※作品集30「風見幽香地獄篇(上)」および
作品集31「風見幽香地獄篇(中)」の続編です。
「ここに一本の巻き尺があります」
「(また幻月さんの前後不覚な妄言劇場がはじまった……)」
「これでロリ巨乳という言葉がぴったりな容姿のくるみちゃんを縛ります」
「逃げ……ぶじゅ!? ま、巻き尺を足首に絡みつけて逃走を阻むとはなんと華麗な手管に手練!」
「ていねいな説明ありがとう。逃げられるなら逃げてもいいけど後の保障はしないからそのつもりで」
「エリー助け……すでに居ないし! これじゃ誰も幻月さんにつっこんでくれないし! 収拾つかないし!」
「さて、くるみも納得してくれたところで本題に入ろっか。おっぱい何尺何寸?」
「……えーと、最後に計ったのが七十年くらい前で……たしか二尺八寸くらいだったかな?」
「つまり90セン……ブジャジャジャジャジャァ! 思わず一滴たりとも飲んだ覚えのないそば湯をふき出すこの衝撃!」
「お、お褒めにあずかりコーエーでございます……。で、あの、答えたんですから早いところほどいてくださ」
「会話の途中ですが号外です。本日未明くるみちゃんのおっぱいによって幻想郷の主婦・幻月Eパナマナドゥ三十三歳、略して量産型ホリゴメさんの理性が破壊された模様でヒャヒャヒャヒヘヒャヒャ」
「怖ッ!! 主婦やら三十三歳やらに感じる違和感などたやすく吹っ飛ばすほどに怖ッ!!」
「さらに今入りました情報によると、くるみちゃんを拘束している巻き尺の正体はロープとヒジキと片栗粉を強引にくっつけて生み出された世にも恐ろしきキメイラである模様です。プーロ!」
「いや、その情報はおかしキャプゥゥゥゥゥゥン! な、なんかいきなり分裂して一斉に動き出しあっひぃぃぃぃぃぃ!」
某所にてそんな会話が繰り広げられたのとほぼ時を同じくして、幽香たちは遥か雲の上の白玉楼にたどりついていた。
ターゲットは以前起こった花の異変の際に出会った半人半妖の剣士である。
幽香の走る速度を星0.5個ぶんとすれば、彼女のそれは軽く5個ぶんくらいには達していた。
さらに聞くところによると、そいつは宴会騒ぎの際「斬れば分かる」という暴論をもって目につく者を片っ端からたたっ斬った極悪人であるという。
こんな危険分子を放っておいたら楽しいはずの運動会が無残なことになるのは目に見えている。
よって運動会の平和を守るため、愛と正義の名のもとに混乱の火種をもみ消しに来たというわけである。
九割九分は保身のためなのだが、幻想郷においてこの程度の自己中心主義はさして珍しくもないのでその点については論じないことにする。
「ここまで慎重にならなくてもいいと思うけど」
「獅子は兎を狩るのにも全力をつくすのよ。相手が弱者だからといって、後先考えずに飛びかかるなんて愚か者のすることだわ」
「らしくないわね、目の前に獲物がいるっていうのに。もしかしてあなた、ビビッてるんじゃ……」
「! フニャーゴ!」
「同じ反応(ネタ)!?」
白砂利が整然と敷きつめられた庭の一角にある茂みに身を隠して、こそこそと言葉を交わす二人。
その姿は木の洞からちょこんと顔を出して周囲をうかがうモモンガのようでかわいらしいといえばかわいらしいが、地平線が見えそうなほど広大かつ雄大な白玉楼の庭でそんなしょっぱい真似をしているせいでむしろしみったれて見える。
下着泥棒でももう少し堂々と振舞うだろうが、夢月はともかく心に傷を負った今の幽香にそれを求めるのは酷というものであろう。
その視線の先では、一人と半分の霊がなにやら仲むつまじげに話し合っていた。
「いいわね妖夢。この招待状にあるとおり、運動会の最後は『派閥対抗りれー競争』とやらで締められている。これはこの競技がもっとも重要ということ、つまりこれを制した者が運動会を制するということに相違ないのよ」
「はぁ……」
幼子をさとすように優しく語る幽々子。
いつものふんどしキャップは大胆にも脱ぎ捨てられており、自己暗示のつもりなのか「私はダチョウ」と書かれたハチマキをしめている。
帽子がハチマキに変わったなのに思わず誰てめぇと言いたくなるほど雰囲気が引き締まっているのは彼女の愛国心の賜物だろうか。
特攻隊員よろしく、その姿は実にかっこよくてたくましく、どこか悲壮でもあり、そして何より美しかった。
それを見た妖夢は「たしかにダチョウは速いけどもう少しいい例えがあるだろ」と思ったが、ゴキブリとか書かなかっただけマシというある種の諦念を抱いていたためあえて口には出さなかった。
「そして私が思うに、この『りれー』のポイントは『ばとん』の受け渡しにあるわ。これがどれだけ円滑に行われるかによって勝敗が決まるといっても過言じゃないわね」
「それは分かりましたけど……さっきおっしゃってたアレ、本当にやるんですか?」
したり気に話す幽々子に、妖夢がいぶかしげな表情を浮かべる。
その曖昧な状態の老人に話しかけるかのような口調には微塵のやる気もこもっていないが、それに反比例して疑念がパンパンにつまっている。
「もちろんよ。さあ、遠慮せず私の胸に飛び込んでおいで~」
「胃袋の間違いじゃ……いえ、なんでもないです」
幽々子が大げさに両手を広げ、その胸に装着された限りない大山脈(フェアリーヴァースト)を揺らす。
常人なら脊髄反射で飛び込んでしまいかねないほどに魅力的な光景であったが、妖夢はつれないそぶりで背を向けた。
そのままとことこと可愛らしい足取りで彼方へと走り去っていく。
そして元いたところから十数米ほど離れたところで足を止め、振り返った。
「では──行きますよ、幽々子様」
だが、ここで異常事態が発生した。
なんと妖夢がおもむろに刀を抜いて腰を落とし、幽々子を正眼に見すえた一足飛びの体勢をとったのである。
「……あのおかっぱの娘いきなり刀抜いたんだけど。何これ? 同士討ち?」
「……思っていたより腕白なのね、あの子」
荒事好きの幽香と夢月も、これにはいささか驚いた。
運動会の練習にどうして刀が必要なのか。
百歩譲って借り物競争か何かに使うのだとしてもわざわざ抜刀することはないのではないか。
というか借り物競争なら別に練習なんぞしなくてもいいのではないか。
それ以前に借り物競争ははたして”運動”会の種目に相応しいのだろうか。
……だいたい何よ運動会って、何で強さを誇示するためにやることがよりにもよって運動会なのよ。
もっとこう妖怪なら妖怪らしく満月の下で殺し合うとか大量虐殺にいそしむとか色々あるじゃない。
どうもおかしい。何というか、まるで物語の登場人物のように第三者の勝手な思惑によって動かされている気がする。
いったい誰よ出て来なさいよいや別に走るのが嫌だからというわけじゃなくてね? と、幽香が内心誰にあてるでもなく言い訳をしたその時である。
「「パチョォォォォォォォォォォォォ!」」
「……はっ!? な、何今の叫び声は……って、なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁ!」
静謐にして典雅なる冥界に響き渡った絶叫が、幽香の意識を現実に引き戻した。
はっと顔を上げたその先では、何を思ったか妖夢が二百由旬の一閃を繰り出して幽々子に吶喊していたのである。
上から下までむっちりぽよぽよとセクシーな死体、いやさ肢体を誇りながらも体重自体は存外に軽い幽々子がその衝撃に耐えられるはずもない。
普段徹底的に無視されているエネルギー保存および慣性の法則はこういうシチュエーションを待っていたとばかりにその本領を発揮し、幽々子の体を大地から引き剥がして弩弓のごとくに弾き飛ばす。
それがそのまま幽香たちの潜んでいる茂みへと一直線にかっ飛んできたからさあ大変。
「(あっ……や、やだ……こ、こんな……おしり……えっちだよぅ……)」
「(こっ……この尻の美しさ、まさしく芸術! まさしくルネッサンス! まさしく究極の曲線美! 種族は違えど同性として嫉妬と羨望の念を禁じ得ない!)」
和服に隠されていてもなお、溢れんばかりの肉感を所狭しとまき散らす幽々子の尻が幽香めがけて迫り来る。
その驚異的かつ滅亡的かつ圧倒的かつ叙情的なフォルムがかもし出す視覚的破壊力は桃のお化けとでも称するのが適当であろうか。
指で突けばふにゅりと押し返しそうな、それでいてつぷりと埋もれてしまいそうなまろやかさは真球の持つ幾何学的な美しさに通じるものがあり、幽香と夢月は己の置かれた状況も忘れて見入ってしまった。
二人の視線には僅かの羞恥と羨望、そして大いなる嫉妬が渦巻いている。
特に今まで夢幻姉妹の裸しか見たことがない幽香の反応は完全に常軌を逸しており、恋に恋する乙女のごとく可憐な頬を薄紅に染めて恥ずかしがっている。
彼女の微妙で乙女でセンチメンタルな心の動きが世界に何らかの影響を及ぼしたのか、二人が隠れている茂みにいきなり百合の花が咲いた。
「……って、見とれてる場合じゃないわ! 早く脱出するわよ幽香!」
「え!? あ、ええ、不本意だけど今はそれしか……って、ちょっと待って! す、スパッツが引っかかって……!」
「あれのどこが何に引っかかるのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
物理法則という言葉を夢の彼方に吹っ飛ばした惨劇の顕現に悲しみの涙を流す夢月。
恐らくは破けてほつれた所がちょうど良く、というよりは運悪く枝か何かに引っかかったのだろう。
さっきスパッツの尻部分が破れているのを教えておけばよかったと後悔しても、もはや後の祭り。
渦巻く風を纏いながら夜を切り裂いて襲い掛かる幽々子のヒップバズーカは、まるで尻の神様が下す裁きの鉄槌のようにも見えた。
尻を笑う者は尻に泣くとはよく言ったものである。
念の為にことわっておくがこれは幽香がいたずらっぽく笑う夢月と幻月にお尻を悪戯されて泣きながら許しを請うという意味ではない。
「「「「ドグワシャァァァァァァァァァァァァ!!」」」」
ああでもないこうでもないとやっている内に、最新薄型ロケットエンジン・コンパクドライブみょんみょん号によって爆発的な加速を得た尻肉爆弾ユユコ号が幽香の顔に直撃した。
その刹那にも満たない接触の間に運動エネルギーの伝達は滞りなく完了し、幽香のみならず夢月までもを巻き込んで夜空の彼方にかっ飛ばす。
諸々の理由で噴き出した幽香の鼻血が描く軌跡はまるで夜空のキャンパスをアーティスティックに彩る箒星のようで、たまたま近くを通り掛った蛍が感動のあまり自分めがけて突っ込んでくる謎の半ケツ娘を避け切れずに跳ね飛ばされた。
ちなみに当の妖夢と幽々子は幽々子の尻および幽香の顔面がショックアブソーバーとなったため庭を囲む壁を倒壊させるだけにとどまっていた。
「や、やっぱり無理ですよ、二百由旬の一閃でバトンの受け渡しなんて……」
「けほっ……うーん、計算上は完璧だったんだけどねぇ」
立ち込める土煙と瓦礫を払いのけながら、妖夢がよたよたと起き上がる。
その背後で、幽々子もまた埃にむせながらのっそりと立ち上がった。
激突の衝撃が大きすぎたせいか、幽香たちの存在どころかぶつかったことにさえ気付いていないようである。
そしてこの瞬間、妖夢と幽々子が行った恐るべき実験の結果が明らかになった。
その気になれば幻想郷最速を誇る天狗でもぶった斬れるという二百由旬の一閃を、たかだか運動会の練習に使用したのである。
どうやら幽々子はあまりにも優雅に咲かせすぎたせいで脳みそのお花畑まで満開にしてしまったらしい。
「やっぱり昨日妖夢の体を使って流しソーメンをした罰があたったのかしら」
「! そ、それは未来永劫口に出さないで下さいと何度も言ったじゃ……って、ゆ……幽々子様?」
己の恥ずかしい過去を惜しげもなく暴露する主人に、思わず声を荒げる妖夢。
反射的に背後を振り返り幽々子に詰め寄ろうとしたが、それは出来なかった。
彼女の瞳に宿る光がすでに常人のそれではなくなっていたからである。
満月の光など比べものにならないほどの狂気的な輝きに気圧され、妖夢は本能的に後ずさった。
「あらどうしたの妖夢。顔がお歯黒を塗りたくったみたいに真っ青よ」
そう囁いた幽々子の声からは、いつもの優しく典雅でぽわわんとした響きがいつの間にか失われていた。
よくよく見ると眼球全体にいつものふんどしヘルムに描かれている渦巻きのようなぐるぐる模様が浮かんでいる。
もはや眼光がどうだこうだという次元ではない。
誰が見ようと紛うことなき、精神が錯乱した人の典型的かつ象徴的な症状である。
「あの、幽々子様? な、何でそんな血走った目で見てるんですか? 何でそんな獲物を前にした肉食獣みたいに息が荒いんですか?」
結果は分かってるけど一応、といった感じで妖夢がおずおずと尋ねる。
妖夢はすでにこの時は動物的な本能で危険を察し、同時に降りかかるであろう惨劇の予想図を鮮明に思い描いていた。
それでも決して逃げようとはせず律儀かつ健気にツッコむ辺り、彼女は実に分かっている。
何が分かっているのかよく分からないがとにかく分かっている。
「仮にもご主人様に向かって神風特攻とはやんごとないにも程があるわ。これは今一度みっちりと教育しなおしてあげる必要がありそうねウフフ」
「えっ!? そんな、やれって言ったのは幽々子様じゃないですか! ぶつかったのは私の未熟さゆえですけど完全に責任をなすりつけられる筋合いは……!」
「いっただきまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁす!!」
「いただきますってそれ明らかに従者の不徳を戒める時に吐く台詞じゃなチュパァァァァァァ! ば、バトンがぁ! ちょうどいい太さと固さと長さをあわせ持ったある意味禁忌の結晶たるバトンがぁぁぁぁぁぁ!」」
サマーソルトキックの要領で機敏かつ不気味に回転しながら、某虚弱魔女の回転ノコギリのように鼻血を迸らせて妖夢に飛びかかる幽々子。
頚動脈でもブチ切れていないと説明のつかない勢いで飛び散る鮮血が月光に照らされて、艶かしく淫猥、そして一抹の狂気を孕んだまばゆい輝きを発する。
そのあまりにも美しすぎる光景に一瞬目を奪われた妖夢が我に返った時には、すでにその小さく未熟な身体は幽々子の魔手に絡めとられていた。
二人の発する強烈な春度が可憐な桜の花びらと化し、どういう理屈か知らないが庭の木々を次から次へと満開にしていく。
西行妖の枝が恐怖にわななくようにざわざわと震えて、季節外れの桜がほころぶ。
遮るもののない月明かりに照らされた白玉楼の庭で、二人はいつまでも仲睦まじく乳くりあっていた……。
§ § §
幻想郷の片隅に、まるでなにかを隠しているかのごとく鬱蒼と茂った竹林がある。
葉擦れの音さえ聞こえないほどの静寂に包まれたそこへ、天空から恐るべき生命体が襲来しようとしていた。
「「ホギャァァァァァァァァァァァァ!」」
それは空気との摩擦によって火だるまになりかねないくらいの猛スピードで飛来する幽香と夢月であった。
隕石と見紛わんばかりの勢いで地面に叩きつけられた二人はそのまま大地をえぐりながら転がっていき、偶然その進路上に位置していたでっけぇきなこもちにつっ込んでようやく停止した。
「いたた……ゆ、幽香……大丈夫?」
強かにぶつけた尻をさすりながら、夢月がふらふらと起き上がる。
白玉楼からの落下といえば大怪我どころか即死してもおかしくない大惨事だが、なぜか落下地点に笹の葉が敷きつめられていたので損傷は軽微ですんだ。
ちなみにその笹ベッドはどこぞのサスペンダー娘と半獣がいつ何時ムラっ気を起こしてもいいように、と竹林のいたる所にこしらえておいたラブリーセクシャルギャリアーフィールドのひとつなのだがそれはこの際関係ない。
「あ、当たり前でしょう……。この程度で、こ、この私がへこ、へこたれるとでも……はぁ、ふ……」
震える声が、竹林の闇に吸い込まれるように消えていく。
肉体的なダメージは無に等しいようだが、精神的に相当まいっているのは明らかだった。
立て続けに受けたセクハラに加え、うつぶせの状態で墜落したことにより地面を滑っている間ずっとストロベリーオンザダブルラフレシアに摩擦が加わったことで膝が大爆笑してしまい、側にあった竹にすがり付いてようやく立ち上がるという体たらくである。
とはいえ、くすぐられたり蹴っ飛ばされたり尻を押し付けられたりと悲惨な目に遭いながらも、もう帰ろうとか言い出さないあたりはさすが自称最強である。
まるで生まれたてのヤンバルテナガコガネのように健気でいたいけなその姿に、夢月がうっかりちょっぴりときめいたのは言うまでもない。
「……あー、まあ、そんな大口が叩けるなら大丈夫ね」
時には「スルーすること」がどんな優しい言葉より適切な心の薬となることもある。
この瞬間夢月はまたひとつ新たな愛の形に目覚めた、ような気がした。
「……このさい終わったことはどうでもいいわ。今は目の前の敵を排除することが第一よ」
「目の前ったってこんな辛気くさい林の中に誰が……って、もしかしてあの家?」
夢月があたりを見回すと、竹の合間に覗く生け垣とその向こう側にある瓦葺きの屋根がの彼女の視界に入った。
みなまで言うまでもなく、色白性悪平安京プリンセスやらマッドマッシブ女医MAXやらブレザー服美少女逃亡兵やらロリータラビットやらが跋扈する魅惑の館、永遠亭である。
そして幽香の予定では、次のターゲットはこれまた花の異変で出会った二匹の兎娘であった。
怪我の功名とでも言うべきか、形はどうあれ永遠亭への移動の手間が省けた形になった。
「そうよ。私の計算どおりの結果だわ」
「あなたの計算が当たるなんて、こりゃ明日は重力が逆転して地球が降ってくるわね」
「それこそ天地がひっくり返ってもありっこないわよ。まあ、そんな小ボケはどうでもいいとして……」
「そうね、さっさと片付けて帰りましょ。なんだか眠くなってきちゃった」
一しきり言葉を交わしたあと、二人は生け垣に忍び寄り、非常にとってもすごく都合よく開いていた隙間から庭をのぞき込んだ。
そして己が網膜に叩きつけられた光景に、今日何本目か分からない度肝を抜かれるのであった。
「……あれっ? お二人とも、こんな時間に何してるんですか?」
薄水色の寝巻きに身を包んだ鈴仙が、懐中時計を携えて艶やかに佇む永琳と、なぜかその足元で汗まみれになってぶっ倒れている輝夜に声をかけた。
つっついたら貫通しかねないほどに薄い輝夜の胸が、荒く苦しげな吐息に合わせて申し訳程度に上下している。
もう完全に人生の勝利者と負け犬の風情であった。
この時鈴仙は永琳の乳についてなにか重大なことを忘れているような気がしたが、次の瞬間にはそのことさえも忘れていた。
知らぬが仏である。
「明日の運動会の練習よ。ウドンゲも出場するんだから、今日ははやく寝ておきなさい」
「ああ、それで……って、なにもこんな時間にやらなくてもいいんじゃ……」
「やんごとなき事情があるのよ。ところで永琳、いまのタイムは?」
「七時間三十六分……まずまずのタイムね。この調子なら三十五分台も夢じゃないわ」
「七じか……って、マラソンでもやってたんですか?」
「たかが運動会にそんな大それたイベントがあるわけないでしょ。100メートル走よ」
「ええええええええええええ!? 100メートル走だったのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
時速にして約13.6メートルという、完全に五体満足な二足歩行の生物とは思えない輝夜のルナティックかつブリリアントな運動神経。
亀どころかカタツムリでも裸足で逃げ出すことうけあいのスーパーウルトラスロースピードである。
おそらく宇宙新記録であろう大偉業の達成を目の当たりにして、鈴仙は感動のあまり人目もはばからずに涙を流した。
「ねええーりん、足の速くなる薬とか作れないの? どうせ死なないんだし、副作用とかどうでもいいからとにかくもうエグいほど効くやつ」
「作れるけど、あんまり速すぎても疑われるわ。ここは輝夜の能力で”ゴールするまでの時間”を須臾に縮める方が効果的じゃないかしら」
「もはや反則の相談!?」
幽香と夢月は、ちょうどここで耐え切れなくなって眼を背けた。
一番つらいのは自分だと思っていたのに、世界にはもっとすごい鈍足娘がいた。
普通なら自分ももっと頑張ろうと発奮する流れだが、100メートルに七時間かかるようではさすがに脱力と哀れみが先にたつ。
もはや瞳に輝いていた闘志の炎も鎮火しかけている。
「……ねえ」
「何かしら」
「さっきの……夢幻館で走ってた私もあんなみじめに見えてたの?」
「……」
あからさまに目を背ける夢月。
だが、これでいい。
牙をもがれた獅子どころかはしかにかかったバンビなみに弱っている幽香に本当のことを言うわけにはいかない。
真実は時として何より鋭利で残酷な心をえぐる凶器と化す。
心の怪我でも人は死ぬのである。
ただひとつ問題なのはこのリアクションだと内心Yesと言っているのがモロバレだということだが、そもそも悪魔である夢月にそのあたりの心遣いを期待する方が間違っている。
「そ、それはそれとしてさ。ここはほっといてもいいんじゃない? あれ、完全にあなたより遅いわよ」
「……そうね。今回は特別に見逃してあげましょうカチッ。……カチッ?」
幽香が踵を返して一歩踏み出した瞬間、どこからともなく硬質の音が響いた。
爪先に違和感を感じて視線を落とすと、そこだけ地面が一寸ほど沈み込んでいた。
その不自然な光景に、二人が同じような「いやな予感」を感じたのはほぼ同時であった。
「──幽香ッッ!!」
「え……きゃっ!? ちょっ、いきなり何す……」
先に動いたのは夢月だった。
すばやく幽香の手を取ると、大地を踏み割らんばかりの勢いで地を蹴り、走り出した。
くしくも出立の時とは、目的から何からまったく逆の構図になっていた。
そして二人がそのことに気付く間もなく、たった今幽香たちがいた場所が謎の大爆発によって豪快かつ華麗に消し飛んだ。
「「どわああああああああああああ!」」
夢月はとっさに幽香を抱きかかえたが、美少女特有の体の細さと体重の軽さが災いして、結局二人まとめて吹き飛ばされた。
その時偶然にも幽香の胸の谷間に夢月の手が挟まってしまい、手首から先が圧迫による血行不良で壊死しかけたが、今の二人にはそんなことを気にしている余裕はない。
今までの流れを鑑みるに、どうせ爆発だけで終るわけがないことは二人とも分かりきっていた。
ハチャメチャはすぐそこまで押し寄せてきているのである。
「わ……罠!? この私がこんな古典的な罠にひっかかるなんて! きっと相手は宇宙レベルの天才ね!」
幽香の予想は当たっていた。
そう、これこそが月の頭脳たる八意永琳が持てる知識のすべてを注ぎこんで作り上げた最強最悪のトラップエリア、その名も偉大な「八意ゾーン」である。
永夜異変の際、自分の年齢で割れば0に等しい程度しか生きていない小娘どもにぶちのめされた永琳は己の慢心を反省し、二度とあんなことが起こらないように、万が一起こっても確実に撃退できるようにと様々な対策を行っていた。
そして出来上がったのがこの鬼畜で外道な殺人空間というわけである。
一歩間違えれば永遠亭の関係者が巻き込まれる可能性もあるのだが、あの八意永琳は容赦せん!
「どうでもいいわそんなこと! さっさと逃げるわよ! ったく、なにが計算どおりよこのスカポンタン!」
ふたたび幽香の手を取って駆け出す夢月。
次の瞬間、二人のいた位置をトレースして無数の矢が雨あられと降りそそいだ。
「って、ビームが! どういう原理か知らないけれど何の変哲もない地面からマグマのごとく噴き出すビームがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
そして二人の行く手を阻むように荒れ狂う熱線。
「い、岩が! 山でもないのにどこからともなく屋根より高い大岩がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
さらには四次元的な軌道で襲い掛かる巨大な岩石。
「ガォォォォォォン!」
「なんで虎の大群がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「しかもよく見ると虎じゃなくて虎っぽく組み合わせただけの竹だし! なにこの天才的で変態的なスーパーガジェットツール軍団!?」
挙句の果てには虎の襲来である。
竹林に虎というとそれなりに絵になる組みあわせのはずだが、百匹単位で迫ってこられるともはや風情の欠片もない。
「呼びましたかしら?」
「誰も好きこのんで貴方なんか呼ばないわよ! って言うか何しにきたの!?」
「あら、それは失礼。ガォンって音が聞こえると黙っていられなくて」
「何のネタよそれは! いいからとっとと帰って寝てろ!」
大混乱のさなか、どこぞの隙間妖怪がシャボン玉のように現れ、すぐ消えた。
その顔面にむけて振るわれた幽香の後ろ回し蹴りがむなしく空を切る。
「ああもう、幽香はともかくこの私が竹細工に追い回されてヒーコラ言うなんて! くるみたちには見せられないわね!」
「……って、ちょっと待って、竹……? それなら……!」
幽香が夢月の手を振りほどいて、迫り来る岩やら虎やらビームやらの前に颯爽と立ちはだかった。
「ちょ、ちょっと幽香! あぶないわよ!」
「……あぶない? あなた、誰に向かってものを言ってるつもりかしら?」
普通なら原材料が分かったところで何の意味もないのだろうが、幽香には花を操る程度の能力がある。
「私は……」
そして、竹には花が咲く。
ならば彼女がそれを操れぬ道理はない。
「風見 幽香よ!」
もはや幽香の表情からは恐怖も焦燥も跡形もなく消え去っていた。
スパッツが破けたままの半ケツ状態でさえなければもっとかっこよかったのだが、それは高望みというものである。
また別の意味でキマっているように見えるのはきっと満月光線の見せる幻であろう。
「いっくわよぉぉぉぉぉぉ! 必殺! 花を操る程度の能力(イマジネーション・フラワーアレンジメント)──────ッッ!」
「わあすごい六十年に一度しか咲かない竹の花がこんなに沢山ありがたみもなく……って、全然ちっともこれっぽっちも効いてねぇぇぇぇぇぇ!」
だが、操れたのはあくまで「竹の花」であり、竹本体をどうこうできるわけではなかった。
単なる虎と岩とビームがそれぞれ花が咲いた虎、岩、ビームに変化しただけだった。
小さく可憐な白い花弁がこの殺伐とした情景に一迅のそよ風を吹きこんだが、そんなものはまったくもって焼け石に水である。
そもそも原材料が竹のくせに自走しているクリーチャーどもに対して「問答無用で消し飛ばす」以外の対処法を選んだ時点で間違っている。
「どーせこんなこったろうと思ったわ! それが何の役に立つのよバカ! 今は逃げる事が先決でしょうが!」
「バカ!? バカですって!? 言うにことかいてこの私に向かってバカとは不届きにも程があるわこの変態性悪改悪冥土(アブノーマルカスタムメイド)!
だいたい何なのその格好! 何を狙ってるのか知らないけど見た目ばかり飾ってご奉仕のひとつも満足にできないメイドなんてゴミクズ同然よ!」
「うるさいバカ! バカにバカと言って何が悪いのよ! 妙にかっこつけてるから何を始めるのか期待してたのに、竹の花を満開にしただけじゃない!
満開にするのは脳味噌の蛆だけにしておきなさいっつーの! そもそもメイド=ご奉仕なんて時代遅れの固定観念に囚われてるから足まで遅くなるのよ!」
「ただ古いだけのくだらない慣習と未来永劫残すべき価値ある伝統を取り違えてる人って本当に愚かしいわね! 道を歩く時は足元に気をつけなさい、貴方はちょっと視野が狭いみたいだからね!」
「それは幽香の方でしょうが! あんまりふざけたことばかり言ってると象でも裸足で逃げ出すようなエグい悪夢を年がら年中四六時中見せ続けるわよ!」
「ふん! 何よそのくらい! だったら寝なければいいだけの話じゃない! そんなしょっぱい能力なんて全然ちっともこれっぽっちも怖くないもんねーだ!」
「へーあっそーじゃーあなた一生寝ないのねーすごーい、やっぱりバカな人は発想の規模が違うわぁ。脳味噌ヤドリギに吸いとられてるんじゃないのぉ?」
「なんだとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
某月某日某曜日未明、風見幽香の堪忍袋の緒、斬殺さる。
凶器、夢月の言葉責め。
幽香ほどの大妖怪がマジギレしたとなれば、本来なら翌日の文々。新聞にスッパ抜かれること間違いなしの大事件なのだが、当の射命丸女史は依然として幽香のベットの下敷きになっているのでそれはかなわぬ夢である。
「なによさっきから人のことバカバカって! バカって言うほうがバカなんだからねこのバカ!!」
「言い返せなくなったらすぐに逆切れ? 知的生命体が聞いて呆れるわね、それのどこが文化的な発展を遂げた生物よ!」
「うるさいうるさいうるさい! 夢月のバカ! 大っ嫌い! このカジュアル☆パラソル☆ビームライフルのサビにしてあげるからそこになおりなさい!」
もはや二人の争いは口喧嘩を通りこしてちびっ子同士のどつき合いレベルにまで堕した。
長いこと生と死の境界線という細い綱の上を目隠しをして逆立ちしながら二人三脚で後ろ向きに進むかのような極限の状況におかれたせいか、完全に幼児退行している。
「ガォォォォォォォォォォォォン!」
「呼ん……」
「「勝負の──邪魔よォ!!」」
「「ピョニャァァァァァァァァァァァァ!!」」
迫りくる虎やら岩やらビームやらを、現在進行形で喧嘩しているわりには妙に息のあった一撃で屠り去る二人。
なにか余計なものまで吹っ飛ばしたような気もしたが、もはや彼女たちはそんなことに拘泥する暇もつもりも余裕もなかった。
今の二人の瞳には、己が眼前の相手しか映っていないのである。
互いのことで埋めつくされた心に他の何かが入りこむ余地はない。
ただ底無し沼のような二人の世界に埋没してゆくのみ。
粛々とした竹林の暗がりで熱っぽく見つめあう姿は、つかの間の逢瀬に耽る恋人たちのようでもあった。
「死にやが……ゴバジャ!」
「!?」
しばしの膠着の後、幽香が夢月へと飛びかかろうとした瞬間、彼女の脳天になにかが直撃した。
カチョオーンと、美少女が喧嘩なんかしちゃいけません! という神の鉄槌にしては実にまぬけな音が木霊する。
「つぅ……なによこれ、いきなり……」
幽香は頭をさすりながら、足元に転がった天空からの使者を手に取った。
それは育ちの悪いスイカほどの大きさの球体であった。
表面は黒くてつるつるしていて、なにやら文字も彫ってあるようだが、地面から噴出していたビームを吹き飛ばしたせいで辺りが暗くなっているため、読み取ることはできなかった。
「……まさかまた爆弾の類じゃないでしょうね。いやよ、一日に三回もふっとばされるの」
「バカ言わないでよ。どうして竹林に爆弾があるのよ」
ほんのちょっぴりレーザーを撃ち、明かりの代わりにして文字を確かめる幽香。
そこには眼を閉じた時にまぶたの裏をただよっているブチギレ焼き切れ視神経のような筆跡で「ブリリアントドラゴンボンバー」と記されていた。
「ボンバーだって。ほら見なさい、爆弾じゃないでしょう。だって爆弾はあくまで爆弾であってボンバーじゃないもの」
「なんだ、心配して損しちゃった。まあ爆弾なら幽香にぶつかった時点で爆発してるはずだもんね」
「ところでボンバーってどういう意味?」
「そんなことも知らないの? ボンバーっていうのはつまり日本語で……爆弾じゃないのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
少女の可憐なおたけびが、夜空にむなしく響き渡る。
二度あることは三度あり、仏様のツラの皮もスペアは三枚まで。
もはや彼女たちには爆弾に耐えるだけの根気も体力もなかった。
「「バビャァァァァァァァァァァァァ!!」」
月明かりを飲み込むほどに鮮やかな五色の極光が、まさしくきらめく光の速さで闇夜を華麗に染めあげる。
それからわずかに遅れて、空がひび割れそうなほどの爆音が幻想郷に轟いた。
土煙にまみれながら、夜の帳を天蓋もろともぶち破らんばかりの勢いでかっ飛ばされる新人美少女殺戮デュオ「花とゆめ」。
その姿は己が身を削られると分かっていながら太陽のまわりを回るはかなき箒星のようで、ただひたすらに美しかった。
「覚えてなさいよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
捨て台詞まで美しかった。
様式美的な意味で。
§ § §
「風を感じる……風を感じてウォオーオーウ。ねえ、くるみは風がどこに行こうとしてるか知りたくない?」
くるみの三体数を計り終えた幻月が、唐突にそんなことを言い出した。
「……気圧の低い方でしょ。そんなことよりこの巻き尺だったナマモノ外してくださいよ」
「ププー、はっずれぇ~。正解は重力が働いてる方向でしたぁ~」
「へっ? いや、そんなはずは……どわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「ドブワシャア!」
唐突なことは続く。
予想外の答えにくるみが反論しようとした瞬間、一刻半ほど前に自信満々で出かけていったスパッツ娘とその相方が頭から落ちてきた。
「ほら、重力が働いてる方向だったでしょ?」
「これ風は風でも風見幽香じゃないですか! っていうか大丈夫ですか幽香様! 何やってんですか前にもましてハレンチな格好して!」
「み、見ればわかるでしょ……ゴホ! ゴッホ!」
「よくわかんないけど、結局なんの実入りもなかったって事でいいんだよね」
「よく分かってるじゃない……」
命からがら夢幻館へと帰還した幽香たちを迎えたのは、例によって例のごとく本気か天然か分からない幻月の小ボケであった。
出かける前から半裸に等しい幽香はもちろんのこと、万全の状態で出撃した夢月までもがズタボロに傷付き、破れた服の隙間からアレやらコレがこぼれ見えている。
いったいどこで何とどういう風に戦ったんだと聞きたくなるような惨状であった。
くるみは今ここに幽香様好き好き病患者のエリーがいれば面白いことになったのにと思ったがあえて口には出さなかった。
「だからやめとけって言ったのに。骨折りゾーンのくたびれもうけだったね」
「い、言われてないわよ……それ、それに、きょ、今日はほんの小手調べ……はふ、はふぅ……」
「明日はもう本番だけどね」
傘を杖代わりにして、幽香がふらつきながらも立ち上がった。
手はふるえ、足もふるえ、体もふるえ、眼まで涙目。生まれたての小鹿でももう少したくましく見えるだろう。
四季のフラワーマスターどころかお見舞いの花束でももらえそうなその弱りぶりに、くるみは自分が年甲斐もなく夢を見てるのかと思ったがあえて口には出さなかった。
「そうだ、夢と言えば夢月さん! 大丈夫ですか!」
夢月に駆け寄って抱き起こそうとしたが、あいにく腕を後ろ手に縛られていたので、しかたなく肩口を甘噛みして引き起こすくるみ。
その際に服の隙間から宇宙の暗闇を色調反転したような白い肌が垣間見え、悪魔の血ってどんな味だろうという悪魔的な考えが浮かんだが、口が塞がっているので二つの意味で口は出せなかった。
「うぐ~……ったく、幽香のお守は疲れるわ……」
「おかえり夢月。おつかれさま」
「……そうね、疲れたわ……ほんとに……疲……れ……」
「? ふめつきしゃ……」
夢月らしくない弱気な台詞に違和感を覚えたくるみが呟いた瞬間、彼女が噛んでいる部分がちぎれる。
月が隠れた。
そのまま音もなく、夢月は重力にしたがってその場にくずれ落ち──
「……だから、やめとけって言ったのに」
すんでの所で幻月によって受け止められた。
「ねえ、幽香?」
「だから、言われてな──え?」
──初夏の折、水無月の半ば。
金色の満月を群雲が覆っている。
隙間を縫って刺すわずかな光さえ、夜風にそよぐ草原の黒に飲み込まれている。
揺れる葉先と戯れていた蛍は死んでいた。
そんな、あれこれあってとても騒がしい夜だから。
我らがラブリープリティーフラワーマスターこと風見幽香の心は、あいかわらず土砂降りだった。
というか笑いすぎて泣いてます。
下の上に期待して控えめに。
今日はなんと佳き日よ。
待ってました!
それにしてもゆうかりんかわいいよゆうかりん
切れ味は未だ鈍ってないようで何よりです。
くっ、なんだこの新しい感情は……!!
続編にも、めちゃめちゃ期待しています!
相変わらずのぶっとんだ表現が脳に刺さるわー
今回も素敵すぎる日本語センスになんども吹かされてこんちくしょう。
急かすつもりはありませんが、早く続きを!