なんだろうな。
珍しく一人で酒を飲んでいる。そうすればなんとなく落ち着けると思ったから。
実際はそうでもなかったが。
こんな時は誰かの所に遊びに行けばいいんだが、こんな夜遅く、流石の私もそこまで常識はずれじゃない。
しかし何だろう。この気持ち……寂しさなんて、実家を飛び出してきたときに置いてきたと思っていた。でも、実はまだ持ち歩いていた。現に今「寂しい」んだから。
何が原因だろう?今日は別に変ったことは無かった。誰がいなくなったわけでもなく、何か異変が起きたわけでもない。宴会も無かったけど。
まさか、宴会が無かっただけでこんな気持ちになるなんて考えられない。と言うか、昨日も宴会は無かったが、特にはなんとも無かったし。
どうなっちゃったんだろう。
思考を途絶えさせないように、必死に頭を使う。
そうしないとまるで底の無い暗い穴の中に落下していくような、終わりの無い不安に襲われる。
んと。今日は何をした?
まず、朝。起きて、歯を磨いて、朝食を取って……そこまでは普通。
次に、昼。午前は、キノコの観察と八掛炉の手入れ。午後はご飯を食べたらひたすら読書してた。ここも変らない。
その次は、夕方。まず夕飯を食べて、またキノコを観察して、風呂に入って……で、現在に至っちゃう訳だ…。
じゃあ、いつからだ。この気持ちは。
それは分かっている。湯船に浸かりながら、変な感覚を覚えたから。
しかし原因が分からない。このままじゃ、いつまでもループして解決できない。
早く楽になりたい。どうすればいい?
夜が明ければ皆に会える。そうすればきっと寂しくなんか無い。いつも通りだから。
じゃあ夜明けまでどうやって過ごす?寝る?それができていれば今こんなに悩んでいない。とっくに夢の国だ。
しかし、行動を起こさないとこの不安に潰されて死んでしまいそうだ。
とりあえず皆の顔を思い出してみる。
霊夢……
アリス……
パチュリー……
まだ、まだ。いっぱい知っている顔がある。
咲夜、フラン、萃香、うどんげ……
なんだ。友達ばっかりだ。それなのに寂しいだなんて、私はとんだ贅沢者だ。
でも……。なんか皆の顔を思い出したらますます会いたくなった。
あ、原因が分かった…。こんな気持ちになってしまった原因が。
今日は誰とも会っていないんだ。
それだけ?それだけで、ここまでおかしくなってしまうものなのかな?
どうだろう…
思考が停止してしまった。
時計だけが静かな空間に音を刻む。
「あ…」
もう限界だ。
一升瓶と箒を掴んで家から飛び出る。
もう日付が変ろうという時間。
紅魔館は遠い。神社もちょっと遠い。早く誰かに会いたいのに。
だから、同じ森にあるアリスの家に向かう。
あいつの事だからたたき起こしたら怒るに決まっている。
迷惑をかけるのは承知の上だ。とっても自己中心的な行動、非常識な行動。でも、顔が見たかった。少しでも、声が聞きたかった。
全速力でかっ飛ばすと、5分ほどでアリスの家が見えてきた。
そこに希望の光が見えた。
「まだ起きてる……」
窓から暖かな光がこぼれていた。
玄関の前に降り立つ。
トントン。
普段はノックなどしない。だがもう深夜なのでちょっとだけ遠慮した。
「ん?はーい?どなた?」
「アリスー。私だぜ。魔理沙だ」
「あ、はいはい。開けるわね」
ガチャリ。
「いらっしゃい」
「おう、邪魔するぜ」
調子を取り戻してきた。
しかしこんな夜中なのにアリスは快く私を家に上げてくれた。
「何それ?」
ふと掴んできた酒を指す。
「あ、ああ。なんとなく。良かったら一緒にどうだ?」
「いいわね、たまには二人だけでも」
「ああ。こんな遅くに悪いな」
「なかなか寝付けなくて暇してたのよ。ちょうど良かったわ」
なんだ。アリスも寝れなかったのか。
「私もな。なんか急に顔見たくなってな」
「何よそれ」
クスクスと笑うアリス。
「私らしく無いよな」
そういって私も笑った。日常を取り戻した気分だ。
「座って」
「あんがと」
持ってきた酒がなかなかの上物だった。でもアリスには世話になるからこれくらいでいいのかも。
「さて、おつまみも持ってきましたよっと」
「お、流石はアリスだ」
「へへ。どういたしまして」
コップに酒が注がれる。
ちょっと前までは一人でガクガクと震えながら飲んでいたから美味い酒ではなかった。
でも今は違う。友達と飲んでいるんだ。不安が取り除かれた今から思うと、先ほどの自分がバカバカしい。
「顔が見たいなんて…何かあったの?」
「何も無かった」
そう。何も無くて、誰とも会わなかった。
「何も無かったのに?」
「何も無かったから、誰かに会いたくなったんだ」
「えー?誰でも良かったの?」
つまらなそうな顔をするアリス。
「え、あ…そういうことじゃ……」
「別にいいのよ。友達は私だけじゃないでしょ。誰に会うかはあなたの自由よ」
そういったアリスは別にすねているようでは無かった。
すると甘えるような顔で、
「でもね魔理沙。私はあなたと違って友達少ないから、たまには会いに来てね?」
「ああ。でもお前から来てくれてもいいんだぜ?」
「うん、そうね」
結局アリスも寂しかったらしい。
こいつは引篭もっているから意外とそうゆうの大丈夫かと思ったけど。
その後は普通に笑い話とか下らない話をしていた。
友達っていいよな。再確認できたぜ。
そしてふと気づくと窓の外が徐々に明るく色づいてきた。
「あ、夜が明けちゃったわね」
「本当だな。でも楽しかったぜ。また一緒に飲もうな、アリス」
「ええ。いつでもどうぞ」
「はは。じゃあそろそろおいとまするぜ。またな」
「あ、魔理沙」
「んあ?なんだ?」
「今日山菜狩りにでも行かない?」
「お、いいな!でもちょっと寝てくるぜ。また来るからそれまでお前も寝てろよ」
「そうするわ。じゃ、9時ごろ来てくれるかしら?」
「了解!じゃあな!」
家に着いて、幸せに溢れて、ベッドに倒れこんだ。
10時に起きた
珍しく一人で酒を飲んでいる。そうすればなんとなく落ち着けると思ったから。
実際はそうでもなかったが。
こんな時は誰かの所に遊びに行けばいいんだが、こんな夜遅く、流石の私もそこまで常識はずれじゃない。
しかし何だろう。この気持ち……寂しさなんて、実家を飛び出してきたときに置いてきたと思っていた。でも、実はまだ持ち歩いていた。現に今「寂しい」んだから。
何が原因だろう?今日は別に変ったことは無かった。誰がいなくなったわけでもなく、何か異変が起きたわけでもない。宴会も無かったけど。
まさか、宴会が無かっただけでこんな気持ちになるなんて考えられない。と言うか、昨日も宴会は無かったが、特にはなんとも無かったし。
どうなっちゃったんだろう。
思考を途絶えさせないように、必死に頭を使う。
そうしないとまるで底の無い暗い穴の中に落下していくような、終わりの無い不安に襲われる。
んと。今日は何をした?
まず、朝。起きて、歯を磨いて、朝食を取って……そこまでは普通。
次に、昼。午前は、キノコの観察と八掛炉の手入れ。午後はご飯を食べたらひたすら読書してた。ここも変らない。
その次は、夕方。まず夕飯を食べて、またキノコを観察して、風呂に入って……で、現在に至っちゃう訳だ…。
じゃあ、いつからだ。この気持ちは。
それは分かっている。湯船に浸かりながら、変な感覚を覚えたから。
しかし原因が分からない。このままじゃ、いつまでもループして解決できない。
早く楽になりたい。どうすればいい?
夜が明ければ皆に会える。そうすればきっと寂しくなんか無い。いつも通りだから。
じゃあ夜明けまでどうやって過ごす?寝る?それができていれば今こんなに悩んでいない。とっくに夢の国だ。
しかし、行動を起こさないとこの不安に潰されて死んでしまいそうだ。
とりあえず皆の顔を思い出してみる。
霊夢……
アリス……
パチュリー……
まだ、まだ。いっぱい知っている顔がある。
咲夜、フラン、萃香、うどんげ……
なんだ。友達ばっかりだ。それなのに寂しいだなんて、私はとんだ贅沢者だ。
でも……。なんか皆の顔を思い出したらますます会いたくなった。
あ、原因が分かった…。こんな気持ちになってしまった原因が。
今日は誰とも会っていないんだ。
それだけ?それだけで、ここまでおかしくなってしまうものなのかな?
どうだろう…
思考が停止してしまった。
時計だけが静かな空間に音を刻む。
「あ…」
もう限界だ。
一升瓶と箒を掴んで家から飛び出る。
もう日付が変ろうという時間。
紅魔館は遠い。神社もちょっと遠い。早く誰かに会いたいのに。
だから、同じ森にあるアリスの家に向かう。
あいつの事だからたたき起こしたら怒るに決まっている。
迷惑をかけるのは承知の上だ。とっても自己中心的な行動、非常識な行動。でも、顔が見たかった。少しでも、声が聞きたかった。
全速力でかっ飛ばすと、5分ほどでアリスの家が見えてきた。
そこに希望の光が見えた。
「まだ起きてる……」
窓から暖かな光がこぼれていた。
玄関の前に降り立つ。
トントン。
普段はノックなどしない。だがもう深夜なのでちょっとだけ遠慮した。
「ん?はーい?どなた?」
「アリスー。私だぜ。魔理沙だ」
「あ、はいはい。開けるわね」
ガチャリ。
「いらっしゃい」
「おう、邪魔するぜ」
調子を取り戻してきた。
しかしこんな夜中なのにアリスは快く私を家に上げてくれた。
「何それ?」
ふと掴んできた酒を指す。
「あ、ああ。なんとなく。良かったら一緒にどうだ?」
「いいわね、たまには二人だけでも」
「ああ。こんな遅くに悪いな」
「なかなか寝付けなくて暇してたのよ。ちょうど良かったわ」
なんだ。アリスも寝れなかったのか。
「私もな。なんか急に顔見たくなってな」
「何よそれ」
クスクスと笑うアリス。
「私らしく無いよな」
そういって私も笑った。日常を取り戻した気分だ。
「座って」
「あんがと」
持ってきた酒がなかなかの上物だった。でもアリスには世話になるからこれくらいでいいのかも。
「さて、おつまみも持ってきましたよっと」
「お、流石はアリスだ」
「へへ。どういたしまして」
コップに酒が注がれる。
ちょっと前までは一人でガクガクと震えながら飲んでいたから美味い酒ではなかった。
でも今は違う。友達と飲んでいるんだ。不安が取り除かれた今から思うと、先ほどの自分がバカバカしい。
「顔が見たいなんて…何かあったの?」
「何も無かった」
そう。何も無くて、誰とも会わなかった。
「何も無かったのに?」
「何も無かったから、誰かに会いたくなったんだ」
「えー?誰でも良かったの?」
つまらなそうな顔をするアリス。
「え、あ…そういうことじゃ……」
「別にいいのよ。友達は私だけじゃないでしょ。誰に会うかはあなたの自由よ」
そういったアリスは別にすねているようでは無かった。
すると甘えるような顔で、
「でもね魔理沙。私はあなたと違って友達少ないから、たまには会いに来てね?」
「ああ。でもお前から来てくれてもいいんだぜ?」
「うん、そうね」
結局アリスも寂しかったらしい。
こいつは引篭もっているから意外とそうゆうの大丈夫かと思ったけど。
その後は普通に笑い話とか下らない話をしていた。
友達っていいよな。再確認できたぜ。
そしてふと気づくと窓の外が徐々に明るく色づいてきた。
「あ、夜が明けちゃったわね」
「本当だな。でも楽しかったぜ。また一緒に飲もうな、アリス」
「ええ。いつでもどうぞ」
「はは。じゃあそろそろおいとまするぜ。またな」
「あ、魔理沙」
「んあ?なんだ?」
「今日山菜狩りにでも行かない?」
「お、いいな!でもちょっと寝てくるぜ。また来るからそれまでお前も寝てろよ」
「そうするわ。じゃ、9時ごろ来てくれるかしら?」
「了解!じゃあな!」
家に着いて、幸せに溢れて、ベッドに倒れこんだ。
10時に起きた
と思ったが、幻想郷に時計ってあったかな…?
すごくいい話だー
こういった話大好きなので癒されました
蛇足どころかなかなかいいかと思います。
これだけのいいテンポでかけるのでしたらできればもう少しの長めのほうがいいかと
さすがに夜が明けるのが早すぎるように感じたので。
タイミングとかもう完璧。完全に不意をつかれましたw
全体的に読みやすく、もっと読みたくなっちゃうような作品でした。
おおおおおおおおい!!
>テンポ
自分で書いてる時には全く気にして無かったですので、
次回以降テンポよくいけるか少し不安ですが、色々と研究したいと思います。
>オチ
笑っていただけたようで嬉しいです。
こういう物を人に見せる機会など皆無に等しかったので不安だらけですww
>幻想郷に時計
公式設定は分かりませんが二次設定では持っていることが多かったので使いました。
>文章の長さ
長いのは今練習中なんですw
ただ、井の中の蛙でもしょうがないので、次回以降少しづつ長くしていこうと思っている次第です。
二度目になりますが皆様本当にありがとうございました。
そしてこれからもどうか宜しくお願いいたします。
しかし魔理沙、さいごは・・・まぁ仕方ないか
罪な魔法使いですね!魔理沙ちゃんは!
そういった描写が巧いと思いましたし、その何気ない部分を題材にするというのも巧いと思いました。