Coolier - 新生・東方創想話

さくやにっき8.5

2008/03/25 16:58:38
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注)このお話はさくやにっき7、7.5、8の@月〇日、×日の裏話です。
先にその辺をお読みになっていただけると幸いです。










◇月○日



もう時期冬も終わりを告げる、後一ヶ月といったところだろう。
春ともなれば花達が皆元気にその姿を見せてくれるだろう。
今も十分に冬の花達が咲いてくれているけどやはり満開のように花が咲く光景は素敵なものだ。

しかし、冬の終わりにある一匹の妖怪が消える、というかどこかへ隠れる。
長年色々とあった奴なだけに気紛れかプレゼントでも買ってやろうという私らしくも無い考えに行き当たり、
こうして人間の里から離れた香霖堂という店でプレゼントを物色していていい物が見つかったのだが
金銭が問題となった、予想以上に高かったのだ。
妖怪である自分にとって金銭はさほどの物ではないのだが人妖である店主には価値があるものだ。
勝手に持っていくのはプライドに反するというか霊夢や魔理沙辺りに知られると面倒だし・・・
店主に取っておいてくれるように頼んでおき、外に出た、今日も冬の割にはいい日差しだ。

「困ったわね・・・私じゃ普通の場所じゃ金銭は稼げそうにないし・・・」

例えるならあのスキマ妖怪が人間の里で働くようなものだ、それこそ一悶着じゃ済まないだろう。
どこか私でも金銭を稼げる所・・・あ。



「あるじゃない、私でも稼げる所が」


私は意気揚々とその場所へ飛んで行った。






1ヶ月前に来た時となんら変わらない赤い建物、紅魔館の門前に私は降り立った。
相変わらず門番は門によりかかって寝ていた、幸せそうに。
こいつも強い妖怪っちゃ妖怪だけど今の幻想郷じゃ実力出し切れないわよねぇ、不運なこと。

「・・・すぅ・・・すぅ・・・」

しかしあまりに幸せそうに寝ている、いたずらしたくなるじゃないの。
私がどうやって起こしてやろうかと思ったらいきなり第三者に門番が蹴り倒された。
大方時を操って来たんでしょうね、この目の前のメイドは。
相変わらず苦労してそうな感じだ。

「全くおやつ食べたら睡眠時間だとでも思ってるのかしらこの駄目門番は・・・
 ほら、さっさと起きて仕事しなさい、そんなだからザルとか言われるのよ!?
 ・・・さて、とりあえず用件あるなら中でお願いするわ、仕事があるから」

「前から聞きたかったんだけどこんな簡単に通しちゃっていいの?」

まぁ前にも中で相談事を聞いてもらったけど。
人間の中じゃ危険度の高い妖怪と思われてるしそう自負もあるのだけど。
何か無害みたいに思われているみたいな感じがちょっとする。

「喧嘩売りに来たなら当の昔に美鈴と門が吹っ飛んでるでしょ」


・・・・・そりゃそうね。






「は?雇って欲しい?」

「えぇ・・・ちょっと入り用でね・・・
 でも普通の所じゃ如何せん雇ってもらえないでしょ?」

客間に案内されて紅茶を貰い、それで何の用?と聞かれたので雇ってくれと言った。
そう訝しげな目で見ないでちょうだい。

「この前の相談事といい私を幻想郷の便利屋か相談屋と思ってない?」

先月最近料理のレパートリーにマンネリな感があったから料理を作る奴としては最高峰と聞いたから相談してみた。
結果、色々と面白い、役に立つ話も聞けて大満足だった、やっぱ聞くなら本職ね。
他にもその日八雲紫だったり竹林の薬屋だったり幻想郷のできる奴らが来てたようだ。
うん、そういう意味でもこのメイド、相談屋ではありそうね、本人の意志に関係なく。

「最近相談屋とは思ってるけどね。
 ・・・・・・冗談よ、ナイフを仕舞いなさい、喧嘩をしにきたわけじゃないわ。
 真面目なお願いなのよ、本当に」

瞬間的にナイフを構えるところはさすが人間でもできる奴ね。
でも今回はそういう気は一切無い。
自分でも珍しいとは思うけどね。

「はいはい、わかったわよ。
 その入り用って何なのよ?
 それ教えてくれたら考えてあげるわ」

「単なる気紛れなプレゼントの為、とでも思っておいて」

あ、何かまた訝しげな目が強くなったわね。
失礼ね、私が誰かにプレゼントするのがそんなにおかしい事?

・・・・・・ちょっと自分でも否定できないかもしれない。
本当に何であいつにプレゼント送ってやろうなんて思ったのかしら。

「それは相手を喜ばせる為の物でしょうね?
 相手を不快にさせるプレゼントだったら私の言う事は一つよ?」

つまり事によっちゃ返事はいいえ、ってことね。

「安心なさい、本当に心からのプレゼントだから」

これは本心だった。
何でかはよくわからないけど。

「わかったわよ、ただし、お嬢様に伺ってからよ」

「えぇ、よろしくね」



そしてしばし待たされた後、主の吸血鬼からあっさり許可が出たそうだ。
来ておいて何だけど寝首かかれるとか思わないのかしらね、何か複雑よ。
期間は1ヶ月、それくらいあれば買えるでしょ、あれ。

さっそくメイド服に着替えさせてもらった、サイズの問題は大丈夫かと思ったら
丁度いい具合のがあった、胸もきつくないし、ぴったりだ。
一応上司となるメイド、この場合はメイド長かしら、に確認してもらう。
初めて着たからね、私じゃわからないところは色々とあるでしょうし。
少し直して仕事場に案内するわと言われて一緒に館内を歩く事に。
それにしても本当に外観と中の廊下の長さが合ってないわね。
外観からは予想できないほど中は広い、というか長い。
どれくらいあるのかしらこの廊下。

「それにしてもあなたとこうしてメイド同士として歩くなんて考えもしなかったわ。
 夢であるならば悪夢かしらね、ほんと」

「あら、酷い。でも妖怪としては光栄かしら」

はぁっと盛大な溜め息をつくメイド長。
色々と場所を案内されて仕事場というか私が担当する区画に来た。
とりあえずこの区画の廊下と部屋を掃除しろ、ってことみたいね。
一通りの説明を受ける、うん、さほど特別な事は無いみたいね。

「やってる最中にわからない事があったらその辺の妖精メイドでもとっ捕まえて聞いて。
 あぁでも苛めは勘弁ね、ただでさえ出入りが激しいメイド職、減らされるとこっちが大変だわ」

「わかってるわよ、弱い者苛めは趣味じゃないわ~」

嘘をつけとか言われたのはちょっと心外。
私は強い者虐めのほうが好きなんだけどね。



そんなこんなで館の2階、東側をやる事に。
久々にモップなんて手に取るわねーと意気揚々に廊下を拭いてみる。
あー昔を思い出すわ・・・私がまだ・・・

おっと、何かどんどん過去を見始めてしまいそうだった。
周囲を見ればまぁまぁな意欲で妖精メイドが掃除をして・・・して・・・あぁ!我慢できない!!!

「そこの妖精メイド!勢いつけて拭けばいいってもんじゃないわよ!吹きムラも凄いし!
 そしてそっちの窓を拭いてるメイドも!四隅もしっかりと拭かなきゃ意味無いでしょ!」


我慢できずに周囲のメイド全員集めてレクチャーしてしまった。
私としたことが反省・・・
というか本職なのにどういうことよ、とメイド長に言ったら

「教えても教えても三日くらいでコロッと忘れてくれるのよあいつら・・・」


・・・・・・盛大に溜め息をつかれた。
本当に同情するわ、その後始末も何もかも。



◇月×日

バイト2日目

「掃除の仕方もだけどあなたがこうして真面目に掃除しているのって意外だったわ、任せておいてなんだけど」

今日も少し妖精メイドをレクチャーしながら掃除を完了。
教えればまぁまぁできるみたいねあの妖精達。
そんな折にメイド長からこんな一言を言われたので

「私はやる事はやるのがモットーよ。
 任された事に妥協も遠慮もしない、ただ単に物事に完璧を求めてるだけかも知れないけど」

と返しておいた。
それ故に現状の妖精メイドを放っておけなかったのかもね、私。

後、2日目にして陰で副鬼メイド長とか言ってる妖精メイドはシメていいのかしら?と聞いてみたら
トラウマにならない程度ならいいわ、と許可を貰えた。

一応私は弱い者虐めはしない主義よ?

でもやるけど。



◇月△日

バイト3日目

図書館前を掃除していると何だか騒がしくなった。
掃除しているというのに妖精メイドがあっちこっち移動しまわっている。
何かあったのかしら?
とりあえず目の前を通った妖精メイドに事情を聞いてみた。

「白黒が門を突破したんですよぉ~もう時期図書館の本を盗みにここに来るんです~!」

白黒っていうと・・・あぁ、魔理沙ね。
ちょっと待ちなさい・・・?ということは・・・

「つまり・・・館内で戦闘になれば当然・・・」

仕事は増えるわね、確実に。
あの魔理沙が周囲を気にして突破するわけないし。
・・・・・・・・・・・事前に止めたほうがよさそうね。

私は急いで門からここまでの通路を飛んで進む。
そして前から来る白黒の魔法使い。
魔理沙が私に気づくとぎょっとした表情をして着地した。

「なんだか珍しい顔がいるぜ・・・
 つうか何やってんだ幽香、こんなところで尚且つメイド服なんか着て」

「ちょーっとバイトをね、というわけで今日は帰りなさい魔理沙、私、この辺担当なの。
 あまり仕事を増やされると私としては面白くないのよねぇ~」

仁王立ちで立ち塞がる私に渋い顔でどうしたものかと考えている感じの魔理沙。
やがて仕方ない、といった表情で・・・

「今日は日が悪いみたいだぜ・・・またの機会にでも・・・」

「そう、それが「すると思ったかあぁぁぁぁ!!!」」

魔理沙はいきなり箒に跨って私の横を強引に通り過ぎようと加速してきた。
さすが魔理沙、凄い加速力、でも周りを気にして欲しいものだわ。

「諦めの悪い子ね・・・これは一度お仕置きしてあげるべきかしら」

私は通り過ぎようとする魔理沙の箒をひょいと取り上げた。

「うおっ・・・とわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

無論魔理沙は加速力に抗う事無く顔から廊下の床にダイブする。
あれはちょっと痛そうね。

「まったく、私の横を通り過ぎようなんて十年どころか百年は早いわね。
 私を舐めるのも大概になさい、人間風情が」

ちょっと怒気を孕ませて魔理沙を見た。
魔理沙はいたたと顔を抑えて立ち上がった。

「くっそう、油断して抜けられると思ったんだがな・・・だが勝負はこっから「もう終わりよ」ぶっ!?」

見ればまたもや時間を止めて来たであろうメイド長が魔理沙の後ろにいた、ハリセンを持って。
中々似合ってる気がするわ、ハリセン・・・
魔理沙はハリセンの一撃を顔面に受けて見事に撃沈した。

「まったく、客として来なさいと何度いえばわかるのかしらこの白黒は。
 それにしてもありがとうね、今日は迎撃するのが遅れたから助かったわ」

「別に、ただ仕事が増えるのが嫌だっただけよ」

「あら・・・そうなの、その辺はさすがっていう感じかしら」

ふふっとお互い微笑を浮かべた。
そりゃもう増やされるのは嫌じゃない、厄介事は、ね。


その後コソコソと逃げようとした魔理沙の肩を2人で掴んで門の外に出て蹴りだした。
中々爽快ね、こういうの。
魔理沙は覚えてろよぉ!と捨て台詞を残して逃げてった。



◇月#日

バイト25日目

早いもので一ヶ月くらいこうして紅魔館で働いている。
時には図書館の魔女が変な実験で館壊したり
時にはここの主と紫が飲み比べしたのをメイド長がお説教したり
時には門番を餌に近くの湖で釣りしたら湖の妖怪大蛙が釣れたりと
とにかく何か問題事、厄介事などなどが起きて本当に飽きないところね、ここ。

その分ここのメイド長の精神はどんどん磨り減ってるみたいだけど。
いつか倒れるんじゃないかしらね、あの子。

今日は昨日の釣りのせいで門番が休暇を取った為私がこうして門番の代わりとして門の前に立っている。
必要あるかどうかはわからないけどいつもの傘を差しながら。
それにしてもまったく弱い門番ね、あのくらいの大蛙に飲まれたくらいで。

まぁたまにはこうして外の景色を見ながら立ってるのも乙なものよねーと思ってると
紅魔館の中から吸血鬼姉妹の妹のほうがメイド長に日傘を差してもらいながら出てきた。
あぁ、そういえば今日2人で人間の里に買い物行くとか言ってたわね。
何でも初めて博麗神社行く以外に外に出るとか言ってたわね。
基地外印で有名なあの吸血鬼も噂よりも随分と丸くなってたものよねぇ・・・
というか純真なのかしら、私もあんな頃が・・・あらいけないいけない。

「ご苦労様、私は妹様と一緒に里と香霖堂辺りへ買出しに行ってくるわ。
 長くなりそうだけど、後は任せたわ」

「はい任されて、行ってらっしゃいな」

妹吸血鬼とそれに日傘を差しながらメイド長は歩いて里へ向かって歩きで出て行った。
何か一波瀾でもありそうで是非見に行きたいけど見に行けないわよねぇ、さすがに。

と見送りながら思っているとまたもや紅魔館から出てくる者が。
ここの主でさっきの吸血鬼の姉だった、自分で日傘を持って。
どう見ても妹が心配でたまらないって感じね、というか後を追う気満々じゃない。
ついでになぜか紫までいた、さすがにこいつを入れるなと言われても私には無理よ。
やる事はやるけど、やれない事はやらないわよ。


「うおっと、何やってんだ幽香、それにレミリアに紫まで」


お出かけですか?と形式上敬語で話しかけようかと思ったら空から魔理沙がやってきた。
確か今日の事は魔理沙にも話したとかあのメイド長言ってたわよねぇ・・・

「・・・・・・あんた咲夜から相談受けてたんじゃないの?」

「おかげで守りが手薄そうで・・・悪い、頼むからその傘を向けないでくれ、槍をしまってくれ。
 私だってまだ死にたくは無い」

ちっ、消し飛ばしてやろうかと思ったのに。

「ていうか魔理沙、あんたこの前私に叩き落されたのにまだ懲りてないの?」

前の件で私がいるのは知ってるのにも関わらずにこの魔法使いは。
私も舐められているのかしら、と内心ちょっとイライラ。

「あの時はたまたまお前の目の前に出ちまったからな。
 今回はお前の前に出る前に済ませる予定だったんだが・・・とんだ予想外だぜ」

よし、こいつ後で虐める、徹底的に。

「とりあえず、人が真面目に相談しに行ったのにそれを利用しての暴挙。
 本来だったら消し炭にしてやるところよ、感謝なさい」

「へいへい、御寛容な紅魔館の主様には本当に感謝しております、だ。
 今日はやけに厳しいな・・・んで、これからレミリアは二人の後でも追う気か?」

「当たり前よ、何かあったら紅魔館の恥どころじゃ済まないじゃない」

いいなー私もみたいわー
いっその事抜け出してみようかと思い始めた、でもばれたら怒られるわよねぇ。
あのメイド長、結構怒ると怖いのよね、さすが吸血鬼姉妹抑えてるだけの事はあるわ。


「まったく、魔理沙のおかげで時間くっちゃったわ、急いで追わないと・・・」

「はいじゃあスキマで御招待~」

「何のつもり?」

「んーあのメイドには借りが結構あるからねー
 そのご主人様を助けるのもその借りを返すいい機会だと思ってねー」

「・・・感謝はするけど、返すなら咲夜自身に返してあげてね。
 魔理沙、あなたも来なさい、せっかくだしあなたにも見張っててもらうわ」

「まぁ何かあったら困るし、図書館には行けなそうだし、了解だぜ」

どうやら3人でスキマ使って追うみたいね。
いいなー私も行きたいなーと表情に出してみたら
代わりに紫の式が門番をやってくれる事になった、ラッキーね。



そして途中で霊夢とハクタクも混ざって2人を観察。
姉のほうはかなり真剣な表情で見てたけどやっぱり姉妹ってそういうもんなのかしらね?
途中妹の言葉に涙を流してたし、その辺は今の私にはよくわからないわ。
親族どころか同じ種族もいないし、私。



続いて香霖堂に移動し、メイド長がナイフを新たに買い、そしてプレゼントを妹にしてた。
あーあんな風には渡せないわね、私は。
とりあえずハクタクの頭突きは強力だった、以後気をつけようと思う。



そして時間もいい感じになってたので私は紫に言って紅魔館の門に戻してもらった。
この後夜雀の屋台に寄るみたいだったわね・・・あそこのヤツメウナギの肝焼きおいしいのよねぇ。
門に降りるとようやく来たか、という感じの紫の式がいた。
相変わらずこいつも紫に振り回されてるみたいね、ちょっとだけ同情してあげる、ちょっとだけ。
何かあったか聞いたけど魔女が妙な実験をしようとして止められたくらいとのこと。

その後もやっぱり暇状態だったが姉のほうが先に紫のスキマで帰ってきた。
とりあえず形式的にお帰りなさいませ、レミリア様、と言っておいた。
館に入らなかったのでここで待つ気なのかしら。
待っている間何かあったかとか儀式的に聞かれたりしたが
最終的には私の働く理由についての話に。

「そういえばあなた、ここでバイトしている理由がプレゼントの為らしいわね」

「えぇ、1ヶ月ほどの予定ですが」

「誰に送るのかなんて聞かないけどどうしてあげようと思ったのよ?
 言っちゃあ何だけどあんたがプレゼントあげるなんて誰でもびっくりするような事だわ」

本当に皆意外そうに言うわね・・・
でもそうねぇ・・・何でかって言われると・・・

「気紛れなのかどうなのか私にもわからないわ。
 ただね、何かをあげたくなった、それだけ、本当に他意はないわ。
 こんな風に思ったのは久々、もう何十年以来かしら。
 自分でも驚いてるわ、まさか自主的に贈り物しようなんて」

湖に視線を移して遠い過去を思い出す。
思い出せないものもあるけれど、昔の私が今の私を見たら酷く憤慨でもしそうね・・・
それ程に私も丸くなってる、そう思えるわ。
その思い出の中にあいつもいた、あぁ・・・もしかしたら・・・

「たぶんだけれど・・・」

素に戻っちゃったけど気にしないことにした。
私と同じように湖を見ていたのをえ?とこちらに視線を戻してきた。

「友人とはいえないし、単なる知り合いなだけかもしれないけど、
 変わっていく幻想郷でこれからもよろしく、って言いたいだけなのかもしれないわね」

これからもどんどん幻想郷は変わっていく、それは間違いない。
でも変わらないものもある、私だってその一つだ、まぁ中身は変わっていくかもしれないけど。
そしてあいつもまた同じだ、もしくは私以上に変わらないかもしれないわね。
だからこそなのかもしれないわ、微妙な間柄でも、これからも長い年月あいつと関わっていく事になるんだから。

そんな話をしてたら2人が帰ってきた。
ちょっとこっぱずかしい事を目の前でやられたので久々に大笑いした。
メイド長にジト目で注意された、でも今日に限っちゃ怖くもなんとも無いわね。



@月○日

バイト最終日

今日で1ヶ月のバイトも終わり。
周囲のメイドは姐さんメイドとか私に言ってくるけどまぁよく私の言葉を聞いてたもんよねぇ。

「今日であなたのバイトも終わりねぇ、どう?楽しかった?メイドは」

給料を渡しながらメイドちょ・・・じゃないメイドが尋ねてきた。
もう私はここのメイドじゃないからいつも通りでいいわね。

「毎日何かしらあって楽しかったわよ、気が向いたらまたバイトに来てあげるわよ」

これは紛れも無く本心だった。
まぁ時々大変な思いさせられたけどでもいつもとはまた違った楽しさがあったわ。
ここに働いてよかった、と私は心から思える。

「そう・・・よかった。あぁ、それとこの後お別れ会あるのよ」

「あなたの差し金?」

「いいえ、うちの妖精メイド連中よ。
 あなたも結構世話好きなのね、意外だったわ」

・・・・・・ニヤニヤされるとちょっと居心地悪いわ。
というかあんたに言われたくないわ、と言っておいた。

この紅魔館にいる連中全てから慕われてるあんたには敵わないわよ。


お別れパーティは派手に盛り上がった。
終始私の周りには妖精メイドが集まっていた。
正直全員の顔まではしっかりと記憶できてないけど
どいつもこいつもありがとうございましたとかまた来てくださいとか言ってきたけど・・・

・・・・・・悪くは無いわね、こういうのも、本当に。



終わり際にメイドに明日の件で護衛役を頼んだ。
護衛というか周囲の厄介者を取り除いてもらう為かしらね、護衛なんて必要ないし。
あの鴉天狗とかに運悪く見つかると面倒だし。



@月×日

香霖堂で取っておいたものを主人に出してもらう。
包装しなくていいのかと聞かれたけどいらないと答えた、どうせ無駄になるし。
お金を渡して買い物終了、店の品を色々と見てたメイドを連れていざ湖へ。
たぶんいるだろう、あの氷精とかと一緒に。



「ちょっといいかしら」

「あら、珍しい。あなたから話しかけてくるなんて」

案の定湖にいた、プレゼントの私相手は氷精ともう一匹の妖精と一緒に。
こいつとまともに会話するのも久しぶりかもしれないわね。
まぁ冬の間しか外には出てこないしね、こいつ。
氷精が噛み付いてきたけど無視、メイドがどっかへ行くようにしてくれた、さすがね。

「ありがとうね、あんまりしつこいと吹っ飛ばしてるところだったわ」

「あら怖いわね、妖怪も我慢を覚えるべきよ。獣じゃないんだから」

変わらない奴だ、と私は思う、いや、私に対して、かしら。
メイドはしょうがない奴らだといった感じでどっかに消えた、さて、準備は整った。


「いいじゃない、2人っきりで久々に話がしたかったんだし。
 こうして話すのは久しぶりね、レティ・ホワイトロック」

「えぇ、久しぶりね、風見幽香。
 相変わらず誰彼構わず虐めてるのかしら?」



久々に、2人だけの時間が始まった・・・









昔、私がまだ200年かそこら生きてた頃、こいつに出会った。
その時からこいつとは腐れ縁といった感じの付き合いね、友達というわけでもないけど。
最初の出会いは確か今では笑い話にならないようなものだった。
冬の猛吹雪の中、いい加減吹雪を止めないと花が根絶されるだろうがとこいつに挑んだのがきっかけだった。
あいつからすれば自然のままに生きてただけだからさほど責任無いんだけどあの時の私にはわからなかった。
それ程に私は無鉄砲で、そして世間知らずで、若かった。
尤も、あいつも冬が寒くて何が悪いとか言い出してとっくみあいになったんだけど。

それ以来何百年かはそんな感じだったわねぇ・・・
そして私達がいい加減無駄な事している事にお互いに気づいて止めたんだった。
花だって毎年それでも春になったら咲いてたし。
それからお互いあまり会わなくなったけど時折こうして会った時はある。
言い争いだけだったりすれば本気の戦いになったりもした。
もちろん何も無くただ喋って終わったなんて事もあった。
それでもお互い最後は笑って別れたものだった。

そんな微妙で、何ともいえないような関係、それでも私もたぶんこいつもそれでいいと思ってる。
紫はいい友達同士じゃないとか言ってたけどどこら辺がよ、と2人で口を揃えて言ったなんてこともあったけど。



「懐かしいわね・・・昔は本当にあなたは何かにつけて因縁つけて喧嘩を売ってきたり
 事あるごとに周囲を虐めてたわね、本当に忙しない奴だったわ」

「あんたに言われたくない、何度か冬のままにしたいとか言って幻想郷の半分くらい凍りつかせたでしょうが。
 紫と私と後博麗の巫女とかいなかったら今頃この幻想郷は無かったわよ」

お互いの過去を憎まれ口を叩きながら喋りあう。
今では思い出すことも無かったような事も鮮明に思い出せた。
あぁ、本当に懐かしいわ・・・本当に。

「今じゃ氷精の面倒見ながら冬を楽しんでるんだもの、昔とは豪い違いね」

「あら、どこぞの花の妖怪とは違って私はここにいる時間が少ないのよ。
 そりゃあ変わりもしないといけないじゃない、というか、あなただって変わったわよ。
 あの八雲紫だって昔に比べれば随分変わったじゃない、まぁ妙な事ばかりするところは変わってないけど」

「それは否定しないわ、というかあいつは自重するべきよ」

お互いに笑い合った。
おっと、忘れるところだった。

「そうそう、何時までも昔話してる場合じゃなかったわ、ほら、心優しい私からのプレゼント」

投げて渡そうかと思ったが止めた、手渡しで渡した。
なんかそのほうがいいと思ったから、理由は特に無い。
渡したのはブルートパーズのネックレス。
似合うかと思って買ってみた、お値段には少々驚いたけど。

「あら、明日は春どころか夏にでもなってそうね。
 風見幽香からプレゼントを貰った、なんて幻想郷の異変扱いになるわ」

「そしたら心置きなく溶けるといいわ、とりあえずかけてみなさいな」

レティが首にかけた、うん、さすが私、似合うじゃない。

「似合うじゃない、さすが私、いいセンスだわ」

「あなたにしちゃいい買い物じゃない、ありがたく頂戴するわ」

まじまじと見られるとちょっと恥ずかしいじゃない。
視線で言ってみたらふふっと微笑された、何かムカツクわね。

「ありがと、幽香、大切に使わせてもらうわ」

だから笑みを浮かべながら礼を言わないでくれる、恥ずかしいじゃない。

「ふん、もしも酷い扱いしたらただじゃおかないわ。
 決着つけるどころか花に埋もれさせてそこで葬式してあげるわ、火葬までしてあげるわよ」

「あら怖いわねぇ・・・さて、チルノたちも心配だしそろそろ行くわ」

背を向けるレティ、本当に子供を思う母か妹を思う姉みたいね。
あの吸血鬼姉妹やそれに対するメイドみたいだ、ちょっと羨ましいかしら、そういうの。

「羨ましい?」

なんで後ろを向いたまま気づくのよあんた。

「そんな気がしただけよ。
 あぁ、そうそう、次の冬、覚えてなさい、今度は私の番」

「え?」

何の事?

「今度は私がプレゼントを贈る番、ってことよ。
 あなたに似合うペンダントでもプレゼントしてあげるわ、期待して待ってるといいわ、じゃあね」

肩口にウインクまでしてレティは飛んでいった。

「今日は私の完敗かしらねぇ・・・」

不思議と敗北感は無かったけど。
まぁでも・・・



「あいつなら私に似合うものをプレゼントしてくるわよねぇ・・・どんな物かしら」



来年の冬が楽しみになってきた日だった。
今度はあいつが恥ずかしがったりする番でもあるんだから。
レミリア「よし、今日からこのメイドの名前は黒龍・レノマウ・ミッチェル・リストン・アルバール
     マクムトフ・ジェット・キャロ・ワールウインド・ユノウ・スラン・3世よ!」
咲夜さん「もう一度お願いしますお嬢様」
レミリア「ふん・・・黒龍・レノマウ・ミッチェル・・・ハロゲン・・・あぅあぅ・・・3世よ!」
咲夜さん「さっきと違いますしハなんてありませんでしたよお嬢様」
レミリア「そ、そんな事はどうだっていいの!」
咲夜さん「いや、というか名前として色々問題ですよ・・・」


気づけばこれで10作目。
とりあえず目標としてはさくやにっき10くらいまで頑張りたいなぁとか思ってるのは内緒。
そこまでネタあるのか、むしろ飽きられないかとか心配要素もありますがががが。
とりあえずお嬢様の事は閣下と呼ぶように、じゃないと返事をしないからって咲夜さんが言ってた。


追記:10までというのは当初の目標で、たぶんこの辺でネタ尽きるだろうなぁと思ってただけです。
続けられる限り続けていこうと思います、さすがにさくやにっき50とかは考えてませんが。
1からこうして10作目までお付き合いいただいてる方々、本当にありがとうございます。
主に後書きなどに入れるネタやキャラの扱いに毎度気づいてもらえるか受け入れらてもらえるか
ビクビクしながら書いている小心者ですが今後ともよろしくお願いいたします。

○紅魔館掲示板
Sの字入った黒いマスク被ったお嬢様のサイン付きグングニルが欲しい方は
宿敵巫女女か魔法使い女を味方に入れた後、直撃しないように頑張ってください。
場合によっては2号のサイン付きレーヴァティンも貰えるかもしれません、
御相談は紅魔館代表取締役十六夜咲夜さんまでお願いします。
それと列挙された名前連中がどんなもんか全部わかった方は立派なブリーダーです、
直ちに2の開幕デスエナジー地獄にお戻り下さい。
ちなみに作者はそれで3桁瞬殺喰らってます、そこ、ヘタレって言わない。
黒子
[email protected]
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コメント



0.2410簡易評価
2.80名前が無い程度の能力削除
とりあえず誤字:メイド通しとして⇒メイド同士として
ですかね? でも面白かったのでこの点数
3.無評価黒子削除
ご指摘感謝します、修正しました。
4.70名前が無い程度の能力削除
『怒気を孕めてみる』⇒『怒気を孕ませてみる』、もしくは『孕ます』かと。
『孕める』だと『~出来る』の意味になったような気がします。
それはさておき、このシリーズはキャラが立ってて結構好きなんで、
10までと言わず出来る限り頑張って欲しいですね。
次回も期待してます。
5.80名前が無い程度の能力削除
このゆうかりんいいなぁ。次回も期待させてもらいます。
そして閣下マジキャワユスw
誤字を。
紫はいい友達通しじゃないとか言ってた→「友達同士」
10.90名前が無い程度の能力削除
ゆうかりんかわいいよゆうかりん。
しかしレミリア……あんたはFIMBAの回し者か?w
11.無評価黒子削除
今回見直し甘すぎだな・・・ご指摘ありがとうございました、修正しました。
13.80煉獄削除
今回のさくやにっきは幽香の視点でバイト開始からレティに
プレゼントを渡すまでのものでしたか。
いやはや・・・面白かったとしかいえない自分がなんとも情けないが。(苦笑)
10くらいまで続くのですか。
投稿されてくるのが楽しみなだけにちょっと残念ですね。
次回がどうなるか楽しみにしています。
17.80名前が無い程度の能力削除
来年の冬はレティが強い者虐めの対象ですかww
21.80削除
さくやにっき大好きです。
ネタが尽きるまで続けてください!

レティかっこいいよレティ。
24.70名前が無い程度の能力削除
後書きを見る限りやはりこのお嬢様はブラックボールストライクとか使うんでしょうか?
26.80名前が無い程度の能力削除
>あとがき
>黒龍(ry
このお嬢様は『S』の字がある覆面をかぶったスカーレット女(男?)と見た。
サイン済みグングニル欲しいいいいいいいいぃぃぃぃぃ
28.80三文字削除
いいなぁ、自分の中の幽香像とぴったりだ。
そういやあ、レティってそこそこ強い妖怪だったな。
35.90名前が無い程度の能力削除
( ゚∀゚)o彡°レティ!レティ!
あとがきのメイドの名前もう「あぅあぅ3世」でよくね?w
続きも期待してます~