この作品は作品集48の「戦慄のG~味もみておこう~」の続編です。
この作品には、グロテスクな表現が含まれます。あらかじめご了承ください。
『だがあえて読もう』と言う方は、この先匍匐前進で40分
「OK、ムシキング。もう一度聞くわよ。この馬鹿でかいゴキブリ共とあんたは何の関わりも無い。そうね?」
「そうだって何度も言ってるじゃなのよ! 信じてよぉ!」
太陽の畑。今が盛りのはずの向日葵畑は、津波に薙ぎ倒されたように無残な姿を晒していた。そして、あちこちには巨大なゴキブリの死骸が無数に転がっている。
その様は、さながら終わりを告げた戦場。
今ここで生きているのは、風見幽香とイバラでぐるぐる巻きに吊るされたリグル・ナイトバグの二人だけだった。リグルの下では、巨大な食虫植物が口をあけている。
「何でか知らないけれど、あの子達は私の言うことを聞かないのよ!」
「その子の言うことは本当よ」
死臭漂う太陽の畑に、一人の魔女がふわりと降り立った。
「貴女は?」
「紅魔館のパチュリー・ノーレッジよ。G-X・・・・・・このゴキブリたちを追跡調査しているの。こいつらのクイーンは既に死んでいるわ。だから今は、あてどなく暴走する哀れな群体。その蛍を殺したところで、復讐にはならないわ」
「そう・・・・・・わかったわ」
「あら、どこへいくの?」
「クイーンが既にいないなら、復讐の方法は一つだけ。『皆殺し』よ。喰い残しが何匹か魔法の森へ向かったわ」
※※※
「ぎゃあああああああああああああああああああ!!!」
魔法の森の霧雨邸に、絹を裂くような悲鳴が響き渡る。
「魔理沙!?」
「一体どうしたの?」
遊びに来ていたアリスと霊夢に茶を淹れようとキッチンに行った魔理沙が、何故か悲鳴をあげてリビングに駆け戻ってきた。
「でっ、出た! 出たぁ!」
「何が?」
「ゴ・・・ゴキブリ」
時は止まる
そして時は動き出す
「はぁ・・・・・・あんたねえ、こんな散らかし放題の家じゃ、ゴキブリなんていないほうが不思議よ。そんなのにいちいち悲鳴をあげるの?」
と、アリス。
「そうそう。大体ゴキブリなんてたいした害のある蟲じゃないでしょう。スズメバチのほうがよっぽど危ないわよ」
と、霊夢。
「何だよ何だよ二人とも! そんなに言うんなら退治してくれよ! このままじゃキッチンが使えないぜ・・・・・・」
「やれやれ。黒かったりすばしこかったりで散々ゴキブリ呼ばわりされてるくせに。同族嫌悪ってヤツかしら? まあいいわ。見てなさい、魔女っ子の心意気ってヤツを」
丸めた文々。新聞片手にキッチンに乗り込むアリス。だがしかし、
「きゃあああああああ!!!」
悲鳴をあげて逃げ帰ってくる。
「駄目じゃない、逃げたら」
「いや、アレはゴキブリじゃないわ! なんかもっと別の生物よ!!」
「やれやれ、魔法使いが二人そろって情けない。ヒトガタとして生きるって事は、ゴキブリと共に生きるってことでもあるのよ」
今度は霊夢が文々。ソードを携えてキッチンへと向かう。
その出会いを、彼女は後にこう形容している。
「未知との遭遇だったわ」
※※※
「・・・・・・見ただろ?」
「・・・・・・見たわ。確かに、あのサイズはゴキブリじゃないわね」
「40センチぐらいあったわね」
「畜生、このところ見ないと思ったら、あんなにでっかくなりやがって・・・・・・」
よほど怖かったのか、魔理沙はカタカタと震えている。
「いやいや、どんなに栄養状態が良くても普通ゴキブリはあんなにならないわ」
「じゃあ、何だって言うんだよぉ! あんなのがいる家じゃ、もう生活できないよぉ・・・」
「原因はおそらくこれね」
と、霊夢が手に握っていたのは、一つのキノコだった。
「それは、八頭身キノコ!」
「そう。きっとあのゴキブリはこれは食べたせいであんなモンスターになってしまったのよ」
「何だ、自業自得じゃない」
「ひどいぜ」
「とにかく、あいつをどうにかしないと」
「どうやって?」
「「「・・・・・・」」」
「やるしかないわね」
お札と針を取り出す霊夢。
「ええ、そうね」
人形を展開するアリス。
「クソッタレ、こうなりゃヤケだ」
へっぴり腰で八卦炉を構える魔理沙。
「いくわよ。3,2、レディ、GO!」
勢いよくキッチンへと踏み込み、互いの背面をカバーするフォーメーションをとる三人。
「いない・・・・・・」
「油断しないで。どこかに隠れているのよ」
「いたわ!」
最初に発見したのはアリスだった。
「上海人形!」
人形から放たれたビームが、ゴキブリを焦がす!
「やったのか!?」
ゴキブリはひっくり返って痙攣している。文字通りの虫の息。致命傷だ。
「やれやれ、これで一安心・・・・・・」
「安心するのはまだ早いわよ、魔理沙」
「そうそう。ゴキブリがたった一匹なんてこと、あるはずないじゃない」
「うっ、やっぱりか・・・・・・」
ガサガサガサ!
「ひっ!」
「ほら、でた!」
「あっちに逃げたわ!」
ゴキブリを追ってキッチンの奥へと進む三人。そこで繰り広げられていたのは、想像をはるかに凌ぐ光景だった。
「うっ、こいつ・・・・・・」
「キノコを喰ってる・・・・・・!」
紅いカサの八頭身キノコを貪り食うゴキブリ。なんと、三人の目の前で信じられないことが起こった。
ぶちゃ!
いきなりゴキブリの肢が吹き飛び、見る見るうちに新たな長く太い肢が生えてくる。それも6本ではなく8本だ。さらに羽が巨大化し、身体が見る見るうちに肥大化してゆく!
体液を撒き散らしながらの凄まじい変態に、魔理沙は腰を抜かした。
「むっ、夢想封印!」
戦意を失っていなかった霊夢の一撃はしかし、
「げっ、全然効いてない!」
キノコゴキブリにとっては、新たな変態の引き金でしかなかった!
ぶちゅぶちゅぶちゅ!
「いやあああ! こないでー!」
「逃げましょう! はやく!」
「こ、腰が抜けた~!」
3人は、命からがら霧雨邸を脱出したのであった。
※※※
一方そのころ、G-Xの微かな妖気をたどって、幽香とパチュリーは魔法の森の上空を飛んでいた。
「このあたりのはずなんだけれど・・・・・・」
『きゃー!』
真下から聞こえる少女に悲鳴。幽香とパチュリーはすばやく魔法の森へ降り立った。
「あら、どこかと思えば、ここは魔理沙の家じゃない」
「なるほど、ゴキブリの住処にはうってつけね」
などと二人が話していると、三人の少女が家から飛び出してきた。
「あら、魔理沙だけでなく霊夢とアリスも」
「そんなにあわててどうしたの。ゴキブリでも出たのかしら?」
「幽香! それにパチュリー! どうしてここに?」
「大きなゴキブリをとっちめに」
「そいつはグッドタイミングだ。さあ退治してくれすぐやってくれ今やってくれ」
「落ち着きなさい、魔理沙。いくら幽香でも、あのゴキブリと戦うのは無謀じゃないかしら。て言うか女の子としてやっていいのかしら」
「安心なさい。さっき太陽の畑で何百と相手にしてきたばかりよ。2、3匹くらいどうってことないわ」
「何百? 一体どういうこと? アレは八頭身キノコで巨大化したんじゃないの?」
「詳しい説明は後でするわ。それよりゴキブリがキノコを食べたですって?」
「ああ・・・・・・思い出したくない光景だぜ」
魔理沙たちは、ゴキブリは赤キノコを食べてとんでもない変態を遂げた事を幽香たちに伝えた。
「へぇ、面白いことになってるみたいね」
「たたくなら早いほうが良いわね。そのキノコを食べた個体が、新たなクイーンになる可能性があるわ」
「決まりね。さあ行くわよ」
※※※
たたんだ日傘を肩に担いで、威風堂々真正面から幽香は霧雨邸に乗り込んだ。キッチンのドアを蹴り開け、ズカズカとあがりこむ。
「でてらっしゃ~い、ゴキちゃん。皆殺しにしてあげるわ」
ガサガサガサ!
「むん!」
バシッと日傘の一撃でG-Xを仕留める幽香。しかし、肝心のキノコゴキブリは姿を見せない。
「!」
幽香の研ぎ澄まされた感覚が、その一撃を防いだ。なんとキノコゴキブリは、天井に張り付き幽香が真下に来るのを狙っていたのだ!
前方に転がった幽香は振り向きざまにごんぶとレーザーを発射した。しかし、デカさの割りに機敏なゴキブリに寸でのところで回避されてしまった。幽香はゴキブリを見失った
「ちぃっ!」
明かりが消え薄暗く、散らかったキッチンで、戦いはこう着状態に陥った。
「それなら」
壁を背にした幽香は、左手を床に押し当てた。すると、スルスルとイバラが服の袖から這い出てきて、まるでレーダーの電波のように部屋一面に広がっていった。
「そこか!」
幽香のイバラが、隠れた相手を捕らえた!
間髪いれずに、ごんぶとレーザーを叩き込む!
障害物ごと貫かれたキノコゴキブリは、苦しげにのた打ち回る。しかし、幽香の元祖マスタースパークを食らってなおゴキブリは生き延びている。凄まじい生命力だ。
ぶちゅぶちゅぶちゅ!!!
「うっ、こいつは・・・・・・!」
幽香の目の前でゴキブリは更なる変態を遂げる!
ダメージを受けた外骨格を脱ぎ捨て、生まれ変わっていくかのごとく、凄まじい勢いで脱皮を繰り返してゆく!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!
「不死身の化け物だとでも言うの!?」
ドドドドドドドドドドドドドドドド!
凄まじい勢いで幽香へと突進するキノコG-X。あろうことか幽香はそれを
「うおおおおおおおおおお!」
真正面から受け止めた!
「喰らいなさい!」
至近距離から放たれるごんぶとレーザー。キノコG-Xに回避する術は無く、身体を半分以上消滅させた。
「やったか?」
そのセリフは死亡フラグだ。
ぶちゃぶちゃぶちゃ!
キノコG-Xの脅威の生命力は、致命的なダメージを引き金に、新たな変態を引き起こした!
幽香の目の前で失った半身を再生させてゆくキノコG-X。しかし、その身体は既にゴキブリから大きく乖離した、別の生き物へと進化を遂げようとしていた。
「素晴らしいわ。腐ったレアチーズケーキとキノコのコラボレーションがこんな超生命体を生み出すなんて。今ほど天狗の写真機が欲しいと思ったことは無いわ。せめてスケッチしておきましょう」
いつの間にか現れたパチュリーが、賞賛の言葉と共にいつもの行動を開始する
「残念だけど、その暇は無いわね」
体液を撒き散らしながら変態するG-Xに、幽香はカサの先を押し当て、全身全てが消滅するまでレーザーを放ち続けた。
「ぬああああああああああああああああああ!!!」
※※※
風見幽香は、疲弊しきった身体をうなだれる様にキッチンの椅子に預けていた。
キノコG-Xを殺しつくした後、残ったゴキブリも始末した。これで霧雨邸も安泰だ。
ことっ
ジャキ!
小さな物音に、日傘を銃のように片手で構える幽香。
「待て、撃つな! 私だよ」
「ああ、魔理沙。ゴキブリは皆殺しにしたわ・・・・・・私はこー見えて完璧主義者なの。もう安心よ」
「貴女の完璧主義のせいで、私は標本を採取し損ねたわ」
「そ、そうか・・・・・・物音がしなくなったんでやられたのかと思ったぜ」
あのおぞましい巨大ゴキブリたちも、今ではパチュリーの残した記録の中にだけしか存在しない。
「私は太陽の畑に戻るわ。滅茶苦茶にされた向日葵たちを、早くもとに戻してあげないとね」
「あ、ああ。ありがとうな幽香。本当に助かったよ」
「礼には及ばないわ。私は私の目的のために動いただけよ」
そういうと、風見幽香はクールに立ち去っていった。
※※※
ところ変わってここは永遠亭
「きゃあああああ! 師匠、私の部屋にこんな大きなゴキブリがー!」
END?
この作品には、グロテスクな表現が含まれます。あらかじめご了承ください。
『だがあえて読もう』と言う方は、この先匍匐前進で40分
「OK、ムシキング。もう一度聞くわよ。この馬鹿でかいゴキブリ共とあんたは何の関わりも無い。そうね?」
「そうだって何度も言ってるじゃなのよ! 信じてよぉ!」
太陽の畑。今が盛りのはずの向日葵畑は、津波に薙ぎ倒されたように無残な姿を晒していた。そして、あちこちには巨大なゴキブリの死骸が無数に転がっている。
その様は、さながら終わりを告げた戦場。
今ここで生きているのは、風見幽香とイバラでぐるぐる巻きに吊るされたリグル・ナイトバグの二人だけだった。リグルの下では、巨大な食虫植物が口をあけている。
「何でか知らないけれど、あの子達は私の言うことを聞かないのよ!」
「その子の言うことは本当よ」
死臭漂う太陽の畑に、一人の魔女がふわりと降り立った。
「貴女は?」
「紅魔館のパチュリー・ノーレッジよ。G-X・・・・・・このゴキブリたちを追跡調査しているの。こいつらのクイーンは既に死んでいるわ。だから今は、あてどなく暴走する哀れな群体。その蛍を殺したところで、復讐にはならないわ」
「そう・・・・・・わかったわ」
「あら、どこへいくの?」
「クイーンが既にいないなら、復讐の方法は一つだけ。『皆殺し』よ。喰い残しが何匹か魔法の森へ向かったわ」
※※※
「ぎゃあああああああああああああああああああ!!!」
魔法の森の霧雨邸に、絹を裂くような悲鳴が響き渡る。
「魔理沙!?」
「一体どうしたの?」
遊びに来ていたアリスと霊夢に茶を淹れようとキッチンに行った魔理沙が、何故か悲鳴をあげてリビングに駆け戻ってきた。
「でっ、出た! 出たぁ!」
「何が?」
「ゴ・・・ゴキブリ」
時は止まる
そして時は動き出す
「はぁ・・・・・・あんたねえ、こんな散らかし放題の家じゃ、ゴキブリなんていないほうが不思議よ。そんなのにいちいち悲鳴をあげるの?」
と、アリス。
「そうそう。大体ゴキブリなんてたいした害のある蟲じゃないでしょう。スズメバチのほうがよっぽど危ないわよ」
と、霊夢。
「何だよ何だよ二人とも! そんなに言うんなら退治してくれよ! このままじゃキッチンが使えないぜ・・・・・・」
「やれやれ。黒かったりすばしこかったりで散々ゴキブリ呼ばわりされてるくせに。同族嫌悪ってヤツかしら? まあいいわ。見てなさい、魔女っ子の心意気ってヤツを」
丸めた文々。新聞片手にキッチンに乗り込むアリス。だがしかし、
「きゃあああああああ!!!」
悲鳴をあげて逃げ帰ってくる。
「駄目じゃない、逃げたら」
「いや、アレはゴキブリじゃないわ! なんかもっと別の生物よ!!」
「やれやれ、魔法使いが二人そろって情けない。ヒトガタとして生きるって事は、ゴキブリと共に生きるってことでもあるのよ」
今度は霊夢が文々。ソードを携えてキッチンへと向かう。
その出会いを、彼女は後にこう形容している。
「未知との遭遇だったわ」
※※※
「・・・・・・見ただろ?」
「・・・・・・見たわ。確かに、あのサイズはゴキブリじゃないわね」
「40センチぐらいあったわね」
「畜生、このところ見ないと思ったら、あんなにでっかくなりやがって・・・・・・」
よほど怖かったのか、魔理沙はカタカタと震えている。
「いやいや、どんなに栄養状態が良くても普通ゴキブリはあんなにならないわ」
「じゃあ、何だって言うんだよぉ! あんなのがいる家じゃ、もう生活できないよぉ・・・」
「原因はおそらくこれね」
と、霊夢が手に握っていたのは、一つのキノコだった。
「それは、八頭身キノコ!」
「そう。きっとあのゴキブリはこれは食べたせいであんなモンスターになってしまったのよ」
「何だ、自業自得じゃない」
「ひどいぜ」
「とにかく、あいつをどうにかしないと」
「どうやって?」
「「「・・・・・・」」」
「やるしかないわね」
お札と針を取り出す霊夢。
「ええ、そうね」
人形を展開するアリス。
「クソッタレ、こうなりゃヤケだ」
へっぴり腰で八卦炉を構える魔理沙。
「いくわよ。3,2、レディ、GO!」
勢いよくキッチンへと踏み込み、互いの背面をカバーするフォーメーションをとる三人。
「いない・・・・・・」
「油断しないで。どこかに隠れているのよ」
「いたわ!」
最初に発見したのはアリスだった。
「上海人形!」
人形から放たれたビームが、ゴキブリを焦がす!
「やったのか!?」
ゴキブリはひっくり返って痙攣している。文字通りの虫の息。致命傷だ。
「やれやれ、これで一安心・・・・・・」
「安心するのはまだ早いわよ、魔理沙」
「そうそう。ゴキブリがたった一匹なんてこと、あるはずないじゃない」
「うっ、やっぱりか・・・・・・」
ガサガサガサ!
「ひっ!」
「ほら、でた!」
「あっちに逃げたわ!」
ゴキブリを追ってキッチンの奥へと進む三人。そこで繰り広げられていたのは、想像をはるかに凌ぐ光景だった。
「うっ、こいつ・・・・・・」
「キノコを喰ってる・・・・・・!」
紅いカサの八頭身キノコを貪り食うゴキブリ。なんと、三人の目の前で信じられないことが起こった。
ぶちゃ!
いきなりゴキブリの肢が吹き飛び、見る見るうちに新たな長く太い肢が生えてくる。それも6本ではなく8本だ。さらに羽が巨大化し、身体が見る見るうちに肥大化してゆく!
体液を撒き散らしながらの凄まじい変態に、魔理沙は腰を抜かした。
「むっ、夢想封印!」
戦意を失っていなかった霊夢の一撃はしかし、
「げっ、全然効いてない!」
キノコゴキブリにとっては、新たな変態の引き金でしかなかった!
ぶちゅぶちゅぶちゅ!
「いやあああ! こないでー!」
「逃げましょう! はやく!」
「こ、腰が抜けた~!」
3人は、命からがら霧雨邸を脱出したのであった。
※※※
一方そのころ、G-Xの微かな妖気をたどって、幽香とパチュリーは魔法の森の上空を飛んでいた。
「このあたりのはずなんだけれど・・・・・・」
『きゃー!』
真下から聞こえる少女に悲鳴。幽香とパチュリーはすばやく魔法の森へ降り立った。
「あら、どこかと思えば、ここは魔理沙の家じゃない」
「なるほど、ゴキブリの住処にはうってつけね」
などと二人が話していると、三人の少女が家から飛び出してきた。
「あら、魔理沙だけでなく霊夢とアリスも」
「そんなにあわててどうしたの。ゴキブリでも出たのかしら?」
「幽香! それにパチュリー! どうしてここに?」
「大きなゴキブリをとっちめに」
「そいつはグッドタイミングだ。さあ退治してくれすぐやってくれ今やってくれ」
「落ち着きなさい、魔理沙。いくら幽香でも、あのゴキブリと戦うのは無謀じゃないかしら。て言うか女の子としてやっていいのかしら」
「安心なさい。さっき太陽の畑で何百と相手にしてきたばかりよ。2、3匹くらいどうってことないわ」
「何百? 一体どういうこと? アレは八頭身キノコで巨大化したんじゃないの?」
「詳しい説明は後でするわ。それよりゴキブリがキノコを食べたですって?」
「ああ・・・・・・思い出したくない光景だぜ」
魔理沙たちは、ゴキブリは赤キノコを食べてとんでもない変態を遂げた事を幽香たちに伝えた。
「へぇ、面白いことになってるみたいね」
「たたくなら早いほうが良いわね。そのキノコを食べた個体が、新たなクイーンになる可能性があるわ」
「決まりね。さあ行くわよ」
※※※
たたんだ日傘を肩に担いで、威風堂々真正面から幽香は霧雨邸に乗り込んだ。キッチンのドアを蹴り開け、ズカズカとあがりこむ。
「でてらっしゃ~い、ゴキちゃん。皆殺しにしてあげるわ」
ガサガサガサ!
「むん!」
バシッと日傘の一撃でG-Xを仕留める幽香。しかし、肝心のキノコゴキブリは姿を見せない。
「!」
幽香の研ぎ澄まされた感覚が、その一撃を防いだ。なんとキノコゴキブリは、天井に張り付き幽香が真下に来るのを狙っていたのだ!
前方に転がった幽香は振り向きざまにごんぶとレーザーを発射した。しかし、デカさの割りに機敏なゴキブリに寸でのところで回避されてしまった。幽香はゴキブリを見失った
「ちぃっ!」
明かりが消え薄暗く、散らかったキッチンで、戦いはこう着状態に陥った。
「それなら」
壁を背にした幽香は、左手を床に押し当てた。すると、スルスルとイバラが服の袖から這い出てきて、まるでレーダーの電波のように部屋一面に広がっていった。
「そこか!」
幽香のイバラが、隠れた相手を捕らえた!
間髪いれずに、ごんぶとレーザーを叩き込む!
障害物ごと貫かれたキノコゴキブリは、苦しげにのた打ち回る。しかし、幽香の元祖マスタースパークを食らってなおゴキブリは生き延びている。凄まじい生命力だ。
ぶちゅぶちゅぶちゅ!!!
「うっ、こいつは・・・・・・!」
幽香の目の前でゴキブリは更なる変態を遂げる!
ダメージを受けた外骨格を脱ぎ捨て、生まれ変わっていくかのごとく、凄まじい勢いで脱皮を繰り返してゆく!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!
「不死身の化け物だとでも言うの!?」
ドドドドドドドドドドドドドドドド!
凄まじい勢いで幽香へと突進するキノコG-X。あろうことか幽香はそれを
「うおおおおおおおおおお!」
真正面から受け止めた!
「喰らいなさい!」
至近距離から放たれるごんぶとレーザー。キノコG-Xに回避する術は無く、身体を半分以上消滅させた。
「やったか?」
そのセリフは死亡フラグだ。
ぶちゃぶちゃぶちゃ!
キノコG-Xの脅威の生命力は、致命的なダメージを引き金に、新たな変態を引き起こした!
幽香の目の前で失った半身を再生させてゆくキノコG-X。しかし、その身体は既にゴキブリから大きく乖離した、別の生き物へと進化を遂げようとしていた。
「素晴らしいわ。腐ったレアチーズケーキとキノコのコラボレーションがこんな超生命体を生み出すなんて。今ほど天狗の写真機が欲しいと思ったことは無いわ。せめてスケッチしておきましょう」
いつの間にか現れたパチュリーが、賞賛の言葉と共にいつもの行動を開始する
「残念だけど、その暇は無いわね」
体液を撒き散らしながら変態するG-Xに、幽香はカサの先を押し当て、全身全てが消滅するまでレーザーを放ち続けた。
「ぬああああああああああああああああああ!!!」
※※※
風見幽香は、疲弊しきった身体をうなだれる様にキッチンの椅子に預けていた。
キノコG-Xを殺しつくした後、残ったゴキブリも始末した。これで霧雨邸も安泰だ。
ことっ
ジャキ!
小さな物音に、日傘を銃のように片手で構える幽香。
「待て、撃つな! 私だよ」
「ああ、魔理沙。ゴキブリは皆殺しにしたわ・・・・・・私はこー見えて完璧主義者なの。もう安心よ」
「貴女の完璧主義のせいで、私は標本を採取し損ねたわ」
「そ、そうか・・・・・・物音がしなくなったんでやられたのかと思ったぜ」
あのおぞましい巨大ゴキブリたちも、今ではパチュリーの残した記録の中にだけしか存在しない。
「私は太陽の畑に戻るわ。滅茶苦茶にされた向日葵たちを、早くもとに戻してあげないとね」
「あ、ああ。ありがとうな幽香。本当に助かったよ」
「礼には及ばないわ。私は私の目的のために動いただけよ」
そういうと、風見幽香はクールに立ち去っていった。
※※※
ところ変わってここは永遠亭
「きゃあああああ! 師匠、私の部屋にこんな大きなゴキブリがー!」
END?
そして永遠亭の変をプリーズ!
しかしながらもっとボリュームが欲しいですね。
あとがきにあるとおり、ネタを省くと痩せるってのはいいですけど、過度に太ってない場合はあまりにあっさりしすぎてしまいますよ。
話としてみれば面白いのでこの点数をば。
もうちょいネタにまみれてクドさ4割増しにハッチャケる方がいいかもしれない。
恐らくあると思われる永遠亭編に期待。
もっと長くても良いかと…
ネタ自体は良いww
>そのセリフは死亡フラグだ。
ふいたwww
次回はネタまみれの永遠亭編を期待してますw
面白かったけどボリュームがもっとほしかったな。
在るかも知れない永遠亭編に期待してます。
永琳の薬を飲んだら偉いことになりそうだw
趣旨を変えたのか知らんけど、前回みたいな話を読みたかったなぁ
幽香がG‐Xにやられたらどうしようかと思ったww
そして永遠亭は本当に不味い……主に師匠の薬的な意味で。
この分だと永遠亭だけじゃなく、妖怪の山や白玉楼にも出没してそうですな。
確かにもっとボリュームが欲しかったかも。