Coolier - 新生・東方創想話

という人形遣いの夢

2008/05/01 11:35:18
最終更新
サイズ
16.47KB
ページ数
1
閲覧数
651
評価数
3/15
POINT
450
Rate
5.94



私は悩んでいた。
この感情、隠すべきか、捨てるべきか。
それとも・・・伝えるべきかと。
いや、伝えたところで意味は無いことはわかっている。
したがって、選択肢は必然的に前者のどちらかになってしまうわけだが・・・
「ふぅ・・・」
ため息ひとつ。
これで何度目のため息だろう?
正確にはためいき八つくらいだろうか?
なんてよくわからないこと考えて一瞬だけ現実逃避。
そもそも、この悩み自体が今だけのことではない。
ここのところ毎日だ。
こんなに悩むようになってしまった原因はわかっている。
―もっとも、想い自体はずっと前から抱いてはいたのだけど。
それは、ついこの間の出来事である。
一から説明すると・・・つまりことの発端から話すととても長くなってしまうので、過程だけを簡潔に言うと、私がピンチになって、そこに彼女が助けに来てくれて、その後気絶してしまった私を看病してくれたから。
まあ、確かに彼女は看病とかしそうにないし、たぶん助けたのだって気まぐれって言うか何かしらの理由があったんだろうけど・・・
でも、でもね。
気がついたら私の家で、私はベッドに寝かされていて、ふと隣を見たら彼女が椅子に座って舟こいでたのよ?
これはもう看病してくれたんだって思うしかないじゃない?
極めつけとして頭にはぬれたタオル、体中包帯。
完璧よ。
・・・ごめんなさい、がらにもなくちょっと興奮しちゃったわね。
ていうか
「私は人形相手に何ぶつぶつ言ってるんだろう・・・」
これではただの危ない人になってしまう。
「???」
上海もちょと困り顔。
当然か。
「ごめんね?」
謝ると上海は「気にしてないよ」とジェスチャーで示してくれる。
可愛いなあ・・・。
ちょっとだけ和む。
「はぁ・・・」
気づいたらまた朝になっていた。
まったく、なんで私はこんなに悩まなくてはいけないのだろうか。
「寝よう・・・」
毎日飽きずに同じ行動をくりかえしているおかげか、今日はすんなりと眠りに―
「アリスーーー!」
―つけなかった。
しかし、ここ最近は来なかったくせに今日にかぎってくるとはどういう了見だろうか?
来なかったおかげで私は多少は冷静でいられるのだけど。
それとこれとは別だ。
「会いにくるならもっと頻繁に来てよ・・・」
って私は何を言っているのだろうか。
ベッドの上で身もだえしていた私を人形たちが弱冠引き気味に見てたのはこの際気にしないでおこう。
「アリスーー?」
っといけないいけない。
彼女がきてたんだった。
私はいそいで身支度を整える。
「変なとこ無いわよね?」
鏡のまえで人形たちと最終チェック。
いつもこんなことしないのに。
「・・・っよし!」
一度深呼吸してから玄関にむかう。
そしてドアを開ける。


「なんだ、いたなら返事くらいしてくれよ」
そこには『符』をかまえた彼女がたっていた。
「ちょ、今あなた何しようとしてたのよ!?」
「ごめ・・・」と言いかけて符にきづいた私は言う。
こんなもの撃ち込まれたら・・・
「あなた私の家を破壊する気!?」
「あ~・・・後数秒でてくるのが遅かったらそうなってたかもな」
あっけらかんと言う彼女に「何でこんなやつ好きになっちゃったんだろう」とか一瞬おもったが好きなものは好きなのだ。
しかし、そのおかげで緊張することなくいつもどおり接することができるのだから不幸中の幸いということにしておこう。
不幸は未然に防げたが。
「で、貴女がうちにくるなんて結構ご無沙汰よね?いったい何のようかしら?」
「うん、ちょっと付き合ってほしいんだ」
「は?」
え、今なんて・・・
「いや、だから付き合ってほしいんだが・・・」
「え?え?えええぇぇ!?」
真っ赤になる私。
「そ、そんないきなり・・・確かに気持ちは嬉しいけど、私だって心の準備ってものが・・・」
「何を勘違いしてるのかはわからないが・・・私はこれから行くところについてきてほしいっていってるだけだぞ?」
魔理沙は呆れた顔で言う。
「・・・へ?」
キョトンとする私。
「だーかーらー。今から行くとこについてきてほしいだけだって」
「イヤ」
即答。
別に思わせぶりな発言して勘違いさせたから断るわけではない。・・・はず。
しかし、これにはさすがにムッときたようで
「・・・ならいい。邪魔して悪かったな」
と、不機嫌顔で箒に跨る。
「あ、ちょ、ちょっと待って・・・」
流石に悪いと思った私は慌て声をかける。
「・・・なんだ?」
だが、当然不機嫌なままである。
とりあえず機嫌を直すところからはじめることにする。
「ごめんなさい。今のは私が悪かったわ」
手始めに素直に謝ってみる。
「・・・」
効果なし。
「魔法薬好きなだけ持っていっていいから・・・」
材料でつってみる。
「・・・」
ピクッと反応したが未だ無言。
「今日一日だけ何でも言うこと聞くから・・・」
だめもとであほなことも言ってみたり。
「絶対だな?」
言ってからしまった、と思った。
そうだ、こういう条件のほうが動くのはわかっていたのに・・・
私は本当にあほなことしたなぁ・・・とか思いつつ、しぶしぶ首を縦にふる。
「よし、ならとりあえず魔法薬は全部もらうな?」
「な、なんでそうなるのよ!?」
私は慌てて叫ぶ。
「言うこと何でも聞いてくれるんだろ?」
「そ、それはそうだけど・・・限度ってものが・・」
「ふ~ん、いきなり約束破るのか?第一自分で好きなだけ持ってっていいって言ってたじゃないか」
それを言われるとつらい。
「・・・わかったわよ」
「ありがとな♪丁度欲しかったんだよな~」
まさか・・・
「私がこうい言うって見越してた?」
「あ?そんなことできるわけないだろ。どっかの吸血鬼お嬢様じゃあるまいし」
本当かどうか怪しいもんだが、自分で蒔いた種だ。
しょうがない。
甘んじて受け入れようじゃないか。
「で、どこに行こうとしてたのよ?」
「ん?あぁ、ちょっとな・・・」
珍しく何故か歯切れが悪い。
なにか言いにくい訳でもあるのだろうか?
「あ~・・・その、なんだ。とりあえず行くか」
「?えぇ、行きましょうか」
そういって私たちは飛び立った。


しばらくして不意に魔理沙は口を開く。
「お前・・・こないだ貴重な魔道具手に入れたって言ってたよな?あれ・・・どうした?」
「え?あぁ、アレ?実は失くしちゃったのよ。この間魔理沙に助けてもらったときにね」
いきなりだったので少し反応が遅れたが私は答える。
「そうか。・・・それって、指輪っぽいやつだよな?」
私形まで教えたかしら・・・?
「ええ、そうだけど・・・」
もしかして見つけてくれたのだろうか。
「拾ってくれたの?」
少なからずの期待をこめて聞いてみる。
「いや、拾ってはないぜ。・・参考までに聞くがそれってどんな効力があったんだ?」
なんでそんなこと聞くのかは多少疑問だったが、失くした今となっては隠していてもしょうがない。
もし、拾っていたら絶対教えなかったけどね。
「そっか、残念。え~と、あれはまず誰かの血が染みていることが前提なのよ。それで、その状態で指輪を身につけるのね?」
まずは使い方、というより発動条件を話す。じゃないとたぶん説明しづらい。
魔理沙はこれまた珍しく私の説明に真剣に耳をかたむけている。
「で、そうするとその血の主の感情だったり、気持ちがわかったりするって言う・・・いわば恋人同士の浮気防止だったりお守りだったりっていう道具ね」
「そ、そう・・・か」
気のせいか魔理沙の顔が少し赤くなった気がする。
「でも、そんな道具誰かに拾われたらたいへんだな」
それを誤魔化すかのように話を続ける。
「なんで?」
「だって、あのときアリス血まみれだったろ?」
「・・・あ」
そういえばそうだ。
もしかしたら私の血がついていて、拾った誰かに私の感情駄々漏れってことじゃないか。
いまさらながらにその事実をしった私は愕然としてしまう。
「どうしよう・・・」
毎日募る魔理沙への想いも思い切り伝わってしまう。
そんなのはイヤ・・・魔理沙だけにしかこんな気持ち知られたくないよ・・・
「・・・っ!」
そう思うと不意に涙が出てきてしまった。
私はこんなに弱かっただろうか?
否、そんなことはなかったはずだ。
「・・・戻ろうか」
魔理沙がそんなことを言う。
その表情からは何を考えているのかは察せなかったが、私を心配してくれているのだろう・・・と思いたい。
あぁ・・・今私、とんでもなくお荷物になってる。
「・・・うん」
弱弱しく私は頷き、私たちは来た道を引き返す。
「聞くんじゃなかったぜ・・・」
帰る途中そんな魔理沙のつぶやきが聞こえた気がしたが、聞こえなかったことにした。
これいじょう、ヘコみたくなかったから。


そして、家に帰ってくる。
「ごめんね?私のせいで・・・」
「気にするなって。私は別に気にしてないからさ」
「うん・・・じゃあ、またね」
そういって私は家に入る。
そしてドアを閉めようとしたところで魔理沙に止められる。
「魔理沙・・・?」
「その・・・なんだ。聞いた私にも原因があるからな、看病っぽいことしてやる」
照れくさそうに顔を赤らめつつ言ってくれる魔理沙。
単純なもので私はそれだけでだいぶ元気になってしまう。
「・・・」
それが魔理沙に伝わったのか、魔理沙も少しばかり顔を綻ばせる。
私はこのまたとない機会を逃したくなかったので
「うん・・・お願い」
と、言ってしまうのだった。
何故だろう、今日は私も魔理沙もいろいろと『らしくない』。
もしかしたら夢なのかもしれないなぁなんて思いながら私は自室に向かう。
魔理沙はキッチンに向かったようだ。
人形たちには魔理沙の言うことを聞くように言ってある。
・・・もう、寝てしまおう。
そうだ、これは夢なんだ、そういうことにしてしまおう。
こっちで寝れば現実に帰れるんだ。
「・・・バカみたい」
自己嫌悪。
着替えるのもまどろっこしく、服はそのままにベッドに入る。
それとほぼ同時ノックの音。
上海か蓬莱かしら?
「どうしたの?」
「いや・・・入っていいか?」
「え・・・」
魔理沙はノックしないものだと思っていたのでこれには少し驚いた。
魔理沙も気を使ってくれるんだ。
なんて失礼なこと考えてしまう。
それとも、それくらい今の私は非道いのだろうか?
「・・・うん」
「じゃ、失礼してっと」
そういっておかゆらしきものを持ちながら部屋に入ってくる魔理沙。
「具合はどうだ?」
「ちょっと熱っぽいかも」
主に魔理沙のせいで。
「そうか」とつぶやき、魔理沙は少し考えるようなしぐさをする。
「・・・どうしたの?」
「いや、その」
またしても歯切れが悪い。
私はいったい何なんだろう?
やはり信用されてないのだろうか?
だから教えてもらえないのかな?
私がそんなネガティブ思考に陥っていると、魔理沙は顔を曇らせる。
本当にどうしたのだろう?
しばらく待っていると、魔理沙はなにやら決心したようで、おかゆを適当な場所に置き、話しかけてくる。
「めんどくさいのは嫌いだ。だから率直に言うし聞くが・・・真剣に答えてくれるか?」
あまりにも真剣な顔だったので、まじめな話なんだとわかり
「もちろん」
今までのネガティブ思考を真面目モードに切り替える。
「なら聞くぞ、アリス、私のことをどう思ってる?」
「え・・・?」
どう・・・思ってか?
予期していた・・・そうたとえば魔法関連のこととかとは違う質問に一瞬思考が停止する。
だが真面目に答えると約束してしまった以上こたえなければならない。
たとえそれが原因で、関係が、繋がりが、壊れてしまうとしても―


ずっと悩んでいた。
この想いを隠すべきか、捨てるべきか。
伝えるべきか・・・
それがこんな形で決まるなんて。
それも伝える、だなんて一番ありえなかった選択肢で。
無意味だろうと、滑稽だろうと、私は伝えなければいけない。
こんな状況を作り出したのも私なのだから。


「私は・・・」
私の様子をずっと見てる魔理沙。
そんな貴女のことが・・・
「魔理沙のことが・・・好き。大好き」
それが問いに対する答え。
伝えてしまった。
もう後戻りはできない。
この後に来るのは、嘲笑か境界線を引いた感謝の言葉か・・・
私は魔理沙の返事を待つ。
「・・・先に言っておく。ごめん」
「そんな、謝らないで・・・」
私が無様じゃないか。
こういう答えが来ることはある程度予測できていた。
いや、ほぼ百パーセントそう答えるってわかっていた。
なのに・・・やっぱり胸は苦しくて。
魔理沙は苦々しい顔をする。
「謝ったのはそういう理由じゃない。・・・説明するよりこれをみたほうが早いと思う」
そういって左手を出してくる魔理沙。
そしてその人差し指には見覚えのあるものがついていた。
私はそれを見た瞬間、固まってしまう。
「そ、そんな・・・だって拾ってないって・・・」
「指から直接抜いたからな。嘘は言ってない」
「で、でもそんな、じゃ、じゃあさっき聞いてきたのって」
「だから先に謝ったんだ」
だんだん私は泣きたくなってきた。
だって、つまり、
「伝える前から・・・」
知っていたってことじゃないか。
顔をそらす魔理沙。
そんなのって・・・
「酷いよ・・・」
私の想いは踏みにじられたも同然だった。
「・・・すまん。ただ、誤解しないで欲しい」
いまさら何を誤解するというのだろう?
「この指輪をつけたのは今朝が初めてだ」
だからどうしたというの?
「それで、急に胸がくるしくなったんだ。どうしたものかと思って、すぐ外そうとしたんだが」
もう、やめて
「その発生源はどうやらアリスらしいと気づいてな」
もう・・・
「急いで聞きにきたって訳だ」
「やめてよっ!!」
魔理沙は顔をそらす。
何で悩んでいたんだろう?
今朝だけとは言え全部筒抜けだったんじゃないか。
何で言ってくれなかったんだろう?
私が滑稽で無様じゃないか。
なんで、なんで、今指輪を持ってるって言うの?
せめて、隠していてくれたらまだ・・・
「でてって」
拒絶。
「でてってよ・・・」
しかし魔理沙は動かない。
私にできることは限られている。
「・・・」
魔理沙が何を考えているのか『私には』わからない。
でも魔理沙には伝わってしまう。
たとえば、拒絶しながらもまだ居てほしいなんて矛盾した気持ちを抱いていることすら。
だから、きっと魔理沙は帰らないのだろう。
でも。
同情ならいらない。罪悪感なんて感じてるのだろうか?
私にできることは、あとは泣き寝入りだけだった。
嗚咽を隠しながらベッドの中にもぐりこむ。
「・・・っくぅ」
けれど辛い、悲しい、心が、痛い。
「アリス」
魔理沙が呼びかけてくる。
私は答えない。
「アリス!」
再び魔理沙の声。
だが、私は答えない。
答えられない。
口を開けば、涙があふれ出そうだったから。
「答えられないならそのままでいい。・・・アリス、私はまだ重要なことを言ってない」
これ以上なにを言うっていうのだろう。
ふと私のすぐそばに気配。
おそらく、布団一枚のその向こうに魔理沙が腰掛けたのだろう。
そう考えると、こんな状況なのにドキドキしてしまう。
「さっきの返事、してなかったよな」
「!?」
ドキドキが一瞬で冷めてしまう。
イヤだ・・・聞きたくない。
私のこの気持ち、伝わってるはずなのに、なんで・・・
「とりあえず顔だけでもだしてくれよ?」
酷い。私の泣き顔でも見たいのだろうか?
「じゃないと引っ張りだしちまうぜ?」
あまりの勝手さに遂に涙が少し零れてしまう。
こうなったら半ばやけくそだ。
私は文句のひとつでもいってやろうと、布団を跳ね飛ばし魔理沙へ顔を向ける。
「・・・っ」
予想以上に近い距離。
だめだ。話す余裕なんてなくなってしまう。
「引っ張り出す必要はなくなったな」
ニカッと笑って魔理沙は言う。
「で、返事なんだが・・・」
「いい。言わないで」
少し距離をとり、何とか声をかえす。
でもこれは建前。魔理沙にもわかってるのだろう。
あるいはこれも指輪のせいなのだろうか?
「まあそう言うなって。第一返事が欲しくないなら告白なんてしないだろう?」
「そ、それはあんたが聞くから・・・!!」
「アリス」
「っ!」
顔をそらす。
急に真面目な顔にならないでよ・・・。
何よ、こっちの気も知れないで・・・あぁ、今は伝わってるんだったっけ。
もういちど魔理沙のほうに顔を向き直し、キッと睨んでやる。
最後の抵抗ってやつだ。
「そうかそうか。そんなに返事が欲しいか」
魔理沙はニヤリと笑って言う。
どうやら抵抗は無駄だったようだ。
仕方が無いので距離をとる。本当の最後の抵抗。
といってもベッドの上だ。
逃げ場なんてないに等しい。
案の定魔理沙は距離をいとも簡単につめてくる。
「そんな不安そうにするな。これでわかるだろ。私の返事だ」
そして急に手を私の首に回し引き寄せる。
「ん・・・!?」
気づいたら私たちは唇を合わせていた。
突然のことに私の頭はついていけてなかった。
「・・・伝わったか?」
顔を赤くして魔理沙は言う。
これが返事だということは、期待してもいいのだろうか?というかそういうことよね?
先ほどまで軽くいじけてたくせに、キスひとつで簡単に舞い上がってしまう自分に軽くへこむ。
「なんだ?だめだったか?ならもう一度・・・」
「ちょ、ちょっと待って!」
「ん?」
いまだ混乱する頭を必死に落ち着ける。
「そ、その・・・行動より、言葉がいいな、なんて」
「へ?」
「だ、だから、返事とこんなことした理由を聞きたいの・・・」
そう言うと魔理沙は少し考え込むようなしぐさをした後、口を開く。
「・・・あ~、なんだ。一回しか言わないからよく聞けよ?あ、いや、聞かなくてもいいんだが」
「・・・なによ?」
あせってる魔理沙もかわいいな、とか思いつつ続きを促す。
今までの憂鬱なんてどっかに吹き飛んでしまっていた。
「私も正直、少し前からアリスのことが気にかかっていたんだ。ただ、女同士だし、告白して避けられたくなかった。なにより、アリスを『好きだ』と思ってるって気づかなかった。だけど、指輪をつけてわかった。・・・私は恋してるんだって」
そこまでいい、一呼吸。
「今朝・・・すごく悩んだ。この想いを伝えるべきかどうか。だから、指輪の効果を確らするついでにアリスの気持ちを知ろうと思ってわざと勘違いするように言ったんだ」
言うまでもなく今朝の「付き合って云々」ってやつのことだろう。
そうか、確信犯か。
ちょっとムカムカもしたけれど、それより嬉しさの方が何百倍も強かった。
「その結果は、まあ今のとおりだ。卑怯だよな・・・謝ってすむものじゃないだろうけど――ごめん」
確かに魔理沙らしくないといえばらしくないかもしれない。
でもそんなことどうでもよかった。魔理沙が私を好きっていってくれた。思っててくれた。
だからそんなことはどうでもいい。
「ううん、気にしてない。・・だから、好きって、もう一度聞かせてくれる・・・?」
「い、一回しか言わないっていったろ?」
真っ赤な顔で拒否する魔理沙。
「お願い・・・」
「ぅ・・・」
引き下がらない私にわずかにたじろぐ魔理沙。
しかし観念したのか、ため息をひとつだけつく。
「アリス」
そして私の名前を呼ぶ。
「好きだ!」
あぁ・・・私、幸せ。
「私も大好きよ魔理沙・・・ずっと、そばに居て・・・」
そういい私は魔理沙を抱きしめる。
「・・・あぁ、死ぬまで一緒だ」
答え、もう一度短いキスを交わす。
「ん・・・」
そしてどちらからともなく私たちは体を重ねるのだった。



「しかし・・・アリスはいつもあんなに私を想っていてくれたのか?」
あれからしばらくたって・・・何度かキスしたり体を重ねたりした後、不意に魔理沙がたずねてきた。
唐突ではあったけど、私は答える。
「そうよ。貴女を、好きなのかもって、意識しだしてからずっと・・・ずっと」
まさかむくわれるだなんて夢にもおもわなかったけど。
「そうか・・・そんな長い間待たせてわるかったな」
「なによ?らしくないわね・・・」
「あの指輪をして・・・からかった時さ、アリスの張り裂けそうなほどの胸の痛みが伝わるときがあって、本当に嬉しかったんだ。こんなに想われてたのかってな」
「想われてたんじゃなくて、現在進行形で想っているのよ。それに・・・貴女と今はこうして―」
不意に魔理沙の唇を奪う。
「―キスだってできる。」
急に積極的になった私に驚く魔理沙は頬をほのかに染めて答える。
「よくわからない理論だな。じゃあ言葉を変えるぜ。ずっと私を見ていてくれてありがとうな?」
「私こそ・・・想わせてくれてありがとう」
「なんだそれ?」
「さぁ?」
そういって私たちは笑いあった。
いつまでもこの時間が続くことを願って。
~エピローグ~

「邪魔するぜ」
「勝手に上がらないでっていつも言ってるじゃない」
「だから『邪魔する』っていったじゃないか」
「そういうことじゃないでしょ!」
いつもと同じやりとり。
けれど確かに違うやり取り。
目に見える変化と言えば、お互いの左手の指輪くらいだろうか。
「とりあえず飯くれないか?朝から何も食ってなくて・・・」
何の効力もないただの指輪。
「しょうがないわねぇ・・・パンでいいわよね?」
私たちがはめているのは薬指。
その意味は言わずもがな。
「アリスが作ったやつなら何でもいい」
「なっ・・・!?」
たまにこんな感じで言ってくるときもあるが、それはそれで嬉しいので何も言わないことにしている。
そのかわり作るご飯はかなり豪華になるのだが・・・それもそれでいいだろう。
「魔理沙」
名前を呼ぶ。
こちらをむく魔理沙。
「・・・だ~い好き♪」
それは幸せな時間。
いつもと変わらない、けれど確かに違う時間。
「それは反則だぜ・・・けど」
きっと、終わることはないだろう。
「私だって負けないくらいアリスが大好きだぜ♪」
だって、ここは『幻想郷』なのだから。

Fin


皆様初めまして。盥、と申します。
いま読み返してみると、展開が結構急だったりしてついていけないかもしれません。
ただ、これが今自分にできる最高(?)の仕上がりだと思ってます。
アドバイスや変な場所の指摘等ありましたらお願いします。
これを機に成長できたらいいなとか思ってます。

うまいタイトルが思いつかなかった・・・orz
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.240簡易評価
1.70名前が無い程度の能力削除
マリアリはやはりいい! もだえました
それと、気になるところなのですが、接吻の扱いが軽いような気がします
親密さを表す度合いは キス>>好きだぜ☆ が自然じゃないですかね

しかし、最後まで読んだ後、タイトルを見直すと
あれ?夢オチ?wwwwどおりでアリスにしてはスムースすぎるとwwww
それなら、キスと好きだぜ!が多少前後しても、夢として自然なのか
7.70名前が無い程度の能力削除
この魔理沙すげームカツクw
と思ったらアリスの夢か……本当は魔理沙好きでないんと違う?w
冗談はさて置き面白かったです。
9.無評価名前が無い程度の能力削除
要するに『夢落ち』ということでしょうか? >タイトル
とすると、こんな夢を見てしまうアリスは相当にイヤラシイ娘ですね。
夢でないなら、意識を失う程の大怪我をしている者の指から指輪を抜き盗ったり、自分が絶対有利な状態でカマをかけたりする魔理沙が鬼畜すぎ。
終わり良ければ全て良しとは思えませんでした。
10.無評価削除
03:27:13 名前が無い程度の能力 様
もだえていただき有難うございますw
なるほど・・・確かにそちらのほうが自然ですね(汗)>親密さの度合い
アリスは報われない子なのでしょうかw
指摘&感想有難うございますm(_ _)m

09:57:53 名前が無い程度の能力 様
自分のアリスはどうやらMのようですw
感想有難うございますm(_ _)m

19:35:07 名前が無い程度の能力 様
はい、タイトルは一応『夢落ち』を意識してみました。
アリスはこのくらいがデフォだと思ってましたので・・・(汗)>イヤラシイ娘
あぅ・・・確かに魔理沙が鬼畜過ぎますね(汗)後味悪い感じになってしまいますね・・・。
指摘&感想有難うございますm(_ _)m
精進させていただきます。
13.70☆月柳☆削除
なんだ夢か。
しかし、何が夢で何が現実が分からないのが幻想郷なんだ!ということにしておこう。
ちょっと気になったのは、最後の展開が早過ぎるかなと(夢ならいいけどw)
3点リーダーが目に付いたけど、読みやすい内容でした。
14.無評価削除
☆月柳☆様

はい夢です。

う~ん、自分でも早いかなぁとは思ったのですが、ネタが思いつかず、断念してしまいました。

三点リーダに関しては、正しい使い方をよく知らず、多様してしまった感が否めませんね(汗

読みやすいと言ってくれて有難うございます。少し自信がつきました。

指摘&感想有難うございますm(_ _)m