Coolier - 新生・東方創想話

孤独と言う名の糸

2008/05/29 01:11:24
最終更新
サイズ
8.73KB
ページ数
1
閲覧数
805
評価数
1/21
POINT
730
Rate
6.86
私は一人♪


いっつも一人♪










私は一つの人形。


壊れた観客の居ないステージでただ踊り続ける一体の人形。


一人寂しく狂ったかのように踊り続ける。


だ~ぁれも見ていないなか踊り続ける。


らんらんらん♪



私は一人♪


いっつも一人♪


だぁれも居ないステージで踊りましょう?









-------------------------------------------------------------------









◆孤独と言う名の糸◆






私は人形遣い。人形を操って戦い、人形を操って生活をする魔法使い。しかし魔法使いといってもただの魔法使いではない。


いわゆる魔女。寿命が延びて人間とは比べ物にならないほど長生きをする魔女。


そして人形を操ると言ったが実は私も人形。

 

 

悲しみ


孤独


この2つの単語に操り続けられる人形。


人形が人形を操る。


なんとも言えぬ話だ。


私はこの操りの糸を振り払ってしまいたい。でも、振り払えない理由がある。


そう、私にはまったくといっていいほど知人が居ない。居るとしたら親ぐらいだ。しかし親も親。


魔界の神とくれば私なんかにかまっている暇など無い。


つまり私は自分の糸に自分で絡まって身動きが取れないお人形。

 

かなしい、悲しいお人形。





--------------------------------------------------------------------













え?なんで友達を作らないかって?

 ふふ、そんなの簡単よ。



私は一人が好きだから。








・・・嘘。私はそんなに強くない。

ならなんで作らない?




私は考え込む。




ああ、そうか。きっと怖いんだ。

いつかのように友達に裏切られそうで。

また、1人になりそうで。



そんな苦い思いをするなら最初から1人のほうがいいに決まっているじゃないか。


ねぇ?貴方もそう思うでしょ?上海。




あ・・・。そういえばそうだったわね、この子は喋れないんだったわ。


生みの親なのにそんなことも忘れてしまうとは。親失格ね。


え?そんなこと無い?ふふ、ありがとう。


あ、そういえばそうね。長くなるから忘れていたけど人形たちは私が寂しいから作ったのよね。


生まれたときからずっと一人で一緒に居てくれるのは人形だけ。


人形なら私を裏切らない。


だからつくり始めたんだっけ。


確かそうだわ。




そして今は自立人形を作りたいっていう夢も持ってる。


でも、この夢って良く考えると自分が寂しいから、お話できる相手がほしいから・・・。


なんて馬鹿なことは考えちゃだめ。忘れるのよ。自立人形は人形師の終点。ここまで言ってやっと完全な人形師になれる。


だから今の私は不完全。


なにもかもぜ~んぶが不完全。



アハハハ、私っていいトコ何も無いわね。


あ、どうしたの?上海。私のひざの上に座って・・・。え?なんとなく?そう、私の膝でよければいつでも。


そしてやっぱり上海はあったかい。人形だから冷たいんだけどなんかあったかい。


やっぱり上海は最後まで私を裏切らないでくれる。


私の永遠の友達のお人形さん♪


今度新しい仲間を作ってあげるからね。貴方たちも寂しくないように。


私にとって貴方の喜ぶ姿を見るが私の幸せ。考える意思は無いけどなんかそういう風に見えちゃう。


不思議だよね。


自分の妄想なのにそう見えちゃうんだから。








でも、そんなことを言っても結局私は一人。








--------------------------------------------------------------------------







廃墟のダンスホールで殆ど真っ暗。あるのは天然の月のライト。淡い光が天井の穴から私を照らす。


 そしてダンスを踊る。

 

さぁ一緒にワルツを踊りましょ?

 

ステップを踏んで、リズムをつけて、1.2.1.2・・・

 

そう、上手よ私。


そして踊る相手はマネキン。顔も無い、暖かさも無い、ただの木偶の棒。


私が手を離すとその場に崩れ去ってしまう。


そんな相手と踊り続ける。


ワンツーワンツー。


あは♪やっぱりダンスは面白いよ♪


しかし踊っている相手はな~んも言わない。


だってそうだよね。人形なんだもの。



ガチャン。


あ。倒れちゃった。


私のお人形。



よいしょ、っと。


顔が無い、そんな相手と踊って何で自分は面白いんだろう?


ガチャン


・・・。ふふふ、そうよね、いくら私が寂しさを誤魔化そうとしても私は結局1人なんだ。


そうだよね、ふふふ。







-------------------------------------------------------------------------









「よぉ、何泣いてんだ?」


あ、紹介するわね、彼女は霧雨 魔理沙。私と同じ魔法使いよ。人間のね。っていうか私泣いてたんだ・・・。


魔理沙に言われて初めて気が付いたわ。


「・・・なんでもないわ。それよりどうしたの?用が無いなら帰って」


嘘。本当は一緒にいたい。けど、怖い。


また、裏切られてしまいそうで。


「用は無いぜ。ただ無性に散歩がしたくなったんだ」


本当かな、魔理沙が言っている事は


「ふーん」


けど私は本気にはしない。信じるのは自分と人形だけ。


「んで、アリスは何で泣いてたんだ?しかも寒い屋根の上でワインを傾けながら」


ああ、そうだった私は星を見ながらワインを飲んでたんだ。そして気が付いたら泣いちゃった。


「・・・なんでも、無いわ」


そう、なんでもない。


「・・・寂しいのか?」


!?


何を言い出すのよコイツは・・・


あ、いけない。動揺してしまったわ。気が付かれたかしら・・・?


「本当になんでもないの」


「なぁ、もっと正直になってみたらどうだ?」


・・・貴方に言われたくないけど。


正直に、かぁ。


「お前寂しいんだろ?」


・・・やっぱさっきの気が付かれてたわね。


「・・・わたしは一人がいいのよ」


「なんでだ?」


だってそうじゃない。


「1人だと・・・自分が受ける悲しみが少なくて楽じゃない」


「でも1人だと得られる楽しみも少ないんじゃないか?」


・・・確かにそうね。今までずっと一人だったけど楽しいって思えたこと、あったっけ・・・?


ある、としたら人形を作っているとき、かしら。


「でも、悲しみが無いなら、楽しさなんていらないわ」


「はぁ・・・。なんでそうなるかな。私はアリスの事は好きだぜ」


!?


今日は私なんかおかしいのかな?夢なのかな?それとも酔った幻覚?


「好きなやつが辛いと私も結構辛いんだぜ?だから私はお前を楽しませてやりたい」


そう。無理だと思うけどね。




・・・そうね夢、なら言ってもいいわよね。


どうせだったらもう少し大げさに振舞っちゃおうかしら。


そうね、私が魔理沙の前に立って手を出して・・・うん、それがいい。


「貴女は孤独なこんな私をどうしたいのかしら?」


「・・・そんなの」


無い・・・よね。


「決まってだろ?」


えっ・・・。


魔理沙の手、あったかい。他人に触れたの、久しぶり・・・だな。


「行くぜ!!」

「ちょ、うわっ!?」


ちょ、魔理沙!なにすんのよ!?いきなり飛び上がって!前が見えないじゃない!




・・・ もうかれこれ5分ぐらいずっと飛んでるじゃない。高度が上がってるから息も苦しいし。


「ほら、星は近くで見たほうが綺麗だろ?」


・・・ホント、綺麗。自分の家で見ていた時とは大違いね。


「・・・ええ、綺麗だわ」


にしても、一気に酔いが覚めたわ。・・・ってちょっと待ちなさい。私は魔理沙に、何て言った・・・?

 ちょっと!何やってんのよ私!ああああ、もう自分でも分かるぐらい顔が熱いわ!


「な?お前を連れ出す事は簡単なんだぜ」

「・・・貴女が始めてよ、私をかまってくれたのは」


本当よ?今まで私には誰も見向きもしなかったもの。


「もっと、遠くまで行くぜ。しっかり箒に座りな」

「・・・うん」


もうどのくらい飛んでいるんだろう?結構立った気がするわね。そしてなによりも雲の上は、寒いわ。


「寒いか?」


なんでこいつは私の心を読んだような発言をしてくるのかしらね・・・。


「ええ、すこし」

「じゃ、ほら」


えっ。これ魔理沙のマフラー・・・?


「こんなに長いんだ、私一人じゃ勿体無いだろ?」


ここはお礼を言っておこうかしら。にしても相変わらず魔理沙の移動速度は速いわね。


「ほら、ここからなら幻想郷と星空が一望できる。綺麗だろ?」

「・・・ええ、私には勿体無過ぎるくらいにね」


本当に息を呑むような美しさだわ。


「・・・ねぇ魔理沙。なんで私にここまでしてくれるの?」

「ん?ああ、私はお前みたいなヤツを連れ出して外を見せたいんだ。他人と知り合って、時には楽しく、時には怒り、時には悲しく」


・・・なんでだろう。・・・何でか分からないけど、彼女ならもう一度信頼して、いいかもしれない。何でだろうね?何故かそう思えてしまう。


「・・・ありがとう」


もしかしたら風の音で聞こえなかったかな?でも、いいや。


「今まで寂しかったんだろ?大丈夫だ、もうお前を一人にしないからな」


・・・あれ?なんで?涙が、止まらないよ?


何で?今日、私、本当に変だ。


でも、変な私でも2つだけ、確かに自信を持って言える事があるわ。



うれしい。





そして





「ありがとう」






-----------------------------------------------------------------------






だぁれも居ないダンスホール。


そこには1体の倒れたマネキンとソレを見る少女。


すると突然後ろから声をかけられた。


「そこのお嬢さん。よかったら私と踊りませんか?」


その声の主は金髪で金色の瞳。そして少女より少し背の小さい黒い服を着た人。


その人は少女に向かって手を差し出す。



少女は――――


「ええ、喜んで」


その人の手をやさしく取った。










2人しか居ないダンスホール。


その月明かりに照らされたダンスホールで2人は踊り続ける。


ワンツーワンツーワンツーワンツーワンツーワンツー


ああ、やっぱりあったかい。


他人の手はあったかい。


2人はお互いに微笑み合う。











さぁ、私は人形じゃなくなりましたか?


寂しさ


または孤独と言う糸を切ることが出来たのでしょうか?


答えは目の前にある。


もう、寂しくない。もう孤独じゃない。






私は――――もう一人じゃない。初めてできた、私の友達。
どうも、大天使です。今回はちょっとオリ設定まじってますが世界観を壊すようなものは入っていないと思います。

さてはて、いかがでしたでしょうか?

1人とは辛いものです。それも長い間。

しかしその長い間1人で生きて来た時に他人から手を差し伸べられるとそれはもう、うれしい物なのです。

そんなアリスの初めてのお友達。今回はこれらを題材にアリス視点で、極力文を少なくして執筆してみました。

一度読んで、ここ、どうなるんだろう・・・?と言う所がある場合は、もう一度最初から個人でああ、こういう場面なんだな、と頭の中で描きつつ読んでいただけると幸いです。この小説はそういうつもりで書きました。

足りないところは自分で補って読む、それが小説の醍醐味だと私は思うのです。しかし今回の小説は容易にシーンを想像できる内容だと思います。



ご朗読いただきありがとうございました。



※妖夢逃走劇後日談は数日後にホームページのほうに上げようと思っております。(理由はHPに明記するつもり)

ホームページに上げたのならばアドレスをココに張ります。



どうか、よろしくお願いします。



P.S.ネーミングセンスの無い自分が嫌になる・・・。
大天使
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.680簡易評価
12.50名前が無い程度の能力削除
具体的な話を省いて、このスタイルで最後までこぎつけられたら……



このお話は割と楽しかったと想います。