飛翔。青空の中を突き進み、時折には雲の中を泳ぐ。
今日は大漁だと、腕に提げた袋の重みに満足げな笑みを浮かべながら、霧雨魔理沙は家路を急いでいた。攻めるならば火の如く、とんずらこくなら風の如く、である。
しかし、まだまだ遅い。
そう思って魔理沙は、愛用の庭箒に送り込む魔力を強めた。そしてそれに答えるかのように、頬を打つ風は強くなって行く。
それでもまだ遅い。
目指すのは、流星だった。
たとえ一瞬で燃え尽きようと、人の心を動かす光を放ち、そして音よりも速く駆け抜ける。
「そう言えば……」
ふと唐突に。
魔力ってのはその人の願望の体現みたいなものだと、誰かが言っていたのを思い出した。
友達の少ないその誰かは、魔力で沢山の人形を操っていた。つまりそれが彼女の願望を体現しているのだろう。
ならば、
――私はどうなんだ? ……たぶんあいつとあんまり変わらないな。
笑みが消える。
結局は、誰かに自分の努力を認めて欲しかったのだろう。たった一回でもいい……。今まで一度も、誰からも、認められたことなんてなかった。
だからこそ、流星のように派手で、流星のよう儚い魔法を好んでしまうんだろう。
「はあ、センチになるなんて私らしくないぜ……」
呟いて自嘲。
本当にらしくない。
自分はただハジけるだけだ。結果なんて、評価なんて糞食らえ――結局はそういうことなんだ。
そうだ、頭を空っぽにして、今は速くなることだけを求めればいい。
速度を上げる。
どんどん上げてゆく。
いよいよと強くなる空気の抵抗に、帽子は浮力を持ち始め、自由を求めてばたつき始める。それをむりやり手で押さえつけ、さらに魔力を箒につぎ込んで行く。
制御もへったくれもなく、ただ乱暴に。心赴くまま。
速く、速く、
流れる星に追いつけと。
今はただ、追いつきたい――
そして壁を突き破る。
白熱。
眩い尾を引き、駆け……
白昼の青空に一筋の光。
その一瞬、幻想郷の時の流れが、
ぴたりと
今日は大漁だと、腕に提げた袋の重みに満足げな笑みを浮かべながら、霧雨魔理沙は家路を急いでいた。攻めるならば火の如く、とんずらこくなら風の如く、である。
しかし、まだまだ遅い。
そう思って魔理沙は、愛用の庭箒に送り込む魔力を強めた。そしてそれに答えるかのように、頬を打つ風は強くなって行く。
それでもまだ遅い。
目指すのは、流星だった。
たとえ一瞬で燃え尽きようと、人の心を動かす光を放ち、そして音よりも速く駆け抜ける。
「そう言えば……」
ふと唐突に。
魔力ってのはその人の願望の体現みたいなものだと、誰かが言っていたのを思い出した。
友達の少ないその誰かは、魔力で沢山の人形を操っていた。つまりそれが彼女の願望を体現しているのだろう。
ならば、
――私はどうなんだ? ……たぶんあいつとあんまり変わらないな。
笑みが消える。
結局は、誰かに自分の努力を認めて欲しかったのだろう。たった一回でもいい……。今まで一度も、誰からも、認められたことなんてなかった。
だからこそ、流星のように派手で、流星のよう儚い魔法を好んでしまうんだろう。
「はあ、センチになるなんて私らしくないぜ……」
呟いて自嘲。
本当にらしくない。
自分はただハジけるだけだ。結果なんて、評価なんて糞食らえ――結局はそういうことなんだ。
そうだ、頭を空っぽにして、今は速くなることだけを求めればいい。
速度を上げる。
どんどん上げてゆく。
いよいよと強くなる空気の抵抗に、帽子は浮力を持ち始め、自由を求めてばたつき始める。それをむりやり手で押さえつけ、さらに魔力を箒につぎ込んで行く。
制御もへったくれもなく、ただ乱暴に。心赴くまま。
速く、速く、
流れる星に追いつけと。
今はただ、追いつきたい――
そして壁を突き破る。
白熱。
眩い尾を引き、駆け……
白昼の青空に一筋の光。
その一瞬、幻想郷の時の流れが、
ぴたりと
↓のひとはトップの注意書きを読むよろし
短い中にも充分に魔理沙らしさが出ていたんじゃないでしょうか(後書きのオチも含めてw) 面白かったです。
ただ惜しむらくは短すぎて評価に困る点ですね。正直何点をつけていいか相当悩みました。
短すぎる! と評してしまえば40点。あっさりしてるね、で評してしまえば70点だったので、間を取って55点。+αで60点ということで。
魔理沙らしくていいと思いますよ。
でも、雰囲気は良かったです。
いつしかリライトするとして、
次回作にご期待ください!! かな。GW辺りにはなんとか……