Coolier - 新生・東方創想話

銀の栞と血染めの聖書

2008/04/18 11:05:28
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※オリキャラがいます





















序.

驚愕したのは、霧雨魔理沙。
薄暗い魔法の森から、住み慣れた我が家から、飛び立ったのは、一冊の本だった。


空を見上げたのは、紅美鈴。
銀色の光を纏った何かが、門を越え、館に飛び込んだ。
その本は主の元へと、ひとりでに「戻って来た」。


振り返ったのは、小悪魔。
図書館の扉を開けた時、銀光を放つ本が、彼女の傍らを通り過ぎた。
その本は、今まさに「帰還」した。


本を受け止めたのは、この話の主、パチュリー・ノーレッジ。
レミリア以外の、あらゆる来客を一瞥する事もなく、本から視線をそらす事なく、言葉を交わす事が常である彼女だが、今、この時だけは、その本を愛おしく見つめていた。


側にいたのは、十六夜咲夜。
主の友人のために紅茶を注ぐ手を止め、七曜の魔女に語りかけた。


 「あら、便利な魔法ですね」と。


魔理沙ですら盗む事の出来ない本がある。
正確には、盗んだところで、すぐに帰還してしまうのだ。
魔法は本にかかっているわけではなく、間に挟まれている「銀の栞」にかけられている。


彼女が言うには、どんな本も、この栞を挟んでおけば「必ず、戻ってくる」らしい。
小声で端的に説明する知識の魔女と、その言葉に耳を傾けている瀟洒なメイド。
(耳を傾けないと聞き取れない)


   「ふぁあああ…………ねむー……」


そこに姿を現したのは、夜の王、レミリア・スカーレット。
魔女は「こんばんは」と言い、悪魔の犬は「おはようございます」と優雅に頭を下げた。
寝ぼけ眼の紅魔の主は、従者に“朝”食の内容を指定した。
ふと、パチュリーが手にした栞を見つけると、レミリアは呟いた。

   「……ずいぶん、懐かしい物を使っているわね」

   「ええ、まだ、彼の念が生きているのね……」


    ……彼?


聞き耳を立てていたのは、図書館を出たはずの咲夜。
本棚の陰に隠れて、若い従者はどこかの熟年の家政婦と化していた。
そこに現れたのは紅美鈴。
銀色の光を不審に思い、叱責を覚悟で館の中へ赴いていた。


   「……こら、咲夜……趣味悪いわよ?」


振り返りもせず、たしなめるような、鋭い言を放つレミリア。
存在を気取られた咲夜は、時を止めて「身代わり」を置いて、その場を去った。
主の叱責を受けるのは門番となった。



   ……彼とは、誰だろう?



厨房にて、彼女も存在を知らなかった、銀色の栞の正体を一人推測していた小悪魔。
そこに「彼」とつぶやきながら咲夜が入ってくる。


   「『彼』って……誰の事?」


   「誰なんでしょうねえ?」


ネチョ……もとい、妖しい方向にまで発展した二人の会話は、やがて湯の沸く音で中断された。
今宵は雲ひとつない満月。
この日は門番を除く、紅魔館の全員で紅茶を楽しむ日だ。
紅魔の湖もまた、聞き耳を立て、語り部を欲しているかのように静かにたゆたっていた。


咲夜は気遣いを忘れるメイドではない。
(一方的に)身代わりとなってくれた美鈴の分も、今宵だけは特別にと用意し、先ほど図書館に向かったフランドールの分も含めて、都合6杯の紅茶が図書館に運ばれた。


珍しく、紅魔館の全員が図書館に集まった。
たわいのない語らいも、時が経つと、やがて全員の視線は全てパチュリーに向きはじめた。
「彼」の詳細を知りたい咲夜と小悪魔が、それとなく会話の方向を誘導したのだ。
美鈴もフランドールも煽られて、その「彼」の事を知りたがっているようだ。


だが、パチュリーは、こんな圧に怯む魔女ではない。
しかし、女としての異性に対する興味とでも言うべきか、言霊を含むような複数の視線は、彼女の予測を超えて、いつまでも鋭く向けられていた。


   『このまま無視し続けると、
   「知識の魔女は、本は読めても、空気が読めない女」なんて噂、流しますよ?』


そんな言霊を感じずにはいられなかった。
主に小悪魔と咲夜の方向から、感じずにはいられなかったのだ。




   「んふっ…………ねぇ、パチェ、もう観念したら?」




他人事のように呟いたのはレミリア。
だが、どこか面白そうで、意地悪そうでもあった。
手元を見つめると、銀色に輝く、装飾を施された一枚の栞。
それすらも彼女に「語れ」と言葉を投げかけているようで……



   「はぁ、まったく…………少し、長くなるわよ?」



目を輝かせたのは従者と、司書と、妹と、門番。
嬉しそうに目を細めたのは、一人の吸血鬼だった。

ためいき交じりに口を開いた魔女は、ある神父の昔話を、静かに語りだした。


   懐かしそうに、

        そして、

           嬉しそうに……



    『銀の栞と血染めの聖書』



1.

着ている服は、必ずどこかがよれていた。
いつも無精ヒゲを生やし、花を育てるのが上手で、どれだけ愚図る赤子も、何故か彼が抱けば、すぐに泣きやんだ。
そんな神父が、いまにも崩れそうな古い教会に住んでいた。


年の頃は40~45歳あたりだろうか、一見して、年齢はすぐには出てこない。
先代の神父に拾われたという彼は、そのまま、先代の遺言通り、教会を継いだ。


ぼろぼろの教会なので、机は傾いて、椅子は身じろぎすると軋んだ音を立てた。
崇めるはずの偶像は、左右が対でないといけないものが、片方しかない。
先代からの品という聖書は、何ページか破けていて、おまけに彼のロザリオは鉄製のためか、ところどころ錆びていた。


神父としての風貌を疑いそうな彼ではあるが、なぜか人気だけはあった。
人柄というか、屈託のない笑顔というか、生まれながらにして持ち合わせた独特の魅力が、彼を孤独にさせなかった。


こんな教会だから、彼には金がない。
長年、彼は頭を下げて、周りの人達の世話になっていた。
引き換えに、彼は先代から教えてもらった逸話を分かりやすく、楽しく語った。
彼が去る頃には、子供や住人たちが快く頭を下げているという日々だった。



   彼は、誰からも愛される、気持ちのいい神父だった。



パチュリーは、生まれながらにして魔女だった。
種族としての魔女には複数の家系がある。
彼女は、ある由緒正しい(どの家系もそう謳うが)家系の「予言された子」だった。
どのような予言だったかは、定かではない。


確かに言える事は、彼女は生まれる前から「期待を持たれていた」という事だ。
生まれる前からそうなのだから、生まれた後の、彼女の境遇を想像するのは容易い。
彼女の周りや、関わる衣食住などは、全て一流の物が用意された。


一族の期待に、その子は気付いていた。
そして、それが重荷であることも。
告げられた予言に、自分が当てはまる者ではないと自覚したのは、その子が、どうしても「文字」が覚えられない事に気付いた時だった。



    パチュリー・ノーレッジは、文字が読めない



彼女にとって「文字」は「模様」でしかない。
文字の記された紙を裏返しても、逆さにしても、斜めにしても、文字の形から「意を汲み取る」という事が、どういうわけか、いつまで経っても、誰にどう教わろうと、習得できなかったのだ。


だからといって、彼女は落ちこぼれと言うわけではなかった。
内に秘められた魔力は誰よりも図抜けていたし、小声で早口ながらも、彼女が即興で述べる魔術理論などは、並の術者が長い年月をかけて、ようやくたどり付ける境地のそれに匹敵した。


「天才」はおよそ百年に一度現れるという。
パチュリーは明らかにそのカテゴリーに属する者だ。
しかし、一族が渇望する「予言の子」なのかと言うと……
落胆と希望の色をないまぜにしたような表情の長老たちは、千夜を費やして、その事を議論していた。


だが、一向に解は出てこない。
「予言の方が間違っているのではないか?」
彼らはそんな疑念を欠片も抱いてはいなかったのだ。


「天才」か「予言された子」かのはざまで、長い間、好奇の目を向けられ、この事に耐えかねていたパチュリーは、予言の間違いを(口頭で)論理的に証明してしまい、一族の元を去った。
いわば、彼女の方から一族を見限ったのだ。
今だ見知らぬ、深き智を求めるべく、彼女は一族の郷を飛び出した。


他の家系の魔女達と語らったり、一族から差し向けられた追っ手から逃れ続けた。
どうやら長老たちは、彼女を異端・裏切り者と結論したようだ。
天才ならば、新たな予言を一族のために紡がなければならないのだが、一族に対する興味が失せた彼女は、それを為さなかったのが大きな理由だった。


ある日、放浪と逃避の旅の果てに、パチュリーは神父のいる教会の前で倒れ伏した。
長い旅の無理がたたったのか、彼女は体調を崩していた。
野犬の遠吠えが、街の隅々まで響き渡るような、静かな夜。
そこに何かが倒れるような物音を聞いて、神父は扉を開いた。


当時「魔女狩り」という言葉はすでに過去のものだったが、地方によっては、宗教的な誤解や偏見による差別を受ける者は、今だ数多くいた。
神父がいる街はおおらかな気質の人間が多いので、そういった傾向は見られないが、近隣する地域では、住人同士の監視が厳しいところもあった。


その原因の一つに「吸血鬼が出没する」という噂が、長い間絶えない事があったのだが、今のパチュリーには知る由もない。
当然のごとく、彼女は使い古した口上を述べ、行き倒れの人間を装う。
彼女は初対面の人間に、自分から魔女と名乗るような、間の抜けた魔女ではない。
自分から「普通の魔女よ」などと言う魔女など、この世に存在しないと思っていた彼女だが、遠い未来にそれは覆される事になる。


ともあれ、彼女が魔女であると密告する者も、それをさせるような事件も起こらず、神父の介抱も功を奏して、パチュリーは順調に体力と魔力を取り戻していった。
人間達と交わるのは好きではない彼女だったが、彼女もまた、神父の独特の雰囲気に魅力を感じ始めていた。



そして、聡明な魔女はすぐに気付いた。
彼が、古の聖者の血を、最も色濃く受け継ぐ者であるということを。



故郷で『観た』数多くの書物の情報を思い起こす。
パチュリーは文字を読まない代わりに『観る』ことで認識し、情報を得る。
文字が読めない彼女が編みだした、彼女にしかできない読書、もとい観書法だった。


「読む」という概念が身に付かないのなら、新たな概念を規定してしまえばいい。
何も無い真っ白な羊皮紙に、古の賢者たちが自由に筆を走らせたのならば、それをどう「捉える」のかもまた自由ではないか。
パチュリーは「観る」ことの概念を究極的に高め、この技術を身に付けたのだ。


記憶からどれだけの文献を参照しても、彼が「聖なるもの」に属する人間である事には間違いがない。
事実、彼に関わる人間たちは、少しの病気やケガなら彼が触れるだけで快癒してしまい、枯れかかった花ですら、彼が触れれば、鮮やかに蘇るのだ。
そしてなにより、パチュリー自身もその事を体験している。


危険だ、とパチュリーは思った。
彼の事なのか、自身の事なのか、それはなぜか自分にも分からない。
おそらくは両方だろう。
ただ、直感的に彼女は「ここに長居しないほうがいい」と、そう感じていた。
だが、同時に、反骨心も芽生えていた。
捨てた故郷の知識に、今の行動を左右されている事が、どこか気にくわなかったのだ。


視点を変えてみれば、彼は数百年に一人の存在。
長寿を誇る種族である彼女でも、おいそれと会う事などできようもない。
つまり、これ以上の「研究材料」はないとも言える。
危険に対する興味、それ自体が危険。
しかし、探求を断念するにはあまりにも惜しい逸材。


具体的な結論が出ないまま、パチュリーは結果、長く街に滞在する。
実の所、魔女だの聖者だの、そういう要素は抜きにして、彼女が一人の女として、神父に好意を抱いていたのが最大の理由だったのだが、その事に気付いたのは、幻想郷に来てしばらくしてからだったと、彼女は語った。


………………
…………
……


この時、パチュリーのあまりの鈍さに、身を乗り出して話を聞いていた咲夜と小悪魔は、同じタイミングで、


  「……鈍すぎだわ、ありえない……」


と、呟いていた。
睨みつけるようなパチュリーの視線に気付いた二人は、あわてて口を噤んだ。
怒りの矛先を失った彼女だが、視界の角に熟睡する美鈴を捉えると、迷わず本を振り上げた。
フランですら耳を塞ぐような轟音が、図書館の、おもにテーブルの上から鳴り響いた。


  「ああ、またテーブルを調達してこなきゃ……これ、お気に入りだったのに……」


同じように耳を防いでいた小悪魔は、心の中でそう呟いていた。



2.

私の物語は加速する
過ぎ去った者の追憶に身を委ね、意に沿った言の葉を紡ぎ、声に変える
時々ではあるが、下世話な従者と司書、そして無粋な門番は無視するとして、紅き友は静かに目を閉じて、耳を澄ましてくれている


今の私には、それがなにより嬉しい
今日は喘息も大人しい
いつ以来だろう……?
こんなに弾んだ声で、自分の事を語るのは……


神父と共に、教会に住んで、3ヶ月が経った
健康にはなったが、体力がないので、農作業などは手伝えなかったが、
かわりに、子供たちに簡単な昔話を聞かせたりした
しかし、神父の方が話し方が上手だと言われ、少し、落ち込んだりもした


苦手ではあるのだけれど、簡単な数学などを教える事にした
文字が書けないので「文字の形をした絵を描く」事で解決した
語学は文字種が多く疲れるが、数学は0~9などの記号だけなので、
比較的、労力は少なかった


彼を観察する間の、暇つぶしでやっている事なので、
誰からの感謝の言葉も、別に気にはならなかった
幸いだったのは、おおらかな人が多かったので、
私の態度が無愛想に映らなかったことだろう


彼は欲が無く、婚礼の時も、葬儀の時も、
あまり代価を取ろうとしなかった
というか、法外に安かった
これでは教会がつぶれてしまうと思い、たまらず私は彼に掛け合った


今思えば、なぜ掛け合ったりしたのだろうか? 他人事なのに……


そして、私は愕然とした
彼は金銭の価値があまりよくわかっておらず、
貨幣や紙幣の数字が、彼には読めていなかった
そう……彼もまた、私と同じく、文字が読めなかったのだ


そして、彼は私を見つめて言った
「よければ、私に文字の読み書きを教えてくれないか?」
一文字たりとて読めない聖書を抱いたまま、
耳障りのいい声で、彼は私にそう言った……


準備さえすれば、私は極点の氷を目の前に持ってくる事ができる
人跡未踏の山の頂に登り、その風を涼しげに浴びる事も、
荒れ狂う河を静める事も、その逆の事もできる
だが、それだけは……それだけは、私には……できないのだ


    「……もしかして……貴方も?」


暗い表情を、していたのだろう
彼は私の反応から返事を読み取った
文字が読めない事が、これほど悔しい事とは思わなかった
彼の前ではあるが、私は顔をクシャクシャにして……泣いて……荒れた……


……ずいぶん、ひどい事を言った気がする……
身近にあったコップや皿を投げつけたかもしれない
人気のない娼婦すら口にしないような、汚い言葉を言ったかもしれない
だが、ヒステリックに振る舞う私から、彼は逃げようとはしなかった……


彼の諌めの言葉も陳謝の言葉も私には届かず、私は独り、部屋に閉じこもっていた
文字が読めない事は、数十年来の私のトラウマであり、コンプレックスなのだ
触れてはいけない側面を彼に汚された気分すらしていた
所詮は人間なのか、とすら思い、一方的に彼を心の中でなじった


ベッドに乱暴に身を投げ出し、即座に毛布にうずくまる
少しの嗚咽も外に漏らすまいと、枕を抱きしめたまま、いつのまにか私はそのまま眠りについた
そんな日が3日も続いた


    「よかったら、私と、その、一緒に文字を……お、覚えないか」



どれほどの時が流れていたのか、この時は定かではなかったが、
扉越しにかけられた意外な一声が、私の顔を上げさせた


彼によって傷つけられはしたが、
結果として、私は彼に救われた
彼は文字の読み書きができるようになって、
親代わりとなってくれた、先代が残した聖書を読んでみたいのだと言った


……私が何度文字を読む事を企み、何度挫折したのか、彼は知らないのだろう
だけど、彼に頼られるのはなぜだろうか、心地よく、誇らしい気分になる
折れて萎えたはずの気概が、志が、やる気が、どこからか、湧き出てくる
彼の聖なる血のなせる業なのだろか?
ともかく、この感覚が錯覚でもいい……! もう一度……!


      今度こそ……今度こそ文字を……読んでみたいと思った


聖書には塵ほども用がない私ではあったけれど、
彼の想いに応えてやりたいという一念から、
私と彼の共同作業は始まった
それは古文書を解読するような作業に似ていた


私は「読む」事はできないので「観る」事で聖書の意を受け取る
この意を文字で伝えられない私は、口頭で彼に伝える
そして、聖書の文字と私の言葉を参照に、彼は紙に、字を書き留めていく
その文字からなる文章が合っていれば、私は聖書と同じ意を受け取るだろう


こんな風に、手順ややり方を何度もアレンジし、
まず私よりも先に彼が文字を覚える事を優先した
この一連の作業が、彼と私の普段の日常に加わり、
それは、おぼつかない作業だったけど、とても意義のある事のように思えた


文字の基本を覚えた彼は、私以外の他の人からも読み書きを覚え、
その間に、私は彼の聖書を観(み)耽った
油断すれば、ページがはがれ落ちそうな、その聖書は本当に年季が古く、
ところどころに、先代の神父の注釈……というかメモが書き加えられていた


講義のためのメモ、論文の下書き、他教派との解釈分岐点、
八百屋のツケの明細、チェスの手順、料理のレシピ、愛人の名前、借用証の写し……
先代の神父は彼を拾ったと言ったらしいが、いかにも彼も書きそうな内容もあった
もしかしたら、血がつながっているのかも……と思えなくもなかった


……半年が過ぎた
彼は千の単語を書けるようになった
私はまだ一文字も認識できないでいる
それなのに、彼はまだ私の「教え子」なのだ……


人間の世界では産業革命の影響で、この街のあちこちにも工場が建てられ、
具合の悪い事に、教会はあらゆる煙と粉塵が届く風下に位置し、
昼でも窓は閉めておかなければならなくなった
おおらかだった人達も、いつのまにか気忙しくなっている気がする


子供たちの笑顔は変わってはいないが、顔がススだらけの子もいて、
明らかに体に有害な何かを吸い込んでいそうで、
遊ぶなら風上にしなさいと、さほど人間に興味のない私ですら、
注意せずにはいられない有り様だった


……窓を開けたまま午睡したため、
迂闊にも煙を少し吸い込んでしまった
焼け付くような痛みに激しく咳き込み、目まいがする
なおも散発的にむせかえし、どうにか呼吸を整える

立ち上る煙を眺めながら、私は感じていた



    人間達の世界が加速していることを



人間が勢力を増して、力を強めている
その証のように、昼だというのに、人間が作りあげた黒煙は我が物顔で太陽を覆っている
吸血鬼の噂は、いつの間にか聞かなくなったが、代わりに戦争の噂が飛び交った
街の人が言うには、この国も大きな戦争への参戦を表明したらしい


政治や戦争に興味は湧かず、ただ彼と共に文字を習得する作業を続けていた
そんなある日、彼は私に、とても高価そうな、銀色に輝く栞を見せてくれた
先代の神父の妹は今だ健在で、離れた土地で大勢の彫金師が働く工房を営んでいるそうだ
新たな彫金用の工作機械を入手して、最初に作った物がこの栞だそうだ


……観ればアルファベットで「Patchouli」と書いてある
ああ、これだけは「眺める」だけでわかる
これは……「この形」は、私の名だ……
……って、……………………え?


聞けば、彼は少ない報酬を蓄えて、
遠路はるばる工房を訪れて、この栞の制作を依頼したらしい
何のためにこれを私に? と尋ねると、
彼は照れ臭そうに言った


    「自分の名前ぐらいは書けるようになってほしいと思って……
     その文字は、私が書いたんだ」


なるほど、これは私の文字の読み書きの練習用なのか
私は素直に「ありがとう」と言って、栞を受け取った
「もっとも、そんなことをしなくても、私は「自分の『名の形』だけは描けるのよ、ほら」と実演して見せた


    見せてしまった


    羊皮紙の端にスラスラと走る筆
    その後に残るのは、栞よりもさらに綺麗な書体で描かれた「私の名を示す、文字という名の模様」
    驚いた彼は、なぜか少し残念そうな顔をしていた



………………
…………
……


    「今思えば、あの時は、悪い事したわよね……」

    「……」

    「……」

    「……っ……」

    「……」


何故か誰も何も言わなかった。
ドクドクと血を流し、かすかな鼓動のみを残して床に倒れている美鈴(誰も手当てしてない)の有様を見れば、当然の対応だろう。
この状況で、誰がパチュリーの空気の読めなさを非難できるというのか。

長い沈黙に間が持たなくなり、やがて彼女たちの視線は、当然と言うべきか、館の中で序列の低い咲夜と小悪魔に集中する。
この気配を感じた二人は、


    「ちょっと……なんか言いなさいよ」


    「いやですよ、咲夜さんが言ったらどうなんです?」


小声で互いを牽制し合うが、そこへレミリアが、


    「咲夜」


    「へ?」


    「ここまでの感想を言いなさい。正直に、ね」


    「あー、その、よ、よい栞ですわよね。い、今も輝いてますし……さすがにパチュリー様が持つに相応しい、気品のある逸品かと……」


あまりにも適当すぎる返事だと、我ながら咲夜は思った。
パチュリーが本を握りしめている有様を見て、彼女はすでに怯えていたのだ。
すがるような視線で主と魔女を交互に見やる。
手には懐中時計を握りしめている。
咲夜は何か齟齬を指摘されれば、即座にこの場を脱出するつもりだった。


    「あら、あなたじゃなかったのね。……とすると、小悪魔が言ったのね」


    「!!」


    「え? なんの話です?」


    「レミィ、どういうこと?」


    「さっき、私の地獄耳(デビルイヤー)には確かに聞こえたのよ。
     『うはwww この女www 本ばっかり読んでるくせに、全然空気読めてねえ~っ!!』って、そっちの方から」


言って、小悪魔の方向を指差した。


    「ちょ! そ、そこまでは言ってません!!」


    「あ」


    「あ」


    「あ~♪」


咲夜とレミィ、妹様が小悪魔を見つめる。
視線はすでに『これからまもなく処刑されるであろう罪人を見つめる』類いのものとほぼ同等だった。


    「ち、違うんです!! 聞いてください!!」


    「妹様、咲夜、小悪魔押さえといてくれない?」


    「いいよ~♪」


    「御意」


従者とフランに両腕を掴まれ、頭がテーブルの上に来るように小悪魔は固定される。
懸命に翼を振り、足をじたばたと動かすが、この二人の前には無駄な足掻きだった。


    「え? なんで? なんで? 私本当に……」


    「それ以上喋ってると、本当に舌噛みちぎるわよ?」


    「っ……!!」


反論したいが、忠告は忠告で律儀に真に受けるため、小悪魔は沈黙してしまう。
従順なのか、一言多いのかよくわからない性格の小悪魔の挙動を前にして、レミリアだけが、クスクスと笑っていた。


    「空気ね……確かにあの頃は読めなかったわ」


    「……」


    「『今も読めてないくせに、冗談やめろよこの年増』って言ってるわ」


    「ちょ!! 言ってませんて!!」


    「心を読んだのよ」


    「鬼! 悪魔!!」


    「その通りだもの、両方合ってるわ」


    「小悪魔」


    「は、はい……」


    「長い間ご苦労様」


    「ぎゃーー助けて、咲夜さん咲夜さん咲夜さん!!」


    「私からもご苦労様」


    「ここにも悪魔が!!」


    「あなたも悪魔じゃない」


    「これだけ悪魔だらけだと、一人減ってもいいかもね♪」


    「そうね」


楽しそうに、レミリアは分厚い辞書をパチュリーに手渡した。


    「パチュリー様っ!? それ……すごく……分厚いです!!
     てか本は読む物ではなく叩く物……あれ、反対でそれで叩くと私」


    「ちょっと、素振りしてみようかしら」


    ……ボッ!!!!!


   「ぎゃーーっ!! 今、摩擦で炎が! 炎が!!」


フランが押さえつけているにも関わらず、腰を浮かせ、逃げようとする小悪魔。
懸命に手を押さえるフランも咲夜も、パチュリーの手元が狂わない事をそれなりに必死で祈っていた。
というか、咲夜ですら今の素振りは、トップスピード時は視認できていなかった。


    「空気の読めない女で……」


    「やめて! たすけてとめて咲夜さん! 妹様!! 私まだこんなところで死にたくない!!! ていうかもう魔界に帰りた」


    「悪うござんしたね!!」


    ズムッ!!!!


その瞬間、紅魔館の木に止まっていた全ての鳥が飛び立ち、
紅魔湖に大きな波紋が広がった

ちなみに本の表紙には『るーみゃっく○ーるど』と言った単語が、
書かれてあったとかなかったとか




3.



   しばらくして……


戦争が始まった
間もなく、この国からも軍が出動するかも知れない
だが、彼には関係のない事だろう
彼はもう50を超えているし、優しい男なのだから、戦えるはずがない


けれど、彼は戦争に同行すると言った
私は耳を疑った
年を取ったあなたに何ができるの? とまで言った
彼は笑みを絶やさず、私に説いて聞かせるように、優しく語った


内容は、つまらない、ありきたりな従軍神父への動機だった
聖者の血と力を持つ者の考えとは思えないほどに、ありふれている
宗教と聖者は切り離せない関係ではあるが、
教義が聖者の理性を侵食しているようでは、聖者の人格はどうなるというのだろう


彼の行為は信仰に基づく物ではないと断言できた


人間と魔女……
姿形は似通っているとはいえ、もともとは別種の生き物
彼とはわかりあえないとは思いたくないが、
この時、彼が遠い存在のように思え、私の中の何かが、徐々に冷えていくのを感じていた


数日後、彼は軍に同行して戦地に赴いた
あっけないぐらいに全てが急激に決まっていった
戦地でも聖書を持ち歩くと言うので、私は銀の栞を彼に一時的に『貸し出した』
かならず返してくれと、淡くも気のない言葉も添えてやった


戦場での彼の人徳と評判を知った地方の司教がこの教会を訪れた
目を覆うほどの教会の惨状に呆れ、人と金と資材を送り込んで、教会を建て直した
偶像は取りかえられ、壁は塗り直され、机や椅子は新品に、
床石は整えられて平坦さを取り戻し、教会はかつての荘厳さを取り戻した


だが、その一つ一つの工程を見つめていた私は、
彼に対する興味が、確実に消えていくことを確認しているだけだった



数ヶ月が過ぎた……
乱立する工場、張りつめた顔をした街の人達
街を割る何百人もの兵士が、胸を張って、戦地へと発った
その気高き軍靴の響きも、やがては銃声と爆音にかき消され……




    そして、誰もがそこで死んでいくのだ……





まっさらになった教会に、彼が帰還した
私はおろか、彼を引き止めた街の人達が予想したように、彼は亡骸となって……
彼は、その男は、血染めの聖書を抱いていた
思い出が消えつつあったせいか、私はそれを手に取るが、何故か、何の感慨もない


ただ、この時、私は何故か、心から「本を読みたい」と思った
「観たい」ではなく「読みたい」と思った
彼が埋葬された後、血染めの聖書を開いていなかった事を思い出し、
渇望に堪えかねた私は、今さらながらも、栞を挟んでいる聖書を開いた


パリパリと、ページが乾いた音を立てる
血のせいで、思うようにめくれないが、
栞を挟んでいたそのページには、おそらく、戦地で記したのだろう
彼が書きなぐった文章があった


そこには、こう記されていた






   「パチュリー・ノーレッジに、私が持っている祝福の全てを捧げる」






   瞬間、私は「文字を読んだ」事を認識した


   これが……「読む」ということ……!!


   「観る」とは全く違うこの感覚……!!


   なんという甘美な感覚だろうか!!


   知識が目を通して、脳に届くこの感覚……


   文字……文章……


   素晴らしい……



……


……ッ



   あれ? 文字が観えない…………読めない…………なんで…………?



……タッ……


   あ、……あぁ…………そうか……


……ボタッ……


   私……


……ボタッ、ボタッ……


   バカだな……










       ……泣いてるんだったら、何も見えるわけないよね……






   いつのまにか、私はベッドの上で、


   彼の文字を 想いを 言葉を 聖書を 抱きしめて、泣いていた



   嬉しくて、   哀しくて、


   文字として、   絵として、


   最後は愚かだったけど、   聖者だった彼が、


   伝えて、   残して、


   託して、


          捧げてくれた、


                    教えてくれた、






             「本を『読む』幸福」






この幸福(よろこび)を、私はその日一日中、ずっと噛みしめて、
泣きながら『彼の本』を読んでいた


その後も、いくつか、彼の書いた内容を発見した
あの日、彼が私に言わなかった言葉の数々、思いの数々
聖書の隅々まで読み尽くすと見えてきた、彼の真意


どうやら、先代の神父も従軍神父だったらしい


そして、彼と同じように戦地で命を失った
その事が、この聖書に記されていた
先代の神父が彼の手本だったのは、もう、痛いほど分かった
彼は何もかも先代の真似をしたかったのだ


彼は聖者としての己の素養を知りつつも、
憧れた養父のように、一介の神父でありたかったのだ
理解できなくもなかったが、やはりどこか愚かだとは思う
彼らしいとは思えたが、私にはこの彼の真意はあまりにも苦すぎた


おそらく、もう二度とこの本を読む事はないだろうと思い、
誰に向けるわけでもなく「ありがとう」とだけ呟いて、私は静かに本を閉じた


見ると、聖書に挟んであった銀色の栞は鈍く輝いている
彼の血を浴びたのか、ところどころ血がついている
戦場でよく盗まれなかったな、と思いながらも、
血を落としていると、栞自体が輝きを放っている事に気付いた


栞に宿った、彼の想いの欠片……
このままでは消えてしまいそうだったので、
私は魔力を与え、方向性を定義した
何があっても、私の元に戻ってくる『帰還』の呪を込めると、それは安定した


彼もまた、志願して戦地に行く一方で、心のどこかでは、
教会に戻りたかったのだろう……
今の人間の領域は、聖者すら争いに巻き込まれるような時代に突入したのだ
そう考えると、人間が恐ろしくも、哀れな生き物のようにも思えた


それから長い間、戦争は続いていた
かけがえのない、聖なる者を失っても、人類はそれに気付いていない
彼がどれだけ尊い存在だったかも気付いていなかったのだろう
それでもなお繁栄する人間は、力強くも愚かしく私の目に映る


だが、一方では、私の一族とさほど変わらないようにも思えてならないのだ


黒煙はその数をさらに増やし、工場の騒音すらも空を飛び交う様になった
戦地のあちこちで、深夜になると、兵士が行方不明になる噂が流れた
そこには必ず、場違いに華美な服を着た少女が出没するという
私はその少女に興味を持ち始めていた


『彼女』には、なにか運命めいたような物を感じていた
彼が死んでからは、人間に対する興味は失せていたので、
似たような一族か、それ以上の存在ならば、友達になるという選択……はないか……
それにしても、この無数の黒煙は明らかに私の体を蝕みつつある……一度出るとなかなか咳が止まらない……



彼の聖書を机の引き出しに入れておき、銀の栞を手にして、煙に塗れた街へ外出する
帰還の術を唱えると、私はたちどころに教会に戻る事が出来る
これがあれば、緊急事態になったときでも、即座に脱出が可能だ
どうも数々の新聞や噂を私なりに吟味、解釈していくと『彼女』は吸血鬼の可能性が高い


聖なる血を持っていた彼ほどではないけれど、吸血鬼もずいぶんレアな存在になりつつある
そのまえに、まずは吸血鬼に関する情報を手に入れないと……
戦うとなると、連中はとても厄介だから……
そして、考え事をしながら、読みかけの本とカバンを持って、


私は、つかの間の安息をくれた、この教会を後にした
次に訪れる町に大きな図書館があればいいなと、考えながら


………………
…………
……


頬杖をついたまま、高い図書館の天井を見上げながら、レミリアは呟いた。

    「レアねえ……パチェの方がよっぽどレアだと思うけど」


    「そう?」


    「なんだ、その神父さん、壊れちゃったんだねー」


珍しく最後まで話を聞いていたフランは、今はもういない存在に、興味が失せたようだった。

    「で、あの栞、結局何回使ったっけ?」


    「忘れたわ、レミィとは数え切れないぐらいやりあったもの」


    「逃げられた側からするとねー、結構、腹立つのよ、それ」


    「こっちは魔力だけが取り柄の種族なのよ、それぐらいは、ハンデ欲しいわね」


    「まぁ、いいけどね。もう、パチェとはずいぶんやってないわね」


    「そうねぇ、最後にやったの何十年前かしら?」


    「じゃあ、私とやろうよー」


ここぞとばかり名乗りを上げるフラン。

    「妹様には魔理沙がいるでしょう?」


    「うー……だって、次、いつくるかわかんないし……」


    「本だけが戻ってて、不思議に思ってるはずだから、あいつ、また明日にでも来ると思うんだけど?」


    「じゃあ、たまには図書館の防衛に協力しますか、姉妹で」


    「ありがたい援軍だけど、あまり荒らさないでね」


助っ人の申し出は嬉しいが、それはそれで困るパチュリーは、複雑な笑みを二人に向けた。
レミリアはそういうパチュリーの笑みが特にお気に入りだった。


その後、何事もなかったかのように目を覚ました美鈴は、未だ昏倒する小悪魔を抱きかかえ、司書室へと向かった。
今日は館の中で寝ていいとレミリアに言われたので、なかばスキップ気味に去っていった。
途中、抱きかかえられた小悪魔の頭が柱にぶつかるような音が聞こえたが、誰も反応しなかった。


起き抜けのレミリアとフランは、図書館の中でめぼしい本を探すため、机を離れていった。


はしゃぐ美鈴は久しぶりに床の上で寝られると、司書室のソファーにダイブした。


小悪魔は司書室のベッドの上で悪夢にうなされていた。


   「うう……500ページは分厚すぎですよ~」


訳の分からない寝言を呟いていた。


咲夜はそんな小悪魔と美鈴の様子を伺うついでに、そっと毛布をかけ直してやった。






   そして……





銀の栞を手にして、引き出しから、血染めの聖書を取りだしたのは、



   聖者の祝福を受けた、七曜の魔女。




今宵、彼女がもう開く事はないと心に決めた、その血染めの聖書が、再び開かれたかは、誰も知らない。
だが、誰もがその姿を容易に思い浮かべられるように、





   パチュリー・ノーレッジは、

   これからも、本を「読み」続けるだろう
  



(おしまい)
はじめましてニィスと申します


この話はmixiで書いてたものですが、少しいろんな人の反応が知りたくなったので、
緊張してはいるんですが、修正して投稿してみます


以下はmixiで書いたときの初志の抜粋であります


自分のできる限りの範囲でいいから、丁寧に、分かりやすく、読みやすく、
変に気取らず、曲がらず、しかし、適度な飾りはつけて、
人に「話の途中で先が読めてしまった」なんて言われてもいいから、
少しだけ後味の良い、マイルドな話を書きたかった


初志 おわり


mixiとこっちでは行幅が全然ちがうんで、改行がどの程度の間を持つかいまいち把握しとりません。
荒い文章なのは百も承知でありますが、お付き合いいただけると幸いであります。
nyis
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コメント



0.290簡易評価
1.80名前が無い程度の能力削除
素敵です。
2.80名前が無い程度の能力削除
回想パートでの独特の区切りはパチュリーのとつとつとした語り口の雰囲気が感じられて良かったと思います。ただレミリア達との会話パートでの一行空けは間延びがして逆効果だったように感じました。
メタな単語(「ネチョ」と「るーみゃっく○ーるど」)はこの作品の雰囲気にはそぐわなかったような気がします。
銀の栞の魔法が「帰還」である理由がやや弱かったように思います。
だらだらと難癖をつけてしまいましたが面白かったです。パチュリーがなぜ本好きなのか、という視点はすごく新鮮でした。
3.60野狐削除
下の人も書いてますがレミリアたちの会話が作風にマッチしてないような……。
特に『うはwww この女www 本ばっかり読んでるくせに、全然空気読めてねえ~っ!!』とかもの凄まじい場違い感を覚えてしまいました。
全体としてみるならばしっかりまとまっているだけに、こういうところが残念でしょうがないです。ギャグとは言いがたいものですので、雰囲気は大切にしてほしかったかなぁと愚考するしだいです。
5.70名前が無い程度の能力削除
全体的にシリアスだったのでちょっとネタ所が長かった気がします。
あとせっかくなんでレミリアとの物語までも書かれてたらな、と思いました。
6.70名前が無い程度の能力削除
全体的にシリアスだったのでちょっとネタ所が長かった気がします。
あとせっかくなんでレミリアとの物語までも書かれてたらな、と思いました。
8.100名前が無い程度の能力削除
面白かった。
コレだけ完成度が高いならシリアス一本でもよかったのでは?
9.100名前が無い程度の能力削除
よいお話でした
しかしるーみゃっく○ーるど凄いな
11.80三文字削除
う~ん、凄い。
パチェが本好きな理由が書かれているのって珍しい、と言うより、はじめて読んだかも。
しっかし、神父というと、どうしても某リジェネータ神父が出てくる自分はどうなんだろ……
14.50東雲削除
こういう昔語り的なお話に慣れていないせいか、非常に淡白な物語に映りました。

感情移入しづらいというか、歴史書をただ淡々と読んでいるような気分でした。

でも、パチュリーが血染めの聖書を読んだ場面は鳥肌が立ちました。そこが、唯一感情の起伏を感じられたところかもしれません。

私の好みの問題なので、点数は低めですが、良い作品だと思いました。

今度は昔語りでない、リアルタイムでの物語を読みたいところです。