Coolier - 新生・東方創想話

早苗の鳥獣戯画 03

2008/04/03 13:23:02
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 「ここが、今の私のウチ」

 「このでっかいウチがレイセンちゃんの…」


竹林のトンネルを抜けると、そこは不思議の日本家屋でした。

こっちでジブリって見れるのかな。
あー、テレビないんだっけ…。
トトロ…

なんて、現実逃避を始めてしまうぐらい常識ハズレの大きな家。
く、くやしい…でも…
うらやましかった。


















ご無沙汰してます、東風谷早苗です。
トウフウダニではなく、コチヤ。
麻雀とも全く関係ない。
間違っちゃやーよ。

さて、私は今永遠亭にいる。
というのも、先日のお礼ってことでレイセンちゃんからお茶に招待された。
友達からの誘いを断る理由もあんまりなく、神社での仕事を先に済ませた。

いやもう、先日食事の準備を怠った次の日の神様二人の食欲のエラいことエラいこと。
朝だけで米俵がひとつ(文字通り)神隠しに。
正直財政が不安でちょっと不安なので、気をつけることにしています。
サランラップかけてきたので大丈夫、なハズ。

ちなみに、二人は今日もお出かけしている様子。


 「どうかしたの早苗?」

 「ううん、ウチの神様二人どうしてるかなと思って」


ところで、レイセンちゃんが私の呼び方を変えた。
ちゃん付けは恥ずかしいとのことで、早苗と呼び捨てに。
なんとなく、友達としてまたひとつ距離が近づいた感がしてこそばゆい。

ちなみに私も呼び方変えようとした。

 「ウードンゲ!」

おもっきしビンタされた。
友達って不公平。
私は嫌いじゃないんだけどなあ。


 「それはいいとして、入って」

 「あ、おじゃまします」


玄関で靴を脱ぎレイセンちゃんについていく。
なんせ、広い。
めちゃくちゃ広い。
これだけ広いと掃除とかも大変だろうなと思う。
ていうか、この広さに私もすごく緊張してる。


 「今日レイセンちゃん仕事は?」

 「アナタを呼ぶから、って今日は休みにしてもらったのよ。

  あ、師匠も早苗に用事…っていうかお礼が言いたいみたい」

 「別にいいのに」


結局あのジョウロ見つけたのレイセンちゃんだし。


 「結果だけみるとそうだけど、手伝ってくれた過程が重要なの」


そう言って微笑むレイセンちゃん。
うーん、その笑顔が眩しい、眩しいよ。
その顔で一緒にプリクラとりたい。


 「やさしいねレイセンちゃん」

 「……………」


あ、照れた。
あ、赤くなった
お、そっぽ向いた。


 「うーわー、赤くなったレイセン様かーわいー」


レイセンちゃんがそっぽ向いた先にいたのは…うさみみ。
レイセンちゃんとは違って黒髪で、幾分年下に見える。


 「てゐ…」

 「今日お休みじゃなかったっけレイセン様、なんでここいんのかなと思って。

  そちらはお客様?」

 「そうよ、私のお客様」


てゐと呼ばれた子(?)は私に向き直ってにこやかに笑う。
その純真無垢そうな笑顔に、軽くたじろぐ私。
かわいいもんだって。
まあ、今ちょっとツンとしてるレイセンちゃんも負けず劣らずかわいい。


 「こんにちわウサ、私は因幡てゐウサ!よろしくウサ!」

 「こ、こんにちはウサ。東風谷早苗ですウサ」

 「早苗、うつっとるうつっとる」

 「ああしまったウサ、ごめんなさいウサ」

 「レイセン様この子おもしろいね」


はぁ、とあきれるレイセンちゃん。
ケラケラ笑うてゐちゃん。
そして、慌てる私。
なさけなや。



















 「輝夜様、師匠。

  東風谷早苗を連れてきました」

 「入りn」

 「少しそこで待ってて」


輝夜様ってこの屋敷で一番えらい人だろうし、師匠なんてれーせんちゃんがビビるくらい頭の上がんない人。
れーせんちゃんも表情が少し固い。
ちなみにてゐちゃんは無表情、私はれーせんちゃんにつられて笑顔をひきつらせている。


 「ほら、ここシャツ出てますよ」

 「いいじゃないの、もう」

 「たまに人前に出るんだからシャンとして下さい」

 「えーりんはいちいちうるさいのよ」


ただ、障子越しに聞こえる会話はなんか間抜け。
学校に遅刻しそうな娘をお母さんが諫めてるみたいな?
なんかバタバタ聞こえるし。
れーせんちゃんもてゐちゃんも苦笑いしてた。



















 「…いいわ、入って頂戴」


たっぷり5分ほど待って(正座してたら足痺れた)、師匠さんから声がかかる。


 「失礼します」


レイセンちゃんがうやうやしく障子を開く。
すごい、堂に入ってる。
まるで江戸時代、殿様に謁見する家臣を見ているよう。
ただ、レイセンちゃんはブレザーだし、中の師匠さんは…
…なんか、キ○イダーみたいな二色の服を着てる。
いや女の人だし、あ○ゅら男爵?
…これは気取られたら偉い人に怒られるな。
ともかく、江戸時代とはかけ離れた格好だ。

それはいいとして、ようやく私たちは部屋に通された。


 「ようこそ永遠亭へ、東風谷早苗さん」

 「我々は貴女を歓迎します」


上座に居る二人がさっきの母娘か。
とりあえず私も挨拶しなきゃ。
背筋をピンとのばし、ご挨拶。


 「この度はお招きいただきありがとうございます。

  東風谷早苗と申します。

  鈴仙・優曇華院・イナバさんにはいつもお世話になっています」

 「……………」

 「……………」


なんでビックリした顔されてるんだろう私。


 「えと…私何か粗相を?」

 「いえ、うどんげから聞いてた人物像と違ったから驚いて」


振り返ると、れーせんちゃんまで驚いた顔してた。
てゐちゃんだけ無表情。


 「レイセンちゃん、私のことなんて伝えてたのよ」


ムッとしながらレイセンちゃんに聞いてみた。


 「あ、いや、えー…」


なんで視線反らすの。
なんで明後日向いてんの。
なんで耳伏せてんの。
なんで手に汗握ってんの。


 「アホな子、って言ってたよ」

 「て、てゐ!」


てゐちゃんから事の真相が伝えられた。
慌てるれーせんちゃん、ニヤリとするてゐちゃん。
青筋の浮かぶ私。


 「いい子だとも言ってたわよね」

 「あれはわざとでしょう」


れーせんちゃんはてゐちゃんのオモチャらしい。


 「もういいですっ、レイセンちゃんとは口利きません」

 「あーらら、嫌われちゃったウサね」

 「てゐ、もうその口調いいから…ごめんなさい早苗」


まぁ、謝ってくれたしいっか。
私も子供じゃないし。


 「じゃあ改めてちゃんと紹介して下さい」

 「早苗を師匠たちに?」

 「うん」

 「…目の前にいるのに?」

 「落とし前はつけてよ」

 「…わかったわよ」


肩をすくめつつも了承するレイセンちゃん。
それでいいのよ、なんて私はフフンと微笑む。
…まぁ、紹介も何も、


 「ふふふ、あなたたち面白いわね」

 「もう十分紹介いただいた気がするわ」


お二方を前に、猫の皮は剥がれてしまったけど。
笑われとるがな!

部屋が笑いにあふれる。
(なぜか)輝夜さんの近くにあるラッ○ー池田が、静かに私たちを見守っていた。
おまえ出世したね。





















 「で?」

 「永遠亭で夕ご飯食べてきたんだ」

 「はい、頂いてきました」


こんばんわ、東風谷早苗です。
今私は永遠亭から帰宅し、神様二人から質問責めにあっています。
もう夜中になるような時間なのに、正直泣きそうです。


 「ふぅん、神である私たちを差し置いてねぇ」

 「昨日から言っておいたじゃないですか」

 「ごはん美味しかった?冷めてなかった?」

 「冷めても食べられるもの作っていったじゃないですか」

 「だってこっちの世界電子レンジないし…」

 「うう、私だって夜遊びに行ったりしたいです…」


質問責めどころか言葉責めに合っています。
神奈子様は明らかに面白がってる感じなのに、諏訪子様は素で責めてるから困りもの。
これで私のご先祖様なんだから権威もへったくれもない。
今度お茶碗にお箸突き刺して出そうかな。


 「冗談よ冗談…ほら、諏訪子も落ち着きなさい」

 「はぁい」


言われてしぶしぶ引き下がる諏訪子様に、神奈子様も苦笑い。
私だって苦笑い。


 「何で笑うのよ」


それがお気に召さない諏訪子様。
子供だ…年齢いくつだこの人(神様だけど)。


 「諏訪子がそんな顔してるからよ。

  早苗だって16なんだし、遊ばせてあげてもいいんじゃないの?

  幻想郷での初めての友達なんだし」

 「まぁ、そうだけど」


神奈子様が説得してくれてる、まだ拗ねている。


 「逆に何が気に入らないのよ」

 「ごはんが温かくなかったこと」

 「あっそう」


これには神奈子様も完全に呆れていた。
私も呆れている。
これはもう強行手段にでるしか。


 「いいんです神奈子様」

 「早苗?」

 「何よ早苗、謝る気になったの」


神奈子様は不安そうに、諏訪子様は逆に挑むように私を見る。


 「明日から諏訪子様の夕飯だけ紅ショウガにしますから」

 「べ、べに…?」


一気に畳みかけるっ!


 「冷めるのが嫌なら最初から温かくなければいいんですよね。
  すみません諏訪子さまこんな簡単な事に気づかなくて。
  前菜から紅ショウガ。
  メインももちろん紅ショウガ。
  そうだ飲み物もいつもの御神酒じゃなくて紅ショウガの絞り汁にしましょう。
  良かったですね諏訪子様温かくなくても紅くてまるで紅魔館の悪m」

 「諏訪子謝りなさい」

 「ほんますんませんっしたっっっ!」

 「明日はカレーにしますね」


食料を制する者は神をも制するのです。



















 「この様子だと、米俵二つを殆ど食べたのは諏訪子様ですね」

 「お察しの通りね」

 「ナ、ナンダヨー」


太らせて食べるのはチルノちゃんのほうになりそうです。
いやもう、なんだかなあ。
つづきどうしよう、なんていいながら書いてしまいました。
早苗ちゃんはアホの方がかわいい、というのが勝手なマイブーム。

あと、僕の神様二人のイメージもこんなんです。
神奈子さまが保護者、みたいな感じですかねw
めるブイ
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コメント



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5.80コマ削除
諏訪子様よわっwww
まあ御飯作ってくれる人には、何やったってかないませんよね。
そしてアホの子な早苗さんイイb
7.70煉獄削除
食料を制するものは神をも制す・・・。名言ですね!
いつの世も兵量攻め(漢字あってたっけ?)は辛いものなのですよ。