Coolier - 新生・東方創想話

愛・おぼえていますか?

2008/03/27 04:41:51
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旧作のキャラ多数出てきます。旧作はやったことがない(出来ない)ので口調等があっているか分かりません。なのでそこらへんは簡便お願いします。 さらにアリスお姫様設定です。



別れとは突然であり、悲劇的なものである。
 


今とても豪華な部屋に純白の白いドレスを着け、机に向かっている姿が見える。その机の上では一冊の本が開かれそれを一ページ一ページずつ捲り目を通す。
 そしてその横に浮いている影が2つ。これは人形であろうか。そう人形が出た時点でもう分かった人が多いだろう。彼女はアリス・マーガトロイド。7色の人形遣いと呼ばれ幻想郷の魔法の森にて生活していたはずである。しかし今の状況はどうであろうか。床は赤い絨毯が敷かれ、家具はどれを見ても1級品ばかり。ベットは巨大なものがあり化粧台もある。その一角机に向かいアリスは本を読んでいる。

「・・・懐かしいわね。もう何度コレが夢だったらよかったのにって思ったことか」

そう上海に囁く。星屑の海を泳いでそしてすぐに消えてしまう夢だったいいのに。そう呟きながらも1ページ1ページ本を捲っているアリス。彼女はその本・・・日記であろうか、を見て昔の思いを見返していた。

○月×日
待ちに待った実験が完成する日である。1ヶ月の歳月を費やしたこの実験なんとしても成功させねば・・・と意気込んでいたのだが私の1ヶ月の苦労はすべて無駄になった。それは主に突然あがりこんできた魔理沙に実験器具を破壊されたからである。...(続くけれど長いのでCUTで)

「・・・あのとき、私が実験してた装置を壊していったのよね・・・あの後たっぷりお仕置きをしたらそのまま泣いて帰っちゃったっけ。」

○月△日 
今日は紅魔館へと出かけた。本を借りるためである。少し分からないところがあったので実験を中断し資料を調査しにいったのだ。
そして案の定図書館にはパチュリーと魔理沙がいた。そしてパチュリーは魔理沙を睨み今本を持っていこうとしている魔理沙を何とかさせられないかと考えているようであった。しばらく見ていると魔理沙が動き出し、弾幕ごっこが始まる。魔理沙の弾が飛んできて私の髪の毛を掠っていった。ああ、私の髪の毛が。というとでパチュリー側に参戦し、魔理沙をボコボコにし、本を取り返した後、窓から外へと捨てる。...(続く)

「あいつもよくめげずに本を盗もうとするわよね・・・」

そうぼやきつつも大きな窓の外を見る。窓の外は太陽?が上がり明るく照らしている。一応魔界にも太陽があるのだ。





「・・・もう、私が幻想郷を去ってから10年になるのね。」





10年前に遡ろう。
それは突然であった。ある日の晩、友人の霧雨 魔理沙と夕食を食べていたのだ。するとそこに突然の来客があった。

がちゃり。

「誰?ノックもせずに入ってくるなんて」

しかしその姿を見た瞬間、2人は固まる。あの背の低い姿、そしてアホ毛。それらが指すものは一つしかなかった。

「お、お母さん・・・」
「し、神綺・・・」
「アリスちゃん久しぶりね。元気にしてた?」

その容姿はどっからどう見ても子供。とても魔界神には見えない姿である。しかしその力は神というだけあって計り知れないものである。

「え、ええ・・・けど突然どうしたの?」
「ええ、更に突然だけど用件を伝えに来たのよ」
「用件?」
「ええ。」
「何?」
「いい加減魔界に戻ってきなさい」

その言葉を聴いた瞬間周りの空気がメイド長がいるわけでもないのに停止した気がする。

「な、何で!?」
「いいから帰ってきなさい。もし嫌がるというなら力ずくでもつれて帰るわよ。」
「・・・今すぐ?」
「1日猶予を上げるわ。それまでに別れを済ませておきなさい」
「嫌、といったら。」
「破壊神を魔界で作って幻想郷に侵攻させるわよ?」

それは完全なる人質というものであった。それも幻想郷全体のである。つまりアリスが帰ろうとしなければ幻想郷を滅ぼす。そう言っているも同然なのだ。神綺は神であり、本気になればそのくらい容易いのである。

「明日のこの時間にもう一度迎えに来るわ。じゃあ」

そういうと神綺は玄関から出る。

「待って!!」

必死に追いかけたがもうそこに神綺の姿は無く、代わりに近くに桜の木でもある訳でもないの桜の花びらが一枚散っていた。

「・・・アリス。」
「・・・何かしら」

ひっそりと魔理沙は問おうとする。しかし魔理沙は何も言わない。
 何故ならば見えてしまった。アリスの頬に一つ大きな雫が流れるのが見えたから。

「・・・アリス。ご飯を食べよう。せっかく作ってくれたんだ冷めちまうぜ」
「ええ、そうね」

アリスは涙を拭うと再び魔理沙と向き合った。しかしその食事は会話は一切無い、とても辛い食事となった。

「じゃあ、帰るぜ。明日な。」
「ええ。明日、ね」
「ちょっと用事があるから来るのは昼ごろだぜ」
「わかったわ、昼食を用意しておくわね」
「話が分かるな」

そういうと漆黒の空へと魔理沙は飛び去った。もう夜遅い。飛び去った方向は自分の家の方向だった為、もう寝るのだろう。

「・・・もう寝ちゃお」

そういうと食事の片づけを人形へと命じ、ベットへと倒れこんだ。

明日、お別れになる。目に涙を浮かべつつ枕へと顔を伏せる。しばらくは泣いていたが気がついたらすでに寝ていた。目に大粒の涙を流し、枕をぬらして。そしてその目の涙をそっと人形がハンカチでふき取った。





そして次の日の朝。あんな出来事があったためよりいっそう早起きしてしまう。
 朝食を適当に取り、椅子に座る。本当に何もやる気になれない。
時間は流れ、もうすでに時計は10時を回っていた。

「いけない・・・。魔理沙が来る前に・・・」

そういうとフラフラと立ち上がり玄関から出る。そして湖の方角へととんだ。手に何時もの魔道書すら持たずに。


少女フラフラと飛行中...


「こんにちは。図書館にいいかしら。」
「いらっしゃいませ。今日も本を?」
「いえ・・・。今日はお別れを言いに・・・ね」
「・・・は?今なんと?」
「・・・お別れを言いに。あなたにもね。今までお邪魔して悪かったわね。多分もう2度と会うことはないでしょうけど。」
「そ、そんな!パチュリー様だって悲しみます!」
「しょうがないのよ。これは」

そういうと許可も取らずふらついた足取りで紅魔館へと入っていった。

コンコン。

「どうぞ。」
「失礼するわ・・・」
「あら?アリスじゃない。珍しいわね、こんな朝早くから」
「・・・。そうね」

一瞬の間に疑問の顔を浮かべるパチュリー。

「パチュリー。今日は言いたいことがあってきたの」
「何かしら」

アリスは少し間を空け、

「・・・。今までありがとう。お世話になったわね。」
「・・・は?何を突然お別れするみたいに・・・」
「ごめんなさい。私は今日幻想郷を去るわ。魔界に戻らなければならないの。多分2度と会えない。・・・さようなら」

そして扉へと走り出す。

「ま、待ちなさい!」

しかしその静止すら聞かずにアリスは扉をあけ飛び出した。

「今の話は本当ですか」
「!!」

突然後ろから声をかけられてびっくりするアリス。
足を止め、

「・・・相変わらず貴方の気配の消しっぷりは最高ね」
「どうも。それより」
「ええ、本当よ。今まで迷惑をかけたわね」
「何故ですか。貴方が居なくなるとパチュリー様が悲しむしお嬢様のチェスの相手が居なくて困るのですが」
「・・・しょうがないわ。これは決定事項なの」
「納得を行く説明をください」
「・・・。説明しないと返してくれそうも無いわね」

アリスは十六夜 咲夜へと背を向けながらもしゃべり続ける。

「・・・昨日私のお母さんが来たの。そして魔界に戻ってこいって。もし帰るのを拒んだら幻想郷を滅ぼすそうよ。私一人のせいで皆に迷惑をかけるのはごめんだわ。」
「貴方のお母様にレミリアお嬢様が負けると?」
「ええ。負けるわ。」
「魔理沙は打ち倒した、と聞いのだけれど」
「あんなやつに本気なんて出すわけ無いじゃない。お母さんが本気なんて出したら魔理沙なんて一瞬で消し炭よ。そういうことだから。じゃあお嬢様のチェスの相手は貴方がしてあげて。じゃあね、さよなら」

そういうと再び走り出した。しかしそれを咲夜はとめない。まさか自分が人質になっているとは思いもしないであろう。そんな自分に腹が立っているのかもしれない。

一応美鈴にもさようならと言って紅魔館を飛び出した。





一方博麗神社。

「霊夢。相談があってきた。」
「なにかしら?」

縁側に座りつつお茶を飲むのが博麗の巫女である博麗 霊夢である。

「アリスがな、魔界に帰るそうだ」
「ふーん・・・」
「多分もう2度と会えない。そんな気がする。」
「そんな気がする・・・ってねぇ・・・アリスが拒めばいいじゃない」
「・・・そのときは幻想郷を滅ぼすそうだ」
「はっ?」
「魔界に行ったとき神綺が本気を出していないってのは知ってただろう?」
「ええ。」
「その神綺が本気で攻めるそうだ。破壊神と一緒にな」
「そう。ならアリスの行動は正しいじゃない。1人の魔女の命とこの幻想郷。天秤にかけるほどでもないわ」
「っ!?」

魔理沙はその瞬間大きく振りかぶった。そして博麗神社にはパチンという乾いた音が響くと思われた。
 しかし、その魔理沙の手は何者かによって止められる。
後ろを振り向くとそこには紫が居た。

「紫!邪魔すんな!」
「あらあら。いくら霊夢が酷いことを言ったからといって霊夢を殴るのは筋違いと言うものじゃないかしら。」
「うっ・・・」
「でも、霊夢。貴方の言った事も相当酷いわよ」
「私はもっともな事を言っただけよ」

博麗らしい発言をするのだがその目には何時もの霊夢らしい目をしていなかった。

「っ!もういい!!お前に頼った私が馬鹿だった!」

それに気がつくことない魔理沙。そういうと魔理沙は神社を飛び立っていった。

「・・・いいのかしら。あんな事言って。」
「・・・いいのよ。博麗の巫女だもの」











バタン。アリスは自分の家の扉を閉める。時間はすでに11時だ。

「魔理沙がくるんだっけ、昼食を作らないと」

そういうとアリスは料理を作り始めた。



アリス料理中...


それは昼食とは思えないほど豪華なものである。
 そこにちょうどよく魔理沙が来客。

「おう、来てやったぜ」
「いらっしゃい。昼食できたわよ。」
「ずいぶん作ったな。まあいい。私はおなかがすいているんだ」
「どうぞ召し上がれ」


この昼食は昨日の晩御飯よりは会話があったがその空気はかなり重かった。

「さて・・・と」
「これからどうするんだ?」
「ちょっと永遠亭と白玉楼にね」
「私も行くぜ」

そういうと2人はまず近い永遠亭へと飛び立った。



こうして2人はいたるところに挨拶をして回った。

永遠亭ではうどんげに泣かれ、白玉楼では妖夢が泣きそうであった。


そして、時は流れる。





夜、もう数分で昨日神綺が来た時刻となる。

ガチャリ。

「アリスちゃん、迎えにきたわよ」
「・・・ええ、行きましょうか」

 そういうと3人は家を出る。そしてしばらく飛行すること、魔界への入り口が見えてくる。しかしその入り口には異変があった。今にも壊れそうなのだ。これならばアリスを連れも戻しに来た理由が明確に分かる。もし魔界への入り口が閉じてしまえばもう完全に行き来できなくなる。つまりアリスとあえなくなる。母にとって我が子に会えないのはこの上辛いことは無いのである。
 すでに入り口には人影が見えた。パチュリー・ノーレッジと十六夜 咲夜、そしてレミリア・スカーレット。それに鈴仙・優曇華院・イナバに、魂魄 妖夢。それと霊夢である。

「な、なんでこんなに・・・」
「きっとアリスと分かれるのが辛いんだぜ」
「・・・そう。みんな、見送ってくれてありがとう。それじゃぁ、さようなら。」
「アリス」

そういうとレミリアがパシュっとすばやく何かを投げた。それをアリスは受け取る。

「結局一度も勝てなかったわね」
「残念ね、これはありがたく貰っておくわ。」

それはチェス盤であった。折りたたみ式のチェス盤であり、横にはレミリア・スカーレットと書いてあった。

「私からも。」

そういうとパチュリーは魔道書を差し出した。多分アリスが読んだことの無い魔道書であろう。

「これ一級品よ。貴方に役立ちそうだから探しておいたの。大事に使ってね」
「・・・ありがとう。」

「ほら、私からもあるぜ」

そういうと魔理沙はアリスに小さい手のひらにに簡単に収まるくらいの小さい玉を手渡す。

「何・・・これ?」
「八卦炉の核。」
「ばっ、馬鹿じゃないの!?これが無くなったら貴方・・・!」
「いいんだよ。それは貸しておくぜ。いつか返してもらいに行くからな。私の2番目に大切なものだ絶対壊すなよ!」

魔理沙は遠まわしにこういっている。

――――いつか会いに行くからな。

「ば、馬鹿じゃないの・・・」
「ああ、私は大馬鹿だぜ」

アリスの目からはとめどなく涙があふれていた。

「それじゃあ、さようなら。」

アリスは魔界への扉へ神綺を追いかけるかのように踏み込む。
 そしてその顔は涙を流していたが明らかに笑っていた。そして皆に見送られながら完全に扉の奥へと姿を消した。

「アリスッ!」

魔理沙はその影を追おうとする。

「馬鹿!あなたもう戻って来れなくなるかもしれないのよ!?」
「離せ霊夢!」

霊夢が魔理沙を後ろから腕をつかんで止める。
 そしてじたばたする魔理沙を霊夢と咲夜の2人係で止める。そして次の瞬間、魔界への扉に電撃が走った。

「ま、まさか・・・」

いっそう激しくなる電撃。そして次の瞬間、魔界への扉はガラスのように砕けて散った。

「あ、アリス・・・。アリスぅうううううううう!!!!!!!!!」

夜の魔界入り口。正確には魔界の入り口があった場所。そこには1人の人間の魔法使いの悲鳴が響き渡った。そして地面には一人の魔法使いの雫が染み渡った。


彼女、友達の居ない7色の魔法使い。そう呼ばれていたのは今ココで訂正しよう。なぜならばこんなにも友達がいるではないか。
 アリス・マーガトロイドは素晴らしい友達を持った。かけがえの無い、素晴らしい友達。














「魔理沙達、元気にしてるかしら。まさか・・・もう死んでたりはしないわよね」

日記を読みつつ昔の思いにふけるアリス。

「にしても・・・これ、やっぱり返せばよかったなぁ・・・。魔理沙相当苦労してるだろうな・・・」

そういいつつアリスは首にかけてあったネックレスの中心の小さい玉を指した。それは魔理沙から持ったら八卦炉の核である。つまりコレが無ければ魔理沙はマスタースパークを放てない。彼女の代名詞ともいえるスペルカードの元をアリスが握っているのだ。

「もう、このドレスにもなれたわね・・・」

そういい、アリスは白いドレスを見る。

「なんでお母さんはこんな服を着させるのかしら・・・」

そういいつつヒラヒラさせる。

「はぁ・・・。今思ったんだけど私の日記8割魔理沙で埋まってるわね・・・。なんでこんなに魔理沙で埋まってるのかしら」

コンコン。

「どうぞ」
「アリスちゃ~ん」
「お母さん。どうしたの?」
「いや、暇だったから」
「暇・・・って」

つくづくあきれる。

「困ったこと無い?すぐ解決しちゃうわよ!」
「無いわよ」
「そう・・・」

すこししんみりとする。
 なんだかんた言って結構親馬鹿な神綺である。

「ある・・・といったらあるわね」
「何?」
「幻想郷へ行きたい」
「またそれ・・・?もう何度も説明したでしょう」
「ええ。」

あの幻想郷への扉は魔界を作ったとき色々な偶然が重なりたまたま出来た扉。だからそう簡単に作れないとのコト。

「あ、そろそろ仕事に戻らなきゃ」
「そう。お仕事頑張ってね」

そういうと手を小さく振りながら部屋を出て行った。

アリスは日記を本棚に戻し、代わりにチェス盤を広げる。
 そのチェス版は10年たったというのにまったく色あせず、傷も殆ど付いていなかった。
チェスの駒を並べる。その感触も懐かしく感じてしまう。
 駒を並べるもチェスの相手がいないので片付けなければならない。そんな時アリスはチェス盤の端っこに表面にシールのようなカバーを見つける。そのシールの奥からはもう一つチェス盤の模様がうかがえた。
 アリスはそれを恐る恐るはがしてみる。するとそこには・・・



The fate with you

  byRemilia Scarlet


「・・・運命は貴女と共にある。レミリア・スカーレット」

アリスはフフと笑うとアイツらしいわね・・・ ともらした。

彼女レミリア・スカーレットとは紅魔館へ行ったときチェスを打っていた。図書館でパチュリーとやっていたのだが圧勝であり、つまらないーと嘆いていた。なので代わりに打って出たのだ。結果はレミリアの惨敗。まだレミリアは一勝もしていない。

「・・・一勝ぐらいさせてやればよかったかしらね」

 アリスは戦術を生かした弾幕を基本とし、それを長くに渡り使ってきた。そのため戦術系ゲーム、主にチェス、将棋は恐ろしいほど強いのである。結果アリスに勝てなくてキレたレミリアが弾幕ごっこをして咲夜に気絶させられたのはまた別のお話。

チェス盤を終う。そして2冊目の日記を取り出し読んでみる。


□月■日

今日は魔理沙が来た。相変わらず・・・(CUT

◎月●日

今日も魔理沙が来た、昼食をたかっていった。その後2人でで紅魔館へと・・・(CUT

▽月×日

パチュリーの図書館にったら魔理沙がいた。少しだけ妬いちゃう。でも...(CUT

×月▽日
霊夢のところへ遊びに行った。相変わらずサボっているようであった。...(CUT


「はぁ・・・なんなのよこの日記。8割魔理沙のことで埋まっているじゃない」

そんな自分にちょっと自己嫌悪。

・・・あれ?魔理沙?どんな顔だっけ・・・。
必死に記憶の引き出しを漁る。首の八卦炉の核を弄りながら。






でも。覚えてる。貴女の口癖。少し男勝りなあの口癖。あの性格。
魔理沙、元気にしてる?
ごめんね、顔・・・忘れちゃった。
でも、でも。貴女のいいところは全部覚えてる。
だから。だから。



―――――会いたいよ。魔理沙。




あの日、偶然会えた。そして負けた。いくら追いかけても追いかけても追いつかない。
 いくら手を伸ばしても、届かなかった。でも、何でだろう。何でかわからない。当時は負けて悔しかったはずなのに、今は、とてもうれしく感じている。何で・・・?


・・・あれ?この気持ちって、なんだろう?


いつの間にかアリスは涙をこぼしていた。大粒の涙を日記にこぼす。

「魔理沙っ・・・魔理沙ぁぁあっ・・・」
「呼んだか?」

突然後ろから声をかけられる。その声は昔、聞いたあの声。
 懐かしいあの、少し声に特徴のある、あの声。
 アリスは恐る恐る振り向く。そこに居たのは。

「魔理沙・・・?魔理沙なの・・・?」
「ああそうだぜ。」

その姿は10年経ったというのにまったく変わっていなかった。あの金髪、黒い服に大きな帽子にあの箒。

「お迎えにあがりました。アリス嬢。貸したものを返してもらいに来たぜ。それから――――幻想郷に帰るぜ」
「魔理沙・・・。魔理沙ぁっ!!」

アリスはそのまま抱きついた。そしてそのまま泣く。その感触は間違いなく魔理沙の感触。魔理沙のいいにおい。一つ一つが懐かしく感じる。

「ごめんね・・・。私今まで魔理沙の顔忘れちゃってたんだ・・・」
「酷いぜ、私は忘れたことなんて無かったのに」
「許して・・・」
「あのーKYかもしれませんが私死にそうなんですけどー」

不意に窓から声をかけられる。

「その声・・・霊夢?」
「ああ、そうだぜ。そのほかにもパチュリーとかも来てるぜ」
「パチュリーも?それ以前にどうやってここに・・・」

アリスは窓の外へと出ると霊夢と対峙していた夢子に下がるように命じる。
 すると夢子はナイフでの攻撃をやめどこかへ消えた。

「霊夢・・・変わったわね」
「当たり前でしょう。人間なんだから」
「魔理沙は?」
「私は魔女だぜ」

霊夢はアレから10年たった。あの頃とは比べ物にならないほど美人に成長し、なにか気品のようなものが漂っていた。
魔理沙はまったく変わっていない。

「コイツは人間をやめたのよ」
「・・・は?」
「だから、こいつは魔女になったの。」
「はぁ!?あんた・・・!あれほどなっちゃいけないって言っておいたのに!!どれだけ辛いかも知らないで!!」
「まぁ、アリス、落ち着きなさい。魔理沙は貴女のために魔女になったのよ?」
「れ、霊夢!」
「は・・・?」
「とりあえず説明は後!幻想郷に帰るぜ!」
「そうね。そのドレス、綺麗だけどなんとかならない?」

アリスは驚く。

「も、戻るって幻想郷が滅ぶわよ?」
「大丈夫だぜ、アリスがこっち側に戻されたのはもう幻想郷と魔界が完全に違う次元に隔離されてしまうからだろ?それでアリスは戻れなくなってしまった。だったら繋ぎ直せばいい」
「ま、まさか・・・」
「ええ。もう一回幻想郷から魔界につながるための扉を作ったの。まさか10年もかかるとは思わなかったわ・・・。」
「私も協力させられたのよ?」

不意に後ろから声をかけられる。そこには紫が居た。

「紫の境界を操る程度の能力で小さく魔界への入りぐちを作る。その紫の能力にに私が干渉してスキマを広げて、後は魔法使いの仕事。魔理沙とパチュリーがそのスキマを維持する魔法式を打ち込んだの」
「紫・・・。ごめんなさい。迷惑かけたわね」
「いいわ。それより早く行きましょう。あなたのお母様に見つかると厄介だわ」
「ちょっと着替えるから外で待っていて。」

 そういうと全員外へ出す。そして懐かしいあの幻想郷に居た頃の服を着る。髪の毛にヘアバンドを巻き、あの鍵の穴のある魔道書を本棚から出す。
 その隙に人形に手紙を書くように命じる。神綺へだ。


『お母さんへ』

 お母さん。こんなだめな子供でごめんなさい。まずそれを謝ります。
私は幻想郷へとまた出かけます。私の大切な人たちが迎えに来てくれました。
 扉の心配はありません。魔理沙達が再びつなぎなおしてくれました。なのでいつでも帰ってくることが出来るので安心してください。
もし壊れちゃったとしてももう一回繋ぎ直せばいいだけのこと。だから、私は幻想郷へと帰ります。まだまだ遣り残したことがたくさんあります。
 たまには顔を出しに帰ってくるので、心配しないでください。

それでは、私の愛する母、神綺様へ



それを封筒へと終うと×をつけた。

「アリスーまだかー?」
「今行くわ」

そういつと扉を出て皆と合流。といっても紫と霊夢と魔理沙しか居ないのだが。

「夢子居るかしら」
「はい。なんでしょうか。」
「ちょっと出かけてくるからこれをお母さんに渡しておいて」
「かしこまりました」

突然現れて突然消える。

「いいの?あんなので」
「いいのよ。あの親馬鹿には」

魔界神を親馬鹿呼ばわりするとは・・・恐ろしいことをしてのけるものだ。

「はい。魔理沙借りていたもの」
「ああ、そうだったな。」

そういうとネックレスから取り出し魔理沙に手渡す。

「八卦炉の完成だぜ」

パチンと八卦炉へと核をはめ込んだ。

「さぁ行きましょう。」

そういうとアリスは自分の部屋を飛び出す。




――行って来ますお母さん。





しばらく飛んでいると火花が見えた。
よく見るとパチュリーとユキが弾幕勝負をしていた。

「ちょっと待ってて」

そういうとアリスはユキ達のほうへと飛んでいった。


「はい。ユキそこまで。」
「あ、アリス様!?し、しかしコイツはマイを・・・!」
「消し炭にするわよ?」
「し、しかし!!」
「さようなら。」

近くに居た人形からレーザーを放った。しかしそれはただのレーザーではない。マスタースパークほどではないが、明らかにその威力は高かった。
「ふむ・・・。やっぱ人形が自壊しないのはこのくらいの出力が妥当か」
「えーと・・・アリス、さん?」
「す、すみません~!!!」

そう謝るとユキはマイを抱えて逃げていった。

「アリス、助かったわ」
「アリス・・・今のは・・・なんだ・・・ぜ?」
「日本語が変よ」
「今の魔理沙のマスタースパーク?」
「みたいなものね。貴女から預かった核を分析して複製したのよ。それを一つ一つ人形に埋め込んであるわ。私の魔力があるかぎりマスタースパークもどきを打てるわ。」
「・・・貸すんじゃなかった」

「ほら。早く行くわよ。」

紫が後ろから声をかけ、移動を開始する。

しばらくするとスキマに似た入り口が見えてきた。あの向こうには幻想郷が広がっているのか。

「行くぜ」

紫と霊夢とパチュリーはそのまま姿を入り口へと消した。

「ほら。少し衝撃があるからな注意しろよ」

そういうと手を差し出す。その手を躊躇しながらも取る。

「さぁ、幻想郷へ帰るぜ。そしてお帰りアリス。」

(そっか・・・この気持ち、思い出した・・・)

魔理沙は何を思っているか分からないため代わりに問おう。


愛・おぼえていますか?

「いいえ。覚えていませんでした。でも、大切な人が思い出させてくれました。すべてを思い出させてくれました。」

愛とはなんですか?

「私はもう1人じゃない。大切な人がいる。そして私を思ってくれる人が居る。ソレに対して全力でお返しするのが、私の「愛」です。」


「何か言ったか?」
「いいえ なんでもないの」

2人は手を取って進む。そして2人は入り口の中へと姿を消す。アリスの視界は光に飲まれた。
 初めてだというのに怖くない。だって、よこに私の大好きな人が居るのだから。







そして視界が開ける。そこは博麗神社。

「「「「「「「アリスおかえりなさい!!!」」」」」」」








「ねぇ、魔理沙。一番大切なものってなに?」
「なんだ突然」
「ほら八卦炉の核を貸してくれとき2番目に大切・・・って言ったじゃない」
「ああ・・・そんなことも言ったな。」
「じゃあ何?」
「愚問だな。決まってるじゃないか。アリス、お前だよ」
ごめんなさい。紅魔館の話を書くとか言いつつも旧作の話を少し書いてしまいました。
どうしても書きたかったんです!!アリスは神綺の娘なんだからお嬢様なのかな~?とか思いつつそんな設定にしてしまった。

少しキャラに違和感があるかもいしれません。
そしてマリアリがジャステ(ry

3月26日9時8分25秒誤字修正。
ご指摘ありがとうございました。

P.S.人形でマスパなんて打ったら自壊する!ということに気が付き、少し訂正させていただきました。

BGMは東方VocalBGM -R.O.D.(Romantic Old Dream)-でww


後日談。

「パチュリー迷惑をかけたわね」
「いいのよ。ほらレミィが相手してほしいそうよ」
「勝負よ。あれからいっぱいやって腕を上げたんだから。」


15分後。


「レミリア、チェックメイトよ」
「・・・」



~魔界~
「そうアリスちゃんは幻想郷に行ったの」
「はい。連れ戻しに行きますか?」
「いいわ。わが子には旅をさせろって言うでしょう」
「そうですね。じゃあ神綺様、抜け出そうとしないでください。アリス様の様子を見に行かれるつもりですね?」
「うっ。」
大天使
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コメント



0.450簡易評価
5.90名前が無い程度の能力削除
できればアリスが魔界に連れていかれる理由が欲しかった。
6.70朝夜削除
知らない人がたくさん出てきて?と思いましたが、話は面白かったです。
多分もっと面白いのでしょうが、それは古い作品を知らない私のせいでしょうからw

それにしても前作から今作までの時間が短くて凄いと思いました、私もいくつかネタを用意していますが、ひとつに絞ってやろうと思うと難しくなります、書きたいのが多いのでw

次回作も楽しみにお待ちしています。

それと誤字報告を。

>『お母さんへ』
 お母さん。こんなだめな子供でごめんなさい。まずそれを誤ります。

多分誤ります→謝ります
ではないかと思います。

最後になりますが、素晴らしい作品ありがとうございました。

10年後……そういえばこのメンバーの10年後は考えたことは無かったです。
魔理沙は結局魔法使いになったんですね、魔理沙が魔法使いになるかならないかはわりと分かれますが、私はどっちも楽しむ自信がありますw
7.無評価大天使削除
■2008-03-26 20:48:49様

>魔界への入り口が見えてくる。しかしその入り口には異変があった。今にも壊れそうなのだ。これならばアリスを連れも戻しに来た理由が明確に分かる。もし魔界への入り口が閉じてしまえばもう完全に行き来できなくなる。つまりアリスとあえなくなる

一応これが理由なのですが・・・(大汗)分かりづらかったですか?ごめんなさい。説明不足でした。

なので簡単にここで補足を。魔界と幻想郷の入り口がなくなってしまえば、行き来できなくなるのだから、当然親は子を連れ帰そうとすると思うのですが・・・ 簡単すぎですかね?
親馬鹿の神様にとって子供に合えないのは辛いんじゃないかな。と思いまして。

とりあえず説明不足でした。申しわけない。
8.無評価大天使削除
朝夜様

旧作の人たちですよー ウィキで東方と調べていただければ下のほうに旧作について乗っていますので見てみてください。もっともPC-98なんて・・・orz
まぁ学校にあるからやろうと思えば出来なくも無いのですが。

この作品は少し前からチマチマ書いておりました。ちょうど用務逃走劇と同時期に出来上がったため感覚が短くなってしました。申しわけない。

素晴らしいといっていただけて感激であります!ww
毎回私の作品に目を通していただけてありがとうございます!!

一瞬魔理沙も成長させて霊夢と一緒に登場させようと思ったのですがここはマリアリということで魔女にしてみました。
私もわりとどっちも好きですがねww(人間のままでも魔女でもw
9.90名前が無い程度の能力削除
ん~いい話だしかなり好きなんですが・・・技術的な面でおかしな点が多く見受けられました。それだけにちと残念。
でも結構感動しましたよ!仲良き事は美しきかな・・・次も期待してますんで!
10.無評価大天使削除
■2008-03-26 21:26:11様
申しわけない。多分ですが魔界への扉のことを言われているんですよね?
旧作はキャラ設定しかしらないので勝手な解釈を入れさせていただきました。
11.-30名前が無い程度の能力削除
>アリスは神綺の娘なんだからお嬢様なのかな~?
う~ん
神綺によってうまれたのはアリスだけでなく、魔界にいる全てなんですけどね

>破壊神を魔界で作って幻想郷に侵攻させるわよ?
ちょっと展開に無理ありすぎ

というか、強引すぎるとこが多すぎ

>の能力にに私が干渉して
の能力に私が干渉して
>窓から外へと捨てる。...(続く)
この...(続く)は何?
14.無評価大天使削除
強引でしたか・・・・申しわけない。

続く というのは本当はまだ日記は続くと言う意味の続くです。
15.100名前が無い程度の能力削除
皆優しいなあw
とても良い話でした。


16.90名前が無い程度の能力削除
>The fate with you
The fate is with you なのでは?
17.-20名前が無い程度の能力削除
中途半端に知ってる設定を無理矢理マイ設定で強引に補っているような展開。特に意味も無く盛り込んでいるギャグ。たまに半角になるカタカナ。明らかな推古不足もあって終始なにがしたいのかよく分かりませんでした。
18.80名前が無い程度の能力削除
You Tubeで旧作の動画が見ることができます。会話も読めるかんじの。知らないk方は暇があればそこで見てみるといいかもしれません。
内容は良かったと思いますですよ^^さすがです。次回からも期待してます。
24.無評価PCが古い程度の能力削除
題名が何かのパクリに見えるのは私だけでしょうか。
25.90名前が無い程度の能力削除
なんだかダイジェストっぽい印象を受けました。
……受けました、が。
こまけぇことはいいんだよ!みたいなテンションで楽しめました。

アリスかわいいよアリスw