Coolier - 新生・東方創想話

フランドール羽ばたく

2008/04/12 07:56:45
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注・オリジナル設定てんこ盛りです。
























 う゛ーーーー

 レミリアは唸っていた。
 
 彼女だっていつもフランドールと姉妹げんかしたり、咲夜に我が侭言ったり、パチュリーと悪巧みをしたり、美鈴の胸を揉んだりなんてしているだけで日々を過ごしている訳では無い。

 ここは地下執務室、日光など決して入らずカビ臭くほこり臭く土臭い実にもって吸血鬼に優しく快適な環境を実現したここは、24時間レミリア本人をこき使うためにレミリア自らがフランドールの旧部屋前に設計造成したレミリアとって快適な刑務所である。閉塞感といい規律正しく無理に仕事するところまで刑務所そっくりである。
 現在はレミリア在住なので解除されているが、使われていない時は旧フランドール寝所と同じ術式で守られている。金庫の如く警備厳重なこの部屋はレミリアが手ずから書いた重要書類や閲覧禁止ファイルや極秘報告書のたぐいで埋め尽くされている。魔理沙なぞには興味は湧かなかろうがハクタクやあっきゅんなら今までの彼女らの研究成果を覆すほどの衝撃になるだろう。
 まぁごく稀にファイルが消えたり戻ったりするがそれを気にすると負けだと思っている。此奴だけはどうにもならん。
 まぁマヨイガの納屋に住んでいるコウモリは「私」だし(押し花ならぬ押しコウモリをカラダから分けて造ってファイルに挟んでおいた、気楽にパクるから隙も出るんだ馬鹿め)橙が集めている猫の一部はパチュリーの使い魔だし、狐目の女の10本あるシッポのうちの一本はシッポのふりしてふよふよと飛んで付いてきているアリスの人形だったりする。他にリグルや幽香もなにかやっているフシがあるし、どんなにサーチしても掴めないが永遠亭勢力がここを放って置いてる訳は無い。
 人を騙そうとするヤツは自分は騙されないと思ってしまう錯覚があるが、マヨイガは上から下までかなり油断している。国家に一台欲しい八雲一家であるが欠点は危機意識だろう。全くニヤニヤが止まらない。
 それはそれとして情報収集も心がけの一つである。部下の報告を鵜呑みにするのは間抜けだが、トップに祭り上げられると周囲に部下しか居なくなる。部下は部下の都合の良いよう行動しているに決まっているし、そうで無ければ却って不自然だろう。
 権力者はいつも孤立する。しかし3桁を普通に生きて5桁は現役で活躍する気満々の妖怪だらけの幻想郷で、権限を手放すやる気の無い妖怪など考えにくい。ギラギラしてこそ物の怪だ。悟り澄ましてしまうにはこの世はまだまだ面白過ぎる。そうして八雲紫や因幡てゐみたいな精一杯無理をして若作りする腹黒不良の年増ができあがる。
 強いものはますます妖力を増して強くなる。狡猾で煮ても焼いても食えなくなる。そうして部下がモノ足らなく思えると隠居はおろかあんな部下に任せられるか頼りないと思い詰めてしまう。するとどうしても幻想郷は独裁主義者の巣窟になる。
 公的と私的の境界もあまり無く、公文書というものは基本存在しない。トップの意志が決定事項になる世界で公文書は無意味である。ゆえにレミリアに限らずやりとりは全て手紙形式である。
 儀礼的な挨拶から前回の連絡についての感謝、社会情勢についての話題とまぁ意味の無い箇所をざっと読み流し、返事にこれまた意味の無い時候のたよりと忠誠を賞め働きぶりを讃える儀礼的なお約束を読み流される虚しさに耐えつつガリガリと鵞ペンで書き記し妖精秘書にインクの乾燥させ、処理した手紙の方はファイル担当妖精秘書にまわしつつ乾燥が済んだ手紙は灯りのろうそくを垂らして封蝋を押して決済済みに放り込む。ペーパーナイフも使わず爪で新たな手紙の封をスッパリ切ってまた新たな便りを読み下す…
 潜入させた草の報告書を頭に叩き込んだのち蝋燭の炎で処分し、該当分野のファイルを数冊持ってこさせて分析の検討と戦略の変更を行い、余白への書き込みと付箋でファイルを分厚くしながら該当部署に指令書という名の手紙を書く。
 ここで命令するだけでは部下も提携相手もついてこない、中立組織や外交相手はなおさらである。なにせ書かれる手紙は私信でもあるのだ。士は自分を知るもののために死ぬという。それほどでなくとも気に掛けることがなければ関係は急速に冷えてしまう。
 指示や要請一つだすにも相手を思い出しつつ手紙を書く。
 なにせ手紙である。代書がゆるされるなら代書させたいが、もうレミリアの筆跡でないと本物の指示では無いとみなされてしまう。
 さらにはデーモン・ロードたるレミリア・スカーレットに誼を通じておきたいと幻想郷中の有力者から意味の無い社交的なだけの手紙も送られてくる。相手にする暇など無いと思うがそこは吸血鬼、強力であればあるほど退治圧力も強くなるし弱いと今度は安住すらおぼつかない。つまり引くも押すも出来ない分は外交や社交など駆け引きに掛かる。なにがどう転ぶか分からないから返事は失礼の無いようかつ種族が違うので考え方やとらえ方も違うため相手のレベルにいちいち合わせてああでもないこうでも無いと考えて綴らざるを得ない。
 どうやら手紙という名の業務は増える一方で減る気配は見せない、世の中が便利になれば仕事が減るかというとそんな事は絶対に無いと軽く五百年は生きてきた経験からも断言できる。機会あれば機時あり、なにか便利なものが出来たら便利になった分の仕事が増えるのが道理で、もし世界の裏側と話が出来るようになれば世界の裏側からも仕事が湧いて出てくるのはもう間違いない。そんな事がこれから一年二年五年十年数百年と延々続くかと思うとああもう心の底からやっていられない。
 ダメだ、休もう。

 チリンチリン
 「お呼びでしょうか、お嬢様」
 鈴を鳴らすと待つまでも無くメイド長が飛んできた。
 咲夜イヤーは地獄耳、たとえ地下の奥であろうと主の呼びかけに気づかない事など無い。

 「ローズティ蜂蜜垂らして、血は抜きね。摘むものがあればそれも。あと仕事が終わったらパチュリーに逢いたいから先触れしておいて」

 「かしこまりました」なんて一礼したら、もうポットからお茶が注がれている。
 血の栄養より今は心の栄養だ。
 パラの芳香と蜂蜜のわずかな鉄分が気力を少し取り戻してくれる。
 うん、生き返る。

 メイドとしては完璧、でもお茶では私の仕事は減らない…
 咲夜は信頼しているが活躍できるのはあと50年、半世紀程度しか見込めない。
 知性ある手伝いに慣れてしまうと後が大変だ。
 今は書類の内容はおろか字を読む気もない妖精メイドに作業だけさせているのだが…
 根本からどうにかしないとどうにもならない。





 夏のビーチもかくやの神経を削る執務をようやくやっつけた。
 そういえば降り注ぐ太陽光線に裸形を晒したままで瞑想し、莫大な水量がよせて返す「波打ち際」とか言う流水ポジションで、塩で清められた水に浸かるという修行にあれだけ自発的参加者が集まるなど、人間はどれほど苦行好きなんだろう。
 寿命が短くても魔力がある訳だ。
 このような苦行を楽しむとかいう外の世界とはどれだけ恐るべき怪物が存在しているのだろうか。
 私だって精神力に自信はあるが、あんな過酷な環境では二分と持たない。

 それに比べれば今の状態はまだマシだろうと自分を慰めつつ、疲れた体を引きずり執務室角を曲がった突き当たりのペーパーワールド魔女の巣にカラダを押し込む。

 相談相手は紅魔館の筆頭相談役、パチュリー・ノーレッジ女史。
 こちらが死ぬ思いで文字を埋めて精神のダメージでうっかり消失するのでは無いかという心持ちだっていうのに、百年三万六千日嬉々としてかつ淡々とペンを綴らせている。
 私が誰かを頼るならインクをすすって生きている彼女しかない。そこ、友達少ないなどと言うな。


 「顔色悪いわよ、翼もしょぼくれてるし。話なら起きたら聴いてあげるから寝たらどう?」
 顔を見るなりそんな事を言い出した、ああ友達って有り難い。心遣いはありがたいけど。

 「寝たらまた何時もと同じなの。
 泥のような睡眠からサッパリ覚めて
 咲夜の淹れた紅茶のんでハッキリして
 美鈴のおっぱい揉んで性的な意味でスッキリにこやかになってしまったら
 もう泥のような修羅場なんていい思い出になっちゃう」

 「そうして修羅場は繰り返されるのね、人類も妖怪も進歩しないハズだわ」

 面白い話題だがここでパチェの話に乗ったらダメだ。
 例大祭参加者は耳が痛かろうなどと返事したら話があさってに飛んでしまう。
 話をふくらましかつ脱線させる才能は上位にランクするだろう。
 会話はともかく相談には注意が必要ね。

 「パチェの協力もあって紅魔館の勢力は好転しているわ」

 幻想郷で勢力を張るにはいかに旗下に人材を集めるか、その一点に尽きる。
 この世界はなにをするにも人材が必要で、イベントのような特殊な話だけでは無く日常業務・生活から生産活動に到るまでどの分野でも人材が大量に必要となる。
 ゆえに有力者は人材を集めよう取り込もうとするし、自分の立場を高め足場を固めるためにも人材を集めておかなくてはならない。

 だが人材はどこも手不足だ。
 質量とも満足している場所は妖怪山くらいしか無いが、かなり排他的な行動を起こしているので実情は権力闘争や内紛があるかも知れない。
 どこも人手不足で厳しいのだ
 特に冥界と彼岸など職務内容と合わせ殺人的を越えて何故彼女たちが生きていられるか分からないが、そう言えばもう向こう岸のヤカラだっけ。

 他に人材が足りないのは小規模独立勢力が多すぎるのも理由だろう。
 3つの組織で30人優秀な人材がいるのと15の組織で30人優秀な人材がいるのとでは逼迫度合いが違う。

 パチュリー・ノーレッジとヴワル大図書館はそんな人材逼迫が限界に達している幻想郷で、魔理沙とアリスという最優の人材を引きつけた。
 この二人は傘下に入らなくても出入りしてパチェと三人親しい様子を見せるだけで遍く威厳が行き渡る極悪レベルだ。

 パチュリーも頷いた、そんな諸々の事を言わなくてもこの魔女には分かっている。
 「魔理沙には寿命があるわ」
 私も応える。
 「咲夜にも寿命がある」

 短い応酬で意見の交換は済んだ
 百年の知友というものはつくづく有り難い。
 多くを語らなくても今日執務が終わるなり来訪した理由を推察したのだ。
 そして意見が一致した、最大の懸案を片づけるのは人材に余裕のできた今しか無い。

 「フランを独立させようと思う」
 当たり前のように言葉が返る。
 「補佐は美鈴しか居ないわね」

 フランの補佐は美鈴しか無い。
 慈愛に満ち包容力があり、トラブルの解決に長け交渉力が高く、世事に詳しく知己が多く、精神的に余裕がありかつ頑丈である。
 幻想郷を彼方まで探したとしても、美鈴以上にフランドールの補佐に適任な存在を探すのは無理だろう。

 「博麗に連絡が要るわね」

 フランに任せる仕事と言ったら荒事である。
 紅魔館最終兵器幼女フランドール・スカーレットが金の髪をなびかせ宝石の翼をはためかせて騎行すれば、紅魔館に頼ろうとする勢力は鰻登りに増えるのは間違いない。
 しかしその前にうかつに仕掛けて後悔とともに消滅する勢力もいくつか出てくるだろう。
 博麗への連絡は絶対に必要となる。

 「最初は魔理沙やアリスにも手伝ってもらいたいかな、フランと仲がいいし」
 美鈴が荒事の処理とその後の布石を打っている最中、フランドールは放りっぱなしになってしまう。
 妖精メイド以外の知恵と常識があって、かつフランが粗略にできない目付役が必須となる。
 この二人に頼めればなし崩しに相互の連帯が高まり一石二鳥だ。

 「うん、私もついてゆこう」
 とパチェは言ってくれるが。
 「体力もつの?」
 「同じ場所に絶対居る連絡要員ってのは必要でしょ」
 飛び回る気は無いらしい。
 
 「と、すると代わりの門番をどうするか…」

 問題はここになる。
 門番と簡単に言うが紅魔館の門番は世間でいうガードマンでは無い。
 対外活動を一手に担う重責で、国家でたとえるなら防衛と外交と通商を併せて担当していると言ってもいいのだ。

 しかも按配が難しく、たとえば防衛に注力すれば人が寄りつかなくなり経済活動が低下する。
 防衛をおろそかにすると権威が低下するし場合によっては暗殺もありうる。
 締め付けを厳しくすると来訪されることも無くなってしまうし、かといって甘くすると舐められる。

 幻想郷で新参の紅魔館が昔からあるようにすんなり受け入れられたのは、老練で人当たりの良い百戦錬磨の紅美鈴の功績によるものが大きい。

 まごうことなき悪魔の館を、それほど危険じゃないんじゃないかという処まで門から離れる事無くひっくり返すのに美鈴は何年も掛けて無い。

 あの人気と実力と如才なさは独立して人里にゆけば、十日で上白沢慧音をけ落とすことができるだろう。
 半年もあれば決定的だ。

 …おもしろいかもしれない…

 まぁ今はそれどころでは無いが、落ち着いたらちょっかいの一つも出してみよう。

 幻想郷紳士録(求聞史記)片手にパチェが唸る。
 大抵の人材はどこかしらに所属しているので登用は困難を極める。
 どの組織も有望な人材を見つける事に注力しているが、目立って強力で役立つ存在はそうそう落ちてない。

 「うーーーーーん、私もしばらく図書館から抜けるとなると手薄もいいところね」

 どうやらパチェは防衛力重視で人材を選定しているらしい。
 まぁ美鈴みたいに十全の門番など望むべくも無いからしょうがないのだろうけど。

 「くるみやエリーは?」

 なにせ門番経験者だ、渉外は期待できないが戦闘力はあるだろう。
 しかしパチェの返事はそっけない。

 「行方不明、夢幻館の封鎖を今行っているのか、もしくは存在自体が必要無くなったか。
 夢幻館の諜報は今のところできそうにないわね。
 あの付近一帯全ては表に出てこない限りどうなっているのか分からない」

 花が咲いている限り夢幻館付近一帯は逃げようもなく監視される。
 隙の無いシステムに孤高の精神、超絶の戦闘能力に戦闘継続能力。
 幽香に野心が無いことは我らが神ルシフェルに感謝せねばなるまい。

 「どこか組織を切り崩すのは」

 持ちかけてみたら興味を引いたらしくて紳士録からパチェは顔を上げた。

 「切り崩しが効くほどの大規模な組織は妖怪山くらいしか無いわね
 でも最近神社ができて和解と結束が進んでいると魔理沙が言っていたわ。
 今は向こうが波に乗っているからヘタは手出しは止めて、諜報と工作だけ進めておくのが良いわね」

 あ!ひらめいた。

 「神社と言ったら博麗はどう」

 パチェが怪訝な顔をした。

 「誰かいるのかしら、霊夢は協力に乗り気で無いわ」

 だからよ。

 「博麗は霊夢だけじゃ無い
 祟り神に魅魔、その弟子に魔理沙、巫女に霊夢、神獣に玄爺、居候に萃香までいて
 即時即決妖怪山にすらカチコミできる最大戦力保有組織だけど
 霊夢に自覚が無いから寂れきり廃れきっているじゃない」

 本気でやればこの戦力だ、紅魔館より幅を効かせていただろう。

 「組織として瓦解しているわね、ならばここは草刈り場と言っていいわ」

 パチュリーも賛同した。ならば行動は今すぐだ。

 チリンチリン
 「お呼びでしょうか、お嬢様」
 丑三つ時も早朝も悪魔の犬たるメイド長には委細関係ない。

 「玄関の扉を廃して神社の造成をし、併せて守矢の分社を建てるのでそのつもりで。
 ご神体に魅魔を迎える算段を付けるため、明日密かに私と咲夜で博麗に出向く、準備を。
 適当なものを立てて守矢神社に連絡、神社の造成と分社の寄付を行うと伝え…ああ今から私が書状に書く。
 神社の施工と分社の設定とあと後の内部工作を考える必要があるわね。
 建築と妖怪山工作のため人員と予算と物資の手続きをしなくては。
 だから魅魔を引き抜けても抜けなくても守矢に継続して連絡は取るわ。
 玄爺も併せて神社で祭るつもりなので門周りの設計は湖を引き入れて行うように。
 それとはまた別に霊夢に会見を申し入れる、その時には咲夜も立ち会ってもらう。
 霊夢との会見はあさってになるが先に魅魔と会見したというのはおくびにも出さないように」

 かしこまりましたと咲夜が下がってゆく
 まぁこんなアバウトな話で物事が進む訳ないから、関係部署からまた問い合わせが殺到するだろう。

 「レミィ、もう寝たらどう。また明日から仕事になるわよ」
 パチェもそう思ったのか不健康の代名詞からドクターストップがかかる、って事は今の私は相当危険かもしれない。
 でもまだ棺桶に戻る訳に行かない。天蓋ベッド?今の私に見栄を張る余裕は無いっ。

 「まだよ、門番に門が無くなることを言わなくちゃ」
 「ならば私もついてゆくわよ」
 …ダメだ、私はよっぽどマズい状態にあるらしい。

 大丈夫のところを見せようと羽ばたきを入れたが飛べもしなかった。
 私の羽根はすでに私を支える力が残ってないようだ。
 パチェに引きずられるように館から外へ出る。
 喘息持ちだけど力はあるのよね、細いのに。
 外では星空と美鈴が私を待っていた。



 「私が来るのが分かっていたの?」
 問うと微苦笑で返事が返ってきた。
 「何百年もぼーっと門番していますとね、星の一つも読めるようになるんです」
 それは初耳ね。パチェも苦笑している。いま私もそんな顔をしているのだろうか。

 「ならば用件も分かっているの?」
 「そこまでは分かりませんよ。今日私になにか有るということと、私が門を守るのも最後だという事くらいでしょうか」
 そこまで分かるとは星詠みもたいしたものね。

 私はもうダメっぽいのでパチュリーに説明をお願いして、私は美鈴のおっぱいに顔を埋めてねぶねぶしていた。
 魅魔さんを引き抜けなかったらどうするんですかぁという美鈴の声が聞こえる。
 魅魔が引き抜けなかったら噂のカエル神でも引き抜くか。一社に二柱もいらんだろう。
 こっちには湖も隣にあるしカエルに優しい環境だ。
 しばらくして背中をつつかれる、説明は終わったらしい。あぁ美鈴のおっぱいが名残惜しい。

 パチュに聞かれる。
 「ねぇ、貴女には運命がどう見える?」

 美鈴にならって星空を見上げ運命を読み解くと、瑠璃色の空が涙で滲んで見えにくくなった。
 涙声にならないように答えようとして、失敗してしまった…

 「輝かしい時代が見えるわ、これから黄金の時が流れる。
 フランは…フラン達は私をおいて遙か先に行ってしまうのね…」
 
 しんみりしているところに美鈴が聞き覚えの無い不思議な節回しの言葉を紡いだ。

 「円(まど)き光は未だ満たざるに、衆星燦として以つ繁し」
 「なによ、それ」
 「私の国の詞ですよ。月はまだ満月になってない、将来への希望ですね。星は私達です。世界は今暗くとも我等の多くは輝きを失わないで有ると言う意味でしょうか」
 パチュリーが聞いた。
 「続きはあるの?」
 「『志士は世業を営み、小人もまた閑ならず』と続きます。
 志のあるものは世に残る仕事を行い、たいした事の無い者も暇ではない、やるべき事があるという意味ですね」
 
 …たぶんいいことを聞いているのだろうが頭がもうはっきりしない。今日のところは寝るしか無い。
 このまま寝たら美鈴の手を煩わし、咲夜が美鈴にナイフを投げ、パチェが興味ないと座って本を読む振りをしつつニヤニヤ騒ぎを観察するのだろう。
 私が騒ぎに入れないのは残念だけど、今日の夢には空を翔るフランドールが出てきそうだから勘弁してあげるわ。

 お休み、パチェ、美鈴…
 
煮詰まった感じを出そうとしたため改行が少ないのは仕様です。
前半読みにくいと世間もっぱらの噂ですが
この煮詰まった感じを出すにエラい苦労したのでこのまんまです♪

とりあえず後半は読みやすいよう手を入れてみました。
丸々
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コメント



0.1000簡易評価
5.50名前が無い程度の能力削除
確かに読みにくいけどこれくらいの文章量なら問題ないかと
6.70煉獄削除
内容はいいと思うんですけど・・・なにぶん改行されていないというのが残念です。
あえてそういう設定にしたのは良いのですが読みづらくなってしまうのは・・・。
7.80名前が無い程度の能力削除
別に良いんではないですか?
久々にまともな文章見ました。
一文一文から機知が伝わります、たぶん。
9.無評価名前が無い程度の能力削除
と思いましたが、
縦書きならまだしも横書きなので改行したほうがいいです
11.70名前が無い程度の能力削除
魅魔や玄爺を祭るのに、なぜ守矢の分社?
博麗じゃないの??

>多すぎるもの理由だろう
 多すぎるのも理由だろう
12.-30名前が無い程度の能力削除
前置きが長くごちゃごちゃしててよく解らなかった。
自分の読解力が無いのも有るけどこれで完結してるのか続きがあるのかもよく分からない。
13.10名前が無い程度の能力削除
改行というか句読点が少なくて典型的なスパゲッティ文になっているような。
後半はとてもよかったですけど、冒頭付近ではカオスssかと思いました。
14.80名前が無い程度の能力削除
いやいや、厳しく評価されてるみたいだけど結構エポックな設定の作品だと思います。次回作が楽しみな作家さんがまた一人。
15.90名前が無い程度の能力削除
丁寧で、おもしろかった
17.70名前が無い程度の能力削除
確かに読みづらいが内容は面白かった。
ぜひフランが独り立ちしていく話を書いて欲しい
19.無評価丸々削除
名無し様お一人目>ありがとうございます
しかしやはりこれ以上の文章量でこれより厳しいものを書くのは無理ですね…

煉獄さん>煉獄さんに読んで頂けるとは嬉しい限りです。
読みづらい設定に許容範囲は無いと思ったほうが良いのでしょうか…

名無し様お二人目>ありがとうございます。
文章が文章に掛かっていたり、古典からのパロディとか結構苦労いたしました。
ううっ、改行と句読点の使用を制限したのはは評判悪い。

名無し様お三方目>該当箇所に手を入れてみました。
誤字指摘感謝、あんなに見直したのに…
人間の能力なんてこんなものよねぇ

名無し様四人目>仕事しているレミリア様は前置きでは無く本文っす
中盤から後半が落ち扱いです。

名無し様五人目>目指せカオスSS!
あとスパゲティでというのが良くわかりませんが、私的には不揃いなネタを重ねて作るラザニアをイメージしております。

名無し様六人目>お褒めの言葉感謝
後書き(抹消入れ替え済み)であったように厳しい意見が来ることを望んでおります。
点数が少ないのは厳しいですが…
発表したからには読んでほしいものです。
たしか私の投稿はこれで四作目…かな。
楽しみと言われたのは始めてで舞い上がっております。

名無し様七人目>有り難いメッセージです。
カオスは作るの大変なんです!
前半と後半では手間は10倍以上違う。
前半は構想何週間ですが、中半から後半は流して二時間弱といったとこでしょうか。
そこ、遅筆などと言わないで。

名無し様八人目>話としてはこれでおしまいでしたが、合計点数が信じられないほど高いので続きは少し考えてみます。
資料はあるので抗争…じゃなくて構想は練れそうなので。

今まで書いていたもの四つは廃棄の方向ですね。
(落ちが無いので完成して無い)
この作品で読みにくいならストックの作品は手の打ちようが無いな…
これくらいなら大丈夫とか甘い考えは今後無しにしてみましょう。