Coolier - 新生・東方創想話

七夕一番星

2008/07/06 14:53:33
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私は笹を担いでまず紅魔館へ飛んだ。
レミリアに頼まれたのだ。
「七夕でしょ?今年はうんと大きな飾りにするわよ。だから大きな笹を持ってきてるれるかしら?」
そういわれたので見つけた中で一番大きなやつを一本切って運んでいる。
ホントは竹なんじゃないかと思わせるほど大きい笹だから流石に重い。でも後ちょっとだ。
「おーい。ご注文の笹だぜー!門番」
「あ、どうもありがとうございます。こちらへお願いします」
この門番が庭の責任者のようなので、配置などは指示に従う。
笹をひさしのしたあたりから斜めに立てる。
レミリアが日に当たらないようにするための配慮だろう。
パチュリーに魔法で土を固めてもらい、笹を固定するのを確認したらすぐに飛び上がる。
まだ笹を運ぶのだ。
「お茶ぐらい飲んでいけば?」
そう進められたがなにしろ時間が無い。もうすぐ七夕本番なのだから。
「わりぃ!他のやつらも笹欲しがってるからな!もう行くぜ」

今度は標準サイズの笹を運ぶ。一旦笹を取りに戻り、そこから神社を目指す。
霊夢が少しわがままを言ったから。
「境内の竹じゃ味気ないじゃない。縁側におけるお手ごろなのお願い!」
小さい竹を切るのじゃダメなのか?
と、不満もあったが祭なんかの準備は自分もやっていて楽しいので良しと。
「霊夢ーっ!待たせたな!」
「あら、来たわね。ありがと、そこに置いといて」
相変わらずの反応。
そっと部屋の隅に笹を置く。
立てかけとかは自分でやるようだ。
そりゃそうだよな、こいつはそんな人任せなやつじゃない。笹を運ばされたけど。
よし、と確認し体を反転する。またしても笹を運ぶのだ。
「あれ?帰っちゃうの?お茶淹れようと思ったのに」
やはり止められる。だが予定は変えない。
「すまん霊夢!まだ忙しいんだ、な!」
ぽんぽん肩を叩くと飛び上がり、今来た航路を。

笹の輸送はこれで最後。
アリスにもお願いされた。
「部屋における程度の小さいのでいいから、私にも持ってきてくれるかしら?運送料は払うわ」
ぶっちゃけ、運送料に釣られた。
金でも、魔道書でもなかったが、魅力的なものだったから逆にこちらからお願いして多めに頼んだ。
「アーリースー。持ってきたぜー」
「ありがとう」
アリスが笹の大きさに見あった可愛らしい鉢を持ってきた。
手渡しできる小さな笹をアリスに渡す。
深めの鉢に笹を挿して、アリスは奥へ入っていった。
笹を置き、例の運送料を持ってくる。
それは袋いっぱいの…
「はい、約束の運送料よ。お疲れ様」
ちょっと喉が渇いた。少しだけ休憩させてもらえるかな?
「アリス、すまんがお茶を一杯もらえるか?」
「ええ、いいわよ。ちょっと待っていて」
私の予定ではここが計画の折り返し地点だ。
また神社と紅魔館へ行くのだ。
「お待ちどうさん。あなたも大変ね」
「これは私が好きでやってることだぜ」
「ふふ、そう…」
「ご馳走さん。そろそろ行くぜ」

アリスの家を出るとまた神社へと向かう。
アリスが運送料として支払ったもの、それは…
「霊夢、アリスからプレゼントだぜ!」
「はい?ってうわぁぁ」
小分けにされた袋を投げる。
「開けてみろよ」
「なに?」
霊夢が袋を開ける。途端、顔が輝く。
「わぁ、綺麗じゃない!」
お代は七夕の飾りだった。
器用なアリスは装飾品を作るのが得意だから、七夕飾りも立派なつくりをしている。
「ありがとう!アリスにも伝えておいてくれる?」
「おう!ちょっと、紅魔館にも行ってくるぜ」
「ご苦労様」

神社を飛び立ち紅魔館へ。
さっきより大き目の袋にはさっきより多めの飾り。
「おーい、これを受け取ってくれー」
「何ですか?この袋は」
門番がぽんぽんと軽く投げ上げる。
「アリスからおすそ分けだってよ」
「ふぇ?」
中身を確認する。すると、やはり顔が輝く。
「あ、かわいい。お嬢様も喜んでくださると思います!」
普段からぺこぺこしてる門番がもっとぺこぺこする。
「是非アリスさんにお礼を伝えておいてください」
「ああ、確かに伝えとくぜ。じゃ、帰るわ。今日はもうクタクタだ」
正直疲れたがこれで当日が楽しみになった。
「あ、そうだ。今度はゆっくりしていってはいかがですか?」
「んー…それもそうだな。お邪魔するぜ」
「ではどうぞ」

図書館で本を読みながらちょっとくつろぐ。
当然だがパチュリーと小悪魔もいる。
「なに企んでるのよ?」
不意にパチュリーに尋ねられる。
「何も。ただ、せっかくの七夕だからみんなで楽しもうと思ってな」
「…あなたが何かしてると怪しいのよね」
いつも私のことをどう思っているんだろう、こいつは。
まぁ今はそんなことどうでもいい。
あ、そろそろ帰らないとな。仕上げがまだだし。
「ん、紅茶ご馳走さん。まだやることあるからそろそろおいとまするぜ」
「あらそう。七夕の日はいらっしゃいね?」
「ああ、またご馳走されに来てやるぜ」
「ふふ、じゃあね」
「おう」

それから私は寝た。丸々一日半。ただの寝坊ではない。これが大切だから。
自分の魔力を最大まで回復する。

さて、目覚めてから夜まではまだ時間があるから、短冊にお願いを書くかな。
っとそうだ。私の家の笹が準備できていないじゃないか。
外に出て地面に笹を突き刺し、アリスがくれた飾りを付ける。
最後に短冊をぶら下げて完成。
お願い叶うといいな。おっと、なんて書いたかは内緒だぜ!


日が傾き、そろそろ計画を実行するべきだろう。
私はいつもと違う、大きな星のエンブレムを取り付けた帽子を用意していた。
それを被り、ちょっと魔力を流すと、星が光り始める。
「よしっ!」
鏡でそれを確認すると、今度はいつもどおり箒にまたがり空へ浮かび上がる。
まだ星の出ていない薄暗い空。
私が一番星だ。
ではまずパチュリーとの約束どおり紅魔館へ行くか。

「おー?みんな出てきてやがるな?」
笹を設置した庭に全員集合していた。
「あら?あれ魔理沙じゃない?」
「そうみたいね。私が来なさいって言ったのだけれど…」
「魔理沙だー!」
みんな気付いてくれたな。やっぱり星の効果かな。
紅魔館は人数がいる分、短冊も多かった。
見ようとしたけど、妨害されて結局見れなかった。
「うし、そろそろ暗くなってきたし、いっちょあれやるか」
「あれって?」
私しか知らないから、私以外の全員が首をかしげる。
「七夕って言ったら星だろ?星を増やすんだ」
「増やすって……ああ、なるほど」
「ふふーん。でわでわ」
ぱっと魔法で星を作り出す。
「流石、綺麗な星だわね」
「今夜は幻想郷中に星をばら撒くんだぜ!」
そう、今年の七夕は私が一番前にでてやる。
だから織姫と彦星には悪いが星を撒き散らしてキラキラにするんだ。
「じゃあ、ちょっくら一周してくるぜ!」
スターダストレヴァリエ!
凄い勢いで星が飛ぶ。

人里を越えて、神社へ到着。
「なんだ?また宴会やってやがる」
「あ、魔理沙。降りていらっしゃい」
「おう、今行くぜ」
ふわっと、足を着ける。
「またずいぶんと派手ね。あんたらしいけれど」
「本日限定の特別仕様だ」
「へぇ。何がしたいの?」
「ただの飾り付けだ。目立ちたかったからな」
「やっぱり……あんたもお酒飲んでく?」
ここにいる連中はほとんど酒が回り、ヘロヘロになっている。
「わりぃ、飲酒運転はダメだからな」
「まだどこかに行くの?」
「幻想郷一周の旅だぜ」
「これまたあんたらしい。異変なんて起こさないでよね」
「大丈夫だぜ~っと、じゃ!」
またしてもスターダストレヴァリエを唱え、星を撒きながら移動する。
迷いの竹林の上空を通過し、妖怪の山を回り、魔法の森へ戻る途中、後方から誰かが近づいてくる。
「だれだ?」
まぁフルスロットルの私に追いつけるやつなんて一人しかいないが…
「すみません、なんで星を撒いているのですか?」
横につけたのは予想通り新聞記者だった。
「ん?いい記事になるだろ?」
「たしかに綺麗な写真を撮らせていただきました。なので是非インタビューを」
「なに言えばいいんだ?」
「星を撒く理由を」
「七夕だからだな。以上!」
速度でこいつを巻くのは無理な話。
だが機動性は私のが勝っている。
ぐっと箒を起こすと左側にひねり込み、急降下へ転じる。
「あ、待って…」
「あはは、じゃあな!」
急降下を続け地面ギリギリで引き起こす。
後方に天狗の姿は無い。
やれやれ、と前を向き直ると、見覚えのある森が広がる。

「おーい!遊びに来たぜ」
「いらっしゃい。来ると思っていたわ」
「そいつは光栄だ。どうだ、七夕を満喫しているか?」
「そこそこ、ね。ここからじゃ空が見にくいのが残念だわ」
「星が見れないってか?」
「そうね」
ふう、っとため息をもらすアリス。
私で足りないなら本物が見えるところまで行けばいいのに。
「そだ。今霊夢が宴会やってるから一緒に行こうぜ!星も見れるし」
「あ、それいいかも。付き合ってくれる?」
「私は構わん。そうと決まればレッツゴーだ」

アリスと並び空を翔る。
こうしてペースをあわせて飛ぶと永い夜の事を思い出すな。
私が一人でそんなことを考えていると、
「ところで魔理沙、あなたいつも以上に星って感じね。どうして?」
「一番星だぜ」
「一番星が流れていていいのかしら?」
くすっと笑うアリス。
「いいんだぜ。一番目立って、一番派手で、一番分かりやすい星だから」
「まったく…」
「お、そうだ。紅魔館の連中も誘うか。人数多いほうが楽しいし」
「いいんじゃない?七夕の宴ね」
「よっし、了解!」

神社に押しかけたときには先ほどの宴会は終了しており、霊夢がのんびりとしていた。
「霊夢!二回戦だ!」
「?……はぁ?!」
勘弁してくれといわんばかりの表情だったが、私達の勢いに折れた。
「折角片付いたと思ったのに、ひどいわね」
「いいじゃないの。たまにはさ」
「そうですよ。楽しいじゃないですか」
「そうだぜ、みんなこう言ってるんだ」
「あ…ん…た…た…ち」
こうして霊夢が快く宴を開いてくれたおかげで、七夕の夜は盛り上がった。
「よーし!星打ち上げるぞ!星!」
「じゃあ私はナイフを打ち上げるわよ!!」
「なら私は人形!!!」
みんな酔っ払って色々打ち上げた。全部降ってきて痛かった。
「あんた達、変なもの投げてないで賽銭を投げたら?」
ほろ酔い程度で自分を保っている霊夢がドサクサ紛れに催促した。
「そんなの死神に頼め~。湯水の如く小銭を投げるからなあいつは」
「あれ小銭だったの~??」
「どうみても小銭ですよ~」
「酔っ払い相手じゃ話にならないわね」
霊夢も諦めたようだ。

この時私達は誰一人としてフラッシュとシャッター音に気付かなかった……

――――結局七夕、楽しければ良し。みんな楽しかったから良し。
以下、短冊から抜粋。

お賽銭が増えますように  博麗霊夢

月に行きたい  レミリア・スカーレット

もっと遊びたい  フランドール・スカーレット

本を持っていかないで下さい  パチュリー・ノーレッジ

一生メイドでいられますように  十六夜咲夜

名前を覚えて貰えますように  紅美鈴(ほん めいりん)

最高の友人と、いつまでも寄り添えますように  アリス・マーガトロイド

強い人間になって、みんなと肩を並べられますように  霧雨魔理沙

皆さんに許してもらえますように  射命丸文


翌日、配られた新聞を見て殴りこみに行こうと思ったが、七夕の夜に免じて目をつぶった。
今回、ちょっと平坦な感じになっちゃったかなと反省しております。

先日、地元の七夕祭りに数年ぶりに行ってみたら飾りつけが昔と変らずに綺麗だったもので、
幼い頃のなんとなく胸が高鳴る感覚を表現できたらと思いましてこのssを書きました。

男前で、努力家で、乙女な魔理沙が好きです。

読んで頂いた皆様、ありがとうございました。
夢之国観光
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コメント



0.760簡易評価
5.100煉獄削除
そういえばもう、七夕の季節なんですよねぇ・・・。
魔理沙もこの日は大忙しですね。
でも魔理沙らしくて面白かったです。

脱字の報告
>お願い叶ういいな。
→お願い叶うといいな。
8.70名前が無い程度の能力削除
スターダストレヴァリエよりミルキーウェイの方が
11.80名前が無い程度の能力削除
山は早苗さんの担当ですね
16.無評価夢之国観光削除
コメント及び評価ありがとうございます。

脱字報告ありがとうございます。
修正させていただきます。

>ミルキーウェイ
僕としてもミルキーウェイを使おうかと思ったのですが、天の川二つはどうかな?と変なところで悩んだ為にこのような結果に…(苦笑

>山
騒ぐのが好きな人が多いですから。幻想郷はw