この作品は作者が東方M-1グランプリを見てなんとなく思いついた作品です。
とくに衣玖さんの話がどうとかという物ではありません。
まぁ、衣玖さんは出てきますが。
以上の事を踏まえた上でお読みください
「「はい、どうも~」」
天子と衣玖が同時にあいさつを行う。
「比那名居天子で~す!」
「永江衣玖です」
「「二人揃って「ながえいく」で~す」」
「って、待ちなさいよ!!」
天子が叫ぶ。
「どうしました?総領娘様?」
「天子で良いわよ、長ったらしいから」
「解りました、天子様。さて、いよいよ始まりましたね~」
「だから待ちなさいっての!!」
「どうかなさいましたか?」
「どうかなさいましたか?じゃないでしょ!!」
「???」
衣玖は顎に左手の人差し指を当てて不思議そうに首を傾げる。
「いや、そんな可愛らしく首を傾げないでよ」
「何かご不満な事でも?」
「思いっきり不満よ。何よ、このコンビ名」
「はて?何かおかしいですか?」
「思いっきりおかしいじゃないの!!なんであんたの名前がコンビ名なのよ!!」
「何を仰るんですか天子様。ちゃんと「ひなない」の「な」と「い」が入ってるじゃないですか」
「ふっざけんじゃないわよ!発音したら全然解かんないじゃないの!!」
「そうですか………では、天子様のお名前もコンビ名に入れましょう」
「当然よ。じゃあ、もう一回やるわよ。コンビ名は貴女が言いなさい」
「解りました。では………」
「比那名居天子で~す!」
「永江衣玖です」
「二人揃って「ながえちこ」d」
「待たんかい!!!」
「???」
再び可愛らしく首を傾げる衣玖。
「なんでそっちの名前!?それ昔の名前!!」
「あ、やっぱり「ひなない」と私の「いく」の「い」を使って、「いいちこ」の方が良かったですか?」
「それお酒の名前じゃないの!!ってか、「い」を取って来る位置が滅茶苦茶中途半端じゃない!!」
「はぁ、それでは何「ちこ」が宜しいのでしょうか?」
「だから昔の名前だって言ってんでしょうが!!って言うか、さっきまであんたしっかり「天子様」って言ってたじゃないの!!」
「あ、そう言えば………」
ポンっと衣玖は手を叩く。
「そう言えば、じゃないわよ…………ちゃんと「てんし」を使いなさい」
「あらあらまぁまぁ、天の使いだなんて…………」
「そっちの「天使」じゃない!「天子」!!天の子!!」
「ご存じですか?天子様。外の世界では天皇の事を「天子様」と…………」
「だぁぁぁぁぁぁ!!!もう良いわよ!!」
「そうですか?では、そろそろ始めましょうか」
「ああ、もう。始める前にどっと疲れたわ………大体なんで私が突っ込んでるの?突っ込みは貴女でしょ」
「そうでしたね。天子様はボケですものね」
笑顔でそう言う衣玖。
「待ちなさい」
「はい?」
「その言い方だと私が「ボケ野郎」みたいに聞こえるわ」
「…………え?」
「ちょっと!何よその「違ったの!?」って顔は!!」
「誤解ですよ」
「嘘おっしゃい!」
「本当ですって。「違ったんですか?」って思ってましたから」
「同じじゃないの!!言葉遣い変わっただけでしょ!!」
「何を仰るんですか。言葉遣いを変えれば人が受ける印象が全然違うんですよ?」
「頭の中で考えてる事にそんな事関係ないでしょうが!!!」
「それは違います。普段から気を付けて無いといざという時にちゃんとした敬語が使えないんですよ」
「ああ、もう!!ああ言えばこう言う!!!」
「「ああ」と言われてなければ「こう」と言い返してもおりません」
「例えでしょうが!!例え!!!」
「存じております」
「むがあぁぁぁぁぁぁ!!!」
天子は頭……と言うか、帽子をグシャグシャと掻きむしる。
「天子様、好い加減に始めなくて良いんですか?」
「あんたが原因でしょうが!!ああ、もうどっと疲れた」
「それはいけません。巫女を呼びましょう」
「そっちの憑かれたじゃない!!」
「そうですか?では、そろそろ始めましょう」
「なんであんたが仕切ってんのよ…………」
「では、始められないので?」
「始めるわ。始めるわよ……もう…………」
天子は溜息を吐く。
「さて、気を取り直して……最近あった話でもしましょうか?」
天子が衣玖に尋ねる。
「そうですねぇ…………天候の異変の事などどうでしょうか?」
「ああ、あったわねぇそんなのも…………………って、それ首謀者私!!」
「えぇ!?」
「何わざとらしく驚いてんのよ!!あんたも知ってるでしょうに!!」
「はい」
「こ、今度はあっさり返すのね………」
「あの時は本当に大変だったんですよ。色んな方が昇って来て私をボッコボコにして…………」
「いや~、私は楽しかったわねぇ。やっぱりこう言う刺激が欲しいわよね」
「あら?刺激が欲しいのですか?」
「そりゃもう。天界の暮しって退屈なのよ?」
「そうですか?そうと仰って頂ければ…………」
ズガシャアァァァァァァンッ!!!!
「っきゃああぁぁぁぁぁ!!何いきなり雷落としてんのよ!!!」
衣玖のスペルカード「神鳴り様の住処」だ。
「いえ、刺激がほしいと仰りましたので」
「それは電撃でしょ!!要らないわよ!!そんな刺激!!!」
「まぁ、そう仰らずに…………良い刺激になりますよ?」
「ちょっ、ちょっと…………目が笑ってないわよ、あんた……………」
顔は笑っているが目は笑ってない。
とっても怖い顔である。
「いえいえ、別に天子様の所為で私がボッコボコのフルボッコにされたとか全く思ってませんから」
「だったら何で更にスペルカード取り出してんのよ!!」
「天子様が刺激が欲しいと仰りましたから」
「だからそんな刺激は要らないっての!!!」
「残念です」
そう言って衣玖はスペルカードをしまう。
「まったく………で、その異変の事だけど……」
「天子様が暇つぶしに始められたのですよね?」
「だからその怖い顔止めなさいって。スペルカードしまいなさい!!」
「仕方ありませんね…………」
「ふぅ………で、異変の事だけど、散々だったのよねぇ」
「私も散々でしたが」
「悪かったわよ………」
「で、何が散々だったんですか?」
「そりゃもう、せっかく壊れた神社立て直したって言うのにどっかの年増妖怪に壊されるし」
「天子様だって十分年増じゃないですか」
「そこで突っ込むな!と言うか、私は年増じゃないわよ!!」
「ああ、若作りですか?」
「違う!!」
「活造り」
「それは料理!!」
「荷造り」
「離れてる離れてる!!」
「子作り」
「するか!!!」
「流石天子様。見事な突っ込みです」
「く………いつの間にか私が突っ込みが定着してる…………」
「でも私はボケじゃありません」
「もうそのネタは良いわ!!」
「では、マグロが良いですか?それとも光物で鯖とか」
「そうね~、私としては赤身かしら?」
「ネタ違いですよ」
ビシッと衣玖が突っ込む。
「ぐ………ちゃんと突っ込むのね…………」
「空気を読む程度の能力ですから」
「ならその能力を試してあげるわ」
「と言いますと?」
「私のハイセンスなボケにちゃんと突っ込めるかしら?」
「天子様がハイセンスなボケだと言う事は」
「だからそのネタはもう良いって言ってんでしょう!!」
「同じネタは3回まで♪」
「やってんのはあんたでしょ!!」
「で、そのハイセンスなボケと言うのは?」
「ぐ………さらっと流してくれて…………まぁ、良いわ」
「期待してますわ」
「で、話は戻るけど、神社を壊されたのよ。私が造り直した奴を」
「ええ」
「でね、その後鬼に造り直させたらしいのよ」
「そう聞いてますね」
「でも、このままやられっぱなしってのも癪じゃない?」
「そうですね」
「……………」
「どうしました?」
「ちょっと、ちゃんと突っ込みなさいよ。そこは「そもそもは天子様が原因じゃないですか」って」
「あらあらまぁまぁ、御自身で天子様だなんて」
「そこに突っ込むな!!!」
「まぁ、敢えてあそこで突っ込まなかったんですが」
「なんでよ?」
「敢えて流して突っ込まさせるのもテクですよ」
「は、謀ったわね!?」
「空気を読む程度の能力ですから」
「く………良いわ、次よ」
「あ、すみません。そろそろ帰らないと」
「は?なんでよ?」
「ほら、雲行き怪しくなってきましたし。洗濯物が心配です」
「はぁ?全然良い天気じゃない」
ズガシャアァァァァァンッ!!!
「っきゃああぁぁぁぁぁ!!!」
「ほら、雷まで鳴りだしましたし、やっぱり雲行き怪しいですよ」
「あんたが自分で落としたんじゃないよ!!しっかりサタデーナイトフィーバーのポーズまで取って!!」
「失礼ですね。サタデーナイトフィーバーなんてしてませんよ」
「してたじゃないの。腰に手を当てて指をピンと立てて」
ズガシャアァァァァンッ!!!
「フィーバー☆」
「っきゃああぁぁぁぁぁぁ!!!やっぱりやってんじゃないの!!ってか、私の近くに落とすな!!!」
「違います。フィーバー☆としか言ってません」
「同じじゃないの!!」
「違いますよ。では、本物を見せて差し上げましょう」
「本物?良いわ、見せて貰おうじゃない」
「では…………サタデーナイト………………」
「ちょ、ちょっと、なんで腕をグルグル回してるの?しかもなんか雷球が生成されてるし…………」
衣玖が胸の前で腕を回す度に雷球がドンドン大きくなっていく。
そして、クルリと回転すると同時に
「フィーバー☆」
バリバリバリバリバリ!!!
「ユピテルサンダァァァァァァ!?!?」
雷球が発射され、天子に命中した。
「天子様を敗北です」
「ぶ、文法めちゃくちゃじゃないの…………」
「さて、そう言う訳で洗濯物が心配なのでそろそろ帰ります」
「お、落ちはどうつけるのよ?」
「落ち?そうですねぇ………それでは」
ズガシャアアァァァァァンッ!!!
「ふぎゃああぁぁぁぁぁぁ!!!」
「落ちと掛けて雷を落としてみました。「近くに」落とすなとの事ですので直撃のおまけ付です♪」
「あ………あんたねぇ……………」
「お後が宜しいようで」
「宜しくない…………」
「ありがとうございました」
衣玖はペコリとお辞儀をしてそのまま去って行った。
「ま、待ちなさいよ………待ってってば……ねぇ…………ちょっと………………」
雷撃に撃たれた天子はそのまま置き去りにされた。
楽屋裏
「ちょっとあんたねぇ!!」
「どうしました?総領娘様」
「全然台本と違うじゃないの!!」
「当然ですよ。漫才なんて台本通りにやって受ける訳無いんですから」
「ぐ………」
「アドリブを効かせられないようでは勝ち残れませんよ?」
「だからってあそこまで台本から外れる事無いじゃないの」
「大丈夫です。ほら、私は空気を読める能力ですから」
「あんたそればっかりね…………」
「あ、それからそろそろ巫女が来る思いますよ?」
「は?なんでよ?」
「あら?天子様、憑かれたって言ってたじゃないですか」
「それは台本の奴でしょ!!」
「それにそろそろ天子様も少しは暴れたいんじゃないかと思いまして」
「う………それは言えてるわ。どっちかと言うと、あんたに理不尽に雷撃を喰らった鬱憤(うっぷん)を晴らしたいんだけどね」
「では、私は龍神様に感想を聞きに行って参ります」
「聞けるの?」
「恐らく」
「まぁいいわ。行ってらっしゃい」
その後
「総領娘様~やりましたよ~」
衣玖は雲海を抜けて天界へと顔を出す。
「龍神様が「龍神的にやったぜグッ!って感じだね」と言って下さいまし………あら?」
ズドゴオォォォォォンッ!!!
「ふぎゃああぁぁぁぁぁぁ!!!」
天子は霊夢に吹っ飛ばされていた。
「性懲りもなくあんたって奴はぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ちょっ!!誤解!誤解だってば!!!」
「五回!?五回も神社壊す気だったの!?あったま来た!!!」
「違っ!!その五回じゃな………アッーーーーーーー!!!!!」
「あらあらうふふ…………」
その様子を見て衣玖は微笑んでいた。
やはり、天子の所為でボコボコにされた事を怒っていたようだ。
因みに、どうやって霊夢を呼んだか?だが。
天子の「年増妖怪」発言の際に僅かに隙間から顔を出した紫に衣玖はしっかりと気づき、そして互いにアイコンタクトで合図を取った。
紫も衣玖の事情は知っていた為、そのアイコンタクトで全てを察し、また天子が神社を壊そうとしてると言う嘘を吐いて霊夢をけしかけた。
衣玖もまた、紫が年増発言に加え、神社を乗っ取ろうとした天子を快く思ってない事を知っての事だ。
永江衣玖、何処までも空気の読める女である。
とくに衣玖さんの話がどうとかという物ではありません。
まぁ、衣玖さんは出てきますが。
以上の事を踏まえた上でお読みください
「「はい、どうも~」」
天子と衣玖が同時にあいさつを行う。
「比那名居天子で~す!」
「永江衣玖です」
「「二人揃って「ながえいく」で~す」」
「って、待ちなさいよ!!」
天子が叫ぶ。
「どうしました?総領娘様?」
「天子で良いわよ、長ったらしいから」
「解りました、天子様。さて、いよいよ始まりましたね~」
「だから待ちなさいっての!!」
「どうかなさいましたか?」
「どうかなさいましたか?じゃないでしょ!!」
「???」
衣玖は顎に左手の人差し指を当てて不思議そうに首を傾げる。
「いや、そんな可愛らしく首を傾げないでよ」
「何かご不満な事でも?」
「思いっきり不満よ。何よ、このコンビ名」
「はて?何かおかしいですか?」
「思いっきりおかしいじゃないの!!なんであんたの名前がコンビ名なのよ!!」
「何を仰るんですか天子様。ちゃんと「ひなない」の「な」と「い」が入ってるじゃないですか」
「ふっざけんじゃないわよ!発音したら全然解かんないじゃないの!!」
「そうですか………では、天子様のお名前もコンビ名に入れましょう」
「当然よ。じゃあ、もう一回やるわよ。コンビ名は貴女が言いなさい」
「解りました。では………」
「比那名居天子で~す!」
「永江衣玖です」
「二人揃って「ながえちこ」d」
「待たんかい!!!」
「???」
再び可愛らしく首を傾げる衣玖。
「なんでそっちの名前!?それ昔の名前!!」
「あ、やっぱり「ひなない」と私の「いく」の「い」を使って、「いいちこ」の方が良かったですか?」
「それお酒の名前じゃないの!!ってか、「い」を取って来る位置が滅茶苦茶中途半端じゃない!!」
「はぁ、それでは何「ちこ」が宜しいのでしょうか?」
「だから昔の名前だって言ってんでしょうが!!って言うか、さっきまであんたしっかり「天子様」って言ってたじゃないの!!」
「あ、そう言えば………」
ポンっと衣玖は手を叩く。
「そう言えば、じゃないわよ…………ちゃんと「てんし」を使いなさい」
「あらあらまぁまぁ、天の使いだなんて…………」
「そっちの「天使」じゃない!「天子」!!天の子!!」
「ご存じですか?天子様。外の世界では天皇の事を「天子様」と…………」
「だぁぁぁぁぁぁ!!!もう良いわよ!!」
「そうですか?では、そろそろ始めましょうか」
「ああ、もう。始める前にどっと疲れたわ………大体なんで私が突っ込んでるの?突っ込みは貴女でしょ」
「そうでしたね。天子様はボケですものね」
笑顔でそう言う衣玖。
「待ちなさい」
「はい?」
「その言い方だと私が「ボケ野郎」みたいに聞こえるわ」
「…………え?」
「ちょっと!何よその「違ったの!?」って顔は!!」
「誤解ですよ」
「嘘おっしゃい!」
「本当ですって。「違ったんですか?」って思ってましたから」
「同じじゃないの!!言葉遣い変わっただけでしょ!!」
「何を仰るんですか。言葉遣いを変えれば人が受ける印象が全然違うんですよ?」
「頭の中で考えてる事にそんな事関係ないでしょうが!!!」
「それは違います。普段から気を付けて無いといざという時にちゃんとした敬語が使えないんですよ」
「ああ、もう!!ああ言えばこう言う!!!」
「「ああ」と言われてなければ「こう」と言い返してもおりません」
「例えでしょうが!!例え!!!」
「存じております」
「むがあぁぁぁぁぁぁ!!!」
天子は頭……と言うか、帽子をグシャグシャと掻きむしる。
「天子様、好い加減に始めなくて良いんですか?」
「あんたが原因でしょうが!!ああ、もうどっと疲れた」
「それはいけません。巫女を呼びましょう」
「そっちの憑かれたじゃない!!」
「そうですか?では、そろそろ始めましょう」
「なんであんたが仕切ってんのよ…………」
「では、始められないので?」
「始めるわ。始めるわよ……もう…………」
天子は溜息を吐く。
「さて、気を取り直して……最近あった話でもしましょうか?」
天子が衣玖に尋ねる。
「そうですねぇ…………天候の異変の事などどうでしょうか?」
「ああ、あったわねぇそんなのも…………………って、それ首謀者私!!」
「えぇ!?」
「何わざとらしく驚いてんのよ!!あんたも知ってるでしょうに!!」
「はい」
「こ、今度はあっさり返すのね………」
「あの時は本当に大変だったんですよ。色んな方が昇って来て私をボッコボコにして…………」
「いや~、私は楽しかったわねぇ。やっぱりこう言う刺激が欲しいわよね」
「あら?刺激が欲しいのですか?」
「そりゃもう。天界の暮しって退屈なのよ?」
「そうですか?そうと仰って頂ければ…………」
ズガシャアァァァァァァンッ!!!!
「っきゃああぁぁぁぁぁ!!何いきなり雷落としてんのよ!!!」
衣玖のスペルカード「神鳴り様の住処」だ。
「いえ、刺激がほしいと仰りましたので」
「それは電撃でしょ!!要らないわよ!!そんな刺激!!!」
「まぁ、そう仰らずに…………良い刺激になりますよ?」
「ちょっ、ちょっと…………目が笑ってないわよ、あんた……………」
顔は笑っているが目は笑ってない。
とっても怖い顔である。
「いえいえ、別に天子様の所為で私がボッコボコのフルボッコにされたとか全く思ってませんから」
「だったら何で更にスペルカード取り出してんのよ!!」
「天子様が刺激が欲しいと仰りましたから」
「だからそんな刺激は要らないっての!!!」
「残念です」
そう言って衣玖はスペルカードをしまう。
「まったく………で、その異変の事だけど……」
「天子様が暇つぶしに始められたのですよね?」
「だからその怖い顔止めなさいって。スペルカードしまいなさい!!」
「仕方ありませんね…………」
「ふぅ………で、異変の事だけど、散々だったのよねぇ」
「私も散々でしたが」
「悪かったわよ………」
「で、何が散々だったんですか?」
「そりゃもう、せっかく壊れた神社立て直したって言うのにどっかの年増妖怪に壊されるし」
「天子様だって十分年増じゃないですか」
「そこで突っ込むな!と言うか、私は年増じゃないわよ!!」
「ああ、若作りですか?」
「違う!!」
「活造り」
「それは料理!!」
「荷造り」
「離れてる離れてる!!」
「子作り」
「するか!!!」
「流石天子様。見事な突っ込みです」
「く………いつの間にか私が突っ込みが定着してる…………」
「でも私はボケじゃありません」
「もうそのネタは良いわ!!」
「では、マグロが良いですか?それとも光物で鯖とか」
「そうね~、私としては赤身かしら?」
「ネタ違いですよ」
ビシッと衣玖が突っ込む。
「ぐ………ちゃんと突っ込むのね…………」
「空気を読む程度の能力ですから」
「ならその能力を試してあげるわ」
「と言いますと?」
「私のハイセンスなボケにちゃんと突っ込めるかしら?」
「天子様がハイセンスなボケだと言う事は」
「だからそのネタはもう良いって言ってんでしょう!!」
「同じネタは3回まで♪」
「やってんのはあんたでしょ!!」
「で、そのハイセンスなボケと言うのは?」
「ぐ………さらっと流してくれて…………まぁ、良いわ」
「期待してますわ」
「で、話は戻るけど、神社を壊されたのよ。私が造り直した奴を」
「ええ」
「でね、その後鬼に造り直させたらしいのよ」
「そう聞いてますね」
「でも、このままやられっぱなしってのも癪じゃない?」
「そうですね」
「……………」
「どうしました?」
「ちょっと、ちゃんと突っ込みなさいよ。そこは「そもそもは天子様が原因じゃないですか」って」
「あらあらまぁまぁ、御自身で天子様だなんて」
「そこに突っ込むな!!!」
「まぁ、敢えてあそこで突っ込まなかったんですが」
「なんでよ?」
「敢えて流して突っ込まさせるのもテクですよ」
「は、謀ったわね!?」
「空気を読む程度の能力ですから」
「く………良いわ、次よ」
「あ、すみません。そろそろ帰らないと」
「は?なんでよ?」
「ほら、雲行き怪しくなってきましたし。洗濯物が心配です」
「はぁ?全然良い天気じゃない」
ズガシャアァァァァァンッ!!!
「っきゃああぁぁぁぁぁ!!!」
「ほら、雷まで鳴りだしましたし、やっぱり雲行き怪しいですよ」
「あんたが自分で落としたんじゃないよ!!しっかりサタデーナイトフィーバーのポーズまで取って!!」
「失礼ですね。サタデーナイトフィーバーなんてしてませんよ」
「してたじゃないの。腰に手を当てて指をピンと立てて」
ズガシャアァァァァンッ!!!
「フィーバー☆」
「っきゃああぁぁぁぁぁぁ!!!やっぱりやってんじゃないの!!ってか、私の近くに落とすな!!!」
「違います。フィーバー☆としか言ってません」
「同じじゃないの!!」
「違いますよ。では、本物を見せて差し上げましょう」
「本物?良いわ、見せて貰おうじゃない」
「では…………サタデーナイト………………」
「ちょ、ちょっと、なんで腕をグルグル回してるの?しかもなんか雷球が生成されてるし…………」
衣玖が胸の前で腕を回す度に雷球がドンドン大きくなっていく。
そして、クルリと回転すると同時に
「フィーバー☆」
バリバリバリバリバリ!!!
「ユピテルサンダァァァァァァ!?!?」
雷球が発射され、天子に命中した。
「天子様を敗北です」
「ぶ、文法めちゃくちゃじゃないの…………」
「さて、そう言う訳で洗濯物が心配なのでそろそろ帰ります」
「お、落ちはどうつけるのよ?」
「落ち?そうですねぇ………それでは」
ズガシャアアァァァァァンッ!!!
「ふぎゃああぁぁぁぁぁぁ!!!」
「落ちと掛けて雷を落としてみました。「近くに」落とすなとの事ですので直撃のおまけ付です♪」
「あ………あんたねぇ……………」
「お後が宜しいようで」
「宜しくない…………」
「ありがとうございました」
衣玖はペコリとお辞儀をしてそのまま去って行った。
「ま、待ちなさいよ………待ってってば……ねぇ…………ちょっと………………」
雷撃に撃たれた天子はそのまま置き去りにされた。
楽屋裏
「ちょっとあんたねぇ!!」
「どうしました?総領娘様」
「全然台本と違うじゃないの!!」
「当然ですよ。漫才なんて台本通りにやって受ける訳無いんですから」
「ぐ………」
「アドリブを効かせられないようでは勝ち残れませんよ?」
「だからってあそこまで台本から外れる事無いじゃないの」
「大丈夫です。ほら、私は空気を読める能力ですから」
「あんたそればっかりね…………」
「あ、それからそろそろ巫女が来る思いますよ?」
「は?なんでよ?」
「あら?天子様、憑かれたって言ってたじゃないですか」
「それは台本の奴でしょ!!」
「それにそろそろ天子様も少しは暴れたいんじゃないかと思いまして」
「う………それは言えてるわ。どっちかと言うと、あんたに理不尽に雷撃を喰らった鬱憤(うっぷん)を晴らしたいんだけどね」
「では、私は龍神様に感想を聞きに行って参ります」
「聞けるの?」
「恐らく」
「まぁいいわ。行ってらっしゃい」
その後
「総領娘様~やりましたよ~」
衣玖は雲海を抜けて天界へと顔を出す。
「龍神様が「龍神的にやったぜグッ!って感じだね」と言って下さいまし………あら?」
ズドゴオォォォォォンッ!!!
「ふぎゃああぁぁぁぁぁぁ!!!」
天子は霊夢に吹っ飛ばされていた。
「性懲りもなくあんたって奴はぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ちょっ!!誤解!誤解だってば!!!」
「五回!?五回も神社壊す気だったの!?あったま来た!!!」
「違っ!!その五回じゃな………アッーーーーーーー!!!!!」
「あらあらうふふ…………」
その様子を見て衣玖は微笑んでいた。
やはり、天子の所為でボコボコにされた事を怒っていたようだ。
因みに、どうやって霊夢を呼んだか?だが。
天子の「年増妖怪」発言の際に僅かに隙間から顔を出した紫に衣玖はしっかりと気づき、そして互いにアイコンタクトで合図を取った。
紫も衣玖の事情は知っていた為、そのアイコンタクトで全てを察し、また天子が神社を壊そうとしてると言う嘘を吐いて霊夢をけしかけた。
衣玖もまた、紫が年増発言に加え、神社を乗っ取ろうとした天子を快く思ってない事を知っての事だ。
永江衣玖、何処までも空気の読める女である。
笑えたかというと微妙ですが面白かったです。
でもちょっと天子を叩きすぎかなぁ
他は、ちょっと・・・。
また、報われなさすぎる天子が読んでいて可哀相になりました。
「ドツキ漫才とはこういうものだ」と言われたら、返す言葉も無いのですが。
それにしても悲惨すぎじゃないかなと。