Coolier - 新生・東方創想話

さくやにっき9

2008/04/01 05:35:19
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?月○日

春が訪れた、弾幕と共に。
白いのと黒いのがダブルで春を告げてきた、辺りいっぱいに弾幕を放ちながら。
まぁしょうがないわよねぇとか思うんだけれど・・・
やっぱり窓ガラスの割れたのを見るとどうしても撃墜したくなるのは仕方がない。
とりあえずハリセンで頭を引っ張ったいてはおいた、ナイフじゃないだけマシよね。
涙目で春なんですよぉ~とか春なのに・・・とか言ってきたけどそれはわかってるってば。
あの子達も所構わず弾幕しなけりゃいいんだけど。

それとお嬢様、いくらなんでも新しく入ったメイドの名前、ゲモンゲモンは無いと思います。
ネーミングセンスの無さが最大の欠点よねぇ、お嬢様の・・・



?月◎日

今日は定例の料理研修会。
今回は上白沢慧音も月兎も参加し、全員参加でやることができた。
今回のテーマは中華の定番ホイコーロー。
中々幻想郷では馴染みが薄いようなので教えがいがあった。
若干小悪魔は中華料理が苦手な様子、調味料を入れるのにちょっと慌ててる時がある。
まぁその内、慣れるとは思うけど。
今日教えたのは定番のキャベツを入れるタイプだったけど、
後でにんにくの芽を使った本格的なほうも教えたいものね。

しかし最近の定番ではあるけど亡霊の姫君とスキマ妖怪は完成品を摘んでいかないでほしい。
従者2人がそれこそ地面に頭を擦る位土下座してるんだから少しは自重しなさいよ。
というかいくらなんでもこっちが泣けてくるわよあの光景・・・

後でホウ酸団子でも仕掛けようかしら。

?月×日

紅魔館が久々に大きく揺れた、というか主に私が衝撃を受けた。
今日だけで錠剤を全て噛み砕きそうな感じよ、まったく。
あぁ、また泣き声が・・・
とりあえず今の内に書き記しておく。














・・・・・・何かパチュリー様と小悪魔と美鈴がちっちゃくなった。
特にパチュリー様は赤子にまでなってた。

















「お嬢様、妹様、本日のお菓子のお味は如何でしょう?」

今日の紅茶のお供はベリークッキーを。
我ながらしっかりとベリーの甘さを引き出せた感じだ。

「うん、さすがは咲夜、美味しいわ」
「うん、おいしいよー咲夜ー」

好評のようだ、よかったよかった。
私が内心安堵していたその刹那、図書館からあまり聞きたくない轟音が響いた。

「「「・・・・・・・・」」」

一変して空気が重くなる。
あぁ、とてつもなく胃が痛い。

「咲夜」

「はい、わかっております・・・それでは失礼します・・・」


途中、自室で錠剤を一つ噛み砕いたのは言うまでも無いわね。



「ちょっとパチュリー様!?またじっけ・・・あら?」

また胃が痛くなりながら説教をするのかしらと思いながら入った図書館の光景は私をストップさせるのに十分だった。
いないのだ、怒るべき相手が、その手伝いをさせられていた者も。

そう、いるはずの図書館の主もその手伝いもおらず、いたのは幼女2人と赤ん坊だけだった・・・





「さ、咲夜さぁん」

ちょっと振り向いて現実逃避を始めていると後ろから突かれた。
何かダボダボな服着てる赤い髪の幼女だった・・・・・・ん?その帽子どこかで見たことあるわね・・・あ。

「まさか!?」

時を止めて館内を、そして最後に門を見る。
いない、どこにもいない、今日は非番ではないのにいない・・・!

「そ・・・そんな・・・あなたまさか・・・美鈴!?」

「はいぃ、そうですー、紅美鈴ですぅ」

見れば確かに面影がある。
まさか美鈴が幼女になっているとは・・・ということは!?

「ま、まさかあっちの赤い髪のは小悪魔で・・・まさか・・・まさかそこの赤ん坊は・・・」

あ、あの帽子・・・ま、まさか・・・




「パ、パチュリー様です・・・」




「な・・・ななななな・・・・・・・なんですってえええええええええええええええええ!?」





私の絶叫が紅魔館中に響いた。









私は本気で現実逃避を始めていた。
あら、こんなところに蝶なんて飛んでたかしら・・・あはははは・・・

「あぁぁぁ咲夜さん、戻ってきてください!」

揺さぶられた事によって我に返った。

「と、とにかく、何があったのか話してみなさい美鈴、小悪魔」

私は椅子に2人を腰掛けさせて、テーブルの上をどかして赤子のパチュリー様を乗っけた。

「実は・・・」

「咲夜~どうかした・・・・のぉ!?」
「何か大声聞こえたけ・・・どぉ!?」

声に振り向くとそこには私の絶叫を聞いて気になったのかお嬢様と妹様が。

「さ、咲夜!?あなた、私に内緒で何時の間にこんな子達を!?」
「まさか隠し子!?咲夜~私達だけじゃ嫌なの~?」

よく隠し子なんて知ってますね妹様。
はぁっ、説明を聞くのはもう少し後かしら・・・






「実は・・・」

あの後小悪魔と美鈴のおかげもあってお2人は落ち着きを取り戻していただけた。
というわけでお嬢様と妹様も加わって事情を説明することに。
用はこういうことだ。

前々から何度か失敗なされている物を成長させる実験を違う生き物にしてみようという事に。
そんな白羽の矢が立ったのがここにいる美鈴というわけだ。
そしてとっ捕まった美鈴、薬を作るパチュリー様、手伝う小悪魔。
しかしあろう事かそれが完成する一歩手前で失敗、爆発と共に薬が辺りに散らばってしまった。
そしてその影響か、成長させるはずが幼児にしてしまう薬となってしまったようだ。
事前に結界を張ったらしく、図書館内部には被害は無かった。
パチュリー様が幼女どころか赤ん坊になったのはおそらく一番近くでモロに受けたからじゃないか、だそうだ。

頭が痛くなった。

「しかし弱った事になったわねぇ・・・なんとかできそうな本人がこれじゃあ・・・」

パチュリー様はテーブルの上から何もわかってないだろうあどけない顔できょろきょろしていた。
おっと危ない、テーブルから落ちそうだったので中央に戻す。
赤子だとやっぱり活動的なのね。

「時間が経てば治ってくれるんだったらいいんですけど・・・
 あぁ、こんな姿じゃ門番なんてできませんよぉ」

ちびっ子美鈴は言いながら泣き始めた。
今回ばかりはさすがに美鈴に同情した。

「ここは恥を忍んで誰か他の者に頼るしかなさそうですね。
 同じ魔法使いであればアリスやまり・・・いや、魔理沙は止めておきましょう」

あいつは何をやるかわからないわ。

「賢明ね、じゃあアリスを呼んできて貰えないかしら」

「了解しました、お嬢様」

「頑張ってね~咲夜~」

「えぇ、妹様、行ってまいります」

「うひゃ!?いひゃい、いひゃいでしゅ、ぱちゅりぃさまぁ」

パチュリー様は美鈴の顔が気に入ったようだ、頬を引っ張りまくってる。
あぁ、これで解決しなかったらどうしましょう・・・











「よぉ、珍しいな、お前さんがこんな所に来るなんて」
「こんな所って何よ、ここは私の家よ!」

アリスの家にお邪魔してみると本当にお邪魔なものがいた、名前を霧雨魔理沙という。
まさかここにいるとは・・・

「あー・・・アリス、ちょっと頼みがあるの」

「なんだ?場合によっちゃただじゃ嫌だぜ?」

「「あんたには聞いてない!」」

ったく、この白黒は。
でも弱ったわねぇ・・・魔理沙には知られたくなかったんだけど・・・

「とりあえず、紅魔館に来てくれないかしら?理由はそこで話すわ」

「わかったわ、ということだから魔理沙、あなたは「もちろんついていくぜ?」・・・だと思ったわ」

私もよ。
余計な事しないで欲しいけどまぁ一応魔法使いだし、手は多いほうがいいわね。












「と、いうわけで現在こんな様子なんだけど・・・」

「「・・・・・・・・・・」」

「痛いですからパチュリー様!羽は引っ張らないで下さい!」

えぇ、そうよね、図書館に連れて来る時からたぶんそんな風に呆けるとは思ってたわ。
帰ってきてみればパチュリー様は今度は小悪魔の羽に興味が移ったのか羽を引っ張っていた。
あら、そういえば何時の間にか3人とも体に合った服着てるわね、誰が用意したのかしら?
んーーー美鈴と小悪魔の服、見覚えがあるような・・・

「あら、魔理沙もいるの?というか勝手に着いてきた感じかしら」

振り向くとお嬢様と妹様が。
もしかして・・・

「あの子達の服は・・・」

「あぁ、咲夜が私達のおさがりを保管してくれていてよかったわ。
 サイズ的にも問題無いみたいだし、何時までもあのかっこじゃ可哀想でしょ?
 まぁパチェのは小悪魔と美鈴がなんとかしてくれたみたいだけど」

・・・・・・何か深くは突っ込まないほうがいい気がした、なぜか。
2人が正気に戻ったところで事情説明。

「とりあえず2人とも、あいつら戻せる?」

お嬢様は心底困ったように3人を後ろ指で指した。

「うーん・・・今直ぐってわけにはいかないわね・・・調べてみないと」
「さすがにこういうケースは初めて見るからなぁ・・・」

やはりこの2人でもいきなりじゃ無理か・・・

「どれくらいかかる?」

「たぶん1日は掛かるわ」
「あぁ、そんなくらいはかかるだろうな」

1日か・・・つまり、1日この赤子のパチュリー様をどうにかしないといけないってことね。
今度は小悪魔の羽を噛み始めた、おいしいのかしら?

「それで解決できるなら頼むわ、二人とも。
 咲夜、今日は彼女達の手伝いをしてあげて」

「よろしいのですか?」

つまりお嬢様と妹様のお世話ができなくなりますが・・・

「しょうがないわよ、大事な友人を元に戻す為だもの、ね、フラン?」
「うん、一日くらい我慢できるよ!」

「畏まりました、ですが、何かありましたらお呼びください。
 直ぐにでも飛んでまいります」

「咲夜は心配性ねぇ~あぁ、それと魔理沙。
 わかってるとは思うけどこの事は他言無用だし、それと本の持ち出しも禁止だからね」

ジト目で魔理沙をお嬢様が睨んだ。
魔理沙はムッとした顔で

「私がそんな事すると思ってるのか?」

「「「「「「思ってる」」」」」」


赤子となったパチュリー様以外全員頷いた。
ちょっと魔理沙が部屋の隅でいじけた。
日頃の行いが悪すぎるのよあんたは。



その後、さっそくアリスと魔理沙が望む本を小悪魔が探し、2人が色々と調べ、
必要な品をある時は買いに、またある時は山へ調達に私が行くという流れになった。
正直わけのわからない危険そうなキノコを取りに行かされた帰りに出会った化け物植物は気持ち悪かった。
彼女達は今日は図書館に泊まり込みとなった、ここまでしてくれるとは感謝の気持ちでいっぱいね。
というか魔理沙がここまで一生懸命にやってくれるとは思わなかった。
一応聞いてみると

「まぁ・・・なんだ・・・一応、友人みたいなもんだしな・・・助けるのが当然だぜ」

微妙な顔してそう答えた。
だったら勝手に本を持っていっていいのかと私は思ったが言わないでおいた、そこまで私も馬鹿じゃない。
アリスと一緒にニヤニヤと笑みを浮かべていたらマスタースパークを撃とうとしてきたので止めてあげた。
案外可愛いところあるのねこの子。



しかし、途中、主に私がとにかく大変な目に合うことになる。



そう・・・パチュリー様だ、誰も赤子の世話なんかしたことないのだ。



美鈴に任せてみたら全然駄目で、私が変わって必死に泣き止ましたりおしめを変えたりと大変胃の痛くなる状況だった。
何せやった事無いんだもの、いくら完璧で瀟洒なメイドを自負していてもやった事無い事はそう簡単にはできないわ。
それと里や香霖堂で哺乳ビンとかの赤子用の品を買うのは恥ずかしかったわ、本当に。
香霖堂の店主に何があったみたいな顔されたわよ、なんとかごまかしたけど。

「あぁ・・・もう、忙しくてしょうがないわ」

あぁ、また泣かれた、今度は何かしら・・・

「今度は何ですか?おしめ?お腹空いたのかしら?」

「咲夜さん・・・何か似合ってますね、そういうの」

「誰のせいよ誰の!あなたが全然出来ないからでしょうが!」

ぐっ・・・胃が痛い。

パチュリー様の世話は朝方まで続き、おかげで寝不足にまで追い込まれる事を私はこの時知る由も無かった。





?月□日

どうにか事態は解決、皆元に戻った。
アリスと魔理沙には感謝しないとね・・・でも魔理沙、だからといって不法侵入は許さないからね?
後は誰も口を滑らせなきゃ大丈夫、のはず。
パチュリー様は赤子となった時の記憶を一切覚えてなかった、幸運なのか不運なのかわからないけど。
何はともあれ、今日はぐっすり眠れそうである、というか寝かせて・・・







「出来たわ!」

ようやく、といった感じかしら。
パチュリー様を背負って手伝っていた私にとってはそう感じられた。
昨日はほとんど眠れなかったからね・・・これでようやくこの状況から開放されるわ。
アリスの手には紫色の液体が入ったビンがあった。

「これを飲めば元に戻るはずだぜ」

「それじゃあさっそく美鈴、飲んでみなさい」

「は、はい」

私が魔理沙から渡された薬をくいっと美鈴が口に含む。
まぁ見た目通りおいしくはないようだ、むしろまずそうな顔をしている。
少し待つと美鈴の体が光ったと思ったら元の体に戻った。
うん、成功みたいね。

「あうぅ、服がきつい」

当たり前よ、元の体格に合ってるわけないじゃない。
何かお嬢様と妹様が怖い目をなさったが見なかったことにする。

「さっさと着替えてきなさい、着替えは隣の部屋に用意してあるわ」

「じゃあ次は私が」

美鈴の結果を見て小悪魔も飲む。
やはり体が光った後、直ぐに元に戻った。

「ほっ、よかったぁ・・・」

小悪魔も着替えに出て行った、後は私の背中で寝てるパチュリー様だけね。

「後はパチュリーだが・・・しかしお前さんの格好を見てるとまるで保母さ・・・」

後ろから魔理沙の喉元にナイフを突きつけた。
そこから先、言ったらどうなるかわかってるでしょうね?

「わかった、落ち着け、私が悪かった」

謝るくらいなら言わなきゃいいのよ、まったく。

「とりあえず起こさないと、パチュリー様、起きてくださいな」

少し揺すってみた、反応無し。

「寝てる間に飲ませちまうか?」

「さすがにそれは可哀想じゃない?」

困ったわね・・・起きないわ。
とりあえず私の背から下ろして様子を見ることに。
すると途端に目が開いた、どうやら起きたようだ。
しかし、今度は泣き始めてしまった。

「え、え、どういうことよ!?」

抱き抱えてあやす。
いきなり泣き始めるなんて思わなかったわ。

「んーどう思う?魔理沙」
「あれだな、お前さんをよっぽど信頼していたんだろ」
「さすが咲夜かしら?」
「咲夜お母さんみたーい」

4人の表情が何時の間にか微笑ましい笑みを、あぁ、そんな目で見ないで!

「とりあえず起きたんだから、さっさと飲ませちゃって!」

私は自分の頬が赤くなるのを感じながらパチュリー様をあやす。
全く、厄日かしら、昨日今日と。



その後、パチュリー様は無事に元に戻った。
なぜかは知らないけれど赤子だった時の記憶は無いらしい。
お互いの為によかった、と内心安堵。
余計な事言おうとした魔理沙はメイド式バックナックルで沈めた。

「世話になったわね、皆」

「これからは妙な実験はしないでくださいよ?」

「えぇ、少しはね」

「少しだけなんですかぁ・・・」



なんかまだまだこういう事が起きそうな気がした、勘弁してくださいよ?




?月△日

昨日までの一件のおかげか、今日は何事も無く平和に一日が終わってくれた。
そういえば明後日辺り博麗神社で花見をするとのこと、お嬢様も妹様も待ちきれない様子で微笑ましい。
しかし、何やらパチュリー様がまた何かやってる気配が。
昨日の今日でいくらなんでもそんな事しないわよねぇ。
きっと私の杞憂だと思う、思いたい。


・・・・・・明日調べてみよう。



?月&日

今のところ何にも動向は無いみたい、どうやら私の杞憂だったみたいね。
本来失礼な事なんだけど毎度毎度騒動を起こす方だからどうしても警戒しちゃうのよね。

明日はお昼過ぎから花見となった、まぁ私は然程飲みませんけど。
満開なんだろうなぁ、桜。

それはおいといて掲示板に似顔絵を描いてる妖精メイド、
明らかに私だけ鬼の角生やしてるだろ、誰が鬼メイド長か、誰が。
おかげで本物の鬼にお前鬼だったのかとか言われたじゃないのよ。
信じるほうも信じるほうだけど。



?月$日

・・・・・・・・・・・何というべきか。

私はパチュリー様を見縊っていたというか見誤っていたわ。
あの人、駄目だわ、根っこの部分は魔理沙と一緒、つまり反省しない生き物だわ。
本人達はお喜びになっていたようですが。
一日限定のようですから起きたら治ってる事でしょう。

何があったか記しておく。
とりあえずパチュリー様がまたリベンジという名の迷惑実験をやっぱりやってた。
どうやら私や小悪魔に隠れてこっそりやってたようだ、やってくれますね、本当に。
その結果、実験は成功、それはいい、被害が無いのはいい事よ。
しかし飲ませる相手が問題といえば問題だった。










あろうことかお嬢様と妹様に飲ませたのだあの魔女は・・・
















「お嬢様ー?妹様ー?」

んーどこに行かれてしまったのかしら。
先程までお嬢様の部屋にいらっしゃったはずなんだけど・・・
パチュリー様のところかしら?

「失礼しますわ、ここにおじょ・・・・・・・・・・・・え?」

また私は図書館で呆ける事になると誰が思っただろう、少なくとも私は思わなかった。
いたわ、確かにいたわ、お2人とも、というかお2人みたいなの。
でも・・・でも・・・

「あ、咲夜ーどう?似合う?」

「え、えぇとってもよくお似合いですわえーと・・・妹様?」

「んーちょっとサイズがきついわねぇ」

「じゃあこっちを着てみる?レミィ」

「あら、中々よさそうねぇ、花見にはこれを着て行こうかしら」


このナイスバディなお嬢様っぽい人と妹様っぽい人は誰ですか・・・?
あぁ、もう正解は私自身わかっているみたい、でもなんというか認めたくないというか・・・

「どうしたの?咲夜」

何時までも入り口から動かない私にニヤニヤ笑いながらパチュリー様が声をかけてきた。

「パチュリー様、単刀直入に聞きます、やりやがりましたね?」

「えぇ、やったわ、苦労したわ、成功というべきかは微妙かもしれないけれど」

やっぱりか、やっぱりあなたの仕業ですかパチュリー様・・・
どこから持ってきたのか色々な服を着て楽しむお二人を尻目に私は盛大に溜め息をついた。

「・・・・・・副作用とかありませんよね?」

「えぇ、残念ながら効果は1日くらいしか持たないけど。
 明日の朝辺りには元に戻ってると思うわ」

それは本当によかったです、えぇ。

「いいじゃない、あの2人楽しんでるみたいだし。
 いつもいつもちっこいちっこい言ってくる連中をこれでぎゃふんと言わせられると張り切ってるわよ」

お嬢様妹様、ぎゃふんは古いですよ・・・

「本当に成長したならまだしも薬で成長したんじゃ意味が無いような気も・・・」

「一日限りの夢の魔法とでも思えばいいのよ。
 見なさいな、あんなに楽しそうよ?」

見てみた。
幼さが無くなり、美しさ、優雅さを持ち合わせたお2人は本当にお綺麗だった。
うーん・・・お綺麗ではあるんですが・・・

「ふふふっ、これであのスキマ妖怪にも亡霊にも薬屋にも馬鹿にされないわ。
 毎度小さくて威厳が足りないとかぬかしてくるあいつらに意趣返しができるわ・・・!」

毎度背の小ささなんて問題じゃないのよ!と返してるじゃないですかお嬢様。
というか気にしてたんですね、その辺。

「うーんこれが大人な私かぁーでもちょっと動きづらいかも。
 ねー小悪魔ー胸はこんなにきつくしないといけないの?」

「当たり前ですよ妹様」

こっちはこっちで危険だ・・・わかってないから危険だ・・・品位を問われるというか何というか。

「何か私には嫌な予感しかしないんですが」

「気のせいよ咲夜、どうせ酒の席、無礼講でどうとでもなるわ」

あぁ、何か今から胃が痛い・・・



「あ、メイド長、こんにち・・・えぇ!?」
「おや、お出か・・・・・・・・まさかお嬢様に妹様!?」
「あ、咲夜さん、準備はできてま・・・・・・誰ですか、その2人」

うーん・・・廊下で妖精メイドとすれ違う度にびっくりされる。
若干一名、逆鱗に触れたのか頭が壁にめり込んでるけど見なかったことにしよう。
まぁそれほどお嬢様と妹様の変わり様が凄いってことよねぇ・・・

「咲夜、日傘は私達が自分で持つわ、あなたはそこの馬鹿と一緒に荷物を持ちなさい」

「畏まりました、ほら、美鈴、何時までも埋まってないで行くわよ」

「うぅぅぅぅぅ・・・ぱっと見誰だかわからなかっただけなのにぃ・・・」

後で自分で修理させるとしよう。
ていうか顔の跡が残ってるのは気色悪いわ・・・

「ふふふふ、待ってなさいよぉ・・・私をコケにし続けた事を後悔させてやるんだから・・・」
「お姉様かっこいい~!」

もう誰にも止められない、お嬢様はノンストップで走ってしまっている。
玄関で高笑いをするお嬢様と妹様に私は心底ゲンナリしてしまった。
絶対これは何か危険なことが起きるわ、絶対・・・


















「ふふふ、案の定霊夢もびっくりしてたわね」

そりゃびっくりしないほうがおかしいですよお嬢様。
博麗神社に到着したものの、さすがにまだ他の者はおらず、霊夢だけがめんどくさそうに準備をしていた。
お嬢様と妹様を見た霊夢の驚き様は相当なものだった。
ポーズを決める二人に地味に何かダメージを受けていた、何があったのかしら?
というかどこで覚えたんですかそんなの、美鈴がはうーとか見惚れてましたけど。

「いっそあの時、あの時、亡き者にしておけばこんな屈辱は・・・!」

巫女は何か涙を流しながら酒を飲み始めた。
いや、まだよ、これから、後5年も経てば・・・!とか言ってるけど聞かなかった事にした。
仕方ないというか誰も近づきたくないので私と美鈴が代わりに用意を進めた。
感謝しなさいよ駄目巫女。

「おぉ~霊夢の代わりに準備たぁ偉いじゃねぇかお2人さん」

あら、魔理沙が来たわね。

「というか霊夢はどうした?」

「霊夢だったらあっちで飲み始めてるわよ、お嬢様と妹様を見て」

後ろ指を指す、魔理沙も何か近づきたくないオーラを感じたようだ。
露骨に怪訝な顔をした。

「あの姉妹がなんかやったのか?」

「見てくるといいわ、お嬢様と妹様は向こうにいらっしゃるから」

そうだな、と言ってお嬢様達へ向かっていった魔理沙が

「NOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!」

と叫んで霊夢と一緒に酒をかっくらい始めたのは私のせいじゃないわよ。


「あっはっはっはっ!あぁ、楽しい!楽しいわ!!!」

これ以上変な問題起こさないでくださいよ・・・





そんな私の希望は脆くも崩れ去るわけだけどね。






*白玉楼の場合

「あわわわわわ・・・そんな・・・そんな・・・」

妖夢は可哀想なくらいにうろたえ始めてしまった。
んーびっくりするのはわかるんだけど何でそこまでの反応するのかしら?

「落ち着きなさい妖夢、あなたはまだこれからよ」

亡霊の姫君がニコリと笑って宥める姿は久々に見るような気がするわね。
こっちは一瞬驚いたけどそれ以後は全く動揺していない、さすがというべきかしら。

「そういえばあなた最近食べ過ぎでお腹回りがちょっと危険ラインだって聞いたんだけど・・・」

お嬢様、だからいらぬ火種を生まないでくださいぃぃぃぃぃ!
ほーら向こうが憤怒の表情で睨んできたじゃないですか、あぁ睨み合わないでくださいって。

「ふん、大方薬か魔法辺りでやった誤魔化しでしょう?そんなあなたが人をとやかく言える立場?」
「あら、私はそんな噂を聞いたから聞いてみただけなのに・・・図星なのかしら?」

ここの管理者が相変わらず自棄酒やってるので胃と頭を痛めながら仲裁。
というか幽霊って太れるのかしら?

あぁ、胃が痛い。


*永遠亭の場合

「これは見事なまでの成長っぷりねぇ、どういう原理か教えてくださらないかしら?」
「いいわよ、まずは薬の調合だけど・・・」

さすが天才、全く動じなかった。
お嬢様も不満そうだが相手が悪かったというべきか。
今はパチュリー様と今回の実験内容を話し合っているようだ、内容はよくわからない。
代わりに詐欺兎は何か現実逃避を始めてるし月兎は耳をピーンと立てて驚きまくってるからいいじゃないですか。
ん?何か一人足りないような・・・

「えーりん・・・私にもああいうのできないかなぁ?」

「というかあんた不老不死なんだから無理なんじゃないの?」

あ、妹様が仕留めた。
地面にのの字を書き始めたどこぞの不老不死の姫君は放置することにした。
どうなんでしょうね、その辺。


*八雲家の場合

「「・・・・・・」」

笑顔で睨み合う当主同士・・・怖いというか近づきたくない。
目で何か語り合ってると思われる。おそらくは・・・

「今年は冬眠しなかったそうじゃない、それでも年がら年中昼寝してるんだしぶくぶく太ってそうね」
「小娘がよくもまぁ言うわね、残念だけど私はそんなへまをしないわよ、紛い物が偉そうに言わないでほしいわね」

とか言ってそうだ。
見れば式神の猫は妹様相手に遊ばれている、適応力早いわねあの子。
最初全身の毛を逆立てるくらいの驚き様だったのに。
そして八雲藍は私と一緒に事の成り行きを見ている。
お互い同時に溜め息をついたのは言うまでも無い。

ちなみに30分くらいの睨み合いの後、お互い弾幕勝負を忘れて本気の殺し合いをしようとしたところを
何とか両者を2人で羽交い絞めをして止めた。

あぁ、錠剤持ってきてよかったわ。
時を止めて錠剤噛み砕くなんて涙を流したくなるけど。


*守矢神社の場合

「うーむ、羨ましいプロポーション・・・最近私二の腕が気になるんですよねぇ」
「そうかい?早苗はまだ若いからこの先あのくらいになれるかもしれないさね、努力あるのみさ」
「そうですかねぇ?あそこのメイドさんといい、門番の人といい、あの紅魔館には何か秘密あるんですかねぇ」

どんな秘密よ。
真面目なほうの巫女も表側の神の反応もお嬢様にはご不満な様子。
まぁ意外だったわね、てっきり真面目なほうの巫女は取り乱しまくると思ってたけど。
どうやら憧れのほうが強いみたいね。
問題は・・・

「ふっふーん、これで私のほうが大きい、つまり私の勝ちってことね!」
「あーうー・・・わ、私だって何か使えば、使えばぁ!」

妹様が裏側の神相手に前に里で会った時の決着をつけていた。
どう見ても反則ですけどね。


*彼岸の方々の場合

「うーん、お腹の辺りは完全に負けたかなぁ、ダイエットを考えるべきか」

直ぐに適応する死神、しかも自分と照らし合わせるのも早い。
というかダイエットを考える前にあんたはサボるなと言いたい。
閻魔は何か難しい顔してこれほどあれば威厳も・・・いやいや、そんなことは・・・と
難しい顔でブツブツ言いながら考え事をし始めた。
とりあえず放っておくことにしよう。

というか今のままでも十分でしょ、ちっこいわけでもないんだがら。


*その他

これはスクープとうるさいパパラッチは取材を始めるわ
鬼はこれで私の勝ちだぁ!と巨大化するわ
チルノは最強のあたいを差し置いてパワーアップとは何事だ、とよくわからない理屈をこねるわで
面倒この上無かった。
プリズムリバー姉妹と風見幽香は全く動じなかったのはさすがというか何というか。
見た目だけじゃ物の価値は決まらないわよ、とあっさり言いのける風見幽香のその姿は
多くのダメージを受けた連中を回復させた、その後直ぐに全員凹んだけど。



結局今回のお花見はお嬢様と妹様を中心として、何悶着もして終わっていった。
嫌な予感的中だけどここまで騒動になるとは思わなかったわ・・・











「あー楽しかったわ、何時までもこの姿でもいいくらいよ」

「それはそれは、よかったですねお嬢様」

帰り道、お嬢様と妹様は途中まで歩いて帰ろうとおっしゃったので私はそれに続くことに。
神社は自棄酒かっくらった連中で地獄絵図になっていたけど見なかったことにしようと思う。
美鈴とパチュリー様、小悪魔は先に飛んで帰った。

「うんうん楽しかった。
 でももう直ぐ元に戻っちゃうんだよねぇ・・・そうだ」

くるりとこちらに振り向く妹様。
何でしょうかと訊ねる。

「咲夜は今の私達といつもの私達、どっちがいい?」

と聞いてきた。
小首をかしげた様子も普段とは全然違った無邪気さを感じさせる。

「あら、それは聞きたいわねぇ。
 場合によってはパチェに頼んでほとんどこの姿、なんてのもありかもね」

お嬢様の微笑も実に妖艶さを感じさせるものだった。
私の答えは直ぐに決まった。


「そうですねぇ・・・私はどちらのお姿でも構いませんわ。
 姿が変わろうとも私がお仕えするお方が変わるわけではありませんから」

ただまぁあまり問題事は起こしてほしくありませんけどね。

「むー普通すぎーもっと何か特別な事言ってよー」

ぷくーと膨れる妹様。
姿が変わっても中身は全く変わりませんからね。

「ならばもう少しレディになられたほうがよろしいかと、というご忠告を。
 お姿だけ変わっても中身が変わらなくては意味がありませんわ」

「あら、言ったわね咲夜。
 何百年も生きてる私達にそんな事を言うなんて」

むっとした表情をお嬢様もなさった。
それでは認めているようなものですわ、お嬢様。
結局姿が変わっても何にも変わらない。
でも今はそれでいい、今はまだ。

もしも、もしも本当にこのような姿にお2人がなれた時。
その時にそれ相応の器のお方になられていればそれでいい。


その時は私は既にいなくなっている可能性が大きいけれど、


「ふーんだ、咲夜なんて知らないわ。
 フラン、咲夜置いて行きましょ」


そのような事など起きないかもしれないけれど、


「じゃあお姉様だけ先に帰ってて。
 私は咲夜と一緒に帰るから」


それでも、私は願う。


「ちょっと!ずるいわよ!
 あ、こら咲夜、何を笑ってるのよ!」


お2人が今よりもさらにご立派な方になられていることを、私は何時までも願わさせていただきます。


「咲夜ー早く早くーお姉様なんか置いてっちゃおー」
「こらフラン、咲夜はあなただけの従者じゃないのよぉ!」

「お待ち下さい、お嬢様、妹様ー!」


何時の日か、必ずそのような日が来る事を。
「ゴホッ・・・カラクリ・・・パチュリー」
「鎧美鈴!あの・・・これ結構重いんですけど」
「ゴールデンフラン!んー何かピカピカでいいかも」
「銀・・・いや合わないでしょ、シルバー小悪魔!」

「「「「我ら!紅魔館四天王!!!」」」」


「・・・お嬢様、ちょっとお話があります」

「何、咲夜、あぁ小悪魔のところにあなたを入れなかった事を怒ってるの?
 大丈夫、あなたは私の側近よ、2人になるけって痛い!咲夜、引っ張らないでぇ!」


春ですよーなのにこの寒さはきっとレティが出番をほしがってるんだと思ってるのは内緒。
後咲夜さんが時にお嬢様の正義は暴走しますって言ってた。

追記

「鴉〇〇連中役募集中、本物はいりません、つうか来んな」

紅魔館掲示板より。

元ネタは新撰組なあれ、中々良いアニメだったと思うのですよえぇ。
しかしロリーなまんまのお嬢様や妹様のほうがいいという反応がこれほどあるとは思いませんでした、まる
とりあえずロリコンな方々はお嬢様達に通報しました、と咲夜さんが言ってた。
黒子
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コメント



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5.70名前が無い程度の能力削除
内容については言うことはございません。楽しく読ませていただきました。
ところで、後書きのネタはDR2ナイト雀鬼?
8.80水の音削除
メイド式は一体全部で何式まで?
9.90名前が無い程度の能力削除
ちょっとこのところマンネリかな、とか(失礼)思ってましたが、今回のはまた面白かったです。咲夜さんは完全にみんなのお母さんですねー。でもいちばん萌えたのは涙目で春なんですよぉ~春なのにの白黒リリーでした。アダルトな吸血鬼姉妹? つるぺったんじゃないれみりゃ様とフランなんて(ry

何か、みょん日記とかテンコー日記とかうどんげ日記とかも読みたくなってきた。
11.80煉獄削除
リリーは白黒セットで来ましたかw じゃあ倍の被害かなぁ・・・。
そして咲夜さんがお母さんしててとても良かったですよ。
でも、結構良いお母さんになるんじゃないかなぁ・・・と私は思ったり。(苦笑)
お嬢様たちの騒ぎも良かったです。色んな人を凹ませたりとかw
咲夜さんにどちらのほうが良いかを聞いて中身も変わらなければいけないと。
いづれ精神的にも大人になるんですよね。それがいつになるのかは解りませんが
立派に威厳溢れる姉妹になって欲しいものですね。
咲夜さんが生きているうちに・・・・。
次回も楽しみに待ってます。
17.無評価名前が無い程度の能力削除
メイド長はきっと良いお母さんに…もうなってるか、紅魔館のお母さんとしてw

後書き…ひょっとして天狗か、天狗なのかぁ!?
18.80名前が無い程度の能力削除
↓点数入れ忘れてたッスorz
25.90名前が無い程度の能力削除
やばいww貧乳陣のカリスマ急降下www
そしてゆうかりんだけカリスマ急上昇www
27.100名前が無い程度の能力削除
久々にわろた
28.100名前が無い程度の能力削除
いつも電車の中からニヨニヨしながら楽しませて貰ってます。
パッチェあんた最高や。

大人になった他のガキキャラも気になりますね。
32.80幽霊が見える程度の能力削除
錠剤とは・・・ ラムネのことかああぁぁぁぁ!!
34.80名前が無い程度の能力削除
赤ちゃんになって行動的になったパチュリーを想像したら愛くるしさに可笑しくなりそうだった。母性本能ってやつがうずくぜ!?
Wリリーの微笑ましさが異常w
スタイル抜群のお嬢様&妹様なんて!!
36.80三文字削除
ゲモンゲモン吹いたw
アダルトなお嬢様と妹様は良いモノだぁ!
それと、腹周りを気にする乙女なこまっちゃんに萌えたw
37.無評価名前が無い程度の能力削除
あとがきの元ネタは・・・飛べ!イサミですか?
大人になった二人がどうしても想像できなかった自分はロリ(ry
51.無評価煉獄削除
読み返していたら誤字を見つけたので報告にきました。
やはり氏の作品は面白いから読み返したくなりますね。
それで誤字を見つけて報告って……。

>というか顔の形に後が残ってて気持ち悪いわねこれ。
ここは「後」ではなく「跡」ですよね。
>早苗はまだ若いかから
「か」が一字多いですよ。
では、報告は以上です。(礼)
53.無評価黒子削除
修正完了でござる