あの子の髪の毛!血液!よだれ!汗!
あの子の遺伝子が含まれる何かを含ませればあら簡単!
あっという間にあの子そっくりの小さなゴーレムが出来ちゃいます!
まるであの子と変わらないそのゴーレムを堪能しちゃってください!
お申込みはこちら
090-XXXX-YYYY 紅魔館図書館販売部より
「うふふ……あーっはっはっは!」
カーン、カーンと響き渡るは金槌と釘の怨念の輪舞曲。
人と同じぐらいの幅を持った樹の幹に向かって、何度も何度も金槌が振り下ろされる。
その釘を、金槌を打ちつける先。樹の幹との間にある物。
それは、誰かを象った泥人形。
アリス=マーガトロイドは今日も人形を釘で打ちつける作業に精を出していました。
人形遣いの定めとして、一日一回は誰かを模した人形を釘で打ちつけなければならない。理不尽な定めですがアリスは立派な人形遣いの魔法使いのツンデレ美少女なのでその定めにしっかりと従っていた。
「魔理沙っ♪魔理沙っ♪魔理沙を愛してぇるー♪」
そんなリズミカルに歌いながら、金色の髪の人形を打ちつけ続けるアリス。気分はルンルン。実に楽しそうに釘を打ちつけていた。
「好きになって貰えないなら好きになればいいじゃない!」という上海人形(自分)の意見の元、魔理沙の人形に釘を打ちつける事に決めたのだ。怨念と愛情を込めたその釘打ちは楽しそうに続けられる。ああもう魔理沙大好きたまらねぇと言う愛情がひしひしと伝わってくるのはいいのだが、正直何か勘違いしてる気がする。
――今までは一回一回こうやって釘を打ち込む人形を藁で編んで作っていたアリス。
しかし、それは酷く大変な作業であった。器用なアリスでも半日をかけてどうにか作れるような精密な藁人形を編む必要があるからだ。それだけで一日の半分を損している。
アリスの故郷魔界の、生粋の藁人形職人トメさん(12)はこう語る。
――藁人形ってぇのはねぇ、アレなんだよ、手を抜いて作ったらあかんのよ
藁人形の精密さに、そこに人の、まぁ誰でも、あんたのでもいいけど適当な髪の毛を加えて釘を打つだろ?
そのね、藁人形の作りが甘いと髪の毛が上手く交わらなくて、ちっとも呪いにならない
はっきり言って十年二十年じゃあ藁人形なんてまともに作れやしないね。何かの片手間に藁人形を作るなんてもってのほかさ」
と、『魔界黙示録シンキ』を片手に藁人形を作るトメさん。
魔界黙示録シンキは魔界の中でも人気の高い漫画だ。うだつの上がらない神様シンキがカリスマを求めて他の世界に旅立つという新機軸のストーリーに魔界の住人は大いに盛り上がり、魔界初のミリオンヒットを記録したという。
アリスも大好きな漫画の一つであったが結局最終話まで見る事無く幻想郷に来てしまった。今では少し後悔している。
それはそうと今はこうして誰かの髪の毛を入れるだけであっという間に藁人形の代わりになるゴーレムが売られているのだから紅魔館さまさまである。
「パーチュリーパーチュリー!」
思わず別の人間を叫んでしまう。そうすると思わず力が入った。
ああアリス。そう私は知っているのです。魔理沙とパチュリーが仲良くお茶会とかしてる事を私は知っているのです。魔理沙の家に行かせた人形がちゃんと報告してくれたのです。
恋敵と知りつつもその恋敵の人形を使うなんてなんと言うツンデレなのかしらアリス。
強くカーンカーンと更に魔法の森に鳴り響く金属音。きゃあ耳が痛いわ。
でも強く打ち続ける。魔理沙への愛をかなえる為に恋する乙女アリスは打ち続けるのよ!
「パーチュリーめこうしてくれるわぁー!」
「ようアリス、今日も精が出るな」
「うひょあぁ魔理沙っ痛ェェェェェーーーーーー!!」
金槌が綺麗に細い指に直撃して、赤く腫れ上がったその指は普段の三倍ほどの大きさになっていた。どこぞの専用機のようだが角も無いし速さも無い。
ふーふーと息を吹きかけてその痛みを冷やそうとした。目にはうっすら涙が浮かんでいた。
魔理沙はその姿を笑いながら眺めていた。正直アリスにとっては笑いごとでは無い。
「今日も今日とて藁人形に五寸釘か。ご苦労様なこって」
「きょ、今日は泥人形よ。勘違いしないでよねっ!」
「別にその辺はどうでもいいと思うんだが……なんでその人形なんだ?」
しまった、とアリスは額に汗を流す。
胸が苦しい。こんな姿を、この人形に釘を打ち込む姿を魔理沙に見られるなんて。
アリスは感じる。息が酷く苦しいのを。魔理沙に、嫌われるかもしれないという恐怖から来るのか、これは。
アリスは慌てて魔理沙に対して、叫んだ。
「ち、違うのっ、これは――」
「自分の泥人形に釘なんかさしてどうすんだよ」
「ってこれ私の人形かよッ!!」
金髪のアリス人形の胸には綺麗に垂直に鉄製の釘が突き刺さっていた。慌ててそれをひっつかんで地面にぶん投げた。
道理でさっきから胸の奥がズキズキすると思った。自分で痛めつけてるようじゃ世話が無い。しかし泥人形でも十分に呪いがかけられるのがわかっただけでも十分だと思う。藁人形よさらば。トメさんありがとう。もうあなたの藁人形に頼る事はありません。
魔理沙は心配するような、病人を見る目つきでアリスを見た。それって微妙に蔑まれてるんじゃないだろうか。
「アリス……何があったのかは知らないが、自暴自棄になるなよ」
「ちっ、違うわよ!これはそのあれよ、予行演習よ、予行演習!」
「わざわざ自分で試さなくても……」
ごもっともです。
アリスは言われると、顔を真っ赤にして叫んだ。
「うっさいわね!あんたの心を貫きたいのよ!」
「なッ――」
言ってから自分でもわけのわからないことを口走ったと思った。
しかし溢れ出たその感情は止まらない。
顔が熱い。これは、泥人形の呪いなどでは無い。
「あんたが好きだからあんたの事振り向かせたいと思って人形に釘打ちこんでたのよッ!でも間違えて自分の人形に釘打ちこんで胸痛めただけよッ、何が悪いのよッ!」
「あー……その告白は嬉しいがただの阿呆だろそれは」
「悪い!?」
ただの逆切れである。
魔理沙もその告白と逆切れに対して困ったように頭を掻いた。
けれども止まらない。言葉の渦が一気にアリスから飛び出して魔理沙に降りかかった。
「だからあんたが好きなの!好きで悪い!?あんたが好きだからこんな事ばっかりしてて悪い!?好きなのよ、魔理沙!ただ、それだけなの!」
「……」
「……ただ、それだけ……」
声が、止まる。全身がガクガクと震えていた。
魔理沙はその言葉を真剣に聞いていた。そして、アリスに歩いていく。
「魔理沙……」
「アリス。お前の気持ち、確かに受け取った」
魔理沙はそう言って、アリスの肩に手をかける。
アリスはその、感覚が。とても暖かくて。
じんわりと全身に伝わっていく熱が、アリスの全身を、震えを止めて。
「でもアリス、私パチュリーと付き合う事にしたんだ」
「世界なんか滅んでしまぇえええええええええ!!!!」
アリスは激怒した。
女たらし霧雨魔理沙(と思っている)の暴言に耐えきれずに血の涙を流した。
「ちくしょーこんなもんこうしてやらぁ!おらぁおらぁ!」
「あっ、アリス!」
アリスは近くにあった紫色の髪の泥人形をひっ捕まえると、樹に叩きつけた。
そして思いっきり胸の中心を目掛けて鉄の釘を強く打ちこむ。何度も何度も何度も。
あの世で私に詫び続けろ紫もやしー!という強い叫びが魔法の森に響き渡った。痛々しいまでに、人形の形が変わり続ける程に打ち続ける。
そしてもはや完全に人の形を保てていない状態の人形を樹から離すと、どこか虚ろな方向に視線を向けたまま、アリスはそれをポイと投げ捨てる。
「ざ、ざまぁみやがりなさいあの貧血女……」
「それ最近幻想郷にきた変な頭の神様の泥人形だと思うんだが」
「やっちまったぁぁぁぁぁぁぁ!!」
その日守矢神社の変な頭の神様は酷い激痛に悩まされたが無敵のミシャグジ様の力で何とかなった。
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カーン、カーンと響き渡るは金槌と釘の怨念の輪舞曲。
人と同じぐらいの幅を持った樹の幹に向かって、何度も何度も金槌が振り下ろされる。
その釘を、金槌を打ちつける先。樹の幹との間にある物。
それは、誰かを象った泥人形。
アリス=マーガトロイドは今日も人形を釘で打ちつける作業に精を出していました。
人形遣いの定めとして、一日一回は誰かを模した人形を釘で打ちつけなければならない。理不尽な定めですがアリスは立派な人形遣いの魔法使いのツンデレ美少女なのでその定めにしっかりと従っていた。
「魔理沙っ♪魔理沙っ♪魔理沙を愛してぇるー♪」
そんなリズミカルに歌いながら、金色の髪の人形を打ちつけ続けるアリス。気分はルンルン。実に楽しそうに釘を打ちつけていた。
「好きになって貰えないなら好きになればいいじゃない!」という上海人形(自分)の意見の元、魔理沙の人形に釘を打ちつける事に決めたのだ。怨念と愛情を込めたその釘打ちは楽しそうに続けられる。ああもう魔理沙大好きたまらねぇと言う愛情がひしひしと伝わってくるのはいいのだが、正直何か勘違いしてる気がする。
――今までは一回一回こうやって釘を打ち込む人形を藁で編んで作っていたアリス。
しかし、それは酷く大変な作業であった。器用なアリスでも半日をかけてどうにか作れるような精密な藁人形を編む必要があるからだ。それだけで一日の半分を損している。
アリスの故郷魔界の、生粋の藁人形職人トメさん(12)はこう語る。
――藁人形ってぇのはねぇ、アレなんだよ、手を抜いて作ったらあかんのよ
藁人形の精密さに、そこに人の、まぁ誰でも、あんたのでもいいけど適当な髪の毛を加えて釘を打つだろ?
そのね、藁人形の作りが甘いと髪の毛が上手く交わらなくて、ちっとも呪いにならない
はっきり言って十年二十年じゃあ藁人形なんてまともに作れやしないね。何かの片手間に藁人形を作るなんてもってのほかさ」
と、『魔界黙示録シンキ』を片手に藁人形を作るトメさん。
魔界黙示録シンキは魔界の中でも人気の高い漫画だ。うだつの上がらない神様シンキがカリスマを求めて他の世界に旅立つという新機軸のストーリーに魔界の住人は大いに盛り上がり、魔界初のミリオンヒットを記録したという。
アリスも大好きな漫画の一つであったが結局最終話まで見る事無く幻想郷に来てしまった。今では少し後悔している。
それはそうと今はこうして誰かの髪の毛を入れるだけであっという間に藁人形の代わりになるゴーレムが売られているのだから紅魔館さまさまである。
「パーチュリーパーチュリー!」
思わず別の人間を叫んでしまう。そうすると思わず力が入った。
ああアリス。そう私は知っているのです。魔理沙とパチュリーが仲良くお茶会とかしてる事を私は知っているのです。魔理沙の家に行かせた人形がちゃんと報告してくれたのです。
恋敵と知りつつもその恋敵の人形を使うなんてなんと言うツンデレなのかしらアリス。
強くカーンカーンと更に魔法の森に鳴り響く金属音。きゃあ耳が痛いわ。
でも強く打ち続ける。魔理沙への愛をかなえる為に恋する乙女アリスは打ち続けるのよ!
「パーチュリーめこうしてくれるわぁー!」
「ようアリス、今日も精が出るな」
「うひょあぁ魔理沙っ痛ェェェェェーーーーーー!!」
金槌が綺麗に細い指に直撃して、赤く腫れ上がったその指は普段の三倍ほどの大きさになっていた。どこぞの専用機のようだが角も無いし速さも無い。
ふーふーと息を吹きかけてその痛みを冷やそうとした。目にはうっすら涙が浮かんでいた。
魔理沙はその姿を笑いながら眺めていた。正直アリスにとっては笑いごとでは無い。
「今日も今日とて藁人形に五寸釘か。ご苦労様なこって」
「きょ、今日は泥人形よ。勘違いしないでよねっ!」
「別にその辺はどうでもいいと思うんだが……なんでその人形なんだ?」
しまった、とアリスは額に汗を流す。
胸が苦しい。こんな姿を、この人形に釘を打ち込む姿を魔理沙に見られるなんて。
アリスは感じる。息が酷く苦しいのを。魔理沙に、嫌われるかもしれないという恐怖から来るのか、これは。
アリスは慌てて魔理沙に対して、叫んだ。
「ち、違うのっ、これは――」
「自分の泥人形に釘なんかさしてどうすんだよ」
「ってこれ私の人形かよッ!!」
金髪のアリス人形の胸には綺麗に垂直に鉄製の釘が突き刺さっていた。慌ててそれをひっつかんで地面にぶん投げた。
道理でさっきから胸の奥がズキズキすると思った。自分で痛めつけてるようじゃ世話が無い。しかし泥人形でも十分に呪いがかけられるのがわかっただけでも十分だと思う。藁人形よさらば。トメさんありがとう。もうあなたの藁人形に頼る事はありません。
魔理沙は心配するような、病人を見る目つきでアリスを見た。それって微妙に蔑まれてるんじゃないだろうか。
「アリス……何があったのかは知らないが、自暴自棄になるなよ」
「ちっ、違うわよ!これはそのあれよ、予行演習よ、予行演習!」
「わざわざ自分で試さなくても……」
ごもっともです。
アリスは言われると、顔を真っ赤にして叫んだ。
「うっさいわね!あんたの心を貫きたいのよ!」
「なッ――」
言ってから自分でもわけのわからないことを口走ったと思った。
しかし溢れ出たその感情は止まらない。
顔が熱い。これは、泥人形の呪いなどでは無い。
「あんたが好きだからあんたの事振り向かせたいと思って人形に釘打ちこんでたのよッ!でも間違えて自分の人形に釘打ちこんで胸痛めただけよッ、何が悪いのよッ!」
「あー……その告白は嬉しいがただの阿呆だろそれは」
「悪い!?」
ただの逆切れである。
魔理沙もその告白と逆切れに対して困ったように頭を掻いた。
けれども止まらない。言葉の渦が一気にアリスから飛び出して魔理沙に降りかかった。
「だからあんたが好きなの!好きで悪い!?あんたが好きだからこんな事ばっかりしてて悪い!?好きなのよ、魔理沙!ただ、それだけなの!」
「……」
「……ただ、それだけ……」
声が、止まる。全身がガクガクと震えていた。
魔理沙はその言葉を真剣に聞いていた。そして、アリスに歩いていく。
「魔理沙……」
「アリス。お前の気持ち、確かに受け取った」
魔理沙はそう言って、アリスの肩に手をかける。
アリスはその、感覚が。とても暖かくて。
じんわりと全身に伝わっていく熱が、アリスの全身を、震えを止めて。
「でもアリス、私パチュリーと付き合う事にしたんだ」
「世界なんか滅んでしまぇえええええええええ!!!!」
アリスは激怒した。
女たらし霧雨魔理沙(と思っている)の暴言に耐えきれずに血の涙を流した。
「ちくしょーこんなもんこうしてやらぁ!おらぁおらぁ!」
「あっ、アリス!」
アリスは近くにあった紫色の髪の泥人形をひっ捕まえると、樹に叩きつけた。
そして思いっきり胸の中心を目掛けて鉄の釘を強く打ちこむ。何度も何度も何度も。
あの世で私に詫び続けろ紫もやしー!という強い叫びが魔法の森に響き渡った。痛々しいまでに、人形の形が変わり続ける程に打ち続ける。
そしてもはや完全に人の形を保てていない状態の人形を樹から離すと、どこか虚ろな方向に視線を向けたまま、アリスはそれをポイと投げ捨てる。
「ざ、ざまぁみやがりなさいあの貧血女……」
「それ最近幻想郷にきた変な頭の神様の泥人形だと思うんだが」
「やっちまったぁぁぁぁぁぁぁ!!」
その日守矢神社の変な頭の神様は酷い激痛に悩まされたが無敵のミシャグジ様の力で何とかなった。
半端はいかんよ。
> 思わず別の人間を叫んでしまう。そうすると思わず力が入った。
ぱっちぇさんは人間ではありません。
それ以前に、今時アリス五寸釘ネタって…。
ミシャグジ様すげぇwwww
とりあえずそこのストレイアリスさん、落ち着いてw