Coolier - 新生・東方創想話

こぁ日記

2008/04/05 23:59:12
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※これは地下に存在していた寂れた図書館に落ちていた一冊の本の内容を抜粋したものである。



9月21日 

誰も来ない図書館ではいつも暇が生じる。
だから私は日記をつけることにした。
なにもないと思っている日も日記をつけ、今日を振り返ると新しい発見があるらしい。

今日はまた図書館に魔理沙が来た。
邪魔するぜ、といつもどおりのセリフを言いながら図書館に入ってきた。
そしてお目当ての本を物色し始めた。
本を手にとっては中身を見て、お目当ての本でなければ床に放り投げる。
取り出した本は元に戻して欲しいものだ。
パチュリーはその様子を見ながら、魔理沙になにか言おうとしているが、思いとどまっていた。
毎度ながらじれったい。
気持ちは分かるが、なぜ一歩踏み出せないのかが分からない。
そんなことを思っていると魔理沙はお目当ての本が見つけたのか、大声で嬉しそうに叫びだした。
私もパチュリーも驚いて身体を強張らせた。
借りていくぜ、と言って本を大切に抱きしめながら図書館から出て行った。
借りたモノは返すのが道理のはずだが、魔理沙は一度も返しに来たことがない。
私は視線を図書館に戻す。
そこにはいつもどおり、一つの小さな本の山ができていた。
私はため息をつきながらも本の整理を始めた。

半分以上が片付いたとき、ふいにパチュリーの方を見る。
彼女はまだ魔理沙が出て行った扉を見つめていた。
ここまでくると呆れるものだが、その見つめる瞳はまるで恋する乙女のようだった。
だが、こっちの手伝いをして欲しいものだと思いつつ、私は残りの本の片付けを再開した。

いつも通りの日だった。
いつもと違うことは、久しぶりに外に出てみたことだ。
空を見上げると退屈を吸い込むような広大な蒼が広がっていた。










9月30日 

今日はフランドールが図書館に訪れた。
なぜかその手にマジックを持ちながら。
どうも大雨のせいで外に出れず、暇を持て余していたようだった。
私は身の危険を感じ、すぐに姿を消した。
彼女はオモチャを探すような眼つきで図書館を徘徊しだした。
私は気づかれないようにその姿を眼で追った。
すると彼女はオモチャを見つけた。
珍しく昼寝をしていたパチュリーだった。
彼女の手にはキャップを外したマジックが存在し、その手はゆっくりと寝ている少女の顔に近づいていった。


フランドールはオモチャをいじり終わったのか、笑いながら図書館から消えていった。
私は姿を現してまだ寝ているパチュリーに近寄った。
彼女は私の気配に気づいたのか眠たそうな眼をこすりながらこちらを見る。
私は彼女の顔を見た。
ヒゲが書かれていた。
なぜが似合っていたので、私は笑いそうになったが、なんとか我慢した。
だが、それに気づいたのか彼女は私になにがあったのか聞いてきた。
真剣な表情で詰め寄ってくる彼女の顔はこれまた可笑しいもので、私は我慢できずに笑ってしまった。
彼女はなぜ私が笑っているのか分からなく、それでいて知りたいらしく、私の顔を覗いてくる。
彼女が自分の顔に書かれたものに気づくまで、私の笑いは止まらなかった。

さっきまで聞こえていた雨の音は、こんなつまらないことでいつの間にか聞こえなくなっていた。








10月17日

月の姫が言うには、今日はオンラインゲームというものの記念日らしい。
どうでもいいことだ。
私はパチュリーの薬を永琳にもらいに永遠亭に来ていた。
部屋の隅からおかしい数の兎がこちらを見ている。
そこまで外の者が珍しいのだろうか。
なぜか一匹だけなにかこちらを睨んでいた。
私は居心地が悪くなったので、さっさと薬をもらって永遠亭から逃げ出した。
永遠亭から出るときに見た、月の姫と睨んでいた兎が嬉しそうにこちらを見ながら手を振っていたのを思い出すと今でも腹が立つ。


紅魔館に戻ってきた私は、その薬をパチュリーに渡した。
この行為を今でも後悔している。

私が新しく入ってきた本を整理していると、背後に人の気配を感じた。
私が振り向くとそこにはパチュリーが立っていた。
声を掛けようとしたら、彼女は私を押し倒した。
私はいきなりのことに戸惑い、慌てた。
彼女がブツブツとなにかを言っているのに気づき、その声に耳を傾けた。
魔理沙魔理沙、と呪文のように女性の名を呟いていた。
彼女の顔は紅く染まっており、妖艶な瞳でこちらを見つめていた。
やばい、逃げよう
私の脳がそう叫んだ。
だが、彼女はありえない程の力で私を押さえつけてきた。
彼女のうわ言が途絶えることなく私の耳に流れてくる。
私が全てを諦めたかけたとき
図書館の入り口が大きな音を立てて開いた。
そこには魔女の格好をした女性が立っていた。
笑顔で現れた魔理沙は、こちらに視線を移す。
そして、笑顔が消え、顔が徐々に赤らんでいった。
魔理沙が回れ右をして、図書館から逃げようとする。
助けてくれればいいものを・・・
ふいに身体に軽くなった。
魔理沙の方を見てみると、いつの間にか移動したパチュリーが魔理沙の腕を掴んでいた。
魔理沙はパチュリーの眼を見て、表情を恐怖に染めた。
なんとかパチュリーの手から逃れた魔理沙はその場から逃げ出した。
だが、パチュリーもそれと同じ速さで魔理沙を追いかけていった。
残された私は、着崩れた服を整えて、先ほどの出来事を忘れることに専念することにした。
遠くから魔理沙の叫び声が聞こえた気がするが、空耳だと思う。


永遠亭からの帰りに見た星空はとても綺麗だった











11月11日

今日は早めに寝ることにした。
今日のことを夢だと思いたい。
いや、夢であってほしい。

雷が鳴り響いた。
これも夢のはずだ。
早く覚めて欲しい。










11月12日

昨日は夢じゃなかった。
私は咲夜と同じ格好をして、館の雑務をしていた。
動きやすいのだが、羞恥心を駆り立てる格好だ。
今日は庭の掃除をした。
とてつもなく広く、終わったのは太陽が沈んだ頃だった。
なぜ私がこのようなことをしているのか。
館のメイド達の大半がなにかの病で倒れてしまって人手不足になったらしく、咲夜に強引に連れてこられたからだ。
咲夜の部屋に連れこまれたと思った次の瞬間には、私はメイド服に着替えさせられていた。
こんなことに能力を使うということは幻想卿が平和だからだろうが、やめてほしいものだ。
一週間、私はメイドとして働くことになった。
早く終わって欲しい。
曇り空のせいでさらに陰鬱になってしまった。
今日も早く寝よう。



似合ってる・・・かな・・・










11月16日

メイドも楽しいものだと思った私が馬鹿だった。
やはり恥ずかしいものは恥ずかしい。
いつもどおり私はレミリアに紅茶を運ぶことになった。
そして、レミリアの部屋に入る。
するとそこには見覚えのある影が複数存在していた。
幻想郷の魑魅魍魎たちだ。
それらが私を見た瞬間、鼓膜が破けるかと思うほどの笑い声が部屋に響き渡った。
可愛い可愛い、そんな声が聞こえてきた。
そのときはなぜ彼女らが笑っているのか分からなかったが、私の着ている服を見てその意味が分かった。
私は早足でレミリアの元に行き、紅茶を渡してすぐに部屋を出た。
紅茶を渡したときにレミリアが、褒められてよかったわね、とか言ってた気がする。
もうどうでもいい。
鴉天狗に写真を撮られてしまったのが一番の失態だ。
私は自分の部屋に戻って、すぐにメイド服を脱いだ。
もうメイドなんかにならない。


青空なんて大嫌いだ。








11月28日

へんなのひろった。









12月3日

きょうはリグルをこおらせた。
あたいったらさいきょうね!!!
あしたはカエルを凍らせよう!!!










12月11日

無くしていた日記を名も知らぬ庭師が拾ってくれた。
どういうわけか凍っていたので咲夜に頼んで時を
戻してもらった。
日記を読み返して、メイドになった日からまだ約一ヶ月しか経っていないことに気づいた。
この一ヶ月はとても慌しいことが起きてしまった。
今も継続中だが。
なにが起きたか簡潔に説明すると、フランドールが家出をした。
字面だけ見ると大変なことに見えるが、どこに居るかは分かっているのでそこまで大事でもない。
だが、居る場所が例の場所なだけにレミリアがの機嫌が悪い。
最初は自分の中でそのイライラを抑えていたようだが、二週間ぐらい経った日にフランドールから手紙が来た。
内容は、霊夢との日々の生活についてだった。
レミリアが手紙を焼き捨てたのを見た瞬間
紅魔館は地獄と化した。
いや、本当の地獄でチビの閻魔に説教された方がマシかもしれない。
気が付けば館が半壊していて、レミリアは月に向かって吼えていた。
それからは館の住人全員で館の修復作業にかかっていた。
そして今日、レミリアが家出した。
咲夜が面白いほど慌てていた。
私は無事だった図書館でいつもどおりに本の整理をしていた。


壊れた館から見た月は、綺麗な満月だった。










12月24日

主人のいない屋敷というのもまた面白いものだ。
咲夜が日に日にやつれていっている。
何日も食事が通らないと言っていたような気がする。
主人に刃向かわないあたりはメイドの鏡だ。
まぁ、このままでは命が危ないので明日あたり迎えに行くことにしよう。
パチュリーにも頼まれてしまったから。
早めに明日の準備をしておこう。



もう年の暮れ。
外には雪が降っていた。
明日は積もりそうだ。








12月25日

昨日の日記に書いたとおり、今日は雪が積もっていた。
私は単身で博麗神社に向かった。
いきなり出るのも芸がないので、姿を消して状況を把握することにした。
神社の庭は白銀の世界だった。
そこには三つの影があり、それらは雪だるまを作っていた。
霊夢とフランドール、レミリアだった。
私は二人が喧嘩でもして神社が全壊しているとばかり思っていたが、なにもなかったようだ。
と思った瞬間、爆風が起こった。
視線を三人に戻すと、姉妹が喧嘩していた。
怒鳴り声を聞いてみる。
どうやら霊夢の作った雪だるまの頭をどっちの体に乗せるかでもめているらしい。
なんというか、何百年も生きてるのに馬鹿だと思った。
しかし、霊夢はそれを分かっていたのか、頭を二つ、大きさは少しの狂いもなく同じのものを作っていた。
姉妹は喧嘩を止め、笑顔で霊夢に飛びついた。
三人の影は雪の上に倒れた。
私はしばらくその風景を眺めることにした。
空気の読めない悪魔などとは言われたくないからだ。
その後私は、遊びつかれた姉妹を連れて紅魔館に戻った。
初めは帰らないの一点張りだったが、霊夢が大晦日に宴会を開くらしく、そのときにまた来てくれと約束をしてきた。
姉妹は嬉しそうにまた霊夢に飛びつきにいった。
疲れたが、ほほえましい一日だった。


雪の冷たさと日光の暖かさでとても過ごしやすい日だった。











12月31日
1月1日


今日は大晦日。
一年の終わり、そして人生の区切り。
そんな日の夜、魑魅魍魎が博麗神社に集まった。
私もその一人だ。
いつも静かな場所が賑わった。
飲めや歌えやの大宴会。
人間がいて、鬼がいて、妖怪がいて
全てが自分を忘れて楽しんでいた。
私は行く気はなかったが、館で独り寂しくするのも悲しいものだと思い、参加す
ることにした。
ただ、私は酒が苦手だ。
しかしこの雰囲気を壊さないためにも飲まねばならない。
自分のせいで場が白けると言うのも癪だからだ。
しかしこの判断はとても浅はかだった。
一杯で終わるつもりが、周りの酒豪たちのせいで二杯、三杯と数を増やしていき
、気が付けば私は気絶していた。

何時間経ったのだろうか。意識が朦朧とする中で、不意に鐘の音が聞こえた。
私はぼやけた頭で考える。
年が明けたのだ。
鐘の音が鳴り響いているときは、誰も騒ぐことはなかった。
静寂が訪れた。
皆々が去年を思いながら、今年を考えている。
また一年が始まった。
私は起き上がり、空を見上げる。
また明日からいつもどおりの一年が、毎日が続くのだろう。
だがそれも悪くない。
月を見ているとそう思えて仕方がなかった。



心地良い風が吹き、それは鐘の音と共に私たちの業を取り払っていくかのように
思えた。








*ここから先は文字が汚れてあまり読めなくなっている









月 7日


広く感じる。
誰 いない
私 知っ 全 る。
だろうか。

空が紅い









月 5日

が なく った。
なに っている うか。
いつもどおり 壊れ

太陽 にいった?









月 9日


図書 だけにな
気がつけ 誰か ってい
関係 思いながら 恐 を じている。


月が消えた








月 2日


怖い
私 消えてしまう


紅が黒になった







月 6日


誰もいなくなった
私 独り

闇が訪れた







月 日


あいつ が人生 喰って
なぜ しているのか
私は 会いに した


闇は孤独を際立たせる






月 日









月 日










月 日







1月1日

















ご意見、ご感想、ご指示等があれば、よろしくお願いします。

眠いです。

多分4番煎じぐらいです。
ご了承ください。

追記

多数のレスありがとうございます
訂正いたしました
シーサ
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コメント



0.110簡易評価
1.-10名前が無い程度の能力削除
内容は嫌いじゃないですけど、もう日記って書いてあるだけでゲップが出そうです。
2.60名前が無い程度の能力削除
私の読解力だと何故
*ここから先は文字が汚れてあまり読めなくなっている
となったのかとそれ以降がわからなんだ
こういうのは好きな方なだけに本当に無念

繰り返してしまいますが、それ以前の部分はよかったし、それ以降も好きな感じでした。

>幻想卿の魑魅魍魎たちだ
 幻想郷の魑魅魍魎たちだ
3.50名前が無い程度の能力削除
確かに最近日記は多い気がしますが、別にいいと思います。
著者ごとに中身(でき)は違うし、中身が面白いかどうかがもんだいです!
と言いつつ、私も途中から分りませんでした
嫌いじゃないんですが
6.50名前が無い程度の能力削除
敬称を付けないこあさんは新鮮に感じますね~。
前半部分しか分かんなかったんですがそれだけでも面白かったです。結末が気になりますが私では辿り着けそうに無いのが口惜しい。
誤字らしきモノ
「優艶」→「妖艶」ではないかと。
7.50名前が無い程度の能力削除
チルノに笑った、リグルに泣いた
こういう小悪魔もいいですね!

ただ、途中からが
何かが起こったのは分かるのですが・・・
8.60☆月柳☆削除
後半が分からなかったです。
さて、この日記を抜粋した人物はいったいだれなのか。
そして後半に起きた出来事はいったい?!

紅魔館のその後が気になるところです。
10.50SAM削除
読みやすくて面白かったのですが、最後の方がわからなかったです。