※慧音が壊れてます。お気をつけください。
※ぶっちゃけ日記そこまで関係ないかもです。
最初は単なる好奇心だった。今では後悔している。
事の発端は数週間前。
~慧音の裏日記~
「おーっす慧音。遊びにきたよー。」
バキッ ミシミシ
「げ・・。」
人里の外れにある家の戸が勢いよく開かれた。
開けた時になにやら不吉な音がしたのは気のせいではない。
「あちゃ~・・・やっちゃった・・・。」
勢いよく開けすぎたのか玄関の戸が壊れた。かなり大きな音がしたが、家の住人が出てくる気配はない。
「あれ?留守かな?」
とりあえず壊した戸を慌てて直し、家に上がって辺りを見回す。
だがそこに人の気配はない。
あれだけの音がして出てこないのだから恐らく留守だ。
人里で子供達に授業をしているのだろう。
家の中を見回していると視線がある物を見つけて止まった。
机の上に置かれている一つの本。
なんだろうと思い、好奇心からそれを見てみようと思った。
表紙にはその人物の性格がよくわかる綺麗な字でこう書かれていた。
『日記 10』
よく見たら隅に小さく上白沢慧音と書かれている。
数字はこれが何冊目であるか指しているのだろう。
きっと自分だったら1冊目が終わらないうちに飽きるという確信がある。
(まめだなぁ・・・)
そう関心すると同時に
(中を見てみたい・・・。)
もう一度辺りを見回し、誰も居ないことを確認する。家の中には誰も居ない。
万が一見つかったとしたら何をされるか分からない。だから周囲の確認を完璧に行った。
玄関、台所、居間、家の周り、物置、寝室、風呂、壁の裏、畳の裏、床下、天井裏、ダンボールの中、土の中、箪笥の中、小物入れetc
ありとあらゆる場所を探し、目撃者は誰も居ないことを確信し、机の上にある日記を開いた。
○月△日
『今日もまた妹紅が輝夜と殺し合いをした。
いくら死なないとはいえ、心配するこちらの身にもなって欲しいものだ。
最近では怨みも薄れてきたのか、弾幕ごっこを楽しんでいるようにも見える。
いいことだとは思うのだが、それでも結局は殺し合いになっていることは変わらない。
輝夜も輝夜でどうも楽しんでいるようだ。
あいつらにも命の大切さを教えなければならないな・・・。
だが妹紅も昔と比べれば変わったものだ。昔は輝夜の怨みだけで生きているような感じだった。
でも今は違う。
それ以外にも生きる楽しさを知ったようだ。
輝夜との仲も悪くはないようで、たまに永遠亭にも殺し合い以外の目的で遊びに来ることもあると、永琳殿が言っていた。
このまま行けばそのうち殺し合いも無くなるだろうか?
それがいつになるかわからない。そのとき私が生きているだろうか・・。』
開いたページに書かれていたことは自分のことだった。
自分が心配されているということは嬉しく思う。
(でも殺し合いも日課みたいなものだしな・・・。)
彼女の願いを叶えるのはかなり難しそうだが、叶えてあげたいとも思う。
他のページを開いたが、人里での出来事や教え子達のこと、その他日々の些細な出来事が書かれている。
そうして時間を忘れて読みふけっていたが、里の方から子供達の声が聞こえた。どうやら授業が終わったらしい。
ということは慧音も帰ってくるだろう。慌てて日記を閉じ、元の位置に戻して家を出た。
・・・また読みに来てみようと思いながら。
それからしばらく、妹紅は慧音が居ないときを見計らっては日記を覗いていた。
初めのうちは他人の日記を勝手に見ているということに罪悪感を感じた。
何度かやめたほうがいいと思いつつも好奇心に負けて、ほぼ毎日のように覗いた。
そのうち罪悪感も薄れてしまい、当たり前のように読むようになったころ、慧音に見つかりそうになったことがあったが、うまく誤魔化したため、日記を見ていたことはバレずにすんだ。
そしてある日、、また日記を覗きに来たときだった。
今日はどれを読もうかと、机の上にある本棚を眺めていたときに、前まで気づかなかったが今まで覗いていた日記とは雰囲気が違うものがあるのに気がついた。
気になって手にとってみると、こちらも表紙に薄く日記と書かれていた。
しかし、1~10までは本棚に揃っている。これは11冊目だろうかと思ったが、10冊目はまだ半分くらいしか埋っていない。全てが埋らないうちに新しい物を使うなど、慧音の性格からしてありえない。
中身が気になって今日はこれにしようと開いた。
△月△日
『そろそろ我慢の限界だ。もこうかわいいよもこう。
ッハ!いかんいかん。欲望が溢れそうだ!
フフフ・・満月も近いからな・・・満月の日にはこの溜まりに溜まった欲望を全て吐き出せる・・・。
ああ・・満月が待ち遠しい・・。』
読んだ瞬間全身から嫌な汗が噴き出した。
しかも続きが・・・
『そういえばこの前戸が壊れていたな・・妹紅、あの直し方で私は誤魔化されないよ・・。
それと私の日記を勝手に読んでいたようだしな、フフフ・・・私にバレていないとでも思っていたのかい?
そんな子にはちょっとお仕置きが必要だな。フッフッフ、満月の日には覚悟してもらわないとな。
そしてあんなことやそんなことを───』
バンッ!
そこまで読んで読むのをやめた。
まだそこから数ページに渡ってなにやら色々書かれていたが、怖くて読む気は起きない。
しかもこの日付は一昨日のものだ、おまけに今日は満月の日・・・。
(バレテタバレてたよヤバイよヤバイよヤバイーーー!!)
まさか読んでいたことがばれていたとは思わなかった。
隠蔽工作は完璧のはずだった。指紋を残さないよう細心の注意を払い、読む前には部屋から箪笥の裏に至るまで隅々までチェックしたのに・・・。
今更ながらやらなきゃ良かったと思ってももう遅い。
いや、そんなことはどうでもいい。今はもう夕方だ。時間が無い、とにかく早く逃げなければならない。
しかし何処に逃げる?混乱する頭で考えをめぐらせる。
人里に逃げる→間違いなくバッドエンドルート
自宅→速攻で見つかる。
博麗神社→・・・どうやっていったっけ?
魔法の森→振り切れても迷うし・・。
永遠亭→運良く薬師の弟子などに会えば助かる可能性は無いことも無い。
この間、1.5秒
逃げる先は決まった。
明らかに望みは薄いが。
多分薬師の弟子あたりに言えばわかってくれる。少しでも時間が稼げれば逃げれる可能性は大きくなってくる。
そうと決まったからには即座に実行だ。今すぐに人里から離れて・・
「何処に行く気だい妹紅?」
今一番聞きたくない声が聞こえた。
汗が止まらない。関節がギシギシいいながら恐る恐る振り向き
「ア、アハハ・・オ、オカエリー、ケーネ」
不自然な声が出た
「お前こそ何をしているんだ?まったく、人の家に勝手に入るなと前に言ったのを忘れたか?まったく・・・」
「ア・・・ワ、ワタシチョット用事アるカラ・・か、帰ルねー」
動揺しまくりだが、対する慧音は冷静な声で淡々と告げる。
「そうか、私も今から急ぎの用事があるんだよ。──お前に」
違った。声は冷静だけど絶対冷静じゃない。
本能が逃げろと告げる。一刻も早くこの場から離れろと。
「フフフ・・どうやらお仕置きが必要のようだね妹紅?」
色んな危機を感じて言い終わる前に壁を突き破って逃げた。
もこうはにげだした。
しかし、まわりこまれてしまった。
見れば既に角と尻尾を生やしたハクタク状態になっている。
「ってあれ!?さっきまで夕方じゃなかったっけ!?」
いつの間にか日は完全に落ち、頭上に満月が輝いていた。
「細かいことを気にするな」
「細かくなーーーーーーーーーい!!」
「逃げ道はない。ハァハァ・・さあ覚悟しろ妹紅!!」
「イヤーーーーーーーーーーーー!!」
慧音が飛び掛ってきた。
同時に妹紅は全力で走って逃げた
「待て逃げるな妹紅ーー!!大人しく私に捕まれぇぇ!」
「絶対にイヤーーー!!誰か助けてぇぇぇ!!」
叫んでも助けが来るわけがないが、あまりの恐怖に叫ばずにはいられなかった。
しかし竹林の方から何かが来た。それを認識して判断を下すまでは一瞬だった。
「もこたーん!」
「うぉらっしゃぁぁぁああ!!」
「助けにギベふぁ!」
下した結論は迎撃だった。
輝夜に似た声の物体が輝夜にそっくりな格好で、まるで輝夜のような飛び方で私に突っ込んできたから迎撃した。
音速に迫る勢いで拳は放たれ、直撃した輝夜のようなものはきりもみ回転をしつつ竹林に落下して、竹を薙ぎ倒しつつ滑走した。
だがしかし、数秒後に再びこちらに向かって飛んできた。
「ひどいよもこたん!折角私が助けに・・」
「うぉぉおおぉぉ!!吹っ飛べぇぇえぇぇ!!」
「ゲハァ!」
まさかリザレクションまで輝夜にそっくりだとは思わなかった。念のためフジヤマヴォルケイノで追い討ちをかけておく。
「あああ熱い暑い厚いアツイィィィ!!」
吹っ飛ばした方向から断末魔の悲鳴が聞こえた。
これでしばらくは大丈夫だろう。
どれほど走っただろうか。
気がつけば後を追ってきていた慧音の姿が無い。振り切ったようだ。
さらに幸運なことに永遠亭が見える。
玄関の戸を突き破って中に入るとちょうど目の前に薬師と弟子がいた。
「助けてぇぇ!!」
「玄関壊すなー!!」
「上がる前に靴脱いでね。」
「なんでそんな冷静なんですか師匠ー!!」
鳳凰を出しながら来たため、玄関は壊れるどころか炎上中である。
「かくかくしかじかな理由で慧音に追われてるの!たーすーけーてー!!」
「・・いやわかりませんって。」
「なるほどね。事情はわかったわ。」
「なんでわかるんですか・・?」
慧音に追われているのはわかったがその理由が8文字しかない。
「このくらいはわかるようになりなさい」
「無理ですよ・・・」
言いつつ何やら鈴仙が廊下の隅でのの字を書き始め、「たった8文字でわかるわけないじゃないですか・・・」とかブツブツ言っている。
永琳は妹紅の方を向きいて
「要するに、部屋を借りて隠れたいわけね?」
「そう!お願い!」
「一番奥の部屋が確か空いてるから案内してあげなさい、ウドンゲ。」
「あ~・・・ぇ、は、はい!師匠!」
一瞬で復活した鈴仙に案内されて部屋へ入った。
「遅かったな妹紅。」
「もこたん遅いよ~。待ちくたびれたじゃない。」
そこには慧音と輝夜がいた。
・・・はめられた・・・。
こっちの選択肢もバッドエンドルートだったか!!
「・・・・ナンデ慧音がここに?」
「永琳殿に案内してもらった。」
あ~なるほどね。チクショウあいつもグルか!!
「輝夜は・・・?」
「私がここにいちゃ悪い?」
ごもっともで。
「・・・じゃあなんで二人は一緒にいるの?」
「そりゃ私たちは『もこたん大好き同盟』の仲間だからさ」
そーなのかー
って、そうじゃない。なんだよその同盟。
その同盟ってメンバー何人いるんだろう、とどうでもいいことを考えた。
そして後ろを向くと唯一の脱出口は無常にも閉じられていた。
「フフフ・・もう逃げられないぞ妹紅・・・。」
あの時どの選択肢を選べばよかったのかと振り返ってみた。
「もこたんの照れ隠しは随分と過激ね~。私もお返ししないとね。」
ぶっちゃけどれもバッドエンドにしか繋がらない気がした。
「「さあ、覚悟はいい?」」
ああ~・・お腹空いたな~・・・。
「イヤアアアアァァァァアァアアアアアアァァァァアァァ!!」
夜の永遠亭に妹紅の叫びが響き渡った。
~バッドエンド~
問題は地の分が、妹紅なのか妹紅を上から見てるのか安定してないことなんですよね。ギャグものなら完全に妹紅の視点に立っちゃっても良かったかと。
視点の安定は作品を書く上での基礎ですので、注意しましょう。
廃テンションで一気に仕上げるのは中々難しいと思っているので、そこは評価できると思います。
他の方の作品等も読んで、もっと文章力をつけてくれると尚良いと思います。
もこたん「じゃあその怪しい手の動きを止めてくれないか」
caved!
最後に裏切られると思ってたら最後まで壊れてたので、逆に裏切られました。
でもこんなけーねもありかもしれない
最新→細心 と思われます。
少々ご都合主義的な部分が目立つのが少し残念でもあります(´・ω・`)
皆様コメントありがとうございました。
まず基礎部分をしっかりせねばなりませんね・・・。
皆様のアドバイスを参考にまた機会があれば何か書いてみようと思います。
テンションを維持しつつ上手く組み立てれるように頑張りたいです。
次回作楽しみにします。
選ぶなよ。選択肢にないルート(妹紅も知らない場所)でないと。