<このお話を読む上での注意>
※ジャンル:萌え萌えハートフルラブストーリー
※作者は、精神的な面で疲れ気味です。
※思いっきり媚びに媚びた「萌え要素」だけが全ての、何ともいやらしく、あざとい話です。
そういったものが許せない硬派な方、正統派SSを求める方はすぐに引き返すことをお勧めします。
「気にしない、俺は洒落のわかる奴だぜ」「内容なんかどうでも良い。萌えを読ませろ」と言う方は、
どうぞお読み下さい。
では、めくるめく萌えワールドへ……
この夏、萌えから始まるピュア・ストーリーをあなたに。
<#1:初恋>
――困ったことになった。
その日、私はいつものように神社へ顔を出そうかと我が家から出て箒に手をかけた。
手馴れたもので、何も考えなくとも身体が勝手に定められた手順を踏んでくれる。
これと言って用事があるわけではないが、それは向こうも同じことだろう。
今日もまた適当に世間話をしつつ、お茶でも頂こうかね……などとぼんやりと思っていたところ、
ふと違和感を感じた私は動きを止めた。
ん?……なんだ、これは。
どうしてこんなものが、唐突に生えているんだろう?
まじまじと見つめてみる。
まるで取って付けたかのように、周囲から浮いている“それ”。
指先でチョンチョンと突いてみる。
柔らかい。
血が通っているかのような仄かな温かみさえ感じられて、それが何だか不気味だ。
「……ネコミミだ」
そう、何の前触れもなく、いつの間にか生えていたのである。
ふにふにのネコミミが――
私が愛用している箒の柄に。
――これは困ったことになった。
<#2:心の悲しみ>
これは何らかの異変の前触れだろうか?
ついこの間も、地震絡みで一悶着あったばかりだというのに。
もちろん、何か騒ぎが起きてそこへ顔を突っ込む、というのは嫌いじゃない。
しかし、それも時と場合によるというものだ。
こんなに静か、かつ唐突な発端ではちょっと困ってしまう。
私は出来るだけ平静を装いながら、いつものように箒をかっ飛ばした。
風に煽られて、柄の先っぽに生えたネコミミが小刻みにブルブルと震えている。
波打つ柔らかな毛並みは、風に吹かれて揺れる芝生のようだ……
なんてポエムじみたことを考えたが、それで何がどうなるわけでもない。
「ネコミミ、芝生~やっほほー♪ 眩暈がするほどロマンティックだぜー♪」
ちょっとセンチメンタルな気持ちになった私は、即興でネコミミ芝生の歌を歌いつつ進むことにした。
まあ、これくらいの事は多感な十代の少女にはよくあることだ。
さて、アドリブで続けていた歌が五回目のサビに差し掛かろうとした辺りで眼下に神社が見えてきた。
ネコミミ箒はそこそこ話のタネにはなるだろうが、さて、どうしたものか。
私は境内に着陸すると、神社へ向かって歩き出す。
……ほどなくして、縁側でこちらに背を向けてなにやらゴソゴソしている霊夢の姿が目に付いた。
ん? 何やってんだ、あいつ。
まあいいや、今日はこの箒の話でもして直す方法を一緒に考えるとするか。
「おーい、霊夢――」
と、私が声をかけた途端に霊夢はぐいん! と勢いよく振り返り、珍しく慌てた様子でこう言った。
「あっ、魔理沙……ちょうど良かった。こっちへ来て」
「どうしたんだよ、お茶っ葉にカビでも生えたのか?」
「違うの、ほら。これ」
そう言いつつ霊夢が突き出したのは、
――ネコミミが生えた陰陽玉だった。
私はすっかり動転してしまった。
「ノォォォォォォォーーーーッ!!」
「ちょっと、どうしたのよ急に……」
「霊夢もすでにやられていたのか。これを見てくれ」
「箒にネコミミが……!? どういうこと?」
「そりゃあこっちの台詞だぜ。さっぱり分からん」
霊夢はひどく深刻そうな表情で、私の箒にくっ付いたネコミミをつまんだり引っ張ったりしている。
そんなに真面目に考えてくれるなんて……やっぱりアレだな、持つべきものは友だt
「……けっこう可愛いわね。良いんじゃない?」
「いやいやいやいや」
何を言うかと思ったら、まったくこいつは。
「少なくとも、私の陰陽玉に付いてるやつよりは見た目がファンシーだわ」
「霊夢の口からファンシーなんて単語を聞くことになろうとは……」
「でも、冗談は抜きにして何か変よね。私たち自身じゃなく、手近な物に生えるってのもおかしい」
「異変なのかなあ、これも」
「さあねぇ……うーん、私達だけで考えてても埒が明かないわ。一緒にみんなの様子を見に行かない?」
「そうだな。まずは行動あるのみだぜ」
話はまとまった。
思わぬ展開になったが、霊夢と一緒なら解決の糸口が見つかるかも知れない。
何だかんだで最後には丸く収めてしまえるのが、こいつの凄いところなんだし。
……と、霊夢と一緒に出発しようとしたところで新たな顔が加わることになる。
ちょうど境内に降り立ったのは、私達にとって馴染み深い顔――アリスだった。
ここまで来ると、もう偶然とは考えにくい。
きっとアリスにもネコミミの魔手が……!
「アリス。どこに生えたんだ?」
「出会い頭にその質問ってことは、二人もそうなのね。これを見て」
険しい表情で、アリスはいつも大事に持ち歩いている魔導書を掲げて見せた。
「なっ……!」
「Oh, Jesus……」
本に耳が生えると、ここまで珍妙な空気を醸しだすものなのか。
おなじみの人形達にネコミミが付かなかったのは、果たして幸か不幸か……。
私達もアリスに応えるようにして、それぞれのネコミミアイテムを見せた。
「やっぱり変だわ。何かあるとしか思えない」
「私達も、今その話をしてたところだ。どうだ、一緒にみんなの様子を見に行かないか?
何か解決する手がかりを掴めるかもしれないしさ」
「そうね……分かった、一緒に行くわ」
こうして、急遽“ネコミミ異変?(仮)調査部隊”が結成されたのである。
<#3:Tシャツ炎上>
「ネコミミ、芝生~やっほほー♪ 眩暈がするほどロマンティックだぜー♪
箒に魔導書、陰陽玉~もふもふするほどサディスティックだぜ~♪」
……我ら調査部隊のテーマソングである。
当初、霊夢とアリスは歌うことをゆるゆると拒否したが、いつの間にかハイになり三人で合唱しながらの道中と相成った。
歌いながら確信した。
これはいける。
先日、文々。新聞で大々的に報じられた“神に、胸キュン。 -諏訪気なバカンス-”の幻想オリコンへの
ランクインに続くニュースになるに違いない。
と、のんびり進む私達の視界に黄色い海が広がった。
一面に広がる向日葵の中に、幽香がぽつねんと立っているのが見える。
「あいつにも話を聞いてみましょ」
「そうね」
「あいつはどこに生えてるんだろうなあ……(すでに決め付けている)」
先に結論から言ってしまおう。
傘だった。
元祖マスタースパークをぶっ放した、あのごんぶとパラソルに可愛いネコミミが付いていたのである。
私達三人は、想像を絶する恐ろしい光景に一様に言葉を失った。
「うわぁ……(三人ともに)」
「――何よ」
「傘か。良かったよな、その立派な胸とかに生えなくて」
「一歩間違ったら、この辺り一面の向日葵がネコミミプラントになっていたかも知れないわ……」
「あ、いま笑ったでしょ。私の傘見て笑ったわね!?」
別に笑ってなどいない。
どうやら幽香は、ネコミミの魔力に当てられて冷静さを失っているようだ。
だが案ずることはない。
私が知る限り、この幻想郷で冷静に生きてる奴なんざ一人もいやしない。
まあ、それはそれで困ったもんだな、と思案していると――ふいに私達の上空がぐにゃりと歪んだ。
「父さん! 妖気を感じます!」
「こやつ、妖怪じゃ!」
妖気を感じますって、アリス。お前も妖怪じゃないのか。
そして何故にそんなに息の合ったアドリブを見せるんだ、霊夢。
私はちょっと嫉妬しちゃったぜ。
ぐにゃーん。
「探したわよ、霊夢。神社に行っても居ないから……ちょっと見て欲しいものがあtt」
――そして、私達は見た。
いつも紫が出てくるスキマの両端が、見慣れたリボンではなく、ネコミミになっているのを。
ミルクを張ったお盆に墨をたらすが如き速さで、私達の心に恐怖が忍び込んできた。
これは想像以上の事態になっているようだ。
こうしてはいられない……一刻も早く、事態を把握しなくては。
私達は風のようにその場から飛び去った。
何故かひどく怯えた幽香まで付いてきたので、四人目の隊員として調査行に加える運びとなった。
「ほら、見てよ霊夢。私のスキマを見て、こう……何か言うことはない? ……あれ? みんなどこへ?」
<#4:故郷を遠く離れて>
紅魔館が見える位置までやってきた私達は、あまりの惨状に言葉を失った。
なんと、館そのものに巨大なネコミミが生えていたのである。
「何だ、ありゃあ……これはいよいよただ事じゃないぜ」
「住人達はどうなっているのかしら。気になるわね」
アリスの言葉に皆が一様に頷き、慎重に館へと近づいた。
門の前までやって来たが、見慣れぬ立て札があるのに気が付いた。
“仔馬館”
汚い字だ。
鼻で笑うことさえ出来ない。
ここはいつからポニーとお散歩する牧場になったんだ。
幽香はこの小ネタがよほど腹に据えかねたのか、奇声を発しながら傘で立て札を壊し始めた。
こいつも色々、ストレスとか溜まってるのかな……世の中世知辛いぜ。
私と霊夢、アリスの三人は、ただ無力に暴れまわる幽香を見つめることしか出来ない。
狂ったように傘を振り回す幽香の瞳から、一筋の涙が流れた。
何故か私は、その涙を美しいと思った。
<#5:家族の食卓>
幽香は、結局スペルなど一切使うことなく立て札を壊しつくした。
……すごい乙女だ。
と、ここで不可思議な出来事が起きた。
壊れた立て札の破片がふいに輝きだし、空中で再構築され始めたのだ。
そして立て札は、いつの間にかレミリアの形になっていたのである。
「ワタシ レミリア ワタシ レミリア」
「だっ、誰?」
おいおいアリス、つい今こいつ自己紹介したじゃないか。
「カワイイデショ カワイイデショ」
「そうかしら……?」
霊夢、質問を質問で返すのは良くないぜ。
「サガシニ イコウヨ サガシニ イコウヨ」
「えっ、何を?」
幽香、お前って案外律儀にトークに参加してくれるんだな。
「モケーレムベンベ モケーレムベンベ」
何故かいちいち二回繰り返して話しかけてくるところに、言いようのない恐怖を感じる。
――と、どこからか馴染みのある声が……
「お嬢様、お止め下さいっ!」
スコーン。
リピートレミリア(新称)の額に、柄からネコミミを生やした銀のナイフが突き刺さった。
うわあ、容赦ねえな。うわあ、容赦ねえな。
……あれ? ……あれ?
なんでだろう、猛烈にモケーレムベンベのことが気になってきたぜ!
私達の冒険はこれからだ!
<#6:人生は地獄だ>
……魔理沙がいきなり「モケーレムベンベ探さなきゃ」と口走って離脱してしまったので、
ここから先の出来事は私、アリス・マーガトロイドがダイジェストでお伝えするわね。
紅魔館で、レミリアの偽者(だと私は信じたい)はメイド長のネコミミナイフで退治されたの。
彼女は主に刃物を向けたことを泣きながら詫びて、太陽に向かって五体投地すると動かなくなったわ。
私達はその光景を目に焼き付けて、泣きながら紅魔館を後にするほかなかった……。
その後、私達が夕暮れまでに遭遇したネコミミクリーチャーの詳細を、以下に記しておきます。
頭脳明晰な誰かが、この謎をいつか解明してくれることを期待しているわ。
全てはどこかで繋がっている。
一見無関係に見えるものも、何らかの手がかりになると私は信じたい。
・鈴仙・優曇華院・イナバ……ウサミミの先端にネコミミが生えていた。本人は「今日はやけに頭が重いと思っていた」と証言。
・因幡てゐ……鈴仙と共通項を持ちたかったのか、何の変哲もないウサミミを「これはネコミミだ」と執拗に言い張る。
・射命丸 文……ネコミミクリーチャーを撮影中、自分の下駄にもネコミミが生えていることに気付く。
興奮しながら自分で下駄を撮影しようとして、空中でバランスを崩し木に激突。
・伊吹萃香……角の根元から先端まで、びっしりとネコミミが生えていた。
本人は霊夢たちに教えられて初めて気付いた模様。「ゴジ○の背中みたいだね!」と呑気にコメント。
・八坂神奈子……オンバシラにネコミミ。
・洩矢諏訪子……ケロヨン帽にネコミミ。
・東風谷早苗……腋からネコミミ。これは特異なケースと思われる。本人はさほど動じておらず、前述の二柱と
記念写真を撮影する余裕を見せた。霊夢いわく「きが くるっとる」
・小野塚小町……胸からネコミミ。これも特異なケースである。何故か彼女を見た幽香は、胸元に視線を走らせひどく動揺していた。
・四季映姫・ヤマザナドゥ……浄玻璃の鏡からネコミミ。「仕事に支障が……」と嘆く。
・魂魄妖夢……刀の先端にネコミミ。本人は「何かの呪いでは」とひどく動揺していた。
・西行寺幽々子……西行妖にネコミミ。本人は「冥界ミステリースポットね!」と呑気にはしゃいでいた。
・モケーレムベンベ……妖怪の山の麓に流れる川に出現。頭部に明らかなネコミミ。
・比那名居 天子……要石にネコミミ。なお、モケーレの後という順番には何の他意もない。
<#7:さよなら>
私達は前述のネコミミクリーチャーたちと遭遇して、
「これはデビルドクターヤゴコロが秘密裏に散布した闇の新薬のせいではないか」
「橙が秘めた力を解放したのでは」
などと討論したけれど、いずれの推論も核心に至るものではなかった……。
夜空に丸い月が出るころになると、
霊夢は「ネコミミ陰陽玉も良いかもしれない」、
幽香は「宇宙人に“トウモロコシ買って来い”って命令されたけどどうすればいい?」
などと口走り始め、“ネコミミ異変?(仮)調査部隊”はめでたく解散することになったの。
――まあ、深く考えたら負けよね。
結局、なし崩しにみんなで神社へ戻ることになって……
いざ神社へ戻ってみると、何やら境内の辺りから賑やかな声が。
まあ大体の想像は付いていたけれど、覗いてみると――
モケーレムベンベに跨った魔理沙を中心に、ネコミミクリーチャーやらその関係者の皆さんやら、
何の関係もない人妖の皆さんが勝手に酒盛りを開いていたのでした……。
いつから神社は無許可で使用しても良い宴会場になったのかしら。
魔理沙もさすが、手が早い。
もうモケーレムベンベを手なずけているとはね……傍らでレミリアとブンブンサテライツさん(あれ、違う?)が妬んでいるわよ。
まあここまで来たら、一杯やって行こうかしら。
今日一日あちこち動き回って、何にも得るものが無かったというのも悲しいしね。
結局なんだったのかなあ、と溜め息を吐きながら、私は爆心地(個人的に、宴会の中心地を私はこう呼んでいる)
から少し離れたところに腰掛けた。
ふと手にした魔導書を見てみる。
相変わらずネコミミが生えたままだ。
いったいどうしたものか……。
――そして、私はひどく後悔することになった。
見てしまったのである。
魔導書に生えていたネコミミが滑るように移動して、そばに置かれていた日本酒のビンにくっ付くのを――
ネコミミは視線を逸らすことが出来ずに固まっている私に、こう語りかけた。
「今のカーブ、良かったですよ。では次のチェックポイントですね。そこのT字路を直進して下さい」
あ……ああ……ああああああ……っ!!
身体の震えが止まらない。
歯がカチカチと音を立てている――
私は、日本酒のビンを握り締めると声を限りに絶叫した。
「サクリファイッ!!」
"NEKOMIMISM" is Never End.
わからねえ、わからねえよ兄貴ッ
ゲゲゲのレイアリに噴いた
いやぁ、しかばねさんワールドですねぇ
うふふ。
ネコミミ移動すんなww
てか結局てゐにはネコミミはえてなかったのか・・・?
おれも きが くるっとる。
しかし…すごい乙女だ(師範的な意味で