衝撃の出会いだった。
この八雲藍、長く生きてはきたが、これほどの衝撃を受けたのは数えるほどしかない。
はじめて紫と対峙し、式として仕えたあの日のように・・・・・・。まるで雷のような衝撃が私を突き抜けた。
「なんだい、それが気に入ったのかい?」
くいっとメガネの位置を直す店主、森近霖之助。
外の世界から流れてくるものを扱う香霖堂の店主である。
私が店にきてからも、彼はずっと本に目を落としていた。
こいつは物を売るつもりがあるのだろうか? いいやない。
今になって商談モードに頭を切り替えるとはいくらなんでも遅すぎるだろう。
「そいつは優れものでね、使い方や名称が書かれているんだよ。
もちろん優れものであることは間違いないけれど、私にはそれは必要ないんだ」
そういってまた、本へと目線を向ける店主。
・・・・・・前言撤回、どうやら見抜かれているようだ、私が目の前のものを心底欲しがっていることを。
客が物をほしがっている、それをいいことに言い値でとことん吊り上げる。
店主の提示額をいかにして崩せるか、香霖堂での買い物は、客側の交渉術が試される。
バトル、スタート
「店主、消耗品である限り、これはそう高くはないと思うのだが」
「何を言っているんだい、八雲の式。君はそれを欲しがっている、必要としているんだろう?
物の価値というものは需要と供給、希少性と有用性が大きな要素を占めているんだ。
その物品は幻想郷では作り出せない技術のもの、希少性は極めて高い。
それに君にとってはとてつもなく有用なんだろう? それならば高くなるのは当然じゃないかい?」
矢継ぎ早に言い立てる店主。
まるで言葉を用意していたかのように。
しかし私も負けじと言い返す。
「店主、この物品は約330回使用できるらしいな。
その1回分の値段をまずは決めなければ話にならないと思うのだが、いかがだろうか」
「面白い見解だね。同意しよう」
私のペースに持ってこれた。
このまま一気に持っていく!
「そうだな、どれほどの効果があるかはわからないけれど・・・・・・。
1回分に3銭は出してもよいと考えているんだが」
3銭あれば、茶屋で一服できる。決して安い額ではない。
店主はそれを聞き、目尻を上げる。
「効果は相当にあるよ。1度試してみたが、1回10銭の価値は間違いなくある」
そういって、また目線を本に落とす店主。
私の提示額の3倍強を提示するあたり、自信のほどが伺える。
しかし、まだ甘い!
「ほう? 店主にはさほど有用性が見受けられなかったのでは?
ならば、その提示額は店主の想像であって、妥当とはいえないと思うが」
「君の立場になってみれば、だよ。
それに・・・・・・。それは間違いなく、外の魔法使いが作り出した薬の類だろう、それは
野菜やトウモロコシからそんなものができるなんて常識では考えられない」
被害を最小限に抑えられてしまった。
それどころか、希少性を上げる発言で切り返してくるところは歴戦の戦士というべきか。
しかし、まだ引き下がるわけにはいかない。
「いかに劇的な効果があろうとも、消耗品は消耗品。
幻想郷にだって、これの代用品になるようなものはいくらでもある」
「君は、その代用品が効かないからこそ、それに頼ろうとしているんだろう?」
「うっ!」
痛いところを突かれてしまった。
実際その通りなので二の句が告げない。
「それに、僕はそれを非売品にしたっていいんだ。
しばらく買い手がつかなければそうするつもりだったしね」
どこか勝ち誇ったように、しかし口調はあくまで淡々と語る店主。
勝負ありか・・・・・・。
「店主、提案というか、嘆願を聞いてもらえないだろうか」
「なんだい?」
「もし、1度使って効果が上がらなければ・・・・・・。
9割ないし、8割で引き取ってもらえないだろうか」
「ああ、構わないよ、8割ならね」
被害を最小限に抑える交渉が成立した。
それに乗じて、もう一度値段交渉を開始する。
「それに、値段のことだが、やはり10銭は高い。1人分の食事を1日賄えてしまう」
「たしかにね」
「いかに劇的な効果があろうとも、やはり私には5銭以上は支払えないのだが」
5銭でも、私にとっては相当な妥協である。
330回を円に直せば約17円、いつだか紫様が買った服の1着とほとんど変わらない。
店主は、しばらく何も言わず、時折本のページをめくるだけだった。
嫌な沈黙が流れる。
しかし、ここで私が折れて高い値段を提示すれば、それは向こうの思う壺だろう。
この勝負、さきに動いたほうが負ける!
永遠にも思える沈黙がお互いの間に流れた。
冷や汗がたらりと流れる。
「仕方ない、1回分5銭で手を打とう。端数は切り捨てで16円。それでいいかい?」
交渉、成立。
完璧だ、見つかったときの言い訳も考えてある。
「これは除菌ができるので、冬眠中のお布団の管理に役に立つのです」
そういえば紫様もきっと納得してもらえるだろう。
しかし、唯一の懸念はこれの効果である。
それに関して私は、一世一代の実験を行うことにした。
シュッ、シュッ
靴下にかかる霧。
効果が出るのをまってから、恐る恐るその匂いを嗅いでみると・・・・・・。
「うおおおおおおお!! すげええええファブリーズ!! ババアの靴下がくさくねえ!!」
「なぁに藍、そんな大声だして」
<続かない>
いまだに胡瓜依存症が治らない霊夢に泣いた。
便利だよねファブリーズまだまだ幻想入りはしないでね。
うちではまだ現役なんだがなぁ・・
タイトルに納得
前作を知ってるとニヤニヤできるのがいいですね
ところで更新ラッシュが続いてますね。読む側としては嬉しい限りなのですが、無理はなさらぬ様。
霊夢はきゅうり味のビール飲めば良いよ!!
ファブリーズとは予想外。そして最後で吹いたwwww
らんしゃまドンマイwwww
藍しゃま、その地雷は危険すぎますよww
盛大に笑った!!
ファブリーズってば最強ね!!
そして霊夢は、まだ依存症が治ってないのかw
仮にも主にババアてwww普段の紫の靴下はそこまで臭いのか…
もっと何か別のものだと思って読んでたら…。
いくら効果がすごいからって藍様暴言吐きすぎ
無茶しやがって…(AA略
>匿名0点
気にしないのが一番かと。
きちんと評価してくれる人はしてくれます。
だがあえて言おう、私の中ではあれはファブリーズでも無理(ピチューン
タイトルの意味がわからなかったがコメント見て納得
気づくと私も凹みますがまぁ、慣れるしかないかと。
そういうのに負けずに書くことが一番だと思います。
内容ですがこの結末は考えてなかった!まさに予想外。
明らかに確信犯かも??知れない・・・ www
いい笑いのセンスですよこれwww
結局「紫の靴下」との二次創作オチに落ちついちゃいましたか…
そろそろ自分独自のネタで勝負して欲しいな、と思う今日この頃。
完全オリジナルネタは胡瓜霊夢しかいないんで、精進したいと思います。
ありがとうございます、励みになります。
というかファブリーズってとうもろこしから出来てたのか…。
凄いね人間界科学。
使い古しのネタってのは使い古されるだけの意味があるってことなんだがね
羊さんは特に気にせず次の作品を書いてくださいな
楽しみにしてますよ
つかここって2次創作を投稿する場じゃなかったのか・・・?
それと「言い値を吹っかける」という表現はないかと。良い値の誤変換でしょうか?
売主の希望額って意味なんですが。
値切り交渉シーンも地味に良かったです。
落ちでかなりワロタ
味噌汁が危ういことになりそうだったよ……。
ゆかりんは少女臭だっつってんだろ!駄裸厨!
このテンポの良さが羨ましい……っ
テンポの良さもつぼすぎるwww
半年近く暮らせる値段…?店主恐ろしや。
悠々自適生活の費用はこうやって捻出していたのか!
面白かったです。
値段交渉のシーンが結構良かったですね~。
バレたらどう考えてもアウトだろwwww