Coolier - 新生・東方創想話

東方絵真説-其の一-

2008/05/30 22:14:40
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※注意書き※


 この作品には、オリジナルキャラクターが登場します。

しかもそんなに自重してません。そんな気がします。ですので、お読みになる方は

そういった事情をそれはもう考えた上で、本作をお楽しみください。宜しくお願いします。


お勧めBGM:東方萃夢想より「珍客」とかその辺。






-本編-



 長かった冬も終わり、幻想郷に短い春がやって来た。

今まで身を潜めていた鳥や花といった命達の伊吹が、幻想郷中に響き渡っている。

 博麗神社の巫女さんは一仕事終えた後、境内を包む桜吹雪に見舞われていた。

先程まで花びらをかき集めていた箒を傍らに置き、その手には熱い緑茶が入った湯飲みを持って、まさに休憩の構えである。

ちなみに前の休憩までは四半刻も経っていない。

「ふぅ」

湯飲みを口に運び一息ついた。喉元を過ぎた緑茶が香りだけを残して体を温める。

昨日一昨日と神社を舞台にした花見が催されており、今日は漸く一段落ついたといった所であった。

「暇ね」

騒がしいのも過ぎれば寂しいものである。今こそ桜も咲き乱れているが、

やはりもう暫くすれば花を散らし緑色に衣替えしてしまうのだ。

「暇ね」

もう一度呟いて、巫女さんこと博麗霊夢はお茶を飲みきった。仕事はまだ終わっていないのだ。

面倒だが散ってしまった後地面にのさばっている花びらを放置しておくのは、今の彼女の気分的にどうにも見苦しい気がした。

やれやれと箒を手に取り霊夢が作業を再開しようとした時、彼女はある事に気がついた。人の気配である。

「魔理沙でも隠れてるのかしら?」

友人の奇行は今に始まった事ではないので特に気にならない。気にしない。

気配の主を探ろうと辺りを見回すと、そいつは特に隠れてたわけじゃないのですぐに見つかった。

 年頃二十歳前後の男。小さな椅子にのんびりと腰掛けて、なにやら作業をやっていた。

まぁ見りゃ分かるのだが絵を描いているようである。筆とパレットが踊るように動いている。いわゆる絵描きという人種なのだろうか。

 絵描きはよっぽど集中しているのかこちらに気づいてないようである。霊夢が近づいていっても気づかない。

すごく集中しているようだ。または寝てるか。

 霊夢は絵描きの後ろに回りこみ、彼の描いている絵を覗き込んだ。

「へぇ…」

そこには綺麗に咲き乱れる桜と、その中で堂々と佇む神社が描かれていた。細部が微妙に違うが

まるで本当にそこに存在するかのように命の伊吹を感じる。上手い。

「上手じゃない」

霊夢が絵描きに声をかける。その声が届いたのか、絵描きはくるりと霊夢に視線を向け

「……へ?」

なんとも間の抜けた声を上げた。

「あれ? あー…」

引きつった笑みを浮かべ、なんともバツの悪そうな顔をする。まるで悪事を見破られた子供のような反応だった。

または大して怖くないお化けを見たときみたいな反応。

「えーっと、もしかして巫女さん?」

「えぇ巫女よ。それと素敵な賽銭箱はあっち」

霊夢の指差す方向へ素直に絵描きは視線を向ける。しばらくそこを凝視して

「あれを素敵と呼べる辺りここの巫女さんに違いない」

ボカッ

「いてっ」

「なんだか凄く失礼な事を言われた気がする」

とりあえずグーで殴ってから霊夢が言う。絵描きの方も言った自覚があったのか素直に謝った。

「ごめん。でもこんな所にも巫女さんってのは居るものなんだなぁ」

感心しきりといった所か。彼は物珍しそうに霊夢と神社を見比べて頷いている。

「そりゃ神社だもの。巫女が居ないと成り立たないわ」

「神主が居ないほうが成り立たないと思う」

まぁそんな事はどうでもいいので霊夢は無視する事にした。

「いつからここに?」

「数日前からちょくちょくと、だいたい二時間くらい絵を描いていたよ」

絵描きは申し訳なさそうに言葉を続ける。

「ちゃんと地主さんがいる場所だったなんて、挨拶遅れて申し訳ありませんごめんなさい」

年の差だとかそういうのを関係なくしっかり頭を下げる。礼儀正しい立ち振る舞いだった。

「で、お父さんとかその辺の方は」

「ここには私ぐらいしかいないわよ」

「へ?」

再び絵描きが目を丸くする。だがそれも束の間、そういう事もあるもんなんだなぁと頷いた。普通ない。

「一応聞くけど、君は巫女さんであって巫女さんのお化けじゃあないよね?」

「私のどこを見てお化けとか言うわけ? お化けっていうのはもっとこう…寒いのよ」

どうにもさっきからこの絵描きの反応に妙なものを感じると、彼女の勘が告げている。

「どうにも怪しいわね」

「へ?」

どうにもこの絵描きには得体の知れない何かを感じる。言い知れぬ違和感のような何か。

「あんた何者?」

「えーっと、絵描きの見習いかな」

なるほど、まだ見習いだったのか。じゃない。

「そうじゃなくて、もっとこう何かこう…」

口で説明するのが面倒くさくなってきた。まぁそんな辺りで、霊夢はある事に気がついた。

「あぁ、そうだ」

絵描きの格好。それは幻想郷ではあんまり見慣れない類の服装だったのだ。

ポケットのついたシャツに動き易いのかごわごわしてるのか判らないズボン。所謂、お洋服。

「外の服ね」

合点がいった霊夢とは反対に、絵描きの方は首を傾げて頭をひねっていた。そんな彼の様子など気にも留めずに、

霊夢は言葉を投げかける。

「この景色を描き終えたら帰りたいのかしら?」

びゅんびゅんと飛躍する霊夢の話に絵描きは少々戸惑っているようだったが、まぁそんなもんかと一息ついて返事をする。

「そうじゃなくてもあともう少し描いたら今日は帰ろうと思ってたけど」

「けど?」

「せっかく人が居るって分かったんだし、ちゃんと許可を貰う事にするよ」

絵描きも話題が飛ぶタイプの人間だった。

「これからもここでこんな嘘っぱちな絵を描きたいんだけどいいかな?」

「嘘っぱち?」

今度は霊夢が首を傾げる番だった。この絵のどこに嘘があるというのか。

「あぁ、神社とかちょっと違うわね」

「というか全然違うと思うんだけど」

霊夢の指摘に絵描きは苦笑しながら返すと、続けてこう言った。

「掃除とか管理とかちゃんとしてる?」

ボカッ

「いてっ」

「当たり前じゃない! この綺麗な神社を前にしてどの口が言うのよ!?」

これでも何だかんだ言って掃除はしているのだ。というか巫女としての仕事は最低限やってきているつもりである。

手が出たのは勢い。ごめんなさい。

「いや、何で今殴られる程に怒られたのが分からない」

彼の家は徹底的な住宅管理でもしているのか、とてもそうは見えない。服の着こなし甘い。

「というか、人が住めるような状態に見えないんだけど」

そこまで言われて、霊夢はついに自分の勘が伝えている物の正体に気がついた。


 なるほど、彼はまだ『こちら側』に来ていなかったのだ。え?


「ちょっと待った、じゃあなんであんたはこの絵が描けるのよ」

「え? 勘?」

適当に言ってるのが丸分かりだったのでとりあえず一発しばいておいた。

「いや、こう。勘って言うよりは妄想とかその辺になるのかな」

目をチカチカさせながら絵描きは言う。

「っていうか、さっきから考えてたんだが」

霊夢をしっかり見据えて言葉を紡ぐ。その目は透き通った水色をしていた。

「君は本当に『この神社』の巫女さんなのかい?」

彼の質問の意図に気づいた時、霊夢はもう色々考えるのが面倒くさくなっていた。

この巫女に危機感を求めるのは、かの大天狗に山の開放を宣言させるくらい難しい。

「そう。確かに私は『そっち側』の巫女じゃあないわね」

「うん?」

自分で言っておいてすっ呆けた態度である。もしかして適当に言っていたのか。

「あぁもう面倒臭い! とりあえず『視せる』から、後は自分で納得して」

言って霊夢は絵描きを『そちら側』から『こちら側』へと招き入れた。


 幻想郷は所謂外の世界から隔離された小さな世界である。

それぞれ『外』と『内』に隔て、幻想を招き入れる大結界を要としている。博麗神社と呼ばれる場所は、実はその両方に

存在を示している建物なのである。外と内を繋ぐ境界としてそこにあるお陰で、幻想郷は幻想郷足りえているのだ。

外の博麗神社は人っ子一人居ない荒れきったボロい建築物でしかないのだが、内、所謂『幻想郷の博麗神社』はというと…


 目の前に広がる景色に絵描きは溜め息をついた。

「こいつは驚いた」

目を丸くしながらしばらくその光景に目を奪われた後、おもむろに霊夢の方を向き

「夢じゃなければ幻想だ」

そう、軽い感じに口にする。

「どう? 納得した?」

霊夢の言葉に絵描きはこくりと頷いた。その目はもうしっかりと彼の物である。

「所謂、マヨイガって奴か」

「いや、それはまた別」

「へぇ別なのか」

霊夢は色々と説明するのは面倒だとかそう思うのはとりあえず置いといて、

「とりあえずお茶にしましょ、話はそれからだわ」

そう言ってこのどこか間の抜けた絵描きを神社に招き入れるのだった。



東方絵真説 ― The human feelings stranger ―
ここまで読んでくださいまして、ありがとうございました。

この作品が初投稿となります。これからもそれなりに気が進んだときなんか頑張ろうと思ってますので

まぁたまに見かけた時にでも、ご愛顧願います。

こういったオリジナル要素を含む作品も気にせず埋もれる事が出来る幻想郷は、やっぱり素敵だなと思います。

お茶菓子食べながら読める文が書けるようになれたらいいなと、そう思います。

では、ここらで失礼いたします。
柳猫三叉
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コメント



0.160簡易評価
6.40煉獄削除
突っ込み所としては博麗の巫女たるものが外の人間を中にいれるというのは如何なものかと思います。

それ以前に霊夢が結界をホイホイと抜けることなんてしないでしょうし。(苦笑)



さて、前述のものを抜きにして見るとそれほど悪いというものではないかと私は思います。

が、文章の構成にもう少しメリハリをつけたほうがよろしいかと。

でなければオリキャラを生かしきれなくなりますよ?

とりあえず焦らずに完結を目指してくださいませ。
7.60名前が無い程度の能力削除
地の文章がとても読みやすく、オリキャラが出てきても楽しんで読むことができました。
現世と幻想郷の境の表現には、このような解釈もあるのだなと感心しました。
続きがとても楽しみです。

文章最後の一段落が変に重複していますので、気付いたら修正されるといいですよー
8.無評価名前が無い程度の能力削除
東方○○○ってタイトルはやめましょう。
9.70ななななし削除
設定とか詳しくないからその辺りは何とも言えないが、お話としては読みやすくて良かった。次も期待して待ってます。

それにしても東方の小説のタイトルにも何がダメとかルールなんてあったのかー。知らなかった・・・。
11.無評価葉月たまの削除
 評するなら、癒し系の文章という感じですね♪。

 メリハリは確かにないですけど……読みやすいし、面白かったですよ~。

 続き、楽しみにしています(笑)。

12.無評価名前が無い程度の能力削除
なんだこれ

これなんだ
14.60名前が無い程度の能力削除
着想は面白いかと。

あとはこの後、どこまで捻って着地出来るか。
16.90名前が無い程度の能力削除
なるほど。
オリキャラに違和感がなくて善い。
境界の表現に関しても,上の人同様そんな解釈もあるのだなと感心一つ。