
「すまんな、最近考え事が増えてな。」
妖怪は静かに陰陽師の隣に座り、顔をじっと眺めた。彼は視線を移さずまっすぐに庭先をみている。
「私はまだ未熟な陰陽師だ。」
「・・・知ってるわ。」
「先祖代々この役職を経て、天皇に御奉仕するのがこの私の務めだ。」
「知ってるわ。」
「そして今、都はこの有様だ。」
「・・・。」
「ゆかりは人間が好きか?」
唐突の質問に妖怪は面食らったが、口調を狂わせないように落ち着いてから嫌いよと言ってみる。
「そうか。嫌いか。」
「何故そんなことを尋ねるの?」
「特に意味は無い。」
妖怪は陰陽師が何を考えているのか全くわからなかった。
「ゆかりの・・・。」
「え?」
「ゆかりの眼は面白いな。」
「私の眼が、面白い?」
「初めて会った時はお前の眼は濃い金色をしていた。」
「うそ。」
「次に会ったときは眼の色は紫になっていた。」
「自分の眼の色なんて、わからないわ。」
陰陽師は立ち上がった。
「そうだ。」
「今度は何?」
陰陽師は家の奥に向かい、縁側に残された妖怪はいつもの彼が見せる真剣な表情の裏側や、楽観的な面が見れずに少し退屈していた。
奥から紙と硯を手に持ち、筆を口にくわえて現れた彼は、イソイソと縁側に道具を置くと、すらすらとひとつの字を書き始めた。
「これはどうだろうか?」
手には紙一面に【紫】の字が少し傾きながら書かれていた。
「何よそれ?ムラサキ?」
「お前の名だよ。《むらさき》と書いて《ゆかり》と読むんだ。」
「名前なんてどうでもいいわ。」
「そうか、ならばこれならどうだ?」
紙をもう一枚取り出し、スラスラとまた書きあげる。
「これでどうだ。【縁】だ。」
もはや反応するのも鬱陶しくなってきた妖怪は、思い切って切り出した。
「なにか言いたいことがあるんじゃないの?」
一瞬にしてその場の空気は諫められ、陰陽師は筆を置いた。
そのまま彼は妖怪の真正面に腰を下ろし、鼻と鼻が当たりそうな位置まで詰め寄り正座した。
「え?な、なに?まっ・・・」
「ゆかり、私のことは嫌いか?」
妖怪の心臓は一瞬で速くなり、彼の耳にまで聞こえそうなくらい大きく鼓動した。
「人間は嫌いで、私のことも嫌いか?」
陰陽師は彼女の目をしっかりと捉え、妖怪は目を逸らすことができなかった。
それよりも自分の顔が見られているということに、なぜか顔は熱くなっていく。
今の質問すら思い出せない。目を逸らせない・・・。
「よい。」
陰陽師は顔を逸らし、また元の位置に腰を掛け庭を見つめた。
「え?」
妖怪はいつのまにか自分も正座していることに気付かなかった自分がとても恥ずかしかった。
「返事は明日聞こう。」
陰陽師は再び家の中に入り、奥でドソドソとなにやら物音をたてている。
帰ってくると、手には酒と盃を持っていた。
「さぁ、飲もうぞ。」
「え?いまから?」
「どのような時分であろうと酒の相手が務まらぬ妖怪など、強くはなれんぞ。さあ、妖怪。まずは一気に。」
酒がこぼれるぐらい入った盃を差し出され妖怪は手に取り、しばし盃を見つめ、一気に喉に流し込んだ。
「いい飲みっぷりだ。」
陰陽師は空になった盃を取り上げ、再度酒をこぼしながら注ぐ。
妖怪は渡された酒をそのまま唇へ運び、喉を鳴らして飲んだ。
「・・・おかわり。」
「はい。」
妖怪は何故彼が今日、落ち込んでいたのか。何故あのような質問をしたのか。いろいろと頭を回そうとしたがそれよりも先に酒がまわり、混濁していく意識の中、明日はどうすればいいのか。それだけが心配になり、ついにはそのまま眠りについてしまった。
妖怪が目を覚ますと。そこはかつて陰陽師を移動させたことのある寝室だった。寝ぼけた頭を揺らし布団から出て立ち上がると、外は橙色をして輝いて見えた。夕日が揺れて見えるなんて、まだ酔っ払っているのかしらと妖怪は自分の頭を数回軽く叩く。改めて外を見て、彼女は驚いた。
東の空が赤く燃えている。辺り一面の家屋はほとんどが炎に包まれ、外は逃げ惑う人々の泣き叫ぶ声が聞こえる。
妖怪は彼のことを思い出し、家の中を探した。
いない!
彼だけではなく、この屋敷にいるはずの女中の姿さえ見つからなかった。もうすでに逃げたのか。
ふと彼女の脳裏に昨日の言葉が浮かんだ。
《私はまだ未熟な陰陽師だ。》
《先祖代々この役職を経て、天皇に御奉仕するのがこの私の務めだ。》
《そして今、都はこの有様だ。》
嫌な予感がする。
彼女は彼の気配を頼りに手を伸ばしては空を切り、開いた切れ目に入っていった。
燃え盛る屋敷を包む炎は高さは三丈にもなろうかと猛々しく、最早外環は火の手に包まれ人が中には入れるような状態ではなかった。
陰陽師は一人、内裏の広間で床に血のついた刀を突き刺し、足を放り出しながら座っていた。広間の隅の暗闇を見つめては、歌を歌っていた。
すると後ろからやさしく誰かに肩を叩かれた。顔を向けるとそこには火災の煤で黒く汚れた妖怪が立っていた。
「助けにきたわ。」
格好つけて言い放ったつもりだったがこの近辺を闇雲に探してきたため、妖怪はヘタヘタと陰陽師の後ろでしゃがみ込み、膝をつく。
陰陽師はやはり紫だとつぶやきながら再び前を見る。
「妖怪は人間を助けるものではないだろう。」
「貴方からはお酒をごちそうになったっていう恩があるのよ。」
「あれはいつも一人で寂しく飲んでる私の暇つぶしだ。恩を着せたわけではない。」
「関係ないわ。それより早くここを出ましょう。」
「都に生まれ、都のために働き、今、私は都に殺される。」
「え?」
ふと、力を無くした陰陽師は座った姿勢から崩れ、そのまま妖怪の膝に頭を乗せた。
おもわず、妖怪は両手で口を覆い戦慄した。
「どうした?そこら辺の雑魚妖怪よりも恐ろしいかこれは?加茂氏や、安倍氏ならば、こんなことにはならなかったろうにな。」
寝そべった陰陽師の胸や腹部には5、6本の長い矢が深く突き刺さり、初めて会った日に着ていた陰陽道の服を赤黒い血で染めていた。
「ここを、守るはずだった警邏が少し前に殉職してな、二人ほど。かわりに私たち新人陰陽師が任された。」
妖怪はどうしていいか分からず、膝の上の陰陽師の顔にボロボロ涙をこぼした。
「よい、すべては因果応報なのだから。わかっていたのだ、ゆかりに会うずっと前から。」
涙は拭いても拭いても溢れ出て、陰陽師の顔に落ちていく。
陰陽師は遠くを見る目で妖怪を見た。
「先祖代々の血は伊達に受け継いではいない。自分の死ぬ瞬間など、物心ついたころから見てきた。」
「偉い人間は時代に排斥されていくのだ。」
妖怪は唇を嚙みしめて、揺れる声で叫んだ。
「貴方は偉くなんかないじゃない!」
「都が私を必要としていないのだ。」
「私はあなたを必要としてるのよ!」
必死に反発する妖怪を眺め、陰陽師は妖怪に静かに微笑みかけると、遠くを見ていた目をゆっくりと閉じていった。
「いや・・・。」
「だめよ。」
「おきて!」
「また、一緒にお酒を飲みましょう。私、すぐにつぶれないようにお酒強くなるから。」
「大好きな妖怪の話、まだまだたくさんあるの、あなたの好きな日本の神話とか。」
「貴方のこと、まだ何も知らないの。」
「まだ、はなしてないことがたくさん・・・・。」
「ねぇぇ!!」
「目を覚まして!!」
「私の名前を呼んでよ!!!」
両腕で頭をつかんで、力なく揺さぶる。
「ゆかり・・・。」
陰陽師は目を閉じたまま、口を動かした。
「ゆかりには夢があるだろう。」
「妖怪の都を作る、夢だ。」
「私には夢など、生まれてから一度も、もたなかった。」
「妖怪であろうと、夢を持てる、そんなゆかりがうらやましいのだ。」
「人間でも、本気で夢を見れる人など、ほんの一握りだ。」
「もし私が、妖怪になったら、ゆかりを依り代にしよう。」
「いやよ、そんなの楽しくないじゃない!」
「ははは、嫌かぁ、」
「おねがい、死なないで・・・・・。」
陰陽師はいきなり咳をしたかと思うと、咳と一緒に喀血が妖怪の顔に飛び散った。
「私の、名を授けよう。」
「名前なんて・・・いらない。」
「ゆかりがこの先、未来永劫に生きようと、たとえ私を忘れても、ゆかりがその名を名乗れば、私もずっとそこにいられる。」
「お前とともに夢の実現をみることができる。」
陰陽師はゆっくりと両腕を上げ妖怪の頭を掴み、引き下ろす速度に合わせて妖怪も頭をゆっくり下げ、耳もとで彼の口から名を受け取る。
手を放し、妖怪が陰陽師の顔を見ると、目を閉じたまま、歌を歌っていた。
「~むらさきの ひともとゆえに むさしのの
くさはみながら あはれとぞみる~」
ついには天井を支える柱が折れ、真っ赤な炎に彩られた天井は二人の頭上に落ちてきた。涙を流し、途方に暮れる妖怪は無意識のうちに背後に空間を開き、空間が二人に覆いかぶさる。 二人はかつてともに晩酌をした彼の屋敷の縁側にいた。
「~むらさきの いろにはさくな むさしのの
くさのゆかりと ひともこそしれ~」
夜空の下、燃えてる都に遠くの方から上がる白い煙が照らしだされている。雲はいつの間にか晴れて満天の星が見えた。妖怪は彼の手で乾いた自分の頬の涙の跡をなぞり、ゆっくりと彼の胸元に置いた。
「~むらさきの いろこきときは めもはるに
のなるくさきぞ わかれざりける~」
妖怪は彼が息絶えたことを確認すると、膝に乗せた彼の頭をそっと縁側に置いて、その場を立ち去った。
八雲紫が誕生した日ってわけですか。
初々しい紫もイイですね。
二次創作なんです。こういう解釈もアリでしょう。
私は好きです。
初回でかなりいいものを執筆なさった。次回策にも期待しております!
ちなみに私もこういう設定、解釈、ストーリーは大好物ですw
切なくて良い話でした
欲を言えば紫の心情描写がもうすこしあればよかったなー、と。
楽しく読めました
強いてあげるならば、まだ書きなれてないのかなぁ、とか感じたりするところがあったりいささか急ぎすぎかなぁとか思ったりしたことですけど、そんなに気になるような感じではありませんでした。心理描写とかは言われてるので割愛。
会話中の背景をもうちょっと書いてみたらどうだろう? とか思う次第ですよ。会話に至るまでに結構背景を書いてるからそう思いましたよ。
個人的に年齢は藍>紫>(少なくとも五百年以上)>橙
だと思っているから違和感なく読めました。
さて、紫の過去話という事ですが、まぁそれがどんな時代、場所、その他諸々であったのかなんてのは、
それこそ二次創作、好きにすればいいのでこういった話も十分に有りだと思います。
ただ、語られていない部分を語るというのは、相応の作り込みをしなければいけないのもまた事実。
それがどんな世界で、どんな場所で、出てくるキャラクターはどんな人物で、何を考え、何を想っているのか。
それらの事を極限まで掘り下げて……言うなればもうオリジナルもいい所な物での勝負とも言えます。
当然、既存の設定に縛られないこういった話を書く際には、それらがそのまま読者を引き込む力ともなります。
さて、そうなった場合に改めてこの話ですが。
まずどうしてもキャラクターが浅い。
最終的に紫を泣かせるにしても、今のままでは到底感情移入出来ません。
こういった話であれば、それこそもっともっと紫の心情を掘り下げて、
読者に紫がこんなにもその人間の事を想っているという事を共感させないと、話自体が成り立たない。
人間との会話だけでなく、山にいる時にも人間の事を考えてしまうだとか、
そういった「寄り道」が圧倒的に足りていないように感じました。
作者様の頭の中では、それこそ色んな「イベント」があったのでしょう。
しかし、読む側が解るのは、書かれた事と精々そこから考えられる事くらいです。
全部を書けば蛇足となってしまうかもしれませんが、それでも今のままでは足りない。
読みやすさと内容の薄さは全くの別物です。
その辺りをもっと考えていくと、良い話になると思います。
今ひとつ纏まっていませんが、そんなところで。
いいゆかりんをありがとうございます。