「お願い早苗! 優しかったあの頃に……ッ!」
守矢神社に響き渡った悲痛な声は、神である八坂神奈子のものだった。
どうしてこんなことになったのだろう。なぜあんなことを言ってしまったのだろう。
後悔してもしきれない、あの言葉。
――そうだ早苗、博麗神社で霊夢の仕事を手伝ってみたら?
* * * * * * * * * * * * *
博麗神社の朝。
昨晩まであった浮雲はそよ吹く風に追いやられ、見上げた空はからりと晴れていた。絶好の巫女日和に早苗の口元が綻びる。
澄んだ空気が充ち満ちた境内の中を歩いていくと、煌めく陽光を浴びて博麗神社の巫女、博麗霊夢が二本の箒を持って静かに立っていた。
「おはようございます霊夢さん」
「おはよう早苗。じゃあ今日から三日、幻想郷の巫女の仕事をびしびし教えてあげるからね」
「はいッ、よろしくお願いします」
見知った仲なので挨拶もそこそこに、早速二人で境内の掃除を始めた。
掃き掃除は守矢神社でも毎朝やっていることだ。参拝客がいつ来ても良いように綺麗にしている。やはり他の神社と言えども一日の始まりというのは掃除から始まる。
麗らかな日差しの中、ざっざっ、と箒で掃く小気味の良い音が二つ響く。街の喧噪からは切り取られた風流とも謂える場景は、俳人でなくとも何か詠じたくなるというものだ。
しかし、早苗はすぐに気付く。粛然とした空間に似つかわしくない、霊夢の真剣な目に。注意深く観察してみると、時々箒ではなく自らの手で石畳を払ったりしていた。
(――霊夢さん真剣だ……私もしっかり掃除しなきゃ駄目だわ)
早苗とて掃除に手を抜いているわけではないが、霊夢と比べると瞳に宿る真剣さというものが確かに違った。掃除は遊びではない。神様の住む場所をいい加減な気持ちで清めるなんてことはあってはならないのだ。都会ならいざ知らず、ここは多くの神が住んでいる幻想郷だ。
(――ああもうッ、早速霊夢さんに一つ教えられたわ)
早苗は不揃いに並んだ石畳みの一つ一つを雑巾で拭くかのように箒を丁寧に動かした。
砂粒一つ見逃さず、掃く、掃く、掃く。
だからこそ日光を受けてきらりと光るそれを見つけた。
「あら、これはお金?」
なんと早苗は一枚の貨幣を手に入れた。
「でかしたわ早苗!」
「あ、霊夢さん」
「もう掃除のコツを掴んだようね! ほら、私もこんなに見つけちゃった」
得意気な顔で霊夢は手を開くと、そこには数枚の貨幣が清冽な光を帯びて輝いていた。
「あ、あの、もしかしてさっきから手で払っていたのって……」
「うん、うちの神社の石畳って結構荒れているでしょ? だからよく参拝客が転んでお金を落としていくのよ。だから朝の掃除は入念にしなきゃ駄目なわけ」
「れ、れいむさん……」
「でも流石は早苗ね、教えるまでもなく私を見てしっかり学ぶなんて、巫女の才能あるわよ」
きらきらと輝く霊夢の顔は、優秀な巫女が幻想郷に来てくれたことの喜びによるものか、はたまたお金を拾ったことの喜びによるものか。そんな顔を見ると早苗は何も言えなくなってしまった。
もはや掃除をしているのかトレジャーという名のお金探をしているのかわからなくなって早数時間。早苗は数枚の貨幣を見つけることに成功はするものの、自分の求めていた巫女の仕事は終ぞ見つからず、気付けば境内は綺麗になっていた。
「うん、こんなもんね」
ほくほく顔で巫女らしき人物は言った。
「次は賽銭箱のチェックね、行くわよ早苗」
「は、はい」
賽銭箱をのぞき見ると、思っていたよりも貨幣が詰まっていた。常々賽銭の少なさに頭を悩ませている印象のある霊夢だったが、これだけあれば十分ではないか。守矢神社よりもずっと多い。
しかし霊夢は中身を見て溜め息を吐いた。
「これぽっちかぁ……」
「ええ! かなり入っているように見えるんですけど」
霊夢は賽銭箱の裏に回ると、一番下についていた今にも壊れそうな錠を開けた。解錠した棚を手前に引くとじゃらじゃらと音を立てて中の賽銭が出てくる。やはり沢山詰まっていた。
その量に早苗は思わず生唾を飲み込んだ。
「ほらよく見て、これお金じゃないのよ」
しかし霊夢の取り出した貨幣を受け取りよく見ると、それはただの銅材であった。なるほど、賽銭箱の上から見ただけではわからないが、手に取ってみるとよくわかる。
「なんでこんなものが賽銭箱に。あ、誰かの悪戯ですか? 酷いことをする人もいるんですねえ」
中にはそういう参拝客もいる。おはじきや飴玉が入っている場合もあるし、性質の悪い輩は石を入れていったりもする。度の過ぎた悪戯は、神への冒涜ではなく、もはや迫害だ。
しかし霊夢は首を横に振った。
「ううん、自分で入れたの」
「――はい?」
「だって参拝してきた人が空っぽの賽銭箱を見たら、博麗神社は御利益がないと思うじゃない。だからこういう偽のお金を入れて御利益があるように見せかけてるのよ」
「そ、それって偽造貨幣にあたるんじゃ……」
「あ! やった、思ったよりお賽銭あった!」
なんて恐ろしい巫女だ。今度は息を飲んだ。
いや、ある意味尊敬に値するのかもしれない。以前、博麗神社を乗っ取ろうと画策したことが思い出される。信仰を集める努力をしていない博麗神社に代わり、自分たちが信仰を集めるという大義を掲げたが、それは間違いだった。
(――霊夢さんは、戦っていたんだ)
「さて、そろそろ休憩しましょうか」
少しばかりの賽銭を見つけ満面の笑みを浮かべる霊夢の姿を見て、早苗は胸を締め付けられる思いだった。彼女は戦っているのだ、一生懸命戦っているのだ。貧困と。
そんな彼女に「貴方は信仰を集める努力をしていない」と言い放った自分の愚かさが恨めしい。していないはずがないのだ、なぜならそれは自分の生存に関わることなのだから。
「おっ茶の時っ間、おっ茶の時っ間」
鼻歌交じりにお茶の用意をする霊夢は見るからに上機嫌だ。お賽銭一つであんなにも人間は幸せになれるのだ。
自分はあれほどまでに喜んだことがあるだろうか。お賽銭はあって当然のもの、ずっとそう思っていたのではないか。
お賽銭、それは目に見える信仰だ。早苗はお賽銭に感謝したことなどなかった。それはつまり、たった一つの信仰すら大切にできないということではないか。
「お茶淹れたよー」
(――嗚呼、私はなんて愚かだったのだろう。たった一つの信仰すら喜べない私が、どうして沢山の信仰を集めることができようか。彼女はそれを私に教えてくれているんだ)
早苗は目の奥が熱くなるのを感じながら霊夢の方へ歩いていく。
縁側に腰掛けた霊夢の隣へ座り、お茶を頂いた。
「今日は茶葉を新しく交換したから美味しいわ」
「新しい銘柄ってことですか?」
「ううん、いつものお茶よ。いつも百八回飲んだら茶葉を代えてるんだけど、今日は早苗がお金を見つけてくれたしね、特別ッ」
ぶんっ! と首を勢いよく回して早苗は空を見た。突き抜ける晴天が、徐々にぼやけていく。
(――駄目よ早苗、泣いちゃ駄目、霊夢さんは今幸せを感じているんだから、同情や憐憫の涙を流すことは失礼極まりないじゃないッ!)
スカートの裾を力一杯握りながら早苗は耐えた。「空が、眩じいでずね」と誤魔化しながら涙を蒸発させた。
「そうねー、今日は良い天気……あれ、魔理沙だ」
霊夢の見上げた空の向こうに黒白の物体が浮かんでいた。それはぐんぐん近付いてくる。
「よ、来たぜ。今日は珍しい奴がいるな」
「どうも、その節はお騒がせしました」
「良いの良いの、基本的に魔理沙の方がお騒がせしてるんだし」
「私はいつだって正しいお騒がせしかしてないぜ。ところで巫女が二人並んで何してるんだ?」
「三日ほどここでお世話になって幻想郷の巫女について勉強しようかと思いまして」
早苗の言葉に魔理沙は複雑な顔をして「あー……そー……」と言った。
「ああ霊夢、私にもお茶をくれないか」
「はいはい」
霊夢が立ち上がり居間へと引っ込むのを確認した後、魔理沙は早苗の横にすかさず腰掛けた。
「おい早苗」
「はい?」
「……泣くなよ」
「……すでに危なかったです」
「心を折るな。今を戦時中だと思え。里は飢饉に襲われ、町は疫病が広がり、国は傾きかけ、世界は終末にむかっている。それくらいの覚悟で三日過ごせ。これが私からの助言だ」
「そんな大げさな……」
「心構えの話だ。そう思っておいた方が良い局面が必ず出てくる」
魔理沙の鬼気迫るような表情を見て、早苗は圧倒された。
「最初はみんな面白がるんだがな……次第に笑えなくなるんだぜ……」
「お茶よー。お煎餅も持ってきちゃった」
おう、と返事をして魔理沙は早苗の横から素早く移動した。お茶と、煎餅がてんこ盛りに入った容器を受け取る。
魔理沙はチラリと早苗を見ると煎餅をもしゃもしゃ豪快に食べ始めた。それはもう全部を平らげる勢いで。
「もう、あんたばっかりお煎餅食べてないで私たちにも頂戴よね」
「い、良いじゃないか、減るもんじゃないだろ……」
霊夢は、魔理沙ががっちり抱えていた容器をむしり取って、早苗へ煎餅を渡す。
早苗はそれを受け取り、かじった。
パサッ……とした食感は煎餅として失格だった。
(――湿気ってて美味しくない……全然美味しくない……)
横目で霊夢の様子を見ると、美味しそうに煎餅を頬張っていた。
(――霊夢さんは、湿気った煎餅を美味しく食べることができる程度の能力、かな)
現実逃避である。
(――おい早苗! 旨そうに食え!)
(――だ、だってこれパッサパサですよ)
(――カビがびっしり付着して誰もが間違いなく捨てる餅の、その表面を削って作られたお汁粉を食いたいのか!)
「わぁ! 美味しいですねー!」
早苗は叫んだ。背筋に走ったおぞましい感覚を捨てるために。
夕食がとてつもなく怖かった。
「なあ霊夢、今日の夕食は何にするんだ?」
「そうねー、そういえば前に魔理沙にもらったキノコがあったわ」
「お、おま、それ、かなり前の話だろ……流石にもう食えなくなってるんじゃないのか?」
「大丈夫、神社の裏で増やしてる最中だから。しばらく見てないけど増えてるはずよ」
「増える……っておおお、おまえ……」
「なによ。お金だって大切にしまっていれば増えるのよ?」
ポロリと早苗の手から煎餅が落ちる。魔理沙はゴクリと唾を飲み込んだ。
「キ、キノコのことなら私に任せておけよ、ちょっと見てきてやるぜ」
「いっぱいになってたら採ってきてねー」
早苗と魔理沙の視線が交差した。力強く頷いた魔理沙の姿に、早苗は真の神の姿を見る。
こんなにも頼もしい人だったとは知らなかったと心の中で感謝をした。
数分後、神社の裏で膨大な魔力の奔流――まるでスペルカードを使用したような――を感じ、早苗はすべてを悟る。魔理沙が、黒白の神が、自分を助けてくれたのだと。
しばらくして魔理沙が戻ってきた。
「ちょっと! どうかしたの?」
「ああ、野生の動物がキノコを食い散らかしていたからマスタースパークで追い払った」
「ええーッ! キノコは?」
「全滅だったぜ」
ありがてえ、ありがてえ。
恐らくは、人間が食べられる状態ではなかったのだろう。
ありがてえ、ありがてえ。
「夕食どうしようかしら」
「だからいつも言ってるだろ、食材は早めに食えって。霊夢は長く残しすぎなんだよ」
「だって増えるかもしれないじゃない。お煎餅は増えるもん」
「んなもん増えるかッ!」
霊夢は料理が下手なわけではない。博麗神社で宴会をするとき、酒の肴は主に霊夢が作っているのでそれはよく知っている。むしろ上手い部類だろうと早苗は思う。
問題は使う食材なのだろう。お金がないから食材を手に入れることが難しく、だからこそ食材を長期で保存しようとし、その結果腐らせる。しかし捨てるには忍びないから、上手く調理しようとするのだ。もしかしたら彼女の料理の腕はそうやって磨かれたのではないか。だとしたら、なんという非業の技。
こんなことなら守矢神社から食材を持ってくるべきだった。
「さて、そろそろ私は行くかな」
「え、行くんですか!」
「ああ、行くぜ……頑張れよ……」
万感を込めた一言を残し、頼もしき頼もしき味方は飛び去っていった。
「さーて、お昼寝でもしますかー。特にやること無いから早苗も昼寝する?」
使い古して柔らかくなった座布団を折り畳みながら霊夢は言った。
「エネルギーはあまり使わない方が良いよー。出歩いたって面倒なものにしか出会わないんだからね。幻想郷の巫女は何か起こってから動くのが基本なのよ」
それでは自分は何のためにここにいるのだ。
「あのぅ、霊夢さんはいつも寝ているんですか?」
「もちろん」
一応、幻想郷の巫女としての役割を学びにきたのだから、もう少し為になるようなことをしたいというのが本音である。しかし毎日昼寝しているとなると、ひょっとしたらそれが大事なものなのかもしれない、と早苗は考えた。
そんなわけはない。
「では私もお昼寝します」
「うん、そこの炬燵と座布団使って良いから。それじゃおやすみー」
早苗がもぞもぞと炬燵の中に身を入れている間に霊夢は寝てしまった。この時間にいつも寝ているという言葉通り、すでに習慣化していることが窺えた。
博麗霊夢は不思議な巫女だなと思う。お金やお賽銭に執着して、それでいて他のことにはてんで無頓着だ。全く以て浮世離れしている。年頃の女の子が擦り切れて穴の空きそうな座布団を枕にし、人目も憚らずに寝るなんて、ちょっと考えられない。妖怪よりも妖怪っぽい性格だ。
「幻想郷で巫女をやるって、これくらいできないと駄目なのかなぁ」
脇にあった座布団を引き寄せた。その座布団も簡単に折れて枕になった。
* * * * * * * * * * * * *
夕刻。
微かな音に反応して早苗は目を覚ます。空の向こうが黄昏に染まっているのを見て寝過ぎてしまったと思った。
それよりもさっきの音は何だったのだろうかと耳を澄ましていると、すぐ側で眠る霊夢の寝息とは別に、遠くから聞き覚えのある澄んだ音がした。それは昼間に聞いた貨幣と貨幣がぶつかり合う音だ。
早苗は一向に起きる気配のない霊夢を跨ぎ、縁側から降りてこっそりと神社の正面の様子を窺った。
(――参拝客!)
ちゃりーん。
黄昏の空へと響き渡る賽銭の音。胸に込み上げるものがあった。ぐうぐうと寝ている霊夢に、良かったね本当に良かったね、と呟いた。
去っていく参拝者の背中に向けて両手を合わせる。お客様は神様です、また来て下さい。そう拝む早苗の姿は、すでに巫女としては異質である。
小躍りしながら縁側に戻ると、さっきは急いでいて気付かなかったが霊夢の横に野菜が置いてあった。大根、人参、キャベツ――そして大量のキノコ。誰が置いていったのかなど考えるまでもない。黒と白の神様に決まっている。
(――ありがてえ、ありがてえ)
人の優しさがこんなにも胸に沁みるなんて幻想郷にくるまでなかったことだ。博麗神社に来るまで知らなかったことだ。傷つきかけた心の角質に優しく軟膏を塗られるような、少し沁みるけどこそばゆい暖かさ。
「霊夢さん霊夢さん、起きて下さい」
ゆさゆさと揺すると、霊夢は目を擦りながら身体を起こした。
これが本当の貧乏揺すり、などとふざけたことを思ったのは浮かれている証拠である。
「え、なになに、もう夕方なの」
「それよりも見て下さい。野菜とキノコがこんなに沢山!」
「あ――魔理沙の奴、かっこつけちゃってもう……えへへ」
「良かったですね、本当に良か――くぅッ」
嬉しそうに笑う霊夢の顔を見て早苗はまた目頭が熱くなった。しかし涙は無粋というもの、ここは笑顔を通すべきだ。
「うん、うんッ、これだけあれば一週間は贅沢できるわ」
早苗は駆け出さずにはいられなかった。
嬉しかった気持ちは一瞬にして同情へと塗り替わってしまった。大根と人参とキャベツとキノコで一週間は贅沢できるだと? 一体、彼女はどれほどの貧困の道を歩いてきたのだろう。それは想像すら及ばない修羅の道。惨めさと情けなさで踏み固められ、身を知る雨に濡れた汚泥の道だ。
涙よ乾け。風に流れてしまえ。喜びを分かち合ったときの気持ちを忘れさせないでくれ。
同じ巫女なのになぜこんなにも価値観が違うのだ。贅沢しててごめんなさい。
早苗は境内を一周して霊夢の元へと戻った。
「ハァ、ハァ――嬉しすぎて、走って、来ちゃい、ました」
「もう大袈裟ねー。それじゃ夕食作るわね」
「お手伝いします」
野菜を持って台所へ向かう。昼間のやり取りのせいで、カビの生えた食材が転がっていたり、虫が湧いていたり、異様な臭いがしていたり、そんな不潔なイメージを早苗は抱いていたが、むしろ綺麗と言えるほどに片付いていたので驚いた。冷静に考えれば宴会の時はすべてここで調理しているのだからそんなことがあるはずは無い。
失礼な想像をしていたことで胸がちくりと痛んだ。だからこそ誉める。誉めることでバランスを保つ。
「片付いていますねー」
「まあね」
「うわぁ、生ゴミ一つ無いなんて驚きです。うちなんて生ゴミやお酒の容器が転がってますから」
「あはは、あんな神様が二人もいたらね。まあ私は生ゴミなんて一切出さないから綺麗なものよ」
「え、生ゴミどうしてるんですか?」
「ちゃんと食べてるわよ」
「……ッ!」
油断した。
霊夢から顔を背ける。降水確率は今にも限界を迎えそうだ。
「どうかした?」
「い、いえ……持病の、声震える病が……気にぢないで下ざい……」
野菜の皮をどうやって食べているのか気になって仕様がない。キャベツの芯の調理法など乏しい知識では想像すらできない。しかし、これを尋ねてしまって良いものなのか。人間の尊厳を踏み越える行為にはならないだろうか。
しかし、しかしだ。聞かねばならない。満腹への階段を上るため家畜の飼料同然である野菜の皮を幸せそうな顔で貪り食べる巫女の姿を、何の根拠も無しに抱き続けるなどとは失礼千万だ。これはしっかりと確認するべきことだ。尊厳を守る聖戦だ。
「一体、どどどどのようにして野菜の皮を調理するのでしょうか」
「きんぴらよ。炒めて調味料を混ぜるだけのお手軽料理。これから作って見せてあげる」
許されるならば直ちに土下座をして己の額で釘を打とう。キャベツの代わりに私の愚かしい頭をかち割って貰おう。想像の中とは言え、なんて酷い侮辱をしてしまったのだ。
当たり前じゃないか。生ゴミをそのまま食べるわけないではないか。
「でもねー、火が使えないときはしょうがないからそのま――」
「うわあああぁぁぁッ! 何にも聞こえなぁぁいッ!」
叫びながら早苗は魔理沙の言葉を思い出していた。戦時中だと思え。
ここは本当に幻想郷なのか? 否。ここは戦場だ。
木の根を食べてでも生き抜かなければならない絶海の孤島で戦っているのだ。
生ゴミだと? そんなものがこの世界にあるはずがない。飽食の時代など何世紀も先の未来。いや、人類が食道楽に目覚めることなど未来永劫くることはないのだ。
「ちょ、ちょっと早苗どうしたの? 突然大声あげて……」
「す、すいません……持病の、突発性難聴が……気にしないで下さい……」
甘えた考えは捨てろ。ここは文明と陸続きだという妄想も捨てろ。
それこそが、幻想郷で生きていくために必要なことなのだ。
* * * * * * * * * * * * *
夕食は美味しかった。
二人きりの食事で、特に会話が弾んだというわけではないが、しかし早苗は居心地の良い空気を感じていた。それが博麗霊夢という巫女が作り出す空気なのだろう。深く踏み込んでこず、また深く踏み込めない、そんな絶妙の距離の取り方。人間にも妖怪にも人気があるというのは納得がいった。霊夢の持つ独特な距離の取り方というのを学ぶことができれば、今後の巫女生活において役立つものになるだろう。
やはり博麗神社に来て良かった。そうとも……絶対に来て良かった。
「そうよ、来て良かったのよ……来て良かった!」
布団の中で強く呟く早苗のそれは、もはや祈りだ。
見たくもないものを見てしまい、聞きたくもない事実を聞かされ、知りたくもない不遇を知ってしまったことを、何とかしてプラスの出来事で上書きしようとする、それは記憶への侵攻作戦だ。
外では虫が鳴いている。目を瞑れば、それはまるで賽銭の音のように聞こえてきた。
横で寝息を立てている霊夢を起こさぬよう、財布を握りしめて寝間着のまま早苗は静かに外へ出た。
(――私もお賽銭いれよう)
その行為を見る者がいれば偽善と憤るかもしれない。独善と蔑むかもしれない。
しかし、早苗は思う。
そんなものは生活に余裕のあるものが振りかざす、それこそが独善的な価値観だ。
そいつらは嬉しそうに大根を抱える少女の顔を見たことがあるのか。米の磨ぎ汁の再利用に夢を膨らませる少女がいることを知っているのか。蝋燭の明かりの中で百物語よりも恐ろしい苦労話を聞いたことがあるのか。
よしんば偽善による賽銭だとしても、それでお腹が膨れることに、何の咎があろうか。
財布から貨幣を一枚取り出して賽銭箱へ落とす。
「博麗神社にお賽銭が増えますように」
この行為が哀憐の流露だとしても、想う気持ちに偽りは無い。
僅かばかりのお賽銭じゃこの願いは神に届かないだろうか、もう少しお賽銭を足した方が良いだろうか。そんなことを考えていたら、早苗の背後から声がした。
「あんた……ひょっとしてここの巫女さんかい?」
思案に暮れていた早苗は、突然声を掛けられ叫びそうになるくらい驚いた。振り向くと、薄闇の中に襤褸を着た男が立っていた。
「いえ、違いますが……」
「そうかい。ちょいと俺にも祈らせてくれんかね」
早苗は賽銭箱の前を男に譲った。
男は賽銭箱へ貨幣を投げ込むと真剣な顔で両手を合わせた。その真剣な姿に早苗は少し躊躇ったものの尋ねてみた。
「何を……そんなに?」
「あんたと同じさ」
言っている意味がわからなかった。
「あんたと同じく、この神社にお賽銭がもっと入りますようにってな」
自分の願い事を聞かれていたと気づき、恥ずかしさを隠すように早苗はむっとした。
男はそんな早苗の様子を見て少し慌てて謝った。
「ああ、いやすまん。怒らせたかな」
「……いえ、別に」
明らかに腹を立てている風だったので、男は話を変えようと咳払いを一つする。
「ところであんた、本当にここの巫女さんじゃないんか?」
「ええ、ここで巫女の修行をしてるんです」
「ああ、そうかい……そうか……巫女の修行か……」
暗くてはっきりと顔は見えなかったが、男は何事か考えているように見えた。時間も時間なので怪しい人かもしれない。
少し警戒しようかと一歩下がると、おもむろに、男は地面に両膝を着けた。
「――はい?」
「すまねぇ」
早苗は目を疑った。いきなり男は土下座をしたのだ。
「ちょッ、そこまでしなくても、そんなに怒ってませんからやめて下さいッ」
「いや、違うんだ。俺の代わりに、ここの巫女さんに謝っておいてくれないか……」
「はい?」
「以前、俺は盗みをやっていたんだ……」
男は滔々と語り出す。
「ある日この神社にも盗みにきたことがあってな。それで賽銭箱からちょいと頂こうと鍵をこじ開けて中を見たんだ。けどあったのは偽物のお金だけだった。金は家の中にあるのだろうと思って諦めかけたんだが、様子を見てみると家主は留守でな。まあ……入ったんですわ」
そこまで話すと、男の声が急に震えだした。
「家の中を見ると、俺なんかよりもよっぽど貧しい生活をしてるじゃないですか……。俺はもう何軒もの家の中を見てきましたが、あんな生活は、見たことがなかった……」
男は当時のことを思い出し、絞り出すように吐露する。
「夕飯の痕跡を見て、俺は、俺は、なんてとこに盗みに入ってしまったんだろうって……貧しかった幼少時代だって、お茶の出涸らしを、夕飯のおかずになんてしたことはなかった! それを朝食のために作り置きなんてしたことなかったッ!」
ちくしょうちくしょうと呻きながら、男は涙を流した。
早苗はいつかの日のことを思い出す。
畳を箒で掃除するとき、乾いたお茶の出涸らしを撒いて掃除すると綺麗になると、二人の神様に講釈を垂れたことがあった。
強く、強く、目を瞑る。
(――馬鹿だ、私は馬鹿だッ! お茶の出涸らしは食べ物なのに、なんであんな粗末にしたんだろう!)
その出涸らしだってたった二度しか飲んでない茶葉だ。最低でも十回は飲むべき、いや百回は飲むべきだった。
馬鹿たれ。愚か者。世間知らずの――世間知らずの――。
己を罵倒する語彙の足りなさに歯噛みする。
暖かい家に住み、優しい神様たちに囲まれ、食べるものにも困らない、そんな巫女が居て許されるものか。
あの楽しかった日々は、贅沢という大罪を犯して手に入れたまやかしのものだったのだ。
「丁度その時期は七夕で、テーブルの上には願い事が書いてある短冊があった……。見なきゃ良かった、あんなもの見なきゃ良かった……」
早苗は耳を塞いだ。頭よ潰れてしまえ、と両耳を圧迫する。
理性と本能が、聞いてはいけない、知ってはいけないと騒ぎ立てる。しかし男の声を遮ることはできなかった。
「短冊には『お煎餅をお腹が一杯になるまで食べたい』って……。その横のくしゃくしゃに丸められた短冊には『夕飯をお腹が一杯になるまで食べたい』って……。そんなちっぽけな願いすら、丸めて諦めてしまうなんてどうかしてるだろッ」
早苗も限界だった。
夕飯を作っているときの嬉しそうな霊夢の顔を思い出し、鼻をぐずぐずさせる。
あの人は一度だって不平は言わなかったじゃないか。常に笑っていたじゃないか。
泣いてはいけない。それは、高潔に生きている巫女への、冒涜に他ならない。
だからお願いだ、もういい、それ以上は、もう何も話さないでくれ。堪えに堪えてきた涙腺をこれ以上は刺激しないでくれ。
だが早苗の願いも虚しく、男は言葉を紡ぎ続ける。ずっと溜め込んでいたものを吐き出すかのように捲し立てる。
「居間にあった戸棚の一番奥で、神様を奉るように大切にしまっている紙幣を見つけたとき、俺は……俺は本当に涙が止まらなかったッ! だって、だって紙幣に名前が書いてあったんだ! 名前を書いて、大事にしまっているなんてッ!」
爆発する感情が一滴の水となって瞳からこぼれ落ちた。それが呼び水となり、次から次へと涙が溢れてくる。
早苗は泣いた。声をあげて泣いた。
我慢していた分の反動は凄まじかった。
「れいむ、ざん……何もそごまで、ぢなぐでも……」
「すまん……すまん……俺は目が覚めたんだ。強く生きていこうって、もう悪さはしないって。俺なんかよりも貧しい人が、世を恨まず、神をも憎まず、慎ましく清廉に生きているんだから、俺も頑張ろうって」
「う、ぐ……ぅ――う、うわあああんッ」
「直接謝ることもできない臆病な俺の代わりに、あんたが謝ってくれ。どうか、この通りだ。そして、ありがとうって……うぅッ」
巫女の気高い生き様を垣間見て、男は自分の半生の過ちに気付いたのだろう。真っ黒に染まってしまった男の手に、巫女の白い手が重なる幻を見たのだろう。
一つ罪を犯せば、人としての誇りを一つ捨てることになる。男は幾つの誇りを捨ててきたのか。これから幾つの誇りを取り戻すことができるのだろうか。
「明日、俺は街に出て菓子職人を目指す……もっと旨い煎餅を作れるようになって戻ってくる……だから……」
その後はもう言葉にならない。
男は地に蹲り、巫女は天を仰いで泣きじゃくる。
拭えども拭えども涙は尽きずに溢れてくる。
やがて男は少しだけすっきりした顔で立ち上がった。
「聞いてくれてありがとう。誰かに、話したかったんだ。罪の償い方なんて無いのかもしれないが、これからは真っ当に生きていこうと思う」
返事しようにも嗚咽しか出てこない早苗はこくこくと頷くだけだった。涙は一向に止まらない。
立ち去る男を見届けた後、早苗は泣きながら賽銭箱の上で財布を引っ繰り返した。
降りしきる涙の雨のように、全てのお金がザーザーと音を立てて賽銭箱の中へ吸い込まれていった。
わんわん泣きながら居間へ戻ると、霊夢が目を覚ました。
「んー、早苗……?」
「れ、れいむ、ざん……ぶわあぁぁん」
早苗は霊夢に抱きついて尚泣き続けた。
「おーよしよし、怖くない、怖くないよ」
霊夢は早苗の背中に腕を回し、早苗が落ち着くまでさすってあげた。
「ひっぅ……ひっく……」
「ごめんね、暗いからトイレに行くの怖かったね。よし、じゃあ今日は一緒に寝よッ! ほら泣きやんで早苗」
霊夢は早苗の頭を優しく撫で、涙が止め処なく流れ伝う頬をそっと拭ってやり、自分の布団へ招き入れた。
やがて早苗は泣き疲れ、霊夢の胸に顔を埋めたまま眠りに落ちた。
* * * * * * * * * * * * *
詰まるところ、三日もいらなかった。
巫女が生まれ変わるのには、一日あれば十分だったのだ。
一日で十分だったものを三日も続けるとどうなるのか?
こうなる。
「お願い早苗! 優しかったあの頃に……ッ!」
「この飲んだくれッ! これだけの酒があればどれだけ贅沢ができると思ってるの!」
「お願いよ……捨てないで、もう今日はお酒飲まないから、それ捨てないで……」
「捨てる……? 嫌だ嫌だ、ああ嫌だッ! これだから贅沢者の発想は嫌だッ! そんな勿体ないことできるわけない!」
「じゃ、じゃあ……!」
「売ってお金にするのよ!」
「うわーん」
或いは。
「ひーん、野菜の皮はもう食べたくないよー」
「もう一度言ってみなさい! どうして調理された食べ物をありがたく思えないのッ!」
「そんな……調理されてるって、野菜の皮なんて食べるものじゃないよ……」
「な、なな、なんですって――? もももももう一度言って? ねぇもう一度言って?」
「あわわわ……」
こうなる。
巫女は神へと化けたのだ。
絶大な力を持つ神々すら圧倒する程の――鬼神へ。
そして幻想郷において、その鬼神すら超える神がいる。
その神の名は――
――貧乏神。
<了>
SSデビュー作でこのクオリティはすごいですねー。
戦時中だと思えという魔理沙のアドバイスが良過ぎw
次回作も期待しています。
優しい早苗さんに戻ってーー!!
優れた文章力、きちんとヤマを作る構成、そして内容もとても面白いです。
単純なギャグSSとして見てしまえば作者さんの「笑えないギャグ」という言葉もある通り、笑いどころの少なさ等出てきてしまうと思いますが、
一個の元ネタ(貧乏巫女)を展開させただけなのでギャグSSでくくってしまうのもどうかと思いました。
あとカオスなギャグやみんな(俺も)大好き百合展開に全く頼らずここまでの物を書き上げた点はすごく好感が持てました。(伸びしろ的な意味で)
個人的には100点ですが、-10点は次の作品へのさらなる期待と思っていただければ。
初投稿でここまで書けるとはお見事です。
しかし、泥棒が改心してしまうほど霊夢の生活が・・・・。
それにしても、二次ではよく貧乏扱いされますよね。
面白かったです。
次回も出るのなら楽しみですね。
次の作品ではお腹いっぱい食べさせてあげて
とてもよろしい出来だと思うので、自信を持ってこれからも投稿してくらさいな
・・なんか私偉そうですね
とにかく、次も期待
しかしそれをここまでのものに仕上げてしまうのは素晴らしい。
白黒の神様とか、元盗人さんとかの風味もきいてて色々と美味しすぎますw
此処まで罪悪感を掻き立てられる作品はちょっと記憶にありませんw
ごめんなさい.贅沢してごめんなさいっ
幻想郷行ってくる
とても笑えるし面白いのに目から汗が出てきた
お前は今、笑っていい。
笑っていいんだ!(号泣)
いやすごいです。貧乏巫女ネタの極みを見せられた。
次も期待せざるをえません。
最初は笑いながら読んでたのに、途中から笑えなくなった。
魔理沙がこんなにも頼もしい奴だったとは。
起承転結しっかりしていて読みやすかった。
次も期待してます。
面白かったです。次回作も期待して待ってます。
売ってる人参は既に皮が向いてある状態なので、剥かなくてもいいのだそうです。
ちなみに、剥いた皮もちゃんと食えるのだそうです。
みんなも節約しようぜb
出涸らし、使おうかな。
彼女の美しい生き様にただただ涙と笑いが止まりません。
とりあえず腹抱えて地面に突っ伏しながら泣いている私が家族に見つかったらあなたのせいですね♪
ちょっと博麗神社にお賽銭入れてくる
霊夢頑張れ、頑張れ…!
泣いてない…泣いてないからな!
PCの画面が見えないや…
点数入れ忘れた…
そして作者超GJ
次も期待してます
その名をそれぞれ、貧乏神、鬼神、白黒の神wwwww
文章としてとても読みやすかったです。この文章なら二万字でも読める…!
次も期待しておりますのでがんばってください
くっ;; GJでした!
出涸らしのネタをここまで美味しく調理するとは…スゲェwww
マイペースでいいので推敲頑張って下さい!
話の流れ、文章ともに読みやすかったので
長さは特に気になりませんでした。
次回作も期待しています。
生活は貧しいのに心の豊な霊夢に涙が止まりません。
幻想郷の巫女に幸あれ!!!
初投稿でこれは凄いです。見事に氏の世界に引き込まれました。
この霊夢は、真に幻想郷の誰からも愛されているのでしょうね。
しかし泥棒までもが改心する生活ぶりとは。まさに清貧、むしろ聖貧?
農家の人間として捨てる奴には一言言いたいぞ。
それはそれとして短冊で泣いた(´;ω;`)ウッ…
me?σ(´・ω・` )的には100点なのですが!
次の作品への期待ですこれからもがんばってくださいw
霊夢さん今まで貧乏ネタでバカにしてごめんなさい
バカなのは僕です。僕のほうです。
幻想郷に行く事がありましたら、参拝にいきます。ご縁があるように5円なんてやりません。
財布に手を突っ込んで、ランダムチョイス、最初につかんだ硬貨を投げ入れさせていただきます。
そのとき500円を掴んでしまっていたとしても、博麗神社のお賽銭になるのなら、僕は迷いません!!
あとこの魔理沙は本当にかっこいい
とか
干し椎茸とか、サクサクしてうめぇwww
とか
味噌って単品でもいけるわwww
とかやってた頃を思い出しました(´;ω;`)
この後日談というか、世界観の続き物が読みたくなりました。
ありがとう、思い出させてくれて。
これからも頑張って下さい。
この霊夢の場合はパスタなんて確保できないのでしょうけど……。・゚・(ノД`)・゚・。
というわけで俺もちょっとサイフの紙幣握り締めて幻想郷にいってくる。
そして早苗かわいい
生まれ変わった早苗さんにはもはや神々でも敵わないでしょう。
公式と二次設定を生かした見事な作品だと思います。
こんなに主人公(早苗さん)視点に入れ込んだのは初めて、かも。
魔理沙の言うとおりになりましたさw
…しかし、生まれ変わった早苗さんがまるで、ダメ亭主に対する鬼嫁の様だw
と思ってた俺を誰か殴ってくれ。
貧乏じゃないんだ、貧乏じゃないんだ・・・
規則正しい生活をエンジョイしてるのだ・・・うん。
>その出涸らしだってたった二度しか飲んでない茶葉だ
いや、10回飲もうよ。せめて5~6回。
湿ったおせんべいは普通に食べるしキャベツの芯もスープとかに普通に入れられるよ。
ジャガイモの皮はまず剥く時点で間違ってるんだな。剥いたら生ゴミ扱いだけど、皮付きフライドポテトとかあるじゃないか。
つまり何が言いたいのかというと、
>コンパクト化に成功したら、そのときは投稿させていただこうと思います。
コンパクト化しないのが読みたい。
作者さまの名前を見て「あ、食べられる」と思ってしまった。
神様って本当にいたんだ
涙腺と腹筋が同時に崩壊は初めてだ・・・
いや、泣いては駄目だっ!こんなにも高潔な巫女の生き様に泣くなんて、それほどまでに罪なことがあろうかッ・・・!
泣くのならこの現代にこのような巫女がいてくれたその事実に泣くべきなんだ・・・俺は今猛烈に涙を流している・・・・
泣いていいのか笑っていいのか。
いや、きっと笑えばいいんだ。そういうギャグSSなんだ、たぶん。
>人の優しさが~。傷つきかけた心の角質に優しく軟膏を塗られるような、少し沁みるけどこそばゆい暖かさ。
この表現で確信した、あなたは最高だ。
あなたの文章がもっと読みたくなったので、縮小圧縮検閲削除されていない百合モノを是非読ませていただきたく…。
あと早苗と魔理沙の優しさと、霊夢の貧乏レベルと、菓子職人と、3日後の守矢神社に
様々な涙を流した。。。
これからも読まさせていただきますw
初投稿でこの読みやすさは尋常ではないです。もう2万だろうと3万だろうと普通に読めますよきっと。
ぜひ投稿しちゃってください。
霊夢の健気さ、早苗や盗人や魔理沙の優しさに涙した。
俺もちょっと菓子職人になってくる!
博麗神社の素敵なお賽銭箱はどこにありますか?
大変素晴らしい作品ありがとうございます、これからもがんばってください。
期待をこめて90点で。
大笑いしながら感動でないてしまったのははじめてです
GJ
二万オーバーがなんだ!その百合小説コンパクトにするなんて、なんてもったいねぇ!
いますぐ表に出すんだ、話はそれからだ!
素晴らしい小説でした 次回も期待ww
笑いながら感動できるいい話でした。
だがそれがいい。
クシャクシャになった短冊のところでもう……もう……っ!
この霊夢と生活すれば、さぞかし立派な人間が出来上がるだろう……というわけで、神社に泊め………やっぱいいや
泣きながら笑うとか器用なことできたんだな、俺…
これからも期待してます!
腹いっぱい飯食わせてやるから(涙
100点に決まっている!
ストーリー的には元、盗人のおっちゃんの味がすごくよかったです。
私も裕福じゃないけど、博霊神社行ったらお札でお賽銭入れるよっ
素晴らしすぎる出来栄えに脱帽です。マジ大好きです。
いい作品だと思います。というか、いままで読んだ作品の中で一番面白かったです。
もう、なんか涙を流すまいとがんばる早苗さんが大好きです。いい味出してましたw
なっなぜか涙が・・・・・
今から博麗神社いって賽銭いってくら~
このネタをここまで昇華させた執筆者さんと貧しい生活にもまけない霊夢にエールを送りたい
これが限界です・・・受け取ってください・・・伝わってください・・・
作者様の霊夢さんは格好良すぎます。あの生活で、なにひとつ、恨まず、妬まず、嫉まず、憎まず、飄々とした態度を崩さないなんて(滂沱)
私もぜひお賽銭を‥つ10000円‥伝わりますように。
畜生…畜生…霊夢に対する冒涜の侘びに全貯金賽銭箱に入れてくる…
しかしこれはなかなかどうしていい話。……なのかね?
これはさらに評価されるべきだと私は思うねぇ。
くそっ、貯めていたお年玉を全部博霊神社の賽銭箱に入れまくってやる!!……幻想入りしたらね。
でもさ、野菜の皮はね?あれだぜ?、健康にいいんだぜ?俺も一人暮らしの時に、野菜の皮くったなぁ……。たしか、なんかの番組でやってたんだよ、そうそう試してガッテンだ。野菜の食べられる分と、皮のちょっとした隙間に栄養がたっぷりつまってんだぜ?それを金平にしてたべるのさ、ってガッテンで言ってた。けーねじゃなくて。
罪悪感があるよ、さっきラーメンのつゆを捨ててしまったしね…実話だったら涙してる。
つーかこれ百点までしか入れられないのか?くそっ
つ【10000】
俺も霊夢のようになりたいものだ…
幻想郷に届くと信じて・・・
ぞんざいに霊夢を扱ってきた俺よ、ギャグだと思って侮った数分前の俺よ、死んでしまえ首を吊れ!
ああ、御釈迦様に自らを食料として差し出した兎の気持ちが今は痛いほど分かる!
そしてさすがは魔理沙。霊夢=聖人の友人は伊達じゃない。かっこよすぎて鼻血が……!
財布の中身全部入れてきます
願わくばその1万、霊夢に届いてますように・・・・・・
ありきたりな貧乏巫女ネタや天然早苗さんネタも、才能ある職人さんが書けば
これほどの名作になるんだなあと感心しました
霊夢なんてたくましい子!!
あ、でも皮は栄養があって金平にするとおいしいですよね
キャベツの芯はおひたしの様にすると美味しいようです
感想の「つ【10000】」のコメントを見て、賽銭箱にお札が入っていたときの霊夢の表情を想像して二度泣いた。
短冊で限界だった。こんな良作を見逃していたとはw
大変為になるお話でした。
ごめんね・・・パセリと梅干残してゴメンね・・・ッ!!
贅沢してごめんなさい、昨日作ったカレーの野菜の皮捨ててごめんなさい!
高校のとき気まぐれに登った裏山てっぺん、獣道を歩いて、廃屋の集まりを抜けてさらに登った先。
廃れた神社があるんだ。そういった場所は全国に結構あるんじゃないだろうか。
夜が明けたら登って賽銭入れてきます。
それが感動の涙なのか笑い泣きなのか判別できないんだ・・・。
とにかく、作者にはgjを。
霊夢には五万円(学生である自分の全財産)を。
いつのまにか目から塩水が……;;
段々と笑いが歪になって行った。
襤褸をまとった人物との会話で笑ってるのか泣いているのか分からなくなってしまった。
いつの日か菓子職人になった彼がやってくるのだろうと思うと……。
もう、なんていうかもう、博麗霊夢に幸あれ!
たまに途中で意識が逸れると言うか集中が途切れる小説があるのですが、今回そんな事は全くありませんでした。
読んでる間ずっと感情が揺り動かされ、続きが読みたいけどこれ以上先は見てはいけない……そんな気分にさせられてしまいました。
もう自分で自分が何を言ってるのか分かりませんが、要するに、すごい面白かった!それだけです。
このお賽銭、どうか届きますように(泣
反省してます
決めたよ、俺今からは何でもバリボリ食べるよ
日々感謝して生きていこうと思えるお話でした
作者さんの手腕に脱帽。
霊夢がいちいち可愛すぎる!
畜生、画面がぼやけてよく見えないぜ。
なぜなら彼女はいつでもがんばっているのだから
ちょっとお賽銭入れてくる・・・。
魔理沙の優しさが沁みるなあ。
素敵なお話でした。ありがとうございます。
貧乏ネタなんて出尽くしてるだろとなめてかかってました
前半やっぱりこんなもんかと思いつつ読み進め・・・
後半で涙が止まらなかった
なぜ今までこんな素晴しい作品に気がつかなかったのか
とにかく一言言わせて欲しい
贅沢してすいませんでした
そして清く正しい貧乏である霊夢に幸あれ・・・・・・
「堂々と貧乏してたらいいんだ by水木先生」
それを地で行く清貧の霊夢に僕は敬意を表するッ!
赤貧生活にはそこがない……お茶の出がらしをどうやっておかずにしたんだろう
10年前初任給10万で社会人なって初めての冬、寒さが酷いと寝れないって一人暮らしして始めて知ったw暖房器具も買えなかったなぁ・・・
生きてるだけで人を救えるこの霊夢は偉大だ
泣きながら大人になるなんて悲しすぎるじゃないですか…
ああぁぁああぁああたまらん!
なんかこう霊夢の侘びしい可愛さとか色々…
そして最後のかなすわの反応がやっぱり可愛い(可哀想)ww
なけるでほんま・・・・(笑)。
その際夕方にお賽銭の回収を目撃したんだ・・・
ザァーッジャラジャラっって。霊夢ェ
短冊のところで泣いた…
美味しいお菓子を早く作って持って行くんだ、おっさん!
御二柱ぇ…
くぅっ。
いや・・・種を買うお金すら無い‥の‥か・・・
とてもつらい気持ちになったよ……