Coolier - 新生・東方創想話

幻想戦隊ゴレンジャイ

2008/05/20 03:45:25
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 ""幻想戦隊ゴレンジャイ""




 闇に包まれた紅魔館。吸血鬼が住まう館と聞けば、それだけで

震え上がるというのに、今宵は漂う雰囲気だけで悪寒を覚えそう

だった。

 もう館の住人は皆寝静まっている。しかし、微弱な灯りに照ら

された一室があった。

 大きな机の上に置かれたロウソクと紙くずの山。火の近くに可

燃物が置いてあるというのは非常に危険なのだが、部屋の主はそ

れに気付いていない。

 そこまで集中して何をしているのかというと、どうやら書き物

のようだ。白い紙の上に迷うことなく万年筆を走らせている。

 それでもくしゃくしゃの紙くずの量を見ると、どうやらあまり

自分の思うことを書けていないらしい。

 一体何を書いているのかはわからない。まあ、日記が妥当であ

ろう。それが少女らしいといえば少女らしいものだ。


「ふぅ……」


 少女が背凭れに体を預け、万年筆を置く。どうやら書き終えた

らしい。

 一枚の紙の上には、お世辞にも綺麗とは言えない字で文章が綴

られていた。所々字が崩壊していて読みにくくなっている。だが、

読もうと思えば読めるものだ。決して酷くはない。

 しかし、内容がいささか不可解である。


 なぜなら『ゴレンジャイ』などという、

 決して幻想郷では耳にしない単語が主題に置かれているからだ。


「ふふ……」


 くしゃくしゃに丸められた紙くずの山。全て少女が書いては

捨て、書いては捨てていたもの。


「できたわ……!」


 それらを見下ろしながら、少女――レミリア・スカーレットは

歓喜に満ちた声をあげた。




              ◇




「ふぁ……」


 昼下がりの午後というのは、やはり眠い。

 これで晴れだったらお昼寝には丁度いいんだろうな……。

 黒に近い灰色の空を見上げる。

 湿った空気は嫌いじゃない。肌にひんやりとしたものが張り付

く感触は、確かに嫌いじゃないんだけど、やっぱり晴れの日が一

番かな。洗濯物が乾かないのは困るし、雨に繋がったりしても嫌

だし……。


「ん、んー……あ、いたっ」


 気だるい体を伸ばそうと、手提げバッグを持った腕を上げる。

すると、後ろから私の頭が小突かれた。

 あ、手提げバッグか。うぅ、痛かった……。もっとゆっくり上

げればよかった。中の奴、潰れてないかな?

 中に入っているのは人里で買ってきた食材ばかり。ゴボウやニ

ンジンと、硬い野菜がほとんどだった。

 ちなみにこの二つは今日のお味噌汁の具である。これで食物繊

維もバッチリ!


「……はぁ」


 一人でいることのむなしさに肩が落ちる。ボケる人もいなければ、

 突っ込む人もいない。要はしゃべり相手が欲しかった。

 誰かお買い物くらい付き合ってくれてもいいのにな……。まあ、

神奈子様も諏訪子様も、人里に出れないのはわかっているけど、

家事の手伝いくらいしてくれないかしら。

 我が神社の悩ましい神様たちに首を捻りながら、神社まで続く

石段を蹴り始める。ただでさえ足場が悪いのにバッグが左右に揺

れて、かなり危なかった。

 お、重い……。階段上るだけでもキツいのに、荷物が邪魔で上

りづらい。

 バランスが取りづらくて、つい足場に目がいってしまう。

 それにしても、何でこんなに傾斜させてあるんだろう。その内、

誰か転げ落ちちゃうよ……。

 ふら付く体に力を入れて、長く伸びる石段を眺めた。長く敷か

れた階段の両脇に並ぶ木々は、穏やかに揺れている。

 こうやって見れば、景色良いのにな……。

 見入ってしまいそうな光景に一歩一歩と踏み込んで行く。次第

に息が苦しくなってきた。

 あ、あと……もうちょっと。

 ようやく石段を上り終わり、境内を見渡した。もちろん、ちゃん

と掃除してある。見ていて自画自賛したくなるくらいだ。

 賽銭箱の上にスズメがいたが、すぐに飛んで行ってしまった。

 可愛かったなぁ、あのスズメ。ああいうの見てたら癒される。

 そして誰もいなくなった境内を横切る。裏にある我が家への石

畳を踏んで行く。

 けど、やっぱりスズメより人に来て欲しい……。


「ただいま、帰りました……」


 境内の人気のなさにがっかりしながら、我が家へ。

 景色が良くても、来てくれる人がいないと意味ないよね。でも、

誰一人としていなかったのは、さすがに堪える……。


「おや、お帰り」

「え……か、神奈子様?」

「随分と暗いじゃないか。何かあったのかい?」


 ぼーっ、としていたせいか、玄関で立っていた神奈子様に気付

かなかった。


「そういう神奈子様はご機嫌のようですね……」


 鼻歌交じりで花を生ける神奈子様が羨ましい。

 それにしても神奈子様が玄関に花を飾るだなんて……。今まで

にこんなことあったかな? いや、なかった。神奈子様がこんな

洒落たことをするなんて、全く記憶にない。


「一体どうなさったんですか、神奈子様?」

「は? 何が?」


 玄関に花。それは別におかしいことじゃない。前にいた世界で

もおかしくも何ともない。

 ただ、花の世話をしているのが神奈子様というだけで、凄く気

になった。


「今日って何かありましたっけ?」

「おや、聞いてないのかい? 霊夢から」

「れ、霊夢さん?」


 目を丸くした神奈子様から意外な名前が出てきた。むしろ予想

外というべきか。

 まさか霊夢さんの名前が出てくるとは思いもしなかった。


「霊夢さんが、どうしたんですか……?」

「ご飯食べに来るってだけさ。ちょいとたまには違う顔と飲みた

い気分になったからね。私が誘ったのさ。……よし、できた」


 納得がいったのか、手を止めて満足そうに花を眺めている。

艶やかな紫色をした花に私も見入っていると、フジの花だった

ことにようやく気付いた。神奈子様のイメージに合った花だった。

 なるほど、お酒の席に招待したのか。そういえば、近頃は博麗

神社の宴にも出てなかったし、寂しかったのかな……?


「あ、けど、おつまみが……」

「ん? あぁ、いいさ。あの子が適当に持ってくるだろう」


 鼻歌を廊下に響かせながら、神奈子様は部屋の奥へと消えて

いった。

 あまりに突然のことで頭の中は真っ白。玄関で一人、取り残

されてしまった。

 いや、呆然としてる場合じゃない。早く準備に取り掛からな

いと……!


「諏訪子様ー!」


 もう片方の神様の名を呼びながら、台所に向かう。

 今日は忙しくなるなぁ。お酒の用意、それにおつまみだって出

さないわけにもいかないし……。


「諏訪子様ー!?」


 もう一度名前を呼んでみるが、反応がない。

 寝てるのかな? ちょっと手伝ってもらおうと思ったのに……。


「――いや」


 頼んでも無駄か。どうせ色々言いわけして逃げるんだろうし、

もう放っておこう。神奈子様は……まあ、いいや。この際だし諦

めよう。いつも通り一人でやりますか……。


「疲れ、たっ」


 机の上にカバンから食材を出し、転がした。手提げバッグから

野菜や肉類と色んなものが、次々と出てくる。

 ネギ、ジャガイモ、ワカメ……。ついつい買いすぎちゃったな。

でも、これは八百屋のオジさんが悪い!


「値段交渉に熱くなってた私も私だけど……」


 八百屋で仕出かした失態を思い出す。値段交渉に熱くなって、

つい口調が崩れてしまったのだ。

 あ、あれは恥ずかしかった……。もっと慎みを持とう、私。

 それにしても夫婦で買い物してた人、仲良かったな。私も旦那

さん出来るかな? 神社の跡取りとかも必要だもんね……。


「あ、跡取りか~……」

「早苗?」

「ひゃ、ひゃいっ!?」


 後ろからの呼び声に、思わず声を上げてしまう。振り向くと、

神奈子様がぽかん、と口を開けていた。


「さ、早苗?」

「は、はいっ」

「ど、どうしたの?」

「いっ、いえ! 何でもありませんよ!?」


 一瞬呂律が回らなくなりそうになったけど、辛うじてちゃんと

しゃべることができた。だけど、言いわけが思いつかなくて、

茶を濁すようなことばかり口走ってしまう。

 小さい声で呟いたつもりだけど……神奈子様、耳聡いからな。


「まあ、いいわ。それより晩御飯なら私が作るから、アンタは居

間でくつろいでなさいな」

「……へ?」


 声が裏返った。

 神奈子様がご飯を作る? 何で、どうして、一体何があったん

ですか、神奈子様ー!?


「え、ちょ……」

「ほらほら、出て行った。今日のアンタは家事しなくてよろしい」


 反論も受け付けないらしい。背中を押され、あっという間に台

所から出されてしまった。

 廊下に出てからも背中を押され続ける。居間に押し込められた

と思いきや、コタツに座らせられた。これまた無理やり。

 えーと……。


「じゃっ、霊夢が来たらよろしくね」

「あ、神奈子様っ……!」


 こっちの言い分を半ば遮るように、神奈子様は素早くふすまを

閉めた。伸ばした手はふすまで遮られてしまった。

 か、勝手すぎる……。結果的には家事の代わりをしてもらった

ことになったけど、やりたいことやろうとしてるだけで、いつも

と何一つ変わってないじゃない!


「……神奈子様のバカ」


 コタツに深くもぐりこんで、台に顎を乗せる。

 まあ、でもいっか。一日だけ楽できると思えば何ら差し支えな

いはず。

 うんっ、そういうわけでテレビつけてー、と……。

 リモコンを操作してみるが、特に好きな番組がやってるわけで

もなかったので、適当に固定。そしてコタツの真ん中に置いてあ

るミカンの山から、一つ手に取る。


「あ、ちょっと酸っぱい」


 口の中に広がる柑橘系独特の酸っぱさ。別に甘い方が好きとか

じゃないけど、諏訪子様は甘い方がいいだろうし、あとで教えて

あげよう。


「……あ」


 ふと外の方に目をやると、カラスが飛ぶというよりは風に流さ

れていった。どうやらかなり天気が荒れてきたらしい。そろそろ

日が沈む時間だといっても、これはそういう暗さじゃない。

 一雨来るかな……。そういえば洗濯物入れたっけ? いや、

今日は干さなかったような……。いや、ダメだ。確認しよう。

不安になってきた。


「か、神奈子様ー?」


 呼んでみるが、むなしくもテレビの音しか聞こえない。

 うん、仕方ないね。私が行くしかない。神奈子様は料理で忙し

いし、諏訪子様は不在のようだし、暇を持て余しているのは私だ

けだ。


「……きゃっ!?」


 しかし、コタツから出ようとすると、足に変な感触が走る。次

の瞬間、視界が飛んだ。

 畳に強く頭を打ちつける。痛いと言う暇もなく、コタツの中に

引きずり込まれてしまった。

 ぜ、絶対諏訪子様だ! この手のイタズラには、もう驚か――。


「ひっ……!」


 肌にひんやりとしたものが触れる。服の中にどんどん入ってきて、

行き着いた先は……。


「きゃああああああああああ!!!」


 む、胸!? 胸触られた!? この前あんなに怒ったのにー!


「か、神奈子様ー!!」


 もう体裁なんて気にしてられない。何とかしてコタツの中から

逃げ出さないと……。

 好き放題にまさぐってくる小さな手を払い、一先ずコタツの外

へ出た。


「かな……!」

「コラコラ」


 助けを呼ぼうと立ち上がろうとして、後ろから口を塞がれて押

し倒されてしまった。


「はぁ、やっと捕まえた……」

「や、やっぱり諏訪子様……! この前、二度とこんなことしな

いって……」

「まあまあ、ちょっと黙るのだ、早苗。とりゃっ♪」

「んっ……。も、もうっ! やめて下さい! 怒りますよ!?」


 こっちが騒ぎ立てようと、諏訪子様はこっちの話を全く聞こう

としない。

 全然引き剥がせないし、やっぱり神奈子様を呼んで助けてもら

うしか……。


「もういいよー」

「は!? な、何を言って……!」


 ふすまがスパーンッ、と音を立てて開いた。

 か、神奈子様!? 助けに来てくれ――。


「え?」


 現れた人を見て、頭の中が空っぽになってしまった。

 艶やかな黒髪を垂らし、背には漆黒の翼を、肩にはカラスを

乗せ、初めて見るような高下駄をはいている。明らかに神奈子様

ではなかった。


「って、射命丸さん! ……な、何をしてるんですか」


 ふすまの向こう側で、ビデオカメラ片手に膝をついていたのは、

文々。新聞を書いている人――射命丸さんだった。

 後ろの方にも誰か立っている。青と白のエプロンドレスに身を

包んだ人は、無表情でこっちを見ていた。

 あれ、名前が出てこない。確か博麗神社の宴の席で見たはずな

んだけど……。

 じっ、と見入っていると、馬乗りになっていた諏訪子様が体を

揺すり始めた。


「私の名前はドクロ仮面。今日から早苗は私のカキタレになる

のだー」

「ぶっ! す、諏訪子様!?」


 ど、ドクロ仮面って何ですか! ネーミングセンスの欠片も

ない……じゃなかった!


「す、すいません、行儀の悪い! 諏訪子様! お客様の前でそ

んな……」

「あぁ、別にいいんで。それよりこちらの指示通りに動いてもら

えます?」

「は……?」


 射命丸さんが後ろの人を指す。退屈そうに佇んでいる人は、

なぜかスケッチブックを腕の中に抱えていた。

 何か書かれてる……? これ読むの?

 不安になって射命丸さんの方を向く。射命丸さんが頷くので、

とりあえずスケッチブックに書かれたものを読んでみた。

 これが……セリフ? 私のかな?


「いやー、誰か助けてー?」


 意味もわからず、適当に口にしてみると――。



「待てぇぇええいっ!!!」



 と、どこからともなく響いてきた。

 だ、誰の声? めちゃくちゃ甲高かったけど……。というか、

どこから?

 右、左と首を回してみるが、誰も見当たらない。少し沈黙が

あったが、またもやふすまを開けるスパーンッという音がした。



「赤レンジャイッ!!」

「……」


 どうやら押入れから出てきたらしい。フリフリのピンクドレス

に身を包んだ子供が、満足げにポーズを取っている。

 一体、何のショーだろう……。意味不明の状況の中、ふと思った。

と、同時に後ろからブシュッ、と物凄い噴射音が聞こえてきた。

 驚いて振り向くと、さっきのメイドさんが体をびくびく震わせ

て横たわっている。


「あの……」

「気にしなくていいですよー」


 心配になって声を掛けようとしたら、また違う声がどこからと

もなく聞こえてくる。

 急にクローゼットがガタガタと揺れた。

 ……もういいや。どうでもよくなってきた。

 ドタバタと縁側の方から騒がしい音が聞こえてくる。また同じ

ように障子が勢いよく開け放たれ――。



「黄レンジャイィィ!!」


 これまたさっきの子と似た子供が現れた。さっきの子は灰色の

髪の毛をしていたが、今度の子は金髪だった。それだけしか見分

けが付かないくらい、よく似ている。

 そして、また自信たっぷりの様子で、さっきの子と同じポーズ

を取った。



「はいはい、赤レンジャイー」


 面倒臭そうに射命丸さんの後ろから現れたのは、霊夢さんだった。

ポーズを取るどころか、堂々とあくびをしている。

 そして、次はクローゼットの人が飛び出てきた。と思ったら、

勢いを付けすぎて、クローゼットごと倒れてしまった。



「いたた……。あ、赤レンジャイッ!!」


 中に入っていたのは、緑のチャイナドレスを着た人だった。

盛大に転んでいたというのに、バッチリと決めポーズを取っている。

帽子に書かれた<龍>という字が、浮いていることには触れない

でおこう。

 それより何人いるんだろう……。もうそろそろ終わって欲しい

んだけど……。

 だが願い叶わず、今度は窓ガラスが景気よく割れた。まるで鉄

砲玉のように現れたのは――。


「黄レンジャイッ!!」


 魔理沙さんだった。

 こんな派手な登場の仕方するのなんて、魔理沙さんだけか……。


「……窓ガラスの弁償は?」

「費用は全てこーりん持ちだぜ」

「ちょっと待て」


 魔理沙さんへの抗議の声が上がったのは、射命丸さんの方から

だった。また射命丸さんの後ろから誰か出てくる。メガネをかけ

た男の人だった。


「え、えーと……」


 とりあえず質問をしようとすると、それを遮るようにチャイナ

ドレスの人が叫び始めた。


「五人揃ってぇぇえ!!」


「「「ゴレンジャイッ!!!」」」


「……」


 えええええええええええええええええ!!!!!!!

 これって戦隊物!? 幻想郷にそんなのあるの!?


「そ、それより、何で赤が三人……」

「さぁ、今の内に逃げるんだー!」


 チャイナドレスの人が私の背中を押して、外に出そうとする。

 ちょ、ちょっと待て! 戦隊物を知ってる人間としては許せ

ない!


「アンタら、な、並べぇええ! そこに並べっ!!」


 思いっきり叫んだ。

 何をきょとんとしてやがる! やっちゃいけないことして、

ただで済むと思うなよ!!


「あ、あの早苗……?」

「諏訪子様は黙ってて下さいっ!!」


 脇から止めようとする諏訪子様を押さえつける。

 皆は呆然としているが、そんなことは気にしない。むしろ気に

していたら突っ込めない!


「赤の人、挙手!」

「……」

「赤は手ぇ上げるっ!!!」


 一番初めに出てきた小さい子と、チャイナドレスを着た女の人

がバッ、と手を上げる。霊夢さんものろのろと手を上げた。


「黄色っ!」


 ビシッ、と自慢げにポーズを取る金髪の女の子と魔理沙さん。

見てて物凄く腹が立った。


「青、緑、ピンクの人は……!?」

「え、いませんけど?」

「戦隊物を何だと思ってるんですか! 赤、青、緑、黄色、ピンク

が常識! そんなことも知らないでヒーローごっこやるんじゃな

いのっ!!」


 チャイナドレスの人が平然と答えてきたので、コタツを全力で

叩いてしまった。

 っていうか、色が重なった時点でケンカになるでしょうが!

何で普通にやってんの、この人たち!?


「青と緑とピンクが合う人、見つからなかったから……」

「え?」


 最初に登場したピンクのドレスを着た子が、おずおずと話し始

める。

 青と緑とピンクが見つからなかった?


「説明致します。お嬢様の服の色ならピンクと申し上げたのですが、

どうしても主役をやりたいと」

「はぁ……。ところで大丈夫なんですか? さっき倒れてました

けど……」


 後ろを振り向くと、さっき横たわっていたメイドさんがいた。

なぜか青と白のエプロンドレスに赤いしずくが垂らしてある。

 血だよね、あれ。何で血?


「そして交友関係を持つ方々で構成するには、どうしても色が重

なってしまうので、妥協案として色が同じでも各々の個性を全面

に出そうという――」

「そんなの戦隊物じゃなああああああいっ!!!」


 頭を抱える。

 戦隊物っていうのは子供が見るものであって、子供は何よりも

見た目を重視しなくちゃいけなくて、色が重なるなんてもっての

ほか! むしろ色が重なったヒーローたちの戦隊物なんか、賞賛

じゃなくてブーイングの嵐に晒されます!


「いや、ですから個性で――」

「ふざけないで下さい、中国さんっ!!」


 チャイナドレスの人を一刀両断する。本名を聞くのも面倒なので、

勝手に中国と呼んでしまったが、後悔は毛ほどもない。


「じゃあ、私が緑やるぜ……」

「あ、ホントですか」

「私も緑やるー!」

「あなたは黄色のままでいいのっ!!」


 魔理沙さんが譲歩するなんて珍しい。と思いきや、金髪の子が

駄々をこね始めてしまった

 あーもー、まとまりがない人たちだなー!


「って、何を食べてるんですか、霊夢さんはー!!」

「何って……ミカンよ」

「あなたも会話に参加して下さい!!」


 もうダメだ、この人たち……早く何とかしないと……。


「これを考えたのは!? この子ですよね!?」


 ピンクのドレスを着た女の子を指差す。後ろで佇んでいるメイ

ドさんはその通りです、と頷いてくれた。

 よし、そうと決まれば――。


「戦隊物が何たるかを教えてあげます。さぁ、私の部屋に行きま

しょう」

「あっ……さ、さくやぁ~」


 女の子の手を取って、その場を後にした。女の子は助けを求め

ていたが、当のメイドさんは手を振っていたから、連れて行って

もいいのだろう。

 まず何から話そうか。元の世界の戦隊物が、どういうものか先

に説明するとしようかな。あとブラックの役割とかー。博士も重

要だよね。

 あー、久々に楽しくなってきた!




              ◇




 大人数が集まる居間から喧騒は去った。だが、代わりに来たの

は重苦しい沈黙だ。誰もが唖然として、動こうとしない。

 そして、比較的動じていない霊夢が口を開いた。


「ギャラは?」

「……ないに決まってるでしょ。企画は凍結」

「何よ、働き損じゃない……。」


 質問の内容に呆れたのか。咲夜は腕を組んで、大仰にため息を

ついた。

 ギャラのことしか頭になかったのであろう霊夢は、それだけ確

認すると、コタツに突っ伏した。


「マジかよー、無駄足じゃねーか」


 無邪気にじゃれついてくるフランの相手を適当にしながら、

魔理沙がぼやく。その割には楽しそうだった。

 皆が今回、今後のことについて話し始めたところで、神奈子が

廊下で話していた霖之助の下に現れた。


「やぁ、どうも」

「見たところお開きって感じね……。どうなった?」


 全て知っている物言いで神奈子が霖之助に様子を聞いた。

 恐らく料理を作るなどと言っていたのは、ただの演技だったの

だろう。器用な神様だ。


「それが……」


 霖之助が一から話し始める。

 早苗についての報告には、諏訪子も混ざっていた。まるで自然

現象を初めて目の当たりにした子供のように、目を皿にして諏訪

子は話した。


「――では、この映像は?」

「こちらが預かっておきましょう。お嬢様が言い出したときは、

またよろしくお願いします」


 文と咲夜は事後処理について相談していた。ビデオカメラにつ

いては、元々香霖堂にあったものを拝借しただけなので、霖之助

に返すこととなった。


 戦隊ごっこなど子供がやるようなことに熱が入るのも、幻想郷

の住民だからなのかもしれない。

 物騒な世に見えて、その実平和な幻想郷なのだった。




「初対面の人に中国って……中国って……中国中国中国中ご……

ぐすん」


 一人、部屋の隅で嗚咽を漏らす妖怪もいたが、平和であること

に変わりなかった。





どうも、ご無沙汰しております。廿楽です。

早苗さんがかなり崩壊しております。

弟にせがまれて一緒に見たら最後、

戦隊物にはまっちゃったみたいな早苗さんを想像して、

本編を書いていたわけですが、自分でも思うところがありました。



こ れ は 酷 い 。





<追記>

サイトの方ですが、メンバーのところに私の名前はありません。

ですが、ここの所属であることは間違いないので……。
廿楽
tudsura0725@yahoo.co.jp
http://ututune.web.fc2.com/
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コメント



0.340簡易評価
9.20名前が無い程度の能力削除
うん。 これは酷い。ネタほぼパクリ。
正直前半のネタと関係ない部分は良かったんだけど肝心のネタがねぇ。
自分で酷いと思うなら投稿しなければいいのですよ
10.100欠片の屑削除
あー…これめちゃくちゃやりたかった~

松本サンのセリフ廻しって難しいですよね。
11.60名前が無い程度の能力削除
ゴレンジャイ好きだったなぁ~あの番組の勢いは今じゃだせないんだろうなぁ~

とか考えたら少し寂しくなる作品でした
12.無評価廿楽削除
>9さん

ネタが生かせてなかったのか……orz

精進します。



>10さん

敬語ですからね(笑)

さすがにセリフをそのままトレースするのは気が引けたんで……。

キャラらしさを出してゴレンジャイやれないかと思ったんですが、

微妙でしたね……。



>11さん

確かに今じゃ無理でしょうねー。

あれをゴールデンで放送していたと思うと、

今更ながら信じられない(笑)
13.無評価廿楽削除
お礼を言い忘れていた(汗)



感想、批評。どうもありがとうございました。

しかし、コメディというのは難しいですね……。

本当に腹を抱えて笑えるようなコメディを書けるようになりたいと切に願います。



ですが、次回は少し路線変更をしようかと……。

また次も読んで頂ければ幸いです。

では……。
15.50名前が無い程度の能力削除
元ネタと違い諏訪子様じゃなく早苗さんがツッコミに回る点がこのネタの肝だと思うのですが、

早苗さんがツッコミに回った後の部分に勢いが足りなく思われます。

そこを強化すればよい作品になるのではないかと。
16.無評価廿楽削除
>15さん

アドバイスありがとうございますm(_ _)m

やっぱりこの話の肝は突っ込みですね。

早苗さんのイメージがいまいち固まらない……うーむ。