&月〇日
いよいよ明日、妖精メイド達の紅魔館防犯訓練が行われる。
今頃色々と如何にして活躍するかとかあの子達は考えているだろう。
一生懸命にやってくれるのはいいけれど、
果たしてこちらの期待通りの結果に到達してくれるかしら?
とりあえずだからといって掃除をサボっていいわけじゃないわよ。
今日は一段とおざなり感が強かった、錠剤が美味しい。
それとお嬢様、海が如何なものかと考えるのは結構ですが
塩を湖に入れても海にはなりませんからね?
海かぁ・・・幻想郷には無いから私にはどうにも出来ないわね。
なんとか見るだけでもいいから希望を叶えて差し上げたいものですが。
&月×日
紅魔館防犯訓練当日である。
依頼した3名には手伝ってくれて事を感謝するわ。
結末はまぁ・・・予想通りという感じではあったものの、
その過程は素晴らしい奮闘振りだった、予想よりも時間を稼いでたしね。
あの子達は一生懸命頑張ってくれた、それだけで十分よね。
途中から目的意識も変わってきてたようだし、ね。
普段からこれぐらい一生懸命でやってほしいのだけれどね・・・
夜はどんちゃん騒ぎのパーティとなったけれど今頃全員疲れ果てて寝ているだろう、お疲れ様。
「えーではこれより紅魔館定例行事、紅魔館防犯訓練を始めさせてもらいます」
壇上(わざわざ用意させた)の美鈴がガッチガチになりながら今回の防犯訓練の説明を読み上げる。
あの子あがり症だったのか、知らなかったわ。
「と、いうわけで1時より敵が紅魔館に侵入します。
どこから入り込んでくるかはわかりませんのであしからず。
相手を退けるか戦闘不能にした者にはそれ相応の評価がされます、
しかし、そうでなくても活躍した者にはそれ相応の評価をします。
皆さん、無理をしすぎずに頑張ってくださいね」
美鈴の説明が終わり、壇上から下がってきたので今度は私が壇上に立つ。
「わかっているとは思うけれどこれは訓練とはいえ気を抜かないように。
館内を私は周回させてもらうから不甲斐ない事してたらお仕置きするからそのつもりで。
それじゃ最後にお嬢様、何か一言お願いします」
壇上に日傘を差しながらお嬢様が立つ。
皆を見、そして高らかに
「いい事、如何に訓練といえあなた達は紅魔館に、私に仕える従者。
不甲斐ない結果となればそれ相応の罰を受けると心に刻みなさい!
敗北は許さない、私は勝利のみ称えると知れ!!! 」
妖精メイドに緊張感をお与えになるのだった。
何はともあれ、後2時間でここは戦場となる。
出来るならあんまり物を壊してほしくないんだけどね・・・
「ところで咲夜、今回の刺客役は誰なのよ?
私にも当日まで教えてくれないのはずるいわよ」
妖精メイドが全員館内に入ったのを見てお嬢様がお尋ねにいらした。
今回はどこにあるのか誰にもわからないお嬢様人形を守る事になっているため、
お嬢様には特設席で優雅なティータイムをしてもらいながら
パチュリー様の水晶で状況を楽しんでもらうことに。
当然妹様もお隣にいらっしゃる。
始まってからは私は中に行くのでお嬢様達のお世話は小悪魔と美鈴に任せてある。
そういえばそろそろ来ると思うのだけど・・・
「そろそろ来ると・・・あぁ、噂をすればなんとやら」
湖の上をこちらに向かって飛んでくる者が1名、名は確か東風谷早苗でよかったかしら?
あぁ、真面目な方の巫女でいいわよね、もしくは緑巫女。
ん?一人かと思ったらさらに何かついてきて・・・あぁ、神二匹ね。
「すいません、神奈子様と諏訪子様がどうしてもついてくると言い出して」
相当暇なのかこの神どもは・・・
「何か面白そうだしねぇ、それに早苗が不甲斐ない事してたら
帰って反省会でもして虐めるのもいいじゃない? 」
この神は・・・
「出たな、あーうーロリ神、今日もちっこいね」
「なんだよぉ!今日はあんたもいつも通りで変わらないじゃないのよ」
そして相変わらず妹様と蛙っぽい神は犬猿状態。
あぁ、勝負は止めてくださいよ?紅魔館吹っ飛びますから。
「ふふふ・・・美鈴! 」
「イエッサー!これをどうぞ」
日傘を妹様に差してる美鈴が何か飲み薬を妹様に渡し、それを妹様がお飲みになった。
あ、何か嫌な予感。
すると一度光ったと思ったら予想通り大人バージョンの妹様がそこにいらした。
服まで速攻で着替えているとは・・・
「これで変わらないとか言えないわよねぇ? 」
まるで見下すようにロリ神を見る妹様。
しかしやってる事は子供ですよ妹様・・・
「あーうー・・・といつもなら敗北感を感じながら言うけれど今日は違うよ!
見よ!これが信仰心の力だ!!! 」
ロリ神が高らかに腕を上げたと思ったら見る見るうちに大きくなっていく・・・
妹様と同じくらいになったかと思ったらまさしくその姿は大人・・・!
蛙っぽい神の大人バージョンとでも言うべき姿がそこにいた。
な、何が起こったのかしら。
「ふっふっふっ!信仰心とは神の力の源となる、それを使えばこの程度造作も無いわ!
見よ、このプロポーション!私はもう敗者じゃないわ! 」
「むむむ・・・!」
お互いに額をぶつけ合うのは結構ですが
両者ドーピングで反則なのはわかっているのでしょうか?
「つうかそんな事に信仰心を使うなぁぁぁぁぁぁ!!! 」
ちなみにドーピングした蛙な神だが相棒の元からある神にドロップキックで粛清された。
さすが神、見事な蹴りだった。
ついでに大きいのがいいなら私が一番だーと酔っ払いの鬼まで来たので
ワインを渡して早々にお帰り願った。
今頃スキマか霊夢のところで飲んでいる事に違いない。
「それで、緑巫女なのはわかったけど後2名は誰よ? 」
なぜかお嬢様まで大人バージョンになられている事にツッコミを入れるべきか否か。
いや、完璧な従者はここでツッコミを入れてはいけないだろうと思い、触れないでおく。
というかたぶん誰かがツッコミを入れるだろうという期待があったりするけど。
それと柱に潰されてる蛙も見なかったことにしよう。
「まぁ真面目な方の巫女が来た時点でどういう人選基準かもうお解りかと思いますが・・・
あぁ、二人目来ましたね」
またも湖からこちらへ来る者が・・・2名。
うん、あれは絶対暇だから来たのだろう、間違いない。
「申し訳ありません、幽々子様がどうしても来たいと」
「従者の戦う姿を見るのも主人の勤めよぉ~
妖夢が不甲斐ない結果だったらそれをからかうのも主人の務めだけど」
二人目に依頼したのは魂魄妖夢。
日頃世話になっているからと快く承諾してくれた。
個人戦での強さは知っている、それに足も速い。
こういう相手も用意したほうが訓練になるだろうと思い、協力を依頼してみた。
というかさりげなくプレッシャーをかけるわね亡霊の姫君。
「むぅ・・・頑張ります。
おや早苗さん、あなたが今日の相方の一人ですか、よろしくお願いします」
「えぇよろしく」
握手を交わす二人、真面目な者同士気が合うのかしらね。
その主人二人もまた同じような事言ってた辺り気が合うかもしれない。
尤も、神と亡霊という混ぜるな危険な香りがするけれど。
「それにしても・・・」
妖夢がぐるりと私達を見た。
?何かあるのかしら・・・あ、ロリ神のところでちょっと目が止まった。
その後はぁっ、とため息をついた、何よ?
「むぅぅぅぅ、早苗さんも普通ほどありますし・・・私は下から二番目・・・いやもしかして・・・」
「大丈夫よ妖夢、少なくともあそこのちっちゃな神様よりは大きいわよ、きっと」
「あーうー!いきなり失礼だなお前ら! 」
あ、蛙が復活してる。
威嚇し始めた蛙っぽい神は放置して、と。
最後の3人目を待つことに。
「人選基準から見るに真面目な奴を選んでるようね・・・
となると永遠亭の兎かハクタクか、
それにプリズムリバー長女、スキマのところの狐、という選択肢もあるわね。
皆咲夜とは親しいから誰が来てもおかしくないわね」
「まぁそうなりますねぇ・・・あ、来ましたね」
最後の一人もまた一人ではなく二人。
ただし真面目な方が今回の3人目、というわけではなく・・・
「よっと、藤原妹紅参上ってか。
今日はよろしくな」
ハクタクの連れのほうが刺客ということになっていたりする。
「あら意外だったわ、てっきりそっちのハクタクかと思ったのに」
私もそのつもりで昨日行ったんですがね。
「いや、丁度妹紅も十六夜咲夜が来た時にいてな。
だったら私よりも自分のほうが適任じゃないかということになったわけだ。
私は一応監督する義務があると思って来た次第」
「むっ、まるで私が問題児みたいな扱いだね慧音。
大丈夫だって、弱い者虐めの趣味は無いし」
ちょっと心配だけどまぁ大丈夫だろうと思う。
これで3人揃ったわね。
「それじゃ後30分経ったら正門でも裏からでも図書館側からでもいいから本館に入って頂戴。
一応確認しておくけど、あまり派手にやりすぎない、物を壊しすぎないこと。
後はこのお嬢様人形と同じ物を3時以内に見つけて確保したらそれで終了、よろしい? 」
3名とも頷いたのでこれで確認事項は大丈夫だろう。
後は妖精メイドがどこまでこの3名に立ち向かえるか、かしらね。
「パチェ、あなたの見解は? 」
「そうねぇ・・・十中八九壊滅である事は間違い無いかしら。
でも頑張り次第では中々いい線行くかもしれないわね。
あの子達が団結すれば私達が思ってる以上の力を出すかもしれないわ」
「意外ね、壊滅するだけだと言うと思ってたわ」
「団結は時として大きな力となるわ。
まぁ見ていましょ、日頃馬鹿やってる妖精メイド達がどこまで頑張るかを」
そして時刻は1時となり、3名はそれぞれ別の場所から紅魔館へと入っていった。
私はそれを確認してから、私も紅魔館の中へ。
さて、どうなるかしらねぇ・・・
〇紅魔館正面玄関
13:05
まずは正面玄関のほうを見てみることに。
門からは藤原妹紅が入っていったのを確認してある。
おそらく妖精メイド達の何割かはそこで待ち構えているに違いないわね。
「そこまでよ、侵入・・・ちょっと!なんで蓬莱人なんて来てんのよ!?
こんな強いの来るなんて聞いてないわよ!? 」
あぁ、やっぱり。
結構な数の妖精メイドがバリケードを用意して待ち構えていた。
そして藤原妹紅が刺客とわかると皆一様に慌てふためき始めた、ちょっと面白いわね。
「安心しな、手加減はしろって言われてる。
喜んで燃えておけ、妖精メイドども」
藤原妹紅の手に炎が宿る。
火事にだけはしないでよ?
紅魔館がさらに赤く染まったなんて笑い話以前の問題よ。
「えぇい!蓬莱人相手でも明日の副メイド長の座の為に!
私達正面玄関部隊は見事任務を果たして見せよう!
行くぞ蓬莱人、我等の団結の弾幕を受けてみろーーー! 」
一斉に藤原妹紅に向けて弾幕が放たれた。
この場を指揮していると思われる妖精メイドの統制のおかげか中々正確な弾幕ね。
「おっ、中々いい弾幕を張るじゃないか」
まぁそれでも藤原妹紅には掠りもしない。
当然といえば当然ではある、しかし妖精メイド達もそれに動じない。
?何か企んでるみたいね。
藤原妹紅もそれに気づいたのか訝しげな表情になった。
そして藤原妹紅が回避しながら移動していると・・・
「今だ! 」
リーダー格のメイドが何かを引いた。
すると藤原妹紅の頭上から何かが彼女めがけて落下してきた。
それは寸分狂わず彼女の頭を直撃した。
「いってっ!?な・・・金盥!? 」
彼女に直撃したのは金盥だった。
おそらく洗濯場のものを持ってきたのだろう、あれは結構痛そうね・・・
「よし、効果は抜群ね!でもまだまだ仕掛けはいっぱいあるんだからね! 」
「上等、予想よりは頑張ってるじゃないか。
それじゃその仕掛けとやら全部見せてもらおうじゃないか」
「頭上にばっか注意してると弾幕に当たるんだから! 」
長引きそうなので他を見に行って見る事にした。
妖精メイドに付き合ってる藤原妹紅を見てると同レベルじゃないかと思えてきた。
チルノ辺りと仲良くなりそうな気がするわね。
○紅魔館図書館側入り口
13:15分
時を止めながら移動して確認してみたがまだ内部まで3人は入ってない様子。
予想以上に妖精メイド達が頑張って止めているみたいね、感心感心。
図書館側の入り口に向かってみると弾幕合戦が行われていた。
どうやら緑巫女がやってみるみたいね。
「なんとしてもここで抑えろー!赤巫女ならいざ知らず、緑巫女にまで突破されたら
メイド長からのお仕置きが待ってるぞーーー! 」
「・・・・・・」
あら?急に真面目なほうの巫女が攻撃を止めたわね。
何か震えてるような・・・
妖精メイド達も何事かと攻撃を止めて様子を伺い始めた、バリケード越しに。
「皆して・・・皆して・・・緑巫女とか真面目なほうとか偽巫女とか・・・」
何か嫌な予感がしてきたわ・・・
私は直ぐにその場を離れないといけない予感がしてきた。
「私には東風谷早苗って名前があるんだからぁぁぁぁぁぁ!!! 」
「「「「にぎゃああああああ!? 」」」」
みど・・・じゃない東風谷早苗がキレた。
最早手当たり次第に全力投球の弾幕を繰り出していた。
・・・・・・これからはちゃんと名前を呼んであげよう。
私はそう思いながら壊滅するであろう図書館側入り口から離れた。
○紅魔館1階北側通路
13:25
続いて裏口を見てきたが既に突破されていた。
おそらく妖夢が己の素早さを生かして早々に突破して行ったのだろう。
どこへ行ったのかと時を止めながら探していると北側通路に後姿を発見。
今は戦闘中ではないみたいね。
「・・・さすがにこんな近場にあるわけはない、か」
一部屋一部屋入念にチェックしているのはマメな正確故か。
しかしどこだろうかと考えながら上の空で歩くのは些か注意力散漫かしら、ね。
彼女の行く先、私はある物を見た、おそらくこのまま行くと・・・
「みょ・・・みょん!? 」
やっぱり、仕掛けられたロープに引っかかってこけた、顔からいったわねぇ。
そして痛そうに顔を擦りながら立ち上がろうとしたその時。
「あう!? 」
その頭に今度は金盥が落っこちてきた・・・金盥人気ねぇ。
まさに踏んだり蹴ったりかしら。
「いたたたた・・・うぅ・・・こんなトラップに引っかかってるようじゃ
幽々子様にまた半人前だとからかわれてしまう・・・」
あなたの主人も何か引っかかりそうな気がするけどね。
「はっ!?そういえばこの訓練をどこかで幽々子様も見ているはず・・・!?
ああああああ、また幽々子様に玩ばれてしまうきっかけを作ってしまった・・・! 」
頭を抱え始めた妖夢に酷く同情した。
今度永遠亭に連れて行こうかしら・・・あのままだとノイローゼにでもなりそうよ。
ともあれうんうん悩み始めた妖夢はここでしばらく足止めかしら、ね。
○紅魔館2階談合室前通路
13:40分
予想以上に妖精メイド達が3人の足を止めている。
しかし、真面目な者ほど怒ると手が付けられないとよく言われている。
「と、止まらない!?あの緑巫女の進撃が止まらないなんてぇ!? 」
「だから緑巫女って言うなあぁぁぁぁぁ!!! 」
「そ、総員退避ぃぃぃぃぃぃ!ひぎゃああああ!!! 」
そんなこんなで巫女が妖精メイドを蹴散らしながら進撃中。
でもあの子目的忘れてない?
「うぅぅぅぅ、そりゃあ後から来たのは私ですよ、えぇ。
でもだからって皆本名で呼んでくれないとかないわよ・・・」
どうやらお怒りは静まったようだ。
しかし破壊神かあんたは、あれほど壊しすぎないようにって言ったのに。
とりあえず周囲の光景はあまり直視しないようにした。
そんな折、破壊神は談合室前に。
ようやく任務を思い出してくれたのかしらね。
「失礼しま~・・・へぅ!? 」
あら、また金盥のトラップ?
本当に好きねぇ・・・
「今だぁ!集中砲火!!!ここであの緑巫女はリタイヤよ!!! 」
談合室で待ち構えてたのがいるみたいね。
策としてはまぁいい、でも・・・
「うぅぅぅぅぅぅ・・・緑巫女って言うなあぁぁぁぁぁぁぁ!!! 」
これは談合室、しばらく使えなくなるわね・・・
○紅魔館正面玄関
14:00
「はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・」
戻ってみれば死屍累々と妖精メイド達が倒れていた。
その中心では未だ無傷の藤原妹紅。
残っているのは疲労困憊、ネタ切れと見える隊長格の妖精メイドのみ。
これはもう勝負あったわね。
「どうした、もう終わりか・・・? 」
余裕の笑みを浮かべる藤原妹紅に妖精メイドはニヤリと笑い返した。
まだ何かあるのかしら。
「ふっふっふっ、もう14時、1時間の足止めに成功ね。
もしも本当の敵襲があったとしてもこれならば・・・・・・」
いや、無理だと思うわよ。
藤原妹紅が付き合ってくれたおかげなわけだし。
「ふん、まんまとお前さんの策略に乗っちまったわけか。
後1時間で見つけるのはちと骨かもしれないな」
「我が正面玄関部隊は任務を全うせり!
後は任せたぞ、他の妖精メイド達よ!!! 」
弾幕を展開して突っ込む妖精メイド。
それに全く動じずに見据える藤原妹紅。
「最後に名を聞こうか」
「レミリアお嬢様に付けられた名前は恥ずかしいから断る! 」
納得してしまったのは内緒だ。
ていうか何でこんな役者みたいな事してるのかしらこいつら。
暑くて敵わないわ・・・
「そうか・・・お前の事は覚えておいてやるぞ」
突っ込む妖精メイドをチョップで沈めた。
台詞と行動が全くマッチしてないのは気のせいかしら・・・
「へぶっ・・・」
正面玄関部隊全滅を確認した。
1時間の足止めという大業を成した事は覚えておくわ。
藤原妹紅が付き合ってくれたとはいえそれ程に攻撃ネタを用意していたわけだし。
でもちゃんと穴開いてるのとか修理しなさいよ?
○紅魔館3階東側通路
14:10分
ここに来て各所で激しい弾幕音と破壊音がさらに大きくなってきていた。
館内に3人全員入り、各所で待ち構えていた妖精メイド達と激しい戦いが繰り広げられているみたいね。
妖精メイドが真面目にやっているのが褒美のためとはいえ頑張っているのはよくわかる。
「私の力を受けてみろぉ!10秒足を遅くすることができる程度の能力を! 」
「南側通路に敵確認!増援をぉ! 」
「時間は稼いだ・・・!後は任せるわよ他の連中! 」
各所で妖精メイド達の声が聞こえてくる、一生懸命な声が。
もしも、目的意思が変わっているのならば私としては嬉しい事この上ない。
メイドとしての意地と誇りを持ってほしい私としては・・・
「まぁ真面目にやってるだけいい事かしらね」
3階に上ってみると東側通路で戦闘が行われているのが確認できた。
妖夢と数名の妖精メイドが戦ってるみたいね。
「ヘマをすると幽々子様に後で何をされるかわかりません。
申し訳ありませんが速攻で片付けさせてもらいます」
もう手遅れだと思うわよ、最初のロープにこけた時点で。
「ふふふ、私達お嬢様をこっそり見守り隊(自称)は他の妖精メイド達とは違うわよ」
何時の間にそんなの発足してたのかしら・・・
まぁ何もしなければ注意することでもないかしらね。
「さぁ、これを見なさいあなた達が探しているお嬢様人形は私達が持っているわ! 」
3名の妖精メイドが3つ、お嬢様人形を出した。
後ろからだからよくわからないけど良く出来ているかしら。
「むっ!? 」
「さぁ、どれが本物かあなたにわかるかしら?
それじゃ~ま~たね~」
人形を持った妖精メイドがそれぞれ別の方へ飛んで行く。
つまり自分達を探し出せということかしら。
面白い時間稼ぎの仕方ね。
しかも追おうとしている妖夢を少しでも足止めしようとする残った妖精メイド達。
妖精メイドにしては出来た策略だと思う。
何が出来てるって・・・
どれも偽者だものねぇあれ。
○紅魔館最上階
14時20分
紅魔館最上階、普段はお嬢様、妹様、そして私くらいしか入らぬ近寄らぬ場所。
ここには未だ残滓が残っている、私達の過去の残滓が。
しかし、今そこには私以外の者が2名いた。
「あら?あなた達がいるなんてね」
そこの守護者のようにいたのはよく馬鹿な事をしている日記を書いてる子と
とてつもなく長い名前をお嬢様に付けられた子だった。
「宝物は高い所にありってところですかね」
「こういう事にだけ勘が働く子だこと」
「皆頑張ってるようですねぇ。
でもそろそろここに来るのも時間の問題でしょうか」
その内必ず来るだろう。
館内の妖精メイド達の戦力もそろそろ底をつこうとしている。
ここに来る事は疑いようの無い事実。
「そういえばあなた達は副メイド長の座、欲しくないの?
ここにいて守ってても意味が無いでしょうに」
二名で戦って倒せるなんてこの子達も思って無いだろう。
事実ここに来るのをわかっている。
「私は毎日メイド長を鬼メイド長と噂できればけっこ・・・・・・ナンデモナイデス」
ぐーで殴ろうかと思ったけど土下座してきたので不問。
「私は特には。別に皆の上に立ちたいわけでありませんから」
ほんの一握りのいい子がここにいた。
ちょっと内心涙。
「まぁ一応メイドとして守りの位置についておきませんと、ねー」
「うんうん、たとえ勝ち目無くても私達の意地だけでも見せませんと。
そういう事ですよね?メイド長」
まさか私の意図に気づいている妖精メイドがいるとは思わなかった。
皆目先の褒美に目が行っていると思っていたのに・・・
「もう褒美とか忘れてるんじゃないでしょうかねぇ皆。
今はただ目の前の敵をどうやって食い止めるか、それだけだと思いますよ」
「そうかしら? 」
そうだとすれば私はもう少しこの子達への見方を改めないといけない。
望んだ事とはいえ見誤っていたのだから。
「だと思いますよ?・・・あ、もうそろそろ誰かが来るみたいですね」
確かに音が徐々に近づいてきている。
もう時期ここに誰かが辿り着くだろう。
果たして妖夢か、はたまた藤原妹紅か、それとも東風谷早苗か・・・
いずれにしてももう時期この訓練が終わることを私は感じた。
「うっし、準備するぞーえーとこく、こく、コックローチだっけ? 」
「黒龍!いやもう何でもいいわ・・・」
いいコンビかもしれないわねこの二人。
「じゃ、頑張りなさい、私は中で待たせてもらうわ」
「「いえっさー! 」」
さぁ、どこまで頑張るだろうか。
15時まで時間を稼げるだろうか?
それとも目の前の扉を誰かが開けて入ってくるのだろうか?
音は大きくなってきている。
もう時期ここに着くだろう。
さぁ、時間はまだ来ない。
さぁ、この訓練、どちらが勝つのかしら・・・
そして、扉は開かれた。
時計を見る、そう、結果は・・・・・・・・・・・
「あーーーもう、メイド長ったら酷すぎる!もうちょい弱い刺客用意してほしいわ!!! 」
訓練が終わって夕方から庭でパーティを開く事に。
もちろん今回刺客役として参加してくれた、関わった連中もいる。
結局後20分といったところで東風谷早苗が最上階に到着、
お嬢様人形を手にし、勝利宣言をもって訓練は終了した。
何か巫女服赤くなってる気がするがたぶん気のせいだろう。
ちなみに妖夢はやはり妖精の策に嵌って振り回され、
藤原妹紅は同じところをぐるぐる回っていた。
妖夢はやっぱり主人に、そしてどっから沸いたのかわからないスキマに弄繰り回され、
現在自棄酒中、そろそろ落ちるかしら。
あの二名は一気、一気と捲くし立てるから始末におえない。
藤原妹紅は上白沢慧音と一緒にちびちびやってるみたいね。
あ、正面玄関でやりあった妖精メイドも一緒みたい、仲良くなったみたいね。
勝者の東風谷早苗は神2名を止めるのに必死のようだ。
まさに普段と変わらぬ宴会模様かしらね。
「聞いたわよ咲夜、中々捨てたもんじゃないわねあの子達も」
「お嬢様・・・そうですね」
いつもと、いや、いつも以上に皆はしゃいでいる。
自分達の頑張りを称えているのかあるいは負けた事への自棄酒か。
まぁ元気なのはいい事かもしれないけど。
「あなたとしては満点かしら? 」
「さて、満点は3人を入り口で倒したらですかね」
「あらさすが鬼メイド長手厳しいわね」
むぅ・・・お嬢様にまでそう言われるとさすがにショックです。
そこまで厳しくしているとは思わないのですが。
「あら、私に対してはいつもいつも厳しいじゃない」
それはあなたが毎度よろしく無い事ばかりするからですよパチュリー様。
「咲夜はやさしいよー誰に対してもかは知らないけど」
一応誰にでも優しくしようと心がけておりますよ?妹様。
というかなぜ皆さん私の所に集まってくるのですか?
「「「なんとなく」」」
むぅ・・・なんとなくですか。
「とりあえず60点とでもしておきましょうか。
まだまだこれからメイドとしてみっちり教えていきませんと」
そう、まだまだ色々と教える事は山ほどある。
何せあの子達は直ぐに忘れてしまう困った子達だ。
忘れないよう、みっちりとしごいていきませんと。
「そんな事だとまーた鬼メイド長とか言われちゃうわよ咲夜」
・・・・・・お嬢様、それは言わない約束です。
なにはともあれ、皆、お疲れ様。
でも、明日の遅刻は許さないからそのつもりでいなさいよ?
それと美鈴、あんた飲みすぎ。
後で介抱する身にもなりなさいよね、まったく・・・
まだまだこれから著者様として後編を頑張って書いて頂きませんと。
紅魔館のために一致団結する妖精たちが微笑ましくなりました。後編も期待しています
個々にくる→此処かと。間違ってたらすいません^^;
金盥・・・・なんともお約束なものを持ってきましたね。(苦笑)
早苗は・・・まぁ、そんな呼び方されていたら爆発しても仕方がないですよね。
あ、成長薬ネタって結構引っ張りますね? 気に入ってたりします?w
実際、諏訪子が大人バージョンになったらどうなるんでしょうね?
さて、前編だというので後編も楽しみにしています。
修正しました、ご報告ありがとうございました。
>成長ネタ
大人になったお嬢様と妹様を広めようという画策してるなんて口が裂けても言えませんわ
読み返していたら誤字を発見したので報告しにきました。
>「すみません、加奈子様と諏訪子様が~」
神奈子が加奈子になっちゃってます。
以上、報告でした。(礼)
報告ありがとうございます
依頼した3名には手伝ってくれて事を感謝するわ。→依頼した3名には手伝ってくれた事を感謝するわ。 では?