この作品にはシリアスな展開が含まれています。シリアス展開が苦手な方はご注意ください
「本当に、良いのかしら? 私なら、お前を救えるのよ?」
お嬢様が私にそう告げるのは、何度目のことになるのだろうか
「いえ、私は人間ですので・・・」
そして、私がそう返すのも、何度続いたことか知れない
「そう・・・そうね。貴女は人間として死んで逝くのだものね」
「ええ・・・申し訳ありません」
「良いのよ。貴女は人間で、私は妖怪。いずれこうなるのはわかりきったことだったもの」
ならばなぜお嬢様は私に尋ねるのだろうか・・・。それすらわかりきった理由で、私は考えるのをやめた
「それにしても、貴女がいなくなると大変ね。フランやパチェの相手を私一人でしなきゃいけないとなると、考えただけで骨が折れるわ」
ベッドに腰かけてお嬢様が言う。ベッドに横たわるのは私。時間に操られている、私
「大丈夫ですよ。紅魔館には私以外にも優秀なメイドがいますし、美鈴だって居ますから」
もしも、時間を操る様な人間がいたとしたら、どうなるのだろうか。自らの時間を止めることで、永遠を手に入れる事が出来るのだろうか。もしそうだとしても、いずれ代償が必要になるのだろう
「・・・貴女に言われなくても、わかってるわよ」
お嬢様の声が震えていることに気づいて、私はお嬢様の方を見た。だけど、その視界には何も映らない。そうか、時が来たのか。だからさっきから、何も視えていなかったのか
「・・・お嬢様?」
私はお嬢様に話しかける。いつだって傲慢で我儘で、たった一人の私の主人へと
だけど――
「・・・嫌だ」
我儘だからと言って、何もかもが赦されるわけではない
「嫌だぁっ! 咲夜が死んじゃ嫌だ! 咲夜が居なくなっちゃ嫌!」
「――お嬢様」
あぁ、きっと
「何でそうなのよ! 何で生きたいと思わないの?! 何で私の手から零れていくのよ!」
お嬢様は、私の為に泣いてくださっている
「わかったような口を聞いて! 何様のつもりなのよ! 貴女は私のものなのよ!」
お嬢様が、泣いている
「お嬢様・・・」
私はゆっくりと手を伸ばす。大丈夫、まだ触れられる。私のお嬢様に、触れていられる
「さくっ・・・やぁ・・・!」
触れたのは、涙だったのかも知れない。指先が、冷たく濡れる
「申し訳ありません、お嬢様」
「なんで・・・謝るなら、そう思ってくれるなら――!」
あぁ、愛おしい。お嬢様が、愛おしい。この方は間違いなく、私が仕えるに値する
「私のためを、思ってくれるなら――!」
だけど、叶わない
「それでも私は――人間ですから」
「――――」
お嬢様が、私の手を握ったような気がした。あまり、感覚がはっきりとしない
「そう、ね。わかってるわ。私も、情けないわね・・・」
お嬢様が立ち上がった気がする。伸ばした手は、どこに行ったのかもわからない
「咲夜――」
お嬢様の声が、する。答えることは、出来ない
「お疲れ様。ゆっくりと――休みなさい」
答えることができなくて、それでも、応えるなら
「――仰せのままに」
私は、最後まで彼女の所有物でいよう
「――死んだのね」
「あぁ、死んだ。全く、面白くない最期だった」
「そう、それじゃ、美鈴が悲しむわね」
美鈴だけじゃない、咲夜をメイド長と慕っていた者全てが悲しむだろう
「全く――揃いも揃って、妖怪妖精失格だな」
人間が死んだくらいで、妖怪が、妖精が泣くなどと――
「何よ、その語呂の悪さは?」
それに、とパチェが続ける。その表情は、いつもと変わらない
「吸血鬼と、魔法使いが抜けているわ」
いつもと変わらないが――
「そうね・・・うっかりしてたわ」
全く、揃いも揃って情けない
人間が死んだくらいで――なんで
「ねぇ、パチェ」
「何、レミィ?」
「私は知っていたわ。咲夜が死ぬことも、私がそれを見届ける事も」
「そう」
だと言うのに――なんで
「なのにどうして――こんなにも辛いのかしら?」
視界が、歪む
「・・・私は、本に載ってないことは知らないわ」
パチェは咳を混ざらせながら答える。それは、彼女らしい返答だろう
「そうね、ごめんなさい。つまらない事を聞いたわ」
「だけど――」
それでも答えるなら、と彼女は言った
「その辛さは、私も知っているわ」
私から、何かが一粒、零れた
「――揃いも揃って、ね」
「全くだわ」
人間と生きるとは、そう言うこと
「それにしても、どうすればいいのかしらね?」
「私に聞かれましても・・・」
「だって私、こんなに広いお庭の掃除なんてできないわ。食事だって、貴女がいなければ作れないもの」
全く、最後の最後まで、この人は私を困らせる。もしかしたら、困るために自分がいるのではないかと錯覚してしまうほどだ
「良いですか、幽々子様? 貴女は食べなくても平気ですし、掃除だって幽霊たちがやってくれますから。幽々子様が働いた方がみんなの迷惑ですからね」
「あら、平然と酷い事を言うのね・・・。さすがの私も傷つくわよ?」
また白々しい事を・・・。くすくすと笑う主の顔が、いつも通りなのを見て、私は思わず微笑んだ
遂に咲くことのなかった西行妖の前で、私たちは寝転がっていた。なんで寝転がっていたのかは、覚えていない。周囲の桜から舞い散る花びらが、私たちを埋め尽くそうとしていた
「全く・・・先が思いやられます」
「そうね、私もそう思うわ」
私たちは、笑い合う。いつものように、いつまでも続くと信じた、今までのように
そんな、素晴らしい一時が。掛け替えのない、一時が
――やっぱり、終わる
「・・・本当に、心配ですよ」
「・・・心配性ね、妖夢は」
半人半霊は、人よりも永く生きる。人よりも永く、生きていく。だからこその、白玉楼の庭師
だけどそれは――永遠が赦されているわけではない
閻魔に永遠が赦された幽々子様とは、違う
「いつか来ることはわかってました。いつか必ず、この日が来ることが」
私は眼を閉じると、腰の短刀に手を触れた。大丈夫、迷いはない
「だから――心残りはありません。貴女に仕えられて、私は幸せで・・・」
「妖夢――嘘吐きは、泥棒の始まりよ?」
「ぁ――」
――駄目、だ
「・・・幽々子、様」
「貴女はいつまで経っても半人前。私を困らせるし、世話も焼けるし、おまけに不器用だわ」
――幽々子様には、通じない
「だけど、それで良かったのよ。貴女が半人前だからこそ、私は私でいられたの」
――私の刀は、通じない
「ゆゆこさま・・・」
「だから――大丈夫よ。なんでも言って御覧なさい?」
私は上半身を起こして、幽々子様の方を見た。その顔は、いつもと変わらずに微笑んでいて。その表情に、私は、私は――
「私は――」
「何かしら、妖夢?」
私は――
「私はっ! 貴女に仕えられていれば良かった! 貴女の傍に居られれば良かった! 貴女の笑顔を見ていられれば良かった!」
私は、どうしてこんなにも――
「私は半人前でもよかった! 貴女に甘えられて嬉しかった! 貴女に頼られて幸せだった!」
こんなにも――半人前なんだろうか
「私は――ずっと幽々子様の傍に、居たかった――」
「そうね。私もそうよ」
幽々子様が、私を抱きしめてくれて――
私は、涙をこらえられなくなった
「ゆゆ・・・さまぁ・・・!」
みっともない。情けない。不甲斐無い
いつまで経っても――半人前
「見て、妖夢。桜が、すごく綺麗」
私は、幽々子様に言われて顔をあげた
「西行妖が――」
舞い散る花びらは、西行妖をも彩っていた
まるで、西行妖そのものが開花したかのように
「妖夢、可愛い妖夢。私は貴女がいてくれて、幸せだわ」
それは、未来永劫変わらない
「幽々子様・・・」
「妖夢、ありがとうね」
いつかくることは、わかっていた
こうなることも、わかっていた
だから私は――泣きじゃくる
幽々子様に――抱きついたまま
「ゆゆこさまぁぁあああ・・・!!」
「あらあら・・・困った子ね」
桜の花びらが、凄く、綺麗だった
「・・・あの子は、最後まで半人前だったのね」
紫が唐突に現れて言った。紫らしくもない、顔が曇っている
「そうでも、ないわ。あの子は立派だった――」
何故紫がそんな顔をしているのか。原因は私であることは、言うまでもなかった
「それは、どんな比喩かしら?」
あの子は、妖夢は半人前だ。最後まで、半人前のままだった
だけど、それでも――
「だって、あの子の刀は――」
胸がこんなにも、痛むから
「私に確かに――届いていたわ」
私はそっと、涙を流した
「幽々子、貴女・・・」
紫はそっと私の涙をぬぐった。全く、本当に紫らしくもない。それはそれほどまでに、私が酷い顔をしているからなのだろうけど
「辛くは――無いの?」
紫の言葉に、私は首を振った
「辛いと言えば、それはあの子のことを忘れることになるわ。私は、あの子のことを忘れてはあげないの」
みっともなくて、情けなくて、不甲斐無くて
愛おしいほどに――半人前
「だから、この辛さは――私の幸せよ」
「・・・そう、ね。わかったわ」
紫は、辛そうな顔をしながらスキマを開く。私は紫に尋ねてみた
「紫は――辛くないのかしら?」
「――知っているでしょう?」
紫はスキマの向こうへとその身を移す。最後に、言葉を残したまま
「貴女と――同じよ」
・・・そう、貴女も、同じなのね
「よう、む・・・」
『はい、幽々子様!』
「妖夢――!」
舞い散る、桜が、凄く、綺麗だった
人間と生きるとは、そういうこと
「情けないわね、こんなことも一人で出来ないなんて」
「余計な御世話だぜ・・・。大体、誰が頼んだんだよ?」
背中を支えられて、私はようやくベッドから体を起こす。体さえ起きれば、あとは大丈夫だ。支えられることなく、自分の力でベッドから降りる
「頼まれなければ頼まれないで鬱陶しいものなのよ。無言の訴えってものがあるもの」
「それでわざわざ私の家まで来るか・・・? 私はテレパシーでも習得したようだな」
唐突に、咳が私を襲う。体中が、痛む
「ちょ・・・っ! 大丈夫なの、魔理沙?」
「よくあることだ、気にするな・・・」
そう、よくあることだ。一人で起き上がれないことも、ただの咳で体が悲鳴を上げる事も
「お前にはわかんないかも知れないけど、な」
人間なら、遅かれ早かれ――こうなることはわかっている
「・・・そりゃ確かに、私は人間じゃないわよ」
「あぁ、悪い。そう言う意味で言ったんじゃないんだ」
ったく、やりづらい。最近のこいつはどこかがおかしい。どこかと言われたら、よくわからんのだが
「で、今日は何をしに来たんだ?」
「今日もしっかりと人間してるのかどうか確認しに来たのよ。その様子だと、要らない杞憂だったみたいね」
「余計な御世話もここまで来るとありがたみが・・・やっぱないな」
本当に、こいつは何をしに来てるんだ? ここんとこ毎日この様子だ。やりづらいったら、ありゃしない
「いい加減に何の用なのかぐらい言ったらどうなんだよアリス・・・」
「別に・・・これといった用があるわけじゃないわよ」
「そんな見え見えの嘘を誰が信じるってんだ? 用がないならとっとと帰ってくれよ・・・」
「何よ、世話ぐらい焼いたっていいじゃない? 今のあんたは一人で生きられるような体してないんだからね」
つまり、孤独死なんかされたら目覚めが悪くなるってとこか? それにしちゃぁ毎日来る理由がないと思うんだが・・・
「まぁ、良いか・・・。アリスが変なのは今に始まった事じゃないしな」
「失礼ね・・・あんたに言われたくはないわよ」
「そりゃそうかもしれんな」
ふぅ、と私はため息をつく。その様子にアリスは目を見張る
まただ、私はすでに気がついていた
私がおおよそ老化と呼んで差し支えない現象を晒すと、アリスはそれに過剰に反応する。それがどんな些細なことであってもだ
「・・・ねぇ、魔理沙?」
お? いよいよ何か話してくれるって言うのか?
「何だ藪から棒に・・・って、それは今更か」
少しだけ展開を期待した私に対して、アリスが言いづらそうに放ったのは、予想の斜め上を直交した
「・・・外に出ない?」
「はぁ?」
寒い。私は素直にそう思った。何しろもうじき冬だ・・・ましてや老体に堪えることぐらい、アリスにだってわかってるだろうに
「わざわざ外に出したからには・・・何の用もないじゃ済まされないぜ?」
私はアリスに釘を刺す。幸い、今日は体調が良かったのでそんなには辛くない。アリスはどこか暗い表情で私に答えた
「わかってるわよ・・・」
・・・歯切れが悪い。私は徐々にイライラしてきた
「おいおい、いい加減にしてくれよ。私はもう若くないんだ。お前の気まぐれにつきあってられる体力なんて・・・」
「・・・それよ」
私の言葉を遮って、アリスが悲しげに言う。なんで、悲しげなんだ?
「それって・・・。話を戻せ、ここは幻想郷だ」
「なんであんたは、そんなみっともない様を晒してるのよ?」
私の体は、衰えてしまった。アリスの体は、変わらない
「何の為に知識を求めたのかしら? 何の為に生きてきたのかしら? 貴女の望みは何だったのかしら?」
「アリス――?」
唐突に、アリスは激昂する
「なんでっ! 何であんたは死のうとしてるのよっ! 消え去ろうとしているのよ!」
人は、老いれば死ぬ。当然の理ことわり――
「何の為に生きてきたのよっ!? 何で魔法使いになったのよ!? 何であんたは――!」
「・・・・・・・・・」
だけど――魔法使いは死なない
「何か言いなさいよ・・・!」
気づけば、アリスは泣いていた。ぼろぼろと、泣いていた
あぁ、やっぱりそうか。こいつは――私が死ぬことが許せないんだ
いつか私が、妖怪としての魔法使いになると、信じていたのだろう
だけど、実際は――
「・・・アリス、私は人間だ。私は人間なんだよ。いつか消えていかなくちゃいけないんだ。それはお前だってわかってることだろう?」
「なんで――」
アリスは私の言葉に目を見開く。そんなことは知っているのに。そんなことは知りたくもないのに
「不老の命。永遠の知識。それは確かに、魅力的さ。だけど――」
人は死ぬ。妖怪も死ぬ。だけど、そこには大きな違いがある
「だけど私は――人間だ」
妖怪とは――生きられない
「――――」
アリスが俯く。それはほんの一瞬の出来事。顔をあげたアリスの顔は、悲しい笑顔を浮かべていた
「いつか――こうなることはわかってたのよ。あんたは人間として死んでいくだろうって、どこかで気がついてた」
普通の人間以外にすら、私はなれなかった
「だから――こうなることはわかってたのよ。あんたが人間として死んでいくのを見届けるしかないって」
それはきっと、私が弱いから――
「なのに――こうなることがわかってたのに。あんたが人間を選ぶことなんてわかりきってたのに」
私が、耐えられないからだ――
「なんでこんな――!」
「アリス――」
妖怪と人間は、共には暮らせない。それはわかりきったことである。妖怪も人間も、それを認めて暮らしている
だから妖怪は、人間が死んだくらいで泣いてはいけない。自分が生きている間に、どれほどの人間が死んでいくと言うのだろう。いちいち泣いていたら、きりがない
余計な感情移入をしてはいけないのだ。妖怪と人間は相容れつつも、相容れてはいけないもの。そんなわかりきった――こと
「なんでこんなに――胸が痛むのよ!」
だけどアリスは――元々人間だ
人間の感情を持つ者が、悲しみを捨て去れるわけが、無い
「私を――独りにしないでよ」
「・・・私が消えても、みんながいるだろう? 紫やレミリア、幽々子の奴だって居るんだ。お前が独りになるわけじゃ・・・」
「その中で私だけが、人間なのよ?」
今、なんと言ったのか
今アリス・マーガトロイドは、なんと言ったのか
「アリス、お前――」
「私だけ――妖怪になりきれない」
人が死んでいくことに――耐えられない
「私だけ――遺される」
「――何が言いたい?」
これ以上は駄目だ。これ以上は、許されない。この幻想郷では、赦されない
もう、くだらない茶番は終わりだ
「いつまでもお前の感傷には浸ってはいられない。お前の悲しみはわかる。だけど、それはお前が選んだ道だ。私には選べなかった道だ。だから、私に覆せるものじゃない」
結論を――聞こう
「アリス、アリス・マーガトロイド。お前は私に――何が言いたいんだ?」
感情を殺して、私は訪ねる。きっと、それが私の役目だろう
アリスは悲しげな顔のまま、告げた
叶わぬと知った――願いを
「私を――独りにしないでっ!」
「全く、今日も今日とて良く来たな?」
「今日もしっかり人間してるのか見に来たのよ。どうやら要らない杞憂だったみたいだけどね」
霧雨魔法店――かつてそう呼ばれたこともあったその家の中で、二人はいつものように言葉を交わす
「ところで、頼んでおいた魔法書の写し、出来てるか?」
「あ・・・そうね、うっかりしてたわ」
「おいおい・・・本当の何の用もなく来たってのかよ? 期待した私がばかだったぜ・・・」
「うるさいわね! 大体なんで私があんたの為に――」
いつものように、いつまでも続くように
「ねぇ、魔理沙――」
「ん? なんだよ藪から棒に・・・って、前にもこんなやり取りがあった気がするな」
だけど、私は知っている
「私を独りにしないわよね?」
「んー? 何だ、何かの比喩か?」
「良いから答えてよ」
「変な奴だなぁ・・・。まぁ、いいけど」
「・・・・・・・・・」
「・・・お前は妖怪だからな、その気になればいつまでも生き続ける事が出来るだろう」
「・・・そうね、その通りだわ」
だけど――
「だけど、私はお前とは違う。私は――」
私は人間だから――
「――――」
私はそこから先の言葉を聞くことはなかった。正確には、紡がせることはなかったのだ
「わかってるわよ・・・そんなこと」
魔法で編んだ糸を引き抜く。途端に、<fruby>霧雨魔理沙みたいな<rt>ヒトのカタチをした</rt></ruby>物は動かなくなる
「わかってる・・・私は独りだってことくらい」
不意に、私の瞳から涙が零れた。いつになったら、私の涙は枯れ果ててくれるんだろうか
「だけど――魔理沙はずっとそばに居てくれるでしょ?」
私は霧雨魔理沙みたいな物に話しかける。答えはない。答えなんか、必要ない
「ねぇ、魔理沙――」
『何だ、藪から棒に?』
「――――っ!」
私は、もう、独りじゃ、ない
まるで壮大な、人形劇――
人間と生きるとは、そういうこと――
それは、いつかくるとき
<div align="right">――End</div>
「本当に、良いのかしら? 私なら、お前を救えるのよ?」
お嬢様が私にそう告げるのは、何度目のことになるのだろうか
「いえ、私は人間ですので・・・」
そして、私がそう返すのも、何度続いたことか知れない
「そう・・・そうね。貴女は人間として死んで逝くのだものね」
「ええ・・・申し訳ありません」
「良いのよ。貴女は人間で、私は妖怪。いずれこうなるのはわかりきったことだったもの」
ならばなぜお嬢様は私に尋ねるのだろうか・・・。それすらわかりきった理由で、私は考えるのをやめた
「それにしても、貴女がいなくなると大変ね。フランやパチェの相手を私一人でしなきゃいけないとなると、考えただけで骨が折れるわ」
ベッドに腰かけてお嬢様が言う。ベッドに横たわるのは私。時間に操られている、私
「大丈夫ですよ。紅魔館には私以外にも優秀なメイドがいますし、美鈴だって居ますから」
もしも、時間を操る様な人間がいたとしたら、どうなるのだろうか。自らの時間を止めることで、永遠を手に入れる事が出来るのだろうか。もしそうだとしても、いずれ代償が必要になるのだろう
「・・・貴女に言われなくても、わかってるわよ」
お嬢様の声が震えていることに気づいて、私はお嬢様の方を見た。だけど、その視界には何も映らない。そうか、時が来たのか。だからさっきから、何も視えていなかったのか
「・・・お嬢様?」
私はお嬢様に話しかける。いつだって傲慢で我儘で、たった一人の私の主人へと
だけど――
「・・・嫌だ」
我儘だからと言って、何もかもが赦されるわけではない
「嫌だぁっ! 咲夜が死んじゃ嫌だ! 咲夜が居なくなっちゃ嫌!」
「――お嬢様」
あぁ、きっと
「何でそうなのよ! 何で生きたいと思わないの?! 何で私の手から零れていくのよ!」
お嬢様は、私の為に泣いてくださっている
「わかったような口を聞いて! 何様のつもりなのよ! 貴女は私のものなのよ!」
お嬢様が、泣いている
「お嬢様・・・」
私はゆっくりと手を伸ばす。大丈夫、まだ触れられる。私のお嬢様に、触れていられる
「さくっ・・・やぁ・・・!」
触れたのは、涙だったのかも知れない。指先が、冷たく濡れる
「申し訳ありません、お嬢様」
「なんで・・・謝るなら、そう思ってくれるなら――!」
あぁ、愛おしい。お嬢様が、愛おしい。この方は間違いなく、私が仕えるに値する
「私のためを、思ってくれるなら――!」
だけど、叶わない
「それでも私は――人間ですから」
「――――」
お嬢様が、私の手を握ったような気がした。あまり、感覚がはっきりとしない
「そう、ね。わかってるわ。私も、情けないわね・・・」
お嬢様が立ち上がった気がする。伸ばした手は、どこに行ったのかもわからない
「咲夜――」
お嬢様の声が、する。答えることは、出来ない
「お疲れ様。ゆっくりと――休みなさい」
答えることができなくて、それでも、応えるなら
「――仰せのままに」
私は、最後まで彼女の所有物でいよう
「――死んだのね」
「あぁ、死んだ。全く、面白くない最期だった」
「そう、それじゃ、美鈴が悲しむわね」
美鈴だけじゃない、咲夜をメイド長と慕っていた者全てが悲しむだろう
「全く――揃いも揃って、妖怪妖精失格だな」
人間が死んだくらいで、妖怪が、妖精が泣くなどと――
「何よ、その語呂の悪さは?」
それに、とパチェが続ける。その表情は、いつもと変わらない
「吸血鬼と、魔法使いが抜けているわ」
いつもと変わらないが――
「そうね・・・うっかりしてたわ」
全く、揃いも揃って情けない
人間が死んだくらいで――なんで
「ねぇ、パチェ」
「何、レミィ?」
「私は知っていたわ。咲夜が死ぬことも、私がそれを見届ける事も」
「そう」
だと言うのに――なんで
「なのにどうして――こんなにも辛いのかしら?」
視界が、歪む
「・・・私は、本に載ってないことは知らないわ」
パチェは咳を混ざらせながら答える。それは、彼女らしい返答だろう
「そうね、ごめんなさい。つまらない事を聞いたわ」
「だけど――」
それでも答えるなら、と彼女は言った
「その辛さは、私も知っているわ」
私から、何かが一粒、零れた
「――揃いも揃って、ね」
「全くだわ」
人間と生きるとは、そう言うこと
「それにしても、どうすればいいのかしらね?」
「私に聞かれましても・・・」
「だって私、こんなに広いお庭の掃除なんてできないわ。食事だって、貴女がいなければ作れないもの」
全く、最後の最後まで、この人は私を困らせる。もしかしたら、困るために自分がいるのではないかと錯覚してしまうほどだ
「良いですか、幽々子様? 貴女は食べなくても平気ですし、掃除だって幽霊たちがやってくれますから。幽々子様が働いた方がみんなの迷惑ですからね」
「あら、平然と酷い事を言うのね・・・。さすがの私も傷つくわよ?」
また白々しい事を・・・。くすくすと笑う主の顔が、いつも通りなのを見て、私は思わず微笑んだ
遂に咲くことのなかった西行妖の前で、私たちは寝転がっていた。なんで寝転がっていたのかは、覚えていない。周囲の桜から舞い散る花びらが、私たちを埋め尽くそうとしていた
「全く・・・先が思いやられます」
「そうね、私もそう思うわ」
私たちは、笑い合う。いつものように、いつまでも続くと信じた、今までのように
そんな、素晴らしい一時が。掛け替えのない、一時が
――やっぱり、終わる
「・・・本当に、心配ですよ」
「・・・心配性ね、妖夢は」
半人半霊は、人よりも永く生きる。人よりも永く、生きていく。だからこその、白玉楼の庭師
だけどそれは――永遠が赦されているわけではない
閻魔に永遠が赦された幽々子様とは、違う
「いつか来ることはわかってました。いつか必ず、この日が来ることが」
私は眼を閉じると、腰の短刀に手を触れた。大丈夫、迷いはない
「だから――心残りはありません。貴女に仕えられて、私は幸せで・・・」
「妖夢――嘘吐きは、泥棒の始まりよ?」
「ぁ――」
――駄目、だ
「・・・幽々子、様」
「貴女はいつまで経っても半人前。私を困らせるし、世話も焼けるし、おまけに不器用だわ」
――幽々子様には、通じない
「だけど、それで良かったのよ。貴女が半人前だからこそ、私は私でいられたの」
――私の刀は、通じない
「ゆゆこさま・・・」
「だから――大丈夫よ。なんでも言って御覧なさい?」
私は上半身を起こして、幽々子様の方を見た。その顔は、いつもと変わらずに微笑んでいて。その表情に、私は、私は――
「私は――」
「何かしら、妖夢?」
私は――
「私はっ! 貴女に仕えられていれば良かった! 貴女の傍に居られれば良かった! 貴女の笑顔を見ていられれば良かった!」
私は、どうしてこんなにも――
「私は半人前でもよかった! 貴女に甘えられて嬉しかった! 貴女に頼られて幸せだった!」
こんなにも――半人前なんだろうか
「私は――ずっと幽々子様の傍に、居たかった――」
「そうね。私もそうよ」
幽々子様が、私を抱きしめてくれて――
私は、涙をこらえられなくなった
「ゆゆ・・・さまぁ・・・!」
みっともない。情けない。不甲斐無い
いつまで経っても――半人前
「見て、妖夢。桜が、すごく綺麗」
私は、幽々子様に言われて顔をあげた
「西行妖が――」
舞い散る花びらは、西行妖をも彩っていた
まるで、西行妖そのものが開花したかのように
「妖夢、可愛い妖夢。私は貴女がいてくれて、幸せだわ」
それは、未来永劫変わらない
「幽々子様・・・」
「妖夢、ありがとうね」
いつかくることは、わかっていた
こうなることも、わかっていた
だから私は――泣きじゃくる
幽々子様に――抱きついたまま
「ゆゆこさまぁぁあああ・・・!!」
「あらあら・・・困った子ね」
桜の花びらが、凄く、綺麗だった
「・・・あの子は、最後まで半人前だったのね」
紫が唐突に現れて言った。紫らしくもない、顔が曇っている
「そうでも、ないわ。あの子は立派だった――」
何故紫がそんな顔をしているのか。原因は私であることは、言うまでもなかった
「それは、どんな比喩かしら?」
あの子は、妖夢は半人前だ。最後まで、半人前のままだった
だけど、それでも――
「だって、あの子の刀は――」
胸がこんなにも、痛むから
「私に確かに――届いていたわ」
私はそっと、涙を流した
「幽々子、貴女・・・」
紫はそっと私の涙をぬぐった。全く、本当に紫らしくもない。それはそれほどまでに、私が酷い顔をしているからなのだろうけど
「辛くは――無いの?」
紫の言葉に、私は首を振った
「辛いと言えば、それはあの子のことを忘れることになるわ。私は、あの子のことを忘れてはあげないの」
みっともなくて、情けなくて、不甲斐無くて
愛おしいほどに――半人前
「だから、この辛さは――私の幸せよ」
「・・・そう、ね。わかったわ」
紫は、辛そうな顔をしながらスキマを開く。私は紫に尋ねてみた
「紫は――辛くないのかしら?」
「――知っているでしょう?」
紫はスキマの向こうへとその身を移す。最後に、言葉を残したまま
「貴女と――同じよ」
・・・そう、貴女も、同じなのね
「よう、む・・・」
『はい、幽々子様!』
「妖夢――!」
舞い散る、桜が、凄く、綺麗だった
人間と生きるとは、そういうこと
「情けないわね、こんなことも一人で出来ないなんて」
「余計な御世話だぜ・・・。大体、誰が頼んだんだよ?」
背中を支えられて、私はようやくベッドから体を起こす。体さえ起きれば、あとは大丈夫だ。支えられることなく、自分の力でベッドから降りる
「頼まれなければ頼まれないで鬱陶しいものなのよ。無言の訴えってものがあるもの」
「それでわざわざ私の家まで来るか・・・? 私はテレパシーでも習得したようだな」
唐突に、咳が私を襲う。体中が、痛む
「ちょ・・・っ! 大丈夫なの、魔理沙?」
「よくあることだ、気にするな・・・」
そう、よくあることだ。一人で起き上がれないことも、ただの咳で体が悲鳴を上げる事も
「お前にはわかんないかも知れないけど、な」
人間なら、遅かれ早かれ――こうなることはわかっている
「・・・そりゃ確かに、私は人間じゃないわよ」
「あぁ、悪い。そう言う意味で言ったんじゃないんだ」
ったく、やりづらい。最近のこいつはどこかがおかしい。どこかと言われたら、よくわからんのだが
「で、今日は何をしに来たんだ?」
「今日もしっかりと人間してるのかどうか確認しに来たのよ。その様子だと、要らない杞憂だったみたいね」
「余計な御世話もここまで来るとありがたみが・・・やっぱないな」
本当に、こいつは何をしに来てるんだ? ここんとこ毎日この様子だ。やりづらいったら、ありゃしない
「いい加減に何の用なのかぐらい言ったらどうなんだよアリス・・・」
「別に・・・これといった用があるわけじゃないわよ」
「そんな見え見えの嘘を誰が信じるってんだ? 用がないならとっとと帰ってくれよ・・・」
「何よ、世話ぐらい焼いたっていいじゃない? 今のあんたは一人で生きられるような体してないんだからね」
つまり、孤独死なんかされたら目覚めが悪くなるってとこか? それにしちゃぁ毎日来る理由がないと思うんだが・・・
「まぁ、良いか・・・。アリスが変なのは今に始まった事じゃないしな」
「失礼ね・・・あんたに言われたくはないわよ」
「そりゃそうかもしれんな」
ふぅ、と私はため息をつく。その様子にアリスは目を見張る
まただ、私はすでに気がついていた
私がおおよそ老化と呼んで差し支えない現象を晒すと、アリスはそれに過剰に反応する。それがどんな些細なことであってもだ
「・・・ねぇ、魔理沙?」
お? いよいよ何か話してくれるって言うのか?
「何だ藪から棒に・・・って、それは今更か」
少しだけ展開を期待した私に対して、アリスが言いづらそうに放ったのは、予想の斜め上を直交した
「・・・外に出ない?」
「はぁ?」
寒い。私は素直にそう思った。何しろもうじき冬だ・・・ましてや老体に堪えることぐらい、アリスにだってわかってるだろうに
「わざわざ外に出したからには・・・何の用もないじゃ済まされないぜ?」
私はアリスに釘を刺す。幸い、今日は体調が良かったのでそんなには辛くない。アリスはどこか暗い表情で私に答えた
「わかってるわよ・・・」
・・・歯切れが悪い。私は徐々にイライラしてきた
「おいおい、いい加減にしてくれよ。私はもう若くないんだ。お前の気まぐれにつきあってられる体力なんて・・・」
「・・・それよ」
私の言葉を遮って、アリスが悲しげに言う。なんで、悲しげなんだ?
「それって・・・。話を戻せ、ここは幻想郷だ」
「なんであんたは、そんなみっともない様を晒してるのよ?」
私の体は、衰えてしまった。アリスの体は、変わらない
「何の為に知識を求めたのかしら? 何の為に生きてきたのかしら? 貴女の望みは何だったのかしら?」
「アリス――?」
唐突に、アリスは激昂する
「なんでっ! 何であんたは死のうとしてるのよっ! 消え去ろうとしているのよ!」
人は、老いれば死ぬ。当然の理ことわり――
「何の為に生きてきたのよっ!? 何で魔法使いになったのよ!? 何であんたは――!」
「・・・・・・・・・」
だけど――魔法使いは死なない
「何か言いなさいよ・・・!」
気づけば、アリスは泣いていた。ぼろぼろと、泣いていた
あぁ、やっぱりそうか。こいつは――私が死ぬことが許せないんだ
いつか私が、妖怪としての魔法使いになると、信じていたのだろう
だけど、実際は――
「・・・アリス、私は人間だ。私は人間なんだよ。いつか消えていかなくちゃいけないんだ。それはお前だってわかってることだろう?」
「なんで――」
アリスは私の言葉に目を見開く。そんなことは知っているのに。そんなことは知りたくもないのに
「不老の命。永遠の知識。それは確かに、魅力的さ。だけど――」
人は死ぬ。妖怪も死ぬ。だけど、そこには大きな違いがある
「だけど私は――人間だ」
妖怪とは――生きられない
「――――」
アリスが俯く。それはほんの一瞬の出来事。顔をあげたアリスの顔は、悲しい笑顔を浮かべていた
「いつか――こうなることはわかってたのよ。あんたは人間として死んでいくだろうって、どこかで気がついてた」
普通の人間以外にすら、私はなれなかった
「だから――こうなることはわかってたのよ。あんたが人間として死んでいくのを見届けるしかないって」
それはきっと、私が弱いから――
「なのに――こうなることがわかってたのに。あんたが人間を選ぶことなんてわかりきってたのに」
私が、耐えられないからだ――
「なんでこんな――!」
「アリス――」
妖怪と人間は、共には暮らせない。それはわかりきったことである。妖怪も人間も、それを認めて暮らしている
だから妖怪は、人間が死んだくらいで泣いてはいけない。自分が生きている間に、どれほどの人間が死んでいくと言うのだろう。いちいち泣いていたら、きりがない
余計な感情移入をしてはいけないのだ。妖怪と人間は相容れつつも、相容れてはいけないもの。そんなわかりきった――こと
「なんでこんなに――胸が痛むのよ!」
だけどアリスは――元々人間だ
人間の感情を持つ者が、悲しみを捨て去れるわけが、無い
「私を――独りにしないでよ」
「・・・私が消えても、みんながいるだろう? 紫やレミリア、幽々子の奴だって居るんだ。お前が独りになるわけじゃ・・・」
「その中で私だけが、人間なのよ?」
今、なんと言ったのか
今アリス・マーガトロイドは、なんと言ったのか
「アリス、お前――」
「私だけ――妖怪になりきれない」
人が死んでいくことに――耐えられない
「私だけ――遺される」
「――何が言いたい?」
これ以上は駄目だ。これ以上は、許されない。この幻想郷では、赦されない
もう、くだらない茶番は終わりだ
「いつまでもお前の感傷には浸ってはいられない。お前の悲しみはわかる。だけど、それはお前が選んだ道だ。私には選べなかった道だ。だから、私に覆せるものじゃない」
結論を――聞こう
「アリス、アリス・マーガトロイド。お前は私に――何が言いたいんだ?」
感情を殺して、私は訪ねる。きっと、それが私の役目だろう
アリスは悲しげな顔のまま、告げた
叶わぬと知った――願いを
「私を――独りにしないでっ!」
「全く、今日も今日とて良く来たな?」
「今日もしっかり人間してるのか見に来たのよ。どうやら要らない杞憂だったみたいだけどね」
霧雨魔法店――かつてそう呼ばれたこともあったその家の中で、二人はいつものように言葉を交わす
「ところで、頼んでおいた魔法書の写し、出来てるか?」
「あ・・・そうね、うっかりしてたわ」
「おいおい・・・本当の何の用もなく来たってのかよ? 期待した私がばかだったぜ・・・」
「うるさいわね! 大体なんで私があんたの為に――」
いつものように、いつまでも続くように
「ねぇ、魔理沙――」
「ん? なんだよ藪から棒に・・・って、前にもこんなやり取りがあった気がするな」
だけど、私は知っている
「私を独りにしないわよね?」
「んー? 何だ、何かの比喩か?」
「良いから答えてよ」
「変な奴だなぁ・・・。まぁ、いいけど」
「・・・・・・・・・」
「・・・お前は妖怪だからな、その気になればいつまでも生き続ける事が出来るだろう」
「・・・そうね、その通りだわ」
だけど――
「だけど、私はお前とは違う。私は――」
私は人間だから――
「――――」
私はそこから先の言葉を聞くことはなかった。正確には、紡がせることはなかったのだ
「わかってるわよ・・・そんなこと」
魔法で編んだ糸を引き抜く。途端に、<fruby>霧雨魔理沙みたいな<rt>ヒトのカタチをした</rt></ruby>物は動かなくなる
「わかってる・・・私は独りだってことくらい」
不意に、私の瞳から涙が零れた。いつになったら、私の涙は枯れ果ててくれるんだろうか
「だけど――魔理沙はずっとそばに居てくれるでしょ?」
私は霧雨魔理沙みたいな物に話しかける。答えはない。答えなんか、必要ない
「ねぇ、魔理沙――」
『何だ、藪から棒に?』
「――――っ!」
私は、もう、独りじゃ、ない
まるで壮大な、人形劇――
人間と生きるとは、そういうこと――
それは、いつかくるとき
<div align="right">――End</div>
こんなシリアス成分が好みの私も、作者に負けず劣らずの悪趣味なんでしょうかね?
人間と吸血鬼、半人半霊と亡霊、人間の魔法使いと元人間の魔法使い
先立たれるのは、避けられない...だからこそ、そこに悲しみのドラマが生まれるのでしょうか...
願わくば、先立たれた3人に新たな出会いがありますように
やるならもっと細かく心理的な描写が必要ですよ。
こんな死を軽く感じられたのは久しぶりです。
ただ並べただけ、と言う感じがしてなりませんでした。